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タリバンの通信機能打撃−−米統合参謀本部
【ワシントン布施広】米統合参謀本部のスタッフルビーム副作戦部長は10月31日、タリバン政権は米軍の攻撃で通信機能に重大な打撃を受け、最高指導者オマル師との連絡も極めて難しくなっているとの見解を示した。また米軍が北部の要衝マザリシャリフ近郊などで、B52による「じゅうたん爆撃」を行っていることを明らかにした。
副作戦部長はこれまでの空爆で「(タリバンの)指揮管制経路は遮断または機能が低下し、互いに連絡を取り合うことも非常に難しくなっている」と指摘。「彼らは(司令官の)オマル師と連絡を取ろうとしているが、それも極めて難しい」と語り、通信機能の低下がタリバンに「深刻な負担」となっているとの見方を示した。
またマザリシャリフや首都カブール近郊で、米軍が大規模空爆を加えているとの情報に対し、副作戦部長は「我々は誘導型と非誘導型の爆弾を使っている」と述べ、特定の標的を正確に破壊するピンポイント攻撃と、大型爆弾を広範囲に落とす「じゅうたん爆撃」を並行して行っていることを認めた。
じゅうたん爆撃は敵兵が広い地域に展開している場合に有効だが、誘導型爆弾ではないため、誤爆の危険性もある。
[毎日新聞11月1日]
アフガン攻撃にサウジ側が懸念−−英首相に伝える
【カイロ小倉孝保】中東歴訪中のブレア英首相は31日、サウジアラビアに到着し、同国のファハド国王、アブドラ皇太子と会談した。サウジ側は市民の被害が増えているアフガン攻撃に懸念を伝えた。
ブレア首相は会談後、「市民の被害を最小限にするよう要求があるが、我々はそう努力している」と述べた。サウジ政府当局は「我々はテロ対策では協力するが、アフガン攻撃を直ちに終了してほしい」と記者団に語った。
また、ブレア首相は「我々はアフガンの将来について、あらゆるグループが参加する形で新政権ができるよう協力していくことで一致した」と述べた。
[毎日新聞11月1日]
軍事行動の正当性主張−−英首相
【ロンドン岸本卓也】ブレア英首相は30日、英西部カーディフでの演説で「9月11日の悲惨な出来事を忘れてはならない」と米英両軍によるアフガニスタンでの軍事行動の正当性を強調した。目立った成果がないまま誤爆による市民の犠牲が増えていることから英国民の間に攻撃への疑問が高まっていることから、世論の引き締めを狙ったものだが、それだけ首相は追い込まれているとの見方も出ている。
同日付けの有力紙ガーディアンは世論調査で米英の攻撃に賛成する意見の割合が数週間で74%から62%まで落ち込んだと伝えた。演説で首相は「間違いがあったとしても、英国人はひるまない。善悪を知るモラルの高い国民であり、悪を決して許さない国民のはずだ」とテロとの戦いに賛同するように求めた。
だが、与党労働党内部でも平和主義を唱える左派を中心に攻撃の中止を求める声が高まっている。また、英政府は26日に海兵隊強襲部隊200人をアフガニスタンの地上作戦に参加させると発表したが、軍幹部が「まだ目的や目標が明確ではない」と発言、政府をあわてさせている。
[毎日新聞10月31日]
「空爆で市民1500人犠牲に」 −−タリバン大使
【イスラマバード福原直樹】タリバン政権のザイーフ駐パキスタン大使は31日記者会見し、アフガニスタンへの空爆で、一般市民の犠牲者が1500人に達したと述べ、攻撃を厳しく非難した。
同大使は22日の会見で犠牲者が1000人としていたが、その後の空爆で500人増えたと指摘。米軍が同国南部カンダハルを中心に爆撃していると述べ、殺傷力の強いクラスター(集束)爆弾を食糧貯蔵庫などに投下していると非難した。
同大使はまた、国連事務総長特別代表(アフガニスタン担当)のブラヒミ氏が11月3日の会談を希望したため、本国のタリバン政府に打診したと明らかにした。だが、(1)国連は米国の利益で動いている(2)国連は一般市民が空爆で死ぬのを見過ごしている――などとして、アフガニスタンへの入国も拒否するよう指示を受けたと述べた。
[毎日新聞10月31日]
タリバン外相、亡命意思なし
外相は、タリバンの最高指導者・オマル師が安全な所で指揮していると語った。また、外相がタリバン切り崩しに関与し亡命を図ったという一部の報道を否定した。
外相は「米国との話し合いの時期は過ぎた。我々は自分で自分を守る」と発言、米英軍のアフガン攻撃に対して徹底抗戦の方針を表明した。
[毎日新聞11月1日
「首都制圧の意図ない」ラマダン中の攻撃続行要望−−北部同盟
【ワシントン布施広】アフガニスタンの反タリバン連合(北部同盟)スポークスマンのハロン・アミン氏は31日、ワシントンで記者会見し、北部同盟には「カブール解放の意図はない」と述べ、タリバン政権崩壊後も首都を「制圧」する気はないと強調。同氏はカブールを非武装化し、暫定政権づくりを急ぐ構想を支持した。
アミン氏は、空爆だけではタリバン政権打倒や同時多発テロの重要容疑者ウサマ・ビンラディン氏の拘束は難しいとして、北部同盟への軍事支援の必要性を強調。戦車や装甲兵員輸送車、ヘリコプターなどの供与を求めた。
またアミン氏はアフガン空爆の開始以降、タリバン政権で4000〜5000人の逃亡者が出たと語り、11月中旬からのラマダン(イスラム教の断食月)期間中も米軍が攻撃を続けることを要望。「ラマダンは重要な問題ではない。タリバン自身が毎年それ(ラマダン)を破っていた」と述べた。
同氏は、ビンラディン氏の行方について、10月にアフガン中部のオルズガン州で目撃されていたと語った。目撃の状況や具体的日時は明らかにしなかった。「当時、我々は彼(ビンラディン氏)がどこにいるか具体的に言うことができた」としながら、同氏は「今は(居場所が)変わったかも知れない」と語った。
[毎日新聞11月1日]
アフガン:元国王派を処刑へ タリバンが25人逮捕
アフガン・イスラム通信(AIP)によると、アフガニスタン・タリバン政権は一日、ザヒル・シャー元国王派の活動家二十五人を逮捕、うち数人を二日中に処刑することを決定した。タリバンは十月下旬にも元国王派の有力指導者アブドル・ハク元司令官を処刑しており、元国王派の反タリバン活動を徹底的に取り締まる方針。
AIPが伝えたタリバン筋の情報によると、タリバン兵は中部ウルズガン州で一日、元国王派の有力者ハミド・カルジ氏らの隠れ家を発見、交戦の後に山岳地帯に逃げ込んだ二十五人を逮捕した。
カルジ氏は依然逃亡中。交戦の際、米国のヘリコプター四機が救出を試みたという。英BBCなどによると、カルジ氏はタリバン側の攻撃を受けたものの、いったんは撃退したとされていた。
(イスラマバード共同)
[毎日新聞11月2日] ( 2001-11-02-18:23 )
米国:オニール財務長官の更迭論が与党共和党からも浮上
【ワシントン逸見義行】就任以来、軽率な発言などが批判を浴びるオニール米財務長官の更迭論が、与党共和党からも浮上してきた。共和党提案で可決した1000億ドル(約12兆2000億円)の景気対策を「有権者受けを狙ったショービジネス」と皮肉ったことが、共和党を怒らせた。米国でも主要閣僚の資質が問題化している。
「もっと慎重でなければいけないと忠告してきた」。ロット共和党上院院内総務は、1日の会見で苦言を呈し、「(去就は)大統領が決めることだ」と擁護の言葉は最後までなかった。
テロ後のオニール長官は「テロが景気後退につながるとは思わない」「株価は来年、史上最高値を更新する」ーーなどと楽観論を振りまき、市場から「非現実的な発言」と批判を浴びた。先月30日、長官は共和党下院議員約70人に直接不満を聞く異例の場を持つなど、資質論の火消しに懸命だが、アリゾナ州選出のヘイワース下院議員は「更迭すべきだ」と公然と反旗を翻している。
アルミメーカーのトップから転身したが、経営者としてはともかく、政治センスの乏しさやうかつさは隠し難い。ブッシュ大統領にとっても頭の痛い問題になりそうだ。
