「都市ゲリラ・ミニマニュアル」その1

 (最新見直し2009.2.1日)

 (れんだいこのショートメッセージ)

 

 2009.2.1日 れんだいこ拝



 都市ゲリラ・ミニマニュアル(都市ゲリラ教程)」の「はじめに」を転載する。

 私は本書を次の人たちに捧げたい。まず憎むベき軍部独裁の手先である憲兵、陸・海・空軍、DOPS〔政治警察〕らの手で殺されたマルコ・アントニオ・プラスーデ・カルヴァーロ〔リオ・デ・ジャネイロの学生運動の指導者〕、ネルリン・ヨス・デ・アルメイダ〔リオ・デ・ジャネイロの労働運動の指導者〕、エドソン・ソウト〔同〕、その他多くの英雄的な戦士と都市ゲリラたちに。

 つぎに、ブラジル政府の中世期のような地下牢に閉じこめられ、ナチス以上の残虐な拷問に耐えている勇敢な同志たちに。

 われわれが尊敬する亡くなった同志たち、戦闘中に捕えられた同志たちが闘ったように、われわれも同様の闘いをしなければならないのである。

 軍部独裁政権に反対し、それと闘う意志のある同志は、たとえとるに足らないように見えようとも、何かできるものだ。この「教程」を読んで何かしなければならないという結論にいたった者は、ただちにここで学んだことを生かして闘いに加わってもらわなければならない。すべての革命家の義務は、革命をすることなのである。

 もう一つ大切なことは、自分だけがこの「教程」を読むのではなく、その内容を一人でも多くの仲間に伝えることである。そのためには、これを謄写版で刷るかパンフレットにすればよいと思う。しかしながら現在、そうした作業には武装闘争の背景というものが絶対的に必要である。

 この「教程」が私の著書として発表されるのは、ここに表現され体系づけられた考え方が、ブラジルや武装闘争を行なっている一グループの個人的な経験を反映しており、私も光栄なことにそのグループの一員だからである。この「教程」に述べられていることについて人が疑いを持ったり、いつまでも闘いの条件が熟していないなどといったりさせないために、書かれたことについての責任の所在をはっきりさせておかねばならない。このような文章では匿名にして責任をあいまいにすることは問題を残す。重要なことは、普通の兵士たちと同じように闘う用意のある愛国者たちが現に存在し、それは多ければ多いほどよいということである。

 奇襲、テロルという言葉は、かつてのように非難の意味では使われなくなった。こうした言葉は新しい色彩を帯びるようになった。それらはセクト主義や不信といった言葉とはちがい、魅力的な言葉である。今日、奇襲専門家あるいはテロリストと非難されることは名誉である。なぜなら、そうすることは、わが国の恥ずべき軍部独裁政権とその化けものどもに対して武器をとって闘っている革命家が行なうに値する価値あるものだからである。


 都市ゲリラ・ミニマニュアル(都市ゲリラ教程)」の「都市ゲリラの定義を転載する。

 ブラジルの特徴である支配体制の慢性的な危機、その結果生じた政情不安こそが、この国に革命戦争をもたらした原因である。革命戦争は都市ゲリラ戦、心理戦、農村ゲリラ戦といった形をとる。都市ゲリラ戦あるいは都市での心理戦は、都市ゲリラに依拠している。

 都市ゲリラとは、意表をつくやりかたで武器をとって軍部独裁政権と闘う者のことである。またブラジルの解放のために闘う革命家あるいは熱烈な愛国者であり、人民の友であり、自由の渇望者である。都市ゲリラが活動する地域はブラジルの大都市である。しかし無法者による襲撃が、都市ゲリラの襲撃と誤解されることもしばしばある。

 だが、都市ゲリラは無法者とは根本的に異なっている。無法者の目的は個人的な利益だから、搾取するものもされるものも区別しない。無法者の被害に一般の人たちが多いのはこのためだ。都市ゲリラは政治的目的のために行動を起こすのだから、政府と大資本家と外国の帝国主義者、とくに北アメリカ帝国主義者だけを攻撃する。

 無法者と同じように、都市ゲリラにとってまぎらわしい者は、騒乱を起こし、銀行を襲い、爆弾を投げ、誘拐・暗殺を企だて、都市ゲリラやファシズムに反対し、自由を求める革命的な牧師・学生・市民に悪い印象を押しつける右翼反動派たちである。

 都市ゲリラは、政府に対して非妥協的に敵対し、国家権力とその権力を行使する人間に対して組織的に打撃を与える存在である。

 都市ゲリラの主要な任務は、軍国主義者、軍部独裁政椎とその抑圧部隊を攪乱し、疲労困憊に落し入れ、士気を喪失させることである。それと同時に、北アメリカ帝国主義の手先である北米人と外国人支配者、およびブラジルの上流階級の富と財産を破壊することである。

 都市ゲリラほ現在のブラジルの政治・経済・社会機構を破壊することを決して躊躇しない。なぜなら、その目的は農村ゲリラを助けて武装した人民が権力を握るという、まったく新しい革命的な政治・社会機構を作ろうというのだからである。

