れんだいこ |
「ジャーナリスト緊急集会アピール」は好意的ですね。 |
再来生田 |
11.28日付けの「ジャーナリスト緊急集会アピール」は、次のように述べている。
「今回の請願デモが政府の予想や、主催者の予想さえも上回る盛大な集会となったことは、日本国民の間に安保改定阻止の世論が急速に高まっていることを示すものであり、今回のデモの最大の意味もまさにそこにある、と我々は考えるものである。この事実の前には、多少のいわゆる『混乱』があったとしてもそれは主要な側面ではない。ところが現状は政府与党ばかりか民主勢力の一部までもこのデモが国会構内に突入したことを大げさに非難し、そこに重要な問題があるかのように論議されている。本末転倒もはなはだしい」云々。 |
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れんだいこ |
国民会議・社会党・総評は、突入デモ隊を非難し、全学連に自己批判を要求していますね。 |
S |
11.28日、国民会議は全学連に対して自己批判を要求してきました。30日に開かれた幹事会は、全学連の国民会議からの離脱を求めるという社共両党の申し入れを検討しています。但し審議の結果、「これまで通り統一行動に含めていく」ことを決定した。
ところが、12.3日、総評の共闘会議、国民会議の幹事会、社会党の執行委員会が開かれ、国民会議では、日共が音頭を取って社会党を巻き込み、「全学連との共闘での国会デモやるな論」を執拗に主張した。 |
れんだいこ |
日共党中央はどのように反応したのでせう。 |
**氏 |
日共の反応は早いし、一番はっきりしている。 |
ト書き |
座の一堂一斉に笑う。 |
再来生田 |
日共は、翌日常任幹部会声明「挑発行動で統一行動の分裂をはかった極左・トロツキストたちの行動を粉砕せよ」を掲載し、ただちに事件を非難する声明を発した。突入デモ隊を非難し、これを専ら反共・極左冒険のトロツキストの挑発行動とみなしていた。アカハタ号外を出し全都にばらまいた。
その時の文面は次の通り。
概要「全学連指導部は、トロツキストが多数を占めており、民主運動の中に潜り込んでいる陰謀的な挑発者集団であり」、「反共と極左冒険的行動を主張していたトロツキストたちは、右翼の暴行や警官の弾圧などによって緊張した状況を逆用して挑発的行動にいで、統一行為を乱す行為に出た」。 |
「自民党、岸内閣は、あらかじめこのようなことを計算に入れていた、だから彼らはこの状況を逸早く利用して、一挙に反動的宣伝と弾圧の強化に乗り出してきた」云々。 |
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れんだいこ |
典型的な宮顕話法ですね。 |
再来生田 |
以降連日、「トロツキスト集団全学連」の挑発行動を攻撃していくこととなります。
概要「トロツキストが挑発的な極左冒険主義をもって民主運動の統一行動の統制を破壊し、それによって反動勢力に対して民主運動全体に対する中傷と弾圧の口実を与えるようなことに対して断じてこう手傍観してはならない」、「共産主義者同盟とか社会主義学生同盟に巣食うトロツキスト集団に対しては、彼らが学生であると否とに関わらず、民主陣営からの追放のために闘わなくてはならない」云々。 |
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れんだいこ |
あまりのえげつなさに、当時党中央の指導に服していた全学連反主流派の指導者黒羽純久をして、「これは何ものかが共産党の名入りでデッチあげた怪文書であるとさえ感じさせるものであった」と伝えられていますね。 |
再来生田 |
この声明に対して、共産党港地区委員会は中央に抗議声明を発し、27日の全学連デモを支持しております。都議員団はじめ多くの党組織からも全学連事務所に激励のメッセージが寄せられました。
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れんだいこ |
この当時は今みたいに馬鹿ばかりではないということですね。 |
S |
中国の中国人民世界平和保衛委員会は好意的に論評していました。次のような挨拶を総評に送っている。
