46119−2 ドキュメント(10)

空爆:ビンラディン氏ら潜伏? 東部山岳地帯で強化特殊爆弾

【イスラマバード小松健一】アフガニスタンからの報道によると、米軍は9日、米同時多発テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏らが潜伏しているとみて、東部ナンガルハル州の山岳地帯トラボラ一帯で、強力な破壊力を持つ特殊大型爆弾BLU82(通称デージー・カッター)を投下するなど激しい空爆を続行した。

 また、反タリバン勢力約2500人もトラボラ周辺でビンラディン氏の捜索やテロ組織「アルカイダ」の掃討を続けている。同勢力の司令官は欧米通信社などに対し、「一両日中に総攻撃を行う。ビンラディン氏に残された日々は少なくなっている」と語った。

[毎日新聞12月10日] ( 2001-12-10-15:56


カンダハル統治権:主導権争いが最終決着 元州知事が掌握へ 

 【イスラマバード小松健一】アフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバンの撤退後、パシュトゥン人の間で主導権争いが続いていたカンダハルの統治権は9日、グル・アガ元カンダハル州知事が掌握することで最終決着した。アフガン暫定政権の首相役への就任が決まっているハミド・カルザイ氏が同日、部族指導者や反タリバン司令官らを集めた会合で決定した。パシュトゥン人勢力同士の武力衝突にまで発展した混乱はひとまず収拾されることになった。

 7日のタリバン撤退の際、明け渡し交渉の立役者だったナキブラ元司令官が主導権を握る形でカルザイ氏とのカンダハル共同統治が決まったが、これに反発したアガ氏が決起し、知事公舎を占拠していた。

 カルザイ氏は欧米通信社に対し、「ナキブラ氏自らアガ氏に統治権を移譲したいと申し出た」と語った。一方、カルザイ、アガ両氏の側近は、8日の段階でアガ氏に統治を委ねることで双方が合意したことを毎日新聞に明かしており、カルザイ氏がナキブラ氏への説得を続けていた模様だ。

 ナキブラ氏は親タリバンで、タリバンの本拠地だったカンダハルに影響力を堅持している。だが、カンダハルの消息筋によると、米軍がナキブラ氏の統治に難色を示したとされ、カルザイ氏としても、反タリバンを鮮明にするアガ氏のカンダハル統治をのまざるを得なかったとみられる。

[毎日新聞12月10日] ( 2001-12-10-15:01


ビンラディン氏:テロ指令の証拠 「予想以上の成功」とビデオ

 【ワシントン布施広】チェイニー米副大統領は9日、同時多発テロの発生後、予想外の成功を喜ぶウサマ・ビンラディン氏の姿を写したビデオテープを米当局が押収したことを明らかにした。米NBCテレビとの会見で語った。副大統領によると、ビンラディン氏はテープの中で、テロに関する「重要な知識」に言及しており、同氏がテロを指令したことは「疑いの余地がない」と指摘、事件への関与を裏付ける重要証拠とみている。

 副大統領の発言は9日付ワシントン・ポスト紙の報道を追認したもので、ビデオテープはアフガニスタン東部のジャララバードの民家で発見された。イスラム教の聖職者とみられる人物が同氏にインタビューする形式を取り、全編約40分の長さ。専門家の鑑定により同氏本人と確認したという。

 テープの中で、ビンラディン氏は同時多発テロが起きた時、自分は夕食中だったとアラビア語で語り、テロの実行を会食中の仲間に伝えると、みんな喜んだと説明。世界貿易センタービルが崩れたことについては、上階部分の崩壊は予想したが、ビル全体が崩れるとは思っていなかったと身振りを交えて語り、予想以上の成功を神に感謝しているという。

 チェイニー副大統領は、テープを公開するかどうかは検討中と述べた。ブレア英首相は先月10日の議会演説で、ビンラディン氏が同時多発テロについて「パレスチナとイラクで殺された人々への報復だ」と語った「発言記録」があるとしていたが、ジャララバードで見つかったテープは、この発言記録とは違う内容だという。

[毎日新聞12月10日] ( 2001-12-10-10:33


米、トラボラ周辺への爆撃を拡大

 【イスラマバード10日=村松雅章】米軍は9日、米同時テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏を捕捉するため、潜伏しているとみられるアフガニスタン北東部のトラボラで行っているB52戦略爆撃機による爆撃を周辺地域に拡大した。同氏が地下施設を脱出し逃亡した可能性があるため。地上では捜索のアフガン人を約2000人にまで増強。パキスタンにも協力を求め、国境地帯の監視も強化している。

 AFP通信によると地上でのビンラディン氏捕そく作戦に参加しているアフガン人のザーマン司令官は9日「同氏は100%トラボラ付近の山中に潜伏している」と断言。数日以内に捕そくするとの見通しを示した。米軍はトラボラを集中爆撃、ビンラディン氏の拘束をめざしてきた。すでに同氏が潜んでいたとされる地下施設を壊滅したため、同氏は近くの森林地帯へ逃れたとの観測がある。ただ、トラボラ周辺に潜んでいるという見方は変えておらず、攻撃範囲を広げて発見に全力をあげている。


米軍、戦車30台とともにカンダハル市に進軍

 【イスラマバード小松健一】アフガン・イスラム通信によると、アフガニスタンのカンダハル周辺に展開していた米軍部隊が10日、戦車30台とともにカンダハル市に進軍を始めた。既に一部の米兵が市内に入り、イスラム原理主義勢力タリバンの最高指導者、オマル師の居宅付近で活動を開始したとの情報もある。

 米軍はタリバンの本拠地だったカンダハルへの進駐によって、逃走中のオマル師の行方に関する情報収集を行うものとみられる。 

 一方、米軍は同時多発テロの容疑者ウサマ・ビンラディン氏が潜んでいるとされる東部ナンガルハル州の山岳地帯トラボラ一帯への空爆を続けている。米軍はトラボラでの空爆範囲を拡大。地元部族の反タリバン勢力も戦車などで山岳地帯を攻撃し、同氏のテロ組織「アルカイダ」と交戦している。反タリバン勢力司令官によると、アルカイダの武装メンバー約1500人がトラボラに立てこもっているという。

(毎日新聞2001年12月11日朝刊から


「多国籍部隊のカブール常駐に反対」 反タリバン連合内務次官

 【カブール井上卓弥】反タリバン連合(北部同盟)の有力司令官で、アフガニスタンの首都カブールの治安維持を担当するジェラト内務次官(38)は9日、毎日新聞と会見した。国連が派遣を計画している多国籍部隊について「こちらが要請した場合に限り、期間を限定して行うべきだ」と述べ、多国籍部隊のカブール常駐に反対の姿勢を示した。

 同次官は、ボンでのアフガン各派代表者会議の決定について、北部同盟のカヌニ内相が暫定政権の内相として留任することを歓迎した。一方で「カブールは(北部同盟の)警官隊が完全に掌握しており、治安は日を追って改善されている」と強調し、「市民は欧米であれ、イスラム諸国であれ、外国人部隊の駐留を望んでいない」と述べた。

 同次官はさらに「多国籍部隊派遣についての合意は達成されていない」との見解を示し、「内戦再発を恐れるなら、国連はまず、パキスタンやイランなど隣国の介入を排除すべきだ」と語った。

 ジェラト次官の発言は、北部同盟内に、多国籍部隊受け入れに反対する意見が根強いことを示したと言える。22日に予定されるカブールでの暫定政権樹立に向け、治安維持をめぐる国連と北部同盟の主導権争いが表面化しそうな情勢だ。

(毎日新聞2001年12月11日朝刊から


ビンラディン氏、影武者3人を用意 パ軍情報筋



 【イスラマバード春日孝之】アフガンで米軍が追跡しているウサマ・ビンラディン氏が、行動を共にするグループ内部に米軍への内通者がいるのでは、との疑念を抱き、グループのメンバーでさえ同氏と区別できない影武者3人を仕立てていることが10日、分かった。パキスタン軍情報機関(ISI)筋が毎日新聞に明らかにした。

 同筋によると、ビンラディン氏が影武者を仕立てたのはアフガン南部から東部に移動してきた先月26日ごろ。東部の中心都市ジャララバードの南方で、逃走中だった同氏らの上空を米軍機が低空旋回した出来事がきっかけだった。米軍機は爆撃はしなかったという。

 しかし、同氏は翌早朝、約300人規模だった逃走グループを2つに分け、3人の影武者を用意した。本隊はビンラディン氏本人と影武者1人、別隊は影武者2人で構成。カモフラージュのため、それぞれ別行動を始めた。

 4人の「ビンラディン氏」は同じベストを着て、頭に巻いたターバンの先端部分の布で、顔をすっぽり覆い、警護のアラブ兵さえ見分けがつかないほど。一部の側近を除き、だれが本人で、だれが影武者か、知らされていないという。

(毎日新聞2001年12月11日朝刊から


ビンラディン氏一派の化学兵器使用を警戒 米統合参謀本部

 【ワシントン布施広】米統合参謀本部のマイヤーズ議長は9日、同時多発テロの首謀者ウサマ・ビンラディン氏がアフガニスタン東部のトラボラ近郊に潜伏、懸命に生き残りを図っていると語り、米軍が包囲網を狭めつつあることを示唆した。米軍は同氏の一派が化学兵器などを使うことを警戒、アフガン国内の疑惑施設の調査を進めている。

 米テレビに出演したマイヤーズ議長は、ビンラディン氏の居所を明らかにし、支援組織「アルカイダ」が「トラボラ地域に隠れ、または追い詰められ、命がけで戦っている」と語った。「最新の情報」の出所は明らかにしていない。

 一方、反タリバン連合(北部同盟)のスポークスマンによると、ビンラディン氏は、北部同盟があらかた制圧したトラボラからスピンガルの森に逃れ、約1000人の戦闘員の陣頭指揮を取っているという。この情報について、米当局者は「確認できない」と述べた。