 都市ゲリラは、政治的な最小限度の知識が必要である。そのために次の著書は必読書である。

 「ゲリラ戦争」(チェ・ゲバラ著)
 「テロリストの回想」
 「ブラジルについてのいくつかの問題」(マリゲーラ著)
 「ゲリラ戦の作戦と戦術」(同)
 「戦略的諸問題と原則」(同)
 「同志たちへの戦術上の諸問題」(同)
 「ゲリラ作戦」(同)
 「組織における諸問題」(同)
 ブラジル革命グループの新聞「オ・ゲリレイロ」


 都市ゲリラ・ミニマニュアル(都市ゲリラ教程)」の「都市ゲリラの資質を転載する。

 都市ゲリラは勇敢で決断力に富んでいなければならない。また優れた戦術家で腕のよい射撃手でなければならない。都市ゲリラは武器・弾薬・装備の不十分さを埋め合わせるに足る注意深い人間でなければならない。

 本職の軍人や国家警察は、近代的な武器・車輌を持っており、どこへでも自由由在に移動することができる。都市ゲリラほそのようなものを持たず、逆に隠密に行動する。都市ゲリラは時には囚われの身となり、永久に釈放されなくなる公算が強くなった場合、自己の信条に反した文書を書かなければならないこともある。

 にもかかわらず、都市ゲリラは普通の軍隊や警察より有利な条件も持っている。軍隊と警察は、人民に憎まれている敵として行動する。しかし、都市ゲリラは人民と同じ目的のために行動するのである。

 都市ゲリラの武器は敵の武器に劣るが、士気の点では比較にならないくらい優っている。

 この士気の高さこそが、都市ゲリラを支えている力なのである。それゆえにこそ、都市ゲリラは幾度も攻撃し、その戦火をくぐりぬけるという責務を果たすことができるのである。

 都市ゲリラにとって、闘争のための武器を得るためには、敵の武器を奪いとるか、かすめとるかしなければならない。都市ゲリラが入手する武器は、このようにさまざまな方法で入手したものだから、規格はそろわない。また、種々の武器を使用しなければならないので弾薬も不足がちになる。さらに都合の悪いことに、ゲリラには射撃や狙撃の練習をする場所がない。

 したがって都市ゲリラは、創意工夫をこらして、こういった困難を克服しなければならない。彼が革命家としての役割を果たすためには、個々の状況に応じて創意工夫できる資質をもちあわせていなければならない。

 都市ゲリラは、あらゆる状況をみわたせる位置につく能力や柔軟性とともに、戦闘のイニシャチプ、機動性・適応性を持たねばならない。つねにすべてを見通すことは不可能である。しかし、だからといって状況に応じた決定を躊躇することは許されないし、また上部の命令が届くまで待っていることも許されない。彼の任務は、直面するさまざまな問題に的確な解決を与えることであって、それを回避することではない。たとえ誤ちを犯しても、誤ちを恐れてなにもしないよりはましである。戦闘のイニシャチプなしには都市ゲリラ戦はありえないのである。

 その他、都市ゲリラの重要な資質は次のようなものである。足が達者で、飢え、渇き、雨、日射に耐えられること、身を隠す術を知り、注意深いこと、人目を欺く術にたけていること、危険を恐れないこと、昼でも夜でも同じように行動できること、性急に行動せぬこと、どこまでも忍耐強いこと、最悪の条件の下でも冷静であること、決して痕跡を残さないこと、決して意気消沈しないこと。

 しかし都市ゲリラ戦で途方もない困難に直面して弱気になり、任務を投げ出してしまう同志もいる。

 都市ゲリラは、商取引をするビジネスマンでもなければ、劇中の俳優でもない。都市ゲリラ戦は、農村ゲリラ戦と同様に、ゲリラが自ら誓ってやるものである。ゆえに困難を恐れる勇気のない者や忍耐に欠けると思う者は、誓約を破る前にそのような任務につくことをやめるほうがよい。そういった者は、ゲリラに必要な基本的な資質を欠いているからである。


 都市ゲリラ・ミニマニュアル(都市ゲリラ教程)」の「都市ゲリラはいかに生きのびるべきか」を転載する。

 都市ゲリラはいかに人民の間で生活するかを知らねばならず、一般の市民生活と比べて奇異に見られないようにまず外見に注意すべきである。他の人々とちがった服装をしてはならない。都市ゲリラの役割が労働者階級の隣人として生活する場合、高級な服装は決して好ましいものではない。労働者らしい服装を選ばねばならない。また、都市ゲリラが南部から北部に移動する場合も、やほり服装に注意すべきである。

 都市ゲリラは職について生計を立てなければならない。警察に知られ追及されている場合、有罪判決を下され恭順を宣誓して釈放された場合は、地下にもぐり、ときには隠れ暮さねばならない。そのような状況下にあっても、誰にも彼の行動を知らせてはならない。そのことは、彼が所属している革命組撒に対する責任でもある。

