原水禁運動の歩み(7)、2000年代以降

 更新日/2024(平成31.5.1栄和改元/栄和6).1.30日

 これより前は、「原水禁運動の歩み(6)、1990年代」に記す。

 (れんだいこのショートメッセージ)
 ここで、「原水禁運動の歩み(7)、2000年代以降」を確認する。「原水禁運動の歩み(1)(ヒロシマ・ナガサキから原水禁運動の分裂まで)」、「原水禁運動の歩み(2)(原水禁国民会議の結成から統一大会前まで)」、「原水禁運動の歩み(3)(禁・協の統一行動からその崩壊まで)」、宮地健一「核・原子力問題にたいする共産党3回目の誤り(1)1963年→(2)1984年→(3)2011年運動・理論面での反国民的な分裂犯罪史」その他を参照する。
 「原子力・核関連年表」参照。
 「核・原子力関連年表5(2001~2002年)
 「核・原子力関連年表6A(2003年1~6月)
 「核・原子力関連年表6B(2003年7月~12月)
 「核・原子力関連年表7A(2004年1月~)
 「核・原子力関連年表7B(2004年7月~12月)
 「核・原子力関連年表8A(2005年1月~)
 「核・原子力関連年表8B(2005年7月~)
 「核・原子力関連年表9A(2006年1月~)
 「核・原子力関連年表9B(2006年7月~)


2000(平成12)年
(私論.私見) この年、

 1月 8日 ロシア、臨界前核実験実施。   
 1月13日 「原爆の絵」の丸木俊、死去。   
 2月 3日 米国、臨界前核実験実施。   
 2月 4日 ロシア、臨界前核実験実施。   
 2月22日 日本の中部電力、三重県の芦浜原子力発電所計画を断念。   
 3月14日 ロシアとオランダ、ロシアの旧式ミサイル弾頭と原子力潜水艦の解体に協力することで同意。   
 3月18日 台湾の総統選挙で、民主進歩党の陳水扁候補が当選。   
 3月22日 米国、臨界前核実験実施。  
 4月、第6回NPT再検討会議で、「核兵器国は、保有核兵器を全廃するという明確な約束を行う」などの軍縮措置を盛り込んだ最終文書に合意。 
 4月15日 ロシア連邦下院、STARTⅡを承認。   
 4月19日 ロシア連邦上院、STARTⅡを承認。   
 4月21日 ロシア連邦下院、CTBTを承認。   
 6月 1日 米国、ロスアラモス研究所で、核兵器データを入れたハードディスクが紛失する事件が発生。17日に施設内で発見される。   
 7月、GE社の社員が、通産省に東京電力の原子炉点検についての疑惑を告発。 原子力安全・保安院は、告発者の身元を保護するため、密かに調査を開始する。   
 8月 1日 米国、臨界前核実験を地上の研究施設で実施。   
 8月 2日 米国公文書館で、沖縄返還時の「有事の核持込み密約」が発見される。   
 8月12日 ロシアの潜水艦K-141クルスクが、演習中に訓練魚雷の爆発と誘爆で、バレンツ海に沈没。118人全員が死亡。ロシア政府、英国の救援申し出を拒否し、国内で問題化。   
 8月14日 ロシア、広島,長崎の原爆投下直後の現地調査団報告書を公開。   
 8月18日 米国、臨界前核実験実施。   
 8月28日 ロシア、臨界前核実験実施。9月3日までにさらに2回実施。   
 8月30日 ナショナル・セキュリティ・アーカイブ、60年代の日米安保密約を入手公開。   
 9月13日 中国に対する核技術漏洩事件で逮捕された中国系米国人科学者ウェンホー・リーを司法取引で釈放。   
 9月24日 ベラルーシで、原爆で焼残った浦上天主堂のマリア像を展示。  
 10月20日 ロシア、臨界前核実験実施。  
 10月27日 ロシア、臨界前核実験実施。  
 10月27日 米国、ロスアラモス国立研究所、戦略核弾頭の大幅削減可能と提案。  
 10月、台湾行政院、原子力発電所建造中止を決定。予算を通した立法院と対立し、大法官会議での審議へ。  
 11月 1日 国連総会軍縮・安全保障問題第一委員会で、新アジェンダ連合提案の核廃絶決議を圧倒的多数の賛成で採択する。  
 11月17日 インドは原爆86発分のプルトニウムを、パキスタンは原爆36発分のウランを保有。  
 12月、チェルノブイリ発電所閉鎖。     

