「都市ゲリラ・ミニマニュアル」その2

 (最新見直し2009.2.1日)

 (れんだいこのショートメッセージ)

 

 2009.2.1日 れんだいこ拝



 都市ゲリラ・ミニマニュアル(都市ゲリラ教程)」の「都市ゲリラ活動の目的」を転載する。

 

 都市デリラは、高度な完成された技術で攻撃する作戦を基本としている。そしてブラジルにおいては、以下の日的で闘っている。

  1.  ブラジル国家体制と北アメリカ支配者が居坐り続けている三角地帯を脅やかすこと。三角地帯の三地点は、リオ、サン・パウロ、ペロ・オリゾンテであり、その中心はリオ――サン・パウロである。
     そこは国内で絶対的な力を占める巨大な工業、財政、経済、政治、文化、軍事、警察の総合地域である。
  2.  軍部独裁の地方警備、治安体制を弱体化させること。われわれが攻撃し、ゴリラどもがそれを防衛しようとしていることは、政府を受身の立場に立たせていることを示している。すなわち、政府をして、複雑な国家体制を維持防衛するために軍隊をクギづけさせ、戦略的心臓部に攻撃される不安を現在もずっと抱き続けさせ、いつ、どこで、どのように攻撃されるか知るべくもなくさせている。
  3.  ごく少数で、おのおの自給自足して、独自に作戦を展開する多くの武装グループで、あらゆる側面から攻撃をかけること。国全体で作戦を展開する堅固な一つの組織にすれば、敵に集中した軍事的攻撃の機会を与えることになり、その結果都市ゲリラは破壊され、鎮圧されてしまう。それよりも完全にバラバラに散らばった組織として、軍部独裁の追跡を分散させねばならない。
  4.  すべての不平分子も、都市ゲリラ戦術と戦闘に従わせるために、軍部独裁との闘争のなかで戦闘性、決断力、厳格さ、決意、粘り強さを実証して見せること。一方政府はあらゆる計画をもってしても、都市ゲリラ戦争を押しとどめることはできない。そして時を無駄に過し、果てしない消耗戦に痛めつけられ、ついにはいろいろな施設(銀行、工場、兵器庫、兵舎、刑務所、役所、ラジオ・テレビ放送局、北米商社、ガス貯蔵タソク、石油精製所、船舶、飛行機、港、空港、病院、保養地、血液銀行、商店、車庫、大使館、現体制の著名な人物の邸宅、閣僚や将軍、警察署、公官庁等々)を狩るために鎖圧軍隊を呼び戻さねばならなくなるだろう。
  5.  予知しえない作戦を行なってつねに優勢を保つなかで、都市ゲリラによる叛乱を徐々に増していくこと。つまり、政府軍が都市を放棄するという危険を犯さずには、あるいは内陸部と同様に海岸地帯でも叛乱を増大させたままにしておくということなしには、都市地域を離れることができないようにすること。
  6.  陸軍や警察をして、われわれの襲撃に備え、車輌の跡が消えたトラックを探し求めて疲労させ、緊張を高ぶらせること。そして、指揮官や補佐官ともども、兵舎や休憩所に戻って平静をとり戻さねばならなくさせること。
  7.  政府軍の戦闘においては、公然とした戦闘や決定的な戦闘は避けるようにし、即座に結果がでる短時間で敏速な攻撃に限定すること。
  8.  都市ゲリラが永続的に武装闘争を中断させることなく、最大限に自由に作戦を展開できることを確実にすること。そして胎動しつつある農村でのゲリラ戦争を支援し、民族解放の革命軍を形成することに援助を与えること。

 都市ゲリラ・ミニマニュアル(都市ゲリラ教程)」の「都市ゲリラの行動様式と性格」を転載する。

 あらかじめ掲げられた目的を達成するためには、都市ゲリラは技術的な問題として、できる限りそれぞれ異なった、さまざまに変化した活動に順応しなければならない。都市ゲリラはあれこれの行動様式を勝手きままに選んではならない。あるものは単純であるだろうし、他のものは複雑であるだろう。だが、未経験の都市ゲリラは簡単なものから複雑な行動や作戦に移行する過程で組織されねばならない。したがって完全に経験を積んだゲリラ戦士になるまでは、小さな部隊や任務から始めた方がよい。