 都市ゲリラは観察能力に優れ、あらゆること、とくに敵の動きについて十分な情報を持ち、自分が生活し、移動し、作戦を行なう地域を熟知していなければならない。

 しかし、都市ゲリラの基本的かつ決定的な資質は、人知れず普通の機業人として生活することがほとんど不可能であるように見える条件の下ででも、武器をとって闘うことなのだ。ブルジョアジーから物資を調達する任務が必須であることはいうまでもない。そして調達のための武装闘争なしには都市ゲリラは生きのびることはできないのだ。

 こうして、必然的に激化する階級闘争において、都市ゲリラの武装闘争の目的は大きく二つにしぼられる。

  1. 軍隊および警察幹部の肉体的抹殺
  2. 政府・大資本家・大土地所有者・帝国主義者の財産の強奪、小規模のものは都市ゲリラ戦士の兵站用、大規模のものは革命の台所をまかなうためのものである。

 都市ゲリラの武装闘争がこれ以外の目的をも持つことは明らかである。しかしここでは、二つの目的のなかでも強奪について述べてみたい。

 都市ゲリラは、いつも次のことを心にとどめておく必要がある。彼の存在価値があるのは、彼が警察と抑圧者たちを殺したいと思い、大資本家・大土地所有者・帝国主義者の富を奪取したいと真剣で望むときだけだ。

 ブラジル革命の基本的な性格の一つは、最初からそれが貿易業者をも含めて、大資本家・帝国主義者・大土地所有者の富を奪いながら発展してきたことだ。

 そして、人民の主要な敵の富を奪うことによってブラジル平和勢力は彼らの中枢部をたたくことができる。すなわち銀行網を組織的に攻撃することによって、資本主義の中枢神経に対してもっとも有効な打撃が与えられるのだ。

 ブラジルの都市ゲリラによる銀行強盗は、モレイラ・サレスらのような大資本家、銀行資本と保険契約・再保険契約を結んでいる外国商社、帝国主義国の会社、連邦政府、州政府を痛めつけた。現在、これらすべてのものは組織的にその富を強奪されている。

 こうした強奪の勝利品は、都市ゲリラの訓練、武器弾薬の購入・生産、革命家の身辺保護、武力で牢獄から奪還された人たちや警察によって迫害され傷つけられた人たちの生計費、その他牢獄から逃れた同志たちや警察や軍部独裁政権によって殺された人たちに関するあらゆることに使われた。

 革命戦争の際限のない費用は、人民の抑圧者であり搾取者である大資本家・帝国主義者・大土地所有者、州・連邦両政府などに払わせてしかるべきである。軍部独裁と北アメリカ帝国主義の手先である政府の高官が、まず第一にブラジル人民に対する犯罪の償いとして命を差し出すべきである。

 ブラジルでは、処刑、爆破、武器弾薬の奪取、銀行や刑務所への襲撃などを含む都市ゲリラによる数数の暴力が、まったく疑いの余地なく、革命への現実的な目的達成にとって重要なのである。

 CIAのスパイであるチャールズ・チャンドラの処刑や、ベトナムの戦場からブラジルの学生運動に潜入するためにやってきたアメリカ軍人たちの抹殺、そして都市ゲリラによる反動的軍部の手先どもの殺害、これらはいずれもわれわれが革命戦争に従事しており、暴力的手段によってのみこの戦争が遂行されることの証拠である。

 これが、都市ゲリラが武装闘争を行ない、抑圧者の手先を殺しつづけ、人民を搾取する者たちから奪いつづける理由なのである。


 都市ゲリラ・ミニマニュアル(都市ゲリラ教程)」の「都市ゲリラの技術上の準備」を転載する。

 技術上の準備に特別の関心を持たない者は、都市ゲリラになれない。

 都市ゲリラの技術的な準備は肉体の訓練から始まって、あらゆる種類の技術、とくに手工業的な技術についての知識と習得につきる。都市ゲリラは組織的に訓練してこそはじめて物理的な戦闘能力が得られる。戦闘の技術を熟知していなければよい戦士にはなれない。だから都市ゲリラは、攻撃、個人防御など多種多様な戦闘について学び訓練しなければならない。

 肉体の訓棟に役立つことは、森林のなかで生存するためのハイキング、キャンプ、その他の訓練、登山、ボート、水泳、スキン・ダイビング、潜水夫としての訓練、釣り、モリ打ち、狩猟などである。

 自動車の運転、飛行機の操縦、モーターボートや船舶の運航を覚えること、ラジオ、電話、電気機器のメカニックを理解すること、電子工学についての知識を持つことは非常に重要である。

 器具もしくはその他の手段で自分の位置を知ったり、距離を推定して地図を作成し、縮図を書き、時問を計り、三角定規やコンパスを使ったりする地形学の知識もまた大切である。

 印刷技術や印鑑づくりの知識、習字や文字のコピーをマスターすること、その他の技術を身につけることも必要である。それは都市ゲリラが破壊しようとしている社会のなかで生きて行くために、偽文書を行使する必要もある技術上の準備の一つである。