 この年、NATO軍内部でユーゴ紛争時の劣化ウラン弾使用が問題化する。

 1961~1980年の年表へ戻る 2001年~の年表へ進む 目次へ戻る

2001(平成13)年
(私論.私見) この年、

 1月 6日 日本、省庁再編に伴い、原子力安全・保安院が発足。
 1月24日 東京電力社長、新潟県刈羽原子力発電所のプルサーマル計画で、住民投票により反対多数なら計画中止と発表。5.27日、柏崎刈羽原発でのプルサーマル計画実施の賛否を問う住民投票で反対多数の結果がでる。
 1月28日 米国新政権、米朝核合意を見直すことを決定。
 1月31日 日本、14道府県で原子力災害時の相互応援協定が発効。
 2月10日 ハワイオアフ島沖で、米原子力潜水艦グリーンビルと愛媛県宇和島水産高校の実習船が衝突。実習船「えひめ丸」が沈没。9人が行方不明に。
 3月18日 台湾の屏東県にある第3原子力発電所で停電事故。予備電源も故障する。台湾政府、第三類A級「無放射性物質外洩的廠區緊急事故」と認定。
 3月30日 スウェーデン原子力監視局が、1950年代にスウェーデン政府が核開発を行い、核保有能力を持っていたことを発表。
 4月30日 国連欧州経済委員会(ECE)は、カザフスタン全土の大半が放射能汚染されてると発表。カザフ平均で、地球平均(2・4ミリシーベルト/年)の2~3倍と推定。セミパラチンスク456回、アズキル17回などの核実験、バイコヌールから発射されたロケットの残骸、農業貯水池造成、液化天然ガス地下貯蔵庫建設の核爆発掘削や地質調査など32回の核爆発による汚染である。
 5月16日 米政府、エネルギー不足が深刻化しているため、原子力政策を見直し、条件付で推進を決定。
 5月19日 フィンランド国会、世界初の核燃料最終処分場建設を承認。地下500mの岩床内に半永久的に貯蔵。
 6月12日 独政府と電力会社代表が20年後めどに原発全廃の協定書に正式調印。
 7月16日 英国の原発で燃料棒落下事故。核燃会社で使用済みと交換中。極めて強い放射能を帯びた12本未発見。放射能漏れ否定。
 7月18日 ITER国際共同実験核融合炉最終設計案がまとまる。建設・実験で5000億円規模。
 7月28日 ITER国際共同実験核融合炉建設誘致に、国内からは、苫小牧、六ヶ所、那珂の3地域が立候補。
 8月 2日 米下院でエネルギー法案が通過。原発の拡大や石油・天然ガスの増産盛り込む。
 8月 6日 50年代に英のNZでの水爆実験に参加した元兵士らが英政府に賠償請求。
 8月 6日 中国国営企業がパキスタンにミサイル部品を供給と米紙報道。核弾頭の装着可能な「シャヒーン」のトラック輸送を確認。
 8月 9日 スイス連邦公文書館所蔵書簡から、トルーマン大統領が原爆使用は一発のつもりだったと発言していたことが判明。
 8月23日 ブッシュ米大統領、ミサイル防衛の開発予定に合わせて弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約から脱退すると明言。
 8月24日 中国政府、中距離核ミサイルCSS2(東風3)の発射実験を実施。モンゴル国境に着弾。
 9月 2日 米国、ミサイル防衛計画推進のため、中国の核戦力の小規模増強と地下核実験の再開について譲歩とNYタイムズ紙が報道。
 9月11日 米国で同時多発テロ。米政府は即日、原子力空母ジョージ・ワシントンを米東岸防空任務に就かせる。
 9月26日 米国臨界前核実験。ブッシュ政権下では初めて。
 9月27日 新潟県柏崎刈羽原発4号機の再生熱交換器内の管の損傷について、東電は、4本が破断し、2本に亀裂が入っていたことを明らかにする。
 9月29日 茨城県東海村で原子力防災訓練実施。臨界事故から30日で2年を迎えるのを前に。
10月 5日 米国、テロ組織との戦いのため、ミサイル防衛構想を延期。
10月 5日 米海軍、原潜と衝突し沈没した実習船えひめ丸の船体のつり上げ作業を開始。
10月10日 経済産業省、日本原子力発電の敦賀原発3、4号機増設に伴う環境影響評価準備書について、環境配慮を求める勧告を行う。
10月24日 バレンツ海で沈没したロシア原潜クルクスの移動作業が完了。艦内捜索と原因究明が始まる。