 いかなる行動を起こす時にも、行動を遂行するための方法や人間の配置を考慮しなければならない。技術的な準備を要する行動や作戦は、巧緻な技術に欠けた人間では遂行できない。これらに注意しつつ、都市ゲリラが遂行しうる行動様式は次の通りである。

  1. 襲撃
  2. 奇襲と潜入
  3. 占拠
  4. 待伏せ
  5. 市街戦
  6. ストライキと作業放棄
  7. 脱走、捕獲、武器・弾薬・爆薬の奪取・流用
  8. 囚人の解放
  9. 処刑
  10. 誘拐
  11. 破壊工作(サボタージュ)
  12. テロ
  13. 武装宜伝
  14. 神経戦

 都市ゲリラ・ミニマニュアル(都市ゲリラ教程)」の「襲撃を転載する。

 襲撃とは資金を強奪し、囚人を解放し、爆薬、機関銃、その他の武器弾薬を捕獲するための武装攻撃である。

 襲撃は真昼間でも夜中でも実行可能である。

 日中の襲撃は目的物が他の時刻では成功しえない時に行なわれる。

 たとえば銀行からの現金輸送の場合で、これは夜には行なうことができない。

 夜間の襲撃は、一般に都市ゲリラにとってはもっとも有利である。夜間の襲撃は奇襲の場合好都合であるし、暗闇が逃走を容易にし、参加者の身元を隠してくれるからである。いずれにせよ都市ゲリラは、昼夜を問わずどんな条件下でも行動できる用意がなければならない。

 もっとも攻撃しやすい目標は次の通りである。

  1. 金融機関
  2. 武器・弾薬の製造を含む商業・工業関係の企業
  3. 軍事施設
  4. 派出所や警察署
  5. 刑務所
  6. 政府財産
  7. マスコミ機関
  8. 北米人の会社、財産
  9. 軍隊や警察の車輌、トラック、装甲車、現金輸送車、列車、船舶、飛行機などを含む政府の輸送機関

 施設に対する攻撃は、財産もビルディングも固定した目標としてある点では、みな同じ性格を持っている。

 ビルディングへの襲撃は、銀行、商社、工場、兵舎、刑務所、放送局、帝国主義者の会社の倉庫などのそれぞれに応じて異なる。

 輸送手段(現金輸送車、装甲車、列車、船舶)への攻撃は動く目標であるために、また性格は異なる。作戦の性格は、位置や可能性に応じて、すなわち目標が静止しているか移動中であるかによって変えられる。

 軍用車を含む装甲車は地雷に対してはもろい。道路妨害、罠、計略、他の車輌による妨害、火炎ビン、重火器による砲撃などは、輸送手段に対する襲撃としては効果的な方法である。

 重車輌、着陸した飛行機、停泊中の船舶は乗っ取られやすく、乗組員や護衛はわれわれの前に屈する。飛行中の航空機は一人の人間のゲリラ活動によって進路を変えさせることができる。

 走行中の船舶や列車は、武器、弾薬を捕獲したり、移動中の部隊を阻止するためのゲリラ戦によって襲撃や乗っ取りを受けやすい。


 都市ゲリラ・ミニマニュアル(都市ゲリラ教程)」の「典型としての銀行襲撃」を転載する。

 もっともよく知られている襲撃の典型は、銀行襲撃である。ブラジルにおいては、都市ゲリラ作戦は組織だった銀行襲撃の形態から始められた。今日、この型の襲撃は広く用いられており、革命戦争の技術の初歩として、都市ゲリラの一種の予備試験に役立てられている。