 衛生兵の役目を果たさなければならない場合もあるので、医療看護、薬学、初歩的な外科医術、応急処置などの知識も持っていなければならない。

 しかし、都市ゲリラの技術上の準備で一番重要なのは、機関銃、リボルバー、自動小銃、FAL、さまざまなタイプの散弾銃、カービン銃、臼砲、バズーカ砲などの武器の使い方を覚えることだ。

 多くのタイプの弾薬や爆弾についての知識も大切である。爆薬のうちではダイナマイトの使い方をよく理解しなければならない。焼夷弾や発煙弾の使い方も無視できない初歩的な技術である。

 武器を作ったり修繕したりすること、火炎ビン、手榴弾、地雷、手製の破壊装置の作り方や橋を破壊したり鉄道を切断したりする方法を覚えることも、都市ゲリラの技術上の準備として欠かせないものである。

 都市ゲリラに最高水準の技術を習得させるために訓練センターがある。しかし初歩の試験に合格したもののみが、この学校に入学することを許される。すなわち、その初歩の試験の合格者とは、現実の戦闘という革命の炎のなかをくぐりぬけてきた者である。


 都市ゲリラ・ミニマニュアル(都市ゲリラ教程)」の「都市ゲリラの武器」を転載する。

 都市ゲリラの武器は軽火器である。通常、それは敵から奪ったり買ったりしたものである。軽火器は簡単に組み立てられるもので、取り替えが自由自在であるものでなければならない。軽火器の利点は取り扱いが簡単で持ち運びに便利だということである。一般に軽火器類は銃身が短いものである。これは自動火器についてもいえる。

 自動・半自動銃器はたしかに都市ゲリラの戦闘能力を強めた。しかし、この種の武器の欠点はコントロールがむずかしく、その結果弾薬を無駄使いしてしまうことだ。自動火器は狙いを定めて正確に射撃してはじめて効果がある。訓練不足の者が使用すると弾薬浪費器になってしまう。

 今までの経験から、都市ゲリラの基本的な武器は軽機関銃でなければならないことが明らかになった。軽機関銃は市内でも射撃が簡単で威力があり、敵には非常に恐れられている。機関銃は現在広く行き渡っており、都市ゲリラにとって欠かせないものである。よって都市ゲリラは、その取り扱い方を熟知しておかねばならない。

 都市ゲリラにとって理想的な機関銃はイナ四五口径である。口径の違う他のタイプの機関銃も、弾薬の問題を別として使えないことはない。都市ゲリラの武器生産能力次第では、単一の機関銃を製造し同一規格の弾薬を使用することも可能である。

 都市ゲリラの各戦闘グループには機関銃を持った射撃の名手がいなければならない。他のメンバーはわれわれの標準装備である三八リボルバーを備えなければならない。三二型も便利だが、一発で敵の行動力を奪う点からは三八型のほうがよい。

 手榴弾と普通の発煙弾は、援護や退却用に使われるものだから軽火器のうちにはいる。

 銃身の長い武器は人目につきやすく、都市での持ち運びは困難である。銃身の長いものにはFAL、マウサー銃、ウインチェスター銃などの猟銃がある。

 散弾銃は近くから小さな標的を狙う場合に有効である。特に夜間、照準が定めにくい場合、下手な射手にも役に立つ。圧搾空気銃は狙撃手の訓練に便利である。バズーカ砲、臼砲も作戦に使われるが、それを使うには準備が必要であり、十分訓練された者が使用しなければならない。

 都市ゲリラは重火器を使用する作戦を立ててはならない。重火器は機動性と敏速性が必要とされる型の戦闘においては障害となるからである。

 手製の武器は、普通の工場で製造された最良の品質の武器と同じほどにその効果を発揮する。銃身を切った散弾銃でさえも都市ゲリラにとっては上等な武器である。

 都市ゲリラにとって鉄砲鍛冶としての仕事も基本的なものである。銃砲鍛冶として武器の手入れをし修繕をする。例外をのぞいて、ゲリラは有効な小型武器を作るために小さな仕事場を設けることができる。

 冶金と旋盤の仕事は、都市ゲリラが手製の武器を使う場合、基礎的な技術となる。

 都市ゲリラは、この武器製造と爆破や破壊工作の計画を組織的に行なわなければならない。これらに必要な物資は、実験している余裕がないから、その代用に習熟する前に手に入れる必要がある。

 火炎ビン、ガソリン、焼夷弾、カタパルトや臼砲、鉄・パイプや空カンで使った手榴弾、発煙弾、地雷、ダイナマイトや塩化カリのような通常の爆薬、プラスチック爆弾、ゼラチンカプセル、あらゆる種類の弾薬、これらは都市ゲリラの任務遂行に不可欠なものである。

