46118 ドキュメント(8)

タリバン、カンダハルを放棄

【イスラマバード井田純、澤田克己】アフガン・イスラム通信は16日、アフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバンの最高指導者オマル師が南部の本拠地カンダハルを放棄する方針を決めたと報じた。カンダハル周辺で活動中のザヒル・シャー元国王側近、ハミド・カルザイ氏も毎日新聞の衛星電話取材に「タリバン兵は16日午後から、山地へ向けて移動し始めている」と述べた。

 情報が事実なら、タリバンは主要都市をすべて放棄し、同時多発テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏とともに山岳部に移動、今後、ゲリラ戦に撤することを意味する。

 アフガン・イスラム通信によると、オマル師は16日、数日間の討議の末、タリバン勢力の山岳地帯への移動を指示した。オマル師は理由について「米軍の空爆から市民を守るため」としており、一日以内に撤退を完了する方針という。

 タリバン撤退後のカンダハルは、二つのパシュトゥン系元ゲリラ組織の支配下に入る見通し。これら組織は北部同盟ラバニ前大統領派と連携するナキブラ元司令官と、地元部族を率いる有力者のバシール元司令官の組織とされる。

 一方で、カルザイ氏が率いる元国王派の武装勢力も同市内に向かっており、周辺では散発的な戦闘が発生、なお混乱が続く可能性が強い。 カンダハルはタリバン「発祥の地」であるとともに、オマル師やビンラディン氏の住居があった中心都市。宗教警察本部やイスラム最高裁判所などが置かれ、事実上の首都だった。


アフガン:オマル師がカンダハル放棄の方針 今後はゲリラ戦に

 【イスラマバード井田純、澤田克己】アフガン・イスラム通信は16日、アフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバンの最高指導者オマル師が南部の本拠地カンダハルを放棄する方針を決めたと報じた。カンダハル周辺で活動中のザヒル・シャー元国王側近、ハミド・カルザイ氏も毎日新聞の衛星電話取材に「タリバン兵は16日午後から、山地へ向けて移動し始めている」と述べた。

 情報が事実なら、タリバンは主要都市をすべて放棄し、同時多発テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏とともに山岳部に移動、統治能力を急速に失うことになる。

 アフガン・イスラム通信によると、オマル師は16日、数日間の討議の末、タリバン勢力の山岳地帯への移動を指示した。オマル師は理由について「米軍の空爆から市民を守るため」としており、一日以内に撤退を完了する方針という。

 タリバン撤退後のカンダハルは、二つのパシュトゥン系元ゲリラ組織の支配下に入る見通し。これら組織は北部同盟ラバニ前大統領派と連携するナキブラ元司令官と、地元部族を率いる有力者のバシール元司令官の組織とされる。

 一方で、カルザイ氏が率いる元国王派の武装勢力も同市内に向かっており、周辺では散発的な戦闘が発生、なお混乱が続く可能性が強い。 カンダハルはタリバン「発祥の地」であるとともに、オマル師やビンラディン氏の住居があった中心都市。宗教警察本部やイスラム最高裁判所などが置かれ、事実上の首都だった。

     ◇    ◇

 【イスラマバード澤田克己】アフガニスタンのタリバン勢力が拠点としてきた南部カンダハルを放棄したとの情報はアフガン情勢が新局面を迎えたことを意味する。だが、タリバンは戦力維持を図ってゲリラ戦を展開する構えとみられる上、南部のパシュトゥン人軍閥が見せる反タリバン連合(北部同盟)への反発もあり、アフガン情勢は諸勢力による群雄割拠の様相を示し始めてきた。

 タリバンは、米軍の激しい空爆を受けながら拠点都市を1カ月以上守り抜いた。だが、9日に北部マザリシャリフを北部同盟に明け渡してからは、約1週間で都市部から姿を消す可能性が高い。この間、カンダハルでは地方軍閥と激しい戦闘を行ったものの、首都カブールをはじめ多くの都市からは本格的な戦闘なしで撤退。戦力の多くを、山間部に移した可能性が高い。

 一方の北部同盟は、首都を押さえたことで政治的発言力を強めているものの、東部や南部地域では反タリバンのパシュトゥン人軍閥に「タリバン後」の権力奪取を許した。アフガン情勢に詳しい消息筋は、軍閥の多くはパシュトゥン人であるザヒル・シャー元国王を支持しているが、パシュトゥン以外の少数民族が主導する北部同盟は元国王を排除して権力独占を狙っていると指摘。「両者は武力衝突を起こす可能性が高い」と話す。

 パキスタンで情勢分析に当たる軍事専門家、平可夫氏は「山間部では、空爆の効果は極めて小さくなる。山に入ってゲリラ戦を戦うという選択は合理的だ」と評価。さらに、タリバン撤退後の「力の空白」に乗じて権力を握った地方軍閥が北部同盟と衝突すれば、タリバンは漁夫の利を得るとの見方を示した。

[毎日新聞11月17日] ( 2001-11-17-13:44 )


アフガン攻撃:「カンダハル撤退は信じない」 米作戦副部長

 【ワシントン吉田弘之】米統合参謀本部のスタッフルビーム作戦副部長は16日の記者会見で、タリバン最高指導者オマル師が南部カンダハルを放棄するとの報道について「現段階では信じない。タリバンと反タリバンの敵対関係が続いている」と述べ、まだ確認に至っていないことを明らかにした。

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 タリバンが南部の拠点カンダハルを放棄するとの情報に米政府は依然、懐疑的な見方を示しているが、これが事実とすれば、米軍にとって同時多発テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏と支援組織「アルカイダ」壊滅が現実味を帯びてきたと言える。オマル師とアルカイダ幹部が山峡部の洞くつやトンネルに身を隠すなど守勢に立たされることは確実で、洞くつの空爆のほか、特殊部隊を増派し、徹底的追跡を開始するとみられる。

 カンダハル制圧に伴い、米軍が同市などアフガン南部の空港を前線基地として使用出来るようになれば、現在アフガン国内に展開している特殊部隊の活動効率は飛躍的に上がるうえ、増派も可能となる。

 ラムズフェルド米国防長官は16日、アフガン国内に派遣されている米特殊部隊の活動を二つのタイプに分け、説明した。一つが北部で反タリバン連合(北部同盟)の軍事アドバイスや空爆標的の選定などを行っているグループ。もう一つが南部で検問所を設けるなどタリバン軍とアルカイダ軍の動きをチェックするほか、タリバン政権施設に侵入して資料を押収するなど情報活動を行っているグループだ。

 また、長官は特殊部隊が「タリバン兵を殺している」と述べ、実際に戦闘行為を行っていることも明らかにした。こうした発言から、特殊部隊がすでに南部で洞くつなどの捜索に当たっている可能性もある。

 長官は今後、ビンラディン氏ら最高幹部が国外脱出する可能性を指摘、アフガンから国外に逃げる航空機やヘリを発見した場合、「撃墜する」と明言、同氏追跡への執念を見せた。

[毎日新聞11月17日] ( 2001-11-17-12:30 )


アフガン攻撃:北部同盟は進攻自制を 地方の武装勢力が反発

 【クエッタ(パキスタン南西部)亀井和真】アフガニスタン南東部ガズニ州に拠点を置くイスラム武装勢力「部族評議会」は16日、反タリバン連合(北部同盟)に南部への進攻を自制するよう警告した。在クエッタの広報担当者が毎日新聞に明らかにした。タリバン撤退に乗じて権力を握った地方軍閥が、北部同盟に対抗する姿勢を示したものといえる。

 評議会は北部同盟に、ガズニ州に接近しないことに加え、南部カンダハルを攻撃しないことを求めた。カブールとカンダハルを結ぶ唯一の基幹道路が同州を縦断しているため、カブールからの南進をうかがう北部同盟にとっては大きな障害となる。

