別章【野坂参三考】

 更新日/2021(平成31.5.1栄和改元/栄和3).4.24日

 (れんだいこのショートメッセージ1)
 1992(平成4)年、100歳の時、野坂は除名され、今日、野坂参三の名声は地に堕ちている。しかし、未だ真相が誤解されている。宮顕―不破系党中央はそのようにミスリードし続けている。れんだいこがここで正確に注釈しておく。

 野坂は、スターリン大粛清時代、それに迎合するかのように山本懸蔵その他同志を売ったがことが露見され、ソ連共産党のエージェントであったとして断罪除名されたが、それは一部の事実であり、真相は、戦前の特高当局奥の院との内通性の面から弾劾されねばならない。且つ、野坂には「国際」性があり、中共の投降主義者とも米帝の諜報機関とも融通無碍なる関係があった、そのことが判明する故にこれを知る者より唾棄されている。何とならば野坂の全活動の軌跡がこれを証明している。「野坂スパイ問題」はこのレベルで為されねばならない。この観点に立てば、「野坂はかってスターリン粛清時代に同志を売った咎で名誉議長職が剥奪された。現在では解決済みである」として一件落着させることは、何も考察していないに等しい。これが正確な理解の仕方となるべきだろう。


 2002.10.26日、2009.5.19日再編集 れんだいこ拝

 (れんだいこのショートメッセージ2)
 最近古本屋で「暗黒の代々木王国」(辻泰介・㈱仮面社)を手に入れた。1970.3.10日の初版発行である。野坂参三論、袴田里見論、宮本顕治論の三部作から構成されており、野坂参三論を読む限り的確無比であることに驚かされている。既にこの時点で、野坂の胡散臭さの要所が指摘されている。全文掲載したいところであるが、骨が折れるのでエッセンスを抜書きしたい。

 久保田政男氏著「フリーメーソン」(徳間書店、1984.5.31日初版、P132)には次のように書かれている。
 「野坂参三は延安から米軍機で凱旋した。この野坂参三はフリーメーソンの線で動かされていた人物であり、アメリカへ渡ってはルーズベルトの朋友ゴンパース辺りの傘下にあり、延安に飛んでは中共軍とともに抗日戦を指揮していた。この野坂参三が、日本共産党とアメリカ占領軍フリーメーソン派とのパイプ役を果たすことはいともたやすいことではないか」。

 これを思えば、早くよりこのように指摘されていたにも関わらず、ソ連邦崩壊後に学者によって発掘された資料によって証明されるまで党内最高指導者としてもてなされて来た経過が暗愚過ぎよう。れんだいこ観点からすれば、宮顕然り、野坂然りで、この党はフリーメーソン系スパイ集団によって完全に占拠されているということが判明する。にも関わらず、未だこの党に依拠し、現代サヨ・ソフィスト論を撒き散らす党員各位の頑迷さにあきれるばかりであるということになる。

 早く、新党を結成せねばならない。あるいは党中央の奪権に向かわねばならない。その際には、現下党中央を徹底検証しておくことが二度とこうした事態に見舞われない保証になると思われる。ここまでの経過はあまりにもお粗末が過ぎるであろう。


 補足すれば、野坂参三の著書「風雪のあゆみ」全8巻(新日本出版社)は赤旗連載記事の単行本であり、このことでも分かるように野坂は「愛される共産党の顔」として長らく名誉議長席に祀られていた。しかし、伊藤律は、戦後の党活動を共にする過程で野坂を「笑面鬼心」と評し、早くより胡散臭さを見抜いていた形跡がある。その伊藤律の方がスパイの汚名を着せられ続けているとは!

 しかし、これだけの論及が為されているにも関わらず「野坂に関してはスパイとも密告者とも思っておりません」論もある。漬ける薬がないとはこのことか。日本左派運動において本家的存在である日共党中央に野坂と宮顕を君臨させてきたことの非を早急に確認せねばならないときに、検証抜きに「そうは思わない」論が如何に有害であることか。そういう手合いが如何に饒舌を凝らそうとも、反面教師以外には何の意味もなかろう。

 2002.10.13日 れんだいこ拝


 目次
れんだいこの野坂論
生涯履歴
1928年検事調書(予審訊問調書)」考
同志売り事件考
ゾルゲ事件との関わり考
野坂の天皇制を廻る毛沢東、蒋介石書簡考
野坂理論、論文考
除名考
不破の野坂論考
著書「風雪の歩み」の詐術考

インターネットサイト
関連著作研究本




(私論.私見)