46112 ドキュメント(2) 事件直後の対応

 以降ブッシュ政権は、直ちに次のことを為した。及び関連する主要な動きも見ておくことにする。

第一ラウンド

 @・ブッシュ声明と同盟国の呼応
 A・非常事態宣言
 B・空港その他交通機関の封鎖
 C・犯人の割り出しと特定
 D・現場の迅速な処理対応と経過
 E・予後対策 



第二ラウンド

 @・追悼集会
 A・議会決議と戦争予算の確保
 B・報復世論造り
 C・報復関連諸国との下交渉
 D・実行犯グループの確定
 E・国連対策
 F・
諸外国の報復支援のその後の動き
 G・現場処理の様子と経過


第三ラウンド

 @・報復作戦指揮者の確定と予備役軍人の召集
 A・パキスタンから民間外国人避難開始。
 B・空港運行開始
 C・犯人の検挙始まる
 D・タリバンの対応
 E・軍事作戦計画の立案
 F・
アラブ諸国に踏絵迫る
 G・


第四ラウンド

 @・パキスタンによるタリバン交渉
 A・ブッシュ軍作戦名を明らかにし、国民への呼びかけ
 B・国防省長官が特殊部隊作戦披露
 C・イスラエルの動き
 D・軍事態勢に向けての法改正の動き
 E・ブッシュが軍事作戦で各国と協議
 F・
タリバンがイスラム社会へ共闘の呼びかけ
 G・


第五ラウンド

 @・米国イスラム教徒への呼びかけ
 A・国連の動きとブッシュの対応
 B・米欧緊急金利利下げ、日銀追随
 C・ニューヨーク株式市場の値動き
 D・日本株式市場の値動き
 E・アラブ諸国の動き
 F・米国の緊急経済安定対策

 G・


 以下、各項を見ていくことにする。

【@・ブッシュ声明と同盟国の呼応】

 ブッシュ大統領が11日午後8時半(日本時間12日午前9時半)、全米向けに発表した声明の要旨は次の通り。

 一、邪悪で卑劣なテロ攻撃により数千人の命が失われ、わが国は深い悲しみに覆われている。テロの狙いは、国を混とん状態にするものだ。今日、我々は悪の正体を見た。

 一、しかし、彼ら(テロリスト)は失敗した。彼らはビルの土台を壊すことはできたが、米国の基礎に触れることはできなかったからだ。
   Terrorist attacks can shake the foundations of our biggest buildings, but they cannot touch the foundations of America.

(テロリストは、アメリカのビルを破壊できても、アメリカの国家基盤を
崩壊させることは、できない)

 一、米国が狙われたのは我々が自由の主導者だからだ。

 一、我々には緊急の反撃計画がある。米軍には力がある。我々はテロリストとそれを擁護する者を区別しない。

 一、米経済は依然として強い。ビジネスはあす再開される。

 一、米国と我々の友人である同盟国は世界の平和と安全を守るためにテロリストに対し共闘する。


 ブッシュ大統領の声明全文

 ブッシュ米大統領が11日、ルイジアナ州バークスデイル空軍基地で行った声明(全文)は以下の通り。

 合衆国大統領:私はすべてのアメリカ国民に対し、一連の攻撃の犠牲者を助け、救命しようとする地方政府の活動を助けるために、連邦政府がすべての力を注いでいることを保証する。過ちを犯してはならない。アメリカ合衆国は、これらの卑劣な行為に責任を持つ者たちを、捕らえ、罰するだろう。

 私は、副大統領、国防長官、国家安全保障チーム、全閣僚とコンタクトを保っている。われわれは、アメリカ国民を守るため、全ての適切なセキュリティ上の対策をとっている。米国内、また世界中にある米軍は厳戒態勢にあり、政府機能を維持するために必要なセキュリティ上の対策を取っている。

 われわれは、米国議会および世界各国の首脳と連絡を取り合い、米国および米国民を守るために全力を尽くすと言明した。

 アメリカ市民のみなさん、私とともに、国民を救うために闘っていく人たちに感謝の意をささげてもらいたい。私とともに、犠牲になった人たちやその家族に対し祈りをささげてください。

 われわれの偉大な国家の意志が試されている。しかし、過ちを犯してはならない。われわれは、必ずやこの試練を乗り越えることを世界に示すだろう。神の御加護を。


 権威失墜の痛手大きく ブッシュ政権、正念場(12日10:44)

 【ワシントン清宮克良】ブッシュ米大統領はホワイトハウスから全米に向けて行った11日夜のテレビ演説でテロとの対決姿勢を示し、「米軍には力がある」「米経済は依然として強い」と超大国の誇りを強調した。しかし、その軍事力と経済力の象徴である国防総省(ペンタゴン)と世界貿易センタービルが同時にテロ攻撃を受け、しかもハイジャックされた米民間機が「武器」として使われた。米国はテロに立ち向かう姿勢で一致団結しつつあるようにも見えるが、権威失墜の痛手はあまりに大きい。ブッシュ政権はまさに正念場を迎えている。

 ブッシュ政権は弾道ミサイルによる攻撃から米本土や同盟国を守るためのミサイル防衛構想を新たな国防路線の中心に据えてきたが、ひざ元のワシントン、ニューヨークの軍事・経済の中枢部へのテロ攻撃を受けて国防政策の見直しを迫る声が強まりそうだ。

 自らの司令所であるペンタゴンへの攻撃を受けたラムズフェルド国防長官は11日夕、レービン上院外交委員長(民主党)らとともに会見に臨み、「ペンタゴンは機能している。明日から仕事が始まる」と、米国の安全保障に責任を持つ決意を表明。レービン氏も「われわれが統一して対応することは明らかだ」と、議会も協力してテロ対策にあたる考えを強調した。議会ではハスタート下院議長(共和党)を中心に超党派議員がテロ攻撃による犠牲者を弔った。

 しかし、ブッシュ政権の進めるミサイル防衛にはこれまで、欧州各国や野党民主党から慎重論が出ていた。今回の大惨事によってテロ対策を重点に置くべきだとの圧力が強まるのは必至の情勢だ。

 今月末にも策定する4年ごとの国防見直し(QDR)を目前に控えたタイミング。しかも、世界同時不況の様相さえ見える状況下での大惨事。ブッシュ大統領の苦悩は深く、対応は容易でない。

(毎日新聞9月12日)



【A・非常事態宣言】

 米当局、非常事態宣言を発令 【ワシントン中井良則】

 米経済の象徴であるニューヨークの世界貿易センタービルと軍事力の中枢、ワシントン郊外の国防総省を狙った11日の同時テロ攻撃でブッシュ大統領は同日夜「邪悪で卑劣なテロ攻撃により数千人の命が失われた」と述べ、千人単位の死者が出たことを明らかにした。米CNNテレビは、乗っ取られた民間機4機の乗客・乗員計266人は全員が死亡したと報じた。米FOXテレビは死者が1万人に達する可能性があると伝えた。国防総省(ペンタゴン)ビルには乗っ取られたアメリカン航空機(64人乗り)が墜落した。CNNは、職員800人が死亡したと報じた。

 民間機を高層ビルに激突させるという大胆な犯行に世界最強国の米国は防ぐ手段がなく、史上最悪のテロ事件となった。当局は11日、非常事態宣言を発令した。

 毎日新聞の調べによると、貿易センタービルにいたとみられる日本人17人の安否は不明。これとは別に民間機の乗客名簿には兵庫県出身の大学生、久下季哉さん(20)の名前があった。

 ブッシュ大統領は同日夜のテレビ演説で「我々には緊急の反撃計画がある。米軍には力がある。我々はテロリストとそれを擁護する者を区別しない」と述べ、テログループを保護する国や組織の責任も追及する姿勢を鮮明にした。大統領は世界中の米軍に最高度の警戒態勢を指示した。米政府は犯行グループの捜査を急ぎ、報復軍事行動をとる可能性もある。

 乗っ取られたアメリカン航空機(92人乗り)とユナイテッド航空機(65人乗り)が真横から激突し、倒壊したニューヨーク市の世界貿易センターの高層棟2棟では、救出作業が難航し、現地時間11日夜現在も火災が続いている。隣接する7号ビル(47階建て)も同日午後5時半ごろ倒壊した。

 貿易センターは7つのオフィスビルからなり、日中は約4万人が働いている。ジュリアーニ市長は2100人が負傷したと述べた。ニューヨーク市消防士組合は、少なくとも200人の消防士が死亡したと発表した。

 また、国防総省(ペンタゴン)にアメリカン航空機が突っ込んだ事件で、CNNは、職員800人が死亡、100〜800人が行方不明になっていると報じた。

 さらに、ペンシルベニア州ではユナイテッド航空機(45人乗り)が墜落した。同機の乗客名簿に久下さんの名前があった。AFPによると、同機は爆弾を持った3人の男に乗っ取られたという。

 ブッシュ大統領は事件が発生した時、フロリダに滞在していたが、安全のためネブラスカ州の空軍戦略軍司令部に移動し、同夜ホワイトハウスに戻った。

(毎日新聞9月12日)


 ブッシュ大統領、国内外での厳戒態勢を言明(12日02:17)

 【北米総局】ブッシュ米大統領は11日、一連の事件に関連して、米軍が米国内外で厳戒態勢を取ると言明した。

 大統領はまず遊説先のフロリダ州サラソタで世界貿易センタービルの事件の報告を受け「国家的な悲劇が起きた。我が国に対する明らかなテロ攻撃だ。副大統領、ニューヨーク市長、連邦捜査局(FBI)長官と協議し連邦政府の全機関を挙げて犠牲者とその家族を救済し、最大級の捜査を通じて犯人を検挙するよう命令した。我が国へのテロはあってはならない」と述べ、反米テロと対決する姿勢を鮮明にした。

 大統領はフロリダ州で教育政策に関する行事などに出席していた。

(毎日新聞9月12日)
 


【米軍が厳戒態勢 主要都市で戦闘機が警戒飛行(12日10:50) 】

 【ワシントン布施広】米国の重要施設を対象とした11日の同時多発テロの発生を受けて、米軍は厳戒態勢に入り、首都ワシントンなど主要都市の上空では、米軍戦闘機が警戒飛行を続けている。

 ブッシュ大統領は同日、米軍に対し「最高度の警戒態勢」を取るよう命じたことを明らかにした。11日に続いて反米テロが起きる可能性も捨て切れず、ペルシャ湾岸に駐留する米軍なども厳戒態勢に入っている。

 テロの対象となった国防総省では、スポークスマンが「指導部は全員無事」との声明を発表した。その後、ラムズフェルド国防長官は「国防総省は機能している」と述べ、12日から職員が平常勤務に戻ることを明らかにした。

(毎日新聞9月12日)


 フェーズE(非常事態)への切り替え指示 国交省(12日10:23)

 国土交通省は11日午後11時35分、各航空会社や空港管理会社・自治体などに対し、空港警戒態勢を最も厳しい「フェーズE(非常事態)」に切り替えるよう指示した。警戒態勢はフェーズ1、2、Eの3段階だが、Eが指示されたのは史上初めてという。

 99年7月の全日空ジャンボ機ハイジャック事件でも、フェーズ2までしか指示されなかった。各航空会社などは、国内線、国際線ともに、金属探知機による搭乗者のボディーチェックや、持ち込み荷物、機内預け手荷物のX線検査などを厳しくする。

 同省は米国同時多発テロ対策本部を設置しており、日本人旅行者の安否の確認、航空機の安全確保などを急ぐ。

(毎日新聞9月12日)



【B・空港その他交通機関の封鎖】

 米国との空路、国境閉鎖 メキシコ(12日09:39)

  【メキシコ市・吉田弘之】隣国のメキシコでは米国での同時多発テロ発生直後、米国との間のすべての航空便の発着、運行が停止。またほとんどの国境検問所が数時間、閉鎖された。米国との貿易が全体の輸出入額の約85%を占めることから株価も暴落し、今年最安値を記録。メキシコ市の株式取引市場はテロ発生から1時間後に閉鎖された。

 フォックス大統領は11日、国民向けのテレビ演説でテロ行為を激しく非難。「状況が許すまで市場を閉鎖する」と述べる一方、15日の独立記念日に米国内のメキシコ政府公館で予定していた祝賀行事を全て中止することを明らかにした。

(毎日新聞9月12日)



【C・犯人の割り出しと特定】

 容疑者の可能性 5人を特定か 米紙報道(12日18:06)

 ボストン・ヘラルド紙のホームページによると、米マサチューセッツ州の捜査当局者は11日(米東部時間)夜、ボストンのローガン空港を離陸した航空機を乗っ取ってニューヨークの世界貿易センタービルに突っ込んだテロ事件の容疑者として、少なくとも5人のアラブ系男性の身元を特定した。アラブ人らは空港前の駐車場にレンタカーを残したと見られ、当局はアラビア語で書かれた飛行訓練マニュアルを車から押収した。また、うち2人は兄弟で、アラブ首長国連邦国籍とされる旅券を所持、一人は熟練パイロットという。ヘラルド紙によると、当局者は匿名を条件に語った。

 当局者は2機のうちどちらかは特定していないが、ハイジャック犯は離陸後、操縦士をコックピットからおびき出して乗っ取るため、客室乗務員を殺害したと語った。犯人らは銃は所持せず、かみそりの刃を埋め込んだようなナイフ様の武器を持ち込んで使用したという。

 ボストンからはアメリカン航空11便ロサンゼルス行きB767(92人搭乗)とユナイテッド航空175便ロサンゼルス行きB767(65人搭乗)の2機が乗っ取られ、いずれもニューヨークの世界貿易センタービルに突っ込んだ。


 関与疑われるウサマ・ビン・ラディン氏(12日11:38)

【イスラマバード春日孝之】米国の同時多発テロ事件で、米当局者など治安専門家が真っ先に関与を疑うのが、国際テロの黒幕、ウサマ・ビン・ラディン氏だ。米政府が「世界でも危険なテロリスト」と呼ぶ人物で、世界に張り巡らされたイスラム過激派ネットワークを持つ。パレスチナ情勢の悪化を受けた反米感情を背景に大規模テロを敢行したとの見方だ。

 11機もの航空機を一挙にハイジャックし、ワシントンとニューヨークという2大都市で同時テロを起こすだけの大胆かつ周到な計画。また、実行部隊は、乗客もろとも自爆する高い殉教精神を備えていたとみられる。ウサマ氏が疑われる最大の理由は、それら犯行の規模とテロ敢行の熟度にある。

 ウサマ氏は79年のソ連軍侵攻に伴うアフガン戦争で、ジハード(聖戦)を掲げて戦うアフガン・ゲリラにアラブ義勇兵として参加し、国際的な支援組織「アルカイダ」を結成した。91年の湾岸戦争で、米軍がイスラムの聖地があるサウジアラビアに進駐したのを機に反米に転換。ジハード(聖戦)思想に傾倒したアラブ帰還兵らと国境を超えた連携を強めていく。いわゆる「アフガン・ネットワーク」である。

 ネットワークは今年に入り、さらに強化された。「アルカイダ」はエジプトのイスラム原理主義組織「ジハード団」と合併、名前を「アルカイダ・アルジハード」とした。軍事メンバーの規模は4000人とも5000人とも言われる。

 もともと「アルカイダ」の前身はニューヨークにあった「アフガン難民支援センター」だ。93年にニューヨークで起きた世界貿易センタービル爆破事件では、エジプト出身のイスラム過激派約20人が逮捕された。ウサマ氏が背後で操っていたともみられており、米国に多数の足場があったことは間違いない。

 ウサマ氏は今、イスラム原理主義勢力のタリバン政権にひ護されているが、米国とインドの情報機関によると、軍事訓練施設の多くが事実上、ウサマ氏のグループに占拠され、タリバンの政策決定にも大きな影響を及ぼすまでになっているという。

 ウサマ氏の最近の言動も注目される。98年のアフリカの米大使館同時爆破事件で、同氏は米国から「テロの黒幕」と断定、潜伏先にミサイル攻撃を受けた。以来、鳴りを潜めていたか、昨年10月、「私が生きている限り、イスラムの敵に安らぎはこない」との声明を出し、米国への徹底抗戦を改めて宣言した。これは、昨年9月末以降、イスラエルとパレスチナとの衝突が激化し始めた時期と重なるのだ。