 ガズニ州など南部地方は、多数派パシュトゥン人の居住地域で、タジク人やウズベク人といった少数民族主導の北部同盟に強い反感を持っている。北部同盟のラバニ前大統領は「タリバン後」の暫定政権から元国王を排除して権力独占を狙う動きを見せ始めており、こうした動きに反発した可能性もある。

[毎日新聞11月17日] ( 2001-11-17-15:01


アフガン:柳田大元さん解放か 「北部同盟軍に同行」と電話

 タリバン政権に拘束され行方が分からなくなっている日本人ジャーナリスト柳田大元さん(37)が17日、日本の知人に電話で、北部同盟軍と一緒にいるなどと連絡してきたことが分かった。(イスラマバード共同)

[毎日新聞11月17日] ( 2001-11-17-17:09 )


アフガン:「タリバン政権後」パシュトゥン人勢力が台頭

 【イスラマバード井田純、澤田克己】アフガニスタンのイスラム原理主義勢力、タリバンが南部の本拠地カンダハルの支配権を引き渡すため、パシュトゥン人勢力との間で協議を開始したことが17日明らかになったが、カンダハルにパシュトゥン人による一大勢力が生まれる可能性が出てきた。首都カブールを制圧した反タリバン連合(北部同盟)は少数民族のタジク人やウズベク人主導で、多数派パシュトゥン人との関係は悪い。「タリバン政権後」を巡る情勢は南北の2大勢力と山間部に逃れたタリバンの三者がにらみあう構図が現実味を帯びてきた。

 タリバン系のアフガン・イスラム通信によると、タリバンは既に発祥の地カンダハルの放棄を決めている。

 カンダハルには独自のイスラム解釈で国民を統制した宗教警察本部やイスラム最高裁判所、最高意志決定機関である「カンダハル評議会」という基幹組織のほとんどが置かれた実質的な首都。カンダハルの放棄はタリバンにとって政権としての機能を完全に失ったことを意味する。

 一方、「タリバン後」のカンダハルは地元のパシュトゥン人元ゲリラ指導者を主軸とする勢力が掌握する可能性が高い。これらはアフガン戦争(79〜89年)で旧ソ連と戦ったイスラム・ゲリラが地方軍閥化したものだ。地方軍閥の多くは北部同盟が攻勢をかける前にタリバンが撤退して「力の空白」が生じた東部の要衝ジャララバードなどでも独自の支配を確立し、北部同盟とは一線を画す動きを見せている。

 特に90年代の内戦で各民族が戦った歴史的背景から、パシュトゥン人の多い「パシュトゥン・ベルト」と呼ばれる南部や東部に拠点を置く軍閥の多くは反タリバンであるとともに、北部同盟にも強い反感を持っているとされる。南東部ガズニ州のパシュトゥン人軍閥である「部族評議会」が南部進攻を自制するよう北部同盟に求めたことも、こうした空気を反映したものだ。

 アフガン情勢に詳しいパキスタンの消息筋はパシュトゥン人軍閥の多くはザヒル・シャー元国王支持と指摘。北部同盟は新政権からの元国王排除を狙っているため、両者の対立が深刻化する可能性が高いという懸念を示した。

[毎日新聞11月17日] ( 2001-11-17-19:33 )


アフガン復興会議:20日に日米共催の高級事務レベル協議

 【ワシントン佐藤千矢子】アフガニスタンのタリバン政権崩壊後の復興問題を関係国・機関が協議する日米共催の高級事務レベル協議(次官級)が20日、ワシントンで開かれる。米国が日本をパートナーに選んだのは、日本の資金力や人脈への期待のみならず、米ブッシュ政権の「日米同盟」重視を反映したものだ。一方、日本政府は欧州連合(EU)加盟国の一部の反発をうけ、当初予定した閣僚級を次官級に格下げしても日米共催にこだわった。復興問題で各国の主導権争いが始まる中、和平プロセスへの積極関与の道筋が描けるかの、試金石となる。

 同会議は日米両国が共同議長を務め、国連と主要国(G8)、サウジアラビア、トルコ、韓国など十数カ国や国際機関が出席する。復興に向けた農業、教育問題や当面の難民・被災民支援などが議題になる。

 日米共同開催は、アーミテージ米国務副長官らを中心に検討、閣僚級で20日のニューヨーク開催を目指した。しかし、人道支援会議に名乗りを上げるフランスが日米主導に難色を示し、英国も同調した。国連主催とすることもいったんは検討されたが、ワシントン開催で日米共催は維持する代わり、予備的会談の色彩が強くなる次官級に格下げする妥協案を米側がまとめ、日本も受け入れた。

 米国が日米共催を選択したのは、日本が復興資金の最大の提供国となることが確実であり、96年から和平・復興会議を提唱するなど、米英露と違いアフガン問題で「手を汚さず」(小泉純一郎首相)にきた経緯、小泉政権の対米協調姿勢への評価などがある。「軍事行動は欧州の英国、復興はアジアの同盟国の日本」(米政府関係者)という使い分けも働いたようだ。

 ただ、復興問題での発言力を新政権の枠組み作りの和平協議にも結びつけたい日本の思惑通りことが運ぶ保証はない。米露両国に周辺6カ国を加えた形式や、日本も含めた関係21カ国協議で和平協議の検討がすでに動き出している。リーカー米国務省副報道官は20日の会議について「アフガンの将来に関与する国際社会の最初のステップに過ぎない」との声明を発表している。

[毎日新聞11月17日] ( 2001-11-17-18:58 )


柳田大元さん:解放を確認 パキスタンの日本大使館

 【イスラマバード澤田克己】在イスラマバード日本大使館は17日、アフガニスタン・タリバンに拘束されていた日本人ジャーナリスト、柳田大元さん(37)が解放されたことを確認した。柳田さんは同日夕(日本時間同日深夜)、パキスタンの国境に到着し、日本大使館員に保護される。柳田さんの健康状態に問題はないという。

 国境には義兄でノンフィクション作家の野村進さんと沼田貞昭大使らが出迎えた。大使館の用意した車でイスラマバードへ向かう。イスラマバード到着は同日深夜(日本時間18日未明)の見込み。

 柳田さんは10月21日、アフガン情勢取材のためパキスタン北西部からアフガン東部ジャララバード入りし、翌22日朝に不法入国容疑で拘束された。同地の諜報機関施設に収容されて、スパイ容疑などでの取り調べを受けていたが、14日にタリバンがジャララバードから撤退した後、一時消息が分からなくなっていた。

[毎日新聞11月17日] ( 2001-11-17-19:46 )


ビンラディン氏:数日内に拘束または殺害の可能性も 英紙報道

 18日付の英紙サンデー・タイムズは英国防省筋の話として、米英軍がウサマ・ビンラディン氏の隠れている場所をアフガニスタン南部の山岳地帯とほぼ特定し、約78平方キロの地域を特殊部隊が捜索する作戦を展開していると伝えた。

 同紙によると、同氏がパキスタンに逃亡するのを防ぐために、この特定された地域から南に抜けるルートを中心に、特殊部隊員をヘリコプターで投入した。

 同日付の英紙サンデー・テレグラフも、英国防当局者の話として、この二日間で情報収集活動が飛躍的に効果を挙げ、同氏の拘束または殺害が「数日内」で可能になってきたと報じた。

 サンデー・タイムズによると、特殊部隊は逃走経路を封じるため十日前からカンダハル近くに入り、小規模の戦闘を重ねながら、丘の上に監視所を作った。これがタリバンへの心理的な圧力になったという。(ロンドン共同)

[毎日新聞11月18日] ( 2001-11-18-14:09


部同盟、英軍特殊部隊に撤退要求 人道援助のみ認める

カブール――アフガニスタンの首都カブールを制圧した北部同盟指導者が18日までに、首都北部に到着した英国海兵隊特殊部隊約100人について、15人のみを残してアフガニスタンを出るよう求めていた。ロイター通信など英国の複数メディアが報じた。

