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米パ首脳会談:北部同盟の首都進撃に難色 対パ経済支援を約束
ブッシュ米大統領とムシャラフ・パキスタン大統領は10日、ニューヨークで初めて会談し、アフガニスタンの反タリバン勢力、北部同盟の首都カブール進撃は支持しないとの認識で一致した。
会談後の記者会見でブッシュ大統領は、パキスタンに対し10億ドルを超える経済支援実施を表明した。
北部同盟のカブール進撃へのけん制は、タリバンと密接な関係を持つパキスタンに米国が配慮を見せた形だが、北部同盟側からは反発も予想される。
会談後の記者会見でブッシュ大統領は「われわれの友人(北部同盟軍)が南に進撃していることには勇気づけられるが、カブールに入ることは含まない」と言明。ムシャラフ大統領も「北部同盟はカブールに入るべきではない」と述べ、突入した場合は異なる民族間で残虐行為が繰り返される懸念を指摘した。
両大統領は会談後「タリバン政権とテロ組織アルカイダを排除するため、テロに対する全世界的な協調が必要」などとする共同声明を発表した。
声明は「アフガンの安定は、国連の支援による多数、多民族を代表する政権によってもたらされる」と和平達成には国連の役割が重要としている。またミサイル、大量破壊兵器の世界的拡散にも懸念を表明した。
米政府当局者によると、ブッシュ大統領が表明した経済支援は、無償援助や債務繰り延べのほかに、国際通貨基金(IMF)などを通じた融資や、パキスタン製品の対米輸出促進策などを含んでいる。(ニューヨーク共同】
[毎日新聞11月11日] ( 2001-11-11-12:14 )
アフガン情勢:マザリシャリフに治安要員展開へ 北部同盟
アフガニスタン北部の要衝マザリシャリフを制圧した反タリバン勢力、北部同盟のドスタム将軍は10日、同市のラジオと会見し「兵士には24時間以内に街を出発するよう命じた」と述べ、11日にも同将軍の部隊が別の前線へ転戦することを明らかにした。
マザリシャリフには部隊の代わりに、治安維持要員300人が入るという。
将軍によると、マザリシャリフ攻略戦は約5日前に開始され、当初はダライスフ、ケシェンデなど同市南方のタリバン拠点を制圧。マザリシャリフ市街への攻撃は9日午後4時(日本時間同8時半)ごろ開始され、約6時間の戦闘で陥落させたという。
[毎日新聞11月11日] ( 2001-11-11-09:49 )
ビンラディン氏:同時テロ認めるビデオ 英紙報道
11日付の英日曜紙サンデー・テレグラフは、ウサマ・ビンラディン氏がアフガニスタンの山岳地帯で10月末に撮影した極秘ビデオで、米中枢同時テロの実行を初めて事実上認めたと1面トップで報じた。
ビンラディン氏はビデオの中で、ブッシュ米大統領とブレア英首相は「力しか理解できない」などと批判し、初めて米英首脳の命を狙う発言をしたという。同紙はさらに、ビンラディン氏が日本、ドイツ、オーストラリアなどに対しても、テロ攻撃の対象になる恐れをほのめかして、米英による武力行動に関与しないよう警告したとしている。(ロンドン共同)
[毎日新聞11月11日] ( 2001-11-11-10:33
同時テロ:「攻撃は正当だった」 ビンラディン氏認めるビデオ
【ロンドン岸本卓也】英日曜紙サンデー・テレグラフは11日、米同時多発テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏が自分たちの組織の仕業であることを認めたビデオを入手したと報じた。米英両政府は14日に同氏の事件への関与を裏付ける新証拠としてビデオの内容を公表するという。
同紙が中東方面で入手したというビンラディン氏の肉声ビデオは、10月末にアフガニスタンの山中で撮影された。これまで同氏のビデオを流してきたカタールの放送局「アルジャジーラ」は放映しておらず、同紙は限られた支援者に向けて作成した可能性を指摘している。
ビデオの中でビンラディン氏は世界貿易センタービルを「世界を虐げる米国の経済力を支援する人々の建物で、攻撃対象として正当だった」と述べ、犠牲になった市民について「米国の経済力を支える人々は無実の市民ではない」と持論を展開したという。
また、同氏は「我々が仕返しのために相手を殺すことをテロと呼ぶならば、我々はテロリストだ。市民を殺すかも知れないが、それは宗教的にも論理的にも正当だ。テロにも良いテロと悪いテロがあり、我々のやっていることは良いテロだ」と主張したという。
9月のテロ事件以降にビンラディン氏が公開したビデオは4本ある。同氏が「我々」や「私」という言葉を使って事件への関与を認めたのは初めて。これまで同氏は事件の実行犯を「彼ら」という表現を使っていた。
[毎日新聞11月12日] ( 2001-11-12-09:48
マザリシャリフを陥落で米軍の地上作戦正念場に
【ワシントン吉田弘之】反タリバン連合(北部同盟)が9日、アフガニスタン北部のマザリシャリフを陥落したことは、タリバン政権に軍事、心理両面で打撃を与えただけでなく、長期化する空爆が「戦果を上げていない」とする米国内外の不満を和らげる効果がある。しかし米軍が同市を軍事拠点として使用するまでタリバン軍による反撃も予想され、米軍の地上作戦は正念場を迎える。
パウエル米国務長官は9日、米ABCテレビのインタビューに「空軍力が決定的な力を発揮した」とマザリシャリフ陥落で米軍の戦略の正しさを強調した。
ラムズフェルド国防長官は空爆の長期化について、ウサマ・ビンラディン氏とその支援組織「アルカイダ」の壊滅がアフガン攻撃の目標とし、記者会見のたびに国民に忍耐を求めてきた。こうした経緯から、米軍の空爆支援を背景としてたマザリシャリフの陥落は、米軍にとって大きな「目に見える戦果」となり米国内の世論に応える結果となった。
また、ブッシュ大統領は今月中旬に始まるラマダン(イスラム教徒断食月)期間中も空爆を続行すると断言してきたが、パキスタンなどイスラム諸国からアフガン攻撃の早期終結を望む声が強まっていただけに、一定の戦果を上げる必要に迫らていたわけだ。
今後の焦点はタリバン軍の反撃があるかどうかだ。マザリシャリフに近いウズベキスタンの基地などからの「陸の橋」を築く場合、補給路の安全が欠かせない。