 銀行襲撃の有力な新しい技術は発達している。逃走を確保すること、現金を引き出すこと、匿名にして他人を連座することなどの技術である。これらの新しい工夫のなかで、追跡を妨害するために車のタイヤを撃ち抜くこと、目撃している人々を銀行の便所に閉じ込めて床の上に坐らせること、銀行の護衛を制止し、武器を取り上げ、金庫や頑丈な箱を開けさせること、変装することなどがある。

 銀行に警報装置をつけたり、護衛を雇ったり、合衆国製の電気探知機を使ったりする経営者の目論みは、襲撃が政治性を帯び、都市ゲリラ戦の技術にもとづいて行なわれれば、役に立たない。

 都市ゲリラは、敵の戦術の変化に対応して新しい装備の利用を試み、火力の日ごとの発達に追いついている。そして、ますます抜け目なく大胆に行動し、そのたびごとに増える革命家を動員している。これらはすべて、最後の些細なことまで締密に計画した作戦を成功させることによって得られる。

 銀行襲撃は強奪の典型的なものである。しかし、実際いかなる種類の強奪にも、革命家は二つの闘いにつきまとわれる。

  1. 無法者との闘い
  2. 右翼反革命との闘い

 この闘いは、人民が見分けられなくなるという混乱を生じさせる。都市ゲリラはこの混乱をとりのぞかねばならない。そのためには、二つの方法を用いなければならない。

  1.  無法者が常套する手口は避けねばならない。つまり不必要な暴力の行使、人民の物資や所有物を強奪してはいけない。
  2.  目的をプロパガンダしてすぐさま襲撃を決行しなければならない。終われば資料やビラを活字にし、独裁政府、交配階級、帝国主義から強奪する者としての都市ゲリラの目的と原則をつねに可能な限り説明しなければならない。

 都市ゲリラ・ミニマニュアル(都市ゲリラ教程)」の「奇襲と潜入」を転載する。

 奇襲と潜入は都市の周辺の施設だけでなく、中心部さえをも急襲することである。すなわち軍の小部隊、派出所、病院などを急襲し、混乱させ、武器を捕獲し、敵に処刑・テロを加え、捕虜にし、警察の監視下にある病傷の囚人や入院中の病人を救出することなどである。

 奇襲や潜入は車輌を破壊するために車庫や倉庫の設備に対しても行なわれる。それが特に北米人の会社や財産である場合には、なおさらそうする必要がある。

 高速道路の広がった所や人家と隔たった場所での奇襲は、敵の大部隊を移動させることになる。闘うべき相手がいないので敵は無駄な労力を使うことになる。

 邸宅、事務所、公文書保管所、役所などへの奇襲や潜入を行なうのは、政府内部の人間が行なった共謀、取引、汚職、北米人との汚ない取引、商談の秘密文書、議事録を捜し出し、入手するためである。

 奇襲や潜入は夜間に行なうのがもっとも効果的である。


 都市ゲリラ・ミニマニュアル(都市ゲリラ教程)」の「占拠」を転載する。

 占拠はなんらかの宣伝を行なう目的で、敵に一時的に抵抗をするために、特殊な施設や場所にゲリラが自ら踏み止まる場合に用いられる一種の攻撃である。

 ストライキ中やその他の時に工場や学校を占拠するのは、抗議の意思表示ないしは敵の注意を引きつける方法の一つである。

 放送局の占拠は宣伝を目的としている。

 占拠は非常に効果的な行動形態だが、味方の戦列から人的・物質的損失を防ぐために、つねに撤退を可能にしておくほうがよい。そして細心すぎるほどの計画を立て、絶好の機会を選んで実行せねばならない。

 占拠にはつねに時間の限度があり、敏速であればあるほどよい。


 都市ゲリラ・ミニマニュアル(都市ゲリラ教程)」の「待ち伏せ」を転載する。

 待ち伏せは、敵が道路を横切ろうとしてワナにかかる時、家屋や敷地を包囲している時にかける奇襲攻撃である。贋の連絡を行なうことによって敵をワナに陥いれ、おびき寄せることができる。