[毎日新聞11月2日] ( 2001-11-02-18:21 )
タリバン政権 空爆で「50人死亡」の村を外国報道陣に公開
【イスラマバード支局】アフガニスタンのタリバン政権は1日、米軍の空爆で破壊され、子供や女性を含む約50人が死んだとされる村を外国報道陣に公開した。がれきの中には子供服や靴など生活用品が散乱、近くの平原には不発弾が落ちていた。村人は「ここには民間人しかおらず、軍事施設もない。米国は残忍だ」と口々に空爆を非難した。
ロイター通信などによると、公開された村は南部カンダハルの北約80キロにあるチャカリス村。民家は原型をとどめないほど破壊されていた。住民らの説明では、女性を中心にした村人のほとんどが死亡、がれきの下に埋まったままの遺体も多くあるという。「なぜこんな平和な村が破壊されるのかわからない」。村人の怒りは収まらない。
米国防総省は先月22日、AC130機で村を破壊したことを認めたうえで、同時多発テロ事件の首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏の組織「アルカイダ」の「協力者のキャンプになっており、正当な攻撃だった」としている。
[毎日新聞11月2日]
米国防長官が反論 攻撃効果への批判に対し
【ワシントン佐藤千矢子】ラムズフェルド米国防長官は1日、声明を発表し、アフガニスタンへの攻撃で目ざましい効果が表れていないとの批判に反論した。長官は「真珠湾攻撃から米軍による日本本土空襲までは4カ月かかった」と述べ、国民に忍耐を呼びかけた。
この日の声明は、先月29日の会見の質問で「空爆は4週目に入ったが、長官が宣言したアルカイダとタリバンを壊滅させるという任務はどちらもできていない」と指摘されたことに、改めて反論する形で出された。
この中で長官は、(1)テロ発生から1カ月たたない先月7日に軍事行動を開始した(2)今も世界貿易センター跡からは煙が立ち昇っている(3)戦争はまだ初期段階にある――などと述べた。
[毎日新聞11月2日]
米露外相会談 満足の意を表明 戦略核削減で進展か
【ワシントン布施広】1日行われたパウエル米国務長官とイワノフ・ロシア外相の米露外相会談は、戦略核弾頭の削減問題で進展があった模様で、両外相は協議に満足の意を表明した。イワノフ外相は今月中旬の首脳会談に向け、専門家が文書作成を行うと語り、協議が大詰めを迎えていることを示唆した。
外相会談は約3時間半に及び、パウエル長官は12月の訪露を約束、「首脳会談が成功することを望んでいる」と述べた。
会談では、(1)弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約の改廃とミサイル防衛の開発(2)米露の戦略核弾頭の削減(3)アフガニスタン攻撃への対応――が焦点になった。米国は現在、ABM制限条約に抵触するミサイル防衛の実験を控えており、実験実施を可能にする何らかの合意を求めている。
しかし、ロシアが条約改廃に応じる見通しは立たないため、ロシアが米国の迎撃実験を容認する代わりに、米国が条約脱退表明を控える妥協案が検討されている。一方、戦略核弾頭は米露とも大幅削減の方向で一致、削減の規模が焦点だ。双方とも3分の2ずつ削減して2000個前後にしたい米側に対し、ロシア側は各1500〜2000個までの削減を提案、首脳会談まで削減幅の調整が続きそうだ。
ライス米大統領補佐官は「特定の時期(首脳会談)に具体的な合意があるとは考えない方がいい」と述べており、首脳会談時に大枠合意が発表されるかどうかは微妙な情勢だ。
[毎日新聞11月2日]
米露声明 アフガン新政権でタリバン勢力を排除
【モスクワ石郷岡建】ロシア訪問中のアーミテージ米国務副長官は1日、トルブニコフ・ロシア外務第一次官とアフガニスタン情勢で意見交換を行った。その結果、「将来の国家権力機関にタリバン勢力の占める場所はない」とする声明を発表した。タリバン政権打倒後の新政権樹立に向けた米政府の方針が変わりつつある徴候とみられる。
共同声明は「アフガニスタンの不安定化克服に向け、内戦の包括的解決が必要。国内の広範な層を代表した新政府の樹立が不可欠」と指摘した。
また、女性の権利を含む人権および国際基準の尊重を訴えた。
さらに、声明で、米露双方は、アフガン紛争解決における国連の役割を確認し、2国間および多国間ベースの和平に向け、協力を推し進めるとうたった。
米政府はこれまでタリバン穏健派を加えた新政権樹立の構想をパキスタン政府とともに推進。一方、ロシアはイラン、インドなどとともに、タリバン勢力排除を訴え、双方の立場は対立していた。今回の声明では、タリバン穏健派勢力についての言及はなく、ロシア側の主張に歩み寄った表現となっている。
対アフガン攻撃が十分な成果を上げず、一方でタリバン切り崩しを狙った第三勢力の有力リーダーが処刑されたことなどから、米政府がタリバン勢力排除へと方針を変えつつある可能性を示すものと推測されている。
[毎日新聞11月2日]
米特殊部隊増派へ ラマダン以降も攻撃続行方針
【ワシントン布施広】ラムズフェルド米国防長官は1日、米軍特殊部隊を近くアフガニスタン領内に増派することを明らかにした。増派部隊は空爆支援や情報収集などに当たる予定で、現在100〜200人とされる領内の米軍部隊が3〜4倍に膨れ上がり、事実上の「前線基地」が大幅に増強される。またライス大統領補佐官は同日、中旬からのラマダン(断食月)以降も「休んでいる余裕はない」と述べ、アフガン攻撃を続行する方針を明確にした。米軍がアフガン攻撃に本腰を入れ始めたものとして注目される。
米軍部隊はアフガン南部と北部に駐留し、タリバン政権やウサマ・ビンラディン氏の支援組織「アルカイダ」に関する情報収集、空爆の標的選定などに従事している。米軍の空爆は、冬に向かうアフガンの悪天候により難航、地上からの標的情報が重要になっている。
また、長官は反タリバン連合(北部同盟)支援のため、武器や食糧投下を拡充する意向を表明。マイヤーズ統合参謀本部議長は、試験中の「グローバル・ホーク」など2種類の無人偵察・攻撃機の投入も検討していると語るなど、米軍は戦線のこう着状態の打開に懸命だ。
一方、ライス補佐官は、イスラム教徒のラマダン中は攻撃を停止する選択肢について、「タリバンやアルカイダが文明的なルールを守るとは思えない」と述べ、「テロとの戦争」を貫徹するのが最優先課題と強調した。
[毎日新聞11月2日
米軍機を撃墜? タリバン系通信が報道
【イスラマバード澤田克己】アフガニスタン・タリバン政権のスポークスマンは1日、北部マザリシャリフ西40キロのチャルボラックで同日午後4時半(日本時間同9時)、米軍機を撃墜したと語った。タリバン系のアフガン・イスラム通信が伝えた。機種などは明らかになっていない。
これに対し、米国防総省は同日、「撃墜された飛行機は1機もない」と否定の声明を出した。
また、米軍は1日深夜、首都カブール近郊を空爆したが、被害や死傷者などは不明。
[毎日新聞11月2日]
ビンラディン氏 パキスタンのイスラム教徒に聖戦呼びかけ
【カイロ小倉孝保】カタールのアラビア語衛星テレビ「アルジャジーラ」は1日、米同時多発テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏から、パキスタンのイスラム教徒に対し米国へのジハード(聖戦)を呼びかける手紙が届いたと報じた。
同テレビはアラビア語の手書きでビンラディン氏のものとみられるサインが入った手紙の映像を放送した。日付は1日となっているが、入手経路は不明だ。
手紙は「アフガニスタンのイスラム教徒は死にさらされている。パキスタン政府はキリスト教徒の旗の下にいる」とパキスタン政府を批判し、「世界は十字軍の戦争で二分された。ブッシュ(米大統領)の側につくか、イスラムの旗の下にあるかだ」とパキスタンのイスラム教徒に米国と戦うよう呼びかけた。
[毎日新聞11月2日]