米統合参謀本部のスタブルビーム作戦副部長は9日の記者会見で「さらなる安全確保が必要になる」と述べ、そのために一定規模の地上軍の派遣の必要性を示唆したが、タリバン軍の戦力分析を含め慎重な対応が迫られる。
[毎日新聞11月10日
アフガン:北部大半の州を制圧 西部へ進撃 北部同盟
【イスラマバード福原直樹、澤田克己】アフガニスタンの反タリバン連合(北部同盟)は11日、北部の大半の州を制圧した。さらに西部の主要都市ヘラートに向け進撃している模様だ。北部同盟は、首都カブールへの進攻の可能性を排除していないが、米国が難色を示しているため、自制しているとみられる。一方、タリバン政権側は、「戦略的撤退」だと主張。山岳地帯で組織を立て直し、ゲリラ戦を展開する可能性も出ている。
北部同盟のナディーム広報官が11日、前線から衛星電話で毎日新聞に語ったところでは、タリバンが3月に仏教遺跡を破壊したバーミヤンのほか、北部タハル州の州都タロカン、バドギス州の州都カライナウなど北・中西部の要衝を制圧、北部の主要都市クンドースも包囲した。また、カブール北方約30キロ付近では、主力の戦車部隊が「国防相からの攻撃命令を待っている状況」で、態勢が整ったことを明言した。
北部同盟のアブドラ外相は「全土の半分を制圧した。タリバンは主要部隊を失った」と主張。カブール北方で部隊を増強していることを認めたが「タリバン政権崩壊後について広範な政治的合意ができるまでカブールに入らない」と述べ、首都制圧を自制していることを明らかにした。
ラムズフェルド米国防長官は11日、北部の要衝マザリシャリフが北部同盟の「実効支配下にある」と初めて認めたが、首都制圧には地上軍が不十分との見方を示した。
一方、タリバン系のアフガン・イスラム通信などによると、タロカン陥落でタリバン兵200人が死亡。カライナウではタリバン側は反撃せず投降した。北部のサマンガン州、ジョウジャン州からもタリバン勢力が撤退したが「今後の戦略のため、戦力を構成中」という。当地の軍事専門家は、「タリバン側は一時撤退し、山岳地方や北部同盟の陣地内でのゲリラ戦に方向を転じた可能性が高い」と指摘している。
[毎日新聞11月12日] ( 2001-11-12-11:34
(11/12)米国防総省、タジキスタンの空港使用決定
【ワシントン12日=共同】米国防総省は12日、タジキスタンが米軍に使用を認めた3空軍基地の少なくとも1カ所をアフガニスタン攻撃に使用する方針を決めた。AP通信が伝えた。
国防総省筋によると、米軍は今回のアフガン空爆の出撃拠点としてアラビア海に展開中の空母を使用している。だが、アフガニスタンと国境を接するタジキスタンに爆撃機を配備すれば作戦能力が強化される。
米軍専門家が現地を調査した結果、少なくとも1カ所の空軍基地が米軍の使用条件を満たした。
アフガン:北部同盟の首都制圧は支持せず 米・パキ両大統領
【ニューヨーク布施広】ブッシュ米大統領とムシャラフ・パキスタン大統領は10日、国連総会出席のため訪問中のニューヨークで初めて会談した。会談後の共同会見で両首脳は、アフガニスタンの反タリバン連合(北部同盟)による首都カブール制圧を支持しないと表明した。またブッシュ大統領は総額10億ドルを超える対パキスタン経済支援を表明し、パキスタンは共同声明の中でタリバン政権との「決別」を明確に打ち出した。
共同会見でブッシュ大統領は「我々の友人(北部同盟)が南へ進撃することを支援するが、カブールは別だ」と述べた。ムシャラフ大統領も「全面的な同意」を表明し、89年の旧ソ連軍撤退後にカブールに入った各派が内紛や残虐行為を続けた経緯を踏まえて「北部同盟がカブールを制圧すれば、同じようなことが起きる」と指摘した。
パキスタンは、インドとの関係が深い北部同盟への不信感が強い。ブッシュ大統領はパキスタンの立場を配慮したものとみられるが、北部同盟による制圧を避けつつカブールを解放する具体的方法には言及しなかった。北部同盟も首都制圧回避に同意したとの情報もあるが、関係国との間で明確な戦略合意が成立するかどうかは微妙だ。
一方、両首脳は共同声明の中で、タリバン政権とウサマ・ビンラディン氏の組織「アルカイダ」の掃討に協力することを確認、パキスタンはタリバン政権と明確に決別した。また米国は02年の選挙でパキスタンが民政復帰を果たすことを前提として同国との関係強化を打ち出し、ムシャラフ大統領は両国関係が「新たな時代」に入ったことを宣言した。
米国の対パキスタン経済支援は、アフガン難民対策、国境地帯の安全措置、テロ対策などに対するもの。米当局者によると、10億ドルを超える支援のうち約6億ドルは既に支援を約束している。
[毎日新聞11月12日] ( 2001-11-12-10:23
アフガン攻撃:北部同盟が歓喜
【イスラマバード支局】イスラマバード発ロイター通信は、カブール滞在中の通信員の話として、13日早朝、反タリバン連合(北部同盟)の兵士が、先に暗殺されたマスード将軍の写真を付けた車で市内に進攻し、「我々はカブールを取った」と歓喜の叫びを上げていると伝えた。
[毎日新聞11月13日] ( 2001-11-13-12:11
アフガン攻撃:タリバン軍 カブール放棄か
【イスラマバード支局】AP通信によると、反タリバン連合(北部同盟)軍が13日、カブール市内に進入し始めた。目撃者によると、兵士はトラックの荷台に乗り、自動小銃やロケット砲などで武装しているがタリバン軍との交戦はしていないという。
同市内では周囲の丘陵部から銃声が聞こえるが、夜明け前までいたタリバン兵士が姿を消しているという。12日夜から、タリバン軍の車両がカブールから南に向けて走り去っていくのが目撃されたという。
カブールにいるAFP通信の記者も北部同盟軍がカブールに進入したと伝えた。
[毎日新聞11月13日] ( 2001-11-13-11:36 )
旅客機墜落:「邦人被害の情報なし」
田中真紀子外相は13日の閣議後会見で、アメリカン航空機墜落に伴う邦人被害について「乗客名簿(リスト)はまだ明らかでないが、日本人は現段階ではいないという報告を受けている」と述べ、邦人被害の情報は入っていないことを明らかにした。同日朝の段階で外務省は「墜落現場付近に居住していた邦人はおらず、邦人が被害を受けたという情報はない」(対策本部)としている。ニューヨーク総領事館が墜落機への日本人搭乗をアメリカン航空に確認したが「まだ完全なリストがない。リストが出来次第連絡したい」との回答があったという。