 今年6月には、自動小銃を手に「仲間になってジハードに備えよ」と呼びかけるテロ活動家の募集用ビデオが大量に流れた。

 一方、パキスタン北部ペシャワル近郊にあるイスラム原理主義勢力のマドラサ(宗教学校)のサミウル・ハク学長は、毎日新聞に対し、昨年来、ウサマ氏の要請で再三、同氏と密会を重ねてきたと明かした。目的は不明だが、同氏は「(自分を追跡する)米国の情報機関はばかだ。決して自分は捕まらない」と豪語しているという。このマドラサは、世界のイスラム原理主義勢力との連携を強化し、パレスチナの原理主義組織「ハマス」などのメンバーも頻繁に訪れている。


 乗っ取り機にウサマ氏の関係者の名(12日13:26)

 アメリカでの報道によると、米同時テロ事件で、乗っ取られた旅客機の乗客名簿に、アメリカが国際テロの黒幕視するサウジアラビア出身の富豪、ウサマ・ビン・ラディン氏と関係があるとみられる人物複数の名前があった、と米政府筋が明らかにした。

(毎日新聞9月12日)


 ウサマ氏の関与が濃厚との見方示す 米当局筋(12日13:10)

 【ワシントン布施広】米国で11日起きた同時多発テロで、米当局筋はイスラム原理主義過激派の黒幕、ウサマ・ビン・ラディン氏の関与が濃厚との見方を示した。今回のような大掛かりなテロには資金力と組織力が必要な上、乗っ取られた航空機にウサマ氏と関係があるとみられるイスラム過激派が搭乗していたとの情報もあるためだ。だが、最近の対米テロでは、同氏の関与が指摘されながらも、これを裏付ける証拠は出ておらず、今回も犯人特定は難航する可能性がある。

 事件発生当初に疑われたのは、パレスチナ急進派だった。パレスチナ解放人民戦線(PFLP)は先月末、ムスタファ議長をイスラエルに暗殺され、対米報復も予告していたからだ。

 事件直後、同じ急進派のパレスチナ解放民主戦線(DFLP)と名乗る人物が犯行声明を出したが、その後DFLPは公式に関与を否定した。アラファト・パレスチナ自治政府議長もテロを強く非難する声明を発表した。


 パレスチナ過激派の関与には慎重な見方(12日10:40)

 【エルサレム海保真人】米国での同時多発テロでは、イスラエルと衝突渦中にあるパレスチナ過激派の関与もとりざたされている。だが、パレスチナ解放機構(PLO)の主要な急進派組織は11日、次々と関与を公式に否定した。国際社会の支援なしではイスラエルとの政治的闘争に勝利できないことから、パレスチナ過激派の関与には慎重な見方が強まっている。

 PLO急進左派の筆頭格であるパレスチナ解放人民戦線(PFLP)の幹部は「我々はシオニスト(ユダヤ民族主義者)のイスラエルと戦うことを主眼としている」と、米へのテロを否定した。また、一時は犯行声明を出したと報道されたパレスチナ解放民主戦線(DFLP)の幹部も「我々の敵は、占領を続けるイスラエルとユダヤ人入植者であり、パレスチナ領土以外での戦闘には関心がない」と述べ、関与を全面否認した。

 PFLPはムスタファ議長をイスラエル軍のミサイル攻撃で暗殺され、一部の幹部が「米をも標的にする」と発言したと伝えられていた。だが、パレスチナ組織にとって、多数の外国人を巻き添えにする無差別殺りくは国際社会の支援を失うことにつながり、「逆効果」だ。また、90年代以降、質実とも弱体化した両組織に、領土外、特に米で大規模テロを実行する機動力や能力はないとの見方が有力だ。

 イスラエルの情報機関関係者は、「今回のテロでは、下見や準備を含め少なくとも200人の要員が必要」と指摘しており、パレスチナ自治政府高官は「パレスチナの組織にこんなことをできる能力はない」と感想を漏らした。
(毎日新聞9月12日)


 国家テロ、アラブ強硬派諸国関与の見方も 中東(12日10:20)

 【ダマスカス小倉孝保】米国の連続テロは資金力、組織力からこれまで考えられた過激派集団による犯行の能力を超えた「国家によるテロ」との見方が出ている。一部には、イラクなどアラブ強硬派諸国の関係者が関与した可能性に言及する声もある。

 「いずれのイスラム過激派組織にも実行できない規模の犯行だ」。ムバラク・エジプト大統領は11日、テロを強く批判した後、そう指摘した。また、アラブの衛星テレビ・アルジェジーラは「単なるテロ組織には無理。背後に国家規模の力が働いた可能性もある」とのアラブ人識者の見方を伝えた。

 アラブ強硬派の中で最も厳しい米国批判を繰り返しているのはイラクだ。湾岸戦争(91年)以降、続く国連経済制裁に加え、米国は英国とともにイラクの南部、北部に飛行禁止空域を設定。イラクはパレスチナ情勢の激化でアラブ内に反米機運が盛り上がっていることを好機と捕らえ、同空域を偵察飛行する米英軍機を狙ったミサイル発射を繰り返している。

 98年末以来続く米英軍機でイラクではすでに民間人数百人が巻き添えで死亡、国民の反米感情は確実に強まっている。最近ではシリアなどへの石油の密輸出が公然と行われ、イラクの石油輸出は湾岸戦争以前の規模にまで回復している。だが、フセイン大統領にしてみれば、アラブ全体で反米感情が高まっている今の状況が国際社会への完全復帰を勝ち取るには絶好の機会だ。大規模なテロを実行しアラブ内に反イラク感情を再発させるメリットはないとの意見も根強い。

 シリアやスーダン、リビアなど他のアラブ強硬派ではイスラエルへの批判は強まっているが、近年は米政府との関係改善を模索する動きが目立ち、関与の可能性は薄い。

(毎日新聞9月12日)


 未知の国際テロ組織の犯行との見方 露専門家(12日09:53)

 【モスクワ石郷岡建】米国で起きた同時多発テロ事件に関し、ロシアの政治専門家はパレスチナ紛争が事件の背景にあったとしても、パレスチナ組織の犯行である可能性は少なく、これまでに知られていない国際テロ組織の犯行との見方に傾いている。

 政治評論家のチェルキーゾフ氏は、今回の事件について「テロ行為というよりは非常に周到に準備されたテロ作戦だった」と指摘。パレスチナ関係組織はイスラエル領内で小規模な活動が主流で、米国での大掛かりな行動はまず考えられないと主張した。

 さらに、事件後の全世界の反応を考えると、このようなテロ作戦を実施するメリットはないと分析し、オクラホマシティーでの連邦政府ビル爆破事件のような米国内の原理主義者集団か、アフガニスタン在住のウサマ・ビン・ラディン氏に率いられるイスラム原理主義者集団の可能性があげている。一方で、「われわれがまだ知らない組織かも知れない」と述べた。

 ロシア下院のロゴージン外交委員長も、米国の原理主義者集団、または国際テロ組織の可能性を指摘し、国際テロ組織の場合はこれまでに知られていない秘密組織と主張している。

 さらに、タス通信は中東専門家の分析として、これまでに知られていないテロ組織が連合し、犯行に及んだ可能性をあげ、今回の事件には数百人が参加し、数カ月間、または1年以上の準備期間があったのではないかと推測している。

(毎日新聞9月12日)



【D・現場の迅速な処理対応と経過

 同時多発テロから一夜明けた12日朝(日本時間同夜)、ビルの崩壊現場では依然として白煙が上がっている。消防隊は前日に始めた放水作業を続ける一方、巨大なショベルカーを出してがれきの除去作業に取りかかっている。事件発生から丸1日。市関係者の間からは「救出作業は今日がヤマになるかもしれない」という声が出ている。

 崩壊したマンハッタンの世界貿易センタービルでは、がれきの下から生存者が携帯電話で救助隊や家族に救出を求め続け、11日深夜から12日朝にかけ徹夜の救出作業が続けられた。

 消防当局によると、同日朝までに新たに行方不明になっていた消防隊員5人が救出された。また、引き続き生き埋めになっている生存者が、携帯電話で救助を求めている。「がれきの下で身動きが取れない。早く」。しぼり出すような声だ。

 がれきが朝焼けの日に照らし出される。「標的」となった現場の貿易センタービルだけでなく、周囲のビルもなぎ倒されたように横倒しになっている。
 曲がりくねった鉄骨が何本も突き出す。そのそばには、土砂をかぶってひしゃげた車が転がっている。まるで大地震の跡のようだ。

 ニューヨーク市などの公的機関は、死者が何人に上るかの推定を公表しないようにしている。ニューヨーク州のパタキ知事はテレビのインタビューに「今は(死者の)数を数えている時ではなく、行動する時だ」と語り、迅速な救出作業を誓った。


 2人を救出、がれきの下になお生存者数十人 現場(12日13:00)

 【ニューヨーク上村幸治】乗っ取られた飛行機に激突され、崩壊してしまったニューヨークの世界貿易センタービル跡では11日午後(日本時間12日未明)から、消防隊員が懸命の救出作業を始めた。約5万人が働く巨大ビルが、がれきに変わり果てた現場。警官2人を救出、がれきの下になお数十人の生存者がおり、一部とは携帯電話で連絡がとれたとも伝えられるが、作業は難航を極めている。駆け付けた行方不明者の家族らは、もどかしい夜を迎えた。

 マンハッタンのエンパイアステートビルの法律事務所に勤める女性職員のリンダ・ジェスコビッチさん(52)は11日午前8時50分過ぎ、貿易センタービル西側のビルで働く二女の会社員ジェネファーさん(21)から「母さん、飛行機が突っ込んできた」という電話を受けた。

 聞き返す間もなく電話は切れ、かけ直してもつながらない。世界貿易センタービルを目指したが地下鉄は不通、車も通行できない。1時間以上かけて歩いたが、現場の手前1キロで警察の規制にあい、近づけない。黒煙が立ち上る方向を見つめながら、歩道のへりに座り込んでしまった。

 「娘は学校を出て、仕事を始めたばかり。毎日勤めが楽しいといって笑っていたのに、どうしてこんなことに」。リンダさんはそう言うと、涙をぼろぼろと流した。

 会社員スティーブ・ロペスさん(30)は母で公務員のイーブさん(52)の安否を確かめるために現場を訪れた。しかし、警官も消防隊員も「何も分からない」と繰り返すだけ。

 「夢じゃないのか、夢じゃないのかって何度もつぶやいているんだ」

 ロペスさんは、服や食べ物を詰め込んだリュックサックを背負い、警察の規制ラインのそばに座り込んだ。「母親が見つかるまで、ここから一歩も動きません。待ち続けます」と話した。

 現場付近は完全に封鎖され、警察と救助隊の車以外は走っていない。近くの住民はガス爆発などの懸念もあるため、すべて避難している。

(毎日新聞9月12日)



【E・予後対策】

 当分の間、業務を休止 駐日米国大使館(12日10:31)

 駐日米国大使館(東京都港区)は12日未明、大使館と日本国内の領事館の業務を当分の間、休止することを決めた。

 同大使館は7日、在日の米国人に対して「米軍施設にテロ行為が行われるとの未確認情報を入手した」との警告を発表していた。大使館の報道官は毎日新聞の取材に「(7日の警告は)今回の事件と関連がある可能性もある。今後も警戒態勢を取らざるを得ない。至急、措置を考えたい」と話した。

 大使館には夜通し明かりがともり、時折、車や人があわただしく出入りするなど、緊迫した空気に包まれた。大使館前の道路は閉鎖され、警察官が通行車両を1台ずつ検問した。

(毎日新聞9月12日)



【事件の被害規模】

 死者数1万人に達する可能性 史上最悪のテロ(12日10:30)

 【ワシントン中井良則】11日朝(日本時間同日夜)、米経済の象徴であるニューヨークの貿易センタービルと軍事力の中枢、国防総省を狙った同時多発テロが発生した。民間機4機を乗っ取り、ビルに激突させるこれまでにない異様な犯行で、世界最強国の米国は防ぐ手段がなかった。4機の乗客・乗員計266人の生存は絶望視されている。米FOXテレビは死者数が1万人に達する可能性があると報じており、史上最悪のテロ事件となった。ニューヨークの日本総領事館によると、センタービルにいたとみられる日本人19人の安否は不明。民間機の乗客名簿には、兵庫県出身の大学生、久下季哉さん(20)の名前があった。

 ブッシュ米大統領は「米国の決意が試されている」と米国民の団結を呼びかけ、世界中の米軍に最高度の警戒態勢を指示した。犯行グループの捜査を急ぎ、報復軍事行動をとる可能性もある。

 11日午前8時45分(同日午後9時45分)ごろ、ニューヨーク市の世界貿易センター・北タワービルに乗っ取られたアメリカン航空機(92人乗り)が突っ込み、ビルは炎上した。さらに午前9時すぎ、同じ高さの南タワービルにやはり乗っ取られたユナイテッド航空機(65人乗り)が真横から激突した。アシュクロフト米司法長官はアメリカン航空機が「ナイフで武装した犯人に乗っ取られた」と述べた。

 二つのビルは爆発と炎上が続き、南タワーは午前10時すぎ、北タワーも同10時半ごろ、ビル全体が倒壊した。隣接する7号ビル(47階建て)も午後5時半ごろ倒壊した。ニューヨーク市警察当局者は死傷者が数千人にのぼる恐れがあると述べた。また、ジュリアーニ市長は2100人が負傷したと述べた。貿易センターは七つのオフィスビルで計4万人が働いている。

 一方、同9時43分ごろ、ワシントン近郊の国防総省(ペンタゴン)ビルに乗っ取られた別のアメリカン航空機(64人乗り)が墜落し、ビルの一部が倒壊したり炎上した。

 さらに、同10時10分ごろ、ペンシルベニア州ピッツバーグ南東で、乗っ取られたユナイテッド航空機(45人乗り)が墜落した。

 ブッシュ大統領は午後、テレビ演説を行い「米国はこの行為の責任者を追い詰め、処罰する」と述べた。

(毎日新聞9月12日)


<現地ルポ>テロに襲われたニューヨークの長い日

 突然早朝の大都会を襲った今回の貿易センターへの大規模なテロ事件によって、ニューヨークは終日非常事態に陥り、市民の生活にも大きな支障をきたした。

 まず、ニューヨーカーたちの通勤の足である地下鉄、バスはテロ発生から約1時間後には、完全に停止し、駅は封鎖された。このため午前10時ごろには、マンハッタン中を足で歩く人々があふれるという異様な光景が見られた。また、消防車やパトカー、救急車がサイレンを鳴らしながら通りをひっきりなしに行き交い、まだ事情を知らなかった市民が何事かと駅員や警察官に質問する姿が見られたが、時間が経つに連れ徐々に事の詳細、事体の深刻さが明らかとなってきた。

 貿易センターのある地域からは数十ブロックも離れたビレッジ地域からもセンタービルからの煙が見られ、人々は口々に「オーマイガッド」と首を横に振っていた。

 通行人同士の間であちこちに情報交換の輪が生まれていた。ニュースを知らなかった人々が、朝のニュースを見て事件の情報を知っている人の話に必死に耳を傾ける姿が見られた。携帯電話は、会社によってつながらないところもあったため、最近では需要の低下に伴って値上げが検討されている公衆電話の前に、家族や勤め先に連絡を取ろうとする人々の列ができていた。

◇支援の輪広がる

 テロ発生から時間が経つに連れ、市民による自発的な取り組みが町のあちこちで見られた。歩いて目的地にたどり着くしかない人々を支援しようと、一般の商店が店先で無料の飲料水やウェットタオル、簡易粉塵マスクなどを配布したり、通行人にトイレや休憩所のスペースを提供していた。また、個人のテレビやラジオが通り沿いに据えられ、これに正確な情報を得ようとする人々が群がるといった光景も見られた。

 ダウンタウンの商店は早くから店を閉めるところが目立った。交通機関が復旧するまでの間、マンハッタン島の東側のクイーンズやブルックリンといった地区に行かなければならない人々は、マンハッタン島と同地域とを結ぶ橋を歩いて渡るしかなく、橋に向かう人の流れが出来た。

 現地で国連開発計画(UNDP)職員として働く森野鯉都さんによると、テロの起こった朝9時半ごろ、ミッドタウンのオフィスに出勤すると、19階の窓から、ダウンタウンの貿易センタービルにぽっかりと大きな穴が空き、もうもうと煙が上がるのが見えたという。

 「最初は事故だと思い、テロとは全く知りませんでした」

 しかし、午前10時ごろには事務所に問い合わせの電話などが次々と入り、電話が混線し始め、11時には本部から退避命令が出されたという。森野さんも東京の家族に連絡を取ろうとしたが電話が混線してなかなかつながらなかったという。また、森野さんのダウンタウンにあるマンションでは給湯が止まっており、この状態がいつまで続くのかいまだ見通しが立っていないという。また、市内では現在電話および地下鉄、バスなどの公共サービスが今回の緊急事態のため現在無料となっているという。