「日本の安保阻止第8次統一行動は、日本人民の闘争のたかまりを示しており、日本軍国主義の復活に反対し、米日軍事同盟に反対する日本人民の意思を力強く表明している」(12.1日北京放送) |
また、中華全国総工会も次のように声明している。
「第8次統一行動の中で示した勇敢な、そして団結の精神に対して敬意を表する」。 |
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れんだいこ |
それがごく普通というか当たり前の論評だと思いますがね。 |
島 |
「・・・・・」。 |
れんだいこ |
さて、全学連各派の受け止め方を見ておきませう。まずは民青同です。 |
れんだいこ |
民青は次のように総括 している。
「自民党は、この事件以降、絶好の反撃の口実を与えられ、ジャーナリズムを利用しながら国民会議の非難の大宣伝を開始した。総評・社会党の中には、統一行動そのものに消極的行動になる傾向すら生まれたのである。運動が高揚期にあるだけに、一時的、局部的な敵味方の『力関係』だけで、戦術を決め、行動形態を決めることが、闘いの長期的見通しの中で、どういう結果を生むか、という深刻な教訓を残した」(川上徹「学生運動」)。 |
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今日でも川上さんが同じような総括するのかどうか分かりませんが、れんだいこにはおかしな総括の仕方であるように思われます。一つはブントに対する「為にする批判」でしかありませんね。
一つは運動の経過には高揚期と沈静期が交差して行くものであり、全体としての関連なしにこの時点での一時的後退をのみ部分的総括していることに対する反動性です。事実、翌60年より安保闘争がるつぼ化することを思えば、この時点での一時的沈静化を強調し抜
く姿勢はフェアではないですね。後一つは、それでは自分たちの運動が何をなしえたのかという主体的な内省のない態度が問題でせう。大人びた物言いする割には中身がないのが特徴です。
60年安保闘争後ブントは基本的に散ります。ならば、どう闘いを組織し、どこに向かえば良かったのだろう。このような総括なしにブント的闘争を批判する精神は生産的でないでせう。実際このような批判を行う川上氏らが民青同系学生運動を指導して如何なる70年安保闘争を闘うことになったのか。川上氏らはこの時のブントにまさる何かを創造しえたのだろうか。つつがなく70年安保が終えて、後は自身が査問されていく例の事件へ辿り着いただけではなかったのか。それを思えば、「恣意的な批判の愚」は慎まねばならない、いずれ自身に降りかかってきたとき自縛となる、と私は思う。
ある意味で、ブント系学生運動と日本共産党の指導する民青系の運動は、いわば気質的な差でもあったと思われますね。ブントは、どんな闘争でも正面から立ち向かい、決定的な勝利を求めてトントンまで闘おうとします。が、民青にとっては、闘争は勢力拡大のチャンスとして利用するものでしかない。一言でいえば急進主義と穏和主義の気質の差でせうね。
民青の「挑発に乗るな」とか「敵を利する」という口実は、宮顕直伝の闘う者に敵対していく詭弁であり、時代が下るにつれて病膏肓に入つて行きます。 |
ト書き |
座の一堂一瞬ざわつく。 |
れんだいこ |
革共同はどう対応したか。関西派と黒寛派に違いがありますね。 |
S |
革共同関西派の徳江和雄全学連中執ほか10名の中央執行委員は、12.6日、「11.27闘争と今後の方針」という声明を出して、社共.総評の議会主義的見地からの批判を非難し、他方でブントの国会突入をも批判している。 |
れんだいこ |
革共同黒寛派はどう対応したのでせうね。残念ながら手元に資料がありません。 |
**氏 |
革共同も、「国会包囲.国会乱入戦術の反労働者的、欺瞞.犯罪的役割をバクロせよ」、「労働者と切り離された学生の国会乱入、極左戦術と闘え」と、全学連のブント指導を批判した。
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れんだいこ |
そうですか。もっとも後の経過から見て、黒寛と本多氏との間で見解が異なっていた可能性が強いですね。 |