一方、田中外相は同日朝、パウエル米国務長官に電話し、墜落へのお見舞いを伝えた。外相が「これは事故か、テロか」と尋ねたのに対し、パウエル長官は「現段階ではテロリズムではない。事故であると思っている」と語った。
[毎日新聞11月13日] ( 2001-11-13-10:59
旅客機墜落:エンジン故障が原因の見方強まる
【ニューヨーク斗ケ沢秀俊】アメリカン航空587便のエアバスA300の墜落原因は、12日午後の現場検証や目撃証言などから、機体のエンジン故障が原因との見方が強まっている。
587便は米ゼネラル・エレクトリック(GE)社製のエンジン「CF6」を使っている。アメリカン航空によると、左エンジンは総点検したばかり。右エンジンは運航時間が約1万時間で、近く点検する予定だった。
GE社は84年以降、CF6エンジンを約3000個製造し、1000機を超える旅客機に使われている。同社は「信頼性の高いエンジン」だとしている。
しかし、AP通信によると、89年に米アイオワ州で墜落したユナイテッド航空機の事故は、CF6エンジンの金属部分の破裂を伴う故障が原因とみられている。また、今年5月にはモナコ航空機で、エンジンの回転翼が折れ、機体が振動するトラブルがあったという。
地上に落ちたエンジンの周辺には、金属破片が散らばっていた。また、目撃者の多くが「大きな爆発音がした」と証言している。このため、国家運輸安全委員会(NTSB)や航空機専門家は「金属部分が破裂するエンジン故障があったのではないか」との見方を強めている。
[毎日新聞11月13日] ( 2001-11-13-11:14
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【ニューヨーク上村幸治】アメリカン航空機墜落の知らせは、同じニューヨークの国連本部にも伝わった。世界各国の首脳が集まり総会を開催中で、建物が一時封鎖される騒ぎとなった。
国連は、同機の墜落直後に館内放送でこれを緊急に報じ、「テロを警戒して、すべての車両と関係者の出入りを禁止する」と伝えた。 安保理のテロ問題討議外相会議では、出席したアナン国連事務総長と各国外相の全員が立ち上がり、犠牲者に弔意を示した。 |
北部同盟がカブール入り、政府建物を占拠
【イスラマバード13日=高橋一文】アフガニスタンからの報道によると、反タリバン勢力「北部同盟」は13日朝、首都カブール市内に入った。タリバン兵の姿は見られず市内で交戦はなかったもよう。ロイター通信によると北部同盟軍は政府ビルなどを占拠した。カブールが陥落すれば、北部同盟はアフガン全土の半分以上を事実上支配することになる。
AFP通信は目撃者の話として、北部同盟の兵士50-60人がカブール北部から四輪駆動車などで市内に入ったと伝えた。AP通信などは同日夜明けごろからタリバン軍の車列が南部に向かったと伝えており、タリバン軍はカブールから撤退したとみられる。
カブール市内では囚人が脱獄、タリバンの事務所などで略奪も始まっているという。
ロイター通信によると、カブール入りした北部同盟の兵士は「我々は主要な政府ビルを占拠した。タリバン軍を西方に追いかけている」と述べた。タリバン軍は本拠地カンダハルに向けて脱出したものとみられる。
日経平均前引け、10月10日以来の1万円割れ
【NQN】13日前場の東京株式市場で日経平均株価は続落。前引けは前日比118円36銭(1.17%)安の9963円20銭と10月10日以来ほぼ1カ月ぶりに1万円の大台を割り込んだ。米旅客機の墜落を受けて米国株相場が下落したことを受け、朝方から売りが先行した。東証株価指数(TOPIX)も続落し、午前中の安値で引けた。
米国株安を手掛かりに朝方から先物主導で下げる展開となった。現物に裁定解消の売り物が出ると機関投資家や証券会社の自己売買部門から先物のヘッジ売りを誘い、下げを加速した。不良債権問題の先行き不透明感からこの日も銀行株が下落。みずほHDが節目となる30万円を割り込んだことなども地合いを悪くした。東証株価指数の業種別指数で銀行は218.19と前日に付けた安値を下回っている。また、米国向け輸出の減少による業績悪化に対する不安から電機や精密、自動車株に機関投資家の戻り待ちの売りが出た。建設、食品、流通、通信などの内需関連株にもさえない銘柄が目立った。
■北部同盟が首都カブール入り ほぼ5年ぶりの奪回
【イスラマバード13日=共同】アフガニスタンのタリバン軍は十三日朝までに、首都カブールから撤退、反タリバン勢力の北部同盟の部隊がカブール中心部に入り、タリバン政権の政府の機関が入った建物を占拠した。AP、ロイター通信が伝えた。北部同盟は一九九六年九月にタリバンに首都を制圧されて以来、ほぼ五年ぶりに奪回した。アフガニスタン情勢は重大な局面を迎えた。目撃者によると、タリバン軍は十二日夜から撤退を開始。ホテルの屋上からタリバン軍の車列が南部に向かうのが見えた。
市内を見下ろす丘から散発的な銃声が聞こえるものの、市内の道路からタリバン兵士の姿は消え、市内での戦闘はないもよう。略奪が発生しており、住民によると、囚人の脱獄も起きているという。
北部同盟のアブドラ外相は十二日の記者会見で、カブール市内では、タリバン政権の高官や家族、重火器を伴った軍部隊が、タリバンの本拠地カンダハルに向け集団で脱出していることを明らかにしていた。
外相によると、北部同盟軍は十二日に開始した首都カブールへの二方面からの進撃作戦で、カブール北方の六キロと二十キロの地点まで進軍。タリバンは大きな抵抗を見せないまま撤退、千人前後の兵士が投降した。同盟側は六千人の兵力と戦車、重火器を前線に展開していた。(産経)
アフガン攻撃:北部同盟がカブール制圧
アフガニスタンの首都カブールから13日、タリバン軍が姿を消し、反タリバン連合(北部同盟)軍が進入して制圧した。タリバン軍は長期戦を見越して戦略的撤退を選んだものとみられる。しかし「力の空白」状態を嫌う米国、パキスタンなどの反対にもかかわらず、北部同盟が首都の支配権を握ったことの意味は重い。アフガン情勢をめぐる今後の国際社会の動きは流動化しそうだ。
[毎日新聞11月13日] ( 2001-11-13-12:14
タリバン、カンダハルで激戦 攻防戦ヤマ場に