 これらを入手する方法は、購入もしくは計画的な強奪である。

 都市ゲリラはこうした爆薬類を長く置かぬよう注意し、決められた任務を果たすためすみやかに使用したほうがよい。爆薬類は長く置くと事故のもとになるからだ。

 都市ゲリラの武器とそれをつねに装備する能力とが、ゲリラの戦闘力を決定する。

 近代的な武器を利用し、武器の使用法を工夫することによって、都市ゲリラは市街戦でのさまざまな戦術を可能にする。

 その一例として、ブラジルの都市ゲリラが銀行襲撃に機関銃を使用した時の工夫がある。

 同一規格の機関銃が大量に使えるようになれば、都市ゲリラの戦術は新たなものにかわるだろう。規格のそろった武器弾薬を使う戦闘グループは、その補給が十分なされれば、かなり高い戦闘能力を持つことができるだろう。都市ゲリラは、武器の性能を改善することによって戦闘力を高める。


 都市ゲリラ・ミニマニュアル(都市ゲリラ教程)」の「射撃−都市ゲリラの必要条件」を転載する。

 都市ゲリラの必要条件であり、行動し生きのびる基本的な条件は射撃である。都市ゲリラは上手に射撃する方法を知らなければならない。なぜなら、都市ゲリラの戦闘は的確な射撃技術から始まるからである。

 通常の戦争では、戦闘は普通、射程の長い武器で行なわれるものである。その場合でも、しばしば敵と非常に接近して闘われることもある。都市ゲリラの場合はつねに後者の形態である。敵に発見されないために、先に発砲しなければならないし、的を外してはならない。弾薬をわずかしか持っていないため、弾丸を浪費することはできないのである。都市ゲリラは、各自それぞれ自分のことはすべて自分でしなければならない。都市ゲリラとは、そのような小グループの一員であるから、戦闘中に切れてしまった弾丸を、即座に補給することは不可能である。都市ゲリラは時間を無駄にせず一気に射撃できなければならない。

 ここで強調しておきたい特別重要なことは、都市ゲリラは、弾丸がなくなるまで撃ちつづけてはならないということである。

 敵はそのような場合、反撃をひかえ、ゲリラの弾薬が切れるのを待つだろう。そうすれば、弾薬が切れ、弾薬を補給する暇もなく敵の攻撃をうけ、その弾丸の雨にさらされ、捕まるか殺されるかである。都市ゲリラがしばしば武器を使用せずに敵と交戦しても、そこで驚くべき有効な手段をとることもできる。だが、ゲリラが射撃を知らずに戦闘に参加するような安易さは許されない。そして敵に出会った場合には、つねに動いていなければならない。一ヵ所にじっととどまっていることは、動かぬ標的と同じで非常に危険である。

 都市ゲリラの生命は射撃、つまり武器を扱う能力と弾丸をかわす能力如何によって決まる。われわれが射撃という場合、狙撃も当然含まれる。射撃は都市ゲリラの反射的な運動になるまで練習しなければならない。

 撃ち方と狙いのつけ方を学ぶために、都市ゲリラは、見よう見まねで標的を撃つ練習をすればよい。都市ゲリラは家族と公園で楽しみながらでも組織的に訓練しなければならない。

 射撃と狙撃は都市ゲリラの空気であり水である。

 完璧な射撃の技術を身につけたものは特別の任務をもった都市ゲリラとなる。個人行動には欠かせない自立の戦士、つまり狙撃兵である。狙撃兵は近距離・遠距離両方の撃ち方を知っており、それぞれに応じた武器を持っている。


 都市ゲリラ・ミニマニュアル(都市ゲリラ教程)」の「戦闘グループ」を転載する。

 郡市ゲリラが機能するためには、少人数のグループに組織されねばならない。ここでは四、五人を越えないグループを"戦闘グループ"と呼ぶ。

 二つの戦闘グループが"戦闘チーム"を形成する。戦闘チームは、他の武装チームからは隔絶され、一人または二人の人間によって指揮される。戦闘グループの間では隊員相互間に完全な信頼関係がなければならない。射撃が一番うまく、機関銃の扱い方をもっともよく知っているものが作戦の責任を持つ。

 戦闘グループは戦闘計画を立て、それを実行し、武器を入手・保持し、自分たちの戦術を練りかえしながら修正する。

 作戦司令部によって決められた任務がある時は、グループの戦闘計画よりこれらの任務が優先する。

 しかし、戦闘グループがイニシャチブをとらないような行動はありえない。だからこの戦闘グループに最大限のイニシャチプを持たせるために、組織の硬直化を避けることが大切である。伝統的左翼がもっている官僚主義的秩序のヒエラルキーはわれわれの組織にはない。作戦司令部から指示された優先的な目的がない場合はいつでも、どのグループでも、銀行襲撃および独裁制の手先、北アメリカのスパイの誘拐や処刑の決定、あらゆる種類の宣伝や敵に対する神経戦などを総司令部に相談なく行なってよいということである。

 戦闘グループは、上部からの命令があるまで行動しないようでは駄目である。戦闘グループを組織し、行動することを望むなら、どのような都市ゲリラ個人でも、自分の判断で行動すればよい。行動することによってその戦闘グループは組織の一部になるのである。

 この行動のやり方は、誰がどのような行動をしたかを知る必要ほない。というのは、イニシャチプは自由であって、ただ一つ重要なのは、都市ゲリラの行動力を増して政府を疲労させ、守勢に立たせることだからである。