 待ち伏せ作戦の重要な目的は敵から武器を捕獲することであり、敵を殺すことである。

 客車を停止させるための待ち伏せは宣伝のためであり、軍事列車の場合は敵を殲滅し、武器を奪取するためである。

 都市ゲリラの狙撃兵は、特に待ち伏せに適した戦士である。ビルの屋根や屋上、建設中のアパートなど、どんな複難な部分にも潜むことができるからだ。窓からでも暗闇からでも、標的に慎重に狙いを定めることができる。

 待ち伏せ攻撃は敵に土気を失わせ、危機と恐怖に陥いれ、敵を荒廃に導く。


 都市ゲリラ・ミニマニュアル(都市ゲリラ教程)」の「市街戦術」を転載する。

 市街戦術は市街で大衆を抵抗闘争に巻き込んで敵と闘う時に用いられる。

 一九六八年、ブラジルの学生たちは交通を無視してデモ行進したり、騎馬警官に抵抗する武器として石や投石器を用いたりして、巧みな市術戦術を駆使して警官隊と闘った。

 他にバリケードを築く市街戦術がある。敷石をはがして警官めがけて投げること、ビン、レンガ、文鎮、その他をアパートやビルの上から投げ降ろすこと、逃走、潜伏、奇襲攻撃のために建設中のビルを利用することなどである。

 一様に敵の戦術に対応する方法を知っておくことが必要である。警官隊がへルメットで身を守ってきた時は、われわれは部隊を二つに分けねばならない。一方は前線で敵を攻撃し、他方は後方から攻撃すること。後者が投石で攻撃している時は、前者はその石にあたらないように後退する。

 さらに警察の包囲網にかからない方法を知っておくことも重要である。警官がデモ隊員を逮捕するために大衆のなかに突っ込んできたら、都市ゲリラの大部隊は有官隊を取り囲む必要がある。そして彼らを武装解除し、打ち負かし、同時に検挙者を奪還するのである。この都市ゲリラ作戦は"包囲のなかの包囲"と呼ばれている。

 警察が学校、工場、その他人がたくさん集まる地区を包囲する場合は、都市ゲリラは決して降伏してはならない。もし降伏すれば全滅の憂目にあうだろう。警察は、包囲網を敷く場合には、車輌や特別車を使って警官を輸送せざるをえない。ビルや目的地に踏みこもうとして、市街の要所を閉鎖するためである。あらかじめ出口、包田網の突破口、警察が占領しそうな戦略地点を知っておいてから、ビルや地域から飛び出して戦闘を開始しなければならない。そして敵を攻撃する戦略地点を別に設けておかねばならない。

 警察の車が後を追ってくる道路の要所や武装制止地点には、地雷を付設しなければならない。地雷が爆発すれば車輌は吹き飛ぷ。そして警察はワナにはまり、損害を被り、待ち伏せの犠牲となるだろう。包囲網は背察に知られていない脱出路によって突破されねばならない。緻密な撤退計画は、敵が懸命につくった包囲を無効にさせる最良の方法である。

 脱出するのが不可能な時は、決して事態検討するために集まったり、そのような行動をとってはならない。もしもそのようなことをすれば、包囲網を突破できなくなるし、敵は確実に攻撃を集中するだろう。

 市街戦術は都市ゲリラの新しい形態として登場した。都市ゲリラは大衆デモにも参加する。その時は彼らははっきりした特定の目的を持って大衆のデモの隊列に入るのである。

 この狙いは、警官めがけての投石、ガソリンでの放火、敵の手先や挑発者の誘拐、偽装ナンバーをつけた特別の車に乗ってくる警察の指揮者や拷問をした手下どもの狙撃などである。

 デモが混乱し逃げなければならない場合には、デモに参加した都市ゲリラは、必要とあらばグループに分散しなくてはならない。そして地雷を埋め、火炎ビンを投げ、待ち伏せや爆薬を仕掛ける。

 デモ参加の都市ゲリラは、敵が現金や武器を持っているかどうか見きわめたなら、訊問し、火器を放つ前に政府や会社や警察の車をやり過しておいて"包囲のなかの包囲"作戦を開始しなければならない。