 これに関連してチェイニー米副大統領は9日、米軍はアルカイダやタリバンが、既に大量破壊兵器を取得したかどうかを「意欲的に調べている」と語った。幹部の拘束・殺害に加え、アルカイダのテロ機能を完全に破壊するためだが、追い詰められた一派が化学兵器などを使う可能性も織り込んだ発言とみられる。

 一方、タリバンの最高指導者オマル師を拘束した場合の裁判について、副大統領は、ビンラディン氏やオマル師の裁判はあくまで米国内で行うと述べた。だが、ウルフォウィッツ国防副長官は9日、米テレビに「オマルはアフガンの人々に対する邪悪な行為の責任も問われる」と語り、アフガン暫定政権に同師の処遇を委ねる可能性を示唆した。米軍は、カンダハル周辺に潜伏中とされる同師の居場所をまだ突き止めていない。

 副長官のような意見が出るのは、同師がタリバンと対米テロとの関連を全面否定する可能性が強いためで、米政府内には、むしろタリバン政権下の人権抑圧や残虐行為を中心に裁く方が得策との意見もある。しかしテロの責任者を国内で裁くことに意義があるとの意見も強く、裁判地の決着にはなお時間がかかりそうだ。

(毎日新聞2001年12月11日朝刊から


プーチン露大統領とアフガン情勢などを協議 パウエル米長官

 【モスクワ石郷岡建】ロシア訪問中のパウエル米国務長官は10日、プーチン大統領と会談し、アフガン情勢、米露の安全保障、北大西洋条約機構(NATO)問題などを協議した。

 アフガン情勢では、タリバン勢力排除後の暫定政権問題および平和維持軍の派遣問題が中心となると見られる。パウエル長官はすでにウズベキスタン、カザフスタンの両国を訪問し、アフガン情勢で意見交換を行っている。一方、プーチン大統領はギリシャ訪問の後、ドイツのシュレーダー首相とこの問題で懇談している。

 安全保障問題では、米露首脳会談で合意された戦略核の大幅削減の詰めの作業と検証問題を協議。あわせてブッシュ大統領のロシア公式訪問についても協議する予定だ。 NATO問題では、ロシアの共同決定参加の動きが進んでいる。パウエル長官はロシアのマスコミに、従来の「19(NATO加盟国)+1(ロシア)」に代わり、ロシアも含めた平等な協議の場「NATO20」の設置を支持するとの立場を説明している。

(毎日新聞2001年12月11日朝刊から


カンダハルの混乱した模様明らかに 難民らの証言で

 【チャマン(パキスタン中西部)中坪央暁】「町は混乱状態に陥り、略奪や暴行が相次いだ」。アフガニスタンのイスラム原理主義勢力、タリバンが撤退したカンダハルの模様がパキスタン側に逃れた難民らの証言で明らかになった。カンダハルの統治権は9日、グル・アガ元同州知事が掌握することに決まったが、タリバン兵士は再奪還を誓う。秩序回復に時間がかかる可能性もある。

 「金曜日(7日)の夜、カンダハル西郊で羊を追っていると、300〜400人のタリバン部隊が山に向かって徒歩で移動しているのに出会った」。9日、パキスタン側国境の町、チャマンに逃れた難民が羊飼いのシェブ・グルさん(30)が語る。「兵士たちは銃を担ぎ、大砲を引っ張っていた。(最高指導者)オマル師を護衛しているのではと思ったが、結局わからなかった」という。

 「略奪や暴行を働いたのはパシュトゥン人部族勢力の兵士だ。治安が急激に悪化した。タリバンがいた時の方が平和だった」と訴えるのは、カンダハルで商店を営んでいたムハマド・アクバルさん(70)。別の男性はタリバン撤退後、パシュトゥン人同士が撃ち合うのを目撃したという。

 チャマンへ一時撤退してきたタリバン兵士もいる。アタウラさん(27)は「(暫定行政機構議長に就任する)カルザイたちは米国からカネをもらっている。アフガンとイスラムの裏切り者だ」と非難。「オマル師もウサマ・ビンラディン氏も偉大な指導者だ。いつでも武器を集めて部隊を再編成できる」と息巻いた。

 チャマンから車で約3時間のバルチスタン州都クエッタにある公立総合病院。ここにはスーダン2人、アラブ首長国連邦(UAE)とイエメン各1人の少なくとも4人のアラブ系タリバン兵士が収容されている。

 片足を失ったUAE出身のアブドル・ラフマンさん(28)は「マザリシャリフ、カブールと転戦し、(先月13日の)カブール撤退後に東部パクティア州を経てカンダハルに入った。先月末ごろ山中の拠点にいるところを米軍機に爆撃され、部隊は壊滅した」と証言した。

(毎日新聞2001年12月11日朝刊から


(12/9)ビンラディン氏のビデオ発見・米副大統領「責任は明確」
  

 9日付米紙ワシントン・ポストは、米政府が米同時テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏の映る新たなビデオを入手、このなかで同氏が同時テロは「予想以上の成功を収めた」と話していると報じた。チェイニー米副大統領はビデオの一部を見たことを明らかにし、ビンラディン氏に同時テロの責任があるのは「疑いの余地がない」と強調した。

 ビデオはアフガン東部のジャララバードの捜索で個人宅から発見されたという。収録時間は約40分でビンラディン氏が側近と夕食中に同時テロのニュースを聞いた様子を映している。ビンラディン氏はテロの予想以上の成果をアラーに感謝。世界貿易センタービルに航空機が激突した際、上層階の破壊を予測したものの、ビル全体の崩壊は予期していなかったと話しているという。

 さらにビンラディン氏はテロ発生前からニュースを待っていたことを明らかにするとともに、2機がビルに激突することも予測していたという。テロ実行犯の一部は、事前に航空機乗っ取りだけを知らされ、ビルに激突することは知らされていなかった点にも言及。面白がったという。(ワシントン=安藤淳(日経)


ビンラディン氏:トラボラ地区からパキスタンに逃亡 米紙 

 【ワシントン布施広】12日付の米紙クリスチャン・サイエンス・モニターは、ウサマ・ビンラディン氏の支援組織「アルカイダ」の幹部とされる人物とのインタビューを掲載、ビンラディン氏は10日前にアフガニスタン東部トラボラ地区の基地からパキスタンに逃れたと報じた。

 会見したのはサウジアラビア出身のジャファーと名乗る男性。同氏によると、ビンラディン氏は約3週間前、トラボラからカンダハルに行き、タリバンの最高指導者オマル師と会談。その後トラボラに戻り、パシュトゥン人の手助けを得てパキスタンへ出国した。

 ビンラディン氏は自分の代理として19歳の息子サラフッディン氏をトラボラに派遣。11日にトラボラから出てきたジャファー氏は「ウサマは私のよき友人だ」と語った。

 ジャファー氏が会見に応じた場所は明らかでないが、トラボラ近郊とみられる。同紙の報道に対し、米当局者は直接コメントしていない。米ABCテレビは11日、米情報機関がアルカイダの無線交信などを分析、ビンラディン氏がトラボラ周辺にいると確信したと報じていた。

[毎日新聞12月13日] ( 2001-12-13-10:46


米経常赤字:テロの影響で急減 景気後退で経済活動が停滞

 【ワシントン逸見義行】米商務省が12日、発表した01年第3四半期(7〜9月)の経常赤字(季節調整済み)は、前期比11・7%減の949億8000万ドルと急減した。3四半期連続の減少で、99年第4四半期(10〜12月)以来、約2年ぶりの低水準。赤字が急減したのは、9月の同時多発テロや3月から始まった景気後退による経済活動の停滞のためだ。

 第3四半期のモノとサービスの貿易赤字は同14・3%減の775億8700万ドルにとどまった。テロの影響で、海外からの保険金の支払いが急増したことも赤字急減を加速させた。

 これまでの米経済を支えてきた海外からの資本流入は、テロや景気後退を反映して、同比77・0%減の521億1100万ドルに急減した。【米国から海外への投資も、世界経済の減速の影響を受け、同比78・7%減の153億8300万ドルに急減した。

[毎日新聞12月13日] ( 2001-12-13-11:29 )


「アルカイダが数日以内に米国で生物兵器攻撃」 タリバン投降の米国人男性が明かす

 米紙「ワシントン・タイムズ」のインターネット版が12日付で報じたところによると、アフガニスタンのタリバン軍に外国人義勇兵として加わっていた米国人のジョン・ウォーカー氏(20)は、テロ組織「アルカイダ」が数日以内に米国で生物兵器を使った第2波攻撃を計画していることを米情報機関に明らかにした。アルカイダはさらに米全土の壊滅を目指す第3波攻撃も計画しているという。

 ウォーカー氏はアフガン北部マザリシャリフ近郊で反タリバン連合(北部同盟)の捕虜となり、両足に負傷して投降。現在は、同国南部カンダハル近郊で米海兵隊の保護下にある。

 同紙によると、ウォーカー氏は米情報機関の聴取に対し、アルカイダは16日にイスラム教のラマダン(断食月)が終わるのを待って米国への第2波攻撃を行う計画だと話しているという。

 米情報機関筋は同紙に対し、ウォーカー氏が外国人義勇兵としてタリバン軍の中で比較的低い地位にあったことから、同氏の発言の信ぴょう性について疑問視していることを明らかにした。だが、同筋によると、ブッシュ政権が先週、米国へさらなる攻撃の可能性があると国民に警告を出したとき、ウォーカー氏の発言も勘案材料に入っていたという。(了)


(12/13)反タリバン勢力、アルカイダ攻撃再開へ・投降交渉決裂  

 【イスラマバード13日=村松雅章】アフガニスタン東部の山岳地帯トラボラでテロ組織アルカイダに降伏を迫っていた反タリバン勢力は13日、投降条件が折り合わなかったため攻撃再開を決めた。今後は米軍とともにアルカイダ部隊のせん滅をめざすとみられるが、ウサマ・ビンラディン氏らアルカイダ指導部はすでに逃亡したとの観測も浮上しており、対テロ戦の行方は不透明だ。