 貿易センターから離れたミッドタウンにあり、ニューヨークの陸路の中心地で、多くの地下鉄線や長距離列車が乗り入れるグランドセントラル駅の周辺ビルにあるオフィスで働く小野真由さんは、出勤した朝9時ごろ、コンピューターを立ち上げようとしてサーバーがダウンしていた事に気づいたが、その時テロの事は知らず、上司にかかってきた電話で今回の事件を知ったという。

◇オフィス内は一時はパニック

 インターネットがつながらなかったため、事故の詳細も外部からの電話で知ったそうだ。小野さん自身のオフィスが、ニューヨークの陸路の顔、グランドセントラル駅の一部という事もあり、一時はそのビルもテロに狙われるのではと、オフィス内はパニック状態で一時騒然となったという。そして、11時にはグランドセントラル駅も封鎖され、ビルからの退避が命じられた。その時、ビルのあるマディソンアヴェニューは近辺のビルから退避する人々で身動きが取れないぐらいごった返していたという。

 小野さんはそのまま数ブロック離れたホテルに日中は待機となったが、ホテルの警備体制も非常に厳しく、宿泊客以外は中に入れなかったそうだ。「午後8時ごろホテルからアッパーウェストサイドのアパートまでバスで帰宅しましたが、町中の店はほとんど閉まっていました。」小野さんのオフィスが明日開くかどうかは、ビル自体が開くかどうか分からないのと、仮にあいたとしても取引先のほとんどが休みである可能性が高いため、まだ分からないという。

 CNNは、マンハッタンでは明日以降、14丁目以南の地域が封鎖されると報じた。また、いまだ行方の分からないニューヨーク市警察員が400人、消防団員が200人いるという。そして崩壊したビルの中の死傷者がどれぐらいなのかまだ見当さえ付かない状態である。ニューヨークがいつもの顔を取り戻すのにはまだ相当な時間がかかるだろうという事しか現段階では分からず、市民は不安な夜を迎えている。

(ニューヨーク在住 Yuka Yamashita)


 国防総省での犠牲者は800人 CNN(12日11:53)

  米CNNが12日正午前(日本時間)伝えたところによると、米同時テロ攻撃によるワシントン郊外の米国防総省での犠牲者は800人に上った。不明者は100〜800人という。

(毎日新聞9月12日)


 センタービルに突入した2機に156人(12日00:44)

 アメリカン航空によると、ニューヨーク市中心部にある世界貿易センタービルに突っ込んだ航空機は2機で156人が搭乗していた。

(毎日新聞9月12日)



【事件の余波】

 世界資本主義の「心臓」停止 世界恐慌の恐れも(12日19:54)

 
【ワシントン逸見義行】米国を震撼させた11日の同時多発テロは、ニューヨーク株式市場の機能を停止させた。世界の資金の流れを調整する同市場の機能不全は、世界資本主義の「心臓」が止まったことを意味する。アジアや欧州では株価の急落が続いており、放置すれば世界金融恐慌に発展する恐れもささやかれ始めた。今回の事件は、冷戦の終えん後、急速に進んだ、市場を軸にしたグローバリズムの弱さを示す結果となった。

 ニューヨーク証券取引所、ナスダック取引所などは12日も取引停止を決定した。2日間の取引停止は、第2次世界大戦の戦勝を祝うために45年8月15、16日に停止して以来、約56年ぶりの異例の事態。テロ攻撃で消滅した世界貿易センタービルには、大手投資銀行、モルガン・スタンレーが25フロアを賃貸しているなど、世界の金融機関が入居していた。それだけに、市場への影響は大きく、株取引再開には時間がかかるとの見方が広がっている。

 米連邦準備制度理事会(FRB)はテロ発生直後の11日、「必要に合わせて、金融市場に流動性を供給する」との緊急声明を発表。この種の声明は、87年10月に株価が暴落したブラックマンデー以来、約14年ぶり。FRBが世界金融恐慌の可能性を視野に入れ万全の態勢を取る方針を示したものだ。

 株式市場は資金を収益性の低い分野から高い分野に配分し直す役割を担う。世界の資金の流れの3分の2を集める米国市場にとって、株式市場は中枢部門であり、この機能停止は、米経済だけでなく、世界経済の先行き不透明感を増幅させる。恐慌には発展しなくても、個人消費頼みの米経済を失速させ、世界同時不況につながる可能性を強めそうだ。

 不良債権問題を抱え、デフレに悩む日本経済にとって米経済の失速は、経済的苦境を一層拡大させる。12日の東証平均株価の1万円割れは、この市場の懸念を示したものだ。

 市場にまかせれば何とかなるという市場主義に対して、今回のテロ事件は、先進7カ国(G7)をはじめとした世界的な政策協調の重要性を改めて認識させた。恐慌など最悪の事態を視野に入れながら、その回避に向けてどのように協調態勢を築くか。世界経済は、政策協調の真価が問われる局面に入った。


 米経済の心臓部を直撃 景気後退に陥れる懸念増幅(12日10:03 )

 【ワシントン逸見義行】米国を襲った11日の同時多発テロは、ニューヨークの世界貿易センタービルという世界金融市場の象徴的ビルを破壊しただけでなく、米経済の心臓部を直撃し、景気後退に陥れる懸念を増幅している。米経済の失速は、世界同時不況への道を開く可能性が強く、景気後退入りが確実になってきた日本経済にも影響は必至だ。冷戦の終了後、90年代に史上最長の好景気をおう歌してきた米経済の転換点となるとの懸念も出ている。

 米経済は、IT(情報技術)バブルの崩壊を受けて、今年に入って企業の設備投資が2四半期連続で2ケタ減を続けており、景気のエンジン役は個人消費に限定されていた。今年第2四半期(4〜6月)の実質成長率は前期比年率換算で0・2%に落ち込み、失速寸前の状態に近づいている。

 その個人消費も、7月にスタートした380億ドルの戻し減税による景気浮揚効果が期待に反して低調なうえ、8月の失業率は4年ぶりに4・9%に悪化し雇用環境の悪化が個人消費の足を引っ張る懸念が強まっていた。

 こういう状況下での大規模なテロ攻撃は、米国民の景気への信頼感を下落させる心理的なマイナス効果を呼び起こすとともに、旅行自粛、株価下落などにより消費の実質的な抑制につながる。米大手銀行、ウエルス・ファーゴのエコノミストは「景気後退と景気の減速の間を綱渡りしている米経済の足元の綱を今回のテロが切ってしまった」と指摘。今後は、第3四半期(7〜9月)のマイナス成長転落を懸念する見方も増えそうだ。

 米経済の失速は、明るい話題の少なくなった世界経済全体を一層、減速させることは確実で、世界同時株安、世界同時不況への懸念は避けられない。不良債権の早期処理が求められている日本にとっても、経済運営が一層厳しくなる。

 冷戦の終えんで、90年代は市場万能主義が広がり、米国経済の独り勝ちが目立った。市場を軸にした世界経済のグローバル化も進んだ。世界の金融の中心を襲った今回のテロは、経済の心臓とも言うべき「市場」の機能をマヒさせ、その影響は計り知れない。今回のテロは、経済のグローバル化の危うさを示す事件になる可能性もある。

(毎日新聞9月12日)


 G7が緊急協議 為替安定へ協調介入も(12日15:01)

 日米欧の先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)各国は12日、米国への同時テロ事件を受けて金融市場の混乱回避策の緊急協議に入った。国際金融筋が明らかにしたもので、テロ事件による国際政治情勢の不透明化で外為相場の乱高下や株価の暴落が起きる可能性があるため。

 欧米の外為市場では、11日の事件発生直後にドルが円など主要通貨に対して急落。12日の東京市場でも混乱が続いている。このため、G7は為替相場の安定化に向けて緊密に連絡を取り合うとともに、必要に応じて協調介入も含めた対応措置を取る構えだ。

 世界的な景気悪化で日米欧同時安の状況にある株式市場でも、テロ事件で値下がりに拍車がかかる可能性もある。このため、各国の金融・監督当局は潤沢な流動性の供給に万全を期すとともに、市場の動きを注意深く見守る方針。

 月末にワシントンで開かれるG7や国際通貨基金(IMF)総会については、事件の推移を見ながら予定通り開催するか検討する。

(毎日新聞9月12日)


 エミー賞授与式を無期延期

 米ニューヨークでの報道によると、マンハッタンでは11日、美術館やイベントが相次いで閉鎖、中止された。メトロポリタン美術館では、早朝からの訪問者が守衛に退出を要請され、リンカーンセンターやブロードウェイ、オフブロードウェイでの上演や、タイムズスクエアにある映画館での上映などが中止された。チケットオフィスも軒並み窓口を閉鎖。また、16日に予定されていたテレビ界の最高峰であるエミー賞の授与式も無期延期された。メトロポリタンなどの美術館の多くは、12日朝には再開を予定している。

(毎日新聞9月12日)


 対米大規模テロでヤンキース戦が中止に(12日00:22)

 11日にニューヨークのヤンキースタジアムで予定されていた米大リーグのヤンキース―ホワイトソックスは、世界貿易センタービルへのテロ行為を理由に中止となった。

 ヤンキースは11日からホワイトソックスと3連戦を予定していた。今後については未定。(ニューヨーク共同)

(毎日新聞9月12日)



【諸外国、各界の反応】

 「非人間的な攻撃に激しい怒り」 ローマ法王(12日09:39)

 【ローマ井上卓弥】ローマ法王ヨハネ・パウロ2世は11日、ブッシュ米大統領にあてた電報の中で「悲劇に見舞われた米国民に対し深い悲しみと連帯の気持ちを示したい」と述べ、「罪のない人々への非人間的な攻撃に激しい怒りを感じる」とテロを強く非難した。

(毎日新聞9月12日)


 連邦安全保障会議を招集、対応を協議 ドイツ(12日09:39)

 【ベルリン藤生竹志】米国で起きた同時多発テロを受けてドイツのシュレーダー首相は11日夕、安全保障に関する最高機関である「連邦安全保障会議」を招集し、「第1級厳戒態勢」に入った。同会議の議長は首相が務め、外相、国防相など主要閣僚が出席した。12日も同会議を開き、対応を協議する。

 シュレーダー首相は「これは文明世界全体に対する宣戦布告だ」とテロリストを強く非難するとともに、「犠牲者と関係者に対し、ドイツの全国民を代表して哀悼の意を表する」と述べた。

 独国内では、ベルリン中心部の米国大使館が閉鎖されたのをはじめ、警察当局が各地の米国総領事館など米国の関連施設や、イスラエル関連施設などの警備を大幅に強化し、不測の事態に備えている。外務省、内務省にはそれぞれ、対策本部が設置された。

(毎日新聞9月12日)


 小泉首相が首相官邸で記者会見。「米国のみならず民主主義社会への重大な挑戦だ。テロ事件に対して強い憤りを感じる。米国を支援し、断固たる態度で立ち向かう」10:15 a.m.(9:15 p.m.)


 「痛みと感情を共有、支援する」 露大統領(12日09:39)

 【モスクワ石郷岡建】ロシアのプーチン大統領は11日夜、テレビを通じ、米国の同時多発テロ事件についての声明を発表した。大統領は犠牲者および遺族に哀悼の意を表するとともに、「米国は国際テロからの前例のない侵略行為に直面した」と述べ、テロに対する国際社会の共同行動を呼びかけた。

 また、大統領は「本日米国で起きたことは国境という枠を超えている」と述べ、「ロシアはテロが何かを本当に知っている。だから、われわれは米国民の感情を誰よりも理解している。あなたがたの痛みと感情を完全に共有しており、支援する」と米国に呼びかけた。

 大統領は事件発生後、軍・治安関係の緊急閣議を開催し、関係官庁の警戒態勢を指示した。これを受けて、ロシア軍の防空関係部隊が緊急警戒に入ったほか、チェチェン共和国を含むロシア南部一帯でテロに対する厳重警戒態勢を取った。

 また、モスクワなどロシア各地でテロ警戒検問やビル地下室など爆弾テロ攻撃の可能性のある場所の一斉チェックが始まった。さらにロシア上空を飛ぶすべての飛行機への監視強化や、モスクワとサンクトペテブルク上空での飛行の制限措置が取られた。

 ロシア国防省は10日から14日までの予定で、大西洋、北極海、太平洋で行われているロシア空軍の演習での飛行中止を発表し、第37軍のロケット攻撃訓練を中止した。

 また、ロシア国防省と非常事態省は米国からの要請があれば支援するとの声明を出し、待機態勢に入った。

(毎日新聞9月12日)


 英、ロシア、台湾、仏の反応(12日00:09)

 【ロンドン岸本卓也】ブレア英首相は11日、英南部ブライトンで開催中の労働組合の大会で米国でのテロ事件について「ブッシュ米大統領と米国民に深い哀悼の意を伝えたい。今回の大規模なテロは今日の我々の世界での新しい罪悪だ」と述べた。首相は大会の出席を取りやめ、「緊急事態に対応しなければならない」とロンドンに戻った。首相はテロ対策について担当部局と緊急会議を開くことを明らかにした。

 インタファクス通信によると、ロシアのプーチン大統領は11日、テロ事件について、米国民に深い哀悼の意を表明した。大統領は米CNNテレビで事件の推移を注視しているという。(モスクワ共同)

 【台北・近藤伸二】台湾行政院(内閣)の邱義仁・秘書長は11日夜、米国での大規模テロ事件について「我々はこうしたテロ行為を厳しく非難する。暴力は何の問題も解決しない」とのコメントを発表した。また、最大野党・国民党の周訓守スポークスマンは遺憾の意を表し「このような暴力行為は絶対の許されない」と述べた。

 【パリ福島良典】フランスのシラク大統領は11日、世界貿易センタービルへの航空機自爆など同時多発テロを「化け物のような凶悪な行為」と表現し、ブッシュ米政権への支援姿勢を強調した。事件を受け大統領は仏ブルターニュ地方の国内視察を切り上げ、11日夕、急きょパリへの帰路についた。

 シラク大統領は「全仏国民は米国民の側についており、友情と連帯を表明する。フランスは常にテロリズムを非難してきた。テロリズムとあらゆる手段で戦わなければならない」と述べた。

(毎日新聞9月12日)


 PLOのアラファト議長がテロを非難(12日00:27)

 【エルサレム支局】ロイター通信が11日、パレスチナ解放機構(PLO)のアラファト議長の話として伝えたところによると、同議長は今回の多発テロ事件について「信じられない。非常にショックだ。この悲惨な事件に関し、私もパレスチナ国民も、アメリカ国民、ブッシュ大統領に対し哀悼の意を表する」と非難した。

(毎日新聞9月12日)



【緊急会議の呼びかけ】

 仏独露首脳らと電話で協議 ブレア英首相(12日09:39)

 【ロンドン笠原敏彦】米国の最大の同盟国である英国のブレア首相は11日、シラク仏大統領、シュレーダー独首相、プーチン露大統領らと相次いで電話で会談し、テロ事件への国際的な対応を協議した。

 ブレア首相は政府の緊急委員会を開いた後、「事態は米国とテロの戦いではなく、民主的な世界とテロの戦いである」と述べ、国際社会の連帯の必要性を訴えた。

 テロ対策として、ロンドン市街地上空での民間航空機の飛行を当面の間、禁止。警察は英国全土で警戒態勢に入り、国内外の政府・軍事施設でも警備を強めている。

 また、エリザベス女王はブッシュ大統領に「テロ事件を知り、信じられない思いとショックに包まれている」と同情のメッセージを送った。

(毎日新聞9月12日)


 ブレア英首相、テロ対策に緊急会議開催へ(12日00:02)

 【ロンドン岸本卓也】ブレア英首相は11日、英南部ブライトンで開催中の労働組合の大会で米国でのテロ事件について「ブッシュ米大統領と米国民に深い哀悼の意を伝えたい」と述べた。首相は大会でのスケジュールを取りやめ、「緊急事態に対応しなければならない」とロンドンに戻った。首相はテロ対策について担当部局と緊急会議を開くことを明らかにした。

(毎日新聞9月12日)



