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 米軍、タリバン司令部など標的に最大規模の空爆

 【ワシントン10日=池内新太郎】米軍は現地時間の10日夜(日本時間11日未明)からアフガニスタン空爆を続行した。CNNテレビなどによると、4日目の攻撃は空爆開始以来最大規模とみられ、首都カブールのほか、タリバンの本拠地である南部のカンダハルなどを爆撃。カンダハルではタリバンの地下司令部などを特殊爆弾で攻撃した模様だ。

 制空権を確保した米軍は攻撃対象を防空施設や飛行場などから、タリバンの関連施設、地上部隊などに拡大した。CNNは米政府高官の話として特殊部隊の投入も近いと報じている。ただ、国防総省当局者は急襲の準備は進めているものの、差し迫ったものではないと指摘しており、来週、パキスタンを訪問するパウエル国務長官が今後の作戦を同国と最終調整するとの見方も浮上している。国防総省は空爆3日目の9日の攻撃内容について、5-8機の爆撃機と8-10機の戦闘機で飛行場や防空施設、アルカイダの拠点など6カ所を爆撃したと発表した。一方、米メディアは初日の7日の空爆でタリバン幹部数人が死亡したと伝えた。


 米軍事行動:陸軍山岳師団が中央アジアへ 米紙報じる

 【ワシントン布施広】3日付の米紙ワシントン・ポストは、米陸軍山岳師団の約1000人の兵員が2日夜、中央アジアのウズベキスタンとタジキスタンに派遣されたと報じた。米空軍や特殊部隊の兵員保護が主な任務とされている。旧ソ連圏に米正規軍が派遣されるのは初めて。対アフガニスタン攻撃の地上作戦をにらんだ派兵としても注目される。

 中央アジアの2国には、既に少数の米軍特殊部隊が入っているが、偵察活動や連絡調整が中心だった。米当局者も3日、陸軍が兵員派遣を開始したことを認めたが、部隊が駐留する国の名前への言及は避けた。タジキスタン当局は同紙の報道を否定している。

 アフガンに隣接するウズベキスタンとタジキスタンは、同時多発テロの容疑者、ウサマ・ビンラディン氏とその組織「アルカイダ」のメンバー拘束作戦にとって重要な国。ラムズフェルド国防長官は週内にウズベキスタンを訪問、同国指導部と軍事協力の詳細を煮詰めたい意向だ。

[毎日新聞10月4日] ( 2001-10-04-00:05 )


 パキスタン:対アフガン政策180度転換 大統領が表明

 【イスラマバード春日孝之】パキスタンのムシャラフ大統領は3日、国家安全保障会議で、対アフガニスタン政策を180度転換すると初めて公式に表明した。同国政府筋が毎日新聞に明らかにした。今後は、多様な民族構成に配慮した「連合政権」樹立の必要性を強調、事実上、パシュトゥン民族主体のタリバン政権からの“決別”を表明した形だ。 

 大統領は方針転換の理由について「国益を最優先させる」と語った。また、大統領はタリバン政権が崩壊後の新政権樹立について、「外国は関与すべきでない」と述べ、反タリバン連合(北部同盟)支援に傾斜しつつある米国の介入姿勢をけん制した。

 パキスタンは94年のタリバン創設に深く関わり、その後も軍事面などで支援を続けているとされてきた。だが、孤立化からの脱却に向け、タリバン政権に対する米国の厳しい姿勢に同調する方針に転換したとみられる。タリバンを支援してきたパキスタン国内のイスラム原理主義勢力の反発は必至とみられる。[毎日新聞10月4日] ( 2001-10-04-03:01 )


 パレスチナ:ユダヤ人入植地で銃乱射 イスラエル軍は報復砲撃

 【エルサレム海保真人】ガザ北部のパレスチナ自治区に接するユダヤ人入植地エリ・シナイに2日夜、パレスチナ人2人が侵入し銃を乱射、18歳の入植者ら2人を殺害、イスラエル軍兵士ら15人が負傷した。イスラエル軍は犯人2人を射殺。さらに、この報復として3日早朝、イスラエル軍は付近の自治区に戦車で侵攻し、パレスチナ警察の拠点を砲撃、パレスチナ人警官ら6人が死亡し、8人が負傷した。

 イスラエルとパレスチナ自治政府は米国などの強い要請を受け、先月26日に新たな停戦合意を結んだが、早くも停戦の枠組みは崩壊した。アラブ・イスラム諸国を含む反テロの国際的連携を確立しようとしている米の試みにも悪影響を及ぼすとみられる。

 パレスチナ組織メンバーが入植地に潜入、銃撃事件を起こしたのは、昨秋の衝突発生以来、初めて。イスラム原理主義組織「ハマス」の軍事部門が犯行声明を出したことを受け、イスラエルのシャロン首相は緊急の安全保障担当閣議を開き、「テロを抑止しないパレスチナ自治政府とアラファト議長に責任がある」として、報復攻撃を決めた。イスラエル政府はまた、米に対し、ハマスや他のイスラム原理主義組織「イスラム聖戦」を正式なテロ組織に加えるよう要請した。

 パレスチナ自治政府は入植者殺傷事件を「停戦への妨害だ」と強く非難する声明を出し、関与した組織を処罰する方針を明らかにしていたが、イスラエル政府はこれを受け入れなかった。

[毎日新聞10月3日] ( 2001-10-03-23:22 )


 米国同時多発テロ 「報復、組織壊滅まで」−−米国防長官、エジプト大統領と会談

 ◇ムバラク大統領と会談

 【カイロ小倉孝保】中東・中央アジア歴訪中のラムズフェルド米国防長官は4日、カイロでムバラク・エジプト大統領と会談した。同長官は会談後、ウサマ・ビンラディン氏について「彼のネットワークが残る限り、テロの問題は継続する。徹底して追い詰めなければならない」と話し、報復攻撃はテロ組織が壊滅するまで続くとの考えを示した。

 エジプトが米軍の報復攻撃に協力しないことを表明していることについて長官は、「軍事協力については今回、話し合っていない」と述べた。


(毎日新聞2001年10月5日東京夕刊から)


 米国同時多発テロ 報復攻撃を巡り、英露首脳が協議

 【モスクワ石郷岡建】英国のブレア首相は4日、モスクワでプーチン大統領と会談、同時テロをめぐる国際情勢やテロ対策を話し合った。米国によるアフガニスタンへの報復攻撃についても、突っ込んだ意見交換をした模様だ。

 会談後、プーチン大統領は「軍事作戦では住民の犠牲を避けるべきだが、犠牲者が出た時、責められるのはテロリストの側だ」と述べ、軍事作戦での犠牲はやむを得ないとの強硬姿勢を示した。


(毎日新聞2001年10月5日東京夕刊から)


 米国同時多発テロ 英国、調査結果を公表−−「3人、アルカイダと関係」

 【ロンドン岸本卓也】英政府は4日、米同時多発テロ事件に関する英政府による調査結果の報告書を公表した。文書はウサマ・ビンラディン氏が率いるテロ組織「アルカイダ」が同時テロを起こしたと断定した。調査結果を文書で公表したのは英国が初めて。文書は情報源の開示は避けているが、米国が最近、同盟国などに提示した証拠情報と重なるとみられる。

 報告書によると、ビンラディン氏は89年、「アルカイダ」を結成。「アルカイダ」は98年のケニア、タンザニアでの米大使館同時爆破などの対米テロ事件を起こし、アフガニスタンのタリバン政権に保護されていたビンラディン氏が首謀した。

 今回の同時テロの実行犯19人のうち、少なくとも3人が「アルカイダ」と関係し、うち1人は、米大使館同時爆破事件や昨年イエメンで起きた米海軍駆逐艦に対するテロ事件で重要な役割を果たした。ビンラディン氏が同時テロの前に事件発生を示唆する発言をしたことも指摘している。

 
文書は、同時テロ事件が「アルカイダ」の犯行であり、ビンラディン氏とタリバン政権の連携がなければ起こせなかったと結論づけている。

(毎日新聞2001年10月5日東京朝刊から)


◇対タリバン報復攻撃「時間切れ近い」 米大統領、ラジオ演説で

 【ワシントン吉田弘之】ブッシュ米大統領は6日午前(日本時間同日夜)、国民向けのラジオ演説で同時多発テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏をかくまうタリバン政権に対し「すでに十分な警告を与えた。時間切れが近づいている」と述べた上で「我々の攻撃を恐れる者は、タリバンとテロリストたちだ」と語り、近くタリバン政権と同氏の関連施設を標的とした軍事報復に出る可能性を強く示唆した。(2、6面、社会面に関連記事)

 大統領は7日にもキャンプデービッド(大統領山荘)で、中東などを歴訪したラムズフェルド国防長官ら政府高官を交えた国家安全保障会議を開き、攻撃時期や対象について、詰めの協議を行う模様だ。

 大統領は演説で「アラブ諸国やイスラム教徒、アフガン国民が我々の敵なのではない。敵はテロリストと、テロリストをかくまう指導者たちだ」と強調。その上で、同政権がビンラディン氏らすべてのテロリストの引き渡しやテロリスト訓練キャンプの閉鎖など要求に応じる気配をみせていないことを非難。「すでに十分な警告を行った」と述べ、タリバン政権の軍事施設を対象とする限定攻撃の可能性を示唆した。

 一方、大統領は、これから冬を迎えるアフガン国民に食糧などの援助物資を送る決定を改めて伝え、「第二次世界大戦後、我々は日本とドイツを再建し、今は親しい友人となっている」と述べた。生活苦にあえぐアフガン国民に物資を援助することで、国民をタリバン政権から離反させ、政権内部の分断も狙う戦略を鮮明に打ち出したと言える。

(毎日新聞2001年10月7日東京朝刊から) 


タリバン、英女性記者を釈放へ NGOの8人は、米国との交渉材料



 【イスラマバード小松健一】アフガニスタン・タリバン政権の最高指導者、オマル師は6日、タリバンに不法入国容疑で逮捕された英紙「サンデー・エクスプレス」の女性記者、イボンヌ・リドリーさん(43)を釈放するよう命じた。リドリーさんは、一両日中に釈放される見通し。アフガン・イスラム通信が報じた。タリバン政権外務省は同日、キリスト教を布教したとして公判中の非政府組織(NGO)外国人メンバー8人について、「米国がタリバンへの威嚇をやめるのなら、釈放する」との声明を発表した。タリバン政権は報復攻撃が始まれば、政権崩壊は避けられないとの危機感を深めている。このためリドリーさんを釈放して「善意」を示す一方、攻撃回避のためNGOメンバーを交渉材料にする戦術に転換したといえる。

 ◇米は提案拒否

 【ワシントン布施広】米政府当局者は6日、タリバン側の提案について「交渉の材料にならない」と述べ、拒否した。

(毎日新聞2001年10月7日東京朝刊から) 


パキスタン、外務省と軍部に亀裂 対米協力めぐり

 【イスラマバード春日孝之】パキスタン政府が、タリバン政権に対する米国の軍事行動に全面協力を表明している問題で、パキスタンの外務省と軍部に亀裂が生じ始めた。イスラム原理主義勢力も、反米一辺倒から反米と反政府デモへ転換する動きを見せており、パキスタン情勢は混迷を深めている。米国がパキスタンを前線基地として使用した場合、クーデターや内戦など最悪のシナリオを予測する声も出ている。

 パキスタン軍事筋によると、外務省は、最大の外交課題であるカシミール問題解決に向けた支援を国際社会から取り付けたいとの立場から、米国への協力姿勢を全面支持している。

 軍総司令部も、米国への協力は「対インド戦略上必要」との認識で基本的には政府方針を支持している。だが、カシミールで対インド闘争を続けるイスラム原理主義勢力とタリバンの密接な関係が指摘されており、米国がパキスタンを前線基地化した場合、タリバン崩壊後、米国の対テロ戦争の矛先がカシミールに向けられる、との危機感を抱いているという。

 このため軍部は、米国に領空使用までは認めても、「パキスタンの土地」を使用することは認めないとの立場だ。

 一方、イスラム原理主義勢力は軍部強硬派の立場に近い。米国からの協力要請を抑えようと、各地で大規模な反米デモを展開してきたが、スローガンはあくまで「反米」だった。だが、ムシャラフ大統領は5日のブレア英首相との会談で、「要求のすべてに応える」姿勢を改めて表明。これに対し、最強硬派で知られるイスラム聖職者協会のファズド・ラフマン党首は6日、毎日新聞に対し、近く北西部ペシャワルで大規模な抗議行動を予定していると表明。反米・反政府デモに転換する可能性を示唆した。

 軍事筋は「米国の要求が許容範囲を超えればパキスタンはみぞうの混乱に陥る」と指摘している。

(毎日新聞2001年10月7日東京朝刊から) 


米軍山岳師団千人、ウズベクに到着 ロシア国営テレビ

 【モスクワ共同】ロシア国営テレビは6日、米軍山岳師団の部隊1000人が同日、アフガニスタン国境にあるウズベキスタン南部のテルメズ空港に到着したと伝えた。

(毎日新聞2001年10月7日東京朝刊から)