 反タリバン勢力は投降条件を詰める12日の交渉が不調に終わったため、あらためて13日正午(日本時間同日午後4時半)を降伏期限に設定。交渉を続けたが、アルカイダは武装解除に応じなかった。

 AFP通信によると、反タリバン勢力のザマン司令官は「(投降のための)交渉はもうしない」と断言。交渉中は停戦していたが、「現在、戦闘開始の準備をしている」と述べた。

 交渉ではアルカイダがサウジアラビアなど出身国の外交官の立ち会いの下、反タリバン勢力ではなく国連に投降するという条件をつけた。一方、反タリバン勢力はビンラディン氏をはじめとするアルカイダ指導部の身柄引き渡しを要求。双方とも相手方の言い分を拒否する格好で、物別れに終わった。無条件降伏を主張した米軍は13日もトラボラ空爆を続行、すでに軍事行動は再開されている。

 ただ、トラボラに潜伏するアルカイダ部隊はすでに少数で、指導部はすでにパキスタンなどに逃げ込んだという見方もある。米紙クリスチャン・サイエンス・モニターは12日、アルカイダ幹部の証言を引用して「ビンラディン氏がパキスタンに逃亡した」と報じた。確認はされていないが、パキスタン政府はアフガン国境地帯の兵力を4000−5000人に増強。アルカイダ捕捉に監視を強化している。(日経)


アフガン攻撃:ビンラディン氏潜伏の洞くつを包囲か 

 【ワシントン中井良則】米CNNテレビは13日、米軍筋の話として、ウサマ・ビンラディン氏が潜んでいるとみられるアフガニスタン東部トラボラの洞くつを反タリバン勢力と米特殊部隊が包囲している、と伝えた。同テレビは「ビンラディン氏が洞くつ内にいると信じる理由がある」とだけ報じ、具体的な場所や根拠は明らかにしていない。

 ラムズフェルド米国防長官は同日の会見で、ビンラディン氏の所在について「アフガニスタン国内にいると思う」と述べ、トラボラ周辺に米特殊部隊を増派したことを明らかにした。特殊部隊の任務について同長官は、「(アフガン人反タリバン勢力との)連絡以外のことも行っている」と述べ、同氏が率いるテロ組織「アルカイダ」の掃討作戦への助言以外にも踏み込んでいることを示唆した。

 AP通信によると、米政府筋は特殊部隊がアルカイダ指導部を捕まえるため、直接交戦する可能性があることを明らかにした。

 さらに、ラムズフェルド長官は「テロリストがみな降伏することが、最も早い方法だ」と述べ、戦闘より降伏による決着を望む姿勢を示した。マイヤーズ統合参謀本部議長も「これは皆殺しの戦争ではない」と述べ、アルカイダメンバーの殺害を求めない立場を明らかにした。

[毎日新聞12月14日] ( 2001-12-14-12:25


同時テロ:米国防総省がビンラディン氏のビデオ公開

 【ワシントン布施広】米国防総省は13日、米同時多発テロ(9月11日)へのウサマ・ビンラディン氏の関与を示す重要証拠とされるビデオテープを公開した。この中で同氏は、ニューヨークの世界貿易センターへのテロに言及、「我々は事前に敵(米国)の犠牲者の数を計算した」などと述べ、犯行を入念に計画したことを示唆している。 

 ビデオはアフガニスタン東部ジャララバードの民家から米当局が押収した。ビンラディン氏は支援者とみられる人物の質問にアラビア語で答えている。場所はカンダハル近郊で、国防総省は11月中旬の収録とみている。

 問答の中で同氏は、乗っ取られた航空機が世界貿易センターに突っ込んだテロについて「私の経験では、飛行機の燃料による火災がビルの骨格を溶かし、上階部分が崩壊すると思った」と述べ、双子のビルが全壊したのは予想外だったとの認識を示した。

 同氏はテロを敢行した「アルカイダ」のメンバーを「兄弟」と呼び、「彼らはみな殉教作戦を行うことを知っていたが、作戦自体は何も知らなかった」と述べた。また、貿易センタービルに突っ込んだ2機の航空機について、同氏は「1機目と2機目の間隔は20分だった。1機目の航空機と国防総省に突っ込んだ航空機の間隔は1時間だった」などと詳細に語っている。

 【北米総局】ウサマ・ビンラディン氏の関与を裏付けるものとして米政府が13日、公開したビデオテープの要旨は次の通り。

 (ビデオに登場したビンラディン氏は傍らの人物に話しかけ)アラーの神に感謝したい。強い馬と弱い馬を見れば、人は強い馬を好む。人々に神を崇拝するよう求める(他宗教の)の人たちは、自分たちの教義に従うことなく、ムハンマド(イスラム教の預言者マホメット)の教義に従うことになるだろう。

 なぜ我々と戦いたいのかと尋ねる人もあるかもしれない。私はただ一つの神を信じる。ムハンマドは神の預言者だ。

 ニューヨークとワシントンで行われた演説はアラブ人と非アラブ人、中国人にでも理解されよう。この事件は人々に真のイスラムについて考えさせた。それは、イスラム教を利するものだ。

 (同時多発テロの)前に、我々は死傷者の数を計算していた。(世界貿易センター)ビルの3〜4階分が破壊されるだろうと考えていた。自分の戦闘での経験から、飛行機の燃料が発火すれば、ビルの鉄骨が溶け、飛行機がぶつかった部分と、その上層階が崩壊するだろうと考えていた。我々としてはそれで十分だった。

 (テロの実行日については)前の週の木曜日に聞いていた。当日、仕事を終えてラジオをつけた。午後5時30分だった。すぐに、飛行機が世界貿易センターに突っ込んだというニュースが流れてきた。ワシントンからのニュースを聞こうと局を変えたが、最後まで(ペンタゴンへの)攻撃のニュースは流れなかった。

 アラーのご加護が彼にありますように。アラーのご加護が我々にありますように。アブ・アルハッサン・アルマシリは数日前、(カタールの衛星テレビ)アルジャジーラ・テレビで米国民に向け「もし君が男なら、ここに来て、我々と正面から向き合え」と表明した。彼は数年前、私に「私は米国人とサッカーをしている夢を見た。私たちがサッカー場に現れた時、彼らは皆、パイロットだったんだ」と言った。

 彼は続けた。私は「それはサッカーなのか、パイロットのゲームなのか。我々の選手は皆、パイロットなのだ」といぶかった。彼は作戦についてはラジオを聞くまで何も知らなかった。ゲームは続行し、我々は勝利した。それは我々には吉兆だった。

[毎日新聞12月14日] ( 2001-12-14-01:51


同時テロ:「証拠」ビデオ なお残る議論の余地

 【ワシントン吉田弘之】米同時多発テロの重要容疑者、ウサマ・ビンラディン氏が事件に関与したことを示すビデオテープが13日公開され、米国では「決定的証拠」として反響を呼んでいる。同氏はこれまで犯行を否定していただけに、テープの中で語っている内容は生々しく、重い意味を持つ。だが捜査面から見た場合、明確に「秘密の暴露」と言える内容は乏しく、同氏を支持するイスラム原理主義者を中心に、なお議論の余地が残りそうだ。

 米国はテープをアフガニスタン東部ジャララバードの民家から「数週間前に入手」(ラムズフェルド国防長官)した。フライシャー大統領報道官によると、ブッシュ大統領は11月29日、テープの存在を知らされ、同30日朝、ホワイトハウスで開かれた会議で見たという。

 テープの入手から公開まで時間がかかったのは、事件の被害者に与える影響を慎重に検討していた他、ビンラディン氏を含む登場人物の発語と口の動きがあっているのかなどテープの信憑性について吟味を重ねたためだ。公開を前提としたものではなく同氏の支援組織「アルカイダ」内部で見るために録画されたとみられ、テープそのものが作り物だとする見方は当たらないだろう。

 テープの中で、ビンラディン氏は▼実行日は前週の木曜日(9月6日)に聞いた▼ハイジャック犯の1人、モハメド・アタ容疑者がテロ実行犯の指揮を取っていた▼ハイジャック犯は事件の直前まで作戦の内容は知らず、(4グループは)互いを知らなかった――など事件の核心部分を明らかにしている。

 19人のハイジャック犯がどのように連携したのか、その解明が難航している事実などを考えると、こうした発言は全てつじつまが合う。だが逆に、発言はこれまでの報道を基にすれば推測可能な内容で「犯罪の立証」という側面から決定的証拠となるかどうかは疑問が残る。テープの公開で米国民の大半は同氏の事件関与を改めて確信したとみられる。しかし、一部の頑なイスラム原理主義者をも納得させることが出来るかどうかは不透明だ。

 米連邦大陪審は11日、同時多発テロ事件で初めてビンラディン氏やアルカイダ幹部の共犯としてフランス国籍のモロッコ系男性、ザカリアス・ムサウイ被告(33)を航空機破壊罪などで起訴した。一方で米司法当局は未だに「主犯」のビンラディン氏を起訴する意向を表明していない。

 軍事行動の最大の標的となっている今、起訴に意味がないとの見方もあるが、実際は同氏による指揮系統を明確に示す証拠が出揃っていないためとみられる。今回のテープが同氏の起訴(被告人不在のままを含む)に向けた有力証拠になるのは間違いないが、なお捜査の継続が必要とされている。

[毎日新聞12月14日] ( 2001-12-14-12:40


同時テロ:ビデオの証拠価値、回想の可能性も 専門家指摘

 「我々は事前に犠牲者の数を計算した」「(テロの実行日は)前の週の木曜日に聞いていた」。米国防総省が公表したビデオテープの中で、ウサマ・ビンラディン氏は、静かな、ゆっくりとした口調で、米同時多発テロへの「関与」を語った。世界が見つめた衝撃の映像について、専門家らに聞いた。