【事件の未確認部分】

 未だに行方不明の航空機は3機 米ABC

 米ABCテレビによると、日本時間12日午前2時現在判明している行方不明航空機は次の通り。

 ・アメリカン航空11便 乗客91人。ボストン〜ロサンゼルス

 ・アメリカン航空97便 乗客58人。ボーイング757 ワシントン〜ロサンゼルス

 ・ユナイテッド航空175便 乗客56人。ボーイング767 ボストン〜ロサンゼルス

 また、CNNテレビによると、テロに関連してユナイテッド航空機2機、アメリカン航空機2機が墜落、または行方不明になっている。

 ユナイテッド航空はニュージャージー州ニューアーク発サンフランシスコ行きの93便がペンシルバニア州ピッツバーグ近郊で墜落し、ボストン発ロサンゼルス行きの175便が行方が分からなくなっているとしている。

 アメリカン航空はボストン発ロサンゼルス行きの11便と、ワシントン発ロサンゼルス行きの77便がともに行方不明になったとしている。

 ロイターによると、墜落したユナイテッド93便には乗客38人、乗員7人が乗っていた。このほか、行方不明の175便には乗客56人、乗員9人、アメリカン11便には乗客81人、乗員11人、77便には乗客58人、乗員6人が乗っていたとしている。

 また、ニューヨークの世界貿易センタービル(WTC)に航空機が突っ込んだあと、ニーヨークの全消防士らが動員され、周辺での救助作業を開始したが、これまでにそのうち220人が行方不明になっているとの情報を伝えた。

 このテロ事件で、佳境を迎えた大リーグの全試合が中止になったほか、安全確保の目的でディズニーランドやユニバーサルスタジオなどのテーマパークも、全米各地でこの日の閉鎖を決定した。

(毎日新聞9月12日)



【アメリカ国内の報復支持の動き】



【世界各国での報復支持の動き】



【日本国内の報復支持の動き】

 日米首脳電話協議要旨

 小泉純一郎首相とブッシュ米大統領の電話協議の要旨は次の通り。

首相 テロ事件は米国に対する攻撃のみならず、自由・平和・民主主義に対する挑戦との大統領の発言の危機意識を共有する。米国民にお見舞い申し上げる。テロと断固戦う大統領の姿勢を支持している。私は必要な援助と協力を惜しまないとの声明を発表した。

大統領 困難な時に友人と話せることは重要だ。危機にともに立ち向かい、さらに友情を深めている。我々は21世紀の新しい形の戦争に協力して戦うことが重要だ。テロリストだけでなくその協力者にも、断固たる姿勢が必要だ。テロリズムには自由世界が協力し、長期的かつ忍耐強い対応が必要だ。友人である首相の理解はありがたい。被害に遭われた日本の国民にお見舞い申し上げる。

首相 見えない敵に立ち向かうご苦労は多いと思う。健闘を祈る。

大統領 来月、日本で会うことを楽しみにしている。

(毎日新聞2001年9月14日東京朝刊)


 小泉首相が報復を支持 日米首脳が電話協議

 小泉純一郎首相は13日夜、米国での同時多発テロをめぐりブッシュ大統領と電話で約10分間協議した。首相は「自由、平和、民主主義に対する挑戦との大統領発言と危機意識を共有している。テロと断固戦う大統領の姿勢を支持している」と述べ、米国の報復措置への支持を伝えた。また首相は「必要な援助と協力を惜しまない」と表明した。

 大統領は「21世紀の新しい形の戦争に協力し戦うことが重要だ。テロ協力者にも断固たる姿勢が必要だ。首相の理解はありがたい」と語り、来月、予定通り来日する意向も示した。

[毎日新聞9月14日]



【日本国内の報復不支持模様の動き】

 「有事法制や改憲テロ便乗の悪乗り」土井党首

 社民党の土井たか子党首は13日の常任幹事会で、同時多発テロに関連し、「日本で、ここぞとばかりに有事法制や集団的自衛権、憲法改正の議論が出てきている。日本政府が悪乗りしては、取り返しのつかないことになる」と述べ、改憲などの動きが強まることに懸念を示した。土井氏はさらに、「米側が感情的になるのは分からないでもないが、日本政府が悪乗りするのはおかしい」と語った。

(毎日新聞2001年9月14日東京朝刊)



第二ラウンド

 以降ブッシュ政権は、次のことを為した。
 @・追悼集会
 A・議会決議と戦争予算の確保
 B・報復世論造り
 C・報復関連諸国との下交渉
 D・実行犯グループの確定
 E・国連対策
 F・
諸外国の報復支援のその後の動き
 G・現場処理の様子と経過


@・追悼集会

 各地で追悼式 ブッシュ大統領も首都で参加 2001.09.15 Web posted at: 9:05 AM JST (0005 GMT)

 追悼式に出席したブッシュ大統領(左)と父のブッシュ元大統領=14日、ワシントン国立大聖堂

  ワシントン(CNN) 同時多発テロの犠牲者のための「国家の祈りと追悼の日」に定められ14日、ブッシュ大統領はワシントン国立大聖堂で行われた追悼式に出席、犠牲者と家族のために祈りを捧げた。各地でも市民による追悼式が行われている。

   国立大聖堂での追悼式には、クリントン前大統領夫妻、ブッシュ元大統領夫妻(現大統領の父)、カーター元大統領、フォード元大統領などが出席。また、ブッシュ政権の閣僚をはじめ、数百人の政界人が姿をみせた。

   ブッシュ大統領は「テロで愛する人をなくした家族に、国家から深い遺憾の意を送る。そして、悲しんでいるのがあなた1人だけではないことを約束する。祈りが、辛い時期を乗り越えるのを助けてくれる。友人や知らない人々の祈りが、これからの人生を歩いていくのを助けてくれる。悲痛や悲劇、憎悪は一時的なもの。優しさや追悼、愛は永遠のもの。神は犠牲となったものも、嘆き悲しんでいる家族も守ってくれる」と犠牲者の死を悼んだ。

   そして、けが人や行方不明者を救うため活動している消防士やレスキュー隊、献血のために長蛇の列を作る市民、そしてお互いを助け合った犠牲者の勇気を称え、「これこそが国家が結束する勇気だ。この団結は、敵を打ち破るための決意。テロと戦っていくという団結心は、世界中にも広がっている」と、国民が団結していくことが必要とされていることを強調した。

   ブッシュ大統領は13日、オーストリアを訪問中だったゴア前副大統領に自ら連絡し、追悼式のために帰国を要請したという。ゴア氏はカナダから車を使って米国入りし、式に参加した。政治家も党を超えて、国家の緊急時を乗り越えるために、団結しようとしているのがうかがえる。

   また、追悼式には、カトリック教をはじめ、キリスト教、イスラム教などの司祭や関係者が集まり、宗教に関係なく、死者を悼み、犠牲者の家族の痛みを分かち合った。

   全米各地で、市民による追悼式が行われている。14日午後7時からは、全米で一斉に、ろうそくを灯して祈りを捧げることも予定されている。



A・議会決議と戦争予算の確保】

【議会の動き】

 「第2のパールハーバー」と米議会の声

 
ABCテレビは11日正午(米東部時間)すぎ、アメリカン航空とユナイテッド航空の計4便が、この日朝、消息を絶って墜落したと伝えた。

 しかし、どの便が世界貿易センタービル(WTC)やペンタゴンの爆破・炎上と関係しているのかは不明のまま。また、ピッツーバーグ郊外で航空機が墜落したと伝えている。

 米政府関係者は今回の一連の事件がテロを断定しており、米国のシンボルでもある2都を襲われたことで、米連邦議会筋では「これは第2のパールハーバーだ」との声が上がっている。

 テログループは特定されていないが、米社会が「戦時状況下」的な政治感情が生まれつつある。

(毎日新聞9月12日)


米同時テロ:テロ対策予算、400億ドル ブッシュ氏提案倍増2001年09月14日

 【ワシントン逸見義行】米議会の共和党、民主党と米政府は14日未明、対米同時多発テロに対する緊急対策予算として、400億ドル(約4兆8000億円)の支出を認める補正予算を成立させることで合意した。ブッシュ米大統領が議会に要請した金額の倍に当たる。議会は大統領に武力行使を認める決議を可決する方向で最終調整しており、補正予算の合意と合わせて、議会でもテロに対する報復準備が急速に進んできた。

 400億ドルは湾岸戦争時の政府支出額の3分の2に当たる。下院が14日午前、上院も同日中の可決を目指している。議会では、挙国一致でテロ攻撃に対抗するムードが高まっている。

 400億ドルのうち少なくとも半分を、テロ攻撃で行方不明になった人々の捜索や倒壊したビルの建て直しなどの復興に活用する。残りをテロ組織の犯人の捜査、空港など交通システムへの安全対策、テロに対する報復関連費用などに当てる。予算が成立すれば、100億ドルがすぐに利用可能となる。

 このほか、米下院は13日、テロの被害者の家族やテロ被害を受けた企業を救済するための減税法案を全会一致で可決した。01年の所得税を免除し、不動産税をほぼ半減させる内容で、上院も近く可決する見込み。

 補正予算で合意ができたことで、議会は、大統領に報復のお墨付きを与えるため、大統領の武力行使を容認する決議の細部を詰めており、週末の15日にも可決する可能性が高まっている。

[毎日新聞9月14日] ( 2001-09-14-20:24 )


 米同時テロ:米上院、武力行使の容認決議2001年09月15日

 【ワシントン中井良則】米国の同時多発テロに対する措置を審議した米上院は14日、報復のための武力行使を認める決議を全会一致で採択した。同日付ニューヨーク・タイムズ紙は、米国がアフガニスタンと隣接するウズベキスタン、タジキスタンにロシアが持つ軍事施設の使用許可をロシアに求めると報じた。米政府は捜査の進展を背景に、テロ組織の黒幕とされるウサマ・ビンラディン氏が滞在するアフガニスタンへの軍事報復作戦の準備を進めている。 

 決議は、ブッシュ大統領に認める武力行使の対象として「11日のテロを計画、承認、実行、援助した国家、組織、個人とそれらを擁護した国家など」と定め、目的を「米国に対するあらゆるテロ行為の防止」としている。議会の一部には、大統領に憲法上の戦争布告権限を認める意見もあったが、ベトナム戦争が泥沼化した経験から権限の全面付与を見送った。

 来週、訪露するアーミテージ国務副長官は、ロシアがタジキスタンなどに持つ空軍施設の利用やロシアが蓄えたアフガニスタン情報の提供を求める。旧ソ連軍は79年から10年間アフガニスタンに侵攻した。また米政府のシュルツ特使は14日、トルクメニスタンの首都アシガバートでニヤゾフ同国大統領と会談し、米軍の報復攻撃の可能性を伝え、協力を求めた。

 米国は既にパキスタンに対し、(1)アフガニスタンのテロ組織の情報(2)米軍機などのパキスタン領空通過許可(3)ビンラディン氏の逃走を防ぐためアフガニスタンとの国境閉鎖(4)テロ組織への資金提供中止――などの受け入れを求めている。

 クラーク米海軍作戦部長は13日、アラビア海周辺に通常の2倍規模の空母戦闘部隊が展開していることを明らかにした。米メディアによると、国防総省は巡航ミサイルやB2ステルス爆撃機、特殊部隊兵士突入などの作戦計画の検討に入った。ビンラディン氏の秘密拠点を攻撃し、効果がなければタリバン政権を攻撃する2段階作戦も検討されている。

 一方、民間機4機を乗っ取った実行犯18人中16人がビンラディン氏と関係があったことが14日、明らかになった。米政府筋の話としてワシントン・ポスト紙が報じた。実行犯の大半がビンラディン氏の組織下にあったと判明したのは初めて。

[毎日新聞9月15日] ( 2001-09-15-01:42 )



B・報復世論造り

海外ニュース - 9月15日(土)13時6分
米国民の3分の2、テロ攻撃に宣戦布告すべきと判断=世論調査

 [ワシントン 14日 ロイター] タイム誌とCNNが実施した世論調査で、11日に米国内で発生した同時多発テロに対し、現時点では報復すべき犯人グループが不明だが、3分の2が宣戦布告すべきだと考えていることが明らかになった。
 これによると、62%が宣戦布告すべきだと答えたが、61%はだれに報復すべきか定かでないと答えている。
 またイスラム原理主義組織の指導者、オサマ・ビン・ラディン氏が今回のテロ事件に個人的に関与している考えられるとの回答は92%に達したが、ブッシュ大統領がラディン氏を標的にすべきだとの回答は10%にとどまった。
 またラディン氏を標的にすることで米国と中東各国との間に戦争を招く可能性があるとの回答は65%だった。
(ロイター)

2001.09.16 テロ拠点攻撃支持71% ニューズウィーク調査

 【ニューヨーク15日=共同】米誌ニューズウィークが十五日発表した中枢同時テロに関する世論調査で、米国民の71%が、周辺の一般市民が犠牲になる可能性が高くてもテロ拠点への報復攻撃を行うべきだと考えていることが分かった。また、今回のテロに責任があるかどうかは別として、ウサマ・ビンラディン氏のようにテロの疑念がある人物を攻撃すべきだとの回答も54%に上った。

 また、テロ発生直後からのブッシュ大統領の対応を89%が支持した。

 減速している米国経済と世界経済に対するテロの影響については、それぞれ63%が「悪影響がある」などと懸念。十七日から再開予定の米国株式市場の株価見通しでは、61%が株価下落につながると回答した。



C・報復関連諸国との下交渉

海外ニュース - 9月14日(金)11時36分
<米同時テロ>パキスタンに領空飛行許可を要請か

 米同時テロで、AP通信は13日、米国がアフガニスタンに対して軍事行動を取る場合、パキスタンの領空を飛行できる許可を同国政府に求めたと伝えた。ウサマ・ビンラディン氏がアフガニスタンに滞在しているとみられ、米は軍事行動の選択肢を広げるため、パキスタンの飛行許可を事前に得ておきたい方針とみられる。(毎日新聞)

海外ニュース - 9月15日(土)20時38分
<米同時テロ>パキスタン、米軍機の領空通過認める 米紙報道

 米ワシントン・ポスト紙が15日、パキスタン政府高官の話として報じたところによると、ムシャラフ大統領はウサマ・ビンラディン氏への報復作戦で米軍機などが空爆を実施する際、パキスタン領空の通過を認めた。また、パキスタン政府はビンラディン氏に関する情報を米国に提供するなどの方針を決めた。(毎日新聞)
海外ニュース - 9月15日(土)20時30分
<米同時テロ>米地上軍の展開は拒否の方針 パキスタン

 アフガニスタンへの報復攻撃を決めた米政府から「協力」を求められているパキスタン政府は15日までに、大規模な地上軍の展開は拒否する方針を固めた模様だ。国内のイスラム原理主義勢力は、報復攻撃に猛反発しており、米政府に対する「全面的な便宜供与」は、ムシャラフ政権そのものを揺さぶる可能性があるからだ。(毎日新聞)


D・実行犯グループの確定

 米同時テロ:実行犯19人の名前発表 司法省

 米司法省は、14日実行犯の名前を公表した。前日に発表されていた18人より1人増え、19人になった。

[毎日新聞9月15日] ( 2001-09-15-10:25 )


 米同時テロ:タリバン政権を名指し非難 パウエル米国務長官(2001年09月15日)

 パウエル米国務長官は十四日、国務省で記者会見し、アフガニスタンのタリバン政権が米中枢同時テロの中心人物とされるウサマ・ビンラディン氏をかくまっているとして「そのような組織に隠れ家を与えるのは文明を攻撃し、無実の人々を殺害するに等しい」と名指しで非難した。

 米政府高官が事件に絡みタリバンを名指しで批判したのは初めて。また「このメッセージを同様の行為にかかわっているあらゆる政権に伝える」と強調。報復攻撃の対象はあらゆる「テロ支援国家」に及ぶ可能性を示唆した。

 CNNテレビは十四日、米政府が報復の軍事行動としてアフガニスタンだけでなくイラク、イランなどへの攻撃も検討していると伝えた。

 ブッシュ米大統領は同日、最大五万人の米軍予備役の招集を決定した。(ワシントン共同)

[毎日新聞9月15日] ( 2001-09-15-10:48 )


米同時テロ:実行犯と支援グループ50人を特定 米司法当局(2001年09月13日)

 【ワシントン布施広】米国に対する同時多発テロで、13日付の米紙ロサンゼルス・タイムズは米司法当局が実行犯と支援グループのメンバー約50人を特定したと報じた。うち約10人は逃走中だが、残る約40人は拘束されたか、乗っ取った航空機で世界貿易センタービルなどに激突して死亡したという。捜査の進展で今後の焦点は、国際テロの黒幕とされるウサマ・ビンラディン氏の関与を立証できるかどうかに移った。ラムズフェルド国防長官は12日、全世界の米軍に向けて「危険な任務」が待っているとのビデオ演説を行い、条件が整えば報復攻撃に踏み切ることを示唆した。