義勇兵1000人がアフガン入り、パキスタン国境に続々集結
【ペシャワル2日共同】アフガニスタンのタリバン政権筋によると、パキスタンの北西辺境州に集結していたパキスタン人のイスラム急進派の義勇兵の第一陣約1000人が2日、同政権の許可を受けてアフガンに入国、東部の要衝ジャララバードに到着した。北西辺境州のディール、バジョール両地区の山岳地域には、自動小銃などで武装した義勇兵数千人がトラックに分乗し、集まっており、続いて越境する方針。義勇兵第一陣はジャララバードでナンガルハル州のタリバン政権州知事らの歓迎を受け、ロケット砲などの重装備や食料を支給された。
タリバン政権は当初、義勇兵の入国を拒否。その後、25-49歳の年齢制限を設けて入国を許可した。しかし、義勇兵は制限を無視して越境しているもようだ。米政府がパキスタン政府に対し、義勇兵の越境阻止を要求したと報じられているが、これまで同国軍などが阻止のために実力行使したとの情報はない。
(11/1)米国防長官、アフガンでの長期戦に理解求める・日独戦に言及
「真珠湾攻撃を受けてから(日本の降伏で)我々が目的を達成する1945年8月まで、3年半以上もかかった」――ラムズフェルド米国防長官は1日の記者会見で、第二次大戦中の日独との戦争を引き合いに、アフガニスタンでの軍事作戦が長期戦になることへの理解を求めた。
長官は「世界貿易センタービルの廃虚からは、いまだに煙が立ち上っている。戦闘はまだごく初期の段階に過ぎない」と指摘。そのうえで「歴史を展望してみたい」として、日本やドイツとの戦いが長期に及んだ例に言及した。
米国内ではアフガン空爆が4週目に突入する中で、目立った成果が上がっていないことに批判も出始めている。長官は今回の戦いが過去の戦争とは性質が異なる「新しい種類の戦争」であると重ねて強調。「容易に勝利したり、成功をおさめることはできない」と戒めた。(ワシントン=池内新太郎)
アフガン攻撃:
ラマダン中も続行の意向 米大統領、会見で表明
【ワシントン布施広】ブッシュ米大統領は2日、今月中旬から始まるラマダン(断食月)期間中もアフガニスタン攻撃を続ける意向を表明し、イスラム教の「聖なる月」も攻撃が続くことが確定した。ホワイトハウスで行われたオバサンジョ・ナイジェリア大統領との共同会見で語った。
ブッシュ大統領は「敵はラマダン中も休まないだろう。我々もだ」と語り、「目的を達成するまで戦争を続ける」と不退転の決意を強調した。一方では「これは簡単に満足のいく戦争ではない。我々は、ゆっくりと着実に敵の包囲網を狭めている」と述べ、国民に長期戦への覚悟を促した。
ブッシュ大統領がラマダン中の攻撃続行を表明したのは初めて。大統領は具体的な対応について米軍の意向を尊重すると語ったが、最高司令官の大統領は、国防総省や国務省の意見を踏まえた上で「攻撃続行」の決断を下したものとみられる。
17日前後に始まるラマダンについて、米国はイスラム世界の慣習を尊重して攻撃を一時停止するかどうかを検討していたが、攻撃を止めればタリバン政権の態勢立て直しを許すことになる。また1カ月間もの攻撃停止は、炭疽(たんそ)菌問題と新たなテロの脅威にさらされる米国民の支持を得られないと判断した模様だ。
ラマダンへの対応について、国務省は攻撃続行に慎重な態度を見せ、国防総省は「過去にもラマダン中に戦闘が行われた例がある」(ラムズフェルド国防長官)と続行の方向に傾いていた。
ライス大統領補佐官は1日、タリバン政権やウサマ・ビンラディン氏の組織「アルカイダ」に対し「文明社会のルール」を適用する必要はないと述べ、攻撃続行の方針を示していた。
[毎日新聞11月3日] ( 2001-11-03-19:33 )
ビンラディン氏:国連などを批判 アルジャジーラがビデオ放送
【カイロ小倉孝保】カタールのアラビア語衛星テレビ「アルジャジーラ」は3日、ウサマ・ビンラディン氏が肉声で国連やアラブ指導者を批判するビデオを放送した。同氏がビデオで語るのは、同時多発テロ発生後、2度目。
ビンラディン氏は「国連は犯罪の道具だ。パレスチナでもカシミールでも、あらゆる悲劇は国連が作り出しているのではないか」と国連を批判した。さらに「アラブの指導者で国連と協力する者は、偽善者だ」と述べた。
ビンラディン氏は軍服姿で、白い帽子をかぶり、左に機関銃を置いていた。撮影場所やビデオテープの入手経路は分かっていない。
同テレビによると、収録ビデオは約10分間という。
[毎日新聞11月3日] ( 2001-11-03-23:52 )
タリバン政権:元国王派の3人を処刑 国家反逆罪で
パキスタン英字紙フロンティア・ポストによると、アフガニスタンのタリバン政権は2日までに、ザヒル・シャー元国王派の活動家25人のうち、3人を国家反逆罪で処刑した。
処刑は政権の本拠地カンダハルで行われたという。一方、アフガン・イスラム通信は3日、3人が中部ウルズガン州で絞首刑となったと伝えた。
同政権は、ウルズガン州で25人を逮捕した際に、ライフル銃600丁と元国王派の本部からの重要文書も押収したとしている。
パキスタン各紙の報道によると、活動家らを統率していた元国王派の有力者ハミド・カルザイ氏は現在のところ無事という。パキスタン西部のクエッタから同氏と電話で連絡を取った家族が明らかにした。(イスラマバード共同)
[毎日新聞11月3日] ( 2001-11-03-23:23 )
与党3幹事長:会談したパキスタン大統領、自衛隊受け入れ同意
【イスラマバード中村篤志】パキスタンを訪問中の自民党の山崎拓幹事長ら与党3幹事長は3日午前(日本時間同日午後)、ムシャラフ大統領と会談した。大統領はテロ対策支援法に基づく自衛隊派遣について「難民支援のためできるだけのことをしてほしい」と国内受け入れに同意する意向を表明した。そのうえで自衛隊による救援物資の海上輸送のため、アラビア海に面したカラチ港の使用を認める考えを示した。
会談は約1時間半にわたって行われ、山崎氏はテロ対策支援法について対米支援や被災民支援を柱とした内容であることを説明したうえで、「パキスタンを拠点にした米軍の活動について自衛隊が直接支援する状況ではない」と伝えた。
大統領は難民キャンプなどでの医療活動など自衛隊による被災民支援に期待感を表明。そのうえで「他国の部隊とともに、自衛隊が医療活動をやる可能性もあるのではないか。国際的な協力関係を検討するので、自衛隊もオブザーバーとして参加したらどうか」と述べ、国際的な医療支援の枠組みに日本も参加するように促した。
3幹事長は小泉純一郎首相の親書を手渡し、包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期署名を求めた。大統領は「核拡散はしないし、核実験は凍結するが、インドにも同様のことを望む。国内の条件が整わなければならない」と述べるにとどまった。
さらに大統領は新たな日本の経済支援に期待感を示すとともに、軍事行動終了後のアフガニスタン再興に向けても、国際社会の資金援助の必要性を強調した。
[毎日新聞11月3日] ( 2001-11-03-21:47 )
「反テロ」連帯アピールへ 5日からASEAN+3首脳会議
【バンダルスリブガワン(ブルネイ)薄木秀夫】東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議とASEAN+3(日本、中国、韓国)の首脳会議が、5日からブルネイの首都バンダルスリブガワンで開かれる。4日には、ASEAN首脳による夕食会が行われ、実質討議に入る。
一連の会議では、テロと戦うための国際協力について協議され、テロ撲滅への対応などを盛り込んだ「反テロ宣言」が採択される見通しだ。この宣言を通して、ASEANは、日中韓と共に東アジアの「反テロ」連帯をアピールする。
しかし、米国のアフガニスタンへの攻撃が長期化する中、多くのイスラム教徒を抱えるインドネシア、マレーシアなどと各国の間には温度差があり、宣言がどこまで踏み込んだ内容になるかが注目されている。