 高橋和夫・放送大助教授(国際政治)の話 ビデオは、本物らしいとの印象を受けた。なぜハイジャック犯がアラビア語のマニュアル本を車に残していたか疑問だったが、ビデオにあるように、ビルに衝突することを直前まで知らされていなかった実行犯がいたとすれば納得がいく。テロへの関与については、過去を振り返った回想にすぎないとの見方もできるため決定的な証拠とまでは言えない。ただ、イスラム世界でウサマ・ビンラディンがやったのか迷っていた人には相当の影響を与えるのではないか。また、米国を支持する国に大義名分を与えた意味も大きい。

 東京国際大教授で軍事評論家の前田哲男さんの話 隠し撮りでなく、ビンラディン本人もカメラを意識して話をしているビデオだ。内容はかなり詳細で、テロ事件について具体的に語っており、事件がアルカイダによって引き起こされたという状況証拠にはなる。米国の司法制度の範囲にない軍事法廷では、ビデオは強力な証拠として示されるだろうし、評価もされると思う。ただ、決定的な秘密の暴露はない。米国は、軍事法廷を正当化し、アフガニスタン攻撃を続行するために世論を高めるプロパガンダとして公表したのではないか。

 「密教とイスラーム―高野山修行記」などの著書があり、イスラム文化に詳しい作家の小滝透さんの話 ビンラディンが会話の冒頭で「アラーの神に感謝したい」と言っているが、これはうれしいことがあった時にしばしば使われる表現で特徴的だ。ビンラディンのテロ事件関与の証拠がこれまでなかったことから、イスラム社会では「テロはCIAによる自作自演だ」という見方もあった。このビデオは、そうした見方を幾分沈静化させるかもしれない。しかし、イスラム社会を納得させるまでには至らないだろう。イスラムの反米勢力の憎悪の念は強く、彼らの関心は既に戦争状態にあるパレスチナにある。反米感情は今もオーバーヒート状態にある。

[毎日新聞12月14日] ( 2001-12-14-12:46


アフガン攻撃:トラボラに米軍特殊部隊投入 背水の陣敷く

 【ワシントン中井良則】米同時多発テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏の捕捉を目指し、米軍は14日、アフガニスタン東部トラボラの山岳地帯で続くビンラディン氏の支援組織「アルカイダ」掃討作戦の最前線に、100人以上の特殊部隊を投入、地上戦で初めて本格的な直接交戦に踏み込んだ。反タリバン勢力を前面に押し立てた従来の「代理戦争」戦略を転換したもので、米軍は事実上、「最後の戦線」と位置付け、”背水の陣”を敷いたといえる。

 米メディアによると、アルカイダの勢力は300―1000人で、攻勢をかけるアフガン人勢力は2500人。米特殊部隊はデルタフォース、グリーンベレーや敵の急襲・捕捉を任務とする海軍部隊、海兵隊狙撃チームなど100人以上が展開しているとみられる。アフガン人の各部隊ごとに少なくとも5人の米兵が支援、英国の特殊部隊も加わっているとの情報がある。

 米軍のアフガン攻撃は空爆が主体で、地上戦は反タリバン連合(北部同盟)やパシュトゥン人に任せてきた。だが、米国の意向を無視した北部同盟のカブール進攻や、タリバン指導者のオマール師逃走を許したカンダハル陥落など、米国には不本意な結果が多い。

 米特殊部隊はこれまで、反タリバン勢力の「軍事顧問」や、地上からレーザーを使い、米軍機の攻撃を誘導するのが中心だった。だが、今回のトラボラ作戦ではアフガン人を当てにせず、ビンラディン氏の発見・拘束に向け、危険が大きい戦闘の主導権を取っている模様だ。

 トラボラにビンラディン氏がいる根拠について、米軍筋は(1)アルカイダ兵の抵抗が大きい(2)ビンラディン氏の目撃情報(3)アルカイダ内部の無線傍聴――などを理由にあげたが決定的な情報に欠ける。フランクス米中東軍司令官は「トラボラにいるとも、パキスタンにいるとも、あらゆる情報があり、わからない。現在の焦点はトラボラだ」と述べており、空振りに終わる恐れもある。

[毎日新聞12月15日] ( 2001-12-15-18:49


ビンラディン氏:米軍が家族からDNA標本入手 遺体特定目的

 【北米総局】米ABCテレビはこのほど、米軍がアフガン東部トラボラで捕捉作戦を展開中のウサマ・ビンラディン氏について、同氏が戦闘で死亡した場合、遺体を特定するため、同氏の家族からDNA標本を入手したと伝えた。

 ビンラディン氏は容貌が似た複数の影武者が存在すると伝えられ、米軍の爆弾などで死亡した場合、本人であることをどう証明するかが焦点の一つとみられていた。

 一方、米中東軍のフランクス司令官は14日の記者会見で、ビンラディン氏やアルカイダ幹部を生け捕りにした場合の拘置場所として、(1)アフガン南部・カンダハル近郊にある海兵隊の最前線基地(2)海兵隊が占拠したカンダハル空港(3)アラビア海の米軍艦船――の3カ所を想定していることを明らかにした。

 ブッシュ米大統領は同日、ビンラディン氏が「死のうが生きようが、どちらでも構わない」と述べ、生け捕りにはこだわらない姿勢を示している。

[毎日新聞12月15日] ( 2001-12-15-18:49


アフガン:カブールに米大使館開設へ 英大使館報道官

 【カブール井上卓弥】在カブール英国大使館スポークスマンは15日、毎日新聞に対し、米国が週明けの17日にも当地カブールの大使館業務を再開するとの見通しを明らかにした。米国は現在、外交関係事務所をカブール北方のバグラム空軍基地に置いているが、22日のアフガニスタン暫定行政機構の発足を前に外交活動を本格再開する意向とみられる。

 消息筋によると、米大使館にはドイツ・ボンで開催されたアフガン暫定政権作りのための各派代表者会議に、米代表団を率いて交渉にあたったドビンス特使が代表として就任する見通し。

 反タリバン連合(北部同盟)の進攻後、カブールでは英仏独伊の欧州各国をはじめ、ロシア、インド、イラン、トルコなどがすでに大使館を開設。主要国の中では、アフガン各地で戦闘を続ける米国だけが大使館再開の予定を明らかにしていなかった。

 一方、同スポークスマンは欧州連合(EU)首脳理事会が14日、加盟15カ国による平和維持部隊のアフガン派遣を決めたことを受け、カブール駐留を目的とした英軍の先遣隊が15日夜にもバグラム空軍基地に到着し、16日には約150人がカブール入りすることを明らかにした。

[毎日新聞12月15日] ( 2001-12-15-18:52


(12/14)米大統領、ビンラディン・ビデオの正当性強調  

 【ワシントン14日=春原剛】ブッシュ米大統領は14日、ウサマ・ビンラディン氏による米同時テロへの関与を裏付ける証拠として公表したビデオの信憑性を疑問視する見方があることについて「あれこそが未編集のビンラディンだ」と述べ、ビデオの正当性を強調した。同氏の捕捉問題については「生死は気にしない」と語り、米軍事作戦の過程で同氏が死亡しても構わないとの考えを改めて表明した。

 ブッシュ大統領は「あれが無垢な人々を自爆テロで死に追い込み、多数の人間を殺したビンラディンだ」と指摘。その上で、米政府が公開したビデオについて「この邪悪な人間が有罪であることを決定的に示している」と述べた。ホワイトハウスの大統領執務室で記者団との質疑に応じて語った。

 大統領はアフガニスタンで米特殊部隊が進めているビンラディン氏の身柄捕捉作戦の見通しについて「時間的な制約は設けていない」と語り、「明日になるか、1カ月後になるか、1年後になるかはわからないが、必ず捕まえる」と言明した。

 イスラエル・パレスチナ情勢についてはパレスチナ自治政府のアラファト議長に対し、「今こそ行動すべき時だ」と述べ、イスラム原理主義過激派のテロ取り締まりに全力を挙げるよう求めた。

 大統領は欧州各国や中東諸国とも連携を取りながら、テロ対策でアラファト議長に一層の圧力をかける考えを強調。「(中東和平は)テロの恐怖を根絶やしにすることから始める」と指摘した上で、同議長に対し、「できることは何でもやらなければならない」と述べた。

 中東和平への仲介外交については「中東での和平を優先課題とし続けていくつもりだ」と言明。現地にとどまっているジニ特使(前中東軍司令官)らを通じ、事態沈静化に向けた調停を続ける考えを示した(日経)


アフガン:アルカイダに大量投降の動き 米軍事行動大詰めに

 【カブール・井上卓弥】米軍と反タリバン勢力がアフガニスタン東部の山岳地帯、トラボラ地区で続ける同時多発テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏捕捉作戦で15日、同氏の支援組織「アルカイダ」メンバーに投降の動きが広がった。一部にはすでに300人が投降の意思を示しているとの報道もあり、アフガン国内のアルカイダ壊滅に向けた米の軍事行動は大詰めに差し掛かった。

 米ワシントン・ポスト紙は反タリバン勢力司令官の話として、アルカイダ・メンバー300人が投降準備に入ったと伝えた。事実とすれば、14日に投降した50人に続く動きで、アルカイダ部隊崩壊への兆しと言えそうだ。

 一方、米当局はビンラディン氏の所在について確証を持っていなかったが、同日付け米紙ワシントン・タイムズ(電子版)は米当局者の話として、同氏がトラボラ地区で携帯無線でアルカイダ部隊に指令を出している様子を傍受したと伝えた。

 同紙は電子モニタリングシステムと偵察機・衛星を駆使した米特殊部隊の諜報活動を通じて傍受に成功、無線で指令中の声がすでに公開済みのビデオテープに収録されたビンラディン氏の声と一致したという。このため、米軍は同氏が依然、トラボラに潜伏中として捕捉に全力をあげている模様だ。