 狙撃兵はデモ行進に非常に役に立つ。彼は都市ゲリラのデモにつきそって変更な役割を果たす。

 戦略上の要点に潜む狙撃兵は、猟銃や機関銃などでも完璧な成功をおさめることができる。狙撃兵の発砲は、敵に大きな損害を生じさせる。


 都市ゲリラ・ミニマニュアル(都市ゲリラ教程)」の「ストライキと作業放棄」を転載する。

 ストライキは、作業や学業を中断して敵に損害を与えるために都市ゲリラが工場や学校でとる行動形態である。それは搾取者や抑圧者がもっとも恐れる武器の一つだからである。敵はストライキに対して非常な弾圧と驚くべき暴力を行使する。ストライキを行なった者は投獄され、拷問を受け、多くの者が虐殺されている。

 都市ゲリラは、指層者の身許がわかるような手がかりや形跡を残さぬように注意してストライキを準備しなければならない。秘密裡に、誰にも知られない方法で慎重に準備し、小さなグループの行動を通じて組織するならば、ストライキは成功する。

 破壊や攻撃に用いる武器、弾薬、火炎ビン、手製の武器などのすべては、敵と交戦するためにあらかじめ支給されなければならない。そうすれば敵に最大限の損害を与えることができる。そのために敵について研究・調査しておき、破壊工作(サボタージュ)の計画にそれらの武器を準備することは有効である。

 たとえ作業や学業の放棄が短期間しか続かなくとも、そのことは敵に手痛い麻痺・打撃を与える。一地域の異なった地点や部門が切断されれば十分である。日常生活が麻痺し次々と限りなく波及し、確実にゲリラが伝播する。

 ストライキや簡単な作業放棄のなかで、都市ゲリラは占拠や潜入や襲撃の行動を起こすことができる。その目的は人質を捕え、捕虜を捕え、敵の手先を捕えてストで逮捕された者とを交換することにある。

 場合によっては、ストライキや簡単な作業放棄は流血をなんとも思わぬ凶暴な警察を物理的に一掃するための待ち伏せや、ワナを仕掛ける絶好の機会を提供する。

 根本的なことは、ゲリラ活動によって敵が物質的・精神的打撃をうけ、弱体化することである。


 都市ゲリラ・ミニマニュアル(都市ゲリラ教程)」の「脱走、武器・弾薬・爆薬の強奪・奪取・流用」を転載する。

 脱走や武器の流用は軍の兵舎、船舶、軍事病院で効果を発揮する行動である。都市ゲリラの兵士、下士官、下・上級将枚はブラジル革命のために用いる近代的武器と弾薬を盗み出し、好機をみて脱走しなければならない。

 軍隊が都市ゲリラの仲間を追跡掃討するために兵舎から外に出されるようになったときが好機である。軍隊内の都市ゲリラはゴリラどもの命令を無視して、武器・弾薬、軍用機、パイロットを運び出し、手渡して革命家と手を結ばねばならない。この方法の利点は、革命家が陸・海・空軍や警察、民間警備隊、消防隊などからなんの苦労もなく武器や弾薬を入手できることである。つまり、政府自らが手元に輸送してくれるのである。

 兵舎内では、チャンスはいくらでもあるから、つねに注意を怠ってはならない。

 もし司命官の不注意、将校との間に横暴や軍規のゆるみなどが生じた時、軍隊内の都市ゲリラはすかさず組織に連絡し、一人もしくは仲間を作ってできる限り多くの武器を携えて脱走しなければならない。