 13日付の米紙ロサンゼルス・タイムズは、捜査当局が約50人の犯行グループを特定、うち40人は自爆テロで死亡したか拘束されたと報じた。捜査当局は実行犯が両親にあてた遺書をニューヨークの家宅捜索で発見。また、メンバーはいずれも中東諸国のパスポートを所持し、それぞれ4組の独立した組織に属していたという。

 米連邦捜査局(FBI)などは総勢7000人を投入、所在不明の10人の行方を追うとともに、実行犯が航空機の操縦を学んだフロリダ州のパイロット養成学校などを家宅捜索した。

 これまでの捜査で、判明した実行犯の国籍はエジプトかサウジアラビアとされ、当局はビンラディン氏との関係を調べている。同氏が居住するアフガニスタンでは、米軍の報復攻撃を見越して、アラブ住民らが避難を始めたという。国務省は13日以降、アフガンのタリバン政権との関係が深いパキスタンと捜査協力の協議を行う方針だ。

 ラムズフェルド長官は、ビデオ演説の中で「我々は強力で恐ろしい敵に直面している」と述べ、この敵に打ち勝つのが米軍の務めだと強調。兵士たちの「危険な任務」遂行への支援を確認した。長官の演説は、国防総省へのテロに対し、兵士の士気を保つとともに、報復攻撃が近いことを示唆したものだ。

 一方、米上院は同日、対米テロを敢行した組織に対するブッシュ大統領の懲罰行動を指示する決議を全員一致で採択、下院も同種の決議を採択し、米政府と議会がテロとの全面対決の方向で足並みをそろえた。ブッシュ大統領は11日のテロを「戦争行為」としており、米国が報復する場合は大規模な軍事行動になる可能性が高い。

[毎日新聞9月13日] ( 2001-09-13-22:51 )


米同時テロ:FBIが容疑者1人を逮捕 AP通信(2001年09月15日)

 AP通信によると、米連邦捜査局(FBI)は14日、米中枢同時テロで容疑者1人を逮捕した。同事件での逮捕者は初めて。

 容疑事実や犯行グループとの関係などは不明。FBIは事件後、ニューヨークの空港で十人を拘束したが、テロと関係ないと判明したため釈放している。

 アシュクロフト司法長官は同日、テロの実行犯と特定した19人の氏名を公表。捜査当局はこのほか、事件に関する情報を持っている可能性がある約100人をリストアップ、所在の確認を急いでいる。(ワシントン共同)

[毎日新聞9月15日] ( 2001-09-15-11:02 )



E・国連対策

 米同時テロ:非難決議を全会一致で採択 国連安保理(2001年09月13日)

 【ニューヨーク上村幸治】国連安全保障理事会は12日、米国に対するテロ事件を受けて緊急協議を行い、テロ行為を厳しく非難する決議を全会一致で採択した。決議はニューヨークなどで起きたテロに対し「最も強い言葉で、明白に非難する」と述べるとともに、すべての国に対し「テロ攻撃の犯人やその組織者、資金提供者を司法手続きにかけるべく協力する」よう求めた。

 参加各国代表は冒頭に1分間黙とうし、事件の被害者の冥福を祈ってから協議を始めた。最初にアナン事務総長が「国連をホストする国、都市がテロの攻撃にあった。われわれ国連全体に対する脅威だ」とあいさつした。

 安保理では、日本の佐藤行雄国連大使も声明を発表、小泉純一郎首相の「(テロ行為を)許すことができない」との発言を紹介すると同時に「すべての形態の国際テロを廃絶するための国際的取り組みに協力する上で日本は全力を尽くしたい」と表明した。

 安保理に先立ち同日午前、国連に対して爆弾テロをほのめかす脅迫があり、国連職員が一時避難する騒ぎが起きた。国連本部はニューヨーク・マンハッタンの中心部東岸にあり、テロ攻撃を受けた世界貿易センタービルから5キロほど北に位置する。

[毎日新聞9月13日] ( 2001-09-13-10:28 )



F・諸外国の報復支援のその後の動き

 米同時テロ:報復攻撃を事実上容認 ロシア外相(2001年09月14日 )

 【モスクワ石郷岡建】ロシアのイワノフ外相は13日、「国際テロとの闘いでは武力行使もやむ得ない」と述べ、米政府の報復攻撃を事実上容認する方針を明確に示した。また、国際テロ問題での主要国首脳会議(G8)の開催を提唱した。

 イワノフ外相はベドリヌ仏外相との緊急会談の後、記者団に説明した。

 さらに「国際テロとの闘いでは共同行動が必要だ」と述べ、「テロ事件の悲劇を繰り返さないためにも、世界規模でテロ対策手段を取るべきだ」と訴えた。

 一方、ベドリヌ外相はテロ対策での国際共同行動に賛意を示したが、「軍事手段もある得るが、政治的手段も重要だ」と米国に慎重さを求める発言をした。

[毎日新聞9月14日] ( 2001-09-14-10:42 )


 米同時テロ:仏大統領、米の報復を支持(2001年09月14日)

 【パリ福島良典】シラク仏大統領は13日、米CNNテレビのインタビューで、同時多発テロに対してブッシュ米政権が報復攻撃を実施する場合には、支持する姿勢を表明した。大統領は「多数の人命を奪ったこの狂気を罰する時がくれば、フランスは米国の側に立つ」と述べた。

[毎日新聞9月14日] ( 2001-09-14-10:06 )



G・現場処理の様子と経過

2001年9月14日(金)「しんぶん赤旗」

周辺ビル次々崩壊 救出難航写真手に「家族は」「友は」実行犯は米で訓練 各地で拘束も

 【ニューヨーク13日坂口明】ニューヨーク・マンハッタン島南部の世界貿易センタービルが崩壊した現場では、十三日も懸命の救出作業が行われ、これまでに五人の生存者が救出されました。しかし、膨大ながれきに阻まれ、作業は難航しています。ミネタ米運輸長官は十三日午前、同時テロ事件で飛行禁止措置がとられていた米国の民間航空が同日午前十一時(日本時間十四日午前零時)から運航再開されると発表しました。ただし、運航が正常化するまでには、かなりの時間がかかるもようです。

 ジュリアーニ・ニューヨーク市長は十三日午前、行方不明者は四千七百六十三人だと発表。これはハイジャックされ同ビルに激突した二機の旅客機の搭乗者も含んでいます。同市長はまた、現場から九十四人の遺体が見つかり、うち四十六人の身元が確認されたこと、七十四体の「死体の一部」が収容されたことを明らかにしました。市では六千人分の遺体収容用の袋を用意しているといいます。

 ガス漏れや五十四階建ての「ワン・リバティー・プラザ」など、周辺ビルが新たに倒壊する危険から、救出作業はしばしば中断しています。十二日には、二十一階建てと九階建ての二棟のビルが崩壊。これまでに崩壊したビルは五棟となりました。現場からは依然として黒煙が立ち込めています。

 立ち入り禁止区域は現場の北二キロの通りにまで拡大されました。この地点でもゴミを燃やすようなにおいがしています。付近のビルの壁や駐車する車には、十一日午前から行方不明となっている家族を捜す紙が張り付けられています。行方不明の親友の写真を手にする女性もいます。現場を出入りする消防隊員らに星条旗を振って激励する人々もいます。ニューヨークの地元テレビ局では、世界貿易センターで働いていた家族の行方を捜している人々が、肉親の写真を示し、家族の発見に協力を呼びかける番組が始まりました。



【赤十字への財政支援】

米同時テロ:米国赤十字に100万ドル寄付へ トヨタ自動車(2001年09月15日)

 トヨタ自動車は14日、米国に対する同時多発テロで、米国赤十字に100万ドル(約1億2000万円)寄付することを決めた。このほか、ピックアップトラックやフォークリフトの提供を検討している。

 日産自動車も、米国赤十字に50万ドル(約6000万円)を寄付するほか、ニューヨークで殉職した警察官や消防士などの家族を対象に50万ドルを贈る。また、いすゞ自動車は、復旧作業用の高所作業車やトラックを、連邦緊急事態管理庁などに無償貸与することを申し出た。このほか、「従業員に自主的な献血への協力を呼びかけている」(ホンダ)など、日本企業も復旧支援に乗り出している。

[毎日新聞9月15日] ( 2001-09-15-02:46 )


【犯人達の操縦能力について】

  破壊力増す計算? 機体45度傾け激突
 ハイジャックされた旅客機は機体を約45度に傾けて世界貿易センタービルに激突したように見える。防衛庁関係者は「ビルの被害をより大きくするため」とその理由を推測する。テロリストはなぜ攻撃目標に正確に突入できたのか。航空専門家らに聞いた。

 複数の防衛庁関係者は、機体を45度傾けて衝突させたのは「水平よりも被害フロアが多くなるためではないか」とみる。「2機とも同じ方法で行われており、一番破壊力のある衝突方法をあらかじめ計算していたとしか考えられない。かなりの高度なテクニック」と分析する。

 さらに「テロ組織はビルの構造、衝突方法、ビルへのダメージの計算なども含め、綿密な事前調査をしたうえで、シュミレーション訓練を何度もやらせるなどしてパイロット(実行犯)を相当の期間をかけて育成したはずだ」と、テロの背景に大掛かりな組織の関与を疑っている。

 加藤寛一郎・東京大名誉教授(航空工学)は「ビルに突っ込んだボーイング767型機はハイテク機のはしりといわれた飛行機で、目的のビルにぶつけるためには相当な操縦技量が必要」と言う。「映像を見る限り、2機目はぶつかる直前に機体を45度以上傾けている。民間旅客機のパイロットは、6秒かけて30度機体を傾けて旋回する操縦が標準。これほど深い角度を付けているところをみると、ハイジャック犯には過去、急旋回や急降下に慣れた戦闘機のパイロット経験があったこともうかがえる」と軍事関係者の関与の可能性も指摘する。

 一方、航空評論家の清水喜由氏は「航空機の操縦で難しいのは離陸と着陸。テロリストが着陸を想定せず、目標に突っ込むだけなら、INS(慣性航法装置)に目標の緯度、経度、高度を入力できれば比較的簡単に目標に到達できる。小型機の操縦ができる程度の技量で十分に可能だ」と指摘する。そのうえで「自爆を想定したハイジャック防止マニュアルはない。非常時に操縦室内への侵入を完全に阻止するシステムの整備が必要だ」と提言する。

[毎日新聞9月14日]



第三ラウンド

 以降ブッシュ政権は、次のことを為した。
 @・報復作戦指揮者の確定と予備役軍人の召集
 A・パキスタンから民間外国人避難開始。
 B・空港運行開始
 C・犯人の検挙始まる
 D・タリバンの対応
 E・軍事作戦計画の立案
 F・
アラブ諸国に踏絵迫る
 G・



@・報復作戦指揮者の確と予備役軍人の召集

海外ニュース - 9月15日(土)20時38分
<米統合参謀本部議長>マイヤーズ副議長が昇格 報復作戦を指揮

 米上院は14日、新たな米統合参謀本部議長に、マイヤーズ同本部副議長を昇格させる人事を満場一致で承認した。同氏はウサマ・ビンラディン氏らに対する軍事報復作戦を軍トップとして指揮する。在日米軍司令官を93年から96年まで務め、95年に沖縄で起きた少女暴行事件の対応に当たった。(毎日新聞)
海外ニュース - 9月15日(土)16時30分
<米同時テロ>米軍予備役3万5000人緊急招集

 対米同時多発テロへの対応として、ブッシュ米大統領は14日、5万人の米軍予備役の招集を認めた。これに対し、ラムズフェルド国防長官は3万5500人を緊急に動員した。予備役を招集するのは1991年に起きた湾岸戦争以来のこと。

 また、ブッシュ大統領は国家非常事態法に基づく「国家非常事態」を宣言した。(毎日新聞)


A・パキスタンから民間外国人避難開始

社会ニュース - 9月15日(土)19時35分
パキスタンで邦人の国外退避始まる

 【イスラマバード15日=長谷川聖治】米国が同時多発テロの報復として、ウサマ・ビンラーディンの潜伏するアフガニスタンへの軍事行動をとる可能性が高まる中、隣国、パキスタンで在留邦人の国外退避の動きが早まってきた。

 イスラマバードの日本大使館によると、在留日本人は800人。既に一部の商社の駐在員、その家族がパキスタンを離れたほか国際協力事業団(JICA)の職員ら61人中、57人がきょう16日夜、バンコクに向かう。日本人学校も教職員の家族の退避措置が取られた。

 JICA職員によると、既にイスラマバード空港などは軍の使用の頻度が高まり、商業便が減便されるなどして、予約が取りにくくなっているという。

 大使館によると、外務省による退避勧告は今のところでていないが、パキスタンが米国との協力姿勢を強めれば、米国のアフガニスタン攻撃の際、パキスタンへの報復の可能性もあり、情勢は緊迫している。(読売新聞)


B・空港運行開始

社会ニュース - 9月15日(土)17時9分
米国行き旅客機、3日ぶり再開=検査強化で混雑−成田空港

 米国で起きた同時テロ事件の影響で止まっていた成田空港から米国に向かう旅客便の運航が15日午前、再開された。3日間にわたり発着便が約半数に落ち込み閑散としていた同空港だが、足止めされていた出発、到着客の増加につれ混雑を増した。警備強化に伴って手荷物検査も厳重になったため、米国行き以外の便を含め、航空機の出発は軒並み遅れた。
 テロ事件で、成田空港での保安検査レベルは最高の「E」に引き上げられたが、その後、米連邦航空局(FAA)が米国に向かう航空機の保安基準を引き上げたため、同空港の保安検査は同日からさらに厳しくなった。 (時事通信)


C・犯人の検挙始まる

海外ニュース - 9月15日(土)11時30分
<米同時テロ>FBIが容疑者1人を逮捕 

 AP通信によると、米連邦捜査局(FBI)は14日、米中枢同時テロで容疑者1人を逮捕した。同事件での逮捕者は初めて。

 容疑事実や犯行グループとの関係などは不明。FBIは事件後、ニューヨークの空港で10人を拘束したが、テロと関係ないと判明したため釈放している。

 アシュクロフト司法長官は同日、テロの実行犯と特定した19人の氏名を公表。捜査当局はこのほか、事件に関する情報を持っている可能性がある約100人をリストアップ、所在の確認を急いでいる。(ワシントン共同)(毎日新聞)


D・タリバンの対応

海外ニュース - 9月15日(土)19時43分
「聖戦に備えよ」タリバン最高指導者が演説

 米CNNテレビは14日(日本時間15日)、アフガニスタンを実効支配するタリバン政権の最高指導者ムハンマド・オマル師が国民に聖戦に備えることを呼びかける17分間のラジオ演説を行ったと報じた。

 演説では、「アフガニスタンはイギリスやロシア(旧ソ連)に侵略されたが踏みとどまった。今、第3の帝国(アメリカ)が攻撃を仕掛けようとしている」とし、「我々に対する攻撃はウサマ(ビンラーディン)のためではなく、イスラムの邪教化にある」と訴えた。「アフガン人民は恐れるべきでなく、自分は死を恐れていない」と言明したという。(読売新聞)

海外ニュース - 9月15日(土)19時28分
米、タリバン転覆も視野に

 【ワシントン15日=永田和男】パウエル米国務長官は14日の記者会見でアフガニスタンの実効支配勢力タリバンについて、「タリバンがウサマ・ビンラーディンの組織を支援しているなら、両者の行動を区別して考えるわけにはいかない」と述べ、近づくテロ組織への報復作戦ではタリバン体制の転覆も視野に置いていることを強く示唆した。

 長官は、「このメッセージは他のあらゆる体制や国家についてもあてはまるものである」と述べて、ビンラーディンの組織や、他の過激派テロ組織に訓練所提供や資金援助を行う国家をいっさい見逃さない姿勢を強調した。

 またパウエル長官は、報復作戦での各国の協力の濃淡が今後米国との外交・経済関係を考え直すうえでの「新たな基準になる」と語った。発言はパキスタンや中東諸国を念頭に、経済制裁や援助打ち切りをちらつかせて情報提供などを迫る考えを示唆したものだ。

 長官は、「特定の国の対応が鈍く、そのためにさらなるテロ行為の温床が形成されているとわれわれが判断した場合、将来その国に対して行う援助や関係全般を考え直さざるを得ない」と語った。これはパキスタン政府が、米国の協力要請と国内世論の反発のはざまで回答を渋っていることから、協力をさらに強く迫る意図があるのは明白。パキスタンはビンラーディンの所在などの情報を持つとみられるほか、米軍が対アフガニスタン軍事行動を起こす際の領空通過などパキスタンの協力が不可欠だ。