 これに呼応し、パキスタン軍もアフガンとの国境地帯に約300カ所の検問所を設け、国境封鎖するなど、同氏とアルカイダ部隊の逃亡阻止策を強化している。

[毎日新聞12月16日] ( 2001-12-16-01:23


アフガン攻撃:トラボラに米軍特殊部隊投入 作戦、正念場に

 【ワシントン中井良則、イスラマバード小松健一】米同時多発テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏の捕捉を目指し、米軍は14日、アフガニスタン東部トラボラの山岳地帯で続くビンラディン氏の支援組織「アルカイダ」掃討作戦の最前線に、100人以上の特殊部隊を投入、地上戦で初めて本格的な直接交戦に踏み込んだ。反タリバン勢力を前面に押し立てた従来の「代理戦争」戦略を転換したもの。米軍は事実上、「最後の戦線」と位置付けており、作戦は正念場を迎えている。

 反タリバン部族勢力の消息筋によると、アルカイダ部隊はトラボラ山系のアガム渓谷とワジリ渓谷に追い詰められているといい、同筋は毎日新聞に「トラボラ制圧は時間の問題だ」と語った。スピンガル地区にも残存兵が潜伏しているとの情報もある。

 トラボラの主要拠点を占拠した部族勢力のザマン司令官はアフガン・イスラム通信に「アルカイダはほとんど抵抗していない」と語っている。

 米メディアによると、アルカイダの勢力は300―1000人で、攻勢をかけるアフガン人勢力は2500人。米特殊部隊はデルタフォース、グリーンベレーや敵の急襲・捕捉を任務とする海軍部隊、海兵隊狙撃チームなど100人以上が展開しているとみられる。アフガン人の各部隊ごとに少なくとも5人の米兵が支援、英国の特殊部隊も加わっているとの情報がある。

 米特殊部隊はこれまで、反タリバン勢力の「軍事顧問」や、地上からレーザーを使い、米軍機の攻撃を誘導するのが中心だった。だが、今回のトラボラ作戦ではアフガン人を当てにせず、ビンラディン氏の発見・拘束に向け、危険が大きい戦闘の主導権を取っている模様だ。

 トラボラにビンラディン氏がいる根拠について、米軍筋は(1)アルカイダ兵の抵抗が大きい(2)ビンラディン氏の目撃情報(3)アルカイダ内部の無線傍聴――などを理由にあげた。同氏がアルカイダ部隊に無線で指示を出しているのを傍受したとの報道もある。イスラム教のラマダン(断食月)中、アラブ・イスラム諸国の反発を考慮せざるを得なかった米軍はアフガンで15日、ラマダンが終了したのを機に、攻撃を一層、激化させるとみられる。

[毎日新聞12月16日] ( 2001-12-16-00:47


アフガン:多国籍部隊の派遣、依然不透明 安保理決議に至らず

 【ニューヨーク上村幸治】国連のアフガニスタン問題の責任者、ブラヒミ事務総長特別代表は14日、国連安保理で現地情勢を報告した後に会見し、アフガン暫定政権作りに向けた作業は順調に進んでいると表明した。だが、暫定政権が発足する22日までに多国籍部隊が展開できるのかという質問に「わからない」と答えた。安保理は多国籍部隊の派遣を承認する意向だったが、この日は決議にいたらず、部隊派遣の先行きが依然、不透明な情勢が浮き彫りとなった。

 北部同盟のファヒム国防相が、カブールに派遣される多国籍部隊を1000人規模に限定するべきと伝えたことについては「(深刻な)問題にはならないと思う」と述べ、部隊展開までに北部同盟と派遣国の調整が可能だとの見方を示した。多国籍部隊の規模については、派遣主体となる欧州諸国が「治安維持などの任務を達成するために必要」として、3000人〜4000人規模の部隊を見込んでいる。

 ブラヒミ特別代表はまた、「来週には再びカブールに戻り、数週間滞在する」と述べ、今後も各派代表の暫定政権作りを手助けしていく意向を示した。 

[毎日新聞12月15日] ( 2001-12-15-19:07


アルカイダの拠点制圧 反タリバン勢力 一部敗走兵の追撃

 【イスラマバード小松健一】アフガニスタン東部の山岳地帯トラボラに残存するウサマ・ビンラディン氏のテロ組織「アルカイダ」部隊の掃討作戦にあたっている反タリバン部族勢力のザマン司令官は16日、現地の報道陣に「アルカイダの最後の拠点(トラボラ)を制圧した」と語った。アルカイダ部隊は戦闘で多くの犠牲者を出し、一部がトラボラの拠点から敗走を続けている。ビンラディン氏の居場所については依然として不明で、米特殊部隊と部族勢力は敗走するアルカイダ部隊の追撃とビンラディン氏の捕そく作戦を続けている。 

 現地の消息筋が毎日新聞に伝えたところでは、アルカイダが立てこもっていたトラボラ山系のアガム渓谷、ワジル渓谷に部族勢力が進軍したが、既にアルカイダ兵の姿はなく、兵士は両渓谷の尾根を越えて、別の山岳地帯に逃れたという。

 ザマン司令官は、米軍や部族勢力の攻撃で、これまでに約200人のアルカイダ兵が死亡し、25人を捕虜にしたことを明らかにした。ビンラディン氏の所在については「トラボラから逃走した」と述べた。

 一方、アルカイダ部隊は、既にトラボラの他の東部山岳地帯に分散した可能性があり、15日には山岳地帯から逃れたとみられるアラブ人31人がパキスタンに越境し、当局に身柄を拘束された。

[毎日新聞12月17日


米国防長官、アフガンのバグラム空軍基地に到着

 【カブール井上卓弥】旧ソ連諸国を歴訪中のラムズフェルド米国防長官は16日、アフガニスタンの首都カブール郊外にあるバグラム空軍基地に到着した。米高官のアフガン訪問はアフガン攻撃の開始以来、初めて。長官は、ウサマ・ビンラディン氏の拘束作戦が重大局面を迎えたことを踏まえ、急きょアフガン訪問を決めたとの見方もある。

 長官はバグラム空軍基地で、駐留している米英両国の部隊に演説する。また、アフガン暫定行政機構の議長(首相)に就任するハミド・カルザイ氏と会談する予定。

 長官の訪問地は当初アゼルバイジャン、アルメニア、グルジアなどとされ、出発時にはアフガン訪問は発表されていなかった。

[毎日新聞12月17日


トラボラのアルカイダに攻撃続行 米軍と部族勢力

 【イスラマバード小松健一】アフガニスタン東部の山岳地帯トラボラに残存するウサマ・ビンラディン氏のテロ組織「アルカイダ」部隊に対して、米軍と反タリバン部族勢力の攻撃は16日も続いた。アルカイダ部隊が投降交渉を求めているとの情報もあるが、部族勢力のザマン司令官の側近は毎日新聞に対して「逃走のための時間稼ぎの可能性が高い」と述べ、トラボラ制圧に向けた戦闘を継続する方針を明らかにした。 

 ハズラト・アリ司令官は現地の報道陣に対して16日、トラボラのアルカイダ残存兵力は300人前後とみられ、「50〜60人のアルカイダ兵の遺体を発見した」と述べ、アルカイダ側の死者は相当数に上っているとの見方を示した。アルカイダ部隊は部族勢力と米特殊部隊に挟撃されており、南のパキスタン側に山伝いで向かう退路も空爆で封鎖されている。

 一方、現地消息筋によると、アルカイダ部隊はトラボラ一帯に散り散りになっている可能性があり、15日にはトラボラ近辺からパキスタン領内に逃れてきたとみられるアラブ人31人が逮捕された。

 ビンラディン氏の所在については、米軍は無線傍受によってトラボラの洞くつにいるとみているが、16日付のパキスタン紙ジャングは複数の外交筋の話として「イランに逃れた」と報じた。

[毎日新聞12月17日


米国防長官、アフガン訪問 暫定行政機構のカルザイ議長と会談

 【カブール井上卓弥】旧ソ連諸国を歴訪中のラムズフェルド米国防長官は16日、アフガニスタンの首都カブール郊外にあるバグラム空軍基地に到着した。米高官のアフガン訪問はアフガン攻撃の開始以来、初めて。同長官は、アフガン暫定行政機構の議長(首相)に就任するハミド・カルザイ氏と会談し「我々の軍事攻撃は、アフガニスタンの人々を敵にしたものではない。我々の敵はテロリストだ」と強調した。

 さらに長官は「我々はアフガンの領土が欲しいわけでもない。この国からテロリストを排除することだけを考えている」と述べた。これに対してカルザイ氏は「米国が、テロとタリバンに対する戦いを支援してくれたことに感謝している」などと答えた。

 またバグラム空軍基地に駐留している米英両国の部隊を前に「トラボラの洞くつは(空爆で)燃えている」などと激励した。

 同長官のアフガン訪問は、ウサマ・ビンラディン氏の拘束作戦が重大局面を迎えたことを踏まえ、急きょ決めたとの見方もある。長官の訪問地は当初アゼルバイジャン、アルメニア、グルジアなどとされ、出発時にはアフガン訪問は発表されていなかった。

[毎日新聞12月17日


ビンラディン:米大統領「軍事作戦進み、拘束は時間の問題」

 【ワシントン布施広】ブッシュ米大統領は17日、アフガニスタンでの軍事作戦が「驚くべき進展」を遂げたと記者団に語り、パキスタンの側面支援を得てウサマ・ビンラディン氏を探し出す意向を表明、潜伏を続ける同氏を拘束して裁判にかけるのは「時間の問題」との見解を示した。

 大統領は「ビンラディンは裁きにかけられようとしている」と述べ、捜索が大詰めを迎えたことを示唆する一方、「それは、あすかもしれないし、1カ月以内、1年以内かもしれない」と含みを持たせた。

