
更新日/2024(平成31.5.1栄和改元/栄和6).1.28日
(れんだいこのショートメッセージ) |
ここで、日本マルクス主義運動を俯瞰しておく。
2003.10.7日、2004.3.6日再編集 れんだいこ拝 |





(私論.私見)
右翼や保守系のマルクス毛嫌い的な批判派は、猪木正道の『共産主義の系譜』の、猪木がいうところの「原始マルクス主義」、つまり猪木が捉えたマルクス自身の思想の箇所だけでも読めば良い。かつての俗流理解では、マルクス主義は、ドイツ哲学、フランス社会主義、イギリス経済学の三要素から作られたといわれたが、猪木は、そうではなく、「ヘーゲル法哲学批判」や「ユダヤ人問題」「神聖家族」「経済学哲学草稿」など、初期マルクスの思想に注目している。そして猪木は、マルクスのドイツに対する批判は、彼の熱烈な祖国愛の結果であり、「彼の祖国愛は、世界史の舞台に立ち遅れた後進ドイツを、断乎たる革命に訴えて、先進国の水準迄引き上げよう、否先進国を凌駕して世界史の指導者乃至主体に引き上げたいという革命的な祖国愛であり、主体的な祖国愛であった」という。まるでマルクスは、さながら北一輝の先駆のようだが、それはともかく、右翼や保守の反共主義的なマルクス批判ではマルクスの批判にはならず、逆に思想的に粉砕されるだろう。
マルクスは、宗教を否定したのではなく、また資本主義を否定したのでもない。それらが持つ問題を解析し、それらの中から問題を解決する内実を探求したのだ。これは、日本の場合だと天皇制についてもいえる。天皇制を否定する日本の講座派や労農派のマルクス主義は、あえていえば、マルクスの思想とは似て非なる、全く別の思想といっていい。天皇制に対するマルクスの思想は、天皇制の否定ではなく、宗教や資本主義に対するのと同じように天皇制の止揚になるだろう。