 戦闘グループは組織的な行動の手足である。このなかで作戦や戦術が立てられ、成功裡に行なわれるのだ。総司令部はわが国のどこででも、グループの策略的な性格を持った行動を計算に入れている。総司令部は戦闘グループが困難に出会った場合や、特に必要とした場合に援助するのである。

 都市ゲリラの組織は、協同する戦闘グループ同士の断ち切ることのできないネットワークであり、それ自身も攻撃に参加する総司令部とともに機能する。それはただ革命のためにだけ存在する組織である。


 都市ゲリラ・ミニマニュアル(都市ゲリラ教程)」の「都市ゲリラの兵站」を転載する。

 通常の兵粘はCCEMで表現される。

  C――食糧 (comida)
  C――燃料 (combustivel)
  E――装備 (equipment)
  M――弾薬 (municoes)

 通常兵站という場合は、乗り物で移動し、固定した基地と補給線を持つ軍隊、または普通の武装部隊に適用される。

 都市ゲリラは軍隊ではなく、意識的に分散した小さな武装集団であるので、乗り物や固定した基地はない。彼らの補給線は不確かで不十分であり、家庭内の初歩的な武器工場以外に基地などというものはないのである。

 普通に考えられている兵姑の目的は、都市と農村の叛乱をゴリラどもが鎮圧するのに必要な軍需品を供給することだが、都市ゲリラの兵站は、通常の戦争とはちがって軍部独裁政権と北アメリカの支配に向けられた作戦と戦術を支えることを目的としている。

 ゼロから出発し、最初はどこからも支援を受けない都市ゲリラにとって、兵站とはMDAMEで表現される。すなわち、

  M――機動化 (mechanization)
  D――金 (dinheiro)
  A――武器 (arms)
  M――弾薬 (municoes)
  E――爆薬 (explosives)

 革命の兵站の基本的なものの一つが機動化である。機動化は運転手と不可分である。都市ゲリラの運転手は機関銃手と同じように重要である。どちらか欠けると、自動車も機関銃も死物同然となる。熟練した運転手は一日ではできないから、早くから練習しておかねばならない。優秀な都市ゲリラはすべて優秀な運転手でなければならない。車に関していえば、都市ゲリラは必要なものを強奪すべきである。すでに物資が整っていれば、車の強奪によって、さらに多様な獲得の方法が可能になる。

 現金、武器、弾薬、爆薬などは自動車と同じように強奪すべきである。都市ゲリラは見つけしだい銀行と兵器庫を襲い、弾薬と爆薬を奪うべきだ。

 こうした作戦は、たった一つだけの目的のために行なわれるのではない。襲撃の目的が金であっても、守衛が持っている武器を奪わねばならない。

 強奪はわれわれの兵站の組織化の第一歩である。それは武装と機動化を保障する。

 第二段階は待ち伏せやワナといった奇襲でもって敵の武器、弾薬、車輌などを奪い、兵姑を強化することである。

 さて、武器、弾薬、爆薬が手に入った場合、都市ゲリラがいつどんな時でもぷつかる重要な問題は、それらを隠す場所と、必要なところへ運んだり集めたりする適当な手段に関する問題である。これは道路が閉鎖され、敵が見張りをしていてもやりとげなければならない。

 都市ゲリラは地形をよく知っておくこと、この任務のために準備された偵察隊を使いこなすことは、革命派がいつも直面する兵站の問題を解決するうえで基本的なことである。


 都市ゲリラ・ミニマニュアル(都市ゲリラ教程)」の「都市ゲリラの技術」を転載する。

 一般的にいえば、技術とは人がなんらかの行動をする場合に行なう方法の組み合わせである。都市ゲリラの行動は、基本的にはゲリラ戦を行なうこと、心理戦を行使することである。

 都市ゲリラの技術は、五つの基本的要素から構成されている。

  1. 状況の特殊性に関すること。
  2. この状況にあった条件、緒戦の優位性で表現される条件に関すること。緒戦での優位性を失えば、都市ゲリラは目的を達成することができない。
  3. 都市ゲリラによって始められる戦闘の特定の目的に関すること。
  4. 都市ゲリラの戦闘の特徴的なパターンとタイプに関すること。
  5. 特殊な戦闘を行なう都市ゲリラの方法に関すること。

 都市ゲリラ・ミニマニュアル(都市ゲリラ教程)」の「都市ゲリラの技術の特徴」を転載する。

 都市ゲリラの技術は次のような特徴を持っている。

  1. 攻撃の技術。周知のように防御戦はわれわれの死を意味する。われわれは火力で敵に劣っているのだから、敵の集中攻撃に対し防御することは不可能である。これこそが、都市ではいつまでも同じ技術が適用しない理由であり、固定基地を持つことができずに、敵の反撃を撃退するために一ヵ所に長く留まることのできない理由である。
  2. 攻撃し退却する技術。そうすることでわれわれは戦闘能力を保存できる。
  3. 都市ゲリラ戦争を発展させる技術。それは敵を疲労させ、志気を奪い、混乱させる。一方、革命戦争のために決定的な役割を果たすことになっている農村ゲリラの出現と持続を可能にする。