北部同盟情報省幹部のアリフ氏は、同盟の幹部会議の結論として、「100人のうち85人は、国連主導の人道援助活動との調整も事前連絡もなくやってきた。我々の決定は、15人だけを残して、後は撤退させるというもの。15人だけの残留が認められないなら、100人全員が撤退して欲しい」と述べ、英軍のバグラム空港常駐に反対した。

これに対して英国防省は、北部同盟からの正式な撤退要請は受けていないとして、特殊部隊をアフガニスタンから引きあげる予定もないと説明している。

ロイター通信によると、北部同盟のアブドラ外相はストロー英外相と英軍の駐留などについて協議を重ねているという。

アブドラ外相は17日、主な任務が人道援助活動にとどまる限り、英国軍など外国の軍隊は歓迎するが、長期にわたって駐留する必要はないと述べ、国連安保理決議にもとづく多国籍部隊の治安維持活動に対して、含みのある姿勢を見せた。


ビンラディン氏:捜索区域の絞り込みを確認 米大統領補佐官

 【ワシントン布施広】ライス米大統領補佐官は18日、潜伏を続けるウサマ・ビンラディン氏に対し、米国は「網をかぶせつつある」と述べ、同氏の捜索区域を狭めたことを確認した。またウルフォウィッツ国防副長官は、ビンラディン氏が潜伏を続けるのは難しくなっていると述べ、仮に同氏がアフガニスタンから出国した場合は、アフガン以外でも捜索を続ける意向を明らかにした。

 一方、同日、複数の米テレビに出演したパウエル国務長官はビンラディン氏を「見捨てられた人間」と呼び、「この男はどこへ行っても歓迎されないだろう。人殺しでテロリストだ。我々は彼を捕まえる」と述べ、外国逃亡の可能性は低いとの見方を示した。

 CNNテレビに出演したライス補佐官は、同氏が潜伏している可能性がある地域は明言しなかったが、「彼(同氏)の選択肢は、我々が(軍事行動を)始めた時より非常に狭まった」と述べ、同氏の組織「アルカイダ」が核兵器を保有しているとの観測については否定的な見解を示した。

 英紙によると、米英両軍の特殊部隊はアフガン南部を重点捜索地域に設定。米軍はカンダハル近郊の洞くつなどの空爆を続けている。

 またウルフォウィッツ副長官はCBSテレビに対し、タリバンとアルカイダは「大混乱」に陥っており、ビンラディン氏は隠れ家を探すのに必死になっていると指摘。さらに「米国はアフガンだけでなく、世界の約60カ国に張り巡らされたアルカイダのネットワークを追跡する」と述べ、ビンラディン氏を含むアルカイダの幹部を掃討しない限り、米国の軍事作戦は終わらないことを明確にした。

[毎日新聞11月19日] ( 2001-11-19-10:22


アフガン新政権:内外各派の会議 ドイツで開催 北部同盟代表

 アフガニスタンの反タリバン勢力「北部同盟」のアミン在米代表は18日、米CBSテレビに出演し、アフガンの新政権づくりを協議する国内外各派による会議は近くドイツで開催される可能性が高いことを明らかにした。

 同代表によると北部同盟は間もなく欧州に代表団を派遣する段取りという。また新政権について「女性が重要な役割を果たすことが大事」と述べ、女性の参政権を促す考えを表明した。(ワシントン共同)

[毎日新聞11月19日] ( 2001-11-19-09:51


タリバン崩壊:5年ぶりに放送 司会役の16歳少女戻る 

 【カブール中坪央暁】ニュースや音楽、マンガ番組が市民の手に戻った――。タリバン崩壊を受け、厳格なイスラム教支配で禁止されていた国営カブールテレビの放送が18日、アフガニスタンの首都カブールで5年ぶりに再開された。キャスターを務めたのは茶色とクリーム色のスカーフを被った16歳の少女、マリアム・シャケバルさん。5年前に子供番組の司会役として人気を集めた少女との“再会”に、市民は活気づけられた。

 放送はダリ語とパシュトゥン語で、市民がラマダン(断食月)の断食を終えた18日午後6時にスタート。男性司会者が冒頭に「テロリズムとタリバン政権を倒し、みなさんに放送がお伝えできるようになった」と喜びのあいさつ。その後、マリアムさんが音楽やマンガ、ニュース、インタビュー、イスラム教コーランの朗読など番組内容を紹介した。

 タリバン撤退後わずか6日の放送再開。10キロワットしかない送信機の出力の問題などから、放送は当面1日3時間、受信範囲もカブール市内に限られるが、同テレビ局は「外国からの支援も得て1日も早くアフガン全土への24時間放送を実現したい」と、市民の娯楽の完全復活に意欲をみなぎらせる。

[毎日新聞11月19日] ( 2001-11-19-10:34


アフガン新政権:北部同盟の内外協議同意を歓迎 米国務長官

 【ワシントン布施広】パウエル米国務長官は18日、複数の米テレビに出演し、アフガニスタンの反タリバン連合(北部同盟)が、新政権づくりを協議する会議の国外開催に同意したことを歓迎し、同会議が「数日以内に開かれることを希望する」と語った。

 また北部同盟のアミン在米代表は同日、CNNテレビに出演し、会議の開催地は流動的としながらも「ドイツで開かれる可能性がある」と述べた。

[毎日新聞11月19日] ( 2001-11-19-11:09


米、ビンラディン氏をジャララバード近郊で追跡・米誌

 【ニューヨーク18日共同】19日発売の米誌タイム最新号はパキスタン情報当局者の話として、米軍特殊部隊がアフガニスタン東部のジャララバード近郊を中心に、ウサマ・ビンラディン氏を追跡していると報じた。同氏はジャララバード近郊のトラボラ周辺にいるアラブ人兵士約1500人に護衛を求めており、追跡が迫るにつれ、夜間に山中の洞くつを次々と移動しているもようだという。

 米特殊部隊デルタフォースの隊員800人は暗視ゴーグルなどを装着。地元アフガン兵士らの協力も得てビンラディン氏を追跡中だという。任務は同氏を殺害することで、米軍将校の1人は「投降を求めることはない」と言明した。(日経)


「タリバンはビンラディン氏を見捨てた」 英紙

 英紙「タイムズ」のインターネット版は19日付で、米国の同時多発テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏の所在に関するこれまでの報道から、アフガニスタンのタリバン政権はビンラディン氏を「見捨てた」との見解を示した。

 同紙によれば、ビンラディン氏は18日夜、アフガン国内で孤立した状態となり、逃走したという。同紙は、タリバンがもはやビンラディン氏を保護しておらず、手の施しようがないと宣言したとしている。

 ビンラディン氏の所在については、アフガン・イスラム通信が18日、「(アフガン)国内にいるか出国したかは不明だが、タリバン支配地域にはいない」(タリバンのザイーフ駐パキスタン大使)と報じている。一方、反タリバン連合(北部同盟)の幹部は同日、ビンラディン氏が「カンダハル州のマルーフ周辺にいるとの情報を得ている」と述べている。

 「タイムズ」紙は、もしビンラディン氏がアフガン以外の第三国に避難先を求めるならば、中東、とりわけアルカイダの基盤がある湾岸諸国かもしれないとしている。なかでも、ビンラディン氏の姻戚が住むイエメンが同氏にとって「最も魅力的だ」としている。

(了


中東和平:米の仲介方針にアラブ諸国は不信感

 【ワシントン布施広】米政府は19日、中東和平の仲介を積極的に行う方針を表明したが、ブッシュ米大統領は同日、暴力行為停止に関するアラファト・パレスチナ自治政府議長の努力不足を暗に批判するなどパレスチナへの厳しい姿勢を崩していない。和平仲介の意思表明は、アフガニスタン攻撃への反発を緩和する懐柔策との見方も強く、アラブ諸国はブッシュ政権に対する不信感をぬぐえないのが実情だ。