【イスラマバード井田純】アフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバンは14日、南部の本拠地カンダハルや北部クンドーズなど残る支配地域で、反タリバン連合(北部同盟)と激しい戦闘を展開した。カンダハル周辺では、地元のパシュトゥン系反タリバン武装勢力が蜂起し、空港を制圧したとの情報もある一方で多数のタリバン側が展開しているともいう。これまで各地で撤退を繰り返してきたタリバンは、兵力の相当部分を温存していると見られ、攻防戦はヤマ場にかかっている。
北部同盟幹部によると、アフガン北部に残るタリバン支配地域のクンドーズでも、北部同盟側が攻勢を強め、14日にはパキスタン人イスラム義勇兵を含むタリバン兵の集団を包囲した。同幹部は、タリバン側に相当数の死者が出ていると証言している。
カンダハルについても同幹部らは「近く陥落する」としている。しかしロイター通信がタリバン側の情報として伝えたところによると、カンダハルには4万〜5万人のタリバン兵が展開しており、同市の攻防がこれまでで最大規模の戦闘になる可能性がある。
北部同盟幹部などの証言では、アフガンの約30州のうち、タリバン側の支配地域は5州前後になった。
一方、タリバン系のアフガン・イスラム通信によると、タリバンは北部タハル州で北部同盟軍に反撃し、双方に死傷者が出た模様だ。
またタリバンのスポークスマンは14日、「最高指導者オマル師、ウサマ・ビンラディン氏もアフガン領内で無事だ」と語った。同スポークスマンは「ビンラディン氏を米国に引き渡すつもりはない」とこれまでの主張を繰り返し、抗戦継続の姿勢を強調している。
[毎日新聞11月15日
人道目的で地上部隊を数千人増派――英首相
【ロンドン岸本卓也】ブレア英首相は14日、国会での答弁でアフガニスタンのタリバン政権が「全面的に崩壊した」との判断を示し、国連主導の暫定政権が発足する過程での人道援助を目的に英軍地上部隊数千人を今週末から増派することを明らかにした。首相によると、国連、欧州連合(EU)などの代表が16日にもアフガンで暫定政権交渉を開始するという。
首相は首都カブールを撤退したタリバン勢力について「上級司令官らが離反し、支援者が消滅しつつある。退却が戦略的であるというタリバン側の主張は偽りだ」と述べた。首相は「厳しい圧制から解放されて自由が戻ろうとしている。早く南部地域の人々もタリバン掃討に立ち上がるべきだ」と呼びかけた。
首相は「タリバンが退却した地域に北隣のタジキスタンやウズベキスタンから援助物資を運ぶ安全な回廊が必要だ」と指摘した。英軍は既に数百人の特殊部隊を派遣しているが、増派される数千人の兵士は人道援助物資の補給に欠かせない空港や道路の補修整備と地雷撤去が主な任務になる。
また米同時多発テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏やテロ組織アルカイダのメンバーの追跡について、首相は「彼らにとって隠れる場所も手助けする人も少なくなった」と拘束が近いことを示唆した。
[毎日新聞11月15日
NATOは人道援助物資輸送が中心
【ブリュッセル森忠彦】北大西洋条約機構(NATO)は14日の大使級理事会でタリバン政権後のアフガニスタン情勢を討議し、共同活動は人道援助物資などの輸送を中心とした支援にとどめる方針で一致した。
NATOは、米同時多発テロ後に「集団的自衛権」を発動したが、アフガン攻撃参加について共同活動とはせず、各国の判断に委ねている。アフガンが欧州から離れていることから、NATO軍としての長期派遣には慎重な国が目立つ。
支援活動は国連の委託を受け物資や難民、現地で活動する職員らの輸送などになる見通しだ。
[毎日新聞11月15日
米特殊部隊、タリバン拘束の8人を救出
【ワシントン中井良則】米政府当局者は14日、アフガニスタンのタリバン政権に3か月間、逮捕されていた人道支援団体職員の外国人8人を米軍特殊部隊が同日、救出したことを明らかにした。8人は米軍ヘリコプターでパキスタンに到着した。8人はカブールから撤退するタリバン軍が13日、南部に連行したと伝えられ、安否が気遣われていた。
米国防総省によると、14日午後4時40分(米東部時間)、特殊部隊のヘリ3機がカブールの南西80キロのガンジで8人を救出した。救出作戦の詳細は明らかでない。
8人はドイツ人4人、米国人2人、オーストラリア人2人。ドイツのキリスト教支援団体に所属し、アフガニスタンで人道支援に当たっていたが、イスラムからキリスト教への改宗を勧めているとの容疑で8月3日逮捕された。米軍の空爆開始後、裁判は無期限に延期されていた。
[毎日新聞11月15日
北部同盟がタリバン支援の義勇兵を虐殺 イスラム原理主義勢力は反発
12日、アフガン北部のタロカンで捕虜になったパキスタン義勇兵を連行する北部同盟兵士(右)=AP |
【イスラマバード澤田克己】アフガニスタン・反タリバン連合(北部同盟)が支配下に置いた地域で、タリバンを支援してきたパキスタンやアラブ諸国の義勇兵も迫害の対象になっている模様だ。パキスタンのイスラム原理主義勢力はこれに強く反発しており、ゲリラ戦を展開するタリバンへの支援をさらに強めることが予想される。
北部同盟のアハマッド広報官によると、アフガン北部マザリシャリフを制圧した北部同盟は10日、市内の学校に立てこもっていたパキスタンとアラブ諸国からの義勇兵700人を攻撃し、大部分を殺害した。パキスタンのイスラム原理主義勢力幹部は毎日新聞に対し「犠牲者の数は特定できないが、北部同盟は各地で虐殺を行っている」と語る。
軍事筋によると、カブールには現在も、パキスタン人義勇兵数百人が数グループに分かれて潜んでいるという。
アフガンでは92年の共産政権崩壊後、内戦の中で虐殺事件が相次いだ。激しい攻防戦が行われたカブールでは市民ら数万人以上が犠牲になった。タリバンが国土の大半を支配していった過程でも、数千人規模の虐殺が行われたと言われている。アフガン情勢に詳しいパキスタン紙記者は「現在の状況は内戦の時と全く同じだ」と語り、「報復の悪循環」の再来を懸念している。
[毎日新聞11月15日
カブール爆撃の様子をレポート アルジャジーラ特派員
【カイロ小倉孝保】米軍による爆撃を受けたカタールの衛星テレビ「アルジャジーラ」のカブール事務所のタイシール・アローニ特派員は14日、北部同盟がカブールに入った時の状況をパキスタン国境の町から電話で伝えた。