国籍不明2機に、アフガン首都で対空砲撃 タリバン

 【イスラマバード小松健一】アフガニスタンからの報道によると6日午後、首都カブール上空に国籍不明の飛行機2機が飛来、タリバン政権軍が対空砲を発砲した。2機は数分後、撃墜されずに飛び去った。タリバン政権軍は約15分間、対空砲撃を行った。ロイター通信などは、少なくとも1発の地対空ミサイルが発射されたと報じた。

 CNNは飛行機が米軍の偵察機だった可能性があると伝えた。

(毎日新聞2001年10月7日東京朝刊から)


米国、ミサイル防衛の迎撃実験を延期 テロとの戦い優先 開発計画の大幅遅延も

 【ワシントン布施広】米国防総省幹部は5日、ブッシュ政権が「テロとの戦い」を続ける中、ミサイル防衛構想は最重要課題ではなくなったと述べ、ロシアとの関係も改善に向かうとの認識を示した。今月の迎撃実験も来月以降に延期される見通しで、来春に迎撃基地の本格着工を予定していたミサイル防衛の開発計画は、大幅に遅れる可能性も出てきた。

 ロイター通信によると、ザカイム国防次官は「想像できると思うが、これ(ミサイル防衛)は省内の第一の討議課題ではない」と語った。同次官はミサイル防衛構想の重要性に変わりはないと強調したが、当面は米国の総力を挙げて「テロとの戦い」に取り組むことを示唆する発言とみられる。

 同時多発テロ事件の発生前、ブッシュ政権はロシアと弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約の改廃問題を討議、ロシアが改廃に応じなければ同条約から脱退する構えだった。

 条約は「6カ月間の告知期間」を置いて脱退できるため、迎撃基地の建設に来春着工するには、今秋の脱退表明が必要になる。

 しかし同次官は「ミサイル防衛に関する対露関係は変わるだろう」と述べ、脱退表明は当面見送る方針を示唆、来春予定の基地着工も遅れる可能性が強まっている。

 また国防総省は10月以降、ABM制限条約に抵触する実験も行う方針だったが、当局者によると、今月の迎撃実験は延期され、来月下旬〜12月中旬に行う。技術的な問題による延期とされているが、「テロとの戦い」に協力する中国、ロシアなどを刺激しないための政治的判断との見方も強い。

(毎日新聞2001年10月7日東京朝刊から)


首謀者はビンラディン氏副官のアテフ氏・米誌報道
 【ワシントン6日共同】米誌USニューズ・アンド・ワールド・リポート(電子版)は6日、米情報当局が9月11日の米中枢同時テロの首謀者は、ウサマ・ビンラディン氏の軍事担当副官であるモハメド・アテフ氏だと結論付けたと報じた。同誌によると、米情報筋(複数)は5日夜、ブレア英首相が4日に同時テロ作戦の首謀者を「ビンラディンに最も近い部下の1人」と特定したことについて、この人物はアテフ氏であることを明らかにした。

 アテフ氏はテロ組織アルカイダの中で、アイマン・ザワヒリ氏と並び、ビンラディン氏の副官2人の1人とされる。同誌によると、アテフ副官は元エジプト警察官で、イスラム過激組織に参加。1980年代にアフガニスタンで対ソ連戦に加わった後、ビンラディン氏のアルカイダ創設を助けた。96年に軍事作戦担当の副官に任命され、98年にアフリカで起きた米大使館同時爆破事件で本人不在のまま、ニューヨーク連邦地裁大陪審により起訴されている。アテフ氏は化学兵器の専門家ともされ、娘はビンラディン氏の息子の1人と結婚している。


(10/6)ビンラディン氏の関与否定・オマル師が声明
  

 【イスラマバード6日共同】アフガン・イスラム通信によると、アフガニスタン・タリバン政権の最高指導者オマル師は6日、声明を発表し、米中枢同時テロ事件について「実行犯は背後の組織との関係を示すものを何も残していない。他人の命令や他人の目的、利益のために自殺する人間はいない」と述べ、ウサマ・ビンラディン氏の関与を否定した。

 さらに「米国は事件の根本原因を探るべきで、唯一の解決策はこうした原因を除去することだ」と述べた。パレスチナに配慮した中東和平政策を念頭に置いた発言とみられる。

 オマル師は、こうした原因を取り除かないまま米国がアフガニスタンを攻撃すれば「大きな苦難を呼び込むことになる」と警告、イスラム原理主義勢力が米国へのテロや抵抗を活発化させることを示唆した。


(10/6)ブッシュ大統領、支持率9割近くに・軍事行動、支持一段と
  

 最近の米世論調査でブッシュ大統領支持率が9割近くにのぼるとともに、ブッシュ政権が進める軍事行動への支持が一段と広がっている。

 9月末以降実施された最新調査でブッシュ大統領への支持率はABCテレビ、CNNがそれぞれ90%、CBSテレビが89%の高率となった。最も低いフォックス・テレビでも84%を記録。同時テロ前には50%台だった支持率はテロ後に急伸したまま、高い水準を保っている。

 軍事行動では、テロ実行勢力への武力行使を92%が、テロ支援国家への軍事作戦を83%がそれぞれ支持した(CBS調査)。

 米国史では開戦時に政権の支持率が急増する現象がよくみられる。ギャロップ社によると、太平洋戦争開戦時の支持率は93%、湾岸戦争は84%、ベトナム戦争も61%だった。

 一方テロ再発への恐怖心もなお強い。ニューズウィーク誌がテロ発生後に3回実施した調査では、それぞれ8割が新たなテロが起こるかもしれないと回答。「全く起こらない」との楽観論は5%にも満たなかった。テロの影響を受けて不景気になるとの見方も80%近くを占めている。(ワシントン支局)


アフガン攻撃:ビンラディン氏は無事 タリバン大使が会見

 アフガニスタンのタリバン政権のザイーフ駐パキスタン大使は8日未明(日本時間同日早朝)、米英両軍による七日夜のアフガニスタン報復爆撃を受けイスラマバードで記者会見し、最高指導者オマル師もアフガン潜伏中のウサマ・ビンラディン氏も無事と述べた。

 タリバン政権の本拠地である南部カンダハルにいるタリバン当局者によると、同政権は八日、全土に非常事態を宣言した。

 ザイーフ大使は、カブールやカンダハルの被害状況に関しては、8日未明の時点で確実な情報はないが、タリバン側に死傷者はないとしている。

 大使は、「われわれは交渉による解決を求めてきたが、米国はテロ攻撃を行った」と強く非難。「新植民地主義に対して、アフガン国民は団結して立ち上がる」と述べ、米英軍の攻撃に徹底抗戦する姿勢を表明した。

 タリバン政権は生き残りをかけて、非常事態宣言により戦時体制を徹底させる構えだが、攻撃後、兵士の離反も伝えられており、非常事態宣言がどの程度効力を発揮するか不透明だ。

 また、反タリバン勢力「北部同盟」とザヒル・シャー元国王が大同団結して、タリバン後の新政権樹立の協議を開始。この動きを米国なども後押ししているため、孤立するタリバンは政治的にも苦しい立場に追い込まれそうだ。(イスラマバード共同)

[毎日新聞10月8日] ( 2001-10-08-10:15 )


「2、3日は続く」 米国防総省高官(8日11:42)

 米国防総省高官は7日、米CNNテレビに対し、「アフガニスタン攻撃は米英両軍がタリバン政権の防空能力を弱体化させ、主要軍事施設に打撃を与えるまで、2、3日は続けられるだろう」と言明した。

 アフガン攻撃の第一段階の空爆は3日程度続くとの観測は露イタル・タス通信などから流されており、国防総省高官の発言はこれを裏付けたかたち。

[毎日新聞10月8日]


カブールに空爆3回 死者は20人以上(8日13:48)

 8日のアフガン・イスラム通信によると、米英のアフガニスタン空爆で、首都カブールでは少なくとも20人が死亡した。死者数は増える可能性があるという。

 同通信は10人が首都北東のカブール空港近くで、別の10人が中心部のラジオ局「シャリア(イスラム法)」近くに投下された爆弾で死亡したとしている。

 米軍は7日夜始まった攻撃で、カブールに対し少なくとも3回空爆したという。

 一方、ロイター通信によると、アフガニスタン・タリバン政権のラジオは8日、米軍の空爆による死者は出ていないと伝えた。(イスラマバード共同)

[毎日新聞10月8日]


パレスチナ自治政府「アラブは一致した姿勢を」(8日10:47)

 パレスチナ自治政府のラボ文化情報相は8日深夜、米国の軍事作戦開始について「アラブ諸国は一致した姿勢を示すべきだ」と述べ、明確な態度を示すことを避けた。

 文化情報相は、イスラエルのシャロン首相がこの機に乗じてパレスチナ側への攻撃を強化しないよう強く警告した。(エルサレム共同)

[毎日新聞10月8日]


 「国際法を逸脱した侵略」と米を非難 イラク(8日10:29)

 国営イラク通信は7日、米国のアフガニスタン空爆は「国際法を逸脱した侵略だ」として、米国を非難するイラク政府声明を報じた。(カイロ共同)

[毎日新聞10月8日]


米国防長官と統合参謀本部長の会見要旨(8日09:46)

 ラムズフェルド米国防長官とマイヤーズ統合参謀本部議長の7日の記者会見要旨は次の通り。

 一、米国のすべての影響力と兵力を動員し、テロに対し広範で持続的な作戦を行う。

 一、開始した作戦の目的はアフガニスタンで対テロ、人道援助作戦を行う環境をつくるため、アフガニスタン・タリバン政権の防空施設と航空機の脅威を除去することだ。それによって地上と空中での作戦を自由に行える。

 一、作戦の焦点は(1)(ウサマ・ビンラディンのテロ組織)アルカイダをかくまうタリバン政権に(攻撃を受けることが)その代償であることを明確にする(2)今後の作戦を容易にするための情報を収集(3)反タリバン勢力との連携を進める(4)アフガニスタンをテロ基地として使えないようにする(5)反タリバン勢力を阻害するタリバンの軍事力をそぐ(6)アフガン国民に人道援助を供給する―などだ。

 一、B1、B2、B52など計15機の爆撃機、空母艦載の25機の攻撃機、米英の艦船、潜水艦が攻撃に参加。約五十発の巡航ミサイルでテロ施設を攻撃した。最初の攻撃は米東部時間の7日午後零時半(日本時間8日午前1時半)ごろ。

 一、今日の作戦は目に見えたが、多くの作戦は見えない形となろう。

 一、人道支援物資の投下も実施している。初日は約三万七千食の食料が投下される。

(ワシントン共同)


ビンラディン氏、聖戦継続を宣言 TVで声明(8日09:24)

 【カイロ小倉孝保】米英軍によるアフガニスタン報復攻撃開始を受け、7日深夜(日本時間8日未明)、中東・カタールのアラビア語衛星テレビ「アルジャジーラ」は、同時多発テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏の声明を録画映像で放送した。

 ビンラディン氏は「すべてのイスラム教徒はその教えを守るために立ち上がらなければならない。ムハンマド(イスラム教の預言者マホメット)の半島から悪を一掃するため、信仰の嵐が吹いている」とサウジアラビアはじめ中東地域からの駐留米軍撤退を目指す意向を鮮明にし、対米聖戦の継続を宣言した。

 同氏が同時テロに関し発言するのは初めて。ビンラディン氏はアフガン国内とみられる岩山の上に、頭に布を巻き軍服姿で座り、マイクを手にゆっくりとした口調で話した。同氏は「アメリカは今、どこもかしこも恐ろしい惨事に見舞われている。私はこれを神に感謝する」と述べた。

 また、同氏は「平和がパレスチナに訪れ、不信心者のすべての軍がムハンマドの土地を去るまで、米国は平和に暮らせないだろう」とパレスチナ紛争の解決を強く訴えた。

 さらに、同氏は「米国はヒロシマやナガサキ、パレスチナやイラクで無実の市民を殺害してきた。米国で起こったことは、こうした米国の政策への反応だ」と広島、長崎の原爆犠牲者や国連制裁下にあるイラク国民の窮状にも言及、米国の不当性を強調した。

[毎日新聞10月8日]


米軍、爆撃機など40機動員−−ミサイルも発射 (8日6:46)

 【ワシントン布施広】米国防総省は7日、米英両軍が米東部時間同日午後0時30分(日本時間8日午前1時30分)ごろ、米同時多発テロの報復としてアフガニスタン攻撃を開始したと発表した。米軍はB52など計40機の爆撃機、戦闘機を動員し、約50発の巡航ミサイルを発射した。これに続いて約3万7500トンのアフガン国民への人道支援物資投下を開始した。

 反タリバン連合(北部同盟)のアブドラ外相は、攻撃が行われたのは首都カブールやタリバン政権の本拠地カンダハル、マザリシャリフなど6都市と言明した。主な攻撃対象は、米国が同時テロの最重要容疑者とするウサマ・ビンラディン氏が率いる組織「アルカイダ」の訓練施設とタリバン政権の軍事拠点。米軍機は全機無事に帰還した模様。アフガン国内の死傷者などは明らかでない。