 武器の捕獲をめざす兵舎や他の軍事施設への急襲は、情報や軍隊内の参加者を得て組織される。

 脱走や武器・弾薬の獲得が困難なときは、破壊工作(サボタージュ)に参加し、爆破するために弾薬や火薬を点火させなければならない。

 武器・弾薬を携えての脱走や軍事基地を急襲・破壊することの技術は、ゴリラどもを疲労させ、士気をくじき、混乱させるためにはもっとも効果的な方法である。

 敵の個人を武装解除するのは彼の武器を捕獲するためである。これらの武器は歩哨や警備・鎮圧に従事する者の手にある。

 この武器の捕獲というものは、暴力に訴えて狡猾に謀略的に、罠に落し入れることによって成功するだろう。敵を武装解除した後は奪い取ったもの以外にも持っていないか捜さねばならない。もし注意を怠ると隠し持っていた都市ゲリラ掃討用の武器を使われてしまうだろう。

 武器の奪取は、都市ゲリラのもっとも貴重な武器である機関銃を手に入れる有効な方法である。

 われわれが武器・弾薬を強奪するための小規模な作戦や行動を遂行した後、捕獲した武器は個人や組織に役立てられ、戦闘グループに供給されるであろう。

 都市ゲリラに火器を配給する必要性はきわめて大きいので、ゼロから脱出するために、われわれは武器を獲得し、ただ一つの武器でも流用しなければならない。根本的なことは開始すること、決断力と勇敢さの図太い精神をもって開始することである。一つの武器でも入手すれば、われわれの軍事力は増大する。

 銀行を襲撃するときは、警備員の武器を強奪するための注意を怠ってほならない。出納係、会計係、支配人などの武器も見つけたら即座に強奪しなければならない。

 武器を捕獲しうる他の方法は、通りがかりの警官や車を待ち伏せすることである。

 派出所を外から急襲するときは往々にして武器を手に入れることができる。

 武器、弾薬、爆発物の強奪は、会社や工場を襲う場合の都市ゲリラの目的である。


 都市ゲリラ・ミニマニュアル(都市ゲリラ教程)」の「囚人の解放」を転載する。

 囚人の解放とは、投獄された都市ゲリラ戦士を自由の身にするために計画される武装作戦である。毎日の敵との戦闘のなかでは、都市ゲリラは逮捕され無期限に投獄されるということが起こることは避けられない。しかし、これは革命家の闘いが捕まったところて停止するということではない。逆に囚人になることによって経験は深められ、たとえ獄中でどんな危険に会っても闘争は継続されるからである。

 投獄された都市ゲリラは牢獄を征服すべき場所とみなし、ゲリラ作戦によって自ら脱獄することを考えなければならない。

 島、市中、農場内のどこの牢獄であろうと、革命家の巧妙さ、賢明さ、戦闘能力を受けつけない難攻不落の牢獄などありえない。

 いまだ捕えられていない都市ゲリラは、敵の治安施設を、同志を解放するためのやむをえないゲリラ活動の場とみなしている。囚人の解放とは、自由に活動できる都市ゲリラと投獄されている都市ゲリラの結合から生まれる武装作戦であるといえるだろう。

 囚人の解放に利用されるゲリラ作戦は次の通りである。

  1.  留置所、矯正するための収容所や島、囚人を護送する護送車、船などでの暴動
  2.  都市・地方の刑務所、留置所、警察署、捕虜収容所、その他長期あるいは一時的な囚人を拘留しておく場所に対する襲撃
  3.  囚人護送の車輌、列車に対する襲撃
  4.  刑務所への潜入・急襲
  5.  囚人移動担当の警備員に対する待ち伏せ

 都市ゲリラ・ミニマニュアル(都市ゲリラ教程)」の「処刑」を転載する。

 処刑とは、北米人のスパイ、独裁者の手先、拷問者、危機に追い込み愛国者を追跡している政府内部のファシスト、敵のおとり、情報提供者、警察の手先き、挑発者などを殺害することである。