 大統領はさらに、ビンラディン氏や「アルカイダ」の戦闘員捜索に関して「パキスタンが米国を援助してくれるだろう」と述べ、国境地帯で包囲態勢を強化する方針を表明、「彼(ビンラディン氏)は隠れ通せると思っているが、それは不可能だ」と強調した。

 米当局者によると、アフガン東部のトラボラはほぼ制圧したが、逃走したアルカイダの戦闘員約2000人が、なお抵抗を続ける構えをみせている。統合参謀本部のスタッフルビーム副作戦部長は、一帯には「数知れない洞くつがある」と指摘、転々と拠点を変える戦闘員を探し出すのは、「犬のノミを探すようなものだ」と語った。

[毎日新聞12月18日] ( 2001-12-18-10:32


アフガン:狭まるオマル師包囲網 カンダハル北西に潜伏か

 【イスラマバード中坪央暁】アフガニスタン南部のカンダハルからタリバンが撤退後、所在不明となっているタリバン最高指導者、オマル師について、アフガニスタン南部のパシュトゥン部族勢力関係者は18日、毎日新聞に対し、「カンダハル西隣のヘルマンド州の山岳地帯に潜伏しており、反タリバン部隊が追跡中だ」と述べた。オマル師側兵士と交戦が始まっているといい、オマル師包囲網は狭まりつつあるようだ。 

 オマル師が潜伏中とみられるのは、カンダハル北西の山岳地帯に位置するヘルマンド州北部のバグラン付近。洞くつが多数存在する。部族勢力の有力指導者側近は、カンダハルを統治するグル・アガ氏配下の約250人の部隊が18日午後、オマル師側兵士と交戦していると述べた。同師を護衛する兵士は400〜500人とも言われる。

 パキスタン軍情報機関筋は「オマル師はウサマ・ビンラディン氏の支援組織アルカイダと連絡を取っていない」と語り、オマル師はビンラディン氏の所在を知らない可能性が高い。

 また、カンダハルの反タリバン情報筋によると、同師側近だったハフィズ・マジド司令官は、身の安全と米軍に引き渡さないことを条件に投降の意思を示し、親族を使者に立てて交渉中だ。マジド司令官はオマル師と離れてカンダハル郊外にいる模様で、同師捕そくを避ける陽動作戦の可能性もある。

 一方、アフガニスタン東部・山岳地帯トラボラ周辺では米特殊部隊と反タリバン部族勢力が18日も、洞くつの捜索を続行し、ビンラディン氏や敗走したアルカイダ兵の行方を追っている。部族勢力はこれまでに40人以上のアルカイダ兵を捕虜にし、同氏の居場所について尋問を行っている。

[毎日新聞12月18日] ( 2001-12-18-23:26


アフガン:多国籍部隊、5000人規模受け入れ合意

 【カブール井上卓弥】カブールからの複数の報道によると、22日に発足するアフガニスタン暫定政権の国防省筋は18日、アフガンで治安維持活動などにあたる多国籍部隊の規模について、5000人の受け入れ方針を決めたことを明らかにした。同部隊については、英国軍を主体に数千人が見込まれており、部隊派遣に向けた動きに弾みが付くものとみられる。

 同筋はまた、多国籍部隊の展開候補地として、カブールをはじめ、北部マザリシャリフや南部カンダハルなどに通じる主要な高速道路を挙げた。

 タリバン政権の崩壊過程で主導的な役割を果たした北部同盟は当初、多国籍部隊の規模や任務について限定的にすべきと主張。暫定政権の国防相に就任するファヒム北部同盟国防相は先に「多国籍部隊は1000人規模に限定すべきだ」としていた。だが、その後、ラムズフェルド米国防長官や英軍と協議し、合意にこぎつけたものとみられる。

[毎日新聞12月18日] ( 2001-12-18-23:30



米軍、空爆は当面停止 洞くつ捜索を本格化

 【ワシントン布施広】米統合参謀本部のスタッフルビーム作戦副部長は17日、アフガニスタン東部トラボラ地区をほぼ制圧したことを受け、米軍の空爆を当面停止し、米軍特殊部隊と反タリバン勢力が一帯の洞くつや地下施設の捜索を本格的に始めたことを明らかにした。また米軍は投降したアルカイダの戦闘員3人を米艦に収容した。

 米当局者によると、逃走したアルカイダの戦闘員が、なお抵抗を続ける構えを見せている。副部長は、一帯には「数知れない洞くつがある」と指摘、戦闘員を探し出すのは「犬のノミを探すようなものだ」と語った。

 米ABCテレビによると、米軍はパキスタン国境地帯にも特殊部隊を派遣、同国への脱出をめざすアルカイダ戦闘員を挟み撃ちにする態勢を取ったという。

[毎日新聞12月19日


アタ容疑者とイラク情報部員の接触を否定 チェコ警察当局

 英紙「デーリー・テレグラフ」のインターネット版が18日付で報じたところによると、チェコ警察当局は17日、米同時多発テロの実行犯の主犯格、モハメド・アタ容疑者がプラハでイラクの情報部員と接触していたとの証拠はなかったと発表した。

 アタ容疑者がイラク関係者と接触していた可能性については当初、チェコや米国のメディアによって報じらていたが、チェコのグロス内相はその後、アタ容疑者が今年4月にプラハでアルアニ・イラク大使館二等書記官(当時)と接触していたことを示す証拠をチェコの対諜報機関がつかんでいると記者団に語っていた。アルアニ書記官はイラクの情報部員であると指摘され、チェコ当局は同月下旬、同書記官を国外追放処分としていた。

 しかし、チェコ警察のコラー長官は17日、アタ容疑者が今年プラハを訪問したことを示す書類はなかったと述べた。同警察のスポークスマンによると、アタ容疑者は昨年5月と6月の2回、プラハを訪れていた記録が残っているという。

 アタ容疑者が偽造書類を使ってチェコに入国した可能性について、グロス内相は、指名手配されていない時点で「偽名を使って訪問する理由が何ら見当たらない」と述べ、「彼はドイツにいたときは『合法的』な存在だった」ことを指摘した。

 一方、チェコのハベル大統領は今月初め、アタ容疑者がプラハでイラクの情報部員と接触した可能性はわずか「70%だ」と述べていた。(了


アフガン女性大臣が米政府に支援を要請

 【ワシントン布施広】22日発足するアフガニスタン暫定政権の女性問題担当相に選ばれたシマ・サマルさん(44)は17日、ワシントン市内で講演し、米政府に対し、アフガンに女性大使を送ることや、アフガン復興資金の75%を分担するよう求めたことを明らかにした。

 75%とする根拠や具体的な金額は明らかにしなかったが、「少なくとも(米軍が落とした)爆弾と同じ金額にすべきだ」と述べ、アフガニスタン攻撃で破壊された建物などは、米国の費用で再建すべきだと考えていることを示唆した。

 米国は、アフガン復興は米国以外の国が主体になるべきだと主張、日本や欧州の支援に期待している。アフガンの閣僚候補が米国の支援に期待したことは、費用負担をめぐる国際的な駆け引きに微妙な影響を与えそうだ。

 また、サマルさんはパウエル国務長官に対し、タリバン政権下で教育など様々な差別を受けた女性の地位向上を目指し、女性大使を送るよう要請したと述べた。パウエル長官は「女性大使の派遣は確約できない」としながらも、高い地位の女性外交官を送り込むと語ったという。

 さらに、タリバン政権下と同様、女性の服装規制が厳しいサウジアラビアなどの国に対し「イスラム自体はヘジャブ(女性のベール)の色やスタイルを規定していない。サウジ政府(の規制)は、イスラムではなく同国の法によるものだ」との見解を示した。

 内科医のサマルさんはカルザイ首相(議長)を補佐する副議長の1人で、少数派のハザラ人とされる。暫定政権には、サマルさんを含め2人の女性閣僚が参加する。

[毎日新聞12月19日


インド、国会襲撃事件にパキスタン軍情報機関が関与と非難

 【イスラマバード春日孝之】インドのアドバニ内相は18日、ニューデリーで13日に起きた国会襲撃事件でパキスタン軍情報機関(ISI)が関与していたとして厳しく非難した。事件に関する政府としての初めての公式声明で、敵対関係にあるインド、パキスタンの緊張が一層、強まる情勢だ。

 内相は「テロはインドの政治指導部一掃を狙ったもので、過去20年間、パキスタンがインド国内で行った最も大胆かつ警戒を抱かせる行為だ」と述べた。

 内相によると、事件は、ISIが支援する二つのイスラム武装組織「ラシャカレ・タイバ」と「ジャイシ・モハマド」が共謀して実行したという。

 事件後、インドが「テロ基地攻撃」を名目にカシミールのパキスタン支配地域に侵攻するのでは、との報道も流れている。これに対し、パキスタンは事件を非難すると同時に、関与疑惑を否定している。

 内相が指摘した「ジャイシ・モハマド」は、米軍が掃討を進めるアフガニスタンのタリバン勢力に大量の援軍を派遣、ウサマ・ビンラディン氏の支援組織「アルカイダ」との関連も指摘されている。

[毎日新聞12月19日


アルカイダ:パキスタン領内でも攻撃 米と秘密協定

 【ワシントン布施広】米ABCテレビは19日、ウサマ・ビンラディン氏の組織「アルカイダ」の戦闘員らが、アフガニスタンからパキスタン領内に逃げ込んだ場合、米軍がパキスタンの許可を得て攻撃できるとの秘密協定を米・パキスタン両国が結んだと報じた。これが事実とすれば、米軍の攻撃範囲はパキスタンにも広がることになる。

 同テレビによると、米軍は衛星や偵察機でパキスタン国境地帯を監視しており、アルカイダの戦闘員を発見した場合、パキスタン当局の許可を得て、航空機からの攻撃や陸上での捕捉作戦を展開できる。これまで米軍は、パキスタン領内に逃れた戦闘員拘束は、同国に委ねる方針とみられていた。