ASEAN関係者によると、会議ではテロに対する具体的な対応策として、前・現・次期議長国で構成する「ASEANトロイカ」の役割の強化がテーマになる。大型テロが発生した場合、全加盟国を緊急招集するのは難しいことからトロイカ方式により、当面の域内協力、情報交換などの調整、仲介を行うという方策が宣言に盛り込まれる見通しという。
[毎日新聞11月3日
カブール北部をB52で爆撃 米軍
【イスラマバード澤田克己】米軍は2日、アフガニスタンの首都カブール北郊などでタリバン軍拠点に激しい空爆を続けた。カブール周辺には同日朝、少なくとも2波にわたりB52爆撃機が飛来。バグラム空軍基地近くでタリバン軍が陣取る丘陵地帯にじゅうたん爆撃を行った。ロイター通信などによると、爆撃により数十カ所から土煙が上がったという。
一方、タリバン政権は同日、北部マザリシャリフ近郊で1日に撃墜した米軍機が無人機だったと発表した。タリバン系アフガン・イスラム通信が伝えた。米軍は無人偵察機にミサイルなどを積んで対地攻撃している。
[毎日新聞11月3日
【イスラマバード澤田克己】アフガニスタン・タリバン政権の動向に詳しい消息筋は2日、イランに亡命中のヘクマティアル・アフガン元首相とタリバンが「反米連合」結成で基本合意したことを明らかにした。元首相は、旧ソ連軍とのアフガン戦争(79〜89年)でのリーダーの一人で、数万人の兵士を動員し得るという。両派の連合結成は、米国や反タリバン連合(北部同盟)に大きな政治的打撃となり、米英軍のアフガン攻撃作戦の遂行に支障を与えるのは必至だ。
消息筋によると、元首相は最近、パキスタン北西部ペシャワルに特使2人を派遣してタリバン側と接触し、基本合意に達した。両者は現在、戦争終結後の権力配分などについて、詰めの協議を行っている。元首相は、タリバンの最高指導者オマル師と直接会って最終的な合意を交わす意向だ。
同筋は「ヘクマティアル派の兵士は、タリバンに合流する準備を始めた。最終合意は近いだろう」と話している。
ヘクマティアル派は最盛時10万人の兵力を誇ったが、タリバンの首都カブール制圧(96年)で元首相が亡命した後、活動停止の状態にあった。大半の兵士はアフガン国内に残留している。
同派の現状には不明な部分もあるが、同筋は「数万人は動員可能だ」と語り、カブールやタリバンの本拠地カンダハルの防衛力が飛躍的に高まると指摘した。旧ソ連との戦いで鍛えられ、地形を知り尽くしたアフガン人ベテラン部隊は米軍にとって強敵となる。
元首相は、タリバン、北部同盟の双方と反目してきたが、今回は「アフガン人と米国との戦い」と位置づけ、タリバンとの共闘に踏み切ったという。
[毎日新聞11月3日
アフガン復興へ国連基金を・パキスタン大統領
【イスラマバード3日=吉野蔵一】パキスタン訪問中の自民、公明、保守の与党3党幹事長は3日午前(日本時間同午後)、イスラマバードの大統領府でムシャラフ・パキスタン大統領と会談した。大統領は米軍の攻撃を受けているアフガニスタンの難民支援と復興に向けた国連基金の創設を提唱、日本の支持を求めた。大統領は11月10日からニューヨークで始まる国連総会の一般討論演説への出席を予定している。その際に国連基金創設構想を正式に提案するとみられる。
大統領は会談で、今後のアフガン難民対策として(1)世界食糧計画(WFP)など国連機関の援助物資投入によりパキスタンへの難民流入を最小限に抑える(2)アフガン国内に国連施設を設け、難民の実態調査と支援計画策定に当たる(3)パキスタンの対アフガン国境付近に孤児や老人に限定した難民受け入れ施設を設置する――を挙げた。
米国土安保局長「原子力関連施設へのテロを警戒」
【ワシントン3日=安藤淳】米国のリッジ国土安全保障局長は2日の会見で生物テロのほかに、原子力関連施設などが狙われるのを警戒していると表明した。新たなテロへの最高度の警戒は「無期限に続けて欲しい」と呼び掛けた。米政府は29日、国民に新たなテロに対する「最高度の警戒」を呼び掛け、デービス・カリフォルニア州知事は1日にサンフランシスコの金門橋などが狙われる可能性があると発表した。局長によると橋に関する情報は確度がそれほど高くはなく、知事に公表するよう要請はしなかったという。
局長は警戒の優先度が高いテロの標的の例として、商業用や軍事関連の原子力施設をあげた。連邦航空局は国内86の原発の周辺空域を自家用機などが飛ぶことを禁止しているが、2日には対象原発を7日午前零時までの期限付きで計95カ所に拡大した。
ラマダンも攻撃続行−−ブッシュ米大統領「敵は休まぬ」
【ワシントン布施広】ブッシュ米大統領は2日、今月中旬から始まるラマダン(断食月)期間中もアフガニスタン攻撃を続ける意向を表明し、イスラム教の「聖なる月」も攻撃が続くことが確定した。ホワイトハウスで行われたオバサンジョ・ナイジェリア大統領との共同会見で語った。
ブッシュ大統領は「敵はラマダン中も休まないだろう。我々もだ」と語り、「目的を達成するまで戦争を続ける」と不退転の決意を強調した。一方では「これは簡単に満足のいく戦争ではない。我々は、ゆっくりと着実に敵の包囲網を狭めている」と述べ、国民に長期戦への覚悟を促した。
大統領がラマダン中の攻撃続行を表明したのは初めて。大統領は具体的な対応については米軍の意向を尊重すると語ったが、最高司令官の大統領は、国防総省や国務省の意見を踏まえた上で「攻撃続行」の決断を下したものとみられる。
17日前後に始まるラマダンについて、米国はイスラム世界の慣習を尊重して攻撃を一時停止するかどうか検討していたが、攻撃をやめればタリバン政権の態勢立て直しを許すことになる。また1カ月間もの攻撃停止は、炭疽(たんそ)菌問題と新たなテロの脅威にさらされる米国民の支持を得られないと判断した模様だ。
(毎日新聞2001年11月4日東京朝刊から
タリバン政権、ラマダンも戦闘継続を決定
【カイロ小倉孝保】カタールのアラビア語衛星テレビ「アルジャジーラ」は3日、タリバン政権の指導者オマル師の側近の話として、タリバン政権がラマダン中も米国との戦闘を継続することを決定したと伝えた。
(毎日新聞2001年11月4日東京朝刊から
ラマダン中の攻撃、反対の姿勢表明−−パキスタン大統領
パキスタンのムシャラフ大統領は3日、共同通信などと会見し、ラマダン中の米軍によるアフガニスタン攻撃について「イスラム諸国に否定的なインパクトを与える」と、反対の姿勢を表明した。(イスラマバード共同)
(毎日新聞2001年11月4日東京朝刊から)
首都カブール付近、B52の空爆続く−−米軍
【イスラマバード福原直樹】アフガニスタンからの報道を総合すると、米軍は2日夜から3日朝、アフガンの首都カブール付近で爆撃を再開した。爆撃機B52などが反タリバン連合(北部同盟)支援のため、丘陵地帯や、首都北方の空港付近を空爆したとみられる。
(毎日新聞2001年11月4日東京朝刊から
タリバンのザイーフ大使「爆撃機とヘリ撃墜、米兵が死亡」
【イスラマバード福原直樹】タリバン政権のザイーフ駐パキスタン大使は3日会見し、アフガニスタンのガズニ州で2日から3日にかけ、米軍の爆撃機1機とヘリコプター1機を撃墜したと語った。米兵40〜50人が死亡した可能性があるという。
同大使は「撃墜した爆撃機は大型で特定できないが、B52ではないか」と述べた。死者については「ヘリコプターには多数の米兵が乗っており、多くが死亡した。だが、現場は山岳地帯で、具体的な死者数の確認は難しい」と語った。
(毎日新聞2001年11月4日東京朝刊から
タリバン:攻撃が成果 「政権機能していない」 米国防長官
【イスラマバード福原直樹】米のラムズフェルド国防長官は4日、イスラマバードを訪問し、パキスタンのムシャラフ大統領らと会談した。長官は会談後の会見で「タリバンはすでに政権として機能していない」と述べ、米国の攻撃が成果を挙げていることを強調、今月中旬からのラマダン(断食月)期間中の空爆について「攻撃は継続しなければならない」と発言し、期間中は空爆停止を求める大統領に米国の戦略への理解を求めた。
