別章【ロッキード裁判の経過】

 更新日/2018(平成30).6.19日

 (れんだいこのショートメッセージ)
 ここで考察する「ロッキード裁判の経過」は存外貴重である。しかし、ほとんど知られていない。マスコミのリードのままに立花隆のコメントに合わせて「世論なるもの」が作られていったように記憶する。この不正義を糾すべき左翼が居なかったことが悔やまれるところである。社会党、日共は御用提灯持ってけしかける方であったし、新左翼は党派戦争で忙しかった。その間隙を縫うようにして、このような国家テロが押し進められていったのが真相であろう。当時れんだいこも何やかやでせわしく、検察と裁判所が結託してかような無法テロを進行させていったことに気づかなかった。角栄は弁護士の司法取引的法廷闘争戦術の申し出を断り、孤軍奮闘情に訴えぬいた。この歴史までは消せない。遅まきながら、れんだいこはここに、角栄の百年戦争を熱烈に支持することを申し上げておく。

 逮捕者は総勢18人、起訴された者16人となった。これを確認しておく。
起訴日時 被起訴者 年齢 役職 起訴容疑
3.13日 児玉誉士夫 65歳 所得税法違反で在宅起訴
77.1.21日 小佐野賢治 59歳 国際興業社主 偽証罪で在宅起訴
被逮捕日時 被逮捕者 年齢 役職 逮捕容疑
6.22日 大久保利春 62歳 丸紅専務 偽証罪
6.22日 澤雄次 58歳 全日空専務 外為法違反
6.22日 植木忠夫 48歳 全日空営業本部部長 外為法違反
6.22日 青木久頼 48歳 全日空経理部長 外為法違反
7.2日 伊藤宏 49歳 丸紅社長室長 偽証罪
7.7日 藤原享一 48歳 全日空経営管理室長 外為法違反
7.8日 若狭得治 61歳 全日空社長 外為法違反、偽証罪
7.9日 渡辺尚次 62歳 全日空副社長 偽証罪)
7.13日 桧山広 66歳 丸紅会長 外為法違反
7.27日8時50分 田中角栄 58歳 前首相 外為法違反
7.27日 榎本敏夫 50歳 田中角栄秘書 外為法違反
田中利男 田中角栄秘書
8.20日 佐藤孝行 48歳 自民党代議士 受託収賄罪
8.21日 橋本登美三郎 75歳 運輸大臣 受託収賄罪

 ロッキード事件を廻る裁判は、丸紅ルート、全日空ルート、児玉・小佐野ルートの三公判で審理が進められた。これを図示すれば次のようになる。
ルート 裁判長  容疑者
丸紅ルート 岡田光了 (贈賄側)  桧山広/丸紅会長
 松尾泰一郎/丸紅社長
 大久保利春/丸紅専務
 伊藤宏/丸紅専務
(収賄側)  田中角栄元首相
 榎本敏夫/田中角栄秘書
 田中利男/田中角栄秘書
全日空ルート (贈賄側)  若狭得治/全日空社長
 渡辺尚次/全日空副社長
 大庭哲夫/全日空前社長
(仲介側)  小佐野賢治国際興業社主
(収賄側)  橋本登美三郎/運輸大臣
 佐藤孝行/代議士
児玉ルート 半谷恭一 (仲介側)  児玉誉士夫(所得税法違反で在宅起訴)。
(仲介側)  小佐野賢治国際興業社主。

 (これによれば、全日空ルートの裁判長がはっきりしない)

 角栄の関与を廻る究明は丸紅ルートに預けられ、東京地裁で169回もの公判等が行われた。角栄は事前に届出をすませておけば毎回出廷する要はなかったが一日も休まず通った。これは秘書の早坂茂三も同じであった。角栄は、五億円授受を認め政治献金論で争った方が却って有利とする弁護団の誘導を聞き入れず、最後まで無罪を求めて争った。「ウィキペディア田中角栄」は次のように記している。
 「控訴審有罪に対して上告中に死去したため公訴棄却となったが、控訴審で有罪になった事件が最高裁で無罪になることは余程のことがない限りはあり得ない(実際、秘書の上告審で有罪確定となり、5億円収受が認定されている)」。

 窺うべきは、授受しているのに否認する角栄に対する立花−日共ばりの謗(そし)りではなく、最後の最後まで否認し続けた角栄の方にこそ真実があり事件そのものが冤罪だったとする可能性の方ではなかろうか。

 2003.9.20日、2011.2.5日再編集 れんだいこ拝

2.24日、日本の捜査史上初めての三庁合同捜査体制が発足した。ロッキード事件は、この当事者の審理の都合上から、丸紅ルート・全日空ルート・児玉ルートの三ルートに分けられて追及されていくことになった。



目次
逮捕者、起訴者リスト
裁判経緯その1、公判開始から検察側の論告求刑まで
裁判経緯その2、検察側の論告求刑要旨(第148回公判)
裁判経緯その3、検察側の論告求刑から弁護人の最終弁論まで
裁判経緯その4、田中側弁護人の最終弁論要旨(第187回公判)
補足・丸紅側弁護人の最終弁論要旨(第190回公判)
第一審判決まで
児玉・小佐野賢治公判の経緯
半谷恭一裁判長のその後の履歴




(私論.私見)