同特派員によると、12日深夜から13日未明にかけて、タリバン軍は無線で「すぐにカブールから出るよう」と各兵士に連絡した。これを傍受した同テレビスタッフ全員が事務所の建物から出た直後、米軍機からの爆撃を受けた。
その後、逃走するタリバン兵士や親タリバン住民に対する市民の略奪が起こり、テレビスタッフも市民に取り囲まれ、金や車、衣類などを奪われたという。特派員は「生命の危険を感じながらパキスタン国境までたどり着いた」と語った。
一方、米軍の同事務所爆撃について、米国防総省は事実を認め「誤爆だった。原因については調査する」とテレビ側に説明したという。
[毎日新聞11月15日
北部同盟、ユニセフの人道支援物資運搬トラックを連行 6人不明
イスラマバードのユニセフ(国連児童基金)当局者が13日明らかにしたところによると、アフガニスタン北部のマザリシャリフで10日、人道支援物資を積んだユニセフのトラック10台と運転要員14人が北部同盟の拠点に連行された。
車8台と要員8人はその後解放されたが、車2台と6人が行方不明になっている。同当局者はうち2人が殺されたとの情報があるが、未確認だと語った。
ユニセフのトラックは、北部同盟が9日にマザリシャリフを制圧した後、パキスタンのペシャワルから同市に入った。(ニューヨーク共同)
[毎日新聞11月15日
タリバン:「政権は崩壊した」 米政府として認識 副大統領
【ワシントン吉田弘之】チェイニー米副大統領は14日、米CBSテレビのインタビューで「タリバン政権は崩壊した」と語った。米政府としてタリバンが崩壊したとの認識を示したのは初めて。米統合参謀本部のスタッフルビーム作戦副部長も14日の記者会見で、アフガニスタンのタリバン軍が南部カンダハルを含む同国全土の支配都市を放棄しつつあることを明らかにし、こうした見方を裏付けた。
副大統領は「タリバンは今日、ほとんどの主要都市で排撃され、もはや権力の座にない」との見解を示した上でウサマ・ビンラディン氏の行方について「反タリバン勢力の追撃で頻繁に居場所を変えている。我々は彼をいぶり出すまで追い続ける」と語った。
また、ラムズフェルド米国防長官は同日、米特殊部隊が南部の道路で検問所を設置、地上作戦を本格化していることを明らかにした。タリバン軍とアルカイダ軍の動きを止め、孤立させる作戦とみられる。
[毎日新聞11月15日] ( 2001-11-15-12:38
安保理:治安維持目的の多国籍部隊派遣を承認
【ニューヨーク上村幸治】国連安全保障理事会は14日、アフガニスタンに治安維持のため多国籍部隊を派遣することを承認する決議案を全会一致で採択した。採択と前後して、英国やフランス、トルコ、インドネシアが治安維持部隊の現地派遣を相次いで表明した。バングラデシュ、ヨルダン、ニュージーランドなども派遣の意向を伝えており、現地の状況を判断した上で、首都カブールを中心とした主要都市に展開することになる。
英仏提案の決議は、ブラヒミ国連事務総長特別代表(アフガン問題担当)のアフガンでの活動を「全面的に支持する」と確認し、タリバン支配下でなくなった地域の「治安と安全」の確保を加盟各国に促した。
ブラヒミ代表はすでに安保理で、タリバン政権崩壊後の新政権構想を発表し、タリバン部隊が撤退した地域に国際治安部隊の派遣を検討するよう求めていた。安保理決議は、新政権構想と治安部隊派遣の両方を承認したことになる。
ネグロポンテ米国連大使は決議採択後に「これで現地に展開している米英部隊が治安維持活動を行うことが承認された」と述べた。
決議は当初、16日採択の予定だったが、タリバン政権崩壊など事態急変を受け、繰り上げ採択になった。
多国籍部隊の構成、指揮系統などは未定だ。各国部隊はアフガン入り後、米国などの指揮下に入る可能性もある。
[毎日新聞11月15日] ( 2001-11-15-11:52 )
北部同盟:クンドースでも攻勢 大量のタリバン兵を包囲
【イスラマバード井田純】アフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバンは14日も南部の本拠地カンダハルや北部クンドースなど残る支配地域で、反タリバン連合(北部同盟)と激しい戦闘を続けた。
北部同盟幹部によると、アフガン北部に残るタリバン支配地域のクンドースでも北部同盟が攻勢を強め、14日はパキスタン人イスラム義勇兵を含むタリバン兵の集団を包囲した。同幹部は、タリバン側に相当数の死者が出ていると証言した。
一方、タリバン系のアフガン・イスラム通信によると、タリバンは北部タハル州で北部同盟側に反撃し、双方に死傷者が出た模様だ。
タリバンのスポークスマンは14日、「最高指導者オマル師、ウサマ・ビンラディン氏もアフガン領内で無事だ」と語った。スポークスマンは「ビンラディン氏を米国に引き渡すつもりはない」と従来の主張を繰り返し、抗戦継続の姿勢を強調している。
[毎日新聞11月15日] ( 2001-11-15-13:46
アフガン:人道援助を目的に地上部隊数千人を増派 英首相
【ロンドン岸本卓也】ブレア英首相は14日、国会での答弁で、国連主導のアフガニスタンの暫定政権が発足する過程での人道援助を目的に、英軍地上部隊数千人を今週末から増派することを明らかにした。首相によると、国連、欧州連合(EU)などの代表が16日にもアフガンで暫定政権交渉を開始するという。
首相は首都カブールを撤退したタリバン勢力について「上級司令官らが離反し、支援者が消滅しつつある。退却が戦略的であるというタリバン側の主張は偽りだ」と述べた。首相は「厳しい圧制から解放されて自由が戻ろうとしている。早く南部地域の人々もタリバン掃討に立ち上がるべきだ」と呼びかけた。
首相は「タリバンが退却した地域に北隣のタジキスタンやウズベキスタンから援助物資を運ぶ安全な回廊が必要だ」と指摘した。英軍は既に数百人の特殊部隊を派遣しているが、増派される数千人の兵士は人道援助物資の補給に欠かせない空港や道路の補修整備と地雷撤去が主な任務になる。
首相は国会で、タリバン政権が「崩壊した」との認識を示している。米同時多発テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏やテロ組織アルカイダのメンバーの追跡については「彼らが隠れる場所も手助けする人も少なくなった」と拘束が近いことを示唆した。
[毎日新聞11月15日] ( 2001-11-15-14:08 )