 長官は14日、田中外相とインド、サウジアラビア、チュニジア、モロッコ、ポルトガル、シリア、バーレーン、クウェート、韓国の外相に次々と電話。主としてテロ組織に対する資金の流れを断つ協力を求めたという。

 ビンラーディンは3億ドルの個人資産を有するとみられるが、湾岸産油国の富豪がスポンサーについているとされ、国際的な資金ルートの解明、凍結が組織撲滅には欠かせない要素だ。

 一連の電話協議では、米国が「テロ支援国家」の1つに認定するシリアのシャラ外相にも直接、協力を求めたほか、イランとも支持獲得を模索している。長官は、「対テロの協力網から外して考えている国はほとんどない」と語っており、原理主義組織に影響力を持つこれらの国々も、長年の敵対関係を越えて手を結ぶ構えだ。(読売新聞)

 タリバン政権を名指しで非難 パウエル国務長官

 【ワシントン布施広】パウエル米国務長官は14日、アフガニスタンのタリバン政権が米同時多発テロの有力容疑者とされるウサマ・ビンラディン氏をかくまっているとし「(テロの)加害者だけでなく、彼らに隠れ家や支援を与える者に留意せざるを得ない」と強い調子で警告した。米政府高官が事件に絡み、タリバンを名指しで非難するのは初めて。一方、上下両院はテロへの報復に関してブッシュ大統領に「必要かつ適切な」軍事力の使用を認める決議をそれぞれ採択、ブッシュ政権は最大5万人の予備役招集を決定した。また、司法当局はテロの実行犯19人の氏名を公表、全員がアラブ系とみられる名前で、ビンラディン氏との関連が有力視されている。

 予備役招集にあたり大統領は国家非常事態宣言を出した。同宣言は父親のブッシュ元大統領が91年の湾岸戦争時に出して以来、10年ぶり。

 国務長官は記者会見で、容疑者を特定する「多くの証拠がある。容疑者がだれなのか近く判断できるだろう」と述べ、断定は避けながらもビンラディン氏の関与を強く示唆した。また同氏の組織は「文明社会を攻撃し、罪のない市民を殺している」と非難した。長官はまた、報復がタリバン以外に及ぶ可能性も指摘した。

 米議会が採択した武力行使容認決議は上院が全会一致、下院は賛成420票に対し反対は1票だけだった。テロの実行組織だけではなく、テロリストをかくまった国なども軍事行動の対象にしている。

 氏名が公表された19人は米民間機4機を乗っ取った容疑者で、うち7人前後がフロリダ州などで操縦訓練を受けていた。実行犯はワシントンの連邦準備制度理事会(FRB)や、ジョージア州アトランタでのテロも計画していたとの情報がある。

 また、連邦捜査局(FBI)も、事件との関連で「逃亡の恐れがある関係者」1人をニューヨークで逮捕した。氏名やビンラディン氏との関係は不明だが、犯罪の重要情報を握る人物として逮捕状が執行された。このほかFBIは事件との関連で所在不明の約100人の行方を追っている。

[毎日新聞9月15日]


海外ニュース - 9月15日(土)15時59分
タリバン、アフガニスタン攻撃の支援国を攻撃すると警告

 [イスラマバード 15日 ロイター] アフガニスタンを実効支配するタリバン政権は、米国のアフガニスタン攻撃を支援する近隣諸国があれば、その国を攻撃する可能性があることを明らかにした。
 パキスタンに拠点を置くアフガン・イスラム通信(AIP)が伝えた。
 タリバン外務省はカブールで発表した声明の中で、「仮に、アフガニスタンに対する攻撃のために、隣国が領土や領空の通過を許可した場合、その国をわれわれが攻撃する可能性は否定できない」としている。(ロイター)
海外ニュース - 9月15日(土)16時46分
<米同時テロ>近隣諸国への報復も タリバン・外務省

 アフガニスタンを事実上支配しているタリバン政権の外務省は15日、対米同時多発テロに関連し、米国を支援した近隣諸国に対し報復攻撃に出ることもあり得るとの声明を発表した。パキスタンのイスラマバードからの報道で明らかになった。(毎日新聞)

 タリバン、外国人に国外退去求める

 [イスラマバード 15日 ロイター] アフガニスタンを実効支配するタリバンは、同時多発テロに対する米国の報復攻撃を予想して、すべての外国人に国外退去を求めた。
 パキスタンに拠点を置くアフガン・イスラム通信(AIP)が伝えた。
 それによると、タリバンの外務省は、すべての外国人に身の安全のため、一時的にアフガニスタンから出国するよう要請した。ただ、現在まだ国内に残っている外国人の数については明らかにしなかった。
 国連や非政府組織(NGO)の外国人職員は、すでにアフガニスタンを出国している。(ロイター)



E・軍事作戦計画の立案

 米同時テロ:「継続的で広範」な軍事作戦を立案中 米大統領(2001年09月16日)

 【ワシントン布施広】ブッシュ米大統領は15日、大統領山荘のキャンプデービッドで会見し、国際テロの黒幕とされるウサマ・ビンラディン氏を同時多発テロの「主要な容疑者」と表現、「米国の手から逃れられると思うなら大間違いだ」と述べ、徹底的に同氏の組織を追い詰める決意を表明した。大統領は「米国は戦争状態にある」とも語り、同日のラジオ演説では「継続的で広範」な軍事作戦を立案中だと述べ、大規模な報復を行う方針を明らかにした。 

 大統領がビンラディン氏の関与を断定的に語ったのは初めて。ラジオ演説では「米国に戦争を仕掛けた者は自らの破滅の道を選択した」と述べ、「戦いは短期間では終わらない」として国民の忍耐と戦闘貫徹への強い決意を求めた。

 パウエル国務長官は14日の記者会見で、テロの容疑者を特定する「多くの証拠があり、容疑者が誰なのか、近く判断できるだろう」と述べ、ビンラディン氏の関与を強く示唆。同氏を実質的にかくまっているアフガニスタンのタリバン政権に対し「米国は(テロの)加害者だけでなく、彼らに隠れ家や支援を与える者に留意せざるを得ない」と警告していた。

 また、米下院は14日、上院に続き、テロへの報復に関して武力行使を容認する決議を賛成420、反対1の圧倒的多数で採択した。

 一方、米連邦捜査局(FBI)は14日、事件との関連で「逃亡の恐れがある関係者」1人をニューヨークで逮捕した。氏名などは不明だが、犯罪の重要情報を握る人物として逮捕状が執行された。一部報道では、ビンラディン氏の親類と交友がある男性という。AP通信によると、この男性は13日にもニューヨークで、偽造のパイロット免許を所持していた疑いで一時拘束された。このほかFBIは、事件との関連で所在不明の約100人の行方を追っている。

 また、司法当局はテロの実行犯19人の氏名を公表、全員がアラブ系とみられる名前で、サウジアラビア出身のビンラディン氏との関連が有力視されている。この19人は米民間機4機を乗っ取った容疑者で、うち7人前後がフロリダ州などで操縦訓練を受けていた。19人中9人前後はサウジ出身か居住経験がある者とみられ、在米サウジ大使館に勤務した外交官の息子も含まれているという。司法当局は当初、実行犯の人数は18人としていた。

 世界貿易センタービルと国防総省に突っ込んだ計3機の民間機には各5人、ペンシルベニア州で墜落した航空機には4人の実行犯が乗っていた。犯人グループは、ワシントンの連邦準備制度理事会(FRB)や、ジョージア州アトランタでのテロを計画していたとの情報もある。

[毎日新聞9月16日] ( 2001-09-16-01:43 )


 地上軍投入も「選択肢」、タリバン包囲網狭める

 【ワシントン15日共同】米中枢同時テロでブッシュ米大統領は15日、ワシントン近郊の大統領山荘、キャンプデービッドに、チェイニー副大統領、パウエル国務長官、ラムズフェルド国防長官らを集めて国家安全保障会議を開催、報復攻撃を含め対応を協議した。

 協議内容は明らかにされていないが、フライシャー大統領報道官は記者団に、地上軍投入の可能性について「大統領はあらゆる選択肢を排除しない」と言明した。しかし、有力紙ニューヨーク・タイムズが15日付社説で地上戦の困難さを指摘するなど、一部で慎重な論調も出てきた。

 一方、パウエル国務長官は15日までに、アフガニスタンの支配勢力、タリバンを承認しているサウジアラビアとアラブ首長国連邦に、関係断絶を要請した。同紙の電子版が、米政府当局者の話として報じた。

 米国はタリバン包囲網を狭めるために、パキスタンなどアフガニスタン周辺国には国境封鎖を要請。イランが15日に国境を封鎖した。ブッシュ大統領は「戦いは短期間ではない」として報復作戦の長期化を示唆。



F・アラブ諸国に踏絵迫る

 「敵か味方か」と選択迫る=米、アラブ諸国に−米紙

 【ニューヨーク15日時事】15日付の米紙ニューヨーク・タイムズによると、米国務省高官は14日に開かれた15のアラブ諸国・地域代表との会合で、「敵か味方かを選ぶ時が来た」と述べ、テロに反対する意思があるのかどうか態度を明確にするよう迫った。



ブッシュ大統領の撃墜命令

米大統領:「不審な民間機」を撃墜命令 同時多発テロ時に

 【ワシントン中井良則】チェイニー副大統領は16日、米テレビで、同時多発テロが起こった11日、ブッシュ大統領がワシントンなどに向かう不審な民間機を撃墜する命令を米軍機に出していたことを明らかにした。

 許可が出されたのは、ハイジャックされた旅客機2機がニューヨークの世界貿易センタービルに相次ぎ突入、別の1機がワシントン郊外の国防総省に突入した直後だった。副大統領は「もし、民間機がニューヨークやワシントンに接近するなという指示に従わない場合、最後の措置として米軍機による撃墜が決断されていた」と述べ、当時の混乱の中、これ以上の大規模な被害を防ぐため、民間機の乗員・乗客が犠牲になってもやむを得ないとの立場を示していたことを意味する。

 また、キグリー国防総省副報道官は同日のテレビで、ニューヨークのテロ後、連邦航空局からワシントンに向かう不審な民間機があるとの連絡があり、バージニア州の空軍基地から戦闘機が緊急発進したが、国防総省ビル攻撃を防ぐには間に合わなかった、と述べた。

 今回のテロで、乗っ取られた後、ペンシルベニア州に墜落した4機目は墜落原因をめぐり、機内で乗客が抵抗したとの見方や、米軍による撃墜説が出ていた。米軍は4機目を追尾していたことを認めたが撃墜は否定した。今回の副大統領発言で、撃墜説が広がる可能性もある。

[毎日新聞9月17日] ( 2001-09-17-01:30 )


教会で追悼式

 テロ後初の安息日 NY、教会で追悼式

【ニューヨーク野村隆宏、佐藤大介】米国は16日、同時多発テロ後初めての日曜日を迎えた。世界貿易センタービルの崩壊で5000人以上の死者、行方不明者が出たニューヨーク市では各地区の教会で追悼式が開かれ、多くの市民が祈りをささげた。日曜日開催のアメリカンフットボールや大リーグもすべて中止。静かな街に荘厳な賛美歌が響いた。

 マンハッタン中心部の五番街にあるセント・パトリック大聖堂。夕方の追悼ミサにジュリアーニ市長、アナン国連事務総長らが参列した。周囲にも数千人が幾重にも人垣を作り、館内から響くエドワード大司教の祈りの言葉に耳を傾けた。

 参列者の中には行方不明者の家族も多い。モニカ・アイケンさん(31)は、世界貿易センター第2ビル(南タワー)84階の証券会社で働き音信が途絶えた新婚の夫マイケルさん(37)の写真をプリントしたTシャツを着て、親せき、友人ら約20人とともに祈った。「きょうはいくつもの教会を回った。そこで、祈り、励ましてくれる人たちの思いは、きっと現場で救出を待つ夫にエネルギーとなって伝わると思う」と話した。

 「僕は大丈夫だ。ちゃんと避難をするからね」という携帯電話の夫の声は、2機目の旅客機が激突した瞬間に途絶えたという。「彼の周囲からは、おびえた人の叫び声も聞こえたけど、彼自身はとても冷静だった。絶対にどこかで生きている」と言って、十字を切った。

 国民の愛唱歌「美しきアメリカ」が流れる中、ミサを終えた大司教が外に出て路上の市民に祈りの言葉を伝えると、高層ビルの谷間に大きな拍手がわき起こった。

 祈りの日を終えたニューヨークは17日、証券取引所が業務を再開するなど、ビジネスの本格復興に向けての動きが活発になる。

 世界貿易センタービル付近には、現場の様子を見ようと多くの人々が規制区域ぎりぎりまで集まった。倒壊現場から約800メートル北東のチャイナタウンでは、ニュージャージー州から来たというアーサー・ヒルトンさん(44)がまだ白煙の上る現場を見つめていた。「本当にあのビルが消えたのかと実感し、とても恐ろしい気持ちだ」と言い、ため息をついた。

[毎日新聞9月17日]


チェイニー米副大統領当日避難の様子

 当日朝、地下室に避難 米副大統領

 【ワシントン吉田弘之】チェイニー米副大統領は16日、同時多発テロが発生した11日朝、ハイジャックされた飛行機のうちの1機がホワイトハウス方面に向かっていることが分かり、要人の警護に当たるシークレット・サービスに抱きかかえられるように地下室に避難した経緯を明らかにした。米NBCテレビのインタビューで語った。

 副大統領によると、この日午前9時前、ホワイトハウスの執務室で演説の草稿を打ち合わせ中に世界貿易センタービルに乗っ取られた航空機が突っ込んだとの一報を受けた。すぐにテロだと考え側近とともに声明について議論を始めたという。

 その時、屈強なシークレット・サービスが突然、部屋に入ってきて、有無も言わさず、体を持ち上げられるようにホワイトハウスの地下にあるシェルターに移動させられた。ハイジャック機の1機がホワイト・ハウスを目指しているとの情報が入ってきたためだ。

 結局、同機は国防総省に突入。地下室に入り、副大統領が最初にしたのはフロリダ州にいたブッシュ大統領に直ぐに帰ってこないようにかけた電話だった。「ここで何が起こっているのか分からない。しかし我々(ホワイトハウス)が標的のようだ」と大統領に伝えたという。

[毎日新聞9月17日]


 ロシアの動向が焦点に アフガンへの軍事行動

 【ワシントン布施広】同時多発テロへの報復として週内にも予想される米国のアフガニスタンへの軍事行動について、ロシアの動向が焦点になってきた。ロシアは多数の市民が死亡した米国に同情する一方、近接するアフガンへの大規模攻撃には反対している。19日に予定されるアーミテージ米国務副長官とロシア高官の米露協議が、軍事行動の時期や規模などに微妙に影響する可能性もある。

 アフガン周辺国のうちパキスタンは軍事行動時の米軍の領空通過などを許可、17日にもアフガンのタリバン政権と接触し、米側がテロの最重要容疑者と見るウサマ・ビンラディン氏の引き渡しを求める。米側は引き渡しに3日間の猶予を設けている模様で、タリバン側の返答次第では、週内にも軍事行動含みの緊張が高まることになる。

 やはり隣接国で反米の立場にあるイランも今のところ米国の軍事報復への強い反対は表明していない。パウエル米国務長官は16日、アフガン周辺国のウズベキスタンとも意見交換すると語ったが、同国やトルクメニスタン、タジキスタンの意向が軍事行動に大きく影響するとは考えにくい。

 このためロシアの対応がカギとなる。報道によると、プーチン大統領は16日、テロ組織を処罰する必要性は認めつつ、無差別的な武力使用には反対。イワノフ国防相も「じゅうたん爆撃などが問題を解決するとは考えにくい」と米国の大規模な軍事行動をけん制した。

 旧ソ連は79年、アフガンに侵攻したが、結局撤退。現在もイスラム原理主義を掲げるタリバン政権とロシアの関係は良くない。だが、ロシアは北大西洋条約機構(NATO)によるユーゴスラビア空爆に続き、旧ソ連の勢力圏や近接国で、米国が大規模な軍事行動を構えることは歓迎できない。

 このため米政府はロシア説得に重点を置く方針で、16日からロシアを訪問したボルトン米国務次官はミサイル防衛構想のほか軍事報復についてもロシア側と協議する見通し。

 ロシアは米国の軍事行動を左右する力はないとみられるが、ロシアが大規模報復に強く反対する態度を変えない場合、米国は難しい対応を迫られる可能性もある。

[毎日新聞9月17日]