 都市ゲリラ・ミニマニュアル(都市ゲリラ教程)」の「都市ゲリラの緒戦の優位」を転載する。

 都市ゲリラ戦争の原動力は、独裁政権の軍隊や警察部隊との武力衝突である。この衝突では警察のほうが力は優っており、ゲリラのほうが弱い。しかし、都市ゲリラのほうが力が弱いにもかかわらず、攻撃側になるということだ。

 軍隊と警察側は攻撃されると、はるかに強力な部隊を集めて都市ゲリラを追撃し、壊滅しようとする。もし都市ゲリラが緒戦の優位を勘定に入れ、それを自らの火力の弱さと物資の欠乏を補うのに利用することを知っていても、彼にできるのは敗北を避けることだけである。

 緒戦の優位とは次のようなことである。

  1. 敵の意表をつくこと。
  2. 敵以上に戦場の地理を知ること。
  3. 警察やその他の抑圧部隊に優る機動性を持つこと。
  4. 敵を上まわる情報網を持つこと。
  5. 状況を適切指揮して優れた判断力を示すこと。そうすれば味方は皆勇気づけられ、躊躇などしないし、他方、敵は砲火を浴びて応戦できなくなるだろう。

 都市ゲリラ・ミニマニュアル(都市ゲリラ教程)」の「奇襲」を転載する。

 都市ゲリラは全般的な弱さと武器の不足を奇襲によって補う。敵は奇襲の前になすすべもなく混乱し、壊滅する。

 ブラジルで都市ゲリラが開始されて以来の経験では、どんな都市ゲリラ作戦でも奇襲は必要不可欠であることが明らかになった。

 奇襲の技術は次の四つの基本条件からなる。

  1. 正確な情報と注意深い観察を通して、敵の状態を知っていること。反対に敵には攻撃者、攻撃の事実を知られないこと。
  2. 攻撃する敵の兵力を知る反面、敵には味方の兵力を知られないこと。
  3. 奇襲によって味方の兵力を節約・温存し、敵には奇襲をできなくして状況のなりゆきのままにさせること。
  4. 攻撃の日時・場所を決め、攻撃時間と目標を定めること。これは敵に知られてはならない。

 都市ゲリラ・ミニマニュアル(都市ゲリラ教程)」の「地理の知識」を転載する。

 地理は都市ゲリラにとって味方のようなものである。したがって自分の手のひらのように知っていなくてはならない。

 味方という意味は、地形の特殊性、高低、屈折、変化、公道、あるいは秘密の道、人が住まなくなった地域、その他を把握せよということである。そうすれば武装活動、徹退、援護、隠れ場所などに最大限に生かすことができる。

 袋小路、狭い道、その入り口、工車中の道路、車の検問所、軍隊の近辺、遮断された道賂、トンネルの出入口、その他敵が遮断できる場所、交差点、警察に監視・規制されている曲り角、信号、道路標識、戦闘での致命的失敗を防ぐため、これらすべてに完全に精通していなければならない。

 問題は包囲網をくぐり抜けることであり、敵を未知の土地に引きずり込み、迷わせることにある。

 大通り、街路、路地、出入口、交差点、抜け道、空地、地下道、上下水道などすべてに精通していることによって、警察にも知られない複雑な道を安全に通っていける。またそこで奇襲や待伏せ、ワナを仕掛けることもできる。

 地理に精通していれば、ゲリラはワナにかかることもなく、徒歩、自転車、自動車、ジープ、トラックなどを使用して通り抜けることができる。二、三人の小グループで活動すれば、前もって決めた場所と時間に集結できる。そして新たなゲリラ作戦を推し進め、警察の包囲の裏をかき、大胆に欺くこともできる。

 都市ゲリラが知り抜いている入り組んだ土地では、警察にとっては見えない者を抑え、抑えようのない者を制止し、誰かわからない者と交戦するようなもので、解決のしようがない。

 われわれの経験では、都市ゲリラの理想は、街並み、近隣の人々、交通網、その土地の特殊性を知り抜いている、自分の出身都市で活動することである。

 外から都市にやってきた土地に不案内な都市ゲリラは、グループの弱点になり、他人まで危険に巻き込む。重大な過失を防ぐため都市の地理を詳しく教えておく必要がある。


 都市ゲリラ・ミニマニュアル(都市ゲリラ教程)」の「機動性とスピード」を転載する。

 警察が追いつけないほどの機動性とスピードを捷得するには、以下の条件が必要である。

  1. 機動化
  2. 地理の知識
  3. 敵の通信網と輸送網を遮断または破壊すること
  4. 軽量な武器

 都市ゲリラは、包囲網から、機動化された車輌を使って、わずか数分のうちに注意深く行動し、すばやく退却する。

 都市ゲリラは行手を詳しく知らねばならない。このため、出口なき裏道に入り込んだり、交通マヒ、赤信号にぶつかって身動きできなくなったりすることを避けるために、あらかじめ予備訓練をしておく必要がある。