大統領は会談で「ラマダンまでに、空爆目的を達成し、聖なる月(ラマダン)を静かに過ごしたい」という国民の意向を伝えたとされるが、長官の説明に一定の理解を示した模様だ。
長官は「まだテロの脅威が現実として残っており、数千人が犠牲になる可能性がある」と発言した。また「タリバンは軍隊としてはまだ求心力を持ち、軍事組織として存続している」と述べた。会談では「タリバン後」についても協議、あらゆる民族が参加する新政権樹立の必要性で双方が一致した。
長官は4日夜、アフガン周辺国歴訪で最後の訪問国、インドの首都ニューデリーに到着した。
[毎日新聞11月5日] ( 2001-11-05-10:50 )
「米英部隊、近く進攻」ウズベクから数千人――英紙報道
【ロンドン岸本卓也】英日曜紙サンデー・タイムズは4日、米英両軍の数千人規模の特殊部隊が数週間以内にウズベキスタンからアフガニスタン北部に進攻する見通しだと報じた。進攻作戦の主目的はタリバン支配地域の難民の救援とされる。米英空軍の空爆や反タリバン連合(北部同盟)から援護を受け、最前線に食料、衣料、医薬品などの補給基地を設置するという。米英両軍は公式に、報道を確認していない。
同紙は英高官の話として伝えた。米英地上軍の補給基地は北部要衝・マザリシャリフの近郊に設置する。当初は救援物資の輸送をウズベキスタンから飛ぶヘリによる空輸で行う予定だったが、タリバンからの攻撃を受けやすいため中止した。だが、地上作戦もタリバン勢力との戦闘が予想され、米英両軍は北部同盟に最大限の援護攻撃を要請しているという。
補給基地が築かれ、米英両軍が活動できる地域が広がれば、難民の救援を開始する。難民救援を作戦の最優先に掲げた理由として、米政府高官は「空爆による民間人犠牲者続出で失った内外の世論の支持を取り戻すため」と話しているという。
[毎日新聞11月5日
アフガン攻撃 イタリア軍も作戦参加へ
イタリア国防省は4日、国会の承認があり次第、米軍主導のアフガニスタンへの軍事作戦にイタリア軍も参加するとの声明を発表した。
ベルルスコーニ政権は以前から派兵の意向を持っており、国会は与党が多数派のため承認される可能性が高い。(ローマ共同)
[毎日新聞11月5日
攻撃時の領空通過も合意 物資輸送以外をタジク認める
【モスクワ田中洋之】アフガニスタン周辺諸国歴訪中のラムズフェルド米国防長官は3日夜にタジキスタン、4日にウズベキスタンを訪れ、両国大統領らとアフガン情勢について協議した。長官はタジクのラフモノフ大統領との会談後、タジクがアフガン攻撃に参加する米空軍の領空通過を認めることで合意したと語った。タジクはこれまでアフガンへの人道援助物資輸送のための領空使用を表明していた。
また米NBCテレビは、長官がタジクへの財政援助と引き換えに、米軍のタジク空軍基地使用を認めるよう大統領に要請したと報じた。
長官は米軍がアフガンへの地上軍投入のためタジク領を使用する計画はないと強調した。
[毎日新聞11月5日
「反テロ宣言」を採択 米の報復には言及せず――ASEAN首脳夕食会
【バンダルスリブガワン薄木秀夫】東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳が出席する夕食会が4日夜、ブルネイの首都バンダルスリブガワンで開かれ、テロ撲滅への取り組みを表明する「反テロ共同行動宣言」を採択した。
宣言は米同時多発テロを強く非難したうえ、「テロを宗教、民族と結びつけるすべての行為、企てを拒否する」とし、テロを「聖戦」と正当化するイスラム過激派の動きをけん制した。
また、テロへの対応策として地域的、国際的な協力を求め、(1)テロリストやテロ組織に関する情報交換や捜査協力の強化(2)資金面でのテロ組織封じ込め(3)テロ対策を論議するASEANの閣僚会議の早期開催――などを挙げた。一方で宣言は米国のアフガニスタン攻撃に対し直接、言及しなかった。
宣言採択を受け、5日の首脳会議では域内の具体的な対応策として前・現・次期議長国で構成する「ASEANトロイカ」が、テロ発生直後に機動的に対応できるようその機能強化を図ることで一致するとみられる。
[毎日新聞11月5日
先月の地上作戦、米兵12人負傷か 米誌報道
【ワシントン布施広】4日発売の米誌ニューヨーカーは米軍がアフガニスタンで先月20日に行った地上作戦で、タリバン側の反撃に遭い、特殊部隊デルタフォースの隊員12人が負傷したと報じた。うち3人は重傷を負ったという。事実とすれば、ラムズフェルド国防長官やブッシュ大統領への国民の批判が強まるのは確実。地上作戦について、大統領は「満足」の意を表明していた。
報道によると、戦闘は「タリバン側が優勢だった」(米高官)という。同誌の報道に対し、国防総省はコメントを控えている。
[毎日新聞11月5日
先月の地上作戦、米兵12人負傷か 米誌報道
【ワシントン布施広】4日発売の米誌ニューヨーカーは米軍がアフガニスタンで先月20日に行った地上作戦で、タリバン側の反撃に遭い、特殊部隊デルタフォースの隊員12人が負傷したと報じた。うち3人は重傷を負ったという。事実とすれば、ラムズフェルド国防長官やブッシュ大統領への国民の批判が強まるのは確実。地上作戦について、大統領は「満足」の意を表明していた。
報道によると、戦闘は「タリバン側が優勢だった」(米高官)という。同誌の報道に対し、国防総省はコメントを控えている。
[毎日新聞11月5日
タリバン政権「拘束の米国人が死亡」イスラム通信報道
アフガン・イスラム通信は4日、タリバン政権のザイーフ駐パキスタン大使の話として、同政権が拘束していた米国人がカンダハルの病院で死亡した、と伝えた。(イスラマバード共同)
[毎日新聞11月5日
政府:パキスタンへ医官派遣を準備 大統領と国連の要請受け
政府は6日、アフガニスタン難民支援のため、陸上自衛隊を中心とする医官をパキスタンに派遣する検討に入った。4日に帰国した与党3党幹事長が現地でムシャラフ大統領や国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)関係者らと会談した際、非公式に要請があったのを受けたもの。8日にも政府調査団をパキスタンに出し、早ければ来年2月の派遣を念頭に、準備を進める方針だ。
UNHCR関係者らによると、アフガニスタン国境から約100キロ離れたパキスタン北西部の市立病院など既存の医療施設3カ所で、医師や医薬品が不足。このうち市立病院には多数のアフガニスタン難民が運び込まれているという。周辺はパキスタン陸軍などが警備しており、治安は安定しているとされる。
パキスタンには現在、200万人以上のアフガン難民が流入。パキスタン政府はUNHCRとの協議で、新たな難民キャンプは国境からアフガニスタン側に設営し、国内では既に活動しているNGO(非政府組織)を中心に支援態勢をとることを主張している。
テロ対策支援法の規定によると、難民支援のための自衛隊派遣にあたっては、受け入れ国の同意と国連機関の要請が条件となる。政府・与党は、パキスタン政府とUNHCRとの協議がまとまり次第、UNHCRから日本政府に正式な支援要請があるとみて、準備を始めることにした。
また、UNHCR関係者からは「病院だけで収容しきれない場合、仮設の医療施設も必要」との説明もあったという。その場合、警備活動のため医官だけでなく陸自を中心とする一定規模の部隊が必要となるため、調査団が治安状況などを確認したうえ、派遣の是非を判断する方針だ。
政府は16日にも自衛隊の活動内容を定めた基本計画を閣議決定するが、医官派遣は「最初の計画には間に合わない」(政府筋)とみている。
一方、大統領が与党調査団に自衛隊のカラチ港への物資輸送を認めたことについては、近くパキスタン政府が沼田貞昭大使を通じ難民支援物資のリストを提出する。小麦粉や食用油など食糧の要望があり、カラチ港からの輸送はパキスタン陸軍などが担当する。