 中東和平に対する取り組みを発表したパウエル国務長官は、現大統領の父親(ブッシュ元大統領)が開催に尽力したマドリード和平会議(91年)の精神の復活を訴え、パレスチナ国家の樹立を認める姿勢を明確にした。さらに和平仲介に関する米国の「指導的役割」という言葉を使い、交渉を積極的に推進する構えを見せた点が注目される。

 ブッシュ政権はこれまで、米政府としての合意案を提示したクリントン前政権に対し「解決策を押し付けた」と批判。イスラエルの要望をくんで、交渉はもっぱら当事者に任せる態度だった。こうした姿勢が和平交渉の求心力を失わせ、イスラエルとパレスチナの対立拡大の一因となっていたことは否めない。

 だが、ユダヤ票を重視するブッシュ政権の「体質」が、どこまで変わったかは疑問だ。ブッシュ大統領は10、11日の国連総会出席の際、アラファト・パレスチナ自治政府議長とは会談せず、19日には「アラファト氏は和平交渉再開のために、暴力行為を大幅に抑制する必要がある」と語った。

 また、米国がアフガン攻撃に忙しい時期に、なぜ新たな中東和平への取り組みを発表したのかという素朴な疑問も残る。米国がアラブ諸国に「誠意」を感じさせるためには、ブッシュ・アラファト会談の実現が一つの試金石になりそうだ。

[毎日新聞11月20日] ( 2001-11-20-18:16


ラマダン:イスラム諸国大使招き夕食会 米大統領

 【ワシントン佐藤千矢子】ブッシュ米大統領は19日夕、イスラム諸国の駐米大使ら約70人をホワイトハウスに招き、イスラム教のイフタール(一日の断食が終わった直後の夕食)を共にした。ラマダン(断食月)期間中のアフガニスタン攻撃にイスラム世界から強い反発が挙がっていることから宗教行事を一緒に過ごし理解を求めたものだ。

 大統領は「イフタールを催すことで、米国はみなさんの友情と偉大な信仰の伝統に敬意を表したい」と強調。さらに「我々の対テロ軍事行動の目的を支持していただき感謝する。今晩も攻撃はアフガンで続いている。アフガンの人々は間もなく平和を味わうだろう」と述べ、ラマダン中の攻撃に理解を求めた。

 イフタールはクリントン前政権時に国務省で開催されたことはあるが、ホワイトハウス内では初めてという。

[毎日新聞11月20日] ( 2001-11-20-18:06 )


テロ防止条約継続審議に、「定義」でイスラム諸国と対立

 【ニューヨーク上村幸治】国連総会第6委員会(法律)は21日、包括的テロ防止条約案を継続審議とし、来年1月28日からの作業部会で再度話し合うことを決めた。条約案は10月の作業部会で合意達成できずに終了した後も、アナン国連事務総長の仲介の下で話し合いが続けられていた。

 同条約は想定されるすべてのテロを対象にするもので、米同時多発テロを受け、早期採択を求める動きが強まっている。しかし、イスラム諸国が「テロの定義」を明確にするよう要求。パレスチナ問題を念頭において「民族自決運動はテロとは呼ばないということを条約の中で確認すべき」などと訴え、欧米諸国と対立している。

[毎日新聞11月22日


ストロー外相がイラン、パキスタン訪問へ アフガン支援など協議

 英BBCのインターネット版が21日付で報じたところによると、ストロー英外相は同日夕(現地時間)、アフガニスタンへの人道支援などについて協議するため、イランとパキスタン両国訪問に出発する。米国の同時多発テロ発生以来、ストロー外相がイランを訪問するのは2度目。

 ストロー外相は、アフガン国内の各部族や民族、派閥と歴史的なつながりを持つ隣国イランやパキスタンの役割を重視しており、「アフガン国内の各派に(イランやパキスタンが)行うことのできる積極的支援について話すつもりだ」と述べている。

 出発に先立ち英首相官邸で行われた記者会見で、ストロー外相はアフガン支援をめぐって米英が分裂しているとの見方を打ち消そうとした。

 一方、イラン紙「テヘラン・タイムズ」のインターネット版が22日付で報じたところによると、、イラン外務省のアセフィ報道官は21日、アフガニスタンの反タリバン連合(北部同盟)のアブドラ外相も23日までにテヘランを訪問する予定だと述べた。アブドラ外相は、イランのハラジ外相らとアフガン情勢について協議する予定。

 また同紙によると、イランのオランダ大使館は21日、オランダのファンアールツェン外相が12月1日からテヘランを訪問し、3日間滞在すると発表した。ファンアールツェン外相は、アフガン危機などの地域情勢についてイラン高官らと話し合う予定。(了


カンダハル撤退「義勇兵が強硬反対」

 【クエッタ(パキスタン南西部)井田純】アフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバンの最高指導者、オマル師が本拠地、カンダハルからの撤退拒否の方針を示していることについて、タリバンと撤退交渉を続けるパシュトゥン系の地方軍閥・部族のスポークスマンは21日、「アラブ義勇兵の強硬な反対が背景」と語り、本拠地でもタリバンと外国義勇兵の間で内部対立が起きているとの見方を示した。

 スポークスマンによると、カンダハルに駐留しているタリバン側部隊は大半をアラブやロシア・チェチェン共和国など外国からの義勇兵が占めている。撤退交渉は17日から始まり、軍閥・部族側が無血開城による支配権委譲を求めたのに対し、タリバン側は一時、譲歩する姿勢を見せた。

 しかし、義勇兵の間に、なお撤退拒否の強硬意見が強く、交渉が難航しているという。

 一方、現在のカンダハルの情勢について、「市民の間で起きたタリバンへの抵抗運動も現在のところ沈静化し、いまだタリバンの完全な支配下にある」と述べた。

 タリバンと同部族勢力は、カンダハル州の西隣のヘルマンド州で衝突。軍閥・部族側はラフマンジャン司令官の部隊が同州の中心都市、ラジカルガからいったんタリバン軍を撤退させた。だが、タリバン側のアラブ義勇兵に奪還され、戦闘が続いている。

 一方、カンダハル北側のウルズガン州にはザヒル・シャー元国王の側近のハミド・カルザイ氏の勢力が展開。タリバンに撤退を求めて二つの勢力が双方向からカンダハルに向かう情勢という。

 軍閥・部族側はタリバンと撤退交渉を続ける一方、反タリバン連合(北部同盟)のタジク人勢力とも事態収拾に向けた接触をすでに始めている。しかし、タリバン後の新政権をめぐる本格協議については「カンダハルからタリバンを撤退させた後になる」と、軍閥・部族側のアフガン南部での勢力確立後に持ち越す意向を表明。カブールを奪回し、勢いを増す北部同盟をけん制した。

[毎日新聞11月22日


クンドースに激しい空爆――米軍

 【カブール中坪央暁】米軍は21日、反タリバン連合(北部同盟)がタリバン勢力を制圧しきれていない北部クンドースと南部のタリバン本拠地カンダハルに激しい空爆を続行した。

 タリバン系アフガン・イスラム通信によると、クンドースにはタリバン軍とパキスタン、アラブ、チェチェン義勇兵で構成する1万人以上の軍隊がなお残っている。同市を包囲する北部同盟側が20日から投降交渉をしているが難航している。

 一方、カンダハルでは、米軍が20日夜から21日未明にかけて激しい空爆を行った。同通信によると、この爆撃で少なくとも2人が死亡したという。

[毎日新聞11月21日


クンドースのタリバン投降に同意――北部同盟

 【ドゥシャンベ大木俊治】米CNNテレビは21日、アフガニスタン北部の要衝クンドースに立てこもっていたアフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバンの部隊が、反タリバン連合(北部同盟)の要求を受け入れ、投降することに同意したと報じた。CNNのインタビューに、タリバン軍司令官と北部同盟のドスタム将軍の双方が明らかにしたもので、ドスタム将軍は「戦闘なしに無血開城できるだろう」と語った。