10月25日 ロシア軍参謀本部、テロ集団が同国核弾頭保管施設に対し、過去8か月間に2度、偵察を試みて失敗したことを明らかに。
10月29日 ロシアのクレバノフ副首相、原潜クルクスの沈没原因を魚雷の爆発と発表。艦内から遺体収容。
10月31日 茨城県大洗町にある核燃料サイクル開発機構の高速増殖実験炉「常陽」のメンテナンス施設で火災。またも連絡が遅れる。
11月 7日 中部電力浜岡原発1号機が配管破断事故で原子炉を停止。炉水漏れ。
11月10日 パキスタン大統領、インドとの間で核実験禁止条約を締結する用意があると発表。
11月13日 米ロ首脳会談。米が約7000個の戦略核弾頭を今後10年間で1700~2200個に削減することを表明。プーチン露大統領も「同じように対応する」と述べる。
11月20日 フランス政府、使用済核燃料再処理施設周辺でのミサイル配備を強化すると決定。
11月21日 フランス政府、アフガニスタン派兵に関し、原子力空母の派遣を決定。
11月26日 ブッシュ米大統領、大量破壊兵器を開発して他国を脅かすようなことをすれば、責任を問われることになる、と発言。
11月27日 パキスタン政府、タリバンに関係したとして、核技術開発科学者2名を拘束。
11月30日 米国政府、北朝鮮に対し、IAEAによる核査察の受け入れを要求。
11月 原子力安全・保安院は、2000年7月にGE社員から密告のあった東京電力の原子炉点検報告書の疑惑について、GE社員が会社を退職し、協力の申し出があったため、本格的な調査に乗り出す。
12月 3日 米軍、ミサイル迎撃実験実施。
12月11日 米政府、ABM制限条約脱退通告を近くロシアに対し行うと発表。
12月13日 米政府、ABM制限条約を脱退。ロシアと中国の首脳が、米国のABM条約脱退に関して電話会談。ロシア政府、これを非難する声明。NATO事務総長は脱退を支持する声明。
12月13日 米政府、臨界前核実験を実施。15回目。
12月14日 ドイツ連邦議会、原子力発電所全廃法案を可決。
12月16日 北朝鮮政府高官らが、韓国を訪問し、原子力施設を視察。

2002(平成14)年
(私論.私見) この年、

 1月 1日 インドとパキスタン、核基地不攻撃協定を更新する。
 1月 4日 米国防総省、弾道ミサイル防衛局をミサイル防衛庁に格上げする。
 1月 9日 米国防総省が、核戦略の変更として、核配備見直し報告概要を発表。核兵器依存型戦略を修正することに。非核兵器国にも核兵器を使用するなどとする「核態勢見直し(NPR)」報告の序文を発表。
 1月25日 インド軍、中距離弾道ミサイルの発射実験を実施。パキスタン政府、非難声明。
 1月26日 米軍、海上発射型のミサイル迎撃実験に成功。
 1月29日 ブッシュ米大統領、一般教書演説で、大量破壊兵器の開発疑惑があるとしてイラク、北朝鮮、イランを「悪の枢軸」と名指し批判。
 1月30日 インド軍、短距離ミサイルの発射実験を実施。
 2月12日 パキスタン大統領、インド政府が核実験を行う可能性を指摘。
 2月14日 アメリカ政府、ネバダ州で臨界前核実験を実施。イギリス政府も初めて参加。
 2月15日 ブッシュ米大統領、ネバダ州ユッカマウンテンの使用済み核燃料貯蔵施設建設勧告を承認。エネルギー省の勧告を受けたもので、米国内の103の原発から出る使用済み核燃料1万年分を貯蔵できる。
 2月16日 アメリカ軍、ミサイル迎撃実験に失敗する。
 2月18日 ミサイル防衛などについて、日米外相会談。
 2月18日 アメリカとロシア、核戦略削減外務次官級協議を開始。
 2月21日 米中首脳会談。戦略的対話強化で一致。
 2月28日 米国立公文書館、ベトナム戦争時代末期(1972年)のニクソン大統領の電話録音テープを公開。大統領がベトナムを核攻撃したいとキッシンジャー大統領補佐官に相談し、補佐官が反対している内容。
 2月28日 米国厚生福祉省、過去の核実験の健康面に及ぼした影響を発表。
米国内でのガンによる死亡者のうち1万5000人が核実験の放射性降下物の影響による、1951年以降に生まれた致命的でないガン患者のうち2万人が核実験の放射性降下物の影響を受けている可能性が高い、といった内容。
 3月 3日 米国政府、核テロに備えて、米国東海岸の地下に「影の政府」を発足させていたことが議会で取り上げられる。