[毎日新聞11月6日] ( 2001-11-06-15:01 )
「カンダハル知事が米国人数人を逮捕」 国営イラン通信
【カイロ支局】タリバンの本拠地であるアフガニスタン南部カンダハルのラフマニ知事が「数人の米国人を逮捕した。彼らはスパイか特殊部隊員とみられる」と語ったと、国営イラン通信が5日伝えた。
同知事は米国人の人数や、逮捕の時期や場所などは明らかにしておらず、米当局も逮捕を確認していない。
[毎日新聞11月6日
米軍、10州で空爆 タリバン拠点のホテルなど
【イスラマバード支局】アフガン・イスラム通信などによると、米軍は5日、アフガニスタンの首都カブールをはじめ、タリバンの本拠地がある南部カンダハル、西部ヘラートなど計10州で大規模な空爆を行い、タリバン兵が拠点としている空港やホテルなどを爆撃した。早朝からのヘリコプター攻撃でカブールで3人、ヘラートで2人が死亡したほか、マザリシャリフ南方のケシェンデでは民家に被害が出て一般人を含む10人が死亡したという。
[毎日新聞11月6日
アルカイダ封じ込めに自信 米作戦副部長
【ワシントン中井良則】スタッフルビーム米統合参謀本部作戦副部長は5日の会見で、同時多発テロの重要容疑者ウサマ・ビンラディン氏が率いる国際テロ組織アルカイダについて「現時点で、アフガニスタン国内で自由に活動できない」と述べ、アルカイダの活動を封じこめている自信を示した。
副部長は「アルカイダの訓練基地を使えなくした。わかっている施設を破壊した。アルカイダが使ったか、あるいは使っている洞穴を攻撃している」と述べ、アルカイダ攻撃の成果を強調した。米軍が今月中旬からのラマダン(イスラム教徒の断食月)中もアフガン攻撃をやめない理由としては、「アルカイダが再結集したり、訓練を続ける機会を与えないためだ」と述べた。
[毎日新聞11月6日
アフガン攻撃:カブール北方のタリバン軍陣地に多数の爆弾投下
【イスラマバード支局】AP通信などによると、B52爆撃機などの米軍機は8日午後、アフガニスタンの首都カブール北方のタリバン軍陣地を攻撃、多数の爆弾を投下した。米CNNテレビはタリバン政権の本拠地カンダハルでも激しい空爆があったと伝えた。
[毎日新聞11月9日] ( 2001-11-09-01:07 )
アフガン攻撃:ドイツが派兵を閣議決定
【ベルリン藤生竹志】ドイツ政府は7日、米英軍のアフガニスタン攻撃を支援するため、独連邦軍兵士最大3900人を派遣する方針を閣議決定した。連邦軍の北大西洋条約機構(NATO)域外派兵には連邦議会(下院)の承認が必要で、独政府は来週中の本会議で承認を目指す。
独政府によると、派遣されるのは陸・海・空軍あわせて最大3900人で、派遣地域は中央アジア、北東アフリカなどとしている。核・生物・化学兵器に対応出来るフックス特殊装甲車部隊や特殊部隊が派遣されるほか、衛生・空輸部隊は負傷兵や人道支援物資の搬送、海軍はタンカーや港湾の警戒にあたる。
[毎日新聞11月7日] ( 2001-11-07-20:48 )
アフガン攻撃:イタリア、陸海空軍2700人の派遣表明
【ローマ井上卓弥】イタリアのマルティノ国防相は7日、伊下院で演説し、米英軍のアフガニスタン攻撃支援のため陸海空軍の部隊2700人を派遣する方針を表明した。同夕の承認投票を経て正式決定される。
国防相によると、派遣部隊の大部分は後方支援活動に従事するが、訓練を受けた一部の特殊部隊は米軍指揮下でタリバンとの戦闘活動にも参加するという。また、攻撃には垂直離着陸戦闘偵察機ハリアーや攻撃用ヘリを搭載した空母ガリバルディが動員される。
[毎日新聞11月7日] ( 2001-11-07-19:33 )
アフガン攻撃:米軍、10州で空爆 タリバン拠点のホテルなど
【イスラマバード支局】アフガン・イスラム通信などによると、米軍は5日、アフガニスタンの首都カブールをはじめ、タリバンの本拠地がある南部カンダハル、西部ヘラートなど計10州で大規模な空爆を行い、タリバン兵が拠点としている空港やホテルなどを爆撃した。早朝からのヘリコプター攻撃でカブールで3人、ヘラートで2人が死亡したほか、マザリシャリフ南方のケシェンデでは民家に被害が出て一般人を含む10人が死亡したという。
[毎日新聞11月6日] ( 2001-11-06-11:35 )
アフガン攻撃:米軍領空通過で合意 タジク大統領と米国防長官
【モスクワ田中洋之】アフガニスタン周辺諸国歴訪中のラムズフェルド米国防長官は3日夜にタジキスタン、4日にウズベキスタンを訪れ、両国大統領らとアフガン情勢について協議した。長官はタジクのラフモノフ大統領との会談後、タジクがアフガン攻撃に参加する米空軍の領空通過を認めることで合意したと語った。タジクはこれまでアフガンへの人道援助物資輸送のための領空使用を表明していた。
また米NBCテレビは、長官がタジクへの財政援助と引き換えに、米軍のタジク空軍基地使用を認めるよう大統領に要請したと報じた。アフガン国境に近いタジク南部のクリャブ基地が候補に上がっているという。
長官は米軍がアフガンへの地上軍投入のためタジク領を使用する計画はないと強調。さらに「我々はタリバン壊滅の軍事作戦終了後、アフガニスタンに米国軍を残すつもりなはい」と述べ、中央アジアにおける米軍の影響力拡大を懸念するロシア、中国などに配慮する発言をした。
またウズベクのカリモフ大統領と会談した長官は、米軍山岳師団を受け入れるなど対テロ攻撃へのウズベク側の積極的な協力姿勢を高く評価。ただ、ウズベクへの米部隊増強については協議されなかったと述べた。
[毎日新聞11月4日] ( 2001-11-04-20:24 )
アフガン攻撃:米軍、B52で前線陣地をじゅうたん爆撃
【イスラマバード澤田克己】ロイター通信などによると、米軍は5日、アフガニスタンの首都カブール市内でタリバン兵士らが使っていたホテルを爆撃したほか、B52爆撃機を使ったタリバン前線陣地へのじゅうたん爆撃など激しい空爆を続けた。タリバン政権の情報省当局者によると、4日夜からの空爆による民間人の死者は15人だった。
[毎日新聞11月5日] ( 2001-11-05-21:14 )
アフガン攻撃:米国防長官「空爆の効果高まっている」
【イスラマバード澤田克己】インドを訪問したラムズフェルド米国防長官は5日、フェルナンデス・インド国防相と会談した。長官は会談後の会見で、アフガニスタン空爆について「日増しに効果が高まっている」と主張し、アフガン攻撃に何年もかかることはないとの見方を示した。
長官によると、空爆の効果は、攻撃目標の確認などを支援する地上部隊の投入で飛躍的に高まったという。誤爆による民間人の犠牲にイスラム諸国などから反発が出ているが、「(空爆を)これ以上に正確かつ注意深く行うことは出来ない」と反論した。
長官は、政情不安の高まっているパキスタンの核兵器がイスラム過激派勢力の手に渡る危険性について「個人的にはそのようなリスクはないと信じている」と語った。
インド側は会談で、パキスタンに支持されたイスラム過激派のテロ活動が、領有権紛争のあるカシミール地方で活発化していることに懸念を表明した。米国はこれまで、対米協力を表明している両国間での紛争激化に懸念を示してきたが、長官はこの日の会見では言及しなかった。
長官は、今後のアフガン攻撃について関係国の理解と協力を得るため、ロシア、中央アジア諸国、パキスタンを歴訪後、4日夜にニューデリーしていた。
[毎日新聞11月5日] ( 2001-11-05-19:11 )
アフガン攻撃:ラマダン中も続行の意向 米大統領、会見で表明
【ワシントン布施広】ブッシュ米大統領は2日、今月中旬から始まるラマダン(断食月)期間中もアフガニスタン攻撃を続ける意向を表明し、イスラム教の「聖なる月」も攻撃が続くことが確定した。ホワイトハウスで行われたオバサンジョ・ナイジェリア大統領との共同会見で語った。
