4611 ドキュメント

 2001.911日午前(日本時間同日夜)米国の経済中心地ニューヨーク・マンハッタン島南部の世界貿易センタービル2棟と首都ワシントンにある国防省ビルにハイジャックされた飛行機が激突(前者に2機、後者に1機)、その他ペンシルベニア州などでもテロ発生が伝えられており、同時多発テロが発生した。今のところ犯行声明が出されておらず、今後の成り行きが注目されている。

 
 素朴な疑問として、今回のようなテロがクリントン時代になぜ起らなかったのだろう。単なる偶然なのだろうか。れんだいこが記憶する限りの思いは、クリントンは大統領時代の最後のご奉公として中東和平を模索していた。何かの成果を得ていたのか何ら実を結ばなかったのかまでは分からないが、それほど難事且つ緊急に解決せねばならない課題であったことは確かなように思われる。ブッシュ政権になって、そうしたクリントン政権の努力を踏みにじるようなアメリカ−イスラエル連合による中東爆撃が頻発し始めていたようにも思う。このリアクションとして今回のテロを考えると云うのが自然な発想ではなかろうか。

 パレスチナ解放機構(PLO)で主流派ファタハに次ぐ反主流組織のパレスチナ解放人民戦線(PFLP)の事務所が武装ヘリコプターでミサイル攻撃されたのは、僅か二週間前の8.27日のことである。この攻撃で、パレスチナ自治政府のアラファト議長につぐ指導者と見なされていたPLObQのPFLP議長アブアリ・ムスタファ議長(63)が爆殺された。「昨秋に衝突が始まって以降、イスラエルはパレスチナ人活動家の暗殺作戦を激化させているが、主要な政治指導者を殺害したのは初めて」とある。自治政府は声明で、「この重大な犯罪は、全面戦争へのとびらを開くもの」と非難している。シリアのダマスカスでPFLPのスポークスマンは、「この卑劣な行為は必ず懲罰を受ける。イスラエルは血と恐怖の中で生きることになるだろう」と報復を宣言している。

 このたびの同時テロ事件とPFLPのスポークスマン声明による報復との直接の因果関係は無いように思われるが、問題は地下水脈的に伝授されていく報復決意の行方だろう。誰に伝播して継承されていくのか追跡しようも無かろう。これを防ぐ手立てはジェノサイド以外には無かろう。しかしてそれは困難と云うより高度文明社会と云われる21世紀社会の政策当局者が現出せしめて良いことではなかろう。

 これを思えば、あらゆる手立てと叡智を結集して中東和解を得る以外にはないのではなかろうか。その為に各国が天文学的な資金とボランティアを供給して平和に向けた努力をする方が生産的であるように思われる。なぜなら、これから予想される報復戦争に同様以上の戦費をつぎ込むことが予想される訳だし、そういう力による政治が解決を得るとは思われないから。むしろ、事態を一層こじらせるだけに帰結するのではなかろうか。嗚呼ここに議論が向かわない世界の当局者とインテリの愚昧さよ、れんだいこは長居する世の中ではないと諦観せねばならない。



46111 ドキュメント(1) 事件発生
46112 ドキュメント(2) 事件直後の対応
46113 ドキュメント(3) 事件経過一週間目以降の動き
46114 ドキュメント(4) 事件経過三週間目以降の動き、爆撃開始。
46115 ドキュメント(5) 地上作戦開始
46116 ドキュメント(6) 2001.11.1日より
46117 ドキュメント(7) 事件経過二ヶ月目以降の動き
46118 ドキュメント(8) ダマラン月以降、タリバン都市から撤退、ゲリラ戦の動き
46119 ドキュメント(9) カンダハル攻防戦
46119−2 ドキュメント(10) タリバン撤退後
46119−2 ドキュメント(11) 2002.1.1日より
46119−2 ドキュメント(12)
46119−2 ドキュメント(13)
46119−2 ドキュメント(14)
46119−2 ドキュメント(15)
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