ワシントンから離れた場所で、100人程度の職員を90日交替で勤務させるもの。冷戦時代に立てられ実行されなかった計画を元に、同時多発テロ以降設置したという。
 3月 4日 米国政府、同時多発テロのあと、核テロに備え新型の核物質探知装置を配備していたことが判明。
 3月 4日 ベルギー政府、原発を緊急電力用を除いて全廃することを決定。
 3月 5日 夜11時頃、広島平和記念公園の原爆慰霊碑に赤色のペンキがかけられる。
 3月 9日 米国政府、7ヵ国を対象とした核攻撃計画の策定と、小型戦術核兵器の開発を軍に指令と報道。
7ヵ国は、ロシア、中国、北朝鮮、イラク、イラン、リビア、シリア
 3月10日 米政府、議会に地下の生物・化学兵器貯蔵庫を破壊する戦術核兵器の開発を提案。
 3月16日 米軍、囮弾頭を増やして難易度を上げたICBM迎撃実験を行い成功する。
 3月18日 関西電力で使用予定だった容器データ捏造のMOX燃料の英国への返還が国交省から承認される。
 3月19日 核燃料サイクル開発機構と日本原子力研究所は、原子力主要19施設の解体・廃棄物処理費用を算出。両法人の試算では、計1兆3000億円がかかることが判明。核燃が約7割で、残りが原研施設。
 3月20日 米政府、北朝鮮の核合意遵守を認定せず。
 3月22日 米政府、2012年までに実戦配備の戦略核弾頭を1700~2200まで削減するとの報道。一方で、緊急時対応の予備核弾頭2400発の保管の方針も定めるとする。
 3月26日 4月18・19日に、国連事務総長とイラク政府の間で、大量破壊兵器査察協議を再開することが決定。
 3月27日 オークションで、アインシュタインの原爆開発示唆の書簡とエノラゲイ号の副操縦士のメモが落札される。
 3月29日 米政府の核配備見直し案一部公開。非核国の核攻撃対象や核実験再開なども視野に入れるという。
 4月 2日 北陸電力志賀原発1号機が調整運転中、原子炉再循環ポンプの一つで軸の振動が不安定になり運転を停止。
 4月 4日 東海第2原子力発電所で、給水トラブル。
 4月 5日 米国、放射性物質をまき散らすダーティボムの製造防止対策の強化に乗り出す方針を発表。通常の爆弾に放射性物質を詰め込んでまき散らすもので、核兵器とは違うが、一定の範囲に深刻な汚染を引き起こすので、テロに使われるおそれがある。
 4月 8日 パキスタン大統領、ドイツ誌のインタビューで対インド問題で最後の手段として核使用もあると言明。
 4月10日 新型転換炉「ふげん」で施設内に地下水がしみこんでいるのが発見される。
 4月12日 パウエル米国務長官とイワノフ露外相が、5月の核削減米ロ交渉の準備会談をマドリードで行う。
 4月15日 核燃機構とロシアの研究機関が、ロシアの核兵器解体で生じた余剰プルトニウムを民生用原子炉で燃やす実験に成功。
 4月15日 ロシア政府、大量破壊兵器の宇宙配備を禁じた宇宙条約の強化を求める方針を表明。
 4月16日 英国防省、原子爆弾の製造方法を解説した文書を開示。
 4月18日 前年11月、岩手県の高校で授業中に生徒一人が急性放射線皮膚炎になっていたことが判明。物理のX線透視の授業中に、教師が希望する生徒の指にX線を照射し骨を見るなどしたため。
 4月19日 伊方原発で一次冷却水漏れ事故がありシステム停止。
 4月23日 米ロ核兵器削減次官級協議、進展なく終了。
 4月29日 ロシア、世界最初のソ連型原発オブニンスク発電所を閉鎖。跡地を原子力博物館にすることを決定。この施設は、1954年から稼働。
 5月 3日 米ロ外相会談で、核兵器削減に関する協議が進展。
 5月 5日 柏崎原発で、タービン制御の異常による復水器トラブルのため、運転の出力を手動で落とす。
 5月 6日 米国、大量破壊兵器の開発を進めている国家のリストにリビア、シリア、キューバを追加。
「悪の枢軸」発言の続編「悪の枢軸を超えて」発言。テロ支援国の意味も含まれる。
 5月 7日 原子力安全・保安院、核燃機構の提出した高速増殖原型炉もんじゅの改造内容は、国の安全基準に適合と認める。
 5月 7日 前年11月の浜岡原発事故に関し、中部電力は社長ら4人を減給処分。