 「米国の戦いに全面協力する」 インド首相

 【イスラマバード春日孝之】インドのバジパイ首相は16日、ブッシュ米大統領と電話で協議し、「米国のテロとの戦いに全面協力する」と改めて表明した。インドはすでに米軍のアフガン軍事行動に際して自国内の基地を提供すると申し出ている。

 インドは敵対関係にあるパキスタンがタリバンを承認しているため、反タリバン連合を支援してきた。予想される米国のアフガニスタン攻撃を機に、(1)パキスタンのアフガンへの影響力失墜(2)米国との協調体制確立――による「パキスタン封じ」を狙っているようだ。

[毎日新聞9月17日]



第四ラウンド

 以降ブッシュ政権は、次のことを為した。
 @・パキスタンによるタリバン交渉
 A・ブッシュ軍作戦名を明らかにし、国民への呼びかけ
 B・国防省長官が特殊部隊作戦披露
 C・イスラエルの動き
 D・軍事態勢に向けての法改正の動き
 E・ブッシュが軍事作戦で各国と協議
 F・
タリバンがイスラム社会へ共闘の呼びかけ
 G・


@・パキスタンによるタリバン交渉】

 パキスタン代表団がタリバンと交渉開始

 【イスラマバード支局】米同時多発テロで、米国が最重要容疑者と名指しするウサマ・ビンラディン氏の引き渡しを求め、パキスタン政府代表団が17日、アフガニスタン入り。同国からの報道によると、同国南部のカンダハルでタリバン政権当局者らと会談を開始した。[毎日新聞9月17日]


 パキスタン代表団アフガン入り、タリバン政権と交渉

  【イスラマバード17日共同】パキスタン軍のマフムード三軍統合情報部長(中将)を団長とするパキスタン政府代表団が17日、アフガニスタン・タリバン政権の本拠地である南部カンダハルに空路で到着した。アフガン・イスラム通信が報じた。

 同通信によると、代表団は到着後直ちに、タリバン政権のムタワキル外相との会談に入った。続けて、同政権の最高指導者ムハマド・オマル師とも会談。米国が同時テロの最重要容疑者と名指しているサウジアラビア出身の富豪、ウサマ・ビンラディン氏の3日以内の引き渡しを働き掛けているとみられる。

 今回の代表団の訪問は米国の意向を受けたもので、タリバン側が引き渡しに応じなければ「米国の大規模な軍事報復は避けられない」との最後通告を行っているとみられ、タリバンへの説得工作は正念場を迎えた。

 タリバン政権も18日にカブールで伝統的な国家意思決定機関である国民大会議を開催、米国の報復攻撃への防衛対策やビンラディン氏の引き渡し問題など今後の方針を協議する。(日経)


A・ブッシュ軍作戦名を明らかにし、国民への呼びかけ

 (9/16)地上軍も選択肢・米作戦名「高貴なワシ」

 【ワシントン16日=池内新太郎】フライシャー米大統領報道官は15日の記者会見で、同時テロ事件への報復攻撃について「ブッシュ大統領はいかなる選択肢も排除していない」と述べ、地上軍の投入もあり得ることを示唆した。米国防総省は同日、報復の軍事作戦を「ノーブル・イーグル(高貴なワシ)」と命名した。

 米メディアによると、パウエル国務長官はアフガニスタンを実効支配するイスラム原理主義勢力タリバンを承認しているサウジアラビアとアラブ首長国連邦に関係断絶を要請した。

 米政府はテロ事件の主要容疑者とされるビンラディン氏をかくまっているとされるタリバンを外交攻勢も含めて包囲する構え。タリバンと関係の深いパキスタンからの全面的な協力取り付けに成功したことで、タリバンへの締め付けをさらに強化する方針だ。(日経)


 「国民は自分の仕事に戻ってほしい」

 【ワシントン吉田弘之】ブッシュ大統領は16日、週末を過ごした大統領山荘のキャンプデービッドからホワイトハウスに戻り、「国民は自分の仕事に戻ってほしい」と述べる一方、「我々には悪者を除去する仕事が待っている」と、テロに対する報復への決意を述べた。
[毎日新聞9月17日]



B・国防省長官が特殊部隊作戦披露

 テロ根絶へ暗殺復活も…米国防長官「特殊部隊を動員」

 【ワシントン16日=林路郎】ラムズフェルド米国防長官は16日、FOXテレビのインタビュー番組で、国際テロ及びテロ組織の根絶に向けた米国の軍事行動について、「その多くが司法当局や特殊部隊による作戦になるだろう」と述べた。ブッシュ政権は、中央情報局(CIA)などによる海外での暗殺行為を禁じた76年の大統領令廃止の検討にも着手。米情報機関などによる海外での秘密破壊工作が復活する可能性が高まってきた。

 米軍は陸軍デルタフォース、グリーンベレー、海軍及び海兵隊の特殊部隊など、特殊作戦のための兵力約3万5000人を抱えている。

 長官は、標的が潜伏、分散している国際テロ組織の壊滅作戦は、「通常の(国家を相手とした戦争などの)軍事行動とは異なる」と明言。米軍の軍事行動が大規模な地上部隊投入などに至るとの見通しに懐疑的な見方を示したうえで、「特殊部隊はこうした作戦のために訓練された貴重な人たちで、さらに動員が必要になるだろう」と述べた。76年大統領令見直しの動きは、パウエル国務長官が16日、CNNテレビに対して明らかにした。同大統領令は、冷戦期にCIAが直接間接に海外要人などの暗殺に関与していることが米国内で問題化し、フォード大統領が発令したもの。テロリスト相手の作戦では、場合によっては標的抹殺も必要となる事態に備えた動きと見られる。

(読売9月17日13:46)


 米、パキスタンに専門家チーム派遣へ

 パウエル米国務長官は16日、CNNテレビに出演し、米同時テロに対する報復措置への協力を約束したパキスタンに対し、数日以内に専門家チームを派遣する、と明らかにした。

 今回の同時テロの主要な容疑者とされるイスラム原理主義指導者ウサマ・ビンラーディンはアフガニスタンのタリバン政権にかくまわれて潜伏中とされる。このため米国はアフガンへの報復攻撃を想定し、隣国パキスタンに対して、領空通過などで協力を求め、パキスタン側も受け入れた。米専門家チームはパキスタン側との協力具体化について協議するとみられる。(読売9月17日07:44)


C・イスラエルの動き

 イスラエル、ヨルダン川西岸に軍事緩衝地帯を設置へ

  【エルサレム17日=当間敏雄】イスラエル軍は16日、ヨルダン川西岸北部とイスラエルとの境界に沿って、幅数百メートルから数キロの軍事緩衝地帯を設置する計画を明らかにした。自爆犯などのパレスチナ過激派のイスラエル国内への侵入を防ぐための措置といい、パレスチナ人の立ち入りは特別の許可を受けた人間以外厳禁される。西岸の一部を軍事地域として立ち入り禁止にするのは初めてで、パレスチナ自治政府は、「自治政府と自治区領域に対する全面的な攻撃だ」(エレカト地方行政相)と反発している。

 イスラエル軍が発表した計画によると、緩衝地帯が設けられるのは西岸北部のパレスチナ自治区トゥルカレム、ジェニン両地域とイスラエルの境界。

 すでに軍は同地域で、塹壕(ざんごう)やフェンス、コンクリートブロックなどで制限地域作りに着手しており、今月24日以降、地域を指定して立ち入り禁止とする方針。許可なく立ち入ったパレスチナ人は逮捕、訴追されることになるという。(読売9月17日13:15)


D・軍事態勢に向けての法改正の動き

 テロ捜査で米司法長官、盗聴範囲拡大へ議会と協議

 【ワシントン16日=館林牧子】同時多発テロ事件の捜査を指揮するジョン・アシュクロフト米司法長官は16日、盗聴できる範囲など捜査当局の権限拡大について米議会と協議に入った。同長官は会見で、「我々は米国史上、最大の捜査体制を敷いている。できることは何でもする」などと述べ、捜査に全力を挙げる決意を示した。

 司法省によると、現在の通信傍受法では、盗聴できる電話が限定されており、複数の携帯電話や転送電話を使い分けた場合などに対応できない。同省としては情報技術の発展に合わせ、疑わしい人物に対して、電話やインターネットなどあらゆる通信手段に関する盗聴が可能になるよう法改正を求める意向だ。

 また、テロリストをかくまったり、テロ行為をほう助した場合、スパイ罪同様の重罪を適用することも検討している。(読売9月17日13:36)


E・ブッシュが軍事作戦で各国と協議

 米大統領、軍事作戦で印パ首脳らと電話協議

 【ワシントン16日=永田和男】ブッシュ米大統領は16日、米国がアフガニスタンに対し軍事作戦を遂行する際に協力が必要となるパキスタン、インド、サウジアラビアの首脳と相次いで電話協議したことを明らかにした。大統領は「回答に満足している」と答え、3か国首脳から米国の作戦への全面協力の約束を取り付けたとの認識を示した。

 ブッシュ大統領は記者団に対して協議内容までは明かさなかったが、「同時テロ攻撃の実行犯を見つけ出し、支援したり、かくまう者たちを裁きの場に引き出すという米国の意図を明確に説明した。3か国首脳には協力しにくい部分があれば言ってもらう機会も与えたが、3首脳とも『苦にはならない。(事情を)理解し、支持する』と言ってくれた」と説明した。

 ブッシュ大統領はイスラム原理主義者ウサマ・ビンラーディンがテロ関与を否定する声明を出したことについて、「主要な容疑者であることに何の疑いもない」と、全く信用していないことを強調した。(読売9月17日10:54)


F・タリバンがイスラム社会へ共闘の呼びかけ

 9/17)タリバン、イスラム社会の共闘を公式に呼びかけへ

 【ニューデリー17日=吉野蔵一】米同時テロ事件の主要容疑者とされるイスラム過激派指導者ウサマ・ビンラディン氏の潜伏を助けているとみられ、アフガニスタン大半を支配するイスラム原理主義勢力タリバンは近く、54カ国・組織が参加するイスラム諸国会議機構(OIC)に、公式に対米共闘を呼び掛ける見通しとなった。タリバン政府筋が17日未明、現地の報道機関に語った。

 パキスタン西部のクエッタからの報道によると、タリバンの最高指導者ムハマド・オマル師は16日深夜に意思決定機関である最高評議会を招集。想定される米報復攻撃への対応を協議した結果、OICへの呼びかけを決めた。同筋は「アフガニスタンを守るため、イスラム社会全体の共同戦略が必要と判断した」と語った。

 OICは1971年5月「イスラム諸国の交流を推進し、イスラム独立の闘争を強める」狙いで設立。加盟国による首脳会議や外相会議を定期開催しており、ジッダに事務局を置く。昨年11月にはドーハで首脳会議を開き、パレスチナ自治区での衝突激化に関するイスラエル批判を盛り込んだ「ドーハ宣言」を採択している。(日経)


(9/16)ビンラディン氏、事件関与を全面否定・タリバン抗戦姿勢強める  

 【ニューデリー16日=吉野蔵一】米同時テロ事件の黒幕と断定されたイスラム過激派指導者、ウサマ・ビンラディン氏は16日、アフガン・イスラム通信を通じ「事件は私の犯行ではないと断言する」と、改めて関与を全面否定する声明を発表した。同氏をアフガニスタン国内に潜伏させているとされるイスラム原理主義勢力タリバンは、米国の報復攻撃に備えて同氏を移送するなど「徹底抗戦」の構えを強めている。

 ビンラディン氏は事件直後の12日にも、パキスタンのイスラム過激派系の新聞を通じ、事件への関与を否定している。今回の声明は、同氏側近を名乗るアブドゥル・サマドという人物がアラビア語の書面で同通信社にファクス送信したという。

 それによると、ビンラディン氏は「米国は自分を名指しするが、自分はタリバンの庇護(ひご)下にあり、今回のようなテロ実行犯を組織する力も方法も持ち合わせていない」と強調。「自分はタリバンの最高指導者ムハマド・オマル師に、このようなテロ行為をしないように言われ、それに従っている」とも力説した。

 パキスタンの有力英字紙「ニューズ」は16日、ビンラディン氏とその家族が、潜伏先のアフガニスタン南部のカンダハルを離れ「同国内の安全な秘密の隠れ家」に移送されたと報じた。アフガン南部カンダハルの新たな潜伏先について、消息筋は「アフガンには山岳、砂漠、峡谷が点在しており、いくらでも安全な場所がある」と説明。同紙によると、旧ソ連のアフガニスタン侵攻の際にゲリラが基地として使用した場所の1つである可能性が大きいという。(日経)


米大統領、ビンラーディンの「関与否定」に反論 

 AP通信によると、ブッシュ米大統領は16日、イスラム原理主義指導者ウサマ・ビンラーディンが同時テロ事件への関与を否定したことについて「疑いなく、彼は主要な容疑者だ」と改めて名指しした。ワシントン郊外のキャンプデービッドからホワイトハウスに戻った際、記者団の質問に答えた。また「世界から悪事を行う者たちを一掃する」と、報復への決意を強調した。(読売9月17日08:14)



第五ラウンド

 以降ブッシュ政権は、次のことを為した。
 @・米国イスラム教徒への呼びかけ
 A・国連の動きとブッシュの対応
 B・米欧緊急金利利下げ
 C・ニューヨーク株式市場の値動き
 D・日本株式市場の値動き
 E・アラブ諸国の動き
 F・米国の緊急経済安定対策

 G・



 【@・米国イスラム教徒への呼びかけ】

 米国イスラム教徒:「わが国に価値ある貢献」 ブッシュ大統領

 【ワシントン清宮克良】ブッシュ米大統領は17日、ワシントン市内のイスラム・センターを訪れ、イスラム団体指導者やアラブ系代表と会談した。大統領は会談後、「イスラム教は平和を体現するが、テロリストは平和ではなく悪魔や戦争を象徴している。イスラム教徒は我が国にとって価値ある貢献をしている」と述べ、イスラム教徒市民を尊重する考えを表明した。

 同時多発テロの首謀者がイスラム原理主義の黒幕、ウサマ・ビンラディン氏と報じられ、米国ではアラブ系や中東・南アジア出身者への嫌がらせが多発している。このため、大統領が人種偏見などの事態を懸念してイスラム・センターで演説を行なった。

 一方、米連邦捜査局(FBI)のミュラー局長は17日、「米政府はアラブ系に対するいかなる攻撃や脅しを見逃さない」と述べた。FBIは米国内で17日までに殺人を含め起きたアラブ系市民に対する犯罪40件を捜査している。

[毎日新聞9月18日] ( 2001-09-18-10:12 )



 A・国連の動きとブッシュの対応

 国連テロ対策会議:一部加盟国が提案 米国は態度表明せず

 【ニューヨーク上村幸治】国連筋は17日、一部加盟国が各国首脳を集めた「国連テロ対策会議」を10月末に開くよう非公式に提案したことを明らかにした。米国で起きた同時テロ事件を受けたもので、今後の対応を国際社会全体で話し合う。

 しかし、当事者の米国はこれに対する意見表明をしていない。10月末の段階で米国の軍事行動がどの程度進んでいるか予想できないため、会議開催については慎重に調整すべきだという意見も出ている。

 また、国連加盟国は17日に意見調整を行い、24日から予定していた総会一般演説を延期する方向で検討を始めた。18日にも正式な方針を決定する予定だ。

 一般演説には、米国のブッシュ大統領ら49人の元首級が出席を予定していたが、テロ事件によって警備上の問題が発生しており、開会を延期するか、出席者を大使レベルに格下げするよう求める声が出ていた。

 延期になった場合、各国首脳の演説はテロ対策会議で行われる可能性もある。国連安保理は今月12日、米国に対するテロを非難する決議を採択している。

[毎日新聞9月18日] ( 2001-09-18-10:24 )



 【B・米欧緊急金利利下げ、日銀追随

 (9/17)米欧0.5%緊急利下げ・同時株安阻止へ協調
  
 米同時テロの世界経済への悪影響を最小限に抑えるため米連邦準備理事会(FRB)と欧州中央銀行は17日、協調利下げに踏み切った。1週間ぶりに取引を再開したニューヨーク株式市場ではダウ工業株30種平均が一時9000ドルを割ったが、パニック的な売りは出ていない。

 【ワシントン17日=吉次弘志】FRBは17日、臨時の連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、短期金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.5%引き下げ、年3.0%とすることを決めた。