 クンドースからの投降で、タリバンの支配地域は本拠地のカンダハルとその周辺に限定されることになる。CNNに対し、タリバン軍司令官はこれまで徹底抗戦を求めていたアラブやロシア・チェチェン共和国、パキスタンからの義勇兵も含めて全面投降するとの見通しを示した。

 ただ、クンドースの明け渡し時期や手順、捕虜の扱いなど投降の具体的な内容についてはなお交渉が続いており、北部同盟とタリバン側が今後、最終合意に向けて徹夜で詰めるという。また、タリバン側が求めているとされる投降にあたっての国連など第三者の立ち会いなども不明だ。

 タリバンと北部同盟はマザリシャリフで19日から投降交渉を始めた。しかし、タリバン側が投降を検討する地元タリバン兵と徹底抗戦を求めるアラブやチェチェンなど義勇兵の間で内部分裂したこともあり、交渉は難航していた。

[毎日新聞11月22日


「北部同盟も虐待」アフガン亡命女性、国連で証言

 【ニューヨーク上村幸治】国連で20日、アフガニスタンの女性問題を議論する討論会が開かれ、タミーナ・ファリャルと名乗る亡命女性が、服で顔を隠して「タリバン政権もタリバンを追い出した北部同盟も、虐殺や女性の権利の侵害を行なってきた」と述べた。

 ファリャルさんは、92年から4年続いた北部同盟支配の時代にも「数百人の女性がレイプや強いられた結婚を拒むために自殺した」と述べた。タリバン政権だけが女性を虐待したのではないと強調、北部同盟主体の政権になっても女性保護を働きかけて欲しいと訴えた。

 旧タリバン政権は女性に対する抑圧で知られ、昨年8月には、カブールの女性が国際機関や外国の非政府組織(NGO)で働くことを禁じていた。

[毎日新聞11月21日


米軍:ビンラディン氏らの国外脱出を警戒 不審船舶を臨検

 【ワシントン布施広】ペース米統合参謀本部副議長は21日、パキスタン沖で米艦艇が不審な船舶を発見した場合、停船を求めて臨検を行っていると語った。同時多発テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏や支援組織「アルカイダ」の幹部らが、アフガニスタンからパキスタンを経て逃走するのを防ぐ狙いで、米軍は新たな無人偵察機も投入、監視体制を強めている。

 USAトゥデー紙によると、米海軍は20日にパキスタン沖での臨検実施命令を受けた。ペース副議長は21日の会見で、アフガン南部のカンダハルなどに「アルカイダ」メンバーが立てこもっていると指摘、「彼らの逃げ道の一つは船だ」と述べた。

 また、ラムズフェルド長官は同日、長距離偵察機「グローバル・ホーク」がアフガン領内で監視飛行を行っていることを確認した。同機は高性能カメラや赤外線センサーを搭載、高度約2万メートルから24時間監視が可能で、米中央情報局(CIA)の無人偵察機「プレデター」より長時間、広範囲の偵察ができる。山中で動く人などを探知するにはうってつけだ。

[毎日新聞11月22日] ( 2001-11-22-19:22


オマル師の後継者を指名 タリバン聖職者会議

 イラン紙「テヘラン・タイムズ」のインターネット版が22日付で報じたところによると、アフガニスタン・タリバン政権の聖職者らは20日夜、同政権最高指導者オマル師の後継者を指名した。アフガンからの複数の報道として伝えた。

 これらの報道によれば、同夜の聖職者会議でオマル師の後継としてオスマン師を指名したという。

 オスマン師はカンダハル市民で、オマル師が死亡した場合に後を継ぐという。(了)


(11/21)「ビンラディン氏、拘束より殺害を」・米国防長官
  

 【ワシントン21日=池内新太郎】ラムズフェルド米国防長官は21日、CBSテレビのインタビューで、同時テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏を生きたまま拘束するより、殺害する方が望ましいとの見解を明らかにした。身柄拘束は作戦的に難しいうえ、その後の裁判など難題を抱え込むことから、攻撃による殺害が現実的な選択肢との考えを示したものとみられる。

 長官は「死んでいた方がいいか、生きたまま拘束したいか」との質問に対し、「政治的には正しい答えかどうかわからないが、私自身は前者(死んでいた方)が望ましい」と語った。

 長官は記者団の質問に答え、アフガンでの掃討作戦を強化するため、ウズベキスタンへの対地攻撃機AC130の配備を目指し、同政府と調整を続けていると指摘。新型偵察機を導入してアフガン南部の偵察活動もテコ入れしていることを強調した。

 アフガン北部のクンドゥズにこもっているタリバンとテロ組織「アルカイダ」勢力に関しては、外国人が主体との見方を示し、アラブ系やチェチェン人のほか、中国人も混じっていると述べた。これに関連してウルフォウィッツ国防副長官は21日の記者会見で「アルカイダ部隊の中にはウイグル系がいるとの報告がある」と説明した。

 長官は同日、ノースカロライナ州の特殊部隊基地を訪問し、隊員を激励。アルカイダの掃討に向けて、今後もアフガンの特殊部隊を増強していく方針を表明した。


(11/21)米大統領「勝利は確実」・感謝祭休暇前に軍を鼓舞
  

 「悪に打ち勝つと信じている」――。感謝祭の休暇入りを控え、ブッシュ米大統領は21日、ケンタッキー州のフォートキャンベル空軍基地を訪問し、詰めかけた1万5000人の兵士の労をねぎらうとともに、アフガニスタンでの米軍事行動の成果に胸を張った。基地内での演説では「世界中で、何年かけてもテロとの戦いには勝利する」と述べ、テロ撲滅への強い決意を改めて表明した。

 ブッシュ大統領は「敵は我々を疲れさせようとしているが、間違っていることを証明しようではないか」と呼びかけ、米軍関係者を鼓舞。同時に「この作戦で最も難しいステップが残っている」と述べ、ウサマ・ビンラディン氏らの行方を慎重に追いながら、テロ組織の掃討を進めていく考えを強調した。

 カーキ色をした兵士用のフライトジャケットに身を包んだ大統領は第101空てい師団の兵士らとともに基地内のホールで感謝祭恒例の七面鳥料理を楽しみ、米軍最高司令官としての一体感も演出した。

 大統領はこの後、専用機でワシントン郊外のキャンプデービッド山荘に移動、週明けまで感謝祭の休暇を楽しむ予定だ。(ワシントン=春原剛)


アフガン攻撃:タリバンがクンドースから撤退開始

 【カブール大木俊治】アフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバンは24日、北部で唯一勢力を保っているクンドースから撤退を始めた。投降したタリバン正規軍の規模は約700人という。これに先立ちタリバンの外国人義勇軍約600人も投降を開始した。反タリバン連合(北部同盟)は降伏期限を25日に延長し、交渉を続けているが、25日には投降が完了するという情報もある。

 アフガン北部マザリシャリフの北部同盟幹部が衛星電話で毎日新聞に語ったところでは、24日午前からアラブ、チェチェン、パキスタン人の義勇兵が武器を持って投降を開始した。その後、タリバン正規兵も戦車や対空砲、軍用車両と共にも投降を始めたという。投降兵は、今後マザリシャリフの北部同盟軍に引き渡される予定という。

 北部同盟側は戦車などでクンドースを包囲している。同幹部は「今後も投降は続くだろう」と述べ、25日にもタリバンがクンドースの明け渡しを始める可能性を示唆した。だが、クンドースに立てこもるテロ組織アルカイダのメンバーが徹底抗戦の構えをみせており、明け渡しの時期は流動的だ。