 5月 7日 放射線被爆による生殖異常の影響は、被爆していない孫の代まで残ると、英国レスター大学の研究者らが発表。
 5月13日 米大統領、23日予定の米ロ核戦略削減条約協議の削減案に合意したと声明。
 5月16日 1999年にインドとパキスタンの間で核戦争の一歩手前まで言っていたことが判明。クリントン政権時代のNSC上級南アジア部長のレポートによると、同年7月の紛争の際にパキスタンが核搭載可能のミサイルを配備したという。
 5月19日 米大手電力会社テネシー峡谷開発、運転停止中のブラウンズ・フェリー原子力発電所1号機の運転再開を決定。
 5月24日 フィンランド議会、二酸化炭素抑制のため5基目となる原子力発電所の新規建設を承認。
 5月24日 米ロ首脳、戦略核ミサイルを6000発から1700~2200発に削減するモスクワ条約に調印。
ただし、これは弾頭をはずして保管することも可能な内容になっている。
 5月25日 運転再開したばかりの浜岡原子力発電所で水漏れが発見され、運転停止に。
 5月25日 パキスタン、核弾頭搭載可能な中距離ミサイル「ガウリ」の新型の発射実験を行う。射程はインド全域。
 5月26日 パキスタン、前日に続き、核搭載可能な短距離ミサイル「ガズナビ」の発射実験を行う。
 5月26日 イラン、アメリカの批判後もロシアが引き続きイランに核技術協力を継続していることを評価。
 5月27日 米紙は研究機関の試算として、印パ核戦争が勃発した場合、最大1200万人が死亡すると報道。これは直接的な被害で、被爆後の影響による死者については算定していない。一方英科学雑誌に載った米研究者の試算では、印パの5大都市に広島型原爆の規模で核爆発が起こった場合として、死者290万人となるという。
 5月28日 パキスタン、核搭載可能と言われる短距離ミサイル「アブダリ」の発射実験を行う。
 5月28日 NATOロシア理事会が発足しロシア参加が決まる。テロ対策や大量破壊兵器拡散に関して米国と協調か。
 5月29日 パキスタン軍、インド国境沿いに複数の短距離戦術核兵器を配備か。インド軍も国境沿いに軍を展開。インドもパキスタンも先制核攻撃はしないと言明しているが、一方でパキスタンは、通常軍事力で劣っているため、核兵器使用を否定はしないとも言明。
 5月29日 パキスタン、過去3年間で兵器用濃縮ウランの生産を加速させていると英国紙が報道。
 5月29日 政府、ITER国際熱核融合炉実験施設候補地を青森県六ヶ所村にすることを決定。
 5月31日 <政府首脳>が、「非核三原則は憲法に近いものとして存在するが、改憲が論議される中で、国民が必要と考えれば、非核三原則を変更することもあり得る」と発言。また、安倍官房副長官が早大での講演で「核兵器は憲法上問題ない」という趣旨を発言し、それについて福田官房長官が、「法理論的に言えば、専守防衛では(核兵器を)持っていけないという理屈にならないが、政治論ではそうしない政策選択をしている」と発言。一連の発言が問題となる。ちなみに、小泉首相は同夜、非核三原則に変更はないと述べている。
 5月31日 ロイター通信、米国防総省の関係者の証言を引用し、印パ核戦争勃発の場合、最悪で死者900万人~1200万人、負傷者は200万人~600万人と報道。これは両国が保有するすべての核兵器が使用された場合。
 5月31日 米エネルギー省、89年から中止していたプルトニウムによる核兵器起爆装置の製造を再開すると決定。予定は2020年。核兵器の技術維持などに関してのものと思われる。
 5月31日 映画『トータル・フィアーズ』が全米で公開。原作はトム・クランシーのジャック・ライアンシリーズ。核テロを描いた作品。日本では8月10日に全国公開。
 5月 印パ情勢が悪化したため、欧米各国はパキスタンとインドから、必要な者を除いたすべての外交官の国外脱出と、両国滞在中の自国民への警報を出す。
 6月 1日 <政府首脳>の前日の発言問題を受けて、政府、非核三原則を堅持すると声明。小泉首相、発言自体は「どうってことないよ」と発言。
 6月 1日 パキスタン大統領、CNNのインタビューに答え、正気の人間なら非通常兵器(核兵器)は使用しないと発言し、核兵器使用について否定的な意見を述べる。インドの国防相もアジア・太平洋国防相会議で、核兵器使用について否定的な意見を述べる。
