42853 極東軍事裁判考

 (最新見直し2006.2.11日)

 (れんだいこのショートメッセージ)
 2002年秋口、米国大統領小ブッシュの対イラク戦争政策が本格化しつつある。その「悪の枢軸退治」論理を見るとき、第二次世界大戦時の連合国対枢軸国の論理の焼き直しであり、非常に野蛮な論旨がファナティックなまでに展開されている。日本がこの論理を受け入れるとき、こそばゆいものがあるのが真っ当な歴史観であろうが、そういう声は聞こえない。歴史は移り変わり日本はかっての枢軸国から連合国へと転身し、小ブッシュの配下で「悪の枢軸退治」に向かおうとしている。要領が良いのか恥知らずなのか。

 ふと思った。現代史のカラクリを解くためには、かっての東京裁判(およびドイツに対するニュルンベルク裁判)の解明が不可欠では無かろうか。サヨ族は安易に連合国論理に依拠しているが、どこか違う。あの時何が裁かれ、それが如何にご都合主義の「勝者の裁き」であったことか。今無自覚に「勝者の論理」に従うことが日本の取るべき道であろうか。そういうことに気付いたので、遅ればせながら本サイトを設けることにする。

 小ブッシュの「悪の枢軸退治―聖戦論理」は考察に値する。紛れも無く強大国の一方的論理であり、自身はフリーハンド相手には数々の自粛を強制するものである。それが世界に平和をもたらすものであれば一考に値しようが、真実は戦争仕掛け人の利益に即応した利権狙いの美名であったとすれば恐ろしすぎる詭弁ではないか。小ブッシュのらしさは臆面も無くあけすけにこれを声高にするところにある。もし我々がこれに抗議為しえないとすれば人民運動の窒息であり、国際法の学問的死でもあろう。マスコミはこぞって小ブッシュの聖戦論理のお先棒を担いでいるが、今に始まったことではないのでもはや批判を控えることにする。

 東京裁判で、戦争犯罪人として立たせられた28名の被告に対して無罪を宣告したパール博士は後刻次のように云った。
「今後も世界に戦争は絶えることはないであろう。しかして、そのたびに国際法は幣履のごとく破られるであろう。だが、爾今、国際軍事裁判は開かれることなく、世界は国際的無法社会に突入する。その責任はニュルンベルクと東京で開いた連合国の国際法を無視した復讐裁判の結果であることをわれわれは忘れてはならない」。

 パール博士の指摘は的確であった。現在、次のように云われている。
 「それから今まで約半世紀、米国のベトナム戦争、アフガニスタンへのソ連の侵略戦争、4回にわたるイスラエルによるアラブ侵略戦争、イラン・イラク戦争、さきの湾岸戦争等々、世界に戦争は絶えない。だがパール博士の予言通り、国際軍事裁判はおろか、国連において侵略の定義がようやく合意を見たのは、実に東京裁判から26年後の1974年である。つまり東京裁判は、侵略とは何かということが判らないままに、日本は侵略したとして処断されたのである」(引用元失念、失礼)。

 要するに、東京裁判は「俺達に歯向かう者はこうなるという見せしめ裁判であった」のだろう、このことに核心があるように思われる。その限りにおいて、被告側の弁明はそも聞き届けられない。東条以下A級戦犯はその辱めの刑に概ね気丈に耐えたように思われる。これは大東亜戦争をどう見るか以前の話で、我々が民族として確認しておくべきことでは無かろうか。この裁判によって一部戦史解明が為された事は副次効果であって、それもかなりご都合主義的に断罪されているのではなかろうか。東京裁判に対する視座をかく据えたい。

 この視座は、小ブッシュ一族によって嬲(なぶ)り殺しにされようとしている「悪の枢軸国家」に対して持ち合わせねばならない大和民族の目線では無かろうか。目下の小泉―川口外交のお粗末さは目を覆いたくなるほどに「アメ帝お上の云うことは何でもその通り」の追随なるが故に、れんだいこはこの観点を強く打ち出したい。我々にはそういう歴史的責務があるのでは無かろうか。

 付言すれば、かっての戦争を戦勝国側のそれに依拠せず我々の手で国内的に総括するという作業は為されていない。社共運動がこういう実践的なところに手をつけず、口をパクパク職業的反対弁舌屋稼業を宜しくやってきた歴史があるのみである。

 2002.10.8日 れんだいこ拝


関連サイト 大東亜戦争を問う 靖国神社問題について
愛宕北山氏のユダヤ問題論考 CIA謀略機関考

目次

【れんだいこの東京裁判考】
4285311 軍事裁判の歴史
4285312 【戦犯容疑者逮捕と東京裁判準備の流れ、ABC級戦犯の別】
428532 ニュルンベルク裁判及び以降の訴追史考
4285331 【東京裁判概略】
4285332 【東京裁判開廷の様子と以降の流れ】
4285333 【戦犯被告の獄中下の様子】
4285341 【東京裁判の論理】
4285342 【日共その他左翼の論理】
4285343 【清瀬弁護人の論理】
4285344 パール博士の論理】
4285345 【裁判批判派の論理】
4285351 【東京裁判の副次産物としての戦史解明】
4285352 東京裁判と大川周明
4285353 東京裁判と石原莞爾
4285361 【判決】
4285362 【判決文に見る戦史断罪】
4285363 【遺書と処刑の様子】
4285364 【靖国神社とA級戦犯、A級戦犯の靖国神社への合祀について】
4285371 BC級戦犯裁判
4285372 【マニラ軍事裁判考】
4285381 【東京裁判とサンフランシスコ講和条約11条の関係考】
428539 フセイン政権懲罰裁判考察
その後の国際戦犯法廷
A級戦犯釈放組考
インターネット・サイト
研究著作本




(私論.私見)



▼ところが日本占領の元帥マッカーサーは一九五〇(昭和二十五)年十月、大統領トルーマンとのウェーク島会談で「東京裁判は誤りだ」と告白したという。翌五一年五月の米議会聴聞会で次の証言も、近年注目されている。

 ▼「原料の供給を断ち切られたら、一千万人から一千二百万人の失業者が日本で発生するだろうことを彼らは恐れていました。したがって彼らが戦争に飛び込んでいった動機は、大部分が安全保障の必要に迫られてのことだったのです。」