 ブッシュ大統領は同日午後1時(同午前2時)からの全米向けのテレビ演説で、アフガン攻撃は「テロとの戦争」であり、イスラムとの戦いではないことを強調、アフガン攻撃を第1段階として、今後ともテロ組織を支援したり、かくまう国と対決する意向を表明した。

 大統領は英国のほかオーストラリア、カナダ、ドイツなどが軍事作戦に加わる可能性を明らかにした。

 これに対し、タリバン政権のザイーフ駐パキスタン大使は、アフガン・イスラム通信に「ビンラディン氏を引き渡さない。最後まで戦う」と徹底抗戦を誓った。


 また、カタールの衛星テレビ「アルジャジーラ」は攻撃開始後、ビンラディン氏のビデオ映像を放映。この中で同氏はブッシュ大統領を「不信心者の筆頭」とし「パレスチナを平和が支配しない限り、米国は平和には生きられない」と述べ、今後も米国との戦いを続ける意思を表明した。

[毎日新聞10月8日]


ブッシュ米大統領演説の全文(8日6:50)



 私の命令により、米軍はアフガニスタンのアルカイダのテロリスト訓練キャンプ、タリバン政権の軍事施設に対する攻撃を開始した。

 標的が慎重に選定されたこれらの攻撃の目的は、テロリストがアフガニスタンを作戦基地として使用するのを防ぐことであり、タリバン政権の軍事能力をたたくことである。

 この作戦にはわれわれの固いきずなで結ばれた友人・英国も加わった。カナダ、オーストラリア、ドイツ、フランスなどそのほかの同盟国も、作戦の進展にしたがって軍を派遣すると約束している。

 中東、アフリカ、欧州、アジアの40以上の国が、国内の基地などへの米軍機の立ち寄り、着陸を認めた。情報面での協力を申し出ている国はさらに多い。われわれは世界中の集団意志の支持を受けているのだ。

 2週間以上前、私はタリバンの指導者らに明確かつ具体的な要求を行った。テロリスト訓練キャンプの閉鎖、アルカイダ・ネットワークの指導者らの引き渡し、不当にも身柄拘束されている米国人を含むすべての外国人の解放という要求だ。

 これらの要求のうち履行されたものは何一つとしてない。今、タリバンはその不履行のつけを支払う時がきたのだ。

 訓練キャンプを破壊し、通信を混乱させることで、テロ・ネットワークが新たなメンバーを訓練し、悪事をたくらむのが困難になるだろう。

 当初、テロリストたちは洞穴やざんごうを掘り巡らせた隠れ家の奥深く隠れようとするだろう。われわれの軍事行動はまた、かれらをそこから引きずり出し、裁きの場に連れ出すという、持続する、包括的な、容赦ない作戦行動に道を開くものでもある。

 同時に、アフガニスタンの抑圧された人々は、米国とその同盟諸国の寛容さを知ることになるだろう。軍事目標攻撃と同時に、われわれは食料、医薬品、生活用品をアフガニスタンの飢えた男女、子供たちに投下する。

 米国はアフガンの人々の友人であり、イスラムの教義を実践する世界中の約10億の人々の友人である。

 米国はテロリストを支援する者、偉大なる宗教の名のもとに殺人を犯し、それを汚す野蛮な犯罪者たちの敵である。

 この軍事行動はわれわれのテロリズムに対する一連の作戦の一部であり、外交、ちょう報、資産凍結、38カ国の警察当局によるテロリスト検挙ですでに行われている戦争のもう一つの前線である。

 われわれの敵の性格と広範な勢力を考えると、辛抱強く成功を重ね、一連の挑戦に決意と意志と目的をもって当たることで、この戦いに勝てるだろう。

 今、われわれの焦点はアフガニスタンに当てられている。しかし、戦いはより広範なものだ。すべての国が自らの立場を選ばねばならない。この戦いに中立の立場はない。もし無法者と罪なき人々の殺人者を後押しする政府があれば、その政府自身が無法者で殺人者となる。それら政府は破滅への孤独の道を歩んでいくだろう。

 私は今、ホワイトハウスの米国大統領が平和のために働いてきたトリーティールーム(条約室)から、あなたがたに語りかけている。

 われわれは平和的な国民である。にもかかわらず、突然のテロが襲いかかる世界に平和はありえないことを、あまりにも突然かつ悲劇的な形で学んだ。今日の新たな脅威に直面して、平和を追求する唯一の方法はそれを脅かす者たちを追跡することである。

 われわれはこの任務を求めなかったが、これからそれを遂行する。

 今回の軍事作戦の名前は「不屈の自由」である。われわれは自らの大切な自由を守るだけでなく、テロの恐怖に脅かされることなく生活し、子供を育てる地上のすべての人々の自由をも防衛するものである。

 多くの米国人が今、恐れを抱いていることを私は知っている。われわれの政府は強い警戒措置をとっている。すべての警察、情報機関が全米、世界中で24時間、精力的に活動している。

 私の要請で多くの州知事が空港警備のため州兵を動員してくれた。軍事能力を高め、祖国の防衛を強化するために予備役を召集した。

 これからの数カ月、忍耐、警備を強化して辛抱強く待つ忍耐、目的を達成するには時間がかかるという理解に基づく忍耐、発生するかもしれないすべての犠牲を耐え忍ぶ忍耐が、われわれの力のひとつとなる。

 今、これらの犠牲は、本国から遠く離れた異国の地でわれわれを守る軍のメンバーにより、彼らの誇りと心配におののく家族らにより担われている。

 軍総司令官が米国の息子、娘たちを外国の戦地に送るのは、最大限の配慮と多くの祈りをささげたのちのことだ。

 われわれは、われわれの軍服を着る者たちに多くを頼む。われわれは彼らに愛する者たちを残し、はるばる遠くに移動し、負傷の危険を冒し、生命という究極の犠牲にも準備をするよう要請する。

 彼らは献身的であり、名誉ある者たちである。彼らはわが国の最良の部分を代表し、われわれは彼らに謝意を表明するものである。

 われわれの軍のすべての男女、水兵、兵士、パイロット、国境警備隊員、海兵隊員に対して、私は次のことを言おう。あなたがたの任務は明確に定義され、その目的ははっきりとしており、到達地点も正当なものである。あなたがたは私から全幅の信頼を寄せられ、任務遂行のため必要なあらゆるものを与えられるだろう、と。

 私は最近、軍人の父を持つ4歳の少女から感動的な手紙を受け取った。この困難な時代の米国について多くを語る手紙である。

 「パパに戦争に行って欲しくないと思うのと同じ分だけ、パパをあなたにあげる」と、少女はその手紙で書いていた。

 これはとても貴重な贈り物だ。少女が与えうる最大のものだ。この年若い女の子は米国とは何かを知っているのだ。

 9月11日以来、米国のすべての若い世代は自由の価値、それを得るためのコスト、義務、犠牲について新たな理解を得た。

 戦いは今や、多くの前線で行われている。われわれは揺れず、疲れも知らず、ひるまず、負けることもない。平和と自由が勝るだろう。

 ありがとう。神のご加護がこれからも米国にありますよう。

[毎日新聞10月8日]


 「無条件で支持する」−−シュレーダー独首相が声明(8日6:34 )

 ドイツのシュレーダー首相は7日、米英軍がアフガニスタンへの軍事攻撃を開始したことについて「無条件で支持する」との声明を発表、ブッシュ米大統領から事前に攻撃開始を予告する電話があったことを明らかにした。

 首相は声明発表後、ベルリンの首相府で記者会見し、ドイツは「現段階では攻撃に加わっていない」と述べる一方、米国から要請があれば「ドイツ連邦軍が貢献することもあり得る」と言明。今後の軍事行動への参加に含みを持たせた。(ベルリン共同)

[毎日新聞10月8日]


英潜水艦トマホーク使用、独など4カ国関与約束−−英首相(8日6:14)

 ブレア英首相は7日、アフガニスタン・タリバン政権への攻撃で英国のミサイル潜水艦を使ったことを明らかにした。

 英国はインド洋の英領ディエゴガルシア島の英軍基地や、偵察を含む航空機の活用も準備しており、首相は英軍の航空戦力が近く投入される予定だと述べた。

 英国防省報道官は、インド洋とアラビア海に英国の潜水艦3隻が展開中で、攻撃ではこれらの潜水艦が巡航ミサイル「トマホーク」を発射したと語った。

 首相は「作戦がいつまで続くかは明らかにできないが、目的はウサマ・ビンラディンとその組織、タリバンの施設をたたくことだ」と述べた。

 首相は英国のほか、フランス、ドイツ、オーストラリア、カナダの4カ国を挙げて、これらの国が軍事作戦への関与を約束していると述べた。(ロンドン共同)

[毎日新聞10月8日]


テロの矛先になることを懸念−−イスラエル(8日6:34 )

 イスラエルは、7日開始された米国のアフガニスタンに対する軍事作戦の余波で、イスラム過激派グループのテロの矛先がイスラエルに向かうことを強く懸念しており、事態の推移を慎重に見守っている。

 米中枢同時テロの最重要容疑者とされるウサマ・ビンラディン氏は、米国と同時にイスラエルをもテロ攻撃の対象にすると明言しており、イスラム過激派が反撃に乗り出した場合、イスラエルも標的になりかねないからだ。

 イスラエル軍はあらゆる事態に対応できるよう準備しており、厳戒態勢をとっている。(エルサレム共同)

[毎日新聞10月8日]


カンダハルで6人死傷 タリバンの報道官(8日14:15)

 ロイター通信によると、アフガニスタン・タリバン政権のスポークスマンは8日、米英両軍の空爆により同国カンダハルで2人が死亡、4人が負傷したと伝えた。(共同)

[毎日新聞10月8日]


米英、ミサイル50発でアフガン攻撃・援助物資も投下

 【ワシントン8日=池内新太郎】ラムズフェルド米国防長官とマイヤーズ統合参謀本部議長は7日の記者会見で、米軍のアフガニスタンでの軍事作戦の概要を明らかにした。攻撃は戦略爆撃機や巡航ミサイルによる空爆で、軍事施設やテロ組織の訓練拠点などを標的とした限定的なものであると強調。一般市民への敵対行為ではないとの意思表示のため、援助物資の投下も実施したと表明した。

 長官と議長の説明によると、米東部時間の7日午後零時半(日本時間8日午前1時半)ごろ最初の目標を攻撃。米英の艦船や潜水艦からトマホーク巡航ミサイル約50発を発射したほか、爆撃機15機と空母艦載の攻撃機25機の計40機が出撃した。爆撃機はインド洋の英領ディエゴガルシア島からB52とB1、米本土からはレーダーなどに探知されにくいB2ステルスが加わった。長官は攻撃目標はタリバンの空軍基地や地対空ミサイル、レーダーなどの防空施設だとして、制空権の確保が狙いであると指摘。具体的な攻撃地点は明らかにしなかった。


アフガン攻撃:
2日目の空爆敢行 米国防長官、成果強調

 【ワシントン吉田弘之】米国防総省によると米軍は8日、アフガニスタンの首都カブールや南部のタリバン政権の拠点カンダハルなどで2日目の空爆を敢行した。攻撃は日本時間9日未明から朝にかけて断続的に行われた。同政権の軍事施設やウサマ・ビンラディン氏が率いる組織「アルカイダ」のテロリスト訓練キャンプのほか、タリバンの地上軍も標的になった。ラムズフェルド米国防長官は同日の記者会見で、空爆が成果を上げていることを強調した。

 ラムズフェルド長官はアフガン攻撃の意義について「(テロ根絶に向けた)世界規模の大きな努力の一部に過ぎない。巡航ミサイルや空爆が問題を解決するとは考えていない。数年かかると考えている」と語った。

 長官とともに会見したマイヤーズ米統合参謀本部議長によると、8日の空爆にはB1、B2爆撃機計10機と周辺海域に展開している空母カール・ビンソン、エンタープライズなどから10機の戦闘機が出撃。また艦船から巡航ミサイル・トマホークによる攻撃を行った。この日の空爆、巡航ミサイル攻撃に、英軍は参加しなかったという。

 長官は初日の空爆について、アフガン全土のタリバン政権の防空施設破壊に向け成果があった▽攻撃目標とした軍事空港に損害を与えることができた――などと語った。また、タリバン政権が米軍機を撃墜したと発表していることに対し、「航空機と兵員は全員、無事戻った」と述べ、これを否定した。

 マイヤーズ議長は、7日の攻撃地点は計31カ所で、タリバン軍の早期警戒レーダー施設、地上軍施設、軍事空港と航空機、アルカイダのキャンプなどの軍事施設が含まれたことを明らかにした。

 一方、長官は反タリバン連合(北部同盟)がカブール攻略をうかがっていることについて「米国はアルカイダとタリバン政権の旧体質に終止符を打とうとする勢力に興味がある」とだけ述べ、具体的な軍事支援を行うかどうかは明言を避けた。

 アフガン領内への人道支援物資の空中投下は、8日も前日と同様の規模で行われたという。

[毎日新聞10月9日] ( 2001-10-09-11:31 )