 6月 2日 外務省、パキスタンの在留邦人に対し、民間航空機の運航している間に国外へ退去するよう勧告。
 6月 2日 インドの国防次官が「パキスタンが先制核攻撃を行えば、これに報復し、その場合は両国とも破壊されるだろう」と語る。
 6月 3日 非核三原則発言で、福田官房長官が自らの発言と認める。その上で、あらためて非核三原則を堅持と声明。有事関連法案の質疑が紛糾。
 6月 5日 インド政府、パキスタンに対してカシミールなどの国境沿いの両国合同のテロリスト監視を提案するが、パキスタンはこれを拒否。
 6月 7日 米国、17回目の臨界前核実験を実施。
 6月 9日 インド海軍司令長官、政府が開戦を決意すれば4時間で出撃と言明。原子力潜水艦の配備状況については言明せず。
 6月10日 米政府、敵国や大量破壊兵器を使用するテロリストに対し先制核攻撃もあり得るという方針に軍事政策を変更する検討を開始。
 6月10日 米司法省、放射性物質をまき散らすダーティボムを使おうと計画していたアルカイダ関係者を逮捕。
 6月13日 米国、1972年にソ連との間で結んだ弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約が失効したことを宣言。
 6月13日 米国、迎撃ミサイル実験を実施。太平洋上のイージス艦「レーク・エリー」から迎撃ミサイル「スタンダード・ミサイル3」を発射し、高度160kmで標的の弾道ミサイルを破壊するのに成功。
 6月14日 ロシアのイワノフ国防相、米国のABM制限条約失効について、同国のミサイル防衛構想はまだ構想段階であり、報復を検討する理由は今のところない、と述べる。
 6月14日 検査データのねつ造が問題化したウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を運ぶ核燃料輸送船「パシフィック・ピンテール号」が、福井県の関西電力高浜原子力発電所に到着。同船は未使用の燃料を積んで英国へ向けて運ぶことになる。
 6月14日 広島市は、8月6日の平和記念式典に、ニューヨークのマイケル・ブルームバーグ市長とカブールのファザル・カリム・アイモク市長を招待することを決定。
 6月25日 国際原子力機関、100ヵ国以上で各種放射性物質の管理が不十分で、行方不明の物質も数千点に及ぶという報告書を発表。
 6月25日 鳥取地裁、核燃機構に同県東郷町方面地区にあるウラン採掘の際に出た残土の撤去を命じる判決を出す。
 6月26日 北朝鮮の被爆者団体が、日本からの調査団に対し、被爆者の治療と研究のための病院を必要としているので、日本政府は支援を行うべきだと要求。調査団側は、日本側が病院建設などの方針を決めた場合、北朝鮮政府の協力が必要であることを説明。また、朝鮮医学科学院放射線医学研究所では、日本に医師を派遣して医療のための研究を行う用意があるとの意向を示す。
 6月26日 米国、戦略軍と宇宙軍の統合を決定。衛星によるミサイルの監視やテロ組織への核攻撃政策などに関して。
 6月27日 経済産業省資源エネルギー庁の外郭団体「電源地域振興センター」が、原子力発電所のある自治体の住民らに給付される原子力立地給付金の受け取りを拒否した人と拒否理由などが書かれたリストを電力会社から受け取り、地元自治体に提供していたことが判明。
 6月28日 G8、ロシアの大量破壊兵器破棄のために200億ドル規模の支援で合意する。
 7月 4日 データ捏造があったプルサーマル用燃料をイギリスへ送り返す輸送船が、高浜原発を出港する。
 7月 5日 イラクの大量破壊兵器破棄の査察について、国連とイラク政府によるウィーンでの協議は物別れに終わる。
 7月 5日 福島県議会、核燃料に対する課税変更案を可決。価格課税を7%から10%とし、さらに重量課税を新設する事で実質16.5%(当面13.5%)に引き上げるというもの。東京電力は反発。
 7月 9日 米上院、エネルギー省が計画しているネバダ州ユッカマウンテンの高レベル放射性廃棄物最終処分場建設を賛成多数で承認。同施設は、原子力発電所から出た使用済み核燃料7万tと核兵器工場から出た放射性廃棄物7000tを地下約300mのトンネル内に貯蔵するもの。ネバダ州は反対している。
