別章【カルロス・マリゲーラと都市ゲリラ・ミニマニュアル考】

 (最新見直し2009.2.1日)

 (れんだいこのショートメッセージ)
Re:カルロス・マリゲーラの本 れんだいこ 2009/02/01
 えこねさんちわぁ。れんだいこは、「カルロス・マリゲーラと都市ゲリラ・ミニマニュアル」についてまつたく知りません。いま少し読んででみました。これもご縁だと思い、れんだいこの「マルクス主義考」の中のしかるべきところに章を設け、考察してみたいと思います。

 丁度今、蔵田計成先輩の新稿を読ませていただいており、いわゆる革命的暴力問題について一考してみたいと考えているところです。クラウゼヴイッツの戦争論に対応する暴力論を書き上げられたら良いなと考えております。れんだいこにできるかどうかは別として、試論が試論を呼び徐々に煮詰まるのが弁証法的だと考えております。この分野は、誰かが挑まないといけないんですよね。

 「カルロス・マリゲーラと都市ゲリラ・ミニマニュアル」について少し読んだ限りでの印象は、非合法活動専門に特化してしまっている面を感じます。実際に必要な運動は、それにも増して必要なのが合法活動であり、それより何よりどういう社会を構想するのか、現状のどこを否定してどこを受け継ぐのか、具体的な制度をどう構築するのか等々についての青写真づくりだと思っております。これなくしての非合法活動はめくら滅法ではないかと考えております。

 幕末維新も、最後には船中八策に結実し、五箇条のご誓文へと至りました。これを思えば、細かい規定はともかくグランドデザインでも良いということになります。今我々にはこの構想力が欠けている、しかも誰も生み出そうとしていないように見受けられると思っております。これは、知の貧困であり精神の貧困であると考えております。

 仮にれんだいこが暴力論を論考するとして、それを通じてどういう社会を具現しようとしているか、ここに結びつかないと消耗ではないかと考えております。この目的が柔構造なもので展望され、これに手法、手続きが関係してくるのではなかろうかと考えております。戦略戦術は、この関係の中で生きてくるものだと思っております。

 それにしても、21世紀の初頭の現在、あらゆるイズムが混迷しているように思っております。一から仕切り直しして再構築に向かわなければと思っております。「カルロス・マリゲーラと都市ゲリラ・ミニマニュアル」がヒントを与えてくれることを願っております。思いつくまま。

 2009.2.1日 れんだいこ拝

 2009.2.1日 れんだいこ拝



関連連サイト
パレスチナ問題考 ユダヤ人問題考

目次

コード№  項目
カルロス・マリゲーラの生涯履歴
「都市ゲリラ・ミニマニュアル」その1
「都市ゲリラ・ミニマニュアル」その2
「都市ゲリラ・ミニマニュアル」その3
インターネット・サイト
研究著作本




(私論.私見)

都市ゲリラ・ミニマニュアル(都市ゲリラ教程)
The Minimanual of the URBAN GUERRILLA
by Carlos Marighella

 
カルロス・マリゲーラと
都市ゲリラ・ミニマニュアル
 
カルロス・マリゲーラ著「都市ゲリラ・ミニマニュアル」(1969年6月。日本では「都市ゲリラ教程」として知られている)の全訳を紹介する。 ネット上で検索すればいくらでも英訳版全文データが入手できるが、その解説によれば……

カルロス・マリゲーラはブラジル最大級の工業都市サンパウロの共産党の元幹部であった。1967年に党との関係を断ち、ハバナにおけるラテンアメリカ諸国会議の組織から発表された「2つ、3つ……多くのベトナムを作れ」という呼びかけに応えた。彼の組織、国家解放運動(ALN=Action for National Liberation)は都市ゲリラ戦理論をうち立て、それはラテンアメリカ全体にすみやかに広範囲にわたって受け入れられた。これが都市ゲリラ・ミニマニュアル(都市ゲリラ教程)に具体的に記されている。

遊撃インターネット・北のりゆき氏の「アングラ危険文書を読もう」という解説より引用させていただくと……
(全文はこちらにあります)