ブッシュ大統領は「敵はラマダン中も休まないだろう。我々もだ」と語り、「目的を達成するまで戦争を続ける」と不退転の決意を強調した。一方では「これは簡単に満足のいく戦争ではない。我々は、ゆっくりと着実に敵の包囲網を狭めている」と述べ、国民に長期戦への覚悟を促した。
ブッシュ大統領がラマダン中の攻撃続行を表明したのは初めて。大統領は具体的な対応について米軍の意向を尊重すると語ったが、最高司令官の大統領は、国防総省や国務省の意見を踏まえた上で「攻撃続行」の決断を下したものとみられる。
17日前後に始まるラマダンについて、米国はイスラム世界の慣習を尊重して攻撃を一時停止するかどうかを検討していたが、攻撃を止めればタリバン政権の態勢立て直しを許すことになる。また1カ月間もの攻撃停止は、炭疽(たんそ)菌問題と新たなテロの脅威にさらされる米国民の支持を得られないと判断した模様だ。
ラマダンへの対応について、国務省は攻撃続行に慎重な態度を見せ、国防総省は「過去にもラマダン中に戦闘が行われた例がある」(ラムズフェルド国防長官)と続行の方向に傾いていた。
ライス大統領補佐官は1日、タリバン政権やウサマ・ビンラディン氏の組織「アルカイダ」に対し「文明社会のルール」を適用する必要はないと述べ、攻撃続行の方針を示していた。
[毎日新聞11月3日] ( 2001-11-03-19:33 )
アフガン攻撃:相次ぐ誤爆の背景
米軍のアフガニスタン空爆で民家などを直撃する誤爆が相次ぎ、米国内外で批判が高まっている。大量の精密誘導型爆弾を投入している米軍は、湾岸戦争(91年)、北大西洋条約機構(NATO)軍のユーゴスラビア空爆(99年)に続き、なぜ誤爆を繰り返すのか。正確さが身上のはずの「ピンポイント攻撃」の内実を探った。 【ワシントン吉田弘之】
米戦略予算評価センター(CSBA)のロバート・マーティネージ上級分析官によると、精密誘導型弾は、テレビ(TV)誘導型▽レーザー誘導型▽全地球測位システム(GPS)誘導型――の三つに大別される。
TV誘導型は弾先端にテレビカメラがあり、戦闘機のコックピットから標的設定を操作できる。レーザー誘導型は、航空機などから標的をレーザー照射し、その反射を感知して標的に向けて飛ぶ。GPS誘導型は、GPSシステムに入力した爆撃地点の位置情報によって標的を定める。
米国防総省はアフガン攻撃で「あらゆる兵器を駆使する」と明らかにしており、空爆にも各種の誘導型弾を導入しているとみられる。
誤爆の原因は「誘導装置の命中精度の欠陥と誤作動」「人為ミス」「目標選定の誤り」などに分類できる。
メーカーなどが公表している命中精度は、TV誘導型が半径約3メートル、レーザー誘導型約8メートル、GPS誘導型約3〜13メートル。ただ、これは「半数命中半径」という方法の測定値で、50%がこの範囲を外れる可能性がある。システムの誤作動はさらに大きなミスとなる。
ラムズフェルド米国防長官は28日、米CNNテレビとの会見で、空爆の命中確率を「良くて85〜90%」と述べた。
爆撃機の元パイロットはこう語る。「10%以上の確率で標的を外すことの意味は大きい。1日に200〜300発を発射すれば、20〜30発は標的を外す。メカニズムの誤作動で標的を外すと数キロも離れた予想外の場所に飛ぶことがある」
天候の影響もある。レーザー誘導型爆弾の場合、湿度や粉じん、風が微妙に影響するほか、曇り空では上空からの標的設定が困難になる。
人為ミスも大きな要因だ。ホイト・ジョージタウン大教授(安全保障論)は言う。「平時に100%の精度でも、戦時は違う。感情などさまざまな状況に左右される。極度の疲労と緊張で操縦士のミスがあっても不思議はない」
米軍がアフガン空爆で誤爆を公式に認めたのは計4回。米軍は詳細を明らかにしておらず、原因を特定できていない。
カブールで25〜26日に起きた国際赤十字倉庫と住宅街への誤爆は、赤十字にGPS誘導型、住宅街にレーザー誘導型爆弾が着弾した。国防総省によると、赤十字誤爆は「爆撃地選定の人為ミス」、住宅街誤爆は「誘導システムの誤作動」によるものだった。
赤十字側は「屋根の赤十字のマークは上空からも識別できたはずだ」と主張している。
タリバン軍は空爆から逃れるため、住宅街などに避難している。ラムズフェルド国防長官は「限定的なタイプの爆弾しか使えなくなる」と語り、空爆が難しい局面にある点も認めている。
[毎日新聞11月1日] ( 2001-11-01-20:08 )
アフガン攻撃:「作戦の進行に満足」 米中東軍司令官が見解
【ワシントン吉田弘之】米軍のアフガニスタン攻撃の指揮を取るトミー・フランクス米中東軍司令官は8日、空爆開始後、初めて国防総省で会見し、作戦の進行に満足していると述べた。また、長引く空爆に成果が見えないとする批判に反論した。「すべての選択肢は開かれている」とも述べ、大規模な地上軍を派遣する可能性を否定しなかった。
司令官は、アフガンに投入している特殊部隊の役割について反タリバン連合(北部同盟)と密接な連絡を取りながら、タリバン軍の位置や能力について正確な情報を得るための偵察任務が主であることを説明した。北部同盟が北部マザリシャリフの陥落を狙っていることについて、マザリシャリフがウズベキスタンとの「陸の掛け橋」になることから「興味を持っている」と語り、同郊外で激しい戦闘が行われていることを認めた。
また軍事行動の目的は、ウサマ・ビンラディン氏の拘束ではなく同氏の支援組織「アルカイダ」のネットワークを壊滅することにあると強調した。作戦は当初の予定通り進んでおり、軍事行動の終了まで時間がかかるとの認識を示した。
フランクス司令官は、湾岸戦争で多国籍軍を指揮したシュワルツコフ元中東軍司令官が連日、記者会見したのに比べ、ほとんど姿を現さないため米メディアの間で不満が高まっていた。これについて司令官は「私はシュワルツコフではない。単に時間がないだけ」とかわした。
[毎日新聞11月9日] ( 2001-11-09-17:20
因縁の地、マザリシャリフ
【モスクワ石郷岡建】アフガニスタン北部の要衝マザリシャリフはタリバン軍と反タリバン軍(北部同盟)が過去たびたび双方が攻防戦を展開した因縁の地だ。
96年に首都カブールを制圧したタリバンは翌年5月、北部同盟側の本拠地だったマザリシャリフに進攻したが敗退。同盟側の捕虜となった約2000人が虐殺されたとされる。98年7月にタリバンが再び進攻し、マザリシャリフを奪取。国連はこの戦闘では5、6000人が殺害されたと推定している。今回、また双方の戦闘の行方を左右する舞台となった。
マザリシャリフが重要な意味を持つのは、ウズベキスタンのテルメズから約40キロの近さにあり、同町からウズベク国境までが北部同盟支配下に入ると、中央アジア方面からの物資輸送ルートが一直線で開かれる。特に、国境のアムダリヤ川には鉄道レールが敷設された近代的な鉄橋がわたされており、戦車や装甲車などを簡単に運ぶことができるためだ。
歴史的にもかつてシルクロードの宿場で、仏教、イスラム教などの東西文化が融合して繁栄した。79年にソ連が進攻した際には司令部を置き、ウズベキスタンと結ぶ交通路を建設、中央アジアからの補給路とした。
[毎日新聞11月10日
ビンラディン氏「核兵器保有」−−パキスタン紙インタビュー
【イスラマバード支局】AFP通信によると、米同時多発テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏は10日付のパキスタン有力紙「ドーン」との単独会見で、「核兵器と化学兵器を保有し使用できる状態にある」などと述べた。
同紙によると、ビンラディン氏は「もし、米国が我々に対して核兵器や化学兵器を使うことがあれば、我々も仕返しに使う」と述べた。また「我々は抑止力として、核や化学兵器を持っている」とも語った。
同氏はまた、「テロは女性や子供を標的にしたものではない。真の標的は軍や経済力の象徴だ」と述べ、同時テロへのかかわりを否定しなかったという。