 7月 9日 EU欧州委員会とロシア、北欧諸国など6か国が、ブリュッセルで、ロシアを発生源とする核・環境汚染問題に対応するための「欧州北域環境協力支援基金」の設立を決定。当面、各国が1億1000万ユーロを出し、総費用は18億ユーロになる見込み。
 7月12日 総合資源エネルギー調査会電源開発分科会、経済産業省資源エネルギー庁提出の02年度電源開発基本計画案を了承。計画案では、日本原子力発電が計画している敦賀原発3、4号機を新規発電としている。
 7月18日 原子力安全委員会は、放射線障害防止法と原子炉等規制法が施行された1958年以後、医療・研究機関で発生した放射線の被ばくなど事故やトラブルの件数を調査し発表した。報告件数は201件。うち被ばく事故39件、盗難・紛失は63件(回収20件)。未回収品は放射線レベルが低いという。なお、原発事故は含まれていない。
 7月18日 原子力安全委員会は、高レベル放射性廃棄物の地下最終処分場の選定について、活断層や火山がある場所を最初から検討対象としないことを決定し、報告書にまとめた。選定と処分を行う原子力発電環境整備機構は、この結果を受けて選定条件を決定する。
 7月27日 ロシア政府が、イラン政府が南部で建設中のブシェール原子力発電所の他に、5基の新規原子力発電所建設計画にも協力することが判明。
 7月31日 経済産業省原子力安全・保安院の職員が、原子力発電所の情報を流す見返りに業者から賄賂を得ていたとして逮捕される。
 7月31日 日本原燃が、青森県六ケ所村で建設を計画している原子炉解体廃棄物用の高ベータ・ガンマ廃棄物埋設施設について、10月にも建設に向けて本格調査を開始することを表明。
 7月 琉球大学工学部、大阪大学との共同研究で、核融合反応の新たな計測方法を確立。
 8月 1日 米エネルギー長官 露にイランへの原子炉建設協力の中止求める
 8月15日 米国防総省、大統領に提出した国防報告で、テロ戦争への対応のための米軍改革を訴え、テロ攻撃からの防御のためには、先制核攻撃もあり得るとし、核配備の見直し、宇宙への展開、敵国領土の占領や政権交代などについても指摘。
 8月16日 米国のニミッツ級原子力空母エイブラハム・リンカーン(満載排水量10万2000t)が佐世保港に入港。随伴したイージス巡洋艦シャイロー(9800t)は博多港に、駆逐艦フレッチャー(8040t)は横須賀港に入港。
 8月19日 1999年9月の茨城県東海村の臨界事故で、被害住民3人が、事故を起こした核燃料加工会社JCOと親会社の住友金属鉱山の2社を相手取り、健康被害への補償と慰謝料を求めて水戸地裁に提訴をすることが判明。被爆住民による提訴は初。
 8月21日 原子力安全・保安院、5月に緊急炉心冷却装置系配管漏水事故を起こした浜岡原発2号機の中部電力が行う保守・点検の自主保安活動について、新検査を試みることを決定。
 8月22日 福島県と東京電力、福島第1原子力発電所3号機で制御棒を動かす配管36本にひび割れが見つかったと発表。うち6本はひびが深く、配管の厚さが国の技術基準を下回る。
 8月23日 米太平洋軍空軍司令官、グアム島に戦略爆撃機を再配備したい意向を明らかにする。
 8月27日 東京電力、柏崎刈羽原子力発電所のシュラウドにひびがあることを発表。定期点検後に実施予定だったプルサーマル計画の延期を検討。
 8月29日 原子力安全・保安院は、東京電力が、福島第1・同第2、柏崎刈羽の3原子力発電所の13基の原子炉で80年代後半から90年代にかけて実施した自主点検の結果、原子炉のシュラウド(炉心の隔壁)にひび割れなどを見つけながら、その事実を報告書に記載しなかった疑いがあると発表。疑惑は13基29件で、その後、5基の原子炉は修理を行っているが、8基は現在もひびの入った状態の可能性が出てくる。東京電力は、これを受けてプルサーマル計画を延期。
 8月29日 米エネルギー省、臨海前核実験を実施。
 8月29日 米国務次官、北朝鮮に核査察の早期受入れを求める。
 8月29日 大阪大学レーザー核融合研究センター、1000兆ワット級レーザーで、超高密度にした重水素核融合燃料を1000万度まで加熱し、従来の1000倍の核融合反応を起こすことに成功。投入以上のエネルギーを出す核融合点火には1億度が必要だが、同大ではその見通しが出てきたと説明。