 アフガン東部トラボラ近郊では、極寒の山を越えてパキスタンへ脱出するアルカイダの戦闘員が相次ぎ、パキスタン当局はこれまでに数百人を拘束したが、拘束を逃れて潜伏を続ける戦闘員も多いものとみられている。

 一方、ビンラディン氏の所在について同テレビは、反タリバン勢力の捕虜となった戦闘員が「同氏は2週間前に演説した後、(トラボラを)立ち去った」と語ったと報じた。反タリバン勢力の指揮官が明らかにしたもので、この指揮官は「同氏はヒゲを剃ってパキスタンへ逃げたとも聞いたが、誰も確かなことは知らない」と語ったという。

[毎日新聞12月20日] ( 2001-12-20-18:23


パキスタン大統領:中国を公式訪問 アフガン復興など議論へ

 【北京・浦松丈二】パキスタンのムシャラフ大統領が20日、5日間の中国公式訪問のため北京入りし、江沢民国家主席と会談する。両首脳はアフガニスタン復興協力などを巡って意見交換、南西アジア情勢の激変後も両国の友好関係維持を確認する見通しだ。ムシャラフ氏が大統領として訪中するのは初めて。

 大統領は米同時多発テロ直後に「全面協力パートナーシップ」を結ぶ友好国・中国への訪問希望を表明。中国も1000万元(約1億5000万円)の緊急援助を発表、11月に王毅外務次官を派遣してテロ対応を協議するなど関係強化を図ってきた。

 両首脳は会談を前に相手国メディアと会見。江主席は、アフガン情勢に関する両国の連携を「公正で合理的な問題解決に建設的な役割を発揮してきた」と評価した。南西アジア地域で米国の影響力突出をけん制する狙いがあるとみられる。

 大統領も「パキスタンは反テロ活動で積極的な役割を果たすことができる」と表明している。

[毎日新聞12月20日] ( 2001-12-20-19:52


アフガン義勇兵:反逆罪で起訴すべきか 米国で議論広がる

 【ワシントン中井良則】アフガニスタンのタリバンに義勇兵として参加し、米軍が拘束、尋問しているジョン・ウォーカー氏(20)を反逆罪で起訴すべきか米国で議論が広がっている。容疑罪名はブッシュ大統領が決定する重要テーマになっており、イスラム教に改宗した若者の行動を「若気の至り」では済まさない雰囲気になっている。

 CNNテレビは19日、ウォーカー氏が投降した直後の12月2日にインタビューした映像を放送した。アフガンに入国した同氏がアラビア語が話せるためアラブ人部隊に移った経過などを説明。「ムスリムは必要な場合、ほかのムスリムを殺せる」と述べ、イスラムの聖戦を支持する立場を明確にした。

 積極的にタリバンに加わったことを認め、アルカイダとも関係があったとみられるため、反逆罪適用論が出ている。反逆罪は米憲法で「合衆国に戦争を起こすか、敵に援助と助力を与えて加担する」と規定され最高刑は死刑。一方、タリバンに加わった今年5月ごろは、米国はタリバンとの戦争を考えてもいなかったから反逆罪は無理という反論もある。

 さらに、憲法で米国民に保障されている「弁護人の援助を受ける権利」が認められていないと家族が抗議し、問題が広がった。フライシャー大統領報道官は19日、「武力紛争で米国に敵対して戦い、戦場で拘束された者としてジュネーブ条約に基づき正当に扱っている」と説明した。

[毎日新聞12月20日] ( 2001-12-20-18:42


アフガン復興:NGOも参加し 事務レベル会合

 【ブリュッセル森忠彦】1月に東京で開かれる閣僚級のアフガニスタン復興国際会議に向けた事務レベル会合が20日、2日間の日程でブリュッセルの欧州連合(EU)ビルで始まった。共同議長を務める日本からは大島正太郎外務審議官、黒田東彦(はるひこ)財務官らが出席、支援の姿勢を打ち出す。

 国連や世界銀行のほか、アフガンで難民保護や食糧支援の実績のある非政府組織(NGO)約40機関も参加。22日に発足するアフガン暫定行政機構などへの総合的な経済支援策を話し合う。

[毎日新聞12月20日] ( 2001-12-20-19:27


アフガン:早急に多国籍部隊派遣を 女性代表団がNYで会見

 【ニューヨーク上村幸治】アフガニスタンの女性の地位向上を求めるアフガン女性代表団が20日、ニューヨークで会見し、現地の治安維持のため多国籍部隊を早急に派遣するよう訴えた。

 ブリュッセルで7日、アフガン女性サミットを開いた同国の元キャスター、大学教授らで構成された代表団の一人、アフガニスタン女性革命協会のサハ・サバさんは「アフガンでは今も、多くの勢力が武器を持って対立している。多国籍部隊に早急に展開してもらい、現地を非武装化して欲しい」と述べた。

 また、民間団体「平和のためのアフガン芸術計画」のレイラ・セラジ代表も「平和なしに我が国の復興はない」と多国籍部隊駐留を支持した。

[毎日新聞12月21日] ( 2001-12-21-18:58


アフガン:避難民164人が肺炎などで死亡 WHO

 【ジュネーブ大木俊治】世界保健機関(WHO)は20日、アフガニスタン北部クンドゥースの国内避難民キャンプでこれまでに肺炎などの疾患で164人の住民が死亡したことを明らかにした。WHOはこのほか西部のヘラートや南部のカンダハル、スピンブルダックなども、避難民の間で結核がまん延するなど深刻な状態にあるとして、治療薬の供給を急ぐ方針を表明した。

 WHOによると、クンドゥースの避難民キャンプで死亡した患者の大半は、肺炎など呼吸器系の伝染性疾患が原因。死亡患者の多くは子供だという。死者数がどの時点から数えたものかは明確ではないが、米軍による空爆開始後、医薬品の供給が滞っていることや、冬の寒さが死者数の増加につながっているとみて、アフガン全土への医療支援を強化する考えだ。

[毎日新聞12月21日] ( 2001-12-21-18:54


ビンラディン氏:ビデオにテロ実行犯の名前 アラビア語翻訳者

 【ワシントン布施広】同時多発テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏が同事件について語ったビデオの中で、実行犯のリーダー格とされるモハメド・アタ容疑者以外の複数のテロ実行犯の名前を挙げていたことが20日、明らかになった。アラビア語の翻訳に当たった専門家、ジョージ・マイケル氏がAP通信に語った。

 ビデオは国防総省が13日に公開したが、マイケル氏によると、公開のための翻訳は、約12時間という「厳しい時間的制約」の中で行われた。同氏はさらにビデオの音声を聞き直し、より詳細な翻訳を19日に国防総省に提出したという。

 同氏によると、ビンラディン氏はビデオの中でテロ実行犯のナワク・アルハムジ、サレム・アルハムジ、ワイル・アルシェハリら「多くの名前」を挙げ、「神が彼らの行動を受け入れますよう」と語っていた。その他の名前は明らかにされなかった。

 米メディアは、ビンラディン氏が多くの実行犯の名前を挙げていることで、ビデオの証拠能力はさらに高まったと報じている。

[毎日新聞12月21日] ( 2001-12-21-18:35


米国:イラク攻撃の観測強まる ニューズウィーク誌など報道

 【ワシントン布施広】アフガニスタンでの軍事行動が峠を越す中、米軍が「テロとの戦争」の第2幕としてイラクを攻撃するとの観測が強まってきた。24日発売の米誌ニューズウィークは、ブッシュ政権が対イラク軍事行動の方針を固め、計10万人以上の地上軍を動員すると報じた。しかしパウエル国務長官らは慎重な態度を保っており、しかもイラクが国連の大量破壊兵器査察に応じた場合は、軍事行動の大義名分がなくなる。米国が実際にイラク攻撃に踏み切るかどうかは流動的な情勢だ。

 ニューズウィーク誌によると、米政府はイラクのフセイン政権を倒す方針を固め、「いつイラクを攻撃するか」に重点が移りつつある。米統合参謀本部は、イラクの南北に各5万人の米軍を配備し、イラク中央部(バグダッド地域)に二つの部隊を送るシナリオを検討しているという。

 具体的には、クウェートとトルコに地上軍を配備し、特殊部隊をバグダッドに投入する計画とみられ、トルコのエチェビット首相が来年1月に訪米して対イラク攻撃について米政府と協議するという。トルコは従来、域内が不安定化する懸念からフセイン政権打倒には難色を示しており、賛成に転じたかどうかは明らかでない。

 また20日付の米保守系紙ワシントン・タイムズも、空爆と大規模地上軍による攻撃と、イラク反体制派の側面支援を組み合わせた攻撃計画が進行中だと報じた。しかしパウエル長官は21日付ワシントン・ポスト紙との会見で、アフガニスタン攻撃の作戦を直ちにイラクに適用することはできないと指摘しており、既にイラク攻撃の方針が固まったとの報道には疑問もつきまとう。

 米国内では、パウエル長官らがイラク攻撃に慎重、ウルフォウィッツ国防副長官らが積極的とされる。米議会では民主党のダシュル上院院内総務が「現時点のイラク攻撃は誤り」と断言しており、イラク攻撃の是非をめぐる国論は分裂状態。アフガン攻撃を支援した欧州諸国やロシアも、イラク攻撃には反対に回る可能性がある。

 さらに、イラクはこれまで査察の受け入れと拒否を使い分けてきただけに、攻撃の理由を失わせるために突然、査察受け入れを宣言することもあり得る。イラク攻撃の政治的環境が整ったとは言いがたく、しきりに流れる「攻撃計画」は、イラクに査察を受諾させる威かくとの見方も根強い。

[毎日新聞12月24日] ( 2001-12-24-19:31


海上自衛隊:アフガンから帰港した米艦の入港支援 横須賀

 海上自衛隊は24日朝、アフガニスタンへの軍事作戦から米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)に帰港したミサイル・フリゲート艦ゲアリー(排水量4100トン)の入港支援を行った。テロ対策特別措置法に基づく米軍への港湾支援で、海自が米軍に対し、国内で支援を行ったのは初めて。