アフガン攻撃:国連事務総長が追認声明発表

 【ニューヨーク上村幸治】国連のアナン事務総長は8日、米英軍によるアフガニスタン攻撃を受けて声明を発表した。事務総長は、両国は国連憲章が認める自衛権を確認した9月12日の安保理決議(テロ非難決議)を受けて軍事行動をとったとし、事態を追認した。

 米国の軍事行動への動きに対しては、安保理が湾岸戦争(91年)時のような武力行使容認決議を採択しておらず、中東諸国などから「自衛権の確認だけでは不十分ではないか」という疑問の声が出ていた。

 しかし、アナン事務総長はこれまでも「安保理はテロ行為という国際の平和と安全への脅威に対し、あらゆる手段で戦うことを決めた。同時に、加盟国が個別的・集団的自衛権を持つことを確認した」と繰り返し述べるだけで、自らの意見は示してこなかった。今回の声明もまったく同じ内容となっている。

 アナン事務総長は声明で、テロを打ち負かすには「世界中のすべての国がともに手をとり、政治や法律、外交、財政などを含むさまざまな手段で対応しなければならない」と述べた。

 また「アフガンの一般の人々は、タリバン政権がしてきたことで責任を問われるべきではない」と指摘、国連が彼らのために「一刻も早く支援活動を強化できる」よう希望すると述べた。

 同時に、紛争の続くアフガニスタンに同国を代表する政権ができるよう「国連が積極的に関与していく」と説明した。

 アナン事務総長はすでに、タリバン政権の崩壊に備えて事務総長特別代表を任命、新政権をスムーズに発足させるための支援態勢を固めている。

[毎日新聞10月9日] ( 2001-10-09-10:58 )


アフガン攻撃:軍事施設以外は攻撃せず 米国防長官

 【北米総局】ラムズフェルド米国防長官は8日の会見で、軍事施設以外も攻撃されたとするタリバン政権の主張やアフガニスタンからの報道を全面否定した。長官は「(米英軍の)攻撃は都市周辺の軍事的な標的だけだ」と語った。

[毎日新聞10月9日] ( 2001-10-09-11:10 )


「アフガンへの空爆は数日」英国防相

 【ロンドン8日=加藤秀央】英国のフーン国防相は8日夜、英国放送協会(BBC)テレビに対し、「空爆に予定表はないが、現段階では数週間というより数日間というのが我々の意図だ」と述べ、アフガニスタンへの空爆は長期化しないとの見通しを示した。同時に、英軍はアフガンへの8日の攻撃には参加しなかったことを確認した。同国防省は同日夜、モスクワ訪問に向け出発した。

 フーン国防相は8日の攻撃に英軍が参加しなかった理由について、「初日(7日)の攻撃の成果を細かく分析する作業が終わっていないため」と説明した。

 一方、ブレア英首相は8日夕に開いた下院の臨時本会議で戦果について報告した。首相は「(7日の攻撃は)目的を達成し成功だった。アルカイダの訓練施設やタリバンの軍事拠点を破壊した」と述べ、第一波の攻撃が計画通りに進んだとの認識を示した。

 英軍がアフガンでの軍事行動に参加したことから、市民の間にはロンドンが“報復テロ”の標的になるとの懸念が高まっている。臨時本会議では労働党左派などから攻撃反対の声も出た。


米議会、追加景気策の月内成立目指す

 【ワシントン8日=吉次弘志】ハスタート米下院議長(共和党)ら米議会指導部は8日、記者会見し、ブッシュ政権が打ち出した600億ドル(約7兆2000億円)の減税を柱にした追加的な景気刺激策について「できる限り早く成立させなければならない」と語った。アフガニスタンでの軍事行動開始で米経済の先行き不透明感が強まる中、早ければ10月中の法案成立を目指す考えを示したもので、政権との協力の重要性を強調した。

 米議会は同時テロの影響を受けた航空業界への支援や州の失業給付補助などを含む550億ドルの追加支出法案を成立させているが、ブッシュ米大統領は5日、600億ドルの減税を新たに提案。民主党が志向する失業対策などの歳出増加策をけん制した。

 ハスタート下院議長、ゲッパート下院民主党院内総務らは同日、ニューヨークを訪れ、企業関係者らと懇談。その後の記者会見で当面の景気刺激策を巡る議会運営についての見解を示した。


国連安保理が緊急協議、米英が軍事行動を説明

 【ニューヨーク8日=中山淳史】国連安全保障理事会は8日、米英の要請で非公式協議を開催し、両国の国連大使から対アフガニスタン攻撃について報告を受けた。ライアン議長(アイルランド国連大使)は終了後、「両国の報告を理解した」との声明を発表。理事国すべてが米英の軍事行動を支持する姿勢を示したことを明らかにした。米国は必要があればアフガニスタン以外の国々を攻撃する可能性を示したもようだが、同議長はそれには言及しなかった。

 協議にはアナン事務総長も出席した。米国のネグロポンテ国連大使は協議開催前に、攻撃に至った経緯を説明する書簡を各理事国に送付しており、協議ではそれに沿って「攻撃は国連憲章51条に基づく個別的、集団的自衛権の行使だった」などと強調した。

 米国は「一般市民に犠牲者を出さないよう最善を尽くしている」とも主張。あくまで米同時テロの容疑者ウサマ・ビンラディン氏やテロ組織アルカイダ、それを支援するタリバン政権に対する攻撃で「アフガン国民やイスラム諸国に向けたものではない」ことを改めて強調した。


炭そ菌感染者の職場調査・フロリダ州厚生長官

 【ワシントン支局8日】フロリダ州のジョン・アグウノビ厚生長官は8日午後記者会見し、死亡した炭疽(そ)菌患者に続き、炭疽菌が鼻孔内に発見された人が、ともにフロリダ州ウエスト・パームビーチの地元新聞社のあるオフィスビル内に勤務していたことを明らかにした。現在、このビルを調査中だが、炭疽菌は最初の患者の仕事場周辺で発見されており、ビルの勤務者だけでなく、訪問者にも医療施設での診察を呼び掛けた。


サウジ外相:ビンラディン氏のテロへの関与認める タイム報道

 【カイロ小倉孝保】9日発行の有力誌「タイム」は、サウジアラビアのサウド外相が同時多発テロを実行したのはウサマ・ビンラディン氏に違いないとする見方を示したと伝えた。公式表明ではないが、アラブ閣僚で同氏の関与を認めたのは初めて。米英両軍のアフガン軍事作戦について、「テロ組織壊滅のためで、イスラム教徒への攻撃でない」とサウジ政府が黙認する理由を国民やアラブ諸国向けにアピールする狙いがあるとみられる。

 同誌のインタビューで、外相は米国から友好国に提示された同時多発テロの調査結果を踏まえ、「ビンラディン氏がこの事件に関わった明確な証拠がある。これは十分な証拠だと思う」と述べた。

 アフガン攻撃について、サウジ政府は攻撃開始後も、「我々は中東和平を推進しなければならない。ブッシュ米大統領の述べたパレスチナ国家構想は常に自分の念頭にあるとする発言を支持する」との声明を発表しただけだった。

[毎日新聞10月9日] ( 2001-10-09-20:11 )


 米のアフガン空爆3日目、国連関連施設で4人死亡

 【イスラマバード9日=吉野蔵一】米同時テロに対する米軍のアフガニスタンへの空爆は9日、3日目に入った。国連報道官は同日、8日夜の爆撃で首都カブールの国連関連施設が被害を受け、非政府組織(NGO)の現地スタッフら4人が死亡したと発表した。一方、隣国パキスタンでは反米デモで死傷者が相次ぐなど、イスラム圏諸国の内政にも空爆の影響が波及してきた。

 国連報道官は9日、イスラマバードで記者会見し、アフガニスタン人スタッフら4人の死亡を確認した。現地からの報道によると、国連が資金を拠出している地雷除去活動のNGO「アフガニスタン・テクニカル・コンサルタンシー」のカブール事務所がミサイルに被弾し、4人が死亡、負傷者も出たという。米軍は現地時間8日夜(日本時間9日未明)から、アフガンへの2日目の攻撃を開始した。米国のラムズフェルド国防長官とマイヤーズ統合参謀本部議長は8日の記者会見で「容赦なく圧力をかける」と述べ、様々な手段による攻撃継続の方針を表明した。


 アフガン攻撃:特殊部隊の作戦準備本格化 既にアフガン潜入か

 【ワシントン布施広】4日連続のアフガニスタン空爆で同国の制空権をほぼ手中にした米軍は、特殊部隊による作戦の準備を本格化させている模様だ。10日付のニューヨーク・タイムズ(電子版)など米有力紙は、特殊作戦の計画に関する報道を一斉に展開した。また米政府筋は9日、毎日新聞に対し、米英軍の特殊部隊は既にアフガン領内で活動していると述べ、ビンラディン氏はカンダハル周辺に潜伏している可能性が強いとの見方を示した。 

 ニューヨーク・タイムズ紙によると、米軍は同時多発テロの容疑者ウサマ・ビンラディン氏とタリバン政権に連なる武装勢力を攻撃するため、アフガン領内での特殊作戦を準備している。陸軍主体とされる作戦の開始日は不明だが、秒読み段階との見方が強い。

 一方、米政府筋によると、米軍の空爆で反タリバン勢力が勢いづき、アフガン西部のヘラート周辺では、タリバンが支配地域を一部明け渡し、反タリバン勢力が8日までに空港などを制圧したという。タリバンの急進派と穏健派の分裂も全土で始まっている模様だ。

 ビンラディン氏の居場所について、同筋は「カンダハルの北東近郊にいるとの情報を得ている」と語った。情報の出所は明らかにしなかった。カンダハルはタリバンの拠点。ビンラディン氏はタリバンの最高指導者オマル師らと連絡を取り合っている可能性がある。

 同筋は「既に米英の特殊部隊がアフガン領内に入っている」と語ったが、具体的な任務や活動範囲には触れなかった。

 米英両政府は特殊部隊の展開について明言を避けているが、フランスのリシャール国防相はAFP通信に、同国の特殊部隊がアフガン領内で活動を開始したと語っており、特殊作戦は事実上始まっている可能性もある。

[毎日新聞10月10日] ( 2001-10-10-21:57 )


 パキスタン軍が越境のタリバンに発砲

 【イスラマバード小松健一】パキスタン軍情報機関筋によると、パキスタン北西部ペシャワル近郊の国境地帯で9日夜から10日にかけ、アフガニスタン・タリバン政権軍兵士約30人がパキスタン領内に侵入、警備にあたっていたパキスタン軍が発砲し、銃撃戦となった。

 戦闘は約2時間続き、タリバン軍はアフガン領内に撤退した。カタールの衛星テレビ「アルジャジーラ」は、パキスタン兵3人が負傷したと伝えた。タリバン軍が越境した理由は明らかでないが、空爆を避けるため部隊から離脱したとみられる。

 一方、8日にはタリバン軍のヘリコプター3機がパキスタン北西部のパクチア付近に着陸。パキスタン軍がヘリコプターを接収した。

 パキスタン軍情報機関筋は「タリバン軍が戦線を離脱し、パキスタンに逃れることを想定し、国境警備を強化している」と話している。

[毎日新聞10月11日]


 中・露外相がアフガン政権の将来像を意見交換

 【北京・浦松丈二】新華社電によると、中国の唐家セン外相は9日、ロシアのイワノフ外相と電話会談し、地域の安定のためにアフガニスタンに「幅広い基盤を持つ連合政権」の樹立を支持することで一致した。国連安保理常任理事国の中露がアフガニスタン政権の将来像について意見交換したのは初めて。

 イワノフ外相は反テロ活動での国連の重要性を強調した上で「国際社会はアフガニスタンに幅広い基盤を持つ連合政権樹立を支持すべきだ」と提案し、唐外相は「各方面に受け入れられる連合政権の樹立こそが、アフガニスタン国民と地域の平和・安定に役立つと認識している」と答えた。

[毎日新聞10月11日]


 OIC緊急外相会議 タリバンが「支持を信じる」と声明

 【イスラマバード小松健一】アフガン・イスラム通信によると、タリバン政権のスポークスマンは10日、イスラム諸国会議機構外相会議に向けて声明を発表。「イスラム諸国がタリバン政権の立場を支持してくれると信じている」と述べた。

[毎日新聞10月11日]


 タリバン地上部隊攻撃へ アフガン攻撃新段階 米、戦闘ヘリ投入も

 【ワシントン10日=土井達士】米英両国がアフガニスタンを実効支配しているタリバン政権や、ウサマ・ビンラーディン氏が設立した武装組織アルカーイダを目標として続けている軍事作戦は、九日までに米国などが制空権を確保したことで、タリバンの戦闘員らを主要な攻撃目標とする「第二段階」への移行が進んでいるもようだ。米軍が低空飛行する攻撃用ヘリコプターからのタリバン部隊攻撃を準備しているとの報道もあり、タリバンの弱体化に向けて米国が打つ次の手が正念場になる。