この他に、チェ・ゲバラの『ゲリラ戦争』とカルロス・マリゲーラの『都市ゲリラ教程』が実戦的なゲリラ教本として有名です。両方ともテロリストの本棚からは必ず見つかるといわれる危険本で、事細かにゲリラ戦術について述べているのです。『ゲリラ戦争』はキューバ革命型の山岳ゲリラ戦について、『都市ゲリラ教程』は誘拐や資金徴発といったよりテクニカルなテロ戦術について述べています。あさま山荘事件で有名な連合赤軍も読んでいましたし、80年代には皇居に火炎弾を撃ち込んだ過激派セクトが機関紙で『ゲリラ戦争』を参考に武器を製造したと書いていました。『ゲリラ戦争』は最近再版され一般書店でも手に入ります。『都市ゲリラ教程』も、ちょっと大きな図書館に行けば借りることができます。

この日本語版は、カルロス・マリゲーラ著/日本・キューバ文化交流研究所 編訳 『都市ゲリラ教程』三一書房(1970年)をもとに、若干の修正を加えたものである。古い本なので現状には合わず、実用の役にはもはや立たないだろうし、共産主義理論についても疑問があるが、資料として提示する。

 

目次

はじめに
都市ゲリラの定義
都市ゲリラの資質
都市ゲリラはいかに生きのびるか
都市ゲリラの技術上の準備
都市ゲリラの武器
射撃――都市ゲリラの必要条件
戦闘グループ
都市ゲリラの兵站
都市ゲリラの技術
都市ゲリラの技術の特徴
都市ゲリラの緒戦の優位
奇襲
地理の知識
機動性とスピード
情報
決断
都市ゲリラ活動の目的
都市ゲリラの行動様式と性格
襲撃
典型としての銀行襲撃
奇襲と潜入
占拠
待ち伏せ
市街戦術
ストライキと作業放棄
脱走、武器・弾薬・爆薬の強奪・奪取・流用
囚人の解放
処刑
誘拐
破壊工作(サボタージュ)
テロリズム
武装宣伝
神経戦
いかにして戦闘を行なうか
方法上のいくつかの分析
負傷者の救出
ゲリラの安全
都市ゲリラの七つの大罪
大衆の支持
都市ゲリラ戦争はゲリラの学校である

 

CARLOS MARIGHELLA

 カルロス・マリゲーラは1911年、ブラジル東部バイア州で生まれた。1930年、ブラジル共産党に入党し、アジテーター、オルガナイザーとして働いた。戦争の間を刑務所で過ごしたにもかかわらず、すぐに地位が上がっていき、1952年には党中央委員会委員となった。1953年に中国に旅行し、毛沢東と朱徳に会った。

 1964年の軍事クーデター後、ブラジル共産党は地下に潜った。マリゲーラは、採用すべき戦術について党の他の幹部と意見が食い違い、結局、1967年、命令に逆らって、ハバナで開かれたラテンアメリカ団結に関する会議に参加し、党から分裂した。

 1967年の終わりにブラジルに戻ったとき、ブラジルには広範囲にわたる社会不安と経済的大変動があった。マリゲーラは武力闘争が革命軍と結び付く必要を確信しており、1968年2月にALNを組織化した。ALNの活動を指揮し、他の都市ゲリラグループ、特にVPR とMR-8運動とともに活動した。マリゲーラは1969年11月30日に警察の待ち伏せで殺された。ALN はカリスマ的な指導力と組織力を奪われ、その死から1年の内に崩壊した。

 カルロス・マリゲーラは革命の方法についてのエッセイや論文を多く書いた作家であった。最も有名な作品『都市ゲリラ・ミニマニュアル(都市ゲリラ教程)』は1969年6月にサンパウロで書かれた。この本はそれ以来20の言語に翻訳され、全世界のテロ運動のハンドブックとなっている。これはイタリアの赤い旅団、ドイツの赤軍派、暫定派アイルランド共和軍の公式訓練マニュアルである。 本は60ページ以下であり、都市ゲリラ戦のさまざまな局面について扱っている40章に分けられる。大部分は、標準的な軍の戦術ノートのようにかなり正確に書かれており、見習いテロリストが重要なポイントを思い出す助けとなる完全なメモとなっている。この本はゲリラ戦略・組織についての簡潔な要約にとどまっており、革新的なものや意外なものは特にない。