(11/15)カンダハル、なお攻防か・タリバンの状況巡る情報交錯
【イスラマバード15日=野沢康二】反タリバン勢力の部隊は15日、タリバンとアフガン南部の主要都市カンダハルを巡って攻防を続けているもようだ。タリバン兵が市内から退却したなどとの報道がある一方でタリバン支配が続いているとも伝えられ、カンダハルの攻防が依然、焦点になっている。
米CNNテレビなどによると、反タリバン勢力とタリバンは一進一退の攻防を続けている。タリバンの中心民族と同じパシュトゥン人の反タリバン武装勢力がカンダハルの空港を占拠し、市内に突入する準備を進めているという。ザヒル・シャー元国王派の関与で住民がほう起し、タリバン兵士が市内から逃げ出しているとの情報もある。
同時にCNNはタリバンのスポークスマンがカンダハルの支配を維持していると明言したとのカタールの衛星テレビ、アルジャズィーラの報道を紹介した。市内では銃声なども聞こえず、市場も通常通り開いていると伝えた。
カンダハルでは15日、最高指導者オマル師らタリバン政権首脳部らが、今後の戦略について協議する見通し。一方AFP通信によると、パキスタン政府筋が15日、米国の同時テロ事件の首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏がパキスタンに入国を図る可能性を考慮し、国境付近で警戒態勢を取ったことを明らかにした。
軍事審問委員会:テロ容疑者を裁く特別法廷認める 米大統領
【ワシントン佐藤千矢子】ブッシュ米大統領は外国人テロ容疑者を「軍事審問委員会」で裁くことを認める大統領令を13日に出した。ウサマ・ビンラディン氏ら「アルカイダ」メンバーの拘束に成功した場合の、裁判の受け皿を用意する意味がある。しかし、この米国独自の特別法廷は人権面で多くの問題があり、波紋が広がっている。
アシュクロフト司法長官は14日の会見で同時多発テロを「戦争犯罪」、容疑者を「戦犯」と表現し、「アフガンで捕まえたら米国へ連れて来る必要はない。合衆国憲法上の権利保護を受けるに値しない」と発言した。
大統領令によると軍事審問委は国防長官の下に設置される。対象は(1)アルカイダの現・元メンバー(2)対米国際テロに関与したり支援・教唆した者(3)これらの人物をかくまった者――など。大統領の裁量で幅広い適用が可能となっている。
判事は民間人と軍人の混成だが、性格は軍事法廷に近い。3分の2の同意で死刑や終身刑も言い渡せる。通常の裁判と違って捜査情報を秘匿しやすく、証拠の採用基準は甘い。開廷手続きも簡単で、いつ、どこでも開くことができる。
全米市民自由連合(ACLU)は「大統領の決定は、この政権が民主主義における(司法と行政の)『チェック・アンド・バランス』を守ろうとしないことを証明している」との非難声明を発表した。
[毎日新聞11月16日] ( 2001-11-16-18:25
米同時多発テロ:墜落機内の模様 テープで初めて公開
【北米総局】ここから出て行け――米ABCテレビは15日、米同時多発テロ事件で、ハイジャックされ、ペンシルベニア州に墜落したユナイテッド航空93便のコックピット内で、パイロットが犯人に激しく抵抗する様子をテープで公開、初めて肉声で伝えた。
管制塔で録音していたテープをABCが入手、放送した。テープでは、「ここから出て行け」というパイロットの声が2回聞こえた後、うなり声をあげながら激しくもみあう様子が録音されている。
その後、犯人とみられる男がなまった英語で、機内放送を通じ「私は機長だ。機内に爆弾がある。座席に座っていなさい。空港に戻る」と指示している。管制官が何度か呼びかけても、同機からは答えがなかった。
同機はワシントン方向に向かっていたが、乗客が犯人に抵抗するなどして、墜落したとみられている。
[毎日新聞11月16日] ( 2001-11-16-13:16
露米首脳会談:15日終了 米露関係は新しい段階に
ワシントンで始まり、テキサス州に舞台を移して続けられていた米露首脳会談は15日、終了した。ロシアでは、「米露関係は新しい段階に入った」と総括、米露による軍備管理時代が終わったとする見方も出ている。
ブッシュ大統領は戦略核の大幅削減を表明、プーチン大統領も3分の1以下に削減する対抗案を出した。双方は大幅削減で合意した形だ。
また、ミサイル防衛問題は「継続協議」となり、弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約からの米国の一方的脱退はなかった。技術的な理由があったともいわれるが、ともかく米国はロシアの主張を受け入れた形だ。
経済問題では、米国は対ソ連経済制裁のジャクソン・バニック法の撤廃、世界貿易機関(WTO)のロシア加盟などで好意的な発言をした。
アフガン問題では、「タリバン抜き」の新政権構想で双方が一致した。何よりも、両首脳の個人的関係が深まった。プーチン大統領は、テキサス州にある米大統領の牧場に招待された最初の外国元首だ。
その一方で、疑問もないわけではない。プーチン大統領は新しい国際安保体制の構築を呼びかけているが、ブッシュ大統領は慎重で、新しい構想はでなかった。
ブッシュ大統領の戦略核大幅削減も合意文書にはなっていない。米国の一方的声明にすぎない。
ミサイル防衛についても、米が継続協議とした裏には、必要な時には一方的に脱退宣言をするとの本音が見え隠れする。
ブッシュ大統領は対アフガン軍事作戦で協力姿勢を示したロシアに応えた。しかし、大統領の考えの根底には「国際安保を維持するのは米国だけだ」という強い信念があるのではないか。
ロシアの軍事力はソ連崩壊後、弱まる一方で、もはや軍事超大国・米国に対抗する力はない。米露で世界をコントロールする時代は終わった。ロシアの主張を聞く必要はないともいえる。
ロシアの軍事評論家、フェリゲンガウエル氏は「70年代から続いた米露の軍備管理は正式に終わりを告げた」と総括している。だが、米露軍備管理時代が終わった後の世界についてはまだ回答が出ていない。 【モスクワ石郷岡 建】
[毎日新聞11月16日] ( 2001-11-16-17:23
(11/15)英部隊がアフガン入り・多国籍軍、米は不参加
【ロンドン15日=加藤秀央】英政府は15日夜、英軍の地上部隊がアフガニスタンの首都カブールの北にあるバグラム空軍基地に入ったことを明らかにした。アフガンの治安維持を担う多国籍軍の第一陣。国連安全保障理事会は前日に多国籍軍展開を認める決議を採択したばかりで、タリバン政権が事実上崩壊したのを受け異例に迅速な派遣となった。