[毎日新聞11月25日] ( 2001-11-25-01:13


攻撃長期化で国民に理解求める 米大統領のラジオ演説

 【ワシントン中井良則】ブッシュ米大統領は24日、土曜恒例のラジオ演説で「困難な時期が待ちうけている。戦いが早く、また、たやすく終わることはない」と述べ、アフガニスタン攻撃の長期化で改めて国民に理解を求める。この日は感謝祭(22日)後の週末にあたるため、大統領は、同時多発テロ後、助け合いや寛容の伝統を示してきた米国民への感謝の言葉を述べる。

 さらに「敵は多くの国に隠れ、悪事をたくらんでいる。だが、我々は大義の正しさを信じている」と述べ、テロリストを非難し、米国の正当性を強調する。

 大統領は22日から25日までの感謝祭の連休をワシントン郊外の大統領山荘キャンプデービッドで家族と過ごしている。

(毎日新聞2001年11月25日朝刊から


「米兵少なくとも35人死亡」 パキスタン紙

 【イスラマバード福原直樹】パキスタンの英字紙「ザ・ニューズ」は24日、アフガニスタン南部で米軍特殊部隊の少なくとも35人が死亡し、他の負傷兵とともにパキスタン中部のジャコババード空軍基地に運ばれたと報じた。米国、パキスタンとも、この情報を確認していない。

 同紙によると米軍は22日から、テロ組織アルカイダとタリバンの攻撃作戦を展開したが、タリバン側の奇襲を受け、撤退を余儀なくされたという。死亡した兵士らは、タリバン側の攻撃で孤立した模様だと同紙は伝えている。遺体は今後、10機の輸送機で米国に運ばれる予定という。

(毎日新聞2001年11月25日朝刊から


救援物資搬入は「あと1カ月が正念場」 大島・国連事務次長

 大島賢三・国連事務次長(人道問題担当)は24日、東京都内で毎日新聞と会見した。アフガニスタンへの国連の救援物資搬入について「冬が本格化するまでのあと1カ月が正念場だ。最善を尽くすが、すべての危機を回避するのは難しいのでは」と述べ、アフガンの避難民が依然、危機的な状況に置かれていることを強調した。

 日本の国連への協力については「顔が見える形で行動してくれている。今後、アフガン復興に日本が助力するにはさらに腹の座った対応が必要だ」と語った。

 国連は現在、アフガンに食糧や医薬品を1カ月に5万2000トン輸送する計画を立てている。10月の実績は計画の約半分、11月は北部同盟の反攻で9日から1週間、輸送が途絶えた。

 大島事務次長は「11月は目標を達成しそうだが、不安材料はある。最大の問題は治安が悪化していることだ。末端の人々まで物資が完全に届いている保障もない。北部山岳地帯など、我々の目に届かない場所で悲劇が生じる恐れがある」と述べた。

 今後、日本のアフガン復興へのかかわり方については(1)人材育成や技術協力(2)推定2000万個の地雷除去への協力(3)麻薬に代わる新しい産業の育成協力――などを挙げ、「日本がこうした問題に息長く取り組むために、国内体制を整える必要がある」と訴えた。

 大島事務次長は27日に東京で行う人道援助を訴える国連アピール出席のために帰国した。【山科武司】

(毎日新聞2001年11月25日朝刊から


「こんな目に二度と遭いたくない」 パキスタンに避難したアフガン市民に聞く

 【クエッタ(パキスタン中西部)井田純】アフガニスタンのタリバン支配地域への空爆で、アフガンに隣接するクエッタの病院には、カンダハルなどアフガン南部から負傷者が搬送されている。破壊された街から逃れてきたアフガン市民にカンダハルの様子を聞いた。

 カンダハルの自宅付近が爆撃されたバドロさん(60)は、左手や顔にけがをした。近所の住民に助け出され、病院に運ばれたが、「タリバンとか北部同盟とか難しいことは分からない。こんな目に二度と遭いたくない」と疲れ切った表情で話した。

 シャー・モハマドさん(16)は20日に空爆に遭い、両足にやけどを負った。「昼間の爆撃だった。カンダハルを歩いている時で、物陰に隠れるひまもなかった」と話す。シャーさんを連れてクエッタに逃れてきた兄のウリさん(22)は、カンダハルの様子を「空爆で何もかも破壊され、それが逆にタリバン支持を高めている」と語った。

 ウリさんによると、首都カブールの陥落後に、タリバンがカンダハルを放棄するとの情報が流れ、これに呼応してタリバンに対する市民の反乱が起きた。「多くのアラブ人兵士がいて、市民の間には反感もある。でも、この動きはごく一部ですぐに収まってしまった」と話した。

 現在、市内には戦車やロケット砲を持ったタリバン部隊が展開。市内を掌握し、地上戦に備えている様子だという。

 同じくタリバン支配地域のヘルマンド州から来た負傷者たちの話では、同州に駐留している数千人のタリバン部隊は、大きな被害を受けていないという。西部ヘラートにいたアタルさん(35)によると、タリバン兵がヘラートから撤退した後に空爆があったという。「その時、市内は民間人だけで、爆撃で完全にパニック状態になった。ヘラートは平和だった。米軍の爆撃以外は」と話した。

(毎日新聞2001年11月25日朝刊から


米軍上陸:カンダハル周辺で海兵隊員 オマル師らの包囲網強化

 【ワシントン布施広】米当局者によると、米軍は25日、アフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバンの最後の拠点カンダハル周辺にヘリコプターで数百人の海兵隊員を輸送した。米軍特殊部隊を除けば、アフガン攻撃開始以来、初の地上兵力の投入であり、米軍は最終的には1500人程度の海兵隊員を空輸する方針だ。カンダハル陥落が見込まれる中、米軍は同市周辺の地上包囲網を強化し、タリバンの最高指導者オマル師らの拘束を目指す新たな作戦を開始した模様だ。

 海兵隊投入について国防総省のスポークスマンは「軍事作戦や兵員配置にはコメントできない」と述べ、正式には確認していない。しかし、カンダハル南東部の空港には米軍ヘリが次々に到着。兵員や装甲兵員輸送車などを搬入し、空港上空には米軍機とみられる大型航空機が旋回しているという。

 また複数の米当局者はCNNなどに対し、海兵隊がカンダハル周辺に到着したことを認め、今後数日以内に米軍C130輸送機で、さらに数百人の海兵隊員を運ぶことを明らかにした。海兵隊員の任務については「さまざまな機能がある」と述べるにとどまった。

 パキスタン沖には米軍の揚陸強襲艦2隻が待機、国防総省は情勢に応じて1500人程度の海兵隊員を上陸させる方針だった。アフガン領内には既に数百人の特殊部隊が入っている。北部クンドースに続いて南部のタリバンの拠点カンダハルの陥落も見込まれる中、米軍は海兵隊員を投入して特殊部隊の活動を援護。タリバン幹部の拘束作戦やウサマ・ビンラディン氏の捜索を強化するものとみられる。

 タリバンの最高指導者オマル師は、なおカンダハルにとどまっている模様だ。米軍が同師らの拘束に成功すれば、ビンラディン氏の居場所特定に向けて大きく前進する可能性もある。

[毎日新聞11月26日] ( 2001-11-26-12:50


アフガン:「タリバンは数日で陥落するだろう」 北部同盟外相

 【ワシントン布施広】アフガニスタンの反タリバン連合(北部同盟)のアブドラ外相は25日、米CBSテレビに出演、タリバンの本拠地カンダハルについて「何日間かでタリバンの抵抗は終わるだろう」と述べ、北部同盟とタリバンの戦闘が数日以内にも終息し、陥落するとの見通しを示した。外相はまた、北部のクンドースが「解放された」と述べ、同市のほとんどが北部同盟の支配下に入ったことを確認した。同市の一部地域ではなお散発的な武力衝突が続いているという。

 一方、投降したタリバン兵の処遇については「恩赦は、犯罪に関与していないすべての兵士に適用される。タリバン指導部については個々のケースで判断する」と述べ、タリバン側の投降を暗に促した。しかし、タリバンの最高指導者オマル師は「戦争犯罪人」だと強調、「テロリストは裁きにかけられるだろう」と述べた。