 自分だけが安全でいたいために警察に告訴や密告をする者、手がかりや情報を提供している者は、都市ゲリラに捕えられた時、処刑されなければならない。

 処刑は最小限の人数で行なう都市ゲリラの秘密行動である。多くの場合、一人の狙撃者が根気よく、ひっそりと完全に隠密に冷静に行なう。


 都市ゲリラ・ミニマニュアル(都市ゲリラ教程)」の「誘拐」を転載する。

 誘拐は、秘密の場所で警察の手先、北米人のスパイ、政治家、革命運動に敵対する札つきの悪党を捕縛しておくことである。

 誘拐は技獄されている革命家の仲間と交換・解放したり、軍部独裁の独房で拷問されている者を解放するために行なわれる。

 政治的に価値がない者を除いて、文化人、スポーツマン、その他の分野で有名な人物を誘拐することは、特殊な環境に規定された都市ゲリラの愛国的正当さと革命性を宜伝するのには効果的な形態である。したがって誘拐は大衆の同情や承認を獲得する。

 ブラジルに在住したり訪問したりしている北米人の誘拐は、わが国を収奪し、支配している合衆国に対する抵抗の表現である。


 都市ゲリラ・ミニマニュアル(都市ゲリラ教程)」の「破壊工作(サボタージュ)」を転載する。

 破壊工作は、きわめて少数の、時によっては唯一人で目的を遂行するために行なう高度な破壊力をもつ攻撃である。都市ゲリラが行なう破壊工作(サボタージュ)は、最初のうちは孤立している。しかしほうばうで破壊工作(サボタージュ)が起こり始めると、人民自らが行なうようになる。

 破壊工作をうまく達成しようと思えば、調査、計画、注意深い実行力が必要とされる。

 特殊な破壊工作は、ダイナマイトや火薬、地雷などによる爆破である。

 一握りの砂、一しずくの可燃物、油、一本のねじの除去、木や鉄の屑などでも取り返しのつかない打撃を与えることができる。

 破壊工作によって傷をつけ、不能にし、敵の生産点を破壊する目標は以下の通りである。

  1. 国家の経済
  2. 農業・工業生産
  3. 輸送・通信網
  4. 軍隊・警察機構とそれらの施設・倉庫
  5. 軍隊・警察の弾圧機構
  6. 国内の北米人の会社や財産

 都市ゲリラは国内の経済、特に国内外の商業網、その金融機関、税務署、その他の経済的・財政的部分を危機に落し入れる必要がある。

 役所、政府のサービス機関、政府の貯蔵所は破壊工作の目標にしやすい。

 もちろん、地方の状態をよく知り抜いた都市ゲリラの農工業における破壊工作を防止することは至難である。

 都市ゲリラとして活動している工場労働者は、誰よりも秀でた工業生産の破壊工作者である。なぜなら、役らは産業構造、工場設備、機械の仕組みをよく知っており、破壊活動を十分しやすい位置にあり、なにも知らない素人よりはるかに大きな損害を与えることができるからである。

 敵の輸送、通信網に関していえば、鉄道から手をつけ、破壊活動をして計画的に攻撃する必要がある。

 ただ一点注意すべきことは、乗客を、特に市外や遠く離れたところから列車で通っている通勤者を死なせたり、致命的な重傷を負わせてはならない。

 したがって貨物列車やあるいは積んである資材への攻撃、軍事輪送や通信網を停止させることなどを破壊工作の主要な目標にする必要がある。

 レールと同様枕木にも損傷を与えることもできれば、除去することもできる。トンネルを爆破したり、塞いだり、列車を脱線させて停止させれば、大損害を引き起こす。また、鉄橋をダイナマイトで爆破するのと同様に、燃料輸送列車を脱線させれば敵に重大な打撃を与える。車輌のような非常に重く大きいものの輸送機関は、破壊と損害を受ければ修理するには数ヵ月は要する。

 高速道路については、木や車で障害を築き、ダイナマイトで道路をガタガタにし、橋は爆破して機能を麻痺させる。

 港湾や河川の港に停泊したりドッグ入りしている船舶も破壊できるし、地上の飛行機も同様にできる。

 電信・電話網は電柱を爆破して電線を切断し、組織的に破壊することができる。

 ブラジルではすでに革命槻争戦争は始まっており、敵の武器・弾薬の移動を妨害することは必須であるので、輸送・通信網はまっさきに破壊しなければならない。

 油送管、燃料施設、爆弾・弾薬貯蔵庫、火薬庫、兵器庫、軍隊の兵舎は破壊工作上の絶好の目標となる。一方、軍事トラック、その他の軍隊・警察の車は見つけしだい破壊しなければならない。