 ラムズフェルド米国防長官は九日の記者会見で、「これまでの成果により、われわれの望むままに二十四時間体制で空爆を実行することが可能になった」と語り、七日から継続しているアフガニスタンでの空爆の結果、アフガン上空の制空権をほぼ掌握したことを明らかにした。

 米軍による空爆は通算四日目となる現地時間の十日も、アフガニスタン東部のタリバンの軍事施設を爆撃するなど継続されているが、米国側は制空権を掌握したほか「タリバンの通信網にも重大な損害を与えた」(マイヤーズ統合参謀本部議長)と、アルカーイダのテロリスト訓練キャンプを含めた主要な戦略目標に対してはすでに軒並み攻撃を実施した形だ。

 ラムズフェルド国防長官らは、今後の空爆ではすでに攻撃を加えた一部施設への再爆撃や、タリバン側の地上部隊を中心にした「新たな目標」が主要な攻撃対象となるとしている。ただ、九日の空爆では一部の攻撃機が搭載した爆弾などをすべて投下することができないまま帰還するなど、有効な空爆対象が見あたらなくなりつつあり、空爆の限界に対する認識も一段と強まっている。このため、北部同盟などアフガン国内の反タリバン勢力の動きや、米軍の地上部隊投入の有無が主要な関心事となっているが、十日付のニューヨーク・タイムズ紙は、国防総省高官二人の話として、米陸軍の攻撃ヘリ「ブラックホーク」による低空からのタリバンやアルカーイダ部隊に対する攻撃の準備が進められており、場合によっては北部同盟などと協調した作戦行動もあり得ると伝えた。

 同紙はまた、アフガニスタンと隣接するウズベキスタンなどへの米軍特殊部隊の配備はここに来て加速しているものの、現時点ではこれらの特殊部隊がタリバンの支配地域へ地上から進攻する計画はないとしている。

 一方、ブッシュ大統領は九日に議会へ送付したアフガンに対する軍事行動を正式に報告した文書の中で、「戦闘行動がどのくらい続くか、あるいは必要な軍隊の規模や配備期間は、現時点ではわからない」として、軍事行動を含めた「反テロ」の戦いの長期化を見込んでいることを改めて示唆。地上部隊の投入を含めた今後の作戦についても幅広い選択肢を残す姿勢を強く示した。


アフガン攻撃:米の空爆は開始以来、最大規模 特殊爆弾も使用

 【ワシントン吉田弘之】米軍がアフガニスタンに対し現地時間10日夜から11日未明に行った空爆で、現地からの報道によると首都カブールへの爆撃は7日の開始以来、最大規模だった。南部カンダハルへの空爆も激しかった。各地の頑丈な地下施設などを標的とする場合、特殊爆弾も使用され始めている模様だ。また、ウサマ・ビンラディン氏の行方追及のため大がかりな特殊部隊の投入を計画しているとされ、作戦は新段階に入りつつある。

 米国防総省当局者は10日、ビンラディン氏が率いるテロ組織「アルカイダ」やタリバン軍の地下施設などを破壊するために特殊爆弾の使用を本格化することを明らかにした。AP通信などによると、使われるのは「バンカー・バスター」(GBU28)や「クラスター爆弾」など。

 バンカー・バスターは地中に深く潜って爆発する。AFP通信は10日、米国防当局者の話を引用して、少なくとも1発のバンカー・バスターが9日に初めて使用されたと伝えた。

 クラスター爆弾は、投下後に内部の小型爆弾が飛散し、広範囲の目標物を破壊する。地上軍の部隊や車両などを攻撃し、将来の地上作戦に備えるものとみられる。

 これまでの空爆では、兵士を中心に多数の死者が出ている模様。CNNテレビによると国防総省当局者は、7日の爆撃でタリバンの最高指導者オマル師の男性親族2人を含む政権指導者数人が死亡したと明らかにした。タリバン軍に近い筋の情報だという。

 国防総省の10日の発表によると、9日は5〜8機の爆撃機と10機の戦闘機が出撃、6施設を空爆した。北部マザリシャリフではタリバン地上軍を標的にした。10日の空爆の詳細は公表されていない。

[毎日新聞10月11日] ( 2001-10-11-13:04 )


米軍パキスタン入り、5日連続でアフガン空爆

 【イスラマバード11日共同】パキスタンのクレシ大統領報道官は11日、米軍がパキスタン入りしたことを認めた。アフガニスタン北隣のウズベキスタンでは既に米陸軍山岳師団や特殊部隊が計1000人以上、待機している。米軍はパキスタンにも要員を送ったことで、特殊部隊などの投入を念頭に置いた南北からのタリバン政権挟撃態勢を確立した。

 一方AP通信によると、米軍は11日朝、タリバン政権の本拠地カンダハル空爆を実施した。アフガニスタン空爆は5日連続。11日付のワシントン・ポスト紙はパキスタン軍高官の話として、米軍が空爆のためパキスタンの2空港を使用し始めたと伝えた。米軍が使用を開始したのは南部シンド州のジャコババードと西部バルチスタン州パスニの両空港。ワシントン・ポストは要員200人がパキスタン入りしたと伝えている。米軍は今後、タリバンやウサマ・ビンラディン氏の軍事施設への空爆を継続する一方、特殊部隊の投入など第二段階の作戦に移行する見通しだ。


日本、アフガン復興会議を提唱

 政府は11日、米同時テロを受けた米英軍によるアフガニスタン攻撃の終了後、アフガンの各民族代表や関係国による和平を実現するため、国連の「アフガン復興会議」(仮称)を東京で主催する方針を固めた。アフガンのタリバン政権が崩壊しても、同国内に新たな政権基盤が存在しないのが関係国の一致した懸念材料。米英ロなどが水面下で進めている暫定政権構想と表裏一体を成すもので、すでにイスラム主要国などの同意を取りつけた。

 政府筋によると復興会議の東京開催は、アフガン攻撃の準備段階から米国などと連絡を取り合いながら調整作業に入った。今月初めに首相特使としてイランを訪問した高村正彦元外相は、ハタミ大統領に「アフガン国民各層に支持された政府が樹立されることが永続的な平和のための唯一の方策だ。日本で『復興会議』を開催する用意がある」と伝達。大統領から基本的な支持を得た。引き続きパキスタンやサウジアラビアなどアフガン情勢に影響力のある諸国からも同意を取りつけたい考えだ。


「アルカイダ」が恐怖の声明…航空機テロ続ける

声明を発表するアルカイダのスポークスマン(AP=共同)
◆ 「ジハードに立ち上がれ」 ◆

 米中枢同時テロの最重要容疑者とされるウサマ・ビンラディン氏のテロ組織「アルカイダ」は9日、米英軍のアフガニスタン空爆をめぐる声明を発表した。全世界のイスラム教徒に対し、米国に対する「ジハード」(聖戦)に立ち上がるように呼びかけるとともに「航空機乗っ取りによる米国への攻撃は今後も続く」と述べ、慄然(りつぜん)とした再度の米国への報復テロを宣言した。この声明で米英両国などが軍事攻撃をはじめ反テロ対策を一段と強化するのは必至で、世界はまさに騒然としてきた。


◆ 「多くの若者が喜んで死ぬ用意がある」 ◆

 この宣言はカタールの衛星テレビ「アルジャジーラ」が事前に録画されたとみられるアルカイダのスポークスマンを名乗る男の声明を放映したもの。

 スポークスマンは、米英両軍のアフガン攻撃を「新たな憎悪のページを開いた」と批判。「われわれの財政力・精神力と神への信仰により、われわれは勝利する」と述べ、アルカイダの総力を挙げて米国との戦いに臨む覚悟を表明した。

 スポークスマンはアルカイダが同時テロに関与したか、どうかには直接言及はしなかったものの、これら一連の発言は同時多発テロについてアルカイダが事実上、犯行を認めたも同然といえる。

 さらにスポークスマンは9月11日の米中枢同時テロについて「戦いを米国の心臓部に持ち込んだ」と称賛「こうした攻撃が終わりでないことを米国は知るべきだ」と再度の航空機乗っ取りによるテロがあることを警告した。その上で「聖戦はすべてのイスラム教徒の義務である」とし「米国の権益は世界のいたるところへ広がっている」と指摘「多くの若者が喜んで死ぬ用意がある」と述べた。

 また「米国がイスラムの地に居座り、ユダヤ人への支援を継続し、対イラク制裁を続ける限り、対米テロは続く」などと世界中の米権益を対象とした報復に出ると警告した。

 一方、タリバン政権のスポークスマンはこの日、英BBCのパシュトゥー語放送に対し、ビンラディンが米国に対する聖戦を実行するのは自由との考えを示した。

 スポークスマンは「米国の(アフガン)攻撃が始まった以上、もはやビンラディン氏の制約はなくなった」と述べた。

 さらに「われわれもビンラディン氏も聖戦を臨んでいる。米国は攻撃による不快な結果に直面するだろう」と語った。(11日スポニチ)

北部同盟:アフガン前大統領「一般市民の犠牲なければ米支持」

 反タリバン勢力「北部同盟」の有力指導者のラバニ・アフガニスタン前大統領は11日、ドゥシャンベで記者会見し、米軍のアフガニスタンへの攻撃について「短期的で一般市民の犠牲を生まなければ」支持すると述べ、作戦の長期化に否定的な見解を明らかにした。

 北部同盟は軍事作戦を進める米国と連携しているが、戦闘が泥沼化する事態を避けるため米国にくぎを刺したものとみられる。地上戦についても「国民にとって極めて過酷なものになる」と厳しい見方を示した。

 またウサマ・ビンラディン氏の現在の潜伏先については情報を開示しないと述べた。タジキスタン訪問中のラバニ前大統領は、10日に同国のラフモノフ大統領と会談した。(タジキスタン・ドゥシャンベ共同)

[毎日新聞10月12日] ( 2001-10-12-18:36 )


アフガン攻撃:
容疑者引き渡せば軍事行動再考も 米大統領会見

 【ワシントン布施広】ブッシュ米大統領は11日、同時多発テロの発生1カ月を機に記者会見し、アフガニスタン攻撃でタリバン政権に大きな打撃を与えたと述べる一方、テロの容疑者、ウサマ・ビンラディン氏と「アルカイダ」の幹部らを速やかに引き渡せば、進行中の軍事行動を再考するとして、同政権に事実上の降伏を促した。また「タリバン後」のアフガンの新政権について、国連が枠組みを示すのが適当との見解を示した。

 会見で大統領は「イラクは大量破壊兵器を開発している」と述べ、フセイン・イラク政権との対決姿勢を見せたが、アフガンに続いてイラクにも軍事行動を構えるかどうかは明言しなかった。

 アフガン攻撃について大統領は「テロリストの訓練施設を破壊、通信機能を分断し、タリバンの軍事力を弱めた」と述べ、あらゆる手段を使って「テロリストたちを隠れ家の洞くつから引きずり出し、裁きにかける」と強い意思を表明。ビンラディン氏の生死は「分からない」と語った。

 また「ベトナム戦争から得た教訓」として、ゲリラ戦は通常兵力では戦えないと述べ、特殊部隊を投入した軍事作戦のほかに、資産凍結や多国間の協力、情報の共有など幅広い方法でテロと戦う方針を確認。「アルカイダを裁きにかけるまで戦いは続く」と長期戦を宣言した。

 一方で大統領は、タリバン政権に「2回目のチャンス」を与えるとして、「(ビンラディン氏とアルカイダの幹部らを)きょう引き渡すなら、我々は今行っていること(軍事行動)を再考する」と述べ、壊滅的な打撃を受けるか降伏かの選択を迫った。

 また軍事行動に対するアラブ・イスラム世界の反発を考慮し、中東和平問題では「パレスチナ国家の創設」が必要と明言した。ロシアとの弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約については、テロ事件後、同条約の改廃がますます必要になったとの認識を示した。

 ブッシュ大統領がホワイトハウスで11日夜に開いた記者会見の要旨は次の通り。

◆アルカイダ

一、(ウサマ・)ビンラディンの生死はわからない。彼は最悪の容疑者だが、22人のテロ容疑者の1人だ。大事なのはテロ全体を食い止める事だ。彼一人をどうするかではない。

一、数千人のFBI職員がアルカイダのネットワークを追求している。資金2400万ドルをすでに凍結し、資金源根絶は前進している。

◆軍事作戦

一、タリバン政権がビンラディンらを引き渡せば、攻撃を見直す。

一、軍事作戦は計画通り進んでいる。戦いは数カ月か1年、2年かかるかも知れない。

一、ベトナム戦争の失敗は通常兵力でゲリラ戦に向かったことだ。同じ過ちを犯すつもりはない。

◆新たなテロ

一、(数日内に新たなテロが米国内で起きるとのFBI情報について)一般的だが深刻な情報がある。どのビルが標的といった具体的情報はない。化学工場や生物関係施設に近づく不審な者を見たら通報してほしい。