 警察は都市ゲリラが使用している脱出路を知らずに追跡する。

 したがって都市ゲリラが地理に精通しているためすばやく逃れるのに対し、警察は道に迷い、追跡をあきらめることになる。

 都市ゲリラは警察よりもはるかに精通した地理の知識にもとづいて行動を起こさねばならない。この方法の第一の利点は、追跡不能なほど距離を開けることができ、脱出を容易にする。

 以上の予備対策に加えて、敵の通信網を考慮せねばならない。この場合、電話線が敵の情報の連絡を断ち切るための第一の目標である。

 たとえ敵がゲリラ作戦についで知識があったとしても、敵は兵砧輸送を近代的な交通機関に頼り、そのため大都市の莫大な交通量のもとで時間的な損失を被らざるをえない。

 混雑した交通は敵にとって不利だが、別に敵を追い越す必要がないわれわれには逆に利点になる。

 味方の安全を確保し、痕跡を残さないようにするには、以下の方法がある。

  1. 他人の車を使ったり、他人に多少の迷惑や損害をかけても警察部隊の進行を妨害すること。この場合、正規の免許番号を使用したり、身許が割れるような方法で行なってはならない。
  2. 道路を木、岩、溝、贋の標識、行止まり、回り道、その他巧妙な手段を用いて遮断すること。
  3. 道路に手製の地雷を仕掛けたり、ガソリンや火炎ビンで敵の車を炎上させること。
  4. 追跡中の敵の車のタイヤやエンジンめがけて機関銃やFALなどで一斉射撃し、使用不能にすること。

 警察や軍部ファシストは自らの威厳を保つために、銃やその他で体の隅々まで重装備して攻撃をかけてくるだろう。それに対し都市ゲリラは、簡単に運べる軽火器を用いるので、つねに正面戦を避けて最大限のスピードで逃走できる。都市ゲリラには攻撃し、すぐ退却する以外に任務はないからだ。

 もしわれわれが過重な弾薬や武器で重装備するなら、貴重な機動性を失い、完全な敗北に身をさらすことになるだろう。

 われわれが機動化されている限り、敵が騎兵隊で攻撃してきても不利な点はない。車は馬よりも速い。したがって車中から騎兵を狙うことともできるし、機関銃、火炎ビン、手榴弾を使って粉砕することができる。

 もちろん、歩行中の都市ゲリラでも、騎馬警官を狙うことは難しくはない。のみならず、道路に張ったロープ、ビー玉、コルクでも、彼らを落馬させるのに有効な手段となる。騎馬警官の大きな欠陥は、馬と騎手との両方を絶好の的にされるということである。

 ヘリコプターは、騎馬隊よりも速いからといって、追跡する場合に優れているとは限らない。馬が都市ゲリラの車よりも遅すぎるとすれば、ヘリコプターは速すぎる。時速二百キロメートルのヘリコプターでは、地上の人混みやたくさんの車のなかの目標に向かって射つこともできないし、逮捕するために街路に着陸することもできない。さらに低空飛行をしようとすれば、たえず都市ゲリラの恰好の餌食になる。


 都市ゲリラ・ミニマニュアル(都市ゲリラ教程)」の「決断」を転載する。

 都市ゲリラにとって意表性、迅速性、地理の知識、情報などを得る場合、それが自分に気に入っただけのものであるのなら不十分である。いかなる状況のもとでも見通しや決定に対して遂行しうることを示さなければならない。これなくしては、他の利点があっても役に立たなくなるだろう。

 たとえ計画はよくできていても、確信がなく、優柔不断で躊躇していることをさらけ出すなら、十分に行動に移すことはできない。 たとえ成功裡に作戦が開始されたとしても、もしある状況の見通しや決定の遂行能力が突際の計画の実行過程で動揺するならば、敗北に終わることもありうる。見通しや決定の遂行能力に欠ける場合には、動揺や恐怖をもたらすことになり、敵はこうした失敗につけ込み、われわれを一掃することができるようになる。

 いかなる作戦においても、成功の鍵は、それが単純なものであれ複雑なものであれ、あるいは容易なものであれ困難なものであれ、決意した人間にかかっている。厳密にいうならば、作戦に容易なものなどありえない。すべてもっとも困難な場合を想定して、訓練した注意力をもって遂行せねばならない。それには各個人の資質の検討から始めねばならない。すなわち、訓練にはつねに指導性と決断力を必要としていることを意味している。

 ゲリラの参加者は、作戦準備期間中にでも作戦が成功するか否かを見通すことができる。接触を指示することに失敗したり、混乱しやすかったり、忘れっぽかったり、任務の基本的なことを完遂しえなかったりする未熟な者は、優柔不断にならざるをえないし、危険であろう。それらに当てはまらないことはいいことである。

 決断とは、大胆で厳密な計画を実行に移すことである。すなわち、一切が失敗に帰すことになる場合も恐れない人間こそ必要としているのである。






(私論.私見)