 軍隊や警察の弾圧機関、その他特別の専門機関にも都市ゲリラの破壊工作者は日をつけなければならない。

 国内の北米人の会社や財産は、他の敵の致命的な個所を攻撃する以上に、強烈に何度も破壊工作の対象としなければならない。


 都市ゲリラ・ミニマニュアル(都市ゲリラ教程)」の「テロリズム」を転載する。

 テロルとは、巨大な破壊力を持つ爆弾・爆発物貯蔵所をも攻撃の対象にして、敵を回復不能にする行動である。

 テロルは爆発物の取り扱い方の理論上実践上の知識を必要とする。

 テロルは、明らかに器用な場合は別にして、一般に他の都市ゲリラ活動と同様に、革命的組織の計画性と決断力が必要である。テロルはもっとも醒めきった冷静さと決意を必要とする行動である。

 テロルは普通爆発物を用いるが、北米人の農園、倉庫、財産などの焼打ちや処刑を用いる場合もある。革命的テロルには、放火の意義、ガソリン爆弾のような焼夷弾の技術を知っておく必要がある。さらに、代償業者が貪欲に吸いとった結果生じた物資の不足、飢えの報復として彼らから強奪することは、人民を納得させる。このことは都市ゲリラの物資補給の上からも意義がある。

 テロルは都市ゲリラの必要不可欠な武器である。


 都市ゲリラ・ミニマニュアル(都市ゲリラ教程)」の「武装宣伝」を転載する。

 個々の武装行動を含む都市ゲリラ諸活動をうまく調整することは、武装宣伝を行なうための主要な方法となる。

 確定した目的をもって続けられてきたこれらの行動は、必然的にマスコミを通じての宣伝材料になる。

 銀行襲撃、待ち伏せ、脱走、武器強奪、政治犯の救出、誘拐、破壊工作、テロル、神経戦などがその好例である。

 ハイ・ジャック、あるいはゲリラ兵士によって船舶や列車を襲撃し捕獲すること、それらは非常な宣伝効果がある。

 しかし、都市ゲリラは秘密出版を無視してはならないし、ガリ版、複写機などを用いて反独裁のための宣伝・煽動のために地下新聞、パンフレット、ビラ、スタンプなどを作らねばならない。

 都市ゲリラは秘密出版物を利用することによって、厖大な人民を革命運動に参加させることができる。それは革命的な宣伝を続けていこうとする者が、永続的な闘いの火蓋を切っておとすことによって促進させることができるのである。たとえゲリラの行動が一人ぼっちの行動になろうとも、あるいは革命家としての危険を犯すことになろうとも、遂行しなければならない。

 都市ゲリラは創意工夫して、秘密出版物や煽動材料を反政府文書として手製ロケットカタパルトなどを用いて遠方にばらまくことができる。またそれをテープに録音し、放送局を占拠し、拡声器を用いて、あるいはじかに壁に書きつける等の方法により、遠方に宣伝することもできる。

 そうすることによって、都市ゲリラは、宣伝を通じて大衆に武装作戦の性格を知らせることができるのである。

 特定の人間に首尾一環して宣伝文書を送り続け、都市ゲリラの武装行動の意味を納得させることは、効果的な練果を生みだすだろうし、大衆の一部に確固たる影響を作り出す一つの方法にもなる。

 あらゆる可能な宣伝によってこれらの大衆の心を捕えたからといって、都市ゲリラ活動がこの人々すべてに肯定されるとは限らない。

 時には、人民の一部の支持をとりつけるだけでも十分である。このことは以下のスローガンを浸透させることによってなされうる。すなわち"革命家のために何もしようと思わない人間にはそれを強制するな!"と。






(私論.私見)