◆アフガニスタン

一、軍事作戦後のアフガン新政権に関しては、国連が枠組みを示すだろう。アフガンの全勢力が参加する必要がある。

一、アフガンの飢えた子を救うため、米国の子は洗車や芝刈りでためた小遣い1ドルを我々の基金に、寄付してほしい。

◆イスラム諸国

一、イスラム社会の米国憎悪に驚いている。我々はこんなに善人なのに、人々は無理解だ。我々はイスラム教徒と戦っているのではないと、うまく説明しなければだめだ。

一、我々はテロリストをかくまう国も裁判にかける。シリアなど中東諸国は協力を表明してくれている。だが、テロリストを擁護する国は監視し続けなければならない。イラクの指導者(フセイン大統領)は悪人だ。非常に注意深く監視している。イラクは大量破壊兵器の国際査察を受け入れるべきだ。

一、パレスチナがイスラエルの存在を認める限り、私はパレスチナ国家樹立を支持する。

◆ミサイル構想

一、弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約は時代遅れのものだ。プーチン露大統領もその廃止に協力してくれるだろう。

[毎日新聞10月12日] ( 2001-10-12-13:57 )


 イラクにも米英軍空爆 挑発に対応

 【ワシントン共同】米CNNテレビによると、米英軍機は13日、イラク南部の飛行禁止空域で、イラクの指揮指令センターを空爆した。国防総省は「イラク側の挑発に対応した措置」とし、アフガニスタン攻撃とは無関係としている。

(毎日新聞2001年10月14日東京朝刊から)


 タリバン、徹底抗戦を強調

 【イスラマバード小松健一】タリバン政権のジャマル情報相は13日、ロイター通信に「米国の意図は、イスラム教徒とアフガン国民と戦うことだ」と述べ、ウサマ・ビンラディン氏を引き渡さないと明言した。情報相は「我々のジハード(聖戦)は続く」と語り、改めて徹底抗戦を強調した。

カディス地区奪還

 【イスラマバード小松健一】アフガン・イスラム通信によると、アフガニスタン北部のバドギス州で12日、タリバン政権軍が攻勢をかけ、反タリバン連合(北部同盟)が占拠していたカディス地区を奪還した。空爆開始以来、守勢にあったタリバン軍が攻勢に出たと伝えられたのは初めて。

(毎日新聞2001年10月14日東京朝刊から)


 カストロ議長が非難

 【ロサンゼルス共同】ハバナからの報道によると、米、英両国軍によるアフガニスタン空爆について、キューバのカストロ国家評議会議長は12日、国営ラジオを通じ「これは1国相手の戦争ではない。第三世界、イスラム教徒全体に対する戦争であり、21世紀における『十字軍』である」と述べ、米国を非難した。

(毎日新聞2001年10月14日東京朝刊から)


 「私が死んでも戦いは終わらない」−−アラブ系誌のインタビューでオマル師

 【カイロ小倉孝保】13日発行のアラブ系誌「アルマジャラ」はアフガニスタン・タリバン政権の指導者、オマル師とのインタビューを掲載した。インタビューの中で、同師は米同時多発テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏の身柄引き渡しを拒否することを強調し、「私は死ぬ覚悟はできているが、私が死んでも戦いは終わらない」と述べた。

 インタビューはアフガン南部のタリバン本拠地カンダハルで行われた。いつのインタビューかははっきりしないが、米軍のアフガン報復攻撃前に行われたとみられる。

 オマル師はビンラディン氏の身柄引き渡しについて、「同氏は旧ソ連とのジハード(聖戦)に参加し、そのために金も使った。私自身の道徳観からしても、イスラムの考え方からしても、同氏が(米)同時テロにかかわったとする明確な証拠なしに、身柄を引き渡すことはできない」と述べた。

 また、今回のテロについては「ビンラディン氏やイスラム諸国が行ったということはあり得ない。彼らにはそうした能力がないからだ。犯人は米国内にいるはずだ」とビンラディン氏グループの犯行とする米国の見方を否定した。さらに、同師は「アフガンを攻撃した者は、ここが彼らの墓場となるということを知るだろう」と警告した。

空爆で妻子死亡か

 【モスクワ共同】13日のタス通信はドバイ紙の報道として、これまでの米英軍のアフガニスタン空爆で、タリバン政権の最高指導者オマル師の妻や3人の子供など計7人の近親者が死亡したと伝えた。

(毎日新聞2001年10月14日東京朝刊から)


アフガン攻撃:
住宅街誤爆は入力ミス 米国防総省高官が明示

 【ワシントン吉田弘之】米軍がアフガニスタンの首都カブール近郊の住宅街を現地時間13日未明に誤爆した事件で、米国防総省高官は14日、爆弾の衛星誘導システムに目標位置を間違えて入力したことが原因だったと明らかにした。同省は13日、声明を発表して誤爆を正式に認め、遺憾の意を表明した。

 声明によると、誤爆が発生したのは現地時間13日午前3時半ごろ。米空母から出撃したFA18戦闘機が衛星誘導の「スマート爆弾」と呼ばれる約900キロの精密誘導弾をカブール空港の軍用ヘリを狙って投下したが、目標を約1・6キロ外れて住宅街を直撃した。現地からの報道によると、この誤爆で4人が死亡、8人が負傷している。

 声明は「米軍は軍事施設とテロリストだけを標的としており、民間人の死傷を避けるため大きな注意を払っている」と説明。「死傷者数を正確に把握する手段がない」と被害状況についてのコメントは避けた。

 8日にはカブールで国連の地雷除去に携わっていた非政府組織(NGO)の事務所が爆撃されアフガン人職員4人が死亡した。同省はコメントを避けているが、近くにタリバン軍の通信塔があったことから、これも誤爆とみられている。

[毎日新聞10月15日] ( 2001-10-15-12:51 )


炭そ菌:
保菌者12人に 米厚生省長官が「テロ行為だ」と非難

 【ワシントン斗ケ沢秀俊】米国で炭そ菌入りの郵便物が各地に送られた事件で、14日までに新たにフロリダ州で5人、ニューヨーク市で3人の保菌者が見つかり、保菌者はすでに判明している4人を含め計12人になった。米連邦捜査局(FBI)は同時多発テロ事件との関連の有無を含め、郵便物を送った犯人の捜査に全力を挙げている。米厚生省のトンプソン長官は14日、「(同時多発テロを起こした)テロ組織による犯行かどうかは不明だが、炭そ菌の郵送自体、テロ行為だ」と強く非難した。 

 ニューヨーク市のジュリアーニ市長は14日、米NBCテレビに炭そ菌入り郵便物が届いた事件の捜査に関わった警察官1人と、郵便物を検査した市保健局職員2人の保菌が確認されたと発表した。鼻孔や顔面から菌が見つかった。3人の健康状態は良好という。

 捜査の結果、炭そ菌入りの郵便物は先月18日、ニュージャージー州トレントンで投函されたものと判明。郵便物には茶色の粉末状物質が入っており、炭そ菌の存在が確認された。当初は同月25日に届いたフロリダ州セントピーターズバーグ消印の郵便物が感染源と推定されたが、中に入っていた白い粉末状物質から菌は見つからなかった。

 NBCでは、ほかにも発熱や発しんなどの炭そ菌感染の初期症状を示す職員がおり、菌の有無を調べている。

 また、フロリダ州でタブロイド新聞を発行するアメリカン・メディア社では、社員らの血液検査の結果、炭そ菌に対する抗体が5人から見つかった。菌が体内に入ったことを示している。5人は抗生物質などで治療を受けており、炭そ病の症状は出ていないという。

 一方、ネバダ州政府は、同州内のマイクロソフト関連会社で見つかった不審な郵便物の3回目の検査で、内部にあったポルノ写真から炭そ菌の存在を示す陽性反応が出たと発表した。郵便物はマレーシアの業者から同社に送られたものだった。写真の検査では1度陰性反応が出ており、同州政府は米疾病対策センターに最終的な検査を依頼した。

 トンプソン長官は14日のテレビ番組で、「治療体制は整っている。米国人は防護されるだろう」と強調、治療用の抗生物質1200万人分を確保していると明らかにした。また、アシュクロフト司法長官は同日、同時多発テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏との関連について、「直接、関連があるとは断定できないが、関連を考慮すべきだ」と語った。

[毎日新聞10月15日] ( 2001-10-15-12:51 )


タリバン政権:
「ともに米と戦おう」と呼びかけ 北部同盟に

 【イスラマバード小松健一】アフガニスタン・タリバン政権当局者は14日、最高指導者、オマル師の指示を受け、敵対する反タリバン連合(北部同盟)に対して「過去の問題を水に流して宗教と国土を守るために、ともに米国と戦おう」と呼びかける声明を発表した。アフガン・イスラム通信が伝えた。

 同当局者によると、オマル師はさらに、投降した北部同盟兵士が米国と戦う意志を持っていれば武装解除させないよう、タリバン軍に命じた。

 7日の空爆開始以来、北部同盟が攻勢に出ており、北部同盟に寝返るタリバン軍将兵も増えている。オマル師の指示は、タリバン政権の崩壊を防ぐために、北部同盟にも政権参加を呼びかけたものとみられる。

[毎日新聞10月15日] ( 2001-10-15-13:32 )


アフガン攻撃:
「航空機テロは続く」 アルカイダが声明発表

 【カイロ小倉孝保】米同時多発テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏のテロ組織「アルカイダ」のスポークスマン、スライマン・アブ・ゲイス氏は13日、声明を発表し「飛行機での米英への攻撃は、アフガニスタンに対する(米英軍の)攻撃が終わり、パレスチナ人へのイスラエルの攻撃が止み、アラビア半島から米軍が引き揚げるまで続く」と宣言した。

 また「米英両国のイスラム教徒は飛行機に乗ったり、高層ビルに入ることを控えるように」と警告した。

 声明はカタールの衛星テレビ「アルジャジーラ」を通じて発表した。

 米政府はアルカイダの声明の中にテロリストへの秘密のメッセージが隠されている可能性があるとして、米テレビ局に放送の是非を検討するよう異例の要求を行ったが、アルジャジーラは声明が届けば引き続き放送することを表明している。

[毎日新聞10月15日] ( 2001-10-15-13:48 )


米英軍の空爆を批判 駐イスラマバード代理



 【イスラマバード春日孝之】アフガニスタン・タリバン政権のシャヒーン駐イスラマバード代理大使(41)は14日、毎日新聞の電話インタビューに応じ、米英軍が連日実施する空爆について「一人の容疑者を捕らえるのに、無実の民間人をすでにに400人以上も殺害した。こんな行為がどうして正当化できるのか」と激しく批判した。

 また、「米国は来るべき第3次世界大戦を念頭に、世界で最も貧しいアフガン国民を標的に、最新兵器のテストをしているのではないか」とも述べた。

[毎日新聞10月15日]


首都攻撃作戦を協議 北部同盟



 【モスクワ石郷岡建】インタファクス通信によると、アフガニスタンの反タリバン連合(北部同盟)は13日、軍指揮官会議を開き、今年末の12月31日までに首都カブールを制圧する計画を決定した。首都攻略作戦は米軍の空爆作戦が終了した時点で、首都への進撃を開始するという。

 指揮官会議はタリバン政権の軍事力について、米英軍の空爆で弱体化しているが、なお戦力を維持しており、同勢力を倒すには地上作戦しかないと結論づけた。首都のタリバン軍は米英軍の空爆を避けるため、首都から北の前線地帯へと移動し、前線地帯のタリバン軍は逆に増強される結果になっているという。

 タス通信によると、ウズベキスタン、タジキスタンとの国境地帯に展開していたタリバン勢力は14日、北部バルフ州の州都マザリシャリフ方向へと退却を始めた。北部の要衝マザリシャリフでは反タリバンのドスタム将軍に率いられるウズベク系部隊との激しい戦闘が展開されている。

[毎日新聞10月15日]


「国際社会の支援ない」 ラバニ前大統領会見



 【ファイザバード(アフガニスタン北東部)大木俊治】アフガニスタンの反タリバン連合(北部同盟)を構成する「イスラム協会」のラバニ前大統領は14日、ファイザバードで毎日新聞などと会見した。前大統領は「米国や国際社会からはいまだ何の支援も受けていない」と述べ、タリバンへの攻撃協力について不満を表明した。また、タリバンに代わる連立政権樹立の必要性を強調し、「(内戦に陥った)過去の過ちは2度と繰り返さない」と述べた。

 前大統領は、米英などのアフガン空爆について「我々との共同作戦ではなく国際社会が独自に組織した作戦」と指摘し、評価を避けた。また現在も何の支援も受けていないとした上、「唯一の解決法は我々の作戦を支援することだ」と北部同盟に対する国際社会の協力を強く求めた。

 また、今後の戦略について、タリバンの追放と同時に「アフガン全民族による連立政権樹立」の必要性を強調。しかし、将来の政権構想などに関する米国などとの交渉は、「まだ行われていない」と語った。

 イタリアに亡命中のザヒル・シャー元国王(86)を「アフガニスタンに招き、彼にふさわしい役割を担ってもらう」と述べたが、「特定の人物がすべての問題を解決できるとは思わない」と過度の期待を戒めた。

 さらに、前大統領はパキスタンが北部同盟のカブール入りに反対していることについて「アフガンの内政に干渉すべきではないし、米国など他国もこうしたパキスタンの姿勢を許すべきではない」と非難した。