同紙のインタビューは9日、カブールで行われたという。
[毎日新聞11月10日
アフガン攻撃 「作戦の進行に満足」 米中東軍司令官が見解
【ワシントン吉田弘之】米軍のアフガニスタン攻撃の指揮を取るトミー・フランクス米中東軍司令官は8日、空爆開始後、初めて国防総省で会見し、作戦の進行に満足していると述べた。また、長引く空爆に成果が見えないとする批判に反論した。「すべての選択肢は開かれている」とも述べ、大規模な地上軍を派遣する可能性を否定しなかった。
司令官は、アフガンに投入している特殊部隊の役割について反タリバン連合(北部同盟)と密接な連絡を取りながら、タリバン軍の位置や能力について正確な情報を得るための偵察任務が主であることを説明した。北部同盟が北部マザリシャリフの陥落を狙っていることについて、マザリシャリフがウズベキスタンとの「陸の掛け橋」になることから「興味を持っている」と語り、同郊外で激しい戦闘が行われていることを認めた。
また軍事行動の目的は、ウサマ・ビンラディン氏の拘束ではなく同氏の支援組織「アルカイダ」のネットワークを壊滅することにあると強調した。作戦は当初の予定通り進んでおり、軍事行動の終了まで時間がかかるとの認識を示した。
フランクス司令官は、湾岸戦争で多国籍軍を指揮したシュワルツコフ元中東軍司令官が連日、記者会見したのに比べ、ほとんど姿を現さないため米メディアの間で不満が高まっていた。これについて司令官は「私はシュワルツコフではない。単に時間がないだけ」とかわした。
[毎日新聞11月10日
米ロ首脳会談 テロ後の協力が深まりを強調 米補佐官
【ワシントン中井良則】ライス米大統領補佐官(国家安全保障担当)は8日の会見で、13日から行われる米ロ首脳会談について「昔のソ連との首脳会談は軍縮協定調印がつきものだったが、現在の米ロ関係は違う。反テロに関する安全保障面の協力で新たな弾みがついた。会談のたびに特定の取り決めができるとは思わない」と述べ、同時多発テロ後、米ロ協力が深まっていることを強調した。
焦点となっている戦略核兵器の大幅削減について「米国の削減案の数字をロシアが受け入れるかどうかの問題ではない」と基本姿勢を示した。
その上で「ブッシュ大統領は自分の信念から攻撃用核兵器の削減を望んだ。統合参謀本部の戦略見直し作業でも、米国の保有する核兵器は抑止に必要な数を超えていることが確認された。米国が自らの安全保障上の関心に従って決めることだ」と説明し、プーチン露大統領が米国の考えを理解するとの期待を示した。
両国は各6000発以上の戦略核兵器を3分の2削減し、2000発前後にする方向で交渉を続けている。
同補佐官によると、プーチン大統領は12日夜、ワシントンに到着。首脳会談は13日、ホワイトハウスで行われ両大統領は合同記者会見を行う。
[毎日新聞11月10日
北部同盟、マザリシャリフ制圧
【ワシントン吉田弘之】アフガニスタンで9日、反タリバン連合(北部同盟)が北部の要衝マザリシャリフに侵攻、米政府が陥落は間近かとの見通しを示したことで、アフガンの戦況は重大局面を迎えた。米軍にとって首都カブールや西部ヘラートなど重要なタリバン拠点への攻略の道筋が見えたことになり、戦略的価値は大きい。
マザリシャリフはヘラートやカブールへの「ハイウェー」とも呼ばれる北部重要拠点で、タリバン軍が早くから精鋭部隊を送り込み守りを固めていた。それが陥落すれば両地域への侵攻が容易となるためだ。市内には大規模な空港があり、これを完全制圧すれば米軍は軍事物資や人道支援物資の輸送面で大きなメリットを受ける。既にアフガン国内に展開している特殊部隊の拠点としても貴重だ。
さらに、米軍が現在、使用しているウズベキスタン国内の基地からアフガン国内への「陸の橋」が確保できることを意味し、陸路で北部同盟への前線への武器補給も容易となる。
米統合参謀本部のラフルビーム作戦副部長が9日の記者会見で特に強調したのは当面、人道支援物資の補給路が確保されることだ。支援物資の空中投下は、一部がタリバン軍によって没収されるなど効果を挙げていない現実がある。米軍が軍事作戦との両輪と位置付ける人道支援がスムーズに行くことによって、アフガン国民をタリバン政権から離反させる戦略が加速する可能性がある。
だが、米軍のマザリシャリフ侵攻は、拠点を守るため一定規模の地上軍の派遣を余儀なくされなど大きなリスクも伴う。
同作戦副部長はタリバン軍がマザリシャリフから撤退の動きを見せていることを明らかにした。同時に「戦略的な動きの可能性もある」と、タリバン軍が背走しているとの見方にクギを指した。同地域周辺の丘陵地帯にタリバン軍が隠れているとの情報もあり、現在のタリバン軍の戦力評価が定かではない段階では慎重な姿勢を取らざるを得ないのが現状だ。
[毎日新聞11月10日
アフガン情勢テーマに国連総会一般演説が10日開幕
【ニューヨーク上村幸治】9月11日の同時多発テロで延期された国連総会の一般演説が10日午前(日本時間同日深夜)、国連本部で開幕する。7日間の会期中、テロ撲滅やアフガニスタン情勢をテーマに、加盟189カ国と国連オブザーバーのパレスチナ自治区代表が演説。今年は47カ国の首脳(大統領、首相)や外相らが出席する予定だ。
アナン事務総長は開幕演説で、同時テロに続き異なる文明間の衝突が起きる懸念もあると指摘。これを回避するため、貧困や紛争、病気に苦しむ人々に希望を与える必要があると述べる。
米英軍のアフガン攻撃には直接言及せず、同国の一般住民やイスラム諸国への配慮を示す。またタリバン政権崩壊後に向けた国連の役割の重要性を強調し、各国の協力・協調を改めて促す。
初日はアナン氏のほかブッシュ米大統領やムシャラフ・パキスタン大統領らが演説。田中真紀子外相に代わって日本政府代表を務める宮沢喜一元首相は11日(日本時間12日)に演説する。
同時テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏が最近、ビデオ声明で国連を米国の手先などと非難した経過があり、国連とニューヨーク市警は異例の厳戒態勢をとっている。
[毎日新聞11月10日
オランダが派兵表明、人道支援に限定
【ハーグ森忠彦】オランダのコック首相は9日、米国のアフガニスタン攻撃への軍事支援として1200人から1400人規模の部隊を派遣する意向を表明した。北大西洋条約機構(NATO)加盟国では英国、フランス、ドイツ、イタリア、トルコに次ぎ5番目の参加表明となった。
首相によると、兵士のほか支援艦や戦闘機なども派遣する方針。兵士の活動は人道支援に限り、直接の攻撃には参加しない。またすでに現場地域へ偵察機を派遣させたという。
[毎日新聞11月10日
マザリシャリフ陥落、北部同盟3年ぶり奪還
【ドゥシャンベ福島良典】アフガニスタン・反タリバン連合(北部同盟)のドスタム将軍は9日、タリバンが支配するアフガン北部の要衝都市マザリシャリフに同日、指揮下の部隊が進攻、制圧したと述べた。米CNNトルコ語放送が伝えた。タリバン高官も「マザリシャリフが占拠された」と述べ、同市の陥落を事実上認めた。北部同盟にとって約3年ぶりの奪回となる。
マザリシャリフを勢力下に置いたことで北部同盟はウズベキスタンからの輸送ルートを確保、本格攻勢への拠点を手にした。タリバン側には米軍の対アフガン軍事作戦開始以来、最大の軍事的敗北で、心理的に大きな打撃となる。北部同盟は首都カブールへの総攻撃の構えにあり、北部一帯のタリバン勢力への攻撃を強めるとみられている。
ドスタム将軍はCNNのインタビューで「我々はマザリシャリフを奪取し、完全に掌握している。空港も我々の手中にある。タリバン部隊は敗走している」と制圧を宣言した。
北部同盟部隊は9日午後6時ごろ、南側からマザリシャリフに入った模様。ドスタム将軍によると、攻略戦はタリバン敗走までわずか1時間半で、タリバン側は約200人が死亡、北部同盟側の死者は28人という。北部同盟は近郊の軍事、民間の二つの飛行場も占拠した。
[毎日新聞11月10日