別章【先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)考】

 更新日/2020(平成31→5.1栄和改元/栄和2).1.6日

 (れんだいこのショートメッセージ)
 「先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)」は、10巻から成る史書で、神代から推古天皇に至る事績を記載している。記紀からの引用が多いが、巻五「天孫本紀」、巻一〇「国造本紀」は他書に見られない所伝を載せ、貴重な資料となっている。旧事紀。旧事本紀とも云われる。「先代舊事本紀大成經 せんだいくじほんぎたいせいきょう」、「先代旧事本紀現代口語訳」、「現代語訳 『先代旧事本紀』」その他が本格的にサイトアップしている。

 蘇我馬子らの序文があり、推古朝に編纂されたことになっている。但し、内容にそれ以降の記述があることから「偽書」とされている。成立は、平安朝初期の弘仁十年〜延喜六年の間と考えられている。昔の知識人が読むべき歴史書の一つに上げられていたが、上記の理由から読まれなくなってしまった。一度は、読んで見ても良いものではないかと思われる。

 2010.8.7日付け毎日新聞余録は「人の情熱は実にさまざまだからこそ…」と題して次のように述べている。興味深い記述なので関連する下りを転載しておく。
 「人の情熱は実にさまざまだからこそ世の中は面白い。しかし、時にちょっと困った方向にとんでもない情熱が注がれることがある。『旧事大成経』という江戸時代に禁書になった偽書をめぐる騒動も、そんな『困った情熱』の産物だった▲この書物、実に74巻にわたり壮大な古代神話を記しているが、まったくの偽作だ。志摩の伊雑宮(いざわのみや)が天照大神の本宮だと主張するために作られ、偽作にかかわった僧と浪人は流罪に処せられた。驚くのはその迫真の出来栄えで、学者や神道家たちもすっかりだまされた▲『作者、豪才強魄(ごうさいきょうはく)畏(おそ)るべし。真正の歴史を修めば、その功赫然(かくぜん)たらんに。惜哉(おしいかな)』とはある儒者の言だ。その才能で本物の歴史を研究していれば、すごい業績をあげたろうと惜しんでいる(今田洋三著「江戸の禁書」)」。

 余録執筆者は、旧事大成経偽書説の立場から揶揄しているが、「志摩の伊雑宮(いざわのみや)が天照大神の本宮」との主張に根拠があったとすれば、どうなるのだろうか。れんだいこは、「驚くのはその迫真の出来栄え」、「作者、豪才強魄(ごうさいきょうはく)畏(おそ)るべし。真正の歴史を修めば、その功赫然(かくぜん)たらんに。惜哉(おしいかな)」の言の方に興味を覚える。

 2009.3.19日 れんだいこ拝


 目次
先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)考
序目録
巻第一(神代本紀、神代系紀、陰陽本紀)
巻第二(神祇本紀)
巻第三(天神本紀)
巻第四(地祇本紀)
巻第五(天孫本紀)
巻第六(皇孫本紀)
巻第七(天皇本紀)
巻第八(神皇本紀)
巻第九(帝皇本紀)
巻第十(国造本紀)
関連著作本
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(私論.私見)

 サキツミヨノフルコトノモトツフミオオイナルオシエ
 先代舊事本紀大成經
 
 徳間書店刊
 平成十六年(西暦2004年)十月三十一日發行
 後藤隆氏著
 「超知ライブラリー006 謎の根本聖典 先代旧事本紀大成経」