 カブール攻撃については、時期の見通しへの言及を避けたが、「カブールを陥落したらまず治安部隊を配備する」と述べ、軍閥が首都の治安を悪化させた過去の過ちを繰り返さない方針を強調した。

 ブルハヌディン・ラバニ氏 タジク人中心の主要政党「イスラム協会」の最高指導者。旧ソ連軍の撤退で社会主義政権が崩壊後、旧反政府勢力が実権を掌握したのに伴い、93年1月、大統領に就任した。しかし、タリバンが台頭したため96年、首都から避難、実権を奪われた。国連などは現在でもラバニ政権を正式に承認しているが、有名無実化している。

[毎日新聞10月15日]


ビンラディン氏の息子が「父は関与していない」と訴え

 英紙「デーリー・テレグラフ」のインターネット版が15日付で報じたところによると、ウサマ・ビンラディン氏の息子の1人がインタビューに応じ、同氏は米国の同時多発テロに関わっていない、と訴えた。また、ビンラディン氏は自分の家族に対し、しばしば沈黙によって不満を示していたと語り、現在の同氏の沈黙に家族はおびえていると打ち明けた。

 息子の1人、アブドラ・ビンラディンさん(18)は、ビンラディン氏を「やさしいが、宗教的なことには厳格だ」と評し、「(父は)絶対に怒鳴ったりしない。怒ったときは無口になる。(父の)沈黙は子供たちにとって拷問のようだ」と語った。ビンラディン氏の子供は13〜42人いるとされ、アブドラさんは同氏の5番目の妻(45)の息子とされる。

 アブドラさんによると、アフガニスタン空爆が始まった直後に、ビンラディン氏からアフガンから脱出するように命じられ、現在はイスラマバード郊外に家族とともに暮らしているという。ビンラディン氏と最後に会ったのは先月9日だといい、同氏の同時多発テロへの関与を否定した。

 アブドラさんは、「米国に対する攻撃について何の話も出なかった。父は(同時テロ)に関与していないと断言できる」と述べた。

 ビンラディン氏は昨今の技術発達に背を向け、電子機器なども使わないとされるが、子供たちに対しては教育熱心だという。「カブールでは、僕らにアラブ諸国出身の家庭教師がついて数学や電子工学、コンピューター、エンジニアリングなどを教わっていた」という。そして、「父はコンピューターの使い方を知らないと思う。父は伝統的な人間なんだ。僕たちは父にテレビや音楽を禁じられているけれど、ここパキスタンではインターネットを使える」と語った。

 「父は側近と話すため、たまに携帯電話を使わなければならなかったけれども、特殊な暗号を使ってほんの数秒しゃべるだけ」で、携帯電話はその後すぐ捨てられたという。

 また、ビンラディン氏はタリバンに米国の情報部員がすでに潜入していることを恐れ、「どこへ行ってもいつも自分の後ろを見ていた」という。

 同時テロの発生後は、ビンラディン氏はカブールの地下にある家から馬に乗って逃げたという。「米英は絶対に父の居場所を突き止めることはできない」とアブドラさんは言う。「父は世界で最も安全な場所にいる。どれだけ多くの飛行機が祖国を爆撃しようとも、アフガンの土は決して父を見放したりはしない。彼はアフガンの風景の中に消え、見えなくなったんだ」(了)


<カシミール>インド、パキスタン両軍が衝突 ロイター



 【イスラマバード小松健一】ロイター通信などによると、インド軍は15日、インド支配地域のジャム・カシミール州で、パキスタンとの停戦ラインを挟んで砲撃し、少なくともパキスタン軍陣地11カ所に攻撃を加えたと語った。パキスタン軍スポークスマンは毎日新聞に「パキスタン軍陣地は破壊されていない」と否定し、民間人女性1人が死亡、25人が負傷したことを明らかにした。米国のブッシュ大統領は、アフガニスタン攻撃作戦に作戦に悪影響を与えるとして両国に自制を求めた。

 パキスタン軍スポークスマンによると、パキスタンの国境警備隊がインド軍に応戦した。インド軍は砲撃の理由として、パキスタン側から武装勢力が越境したためとしている。

 米国はアフガニスタンでの戦争が続く間は、印パ両国が激しく対立するカシミール紛争を阻止したい考えで、パウエル国防長官が15日にパキスタン入りした。16日にはインドも訪問する。

[毎日新聞10月16日]


<最高評議会>ローマ開催を提案 伊仏外相がアフガン元国王に



 【ローマ井上卓弥】イタリアのルジェロ外相とフランスのベドリヌ外相は15日、ローマ郊外で亡命生活を送るアフガニスタンのザヒル・シャー元国王(87)と会談、タリバン後の新政権樹立のため、アフガン国内の各勢力が参加した「最高評議会」の初回会合をローマで開くよう提案した。

 ANSA通信によると、元国王は両外相に対し「アフガン和平での国連の役割を期待しているが、外部から押し付けられた和平は国民の支持を得られない」と述べ、内戦終結と国家統一にはアフガン各民族・部族間の合意が欠かせないとの考えを強調した。

[毎日新聞10月16日]


米高官の「シリアも攻撃対象に」発言 反発強める中東諸国

 【カイロ小倉孝保】同時多発テロを受け、対テロ戦争を宣言した米政府高官が「シリアも攻撃対象になりうる」との発言などを受け、シリアやレバノン、イランなど中東のイスラム諸国が反発を強めている。背景には米政府がテロ対策を口実に対イスラエル抵抗闘争の壊滅を狙っているという不信感があり、同時テロ直後の対米和解ムードが姿を消しつつある。

 アーミテージ米国務副長官は11日、報道陣に「反テロに向けた攻撃では、米国やその同盟国の利益に脅威を与えるあらゆる(テロ)組織が攻撃対象になる」としたうえで、「シリアのような国が対テロ活動に協力しない場合は攻撃対象になる」と述べた。

 これに対し、シリア政府は12日、駐ダマスカス米大使を外務省に呼び、アーミテージ発言に強く抗議。その上で「アラブ・イスラム諸国は、外国の占領に対して戦う権利とテロを区別することを求める。占領と戦う権利は国連憲章や国際法に合致したものだ」と説明した。米政府が、レバノンで活動するイスラム教シーア派民兵組織「ヒズボラ」やパレスチナ組織などを支援するシリアを「テロ支援国家」に指定し続けていることに不快感を示したものといえる。

 また、アラブ紙などによると、米国は英国を通じ、イランにいるとされるヒズボラ・メンバーの情報提供と身柄引き渡しをイラン政府に水面下で要求。これに対し、イランは、イスラエルへの抵抗を「テロ」と規定することで米・イスラエルは抵抗闘争の根絶を狙っていると非難している。

 ヒズボラはレバノンでは国会に議席を持つ公党。だが、米政府が10日、「最重要指名手配犯」として発表したテロリスト22人の中に、ヒズボラ・メンバーが3人含まれていたことで「テロと対イスラエル抵抗闘争を混同すべきでない」と批判を強めた。

 同時テロ直後、シリア、レバノン、イランはそろって米犠牲者への哀悼の意を表明するなど一時は米国との関係改善の気配がみえた。だが、米軍のアフガニスタン攻撃については3カ国はそろって米国を非難するなどテロ発生前に逆戻りした。

(毎日新聞2001年10月18日東京朝刊から)


テロとの戦いは2年以上続くかも」 会見で米大統領

 【北米総局】米ホワイトハウスは17日、ブッシュ大統領が16日に行った日中韓の3報道機関との会見録を公表した。同時多発テロ発生後初の外遊となる中国・上海訪問を前に行った会見で、大統領は「テロリズムとの戦いは2年以上続くかもしれない」との見通しを明らかにした。

 大統領はテロとの戦いは多様な分野にわたると指摘し、「既存の政府を脅かす者がいる限り、戦いが必要だ」と述べた。

 大統領は、小泉純一郎首相をはじめ日本政府がアフガニスタンでの米国の軍事行動の後方支援として自衛隊派遣を検討していることを評価するとともに、「テロリストの資金ネットワークを破壊する重要性」も認識すべきだと指摘した。

(毎日新聞2001年10月18日東京朝刊から)


ブレア流弁舌快調 アフガン攻撃鼓舞 「中身ない」との声も

 国際テロ組織の撲滅と米英軍のアフガニスタン攻撃を鼓舞するブレア英首相の言動が目立つ。派手なアピールは首相の真骨頂。テロとの戦いを人道主義で正当化する活発な外交やメディア向けの切れ味いい弁舌は、情報戦争時代にふさわしい指導者像を意識しているかのようだ。首相は軍事力で米国に遠く及ばない英国の権威回復を言葉の力に託しているが、「新しい戦争」を解決する実行力の方も問われている。【ロンドン岸本卓也】

●巧妙なレトリック

 首相は「レトリック(修辞)の政治家」と評されている。労働党党首に就任した際には「ニューブリテン(新しい英国)」「ニューレーバー(新しい労働党)」という新語を連発して国民の関心を引いた。首相就任後は「挑戦の時」「達成の時」と国民に新しい希望を与えようとする。
 テロ事件後も首相は弁舌を振るった。軍事行動の必要性を説いた2日の労働党大会での演説は英国民の愛国心と人道的義務感を高揚させた。「すべての文明世界は米国を抱擁しながら、連帯を示すだろう」という首相の言葉に米国民も感動し、駐米英国大使館に感謝の電話やメールが殺到した。

●メディアを重視

 メディアの力を首相は恐れるほどに重視する。新聞編集経験者の側近を置き、世論動向に敏感に対応する。アフガンへの軍事行動を国民の7割以上が賛成しているという世論調査の結果がなければ、首相の勇ましい演説もなかったとみていい。
 首相はテロとの戦いを情報戦争とみている。米同時多発テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏の宣伝用ビデオを流すカタールの衛星テレビ放送局アルジャジーラの会見にも応じ、「イスラムと戦うわけではない」と訴えた。英国公営放送BBCのアフガニスタン・パシュトゥン語放送で首相は「アフガニスタンの人々を見捨てない」と呼びかけた。

●素早い外交

 米国のテロ事件後、首相は目まぐるしいシャトル外交を3回もこなした。ドイツやフランスなど欧州首脳と会談して結束を固め、ロシアやパキスタンなどに足を運び、中東諸国を回った。イスラム過激派のテロ活動を刺激するパレスチナ紛争の解決が叫ばれると、アラファト・パレスチナ自治政府議長をロンドンに呼んだ。来月、シャロン・イスラエル首相とも会談する。

●演技過剰?

 しかし、ブレア流の「目立つ戦い」を好意的に見ない人々もいる。欧州連合(EU)議長国ベルギーのミシェル外相は首相を「演技過剰」とこきおろした。同外相は「首相は大衆世論を気にしすぎる。他の欧州諸国では大衆世論と政治言論は区別される」と指摘した。

 英タイムズ紙は皮肉を込めてこう論評した。
 「首相の空虚なレトリックは聞き慣れた。首相の演説で舞い上がった人々の興奮が冷めるまで待とう。そのとき何が大切かがわかる」

(毎日新聞2001年10月18日東京朝刊から)


米の景気後退明言 今年後半 テロの影響を強調−−リンゼー氏

 【ワシントン逸見義行】リンゼー米大統領補佐官(経済政策担当)は17日、ワシントン市内での講演とその後の質疑で、米経済の先行きについて「私の予測では、今年第3四半期(7〜9月)から2四半期連続でマイナス成長になる」と述べ、91年春以来、10年半ぶりに景気後退入りするとの見通しを明らかにした。米政府高官が、景気後退入りを明言したのは初めてで、同時多発テロが米経済に深刻な打撃を与えていることを示す発言となった。「景気後退」は、2四半期以上連続でマイナス成長になることと定義されており、同補佐官は「テロが起こらなければ、大幅な利下げや大型減税の実施で、景気後退は避けることができた」と、テロの影響の大きさを強調した。

(毎日新聞2001年10月18日東京夕刊から)


テロ対策が最優先課題 米大統領が訪中

 【サクラメント(米カリフォルニア州)布施広】ブッシュ米大統領は17日、上海で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)出席のため米国を出発、18日に中国を初訪問する。米国の最優先課題はテロ対策だが、4月の米中両軍機接触事故後の関係改善やロシアとの弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約改廃問題も焦点になる。

 ホワイトハウスによると、ブッシュ大統領は19日、ホスト役の江沢民国家主席、金大中・韓国大統領と会談し、20日には小泉純一郎首相ら5カ国の首脳と、21日にはプーチン・ロシア大統領との個別会談をそれぞれ予定している。

(毎日新聞2001年10月18日東京夕刊から)


北部同盟の攻勢を示唆 「空爆、タリバンに打撃」−−米大統領

 【トラビス空軍基地(米カリフォルニア州)布施広】ブッシュ米大統領は17日、カリフォルニア州のトラビス空軍基地で演説し、アフガニスタン攻撃に関して「我々は友好的な地上部隊が前進する道を開きつつある」と述べた。反タリバン連合(北部同盟)の順調な進撃を示唆するもので、大統領は同時多発テロの容疑者らを「裁きの場に引き出す網は確実に絞られている」と語った。