 先週11日の同時テロの影響で経済活動が急速に不安定になるのを回避するのが狙いで、17日の米株式市場再開の直前に決定、発表する異例の措置を取った。利下げは今年に入り8回目で、うち緊急利下げは1月3日と4月18日に続いて3回目。

 FRBは連銀が銀行に資金を貸し出す際に適用する公定歩合も0.5%下げ、年2.5%にすることも承認した。

 FOMC終了後に発表した声明では当面の政策運営方針について「景気配慮型」を維持すると同時に、テロ発生直後から実施している金融市場への資金供給も継続すると表明。FF金利が一時的に誘導目標を下回る事態も容認し、景気の想定外の落ち込み阻止に強い姿勢で臨む考えを示した。

 米経済は企業の過去の過剰設備投資の調整が進むなか、比較的堅調な個人消費が景気を支えているが、同時テロで政治・経済の中枢機能が一時的にマヒ状態に陥り、世界同時株安を招くなど微妙な局面にある世界景気への悪影響が懸念されていた。

 同時テロ発生前の7日に米労働省が発表した8月の失業率が前月比0.4ポイント上昇して4.9%となるなど雇用環境も急速に悪化。将来の所得が減少すると見た個人が「生活防衛」に走る可能性があった。FRBはテロによる国民心理の不安が加われば、より消費が落ち込む恐れがあると指摘。この時点で政策を発動しないと市場心理の連鎖的な悪化を招きかねないと判断した。

 【フランクフルト支局17日】欧州中央銀行は17日、最重要の政策金利である市場介入金利を現行の年4.25%から0.5%下げ、3.75%にすることを決めた。

 【ニューヨーク17日=越中秀史】米同時テロで取引中止に追い込まれていたニューヨーク株式市場が17日、5営業日ぶりに取引を再開した。テロの後遺症で急減速している米景気が失速するとの懸念から売りが膨らみ、ダウ工業株30種平均は一時、629ドル安と急落し、1998年12月以来の9000ドル割れとなった。米店頭株式市場(ナスダック)総合指数も98年10月以来となる1500台まで下げた。

 正午(日本時間18日午前1時)現在のダウ平均は10日終値比475ドル99セント安の9129ドル52セント、ナスダック総合指数は73.02ポイント安の1622.35。再開前に年初来安値を更新していたS&P500種株価指数も急落する全面安の展開。

 テロの影響で業績悪化が確実な空運や巨額の保険金負担が発生する保険などを中心に売りが集中。消費関連株、ハイテク株、金融株なども下落する展開となった。ただ売り一巡後は押し目買いや信用売りの買い戻しでやや値を戻している。(日経)


 公定歩合:史上最低の年0・10%に 量的緩和も実施 日銀

 日銀は18日、金融政策決定会合を開き、前日の欧米の利下げに歩調を合わせ、公定歩合を現行の年0・25%から0・15%引き下げ、史上最低の年0・10%にするとともに、金融機関が日銀に預けている当座預金残高の目標額を、これまでの「6兆円程度」から「6兆円を上回ること」とするなど、量的緩和の拡大を決めた。日米欧の協調体制を内外に示すことにより、米国の同時多発テロによる世界同時不況に歯止めをかけるのが狙いで、19日から実施する。

 日米欧の協調利下げは異例で、99年1月のユーロ誕生後は初めて。日銀は決定会合の2日間の日程を1日に短縮し、欧米との協調姿勢を打ち出した。

 公定歩合は今年2月9日、5年5カ月ぶりに年0・5%から0・35%に引き下げ、同28日にはさらに0・25%にしており、今回は約7カ月ぶりの引き下げとなる。

 当座預金残高の目標額は、今年3月に量的緩和に踏み切った際、1兆円積み増して5兆円程度とし、さらに8月には6兆円程度に増やし、市場に潤沢な資金供給を行ってきた。テロ発生後の12日からは、金融機関が手元の資金を多めに確保しようとする動きに対応し、残高を2兆円増額して、8兆円とする「緊急措置」を取っているが、平常時でも6兆円以上とし、潤沢な資金を供給する姿勢を明確にした。

 このほか、公定歩合の引き下げと合わせ、金融機関が必要な際に担保の範囲内で、公定歩合と同じ金利で日銀から資金を借りられるロンバート型貸出制度について、10月15日まで利用期間を5日間から10日間に拡大した。 【川口雅浩】

◇日銀が決定した金融政策の骨子◇

一、公定歩合を0・15%引き下げ、年0・10%にする

一、日銀当座預金残高を、6兆円を上回ることを目標とする

一、当面、補完貸付制度の利用上限日数を5日から10日に引き上げる

[毎日新聞9月18日] ( 2001-09-18-21:15 )



 C・ニューヨーク株式市場の値動き

 NY株:8920・70ドルで取引終える 史上最大の下落幅

 【ワシントン逸見義行】週明けの17日に5営業日ぶりに取引を再開したニューヨーク株式市場は、同時多発テロで景気の先行き懸念が一層強まったことからほぼ全面安の展開となり、ダウ工業株30種平均株価は、10日終値比684・81ドル安と大幅に急落し、8920・70ドルと9000ドルの大台を割り込んで、取引を終えた。98年12月以来、2年9カ月ぶりの低水準で、下落幅は昨年4月14日の617ドルを抜いて、史上最大となった。ただ、下落率は同比7・1%でワースト10にも入らなかった。

 ハイテク銘柄の多い店頭市場のナスダック総合指数も同比115・75ポイント安の1579・55と1600台を割り込んだ。98年10月以来、約3年ぶりの低水準。米株価の急落は、米経済の不透明感をさらに増幅すると同時に、アジア、欧州などの株価の下落を促し、世界同時株安の基調を強めるとの懸念が広がっている。

 この日は、朝方に急落した後、ダウが9000ドル台、ナスダックが1600台を維持していたが、午後にかけて売り圧力が再び強まり、いずれも大台を割り込んだ。取引開始前に、米連邦準備制度理事会(FRB)が緊急大幅利下げを実施したが、当面の株価下支えには大きな効果を発揮しなかった。

 ダウは一時、同比722・11ドル安まで下がり、取引時間中でも史上最大の下げ幅となった。ニューヨーク証券取引所の出来高は、23億3000万株となり、史上最大を更新した。

 テロの被害を受けて、業績が急速に悪化することが予想される航空、保険などの金融を中心に売り銘柄が圧倒的に多かったが、テロに対する報復攻撃が確実なため、一部の軍需産業は値を上げた。

[毎日新聞9月18日] ( 2001-09-18-10:15 )


 NY株、2年9カ月ぶり9000ドル割れで終了

 
【ニューヨーク17日=越中秀史】17日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は8920ドル70セントで取引を終えた。10日に比べて684ドル81セント安。9000ドル割れは1998年12月以来2年9カ月ぶり。取引開始とともに内外の機関投資家を中心に売りが殺到した。米店頭株式市場(ナスダック)は同115.82ポイント安の1579.55で取引を終え、98年10月以来ほぼ3年ぶりの1500台まで下げた。同時テロへの報復軍事行動が近いとされるだけに、市場ではなお先安観が強い。

 ダウ平均一時、720ドルを超える下げとなった。下落率は7.1%と歴代ワーストテンには入らなかったが、下げ幅は過去最大だったネットバブル崩壊時の2000年4月14日(617ドル78セント)を上回った。

 下げを先導したのはテロの影響の直撃を受けるとみられる航空株。アメリカ・ウエストが1日で65%強も下げるなど軒並み暴落した。薬品や防衛機器メーカーの一角などには買いが入ったが、ニューヨーク証券取引所の2672銘柄が下落(上昇は618銘柄)するほぼ全面安の展開。売買高は23億株強と過去最高に膨らんだ。(日経)



 【D・日本株式市場の値動き

 日経平均が大幅反発、連鎖株安に一応の歯止め

 
18日午前の東京株式市場では、日経平均株価が大幅反発した。主力ハイテク株や銀行株が買い戻され、上げ幅は一時300円を超えた。前日の米国株の下落は予想の範囲内と受け止められ、日米欧の金融当局による政策協調への期待感が買いにつながった。欧州株に続き日本株も堅調に推移していることで、米の同時テロによる世界的な株安連鎖の懸念は取りあえず後退した。

 日経平均の午前の終値は306円8銭(3.22%)高の9810円49銭。東証第一部の売買代金は3400億円。

 この日はソニー、NTTドコモなどハイテク、通信株が上昇した。米国販売の低迷懸念から下げていたトヨタ自動車やホンダも買い戻された。テロの影響が業績を直撃するとして売られていた空運や損害保険株も買われている。東証第一部では全体の77%に当たる約1150銘柄が上昇、ほぼ全面高になっている。事前の予想では、取引再開後のダウ工業株30種平均の下落率は最大10%との見方が多かっただけに、7%にとどまり、安心感につながった。(日経)



 【E・アラブ諸国の動き

 アラブ諸国:米国からの協力要請に多くが消極姿勢

 【カイロ小倉孝保】同時多発テロを受け米国の軍事報復が迫る中、米軍から協力を要請されているとみられるアラブ諸国の多くが消極姿勢を示している。攻撃対象にはテロの「主要な容疑者」が潜伏するアフガニスタンだけでなく、イラクも含まれるとの報道もあり、米国に協力すると、国内のイスラム原理主義勢力の猛反発が予想されるためだ。

 サウジアラビアのファハド国王は17日、閣僚評議会後、「米国の対テロ闘争を支持する」と述べたが、協力の具体的中身には言及しなかった。クウェートも同様の方針を示している。

 だが、サウジ政府高官は「軍事協力はしたくない。この地域が緊張する事態を回避したい」と述べており、今週中に訪米するファイサル外相は米政府首脳との会談で、テロ・グループ掃討に向けた情報収集などでは協力するものの、軍事協力には難色を示す可能性が高い。

 サウジ、クウェート、オマーン、カタール、アラブ首長国連邦、バーレーンのペルシャ湾岸6カ国で作る湾岸協力会議の幹部も、「後方支援も含め、軍事協力は避けたい」と語っている。

 また、アラブ諸国の動向に強い影響力を持つエジプトのムバラク大統領は17日、米国の報復攻撃について「少数の個人を狙い、一国を攻撃すれば、罪のない市民に犠牲が出る。誰がテロを実行したのか、確証がない限り、性急に結論を急ぐべきではない」と慎重な姿勢を示した。

 ペルシャ湾岸の安全保障を目的に、サウジ、クウェート、バーレーンなどには米軍基地が置かれている。米軍がアフガニスタンを攻撃する場合、「港湾の使用や資材調達の要請を迫られる可能性がある」(西側外交筋)。また、イラク攻撃の場合には、サウジやクウェートの基地使用要請があるものとみられる。

 アラブ諸国には湾岸戦争(91年)を機にサウジに多数の米軍が駐留したことで、イスラム原理主義勢力が反発、これが今回のテロに結びついたとの認識がある。これ以上、原理主義勢力の伸張を防ぎたいとの思いが消極姿勢の背景にある。

[毎日新聞9月18日] ( 2001-09-18-10:45 )



 F・米国の緊急経済安定対策

 米、緊急経済対策策定へ・航空会社支援など対象

 
【ワシントン17日=吉次弘志】ブッシュ米大統領は17日午後(日本時間18日未明)ホワイトハウスにリンゼー大統領補佐官ら経済担当の主要メンバーを招集、同時テロ事件の米景気への悪影響を最小限に食い止めるための総合的な経済対策の検討に入った。追加的な減税措置や航空業界への支援、被害を受けたニューヨークの復興措置などが課題。緊急利下げに踏み切った米連邦準備理事会(FRB)や議会とも協力、財政・金融両面から景気刺激策を結集する。

 具体化へ向けた検討が最も進んでいるのがテロの影響で急速に業績が悪化している航空業界への支援。米議会が決めた400億ドルのテロ対策費のうち、24億―25億ドル程度を航空業界の支援に回す案が有力視されている。

 旅客の急減が確実な航空業界では、すでにミッドウェー航空が清算に追い込まれたほか、コンチネンタル航空などの大手も2割程度の大幅減便と大規模な人員削減を表明、苦境に陥っている。株式譲渡益(キャピタルゲイン)課税や社会保障税の減税、投資減税なども検討課題に浮上している。(日経)



タリバン説得役のパキスタンの苦悩

 【イスラマバード春日孝之】パキスタン政府は、米国のアフガニスタン攻撃回避のため、ウサマ・ビンラディン氏の身柄を引き渡すようタリバン政権への説得に全力を挙げている。失敗した場合、パキスタンが支援してきたタリバンがせん滅させられる恐れが強いからだ。インドと敵対するパキスタンにとって、後背地のアフガンで親パキスタン政権を失うことは、国防上の決定的な打撃を意味する。

 パキスタンのサッタル外相は17日、「米国の報復を回避する時間がなくなりつつある」と述べ、身柄引き渡しに向け、タリバンへの心理的圧力をさらに強めた。

 だが、パキスタンは、外相が「非常に複雑な状況下にある」と語る通り、米国とタリバンの間で微妙な役回りを演じている。米国のアフガン攻撃への全面協力を表明する一方で、攻撃目標であるタリバンとは、「非常に強い絆がある」(外相)からだ。

 パキスタンは94年のタリバン創設に関与し、軍事支援を続けてきた。「タリバンの生みの親」と言われる当時のババル内相は毎日新聞に対し、その理由は「経済的な権益にあった」と明かす。内戦下のアフガンを安定化させ、中央アジアからアフガンルートでパキスタンに石油・天然ガスのパイプラインを敷設、交易ルートも確保したいとの思惑があったのだ。

 しかし、タリバン支援の背景について、地元紙ナワイ・ワクトでアフガン情勢を担当するソヘル記者は「一義的にはパキスタンの地政学上の理由だ」と指摘する。パキスタンは、東にインド、西にアフガンと接している。インドと開戦した場合、アフガンの動向が安全保障上、極めて重大な要素となる。このため、パキスタンは歴史的にアフガンでの親パキスタン政権樹立に固執してきたのだ。

 今回、米国のアフガン攻撃に関し、反タリバン連合が、全兵力に相当する1万5000人を援軍として派遣すると申し出た。インドは反タリバン連合支援国のひとつであり、タリバンが消滅した場合、アフガンに反パキスタン政権が成立する可能性が極めて高い。

 このため、パキスタンはビンラディン氏を支持する国内のイスラム原理主義勢力の猛反発を覚悟の上で、同氏の身柄引き渡しを実現させ、米国の軍事行動を何としても阻止しなければならない事情があるのだ。

 今回、タリバンへの説得にアフガンに行った政府代表団は、タリバン支援で中心的役割を担ってきた軍情報機関ISIの長官だ。軍事筋はこう推察する。「我々は米国に全面協力を表明したが、米国の軍門に降ったことを意味しない。ビンラディン氏を引き渡すことが、互いの国益にかなうと説得したのではないか」。

[毎日新聞9月18日]



 【豪州、報復攻撃に全面協力を明言 】

 【シドニー堀内宏明】米国の報復攻撃が焦点となる中、同盟国として集団的自衛権の適用を決めたオーストラリアは18日、「わが国の軍事能力の限界まで米国を支援する」と発表した。国防軍は特殊部隊の派遣などを検討している。地上戦に慎重な各国とは対照的に、豪州は米国の軍事行動に全面協力する姿勢を鮮明にした。

 豪州のリース国防相は同日、「政府はアンザス条約(米国・ニュージーランドとの相互安全保障条約)にもとづき、米国と緊密に協議する」と発表した。

 豪政府はテロの3日後にアンザス条約にある集団的自衛権条項を発動し、米国の要請を受けてペルシャ湾で監視活動をしているフリゲート艦の任務を延長した。今回の発表では具体的な軍事協力案は示されなかったが、豪メディアは国防軍の特殊空挺部隊を米軍と合流させ、地上戦に参加する案が有力と報じている。

[毎日新聞9月18日]



 【イラクへの空爆も 米国の報復軍事作戦 米ABC 】

 米ABCテレビは17日、国防総省が立案している米中枢同時テロに対する報復の軍事作戦ではイラクに対する空爆も含まれる見通しだと報じた。

 今回のテロにイラクが関係したためではなく、対米テロを支持する立場を続け、生物・化学兵器の開発を進めていることが理由という。

 ABCによると、米軍の作戦は第1次空爆、第2次空爆に分かれ、イラクへの空爆は第2次となる。また特殊部隊のアフガニスタン領内投入も検討されている。(ワシントン共同)

[毎日新聞9月18日]