英メディアによると、現地入りしたのは最大で100人程度とみられ、バグラムに到着したのは現地時間15日夕(日本時間同日夜)。大規模な部隊派遣のための先遣隊で、軍用機や援助物資を積んだ商用機が離着陸できる状態かどうかを調べることなどが任務とみられる。駐留期間や武装の程度は不明。
治安維持のための多国籍軍には、英国が最終的に約4000人、カナダが約1000人の派遣準備を進め、フランスや複数のイスラム教国も派遣を表明している。
【ワシントン15日=池内新太郎】ラムズフェルド米国防長官は15日の記者会見で、アフガンの治安維持にあたる多国籍軍に米軍が参加しない方針を明らかにした。ウサマ・ビンラディン氏の追跡など本来の軍事作戦に戦力を集中する狙い。アフガン市民に根強いとされる反米感情への配慮もあるとみられる。
米政府高官は同日、アフガンの反タリバン勢力「北部同盟」がタリバン幹部数人を拘束したことを明らかにした。ロイターによるとタリバンのハッカニ国境相が含まれるが、最高指導者オマル師やビンラディン氏は含まれていない。
(11/15)米軍中東司令官、ビンラディン氏の発見に自信示す
【ワシントン15日=池内新太郎】アフガニスタンでの米軍事作戦を統括するフランクス米中東軍司令官は15日の記者会見で「我々は作戦の核心に迫る準備を整えている」と述べ、タリバン政権の事実上の崩壊を受け、ウサマ・ビンラディン氏とそのテロ組織アルカイダの掃討に本格的に着手する方針を表明した。司令官は「包囲網は狭まっている。時間の問題だ」とビンラディン氏一派の発見に自信を示した。
同時に会見したラムズフェルド国防長官も「アフガン内であろうと他の国であろうと、我々は見つけ出す」と強調した。司令官は16日に国家安全保障会議(NSC)に出席。ブッシュ大統領に今後の作戦案を説明し、対応を協議する。
アフガン攻撃:米空軍機がモスクを誤爆 負傷者は不明
【ワシントン中井良則】米国防総省は16日、アフガニスタン空爆の米空軍機が同日、アフガン東部ホストにあるモスク(イスラム教の礼拝堂)を誤って爆撃したことを明らかにした。ラマダン(断食月)の初日で、モスクにはイスラム教徒が集まっていた可能性があるが、「負傷者については分からない」という。
米中東軍の発表によると、米軍機は同日、アルカイダの施設を爆撃し、2発は命中した。3発目の爆弾が、「レーダー誘導装置の誤作動により標的を外し、近くにあるモスクに被害を与えた」という。
米軍は同日、タリバンの本拠地の南部カンダハルと、北部のクンドース周辺でも空爆を続けた。
[毎日新聞11月17日] ( 2001-11-17-12:30 )
戦争国債:米政府が第2次大戦以来の発行 名称は愛国者国債
【ワシントン逸見義行】米財務省は16日、同時多発テロによる被害の復興とテロへの報復攻撃の費用を賄うため、「戦争国債」を来月半ばに発行すると発表した。「愛国者国債(パトリオット・ボンド)」と、米国人の愛国心をくすぐる名前をつけた。売れ行きが注目される。
戦争国債は、利回りを市場の利回りより低く設定し、その差額分を国債購入者が事実上負担して、資金を国が低利で集めることができる仕組み。米政府が発行するのは、第2次世界大戦以来。
今回、発行する国債には「パトリオット・ボンド」の文字が刻まれ、額面は50ドル、75ドル、100ドル、200ドル、500ドル、1000ドル、5000ドル、1万ドルの8種類。子供でもおこづかいの一部をはたけば、購入可能で、幅広く国民から資金を集めることを狙っている。
利回りは、市場で流通している5年債の利回りの90%に設定した。購入後、6カ月後からはいつでも償還可能で、利払いは購入30年後に停止する。
金融機関やインターネット上で購入が可能。外国人も購入できる。
[毎日新聞11月17日] ( 2001-11-17-10:57 )
米鉱工業生産指数:13月連続マイナス 大恐慌以来の長期下落
【ワシントン逸見義行】米連邦準備制度理事会(FRB)が16日発表した10月の鉱工業生産指数(92年=100、季節調整済み)は前月比1・1%下落し、139・3となった。下落率は90年11月以来、約11年ぶりの大幅なもの。対前月比のマイナスは13カ月連続となり、大恐慌時代の31年5月から32年7月までの15カ月連続以来、69年3カ月ぶりの長期下落となる。
9月の同時多発テロで景気が一層悪化し、生産の停滞に歯止めがかかっていないことを示している。FRBが来月11日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、今年11回目の利下げに踏み切る可能性が強まってきた。
[毎日新聞11月17日] ( 2001-11-17-10:22 )
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アフガン攻撃:ビンラディン氏側近、空爆死か 米当局者明かす
【ワシントン中井良則】米政府当局者は16日、同時多発テロの最重要容疑者ウサマ・ビンラディン氏の側近でテロ計画の立案者とされるモハメド・アテフ副官が米軍のアフガニスタン空爆で死亡した模様だと明らかにした。日時や場所は示さなかったが、首都カブール付近での14日以降の空爆とみられる。またラムズフェルド米国防長官は断食月(ラマダン)入りした16日、米特殊部隊がアフガン南部で交戦し、「降伏しないタリバンや移動するアルカイダの兵士を殺している」と述べた。
国防長官は、反タリバン連合(北部同盟)が拘束したタリバンやアルカイダ幹部を米軍が尋問する方針を明らかにした。アフガンに入った米特殊部隊は「数百人」と述べた。
アテフ副官はエジプト人で、ビンラディン氏のテロ組織アルカイダの軍事部門の最高責任者とみられる。米紙ワシントン・ポストは先月、米英の情報当局が、副官が9月11日の同時テロの計画立案者と断定したと報じていた。今年1月、アテフ副官の娘がビンラディン氏の息子と結婚し、同氏の後継者とも言われていた。米当局者は「アテフ副官の死亡はアルカイダへの大きな打撃だ」と述べた。
◇ ◇
米軍の空爆で死亡したとみられるテロ組織、アルカイダのナンバー2、モハメド・アテフ副官は、ウサマ・ビンラディン氏と行動をともにした側近中の側近だった。スタッフルビーム米統合参謀本部作戦副部長は16日「われわれがアルカイダにたどり着けることを示し、重要だ」と死亡情報を高く評価した。