[毎日新聞11月26日] ( 2001-11-26-09:55


北部同盟:暴動の外国人義勇兵300人死亡 鎮圧に米軍空爆も

 【マザリシャリフ(アフガニスタン北部)田中洋之】マザリシャリフ郊外の収容所で25日に起きた暴動で、外国人義勇兵の死者は約300人となった。米軍は北部同盟の暴動鎮圧を空爆などで援護した。この戦闘で、米兵士1人が死亡したとの情報もあるが、米国防総省は確認していない。

 暴動を起こした義勇兵は、24日にクンドースで投降したチェチェン人、パキスタン人、アラブ人ら。北部同盟側は当初約100人で応戦。その後、クンドースから約500人の部隊が引き返し、米軍は義勇兵が収容されている施設の南側を空爆したという。

[毎日新聞11月26日] ( 2001-11-26-11:03


アフガン難民:法務省、9人を不認定 「審査不十分」と弁護側

 難民認定申請中に東京入国管理局に不法入国・残留の疑いで摘発されたアフガニスタン人9人に対し、法務省は26日、法務大臣名で難民とは認定しないとする決定を出した。これに対し、弁護団は「代理人の証拠提出を拒否するなど、入管の対応は極めて異例で、十分な難民審査が行われていない」と主張し、審査の継続を申し入れた。

 今回の決定について、法務省入国管理局は「個別のことについて決定理由など詳細は申し上げられない」とコメントしている。

 9人はアフガンの少数民族、ハザラ人8人とタジク人1人で、18〜41歳の男性。今年3〜8月に入国し、難民認定を申請したが、10月3日、入管に拘束された。9人は収容令書の執行停止を東京地裁に求めた。

 このうち5人を担当した同地裁の藤山雅行裁判長は「難民であるがい然性が相当程度あり、これを考慮せず収容したのは違法」と訴えを認め、入管は今月9日、拘束を解いた。別の裁判長が担当した4人は、訴えが認められず、東京高裁で審理が続けられていたが26日、同高裁は訴えを棄却した。5人の地裁決定については入管が即時抗告しており、近く同高裁が決定を出すとみられる。入管側は同高裁で「就労目的の不法入国」と主張している。

 東京入管はこの日、5人に対し、難民認定申請の結果を通知するため出頭を求めていたが、弁護団だけが出向いた。弁護団は5人分の通知書の受け取りを拒否した。4人には収容場で通知された。

 弁護団事務局長の大貫憲介弁護士は、難民とは認定しないとする決定について「入管は、拷問を受けたりタリバンに家族を殺されたりしたという彼らの供述を『裏付ける証拠がない』と言っているが、国連難民高等弁務官事務所は『立証責任は柔軟にとらえるべきだ』としている。『あなたの言うことなど信用しない』と言われて自殺を図った人もおり、とても適正な審査の結果とは思えない」と話した。

国際的におかしい 外国人問題に詳しい田中宏・龍谷大経済学部教授の話 難民の認定数などをみても、日本の難民認定の基準が国際的におかしいことははっきりしている。認定の可否を法務省の内部だけで決めているのは異常で、国連難民高等弁務官事務所をメンバーに入れることや独立した第三者機関の設置を急がねばならない。

立証責任重すぎる 本間浩・駿河台大法学部教授(国際法専攻)の話 欧州各国は証拠の不備があっても、面接を通じて申し立ての信ぴょう性を確認し、難民認定をしている。これに対して、日本は迫害の証拠提出を当事者に強く求めるなど、立証責任が当事者に多く負わされすぎており、見直しの必要がある。

[毎日新聞11月26日] ( 2001-11-26-14:07


(11/26)米部隊、カンダハル近郊に降下・地上展開を開始
  

 【イスラマバード26日=野沢康二】アフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバンの本拠地カンダハル付近に25日、米地上部隊がヘリコプターで降下、地上展開を始めたもようだ。米NBCテレビによると投入された地上部隊は米海兵隊約1500人。反タリバンの北部同盟がタリバンの北部拠点クンドゥズをほぼ制圧したのを受け、タリバンの本拠地陥落を目指し本格攻撃を始めたとみられ、戦況は新たな節目を迎えた。

 ロイター通信によると、日本時間25日午後10時ごろ、反タリバン勢力部隊がカンダハル南東にある空港を制圧し米軍ヘリ部隊が着陸したと、反タリバン勢力の報道官が話した。大型の飛行機が上空を旋回、ヘリコプターが離着陸を繰り返していたという。ただ、米国防総省報道官は情報の確認を避けている。

 これに先だち、ザヒル・シャー元国王派のハミド・カルザイ氏と元カンダハル州知事のグル・アガ氏ら反タリバン勢力の部隊が、カンダハルからパキスタン国境まで南東に伸びる街道を封鎖。米軍部隊の後方を守るために国境に向け進軍した。カンダハルの南東約100キロにある街道沿いのスピンブルダクでは日本時間26日未明、タリバン兵が撤退を始めた。

 パキスタン政府は日本時間25日午後10時半、アフガンとの国境警備強化を発令した。テロ組織アルカイダの指導者で米同時テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏と幹部らの入国を警戒するためだ。

 一方、カイロ発タス通信の報道によると、パキスタンのクエッタに駐在する反タリバン勢力幹部は25日、タリバンとの間でカンダハル明け渡し交渉を始めたと表明した。

 タリバンの本拠地カンダハルには、最高指導者オマル師が潜んでいるとみられる。アフガン北部のクンドゥズは北部同盟を中心とする反タリバン軍がほぼ制圧、タリバンの支配地域は本拠地カンダハル周辺の数州のみとなっている。


(11/26)アフガン代表者会議、北部同盟・元国王派11人ずつ参加
  

 【ボン25日=小松潔】国連の報道官は25日、ボン近郊で27日から始まる国連とアフガニスタン各派による代表者会議の出席者数を明らかにした。北部同盟、亡命中のザヒル・シャー元国王派がそれぞれ11人、キプロスに拠点を持つイラン寄りのグループとペシャワル(パキスタン)難民グループからはそれぞれ5人が出席するという。北部同盟と元国王派を同数にすることでアフガンで占領地を拡大する北部同盟をけん制する格好になっている。

 国連報道官は会議の目標について「少なくともカブールの暫定政府発足の前提を作りたい」などと語った。国連からはブラヒミ事務総長特別代表(アフガン担当)らが参加、会議の総勢は50人前後となる見通し。

 国連代表団や元国王派などはすでに会場となるドイツ政府迎賓館に到着。しかし、肝心の北部同盟の代表団のボン入りは26日夕になるとみられる。ブラヒミ事務総長特別代表は先にボン入りした代表団と個別協議に入り、会議は27日午前10時(日本時間同日午後6時)に正式に開始する。


(11/26)アフガン元国王、北部同盟へ対決姿勢
  

 【ボン25日=小林明】イタリアに亡命中のアフガニスタンのザヒル・シャー元国王は25日、地元メディアに対し「首都カブールはアフガン国民の象徴であり、国連による治安部隊が必要不可欠だ」と表明した。カブールを制圧して新政権づくりを主導しようとする反タリバン勢力、北部同盟への対決姿勢を鮮明にした。

 元国王は「新政権が国連や多国籍軍を後ろ盾に発足するまで、状況は日に日に悪化するばかりだ」とアフガン国内の政情不安や治安悪化に強い懸念を表明した。そのうえで「国際社会からの圧力があれば周辺国からの介入はなくなる」と指摘、北部同盟を支援してきたロシア、イランなどの政治介入を排除するため国連主導の新政権づくりが好ましいとの見方を示した。