 ブッシュ大統領は、7日からのアフガン攻撃で、タリバン政権の航空戦力、対空防衛網などに大きな打撃を与えたと述べ、「テロとの戦争」に勝利するために「あらゆる資源、兵器、手段」を使う方針を表明した。また「テロリストをかくまう者はテロリスト」とする「ブッシュ・ドクトリン」を再確認。「米国は地球上のどこでテロを見つけても、それを打ち破る」と述べ、アフガン軍事作戦後もテロとの戦いを続ける決意を表明した。

(毎日新聞2001年10月18日東京夕刊から)


「交戦区域」作戦を開始 空母に特殊部隊配備か

 【ワシントン中井良則】米統合参謀本部のスタフルビーム作戦副部長は17日、アフガニスタン攻撃でタリバン軍の戦車や軍用車など「動く標的」を重点爆撃する作戦に移ったことを明らかにした。反タリバン連合(北部同盟)の進撃や特殊部隊派遣を支援する動きとみられる。米軍は、約100機を出動させた16日に続き17日夜から18日未明にかけても同様の大規模な爆撃を行い、首都カブールや南部カンダハルなどの軍事拠点を攻撃した。

 米軍は、タリバンの地対空ミサイルなど固定式防空施設をすべて爆撃し、米軍機への対空砲火が報告されなくなったため、16日から一定区域を米軍機が自由に飛び地上を攻撃する「交戦区域」作戦を初めて導入した。米機は標的を指定され、タリバン軍の車両など移動する標的を指揮官の許可を得て攻撃しているという。

 AP通信は国防総省高官の話として、インド洋に展開する空母キティホークにヘリコプターで移動する特殊部隊が配置についた、と伝えた。先週末までにキティホークに到着し、戦闘準備を整えている。キティホークは日本から参加した4隻目の空母。艦載機を通常より減らしており、特殊作戦の発着艦として使われる可能性がある。

(毎日新聞2001年10月18日東京夕刊から)


 米国防総省がアフガン撮影の衛星写真を買い上げ 惨状隠す目的?

 英紙「ガーディアン」のインターネット版が17日付で報じたところによると、米国防総省は、アフガニスタン空爆による地上の惨状を西側メディアの目から遠ざけるため、商用衛星が撮影したアフガニスタンの写真を数百万ドルを投じて買い上げたという。

 この衛星は99年に打ち上げられた商用撮影衛星イコノスで、地上にある約80センチの物体を見分けられるほど高解像度の写真撮影が可能。同衛星の解像度であれば、米国によるアフガン空爆後に地面に横たわる死体も目で見ることができる。

 米政府は、空爆によりアフガン東部のジャララバード近郊で一般市民に多数の犠牲者が出たことが報道された後の11日になって、衛星撮影写真の入手を規制することを決定。ペンタゴンはイコノスが撮影したすべてのアフガニスタンの衛星写真の独占権利を、同衛星を運用するスペースイメージング社から買い上げた。

 この独占権利購入の契約は、空爆開始時にさかのぼって結ばれたという。

 米政府はベトナム戦争当時、戦場の惨状が報道され反戦運動に拍車をかけた教訓から、湾岸戦争(91年)中には「代表取材」などの形でメディア規制を行った経緯がある。(了)


地上戦、米軍に勝機ない・パキスタン軍元情報局長
 【イスラマバード18日=野沢康二】アフガニスタン情勢に詳しいパキスタン軍統合情報局(ISI)のグル元局長はイスラマバード郊外で18日、日本経済新聞記者と会見し、タリバン政権との地上戦で「米軍に勝機はない」と断言した。米軍のアフガン攻撃は第2段階の地上軍投入が近いとされるが、グル氏はタリバンには豊富な兵力と武器があり、士気も高いと強調。地上戦の強行は「米軍にとって深刻なミスになる」と警告した。

 グル氏はアフガンの軍事情勢など情報収集にあたるISIのトップをつとめた人物。同氏によると、タリバンの兵力は現状の10万人に、反米に同調する一般市民が志願兵として合流するため、数十万人に拡大するという。さらに旧ソ連軍がアフガン撤退で放置した車両や火器が「10年分はある」と指摘。米軍は第1段階の空中戦で圧倒的な優位を主張しているが、同氏は地上戦になれば「タリバン有利」とみている。


 10/18)カンダハルなどに空爆続く

  【ペシャワル(パキスタン北部)18日共同】アフガン・イスラム通信が伝えたところによると、アフガニスタン南部のタリバン勢力の本拠地カンダハルと、東部の拠点ジャララバードで18日朝、米軍による数回の空爆があった。17日夜から18日未明にかけては首都カブールなどで空爆があった。


アルカイダ:
ビンラディン氏の側近、爆発事故で死亡

 【イスラマバード小松健一】米同時多発テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏の側近で、テロ組織「アルカイダ」幹部、アブバシール・アルマスリ氏が13日に手りゅう弾の爆発事故で死亡したことが明らかになった。アフガン・イスラム通信が19日、報じた。同氏はエジプトの過激派組織「イスラム集団」のメンバー。同集団は、97年にエジプト南部のルクソールで日本人ら観光客62人を殺害した事件を起こしている。

 アルマスリ氏の死亡については、ロンドンに本部があるイスラム原理主義の広報組織「イスラミック・オブザベーション・センター」が18日、空爆によって死亡したと伝えた。アフガン・イスラム通信は、これを否定し、11日に同氏が持っていた手りゅう弾が誤って爆発し、13日にジャララバードの病院で死亡した、と伝えた。

 米政府当局は同時多発テロを計画立案した人物として、ムハマド・アティフ(別名・アブハフス・アルマスリ)容疑者を特定したが、イスラミック・オブザベーション・センターはAFP通信に対して、死亡したアルマスリ氏とは別人だと語った。

[毎日新聞10月19日] ( 2001-10-19-19:40 )


アルカイダのメンバー複数死亡 米当局、初の確認

 【ワシントン吉田弘之】米国防総省高官は18日、アフガニスタン空爆でテロ組織「アルカイダ」の複数のメンバーが死亡したことを明らかにした。空爆開始後、米国防当局者がアルカイダメンバーの死亡を確認したのは初めて。

 ロイター通信によると、高官は「アルカイダの軍事組織とみられる集団の動きがあり、標的となった。何人かのメンバーが死亡している」と述べた。しかし、死亡したのが同時多発テロ事件の重要容疑者、ウサマ・ビンラディン氏の側近なのかどうかは不明だ。

 マイヤーズ米統合参謀本部議長によると、米軍は17日の空爆でAC130に加え、地上施設などを攻撃できるF15E戦闘機を投入した。

 一方、ラムズフェルド国防長官は、米特殊部隊がすでにアフガン国内で展開しているとの情報の確認を避けながら「陸海空軍力だけでは(テロ組織に)対抗できない」と述べ、特殊部隊の有効性を強調した。米軍はすでに上空からタリバン軍に投降を呼びかける放送を開始。その中に「投降する際は、両手を上げて、米兵に近づきなさい」という内容があり、米メディアは、すでに特殊部隊が展開されている可能性を指摘している。

[毎日新聞10月19日]


米中首脳会談:
戦略的対話メカニズム確立で合意 新たな関係に

 【上海・布施広】アジア太平洋経済協力会議(APEC)出席のため上海を訪れたブッシュ米大統領は19日、同市内の西郊賓館で江沢民・中国国家主席と会談した。両首脳はテロ対策で共同歩調を取ることで一致、米中両国はハイレベルの戦略的対話メカニズムを確立することで合意した。ブッシュ政権発足後、初めての米中首脳の直接会談は4月の米中両軍機接触事故以来のぎくしゃくした関係を完全に修復、新たな米中関係構築へと踏み出す機会になった。

 会談で、大統領は「米政府は中国との関係を重視している。中国は米国の敵ではなく、友人だ」と強調。これに対し、江主席は「双方がハイレベルの戦略的対話メカニズムを確立し、われわれ2人が直接、また代表を派遣して共に関心を持つ重大問題について意見交換しよう」と呼びかけ、建設的な協力関係の発展に期待感を示した。

 会談ではこのほか、大統領がアフガニスタン攻撃について説明。「目的達成のためあらゆる手段を取る」と語ったのに対し、江主席は「米国の反テロ攻撃を支持する」と明確な表現で賛成する姿勢を表明。一方で、民間人に被害が及ばないように重ねて要請した。

 江主席は、また米中間で中長期的な「反テロ協力メカニズム」を構築するため高官協議を近く開始することを提案。中国外務省の朱邦造・報道局長によると、大統領もこれに賛同したという。

 さらに、大統領は「一つの中国」政策を実行し、米中間の三つの共同コミュニケを順守することを改めて明言した。中国の世界貿易機関(WTO)加盟に歓迎の意向も表明した。

 会談では米国のミサイル防衛構想や、気功集団「法輪功」への弾圧など中国の人権状況も協議した。

 米国内で「非常事態」が続く中、大統領は当初予定していた日韓両国訪韓と北京訪問を延期。中国やロシアとの「共闘体制」実現をめざしてAPEC出席を決断した。

 ブッシュ米大統領と江沢民・中国国家主席との首脳会談の要旨は次のとおり。

●米中関係全般

 大統領 訪問をずっと期待してきた。米国は中国との関係を一貫して重視してきた。中国は偉大な国であり、米国の敵ではない。友人だ。米国は建設的な協力関係の発展に努めている。

 主席 中国は対米関係を極めて重視する。中国は中米間の相互ハイレベル戦略対話メカニズムの構築を提案する。これによって、指導者が直接会うか、代表を派遣して対話を進めよう。

 大統領 同意する。

●米同時多発テロ

 大統領 中国が9月11日の事件後、直ちに反テロの立場を明確に表明し、協力的態度を取ってくれたことに感謝する。

 主席 中国は一貫して、いかなる形のテロにも反対してきた。米国の反テロの立場とテロに対する攻撃を支持するが、民間人の殺傷を避けるよう要請する。中米間の反テロの中長期メカニズム創設を提案する。

●台湾問題

 主席 中米関係において、カギとなる問題だ。米国は「一つの中国」の原則と米中間の三つの共同コミュニケを尊重すべきだ。

 大統領 米国はこれまでも「一つの中国」と三つの共同コミュニケを順守してきた。

●貿易・経済など

 主席 上海は「改革・開放」開始後の中国経済発展の縮図。中国は米国とのの経済・貿易関係を重視している。最近、米国のボーイング機30機を購入した。両国の経済・貿易関係の将来が非常に明るいことを意味する。

 大統領 中国の世界貿易機関(WTO)加盟を支持する。08年五輪の北京誘致成功を祝福する。

[毎日新聞10月19日] ( 2001-10-19-20:42 )


「テロの脅威が存在する」との認識で一致 米中首脳初の直接会談


 【上海・布施広】アジア太平洋経済協力会議(APEC)出席のため中国・上海を訪れたブッシュ米大統領は19日午前10時(日本時間同11時)過ぎから、市内の西郊賓館で江沢民・中国国家主席と会談した。会談後の共同会見によると、米中両国はテロの脅威が存在するという共通認識で一致した。ブッシュ政権発足後、初めての米中首脳の直接会談は4月の米中両軍機接触事故以来のしこりをほぐし、新たな米中関係構築へと踏み出す機会になる。

 新華社電などによると、会談後の記者会見で江主席は「中国は対米関係を重視しており、建設的関係を発展させるため、喜んで努力したい。また台湾問題など米中間の懸案を適切に処理すれば、関係を発展させられる」と述べたほか、「中国は米国と協力する用意がある」とし、2国間関係やテロ問題で深い意見交換を行ったことを明らかにした。大統領は「テロとの戦いで中国が協力してくれると確信している」と語った。

 大統領は非公式首脳会議(20、21日)に合わせて計8カ国の首脳と個別会談を行う予定で積極的な「反テロ外交」の皮切りと言える。

 両国は9月21日の外相会談で、テロ関連情報を交換することで合意、同月25日には初の米中テロ対策専門家会合も開かれた。

 中国はアフガニスタンと国境を接する新疆ウイグル自治区でイスラム原理主義の高まりという問題を抱えており、タリバン政権の崩壊を容認している模様だ。首脳会談で中国側は攻撃続行を基本的に支持し、民間人の犠牲を出さないよう要請したとみられる。

 一方、中国は昨年11月に核弾頭搭載可能なミサイルの輸出停止を約束したが、米政府はその後パキスタンにミサイル部品を輸出したとして、輸出に関与した中国企業に制裁を発動した。米側は今月開かれた高官協議で輸出停止の確約を求めたが、中国側から前向きな回答が得られず、国務省は「失望」を表明した。

 また米側は気功集団「法輪功」への弾圧など中国の人権状況にも強い懸念を表明している。トップ会談で大きな進展が見られたかどうかが注目される。

 米国内で「非常事態」が続く中、大統領は当初予定していた日韓両国訪問と北京訪問を延期。中国やロシアとの「共闘体制」実現をめざしてAPEC出席を決断した。

[毎日新聞10月19日]