同副部長は「もし死亡が確認できれば、ビンラディンは、軍事・テロ作戦であてにしていた首席補佐官を失ったことになる。アルカイダの今後の作戦にも影響が出るだろう。米国にとってはいいことだ」と述べた。
さらに、アテフ氏が、ビンラディン氏の身辺警護責任者だった可能性にも触れ「ビンラディンは今後、自分の身に何が起こるか不安に感じているだろう」と指摘した。空爆時にビンラディン氏がアテフ氏の近くにいた可能性については「一緒にいたとの報告はない」と述べ、別行動とみていることを示唆した。
空爆した標的について「タリバンとアルカイダの司令統制施設のひとつを攻撃した。攻撃後、アテフが死亡したらしいとの情報が出てきた」と述べ、事前にアテフ氏の居場所を把握した攻撃ではなかったことをうかがわせた。
報道によると、アテフ氏は57歳前後。エジプトの警察官出身で、サダト・エジプト大統領を殺害した過激派組織「イスラム聖戦」に所属したこともあり、80年代半ばにアフガンに入った。
92、93年には、当時アルカイダの本拠があったスーダンからたびたびソマリアに入り、93年10月の米兵殺害事件に関与した疑いがある。起訴された米大使館爆破テロ事件では、容疑者とパキスタンで接触したり衛星電話で話しており、ビンラディン氏と実行グループの連絡役だったとみられている。
[毎日新聞11月17日] ( 2001-11-17-10:36
アフガン攻撃:ビンラディン氏追跡に自信 米副大統領
【ワシントン吉田弘之】タリバン政権崩壊を受け、米軍は近く同時多発テロ事件の首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏と支援組織「アルカイダ」壊滅に向け具体的な作戦立案に着手する見通しだ。米軍はビンラディン氏が依然、アフガン国内にいることを確信している模様で、チェイニー副大統領は14日、米CBSテレビで「彼(ビンラディン氏)が安全だと考えている場所は48時間、もしくは72時間後には安全ではなくなっている」と述べ、追跡作戦に強い自信を示した。
トミー・フランクス米中東軍司令官などは現在の戦況を詳細に検討した上で、今後、本来の標的であるビンラディン氏と「アルカイダ」メンバーが隠れる山岳部の洞窟やトンネルなどの爆撃に限定するものとみられる。 このため、イスラム教の重要な宗教行事ラマダン(断食月)前後を境に空爆が減少する可能性が大きい。洞窟の空爆には、地中貫通爆弾(バンカーバスター)と呼ばれる地中深くで爆発する強力な爆弾に加え、爆発に伴い洞窟内を高熱化する気化爆弾を使用、隠れ家をつぶして行くことでアルカイダを追い詰める作戦とみられる。
米軍はすでに南部の要所で米特殊部隊による検問所を設置。タリバン軍とアルカイダの移動を阻止することで両軍の孤立化を狙っている。
一方、米軍がアフガン国内にビンラディン氏がいることを確信している背景には、ビンラディン氏が発見される危険を犯してまで現段階で国外脱出する理由が見当たらないためだ。
米軍にとって最大の朗報は、南部カンダハル、ジャララバード付近の複数のタリバンの拠点で、タリバンに反発するパシュトゥン人勢力が武装蜂起したことだ。また、相当数のタリバン兵が投降しており、南部の情報に精通しているパシュトゥン人勢力の協力や投降兵の事情聴取などを通じ、ビンラディン氏の居場所の手がかりを得るとみられる。そのうえで特殊部隊を展開し掃討作戦に出る可能性が大きい。
[毎日新聞11月15日] ( 2001-11-15-21:50 )
アフガン攻撃:フランスが戦闘機派遣決定 掃討作戦に参加へ
【パリ福島良典】フランスのシラク大統領は16日、テレビ・ラジオ演説で、アフガニスタンに対する米国の軍事行動への追加支援策として戦闘機派遣を決めたと発表した。これまで仏軍の任務は主に情報、兵たん分野に限られていたが、今後、米同時多発テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏とテロ組織アルカイダを掃討する攻撃に加わるとみられる。
シラク大統領はアフガン情勢について「テロ支援体制は崩壊したが、危機はまだ解決されていない。軍事行動はビンラディンが無力化されるまで続く」と強調した。
フランスは米国への軍事支援としてこれまでに兵員約2000人を投入、フリゲート、補給艦、偵察機、空中給油機などを派遣している。
[毎日新聞11月17日] ( 2001-11-17-10:16 )
アルカイダ最高幹部、アテフ氏の死亡確認・米国防長官
【ワシントン16日=池内新太郎】ラムズフェルド米国防長官は16日、訪問先のイリノイ州で記者会見し、ウサマ・ビンラディン氏のテロ組織「アルカイダ」の最高幹部ムハマド・アテフ氏が米軍の空爆で死亡したとの情報について「私が受けた報告は信頼に足るものだ」と事実上確認した。パキスタンなどへの逃亡説があるビンラディン氏の消息に関してはアフガン内にまだ潜伏中との見方を示した。
長官はここ数日間の捜索でアルカイダの司令部を発見、空爆に成功したことを明らかにした。アテフ氏はこれらの一連の攻撃で死亡したものとみられ、長官は「(アルカイダ幹部の)数人が死亡したと確信している」と語った。また、アフガン南部に展開する米特殊部隊が捜索の過程でタリバンやアルカイダの部隊と交戦したことを認めたが、「米側に死傷者は出ていない」と述べた。
NATO・ロシアと合同決定機関を・英首相
【ロンドン17日共同】17日付の英各紙によると、ブレア英首相は、ロシアと北大西洋条約機構(NATO)が反テロ、平和維持活動などの安全保障問題に関する「合同政策決定機関」として「ロシア北大西洋評議会」(RNAC)を来年秋までに発足させる計画を提案した。
4ページの計画文書は、プーチン・ロシア大統領やブッシュ米大統領を含むNATO加盟国首脳に送付された。ロシアとNATOは1997年に常任合同委員会を設置、冷戦後の協議の枠組みをつくっていたが「決定機関」ではなかった。9月の米中枢同時テロ後にロシアが示した米英軍への協力姿勢によってNATO側のロシアに対する信頼が強まったことが「この野心的な計画」(英高官)のきっかけで、英首相は提案の中で、来年11月にプラハで開かれるNATO首脳会議で正式発足させることを呼びかけたという。