(11/26)米部隊、カンダハル近郊に降下・地上展開を開始
  

 【イスラマバード26日=野沢康二】アフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバンの本拠地カンダハル付近に25日、米地上部隊がヘリコプターで降下、地上展開を始めたもようだ。米NBCテレビによると投入された地上部隊は米海兵隊約1500人。反タリバンの北部同盟がタリバンの北部拠点クンドゥズをほぼ制圧したのを受け、タリバンの本拠地陥落を目指し本格攻撃を始めたとみられ、戦況は新たな節目を迎えた。

 ロイター通信によると、日本時間25日午後10時ごろ、反タリバン勢力部隊がカンダハル南東にある空港を制圧し米軍ヘリ部隊が着陸したと、反タリバン勢力の報道官が話した。大型の飛行機が上空を旋回、ヘリコプターが離着陸を繰り返していたという。ただ、米国防総省報道官は情報の確認を避けている。

 これに先だち、ザヒル・シャー元国王派のハミド・カルザイ氏と元カンダハル州知事のグル・アガ氏ら反タリバン勢力の部隊が、カンダハルからパキスタン国境まで南東に伸びる街道を封鎖。米軍部隊の後方を守るために国境に向け進軍した。カンダハルの南東約100キロにある街道沿いのスピンブルダクでは日本時間26日未明、タリバン兵が撤退を始めた。

 パキスタン政府は日本時間25日午後10時半、アフガンとの国境警備強化を発令した。テロ組織アルカイダの指導者で米同時テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏と幹部らの入国を警戒するためだ。

 一方、カイロ発タス通信の報道によると、パキスタンのクエッタに駐在する反タリバン勢力幹部は25日、タリバンとの間でカンダハル明け渡し交渉を始めたと表明した。

 タリバンの本拠地カンダハルには、最高指導者オマル師が潜んでいるとみられる。アフガン北部のクンドゥズは北部同盟を中心とする反タリバン軍がほぼ制圧、タリバンの支配地域は本拠地カンダハル周辺の数州のみとなっている。


アフガン攻撃:
米海兵隊が初めて戦闘参加 カンダハル周辺

 【ワシントン布施広】アフガニスタンのカンダハル近郊に前線基地を設営している米海兵隊は26日、タリバン勢力とみられる戦車など15台の車列を攻撃、数台を破壊した。アフガンで海兵隊が戦闘に参加したのは初めて。同日も海兵隊員が前線に続々と到着し、基地設営は順調に進んでいるという。

 ロイター通信などによると、海兵隊は基地設営の一環として、カンダハル南方約90キロにあるドランギ滑走路を支配下に置いた。この滑走路はウサマ・ビンラディン氏が再建し、タリバンの最高指導者オマル師も数日前までヘリコプターの発着に使っていたという。前線基地の正確な位置は公表されていない。

 基地設営中に15台の戦車や装甲車などが近付いてきたため、海兵隊は攻撃ヘリで車列に発砲、撃退したという。基地設営を阻止しようとしたタリバン側が攻撃を仕掛けた可能性が高い。死者数などは不明。

 滑走路は砂漠に囲まれ、近くに小さなモスク(イスラム寺院)と、格納庫に使われたとみられる大きな建物があるという。前線海兵隊のマチス司令官は「海兵隊の到着により、我々はアフガニスタンの一部を占有した」と語った。

 アフガンに投入された海兵隊はカリフォルニア州とノースカロライナ州にそれぞれ本部を置く第15、第26遠征部隊で、26日までに約500人が到着、最終的には1000人を超える見通し。

[毎日新聞11月27日] ( 2001-11-27-11:05


アフガン攻撃:
カンダハルへの海兵隊投入認める 米国防長官

 【ワシントン佐藤千矢子】ラムズフェルド米国防長官は26日の記者会見で、アフガニスタン南部にあるイスラム原理主義勢力タリバンの本拠地カンダハル周辺に数百人規模の米海兵隊を投入し、前線基地の設営を始めたと公式に認めた。また、その目的について、同時多発テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏の支援組織「アルカイダ」とタリバンの動きを封じることにあると言明し、ビンラディン氏拘束に強い意欲を示した。

 長官は海兵隊投入について「占領軍ではない。タリバンとアルカイダの自由な移動を阻止し、圧力を加えるため、前線基地を設営することにある」と説明。また、カンダハルに基地を設営する意味について「(カンダハルには)幹線道路が通り、イランやパキスタンとの出入り口になっている。それらを破壊できる利点がある」と述べ、輸送や通信を寸断する作戦であることを明らかにした。

[毎日新聞11月27日] ( 2001-11-27-10:59


イラク:
大量破壊兵器廃棄査察拒否を理由に攻撃示唆 米大統領

 【ワシントン布施広】ブッシュ米大統領は26日、大量破壊兵器廃棄をめぐる国連査察を拒否し続けているフセイン・イラク大統領を名指しし「査察官の入国を許可し、大量破壊兵器を開発していないことを示す必要がある」と指摘、イラクが拒否した場合は軍事行動も辞さない構えを示した。米政府内では最近、アフガニスタン攻撃終了後、イラク攻撃を唱える意見が噴出しているが、ブッシュ大統領が同時多発テロとは直接関係のない国連査察を盾に、攻撃を示唆したのは初めて。

 また、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)などを念頭に「大量破壊兵器の開発によって他国を脅かす者」は責任を問われると述べ、実際にテロに関与しなくても、大量破壊兵器の開発目的によっては、テロとの関連で懲罰対象とする「新見解」を示した。

 ホワイトハウスでの会見で大統領は「テロリストをかくまい、養う者もテロリスト」と従来の見解を繰り返した後、「世界を恐れさせるために大量破壊兵器を開発する者も責任を問われる」と語った。

 イラク査察の枠組みは、米英軍によるイラク大規模空爆(98年12月)によって完全に宙に浮き、99年以降、既に3年近くに渡り、イラクは査察受け入れを拒否している。イラクが査察を拒み続けた場合の対応を問われたブッシュ大統領は「彼(フセイン大統領)は、いずれ分かる」と述べ、軍事的懲罰を検討していることを強く示唆した。

 さらに北朝鮮に対しても、核査察の受け入れやミサイル輸出の停止などを改めて求め、米朝対話再開の条件として「彼らが大量破壊兵器を開発しているかどうかを知る必要がある」と述べた。

 一方、アフガン攻撃について大統領は「米国を攻撃した人々を狩り出す危険な段階に入った」と述べ、ウサマ・ビンラディン氏らを捜索する中で、米兵の犠牲も覚悟しなければならないと訴えた。また、テロの容疑者を軍事法廷で裁く米国の方針は、欧州諸国などの批判を浴びているが、大統領は「戦時には大統領が軍事法廷を設置する選択肢を持っている」と述べ、正しい決定と強調した。

[毎日新聞11月27日] ( 2001-11-27-11:30


米海兵隊、アフガン南部で本格戦闘開始

アラビア海の米強襲揚陸艦ペリリューからヘリコプターでアフガニスタン南部の作戦に向かおうとする海兵隊員ら〔著作権:AP.2001〕

 【ワシントン26日=池内新太郎】アフガニスタン南部のカンダハル近郊に展開した米海兵隊は現地時間の26日、本格的戦闘を開始した。海兵隊に同行しているAP通信などが報じた。ラムズフェルド国防長官は同日の記者会見で、海兵隊派遣を正式に確認するとともに、前線基地を確保することでタリバンとアルカイダに圧力をかけ、封じ込めを狙う考えを表明した。

 戦闘は海兵隊が占拠した空港周辺で発生。空港を目指して進んできたタリバンのものとみられる約15台の戦車と軍用車両を武装ヘリなどで攻撃した。双方の被害状況などは不明だが、空港の使用に支障は出ていないという。同日までにアフガン入りした海兵隊は約500人で、最終的には千数百人程度に達する見通し。タリバンやアルカイダ幹部の逃亡ルートの封鎖などにあたっている特殊部隊を支援し、好機が到来すれば掃討作戦に乗り出す構えだ。