 ゲアリーが同基地3号バースに接岸する際、海自横須賀地方隊横須賀警備隊所属の引き船YT74(排水量260トン)1隻が、ゲアリーの右舷後方に船首をつけて押した。

 海自横須賀地方総監部は「在日米海軍の要請に基づき支援を行った。初めてのことだが、十分な調整を行い、効率的に支援できた」と話した。ゲアリーのマイケル・オルムステッド艦長(42)は「海自の支援で30〜40分早く接岸できた」と謝意を表した。 【田上昇】

[毎日新聞12月24日] ( 2001-12-24-18:25


米国:景気対策は急がず、ブッシュ大統領が方針転換

 【ワシントン逸見義行】米議会で景気対策法案の協議が難航し、成立の越年が確定したが、ブッシュ米大統領はこのほど、「景気動向を見ながら(景気対策を)検討する」と述べ、成立を急がない方針に転換した。

 下院では、減税中心に5年間で2140億ドル(約27兆7000億円)に上る景気対策修正法案を共和党主導で可決。ところが、上院で主導権を握る民主党が「失業対策が不十分で、金持ちや大企業を優遇しすぎだ」と下院案を批判し、上院の審議入りを拒否したことから、景気対策協議は迷走を続けている。

 共和党のハスタート下院議長は「大統領が、早期とりまとめを目指し、議員に対し、来年1月2日からの協議再開を電話で呼びかけるべきだ」と主張したが、大統領は21日、「電話をするつもりはない」とこの提案を一蹴。その結果、景気対策は宙に浮いた状態が続いている。

 大統領が方針転換した背景には、来年半ば以降、景気は急回復するとの楽観論が米国内に浮上してきたことがある。さらに、来年秋の中間選挙をにらんだ政治的駆け引きの色合いもうかがえる。

 しかし、今年に入ってからの急速な追加利下げで、金融政策での対応余地が少ないことも事実。「財政による景気対策の遅れは、景気の腰折れを招く」との懸念は依然として根強い。

[毎日新聞12月24日] ( 2001-12-24-19:37


12/23)アフガン暫定政権が初閣議・国内治安維持策を中心に

  【イスラマバード23日=吉野蔵一】アフガニスタンの暫定行政機構は23日、首都カブールの大統領府で初閣議を開いた。カルザイ議長(首相)は閣議後、報道機関に対し「主要議題は国内の治安維持だ」と説明。女性の権利拡大策や教育制度の確立などイスラム原理主義勢力タリバン政権下の抑圧対象だった社会政策の進め方も協議されたもようだ。(日経)


12/23)タリバンのザイーフ元駐パキスタン大使が亡命  

 【イスラマバード23日共同】ロイター通信によると、タリバンのザイーフ元駐パキスタン大使(34)が23日、パキスタンに政治亡命を求めていることを明らかにした。

 元大使はパキスタン西部クエッタで同通信の取材に応じ「亡命を申請した。パキスタン政府の回答を待っている」と述べた。

 亡命申請の理由について「アフガンに帰国するのには適切な時期ではないと思う」と説明した。一方で、亡命は一時的なものと指摘、将来の帰国の可能性は排除しなかった。

 元大使は9月の米中枢同時テロ後、タリバン政権の立場を表明するスポークスマン役を果たし、メディアに度々登場した。

 報道は、パキスタン政府がタリバン関係者の国外追放の方針を打ち出していることなどから、元大使の亡命を認めるのは困難だとの見通しを伝えている。(日経)


賞賛される男性」でブッシュ大統領が史上最高 ケネディ氏を超える

 【ワシントン中井良則】26日に発表されたギャロップ社などの世論調査によると、「最も称賛する男性」の問いに39%が「ブッシュ米大統領」と答え、1948年にこの質問が始まって以来、最高の支持となった。これまでの最高は、ケネディ大統領が政権最初の年の61年末に得た32%だった。同時多発テロ後の愛国心の高まりを反映し、ブッシュ大統領は「戦時大統領」として国民の高い支持を集めている。

 「最も称賛する男性」調査ではパウエル国務長官5%、ジュリアーニ・ニューヨーク市長4%が大統領に続いた。「最も称賛する女性」でも、ローラ・ブッシュ大統領夫人が12%で1位になった。

 昨年の調査では、クリントン大統領(当時)とローマ法王ヨハネパウロ2世が各6%で1位を分け合った。ブッシュ氏は5%だった。

 キャンプデービッドの大統領山荘で22日からクリスマス休暇を過ごしていた大統領は26日、テキサス州クローフォードの自宅兼農場に移った。1月6日まで計2週間の冬休みを予定している。

[毎日新聞12月28日


米海兵隊の投入見合わせ、洞くつ捜索の危険大と判断

 【ニューヨーク27日共同】27日付の米紙ニューヨーク・タイムズによると、米軍は海兵隊を投入して行う予定だったアフガニスタン東部の山岳地帯トラボラにある洞くつでのウサマ・ビンラディン氏やテロ組織アルカイダ幹部の捜索を当面、見合わせることを決めた。捜索は引き続き地元勢力の手にゆだねる。米政府当局者が26日明らかにした。

 ラムズフェルド米国防長官は21日の会見で、捜索活動のためにトラボラの山岳地帯に海兵隊を主体に米兵数百人を派遣すると表明した。しかし、同紙によると、米軍は、洞くつ内の捜索作戦の危険性が大きいとして今週中にも開始予定だった海兵隊の展開を当面、見合わせることを決めた。

 洞くつの捜索は、これまで地元勢力と50人前後の米特殊部隊が協力しながら実施してきた。今後は、地元勢力への武器、防寒服や資金などの見返り措置を強化、捜索に本腰を入れるよう要請する。


アフガン攻撃:空爆停止に応じず ブッシュ米大統領

 【ワシントン佐藤千矢子】ブッシュ米大統領は28日、休暇先のテキサス州クロフォードで、アフガニスタン暫定政権が空爆を停止するよう要求していることに関連して、米軍のアフガン駐留が「かなり長期間にわたる」との見通しを示し、空爆停止や撤退には応じない考えを表明した。記者団の質問に答えた。

 大統領は「我々にはやるべきことが沢山ある。私が『忍耐強くなる必要がある』と言った意味を米国人は理解しなければならない。我々がいつ去るか正確にはわからないが、任務が完了するまではない」と述べた。

 ウサマ・ビンラディン氏の所在については「彼は逃走中だ。どこにいるかわからない」としながらも、「彼を捕まえる。時間の問題だ」と拘束への意欲を強調した。

[毎日新聞12月29日] ( 2001-12-29-18:26


NY株:2年連続下落 ダウ23年ぶり、ナスダック27年ぶり

 【ワシントン逸見義行】28日のニューヨーク株式市場は、ダウ工業株30種平均株価が前日終値比5・68ドル高の1万136・99ドルと9月の同時多発テロ以来の高値を更新し、8月28日以来、4カ月ぶりの高水準で取引を終えた。ハイテク銘柄の多い店頭市場のナスダック総合指数も同比10・84ポイント高の1987・26で取引を終えた。来年の景気回復期待が買い材料だが、「過大な楽観論が目立つ。回復力は弱い」(米大手銀行)との慎重論も消えていない。

 年内は31日の取引を残すだけで、年末の株価を比較する年間の変動率は、ダウが昨年とほぼ同じ約6%減、ナスダックが昨年の39・3%減よりは下落率が減少するものの、約20%減の大幅減になりそうだ。2年連続の下落は、ダウが78年以来、23年ぶり、ナスダックも74年以来、27年ぶり。情報技術(IT)バブルの崩壊の深刻さを反映している。

 今年は9月11日の同時多発テロの影響で、4日間も取引停止になる異常事態となり、取引開始からわずか5日間でダウが14・3%、ナスダックが16・1%も急落した。しかし、その後の回復の動きや、テロに対する報復攻撃の推移などから、どちらの指数もテロ以前の水準に戻った。

 年末が近づくにつれ、「3月から始まった10年ぶりの景気後退は短期で終わる。来年半ばまでには回復が確実で、来年は強気相場が復活する」との楽観論が市場で広まり、株価は底堅い展開が続いている。28日発表された12月の消費者信頼感指数も、は6カ月ぶりに上昇に転じた。

 しかし、大和総研アメリカの鈴木誠・アナリストは「設備投資の回復は来年は望み薄。企業収益の急速な回復は期待できず、現在の株価は少しはしゃぎすぎ」と慎重な見方を崩していない。

 テロ後に自動車業界が採用したゼロ金利ローンが、予定通り来年1月で終了すると、好調だった自動車販売が急減するおそれがある。世界経済が同時不況の様相を示していることが、米経済の回復の足かせになる懸念も指摘されている。

 「市場は景気回復力を過大評価しすぎだ。来年も年間で若干のマイナスになる」(JPモルガン・チェースのアナリスト、メルマン氏)と、3年連続の下落を予想する悲観論も一部にはある。

[毎日新聞12月29日] ( 2001-12-29-19:10


ビンラディン氏、今も生存・パキスタン紙報道

 【イスラマバード29日共同】29日付のパキスタン英字紙ドーンは、アフガニスタンからパキスタンに越境して拘束されたアルカイダ兵が米連邦捜査局(FBI)の尋問に対し、ウサマ・ビンラディン氏が現在もアフガン国内で生存していると供述したと報じた。

 FBIに協力しているパキスタン情報筋の話として同紙が伝えたところでは、FBIのチームは同国北部コハトの刑務所に収容されているアルカイダ兵のうち幹部とみられる25人を集中的に尋問。ビンラディン氏の行方について「トラボラの激しい空爆を生き延び、アフガン国内にいる」と供述しているという。

 アルカイダ兵はまた、アフガン国内には今でも、アルカイダの部隊6000-7000人がいるとし、壊滅は不可能と主張している。