 9月 1日 東京電力の原子炉点検内容虚偽記載が、1987年から行われていた可能性が、原子力安全・保安院の調査で明らかに。前年のチェルノブイリ原子力発電所の事故で敏感になり、問題を隠すようになったと見られる。
 9月 1日 東京電力、原子炉点検内容虚偽記載疑惑で、原子炉のシュラウドにひびが入っている可能性が出てきたため、新潟県柏崎刈羽原発1号機の運転を定期点検を待たずに停止し、点検することを決定。
 9月 2日 東京電力福島第2原発2号機で、タービン建屋内と排気筒付近で放射能を観測。冷却水の放射線量も多くなったため、手動で停止。同原子炉はシュラウドにひびが入っている可能性があるため、9月中に停止して点検する予定だった。
 

2002年9月2日の朝日新聞/本田記者の「分裂続く原水禁・原水協」記事と共産党の反論考
 「お笑い日本共産党のHP」の「原水禁と原水協の分裂と、共産党の歪んだ報道」を転載する。興味深いブログになっている。
 よく勉強をしている共産党のみなさんは、暗黙のうちに事実として知っていると思うけれど、原水協は、ソ連など社会主義国の核実験は平和のためだとして肯定したことがあります。そのため、社会党系などがそれに反発し、原水禁として分裂しました。「そんなはずがあるものか」と共産党のことを信じて疑わない党員の方は、自分で調べてみてください。共産党が、ソ連の核実験は平和のためだと肯定した事実は、例えば、1962年の「前衛」10月号を見れば分かります。上田耕一郎元副委員長が自ら論文の中でソ連の核実験を肯定しています。青瓦台事件のときは、当時の赤旗記事を「当時の北朝鮮との関係の中での一時のまちがい」みたいな評価で逃げていましたが、ソ連の核兵器肯定については、大々的なキャンペーンがあったし、上田さんも論文に書いているので、言い逃れはできません。
 共産党の方々は、ソ連の核を肯定した事実を現在改めて公に認めるのは抵抗があるためなのか、それについて正面切って議論をしようとはしません。議論をすれば、、隠蔽したい当時の資料に触れざるを得なくなるから、都合が悪いのでしょう。現在から見ると、社会主義国だからといってソ連の核兵器を認めるということは、言語道断でしょう。それこそ、偏った運動だと糾弾されます。現在、どう当時のことを弁明しようが、説得力を持つことはできないでしょう。議論をすれば負けます。だから、共産党は当時のことに触れたがらないのです。でも、いくら共産党が議論を逸らそうとしても、ソ連の核を認めたことや、それによって運動が分裂した事実は事実としてあるわけです。まさか、今更、「そんな党史はない」なんて、歴史を捏造することも無理があるでしょう。せいぜい、「平和運動を進める党に対する悪質な反共攻撃だ」などと主張するのが精一杯でしょう。
 ところで、以下の記事は、2002年9月2日の朝日新聞11面の記事です。「分裂続く原水禁・原水協」として、あの有名な本田記者などが取材をしたものです。
 「えっ。もう一つの世界大会?それは何?」原水爆禁止日本国民会議(原水禁、旧総評系)などの大会に仏領ポリネシアから招かれた核実験被害者エチエンヌ・テフムさん(34)は驚いた。運動分裂の経緯などを説明すると、「僕の住んでいる島は人口100人。別れて喧嘩なんかしていたら核実験反対もできない」。「先進地」日本の反核運動を学びたいと思っていたテフムさんは戸惑いを隠さなかった。今年の世界大会は「テロ撲滅」を理由に、「先制核攻撃」まで示唆する米国への非難一色に塗り込められたといえる。原水禁系大会に招かれた米国最大の平和団体ピース・アクションのケビン・マーチン代表は、「米政府は第2第3のヒロシマ、ナガサキを作ろうとしている」と指摘した。昨年の9.11同時多発テロで弟を失ったリタ・ラサーさんも、原水爆禁止日本協議会(原水協、共産党系)などの世界大会で、「ブッシュ大統領はアフガンの人々を殺す理由に弟の死を利用している」と自国の政府を厳しく批判した。太平洋の旧植民地などで核実験を繰り返した米、英、仏政府は、動員兵士や住民の被害を長い間否定し、情報を隠してきた。が、原水禁や原水協の現地調査による被害者掘り起こしや今大会の証言で、その実態がようやく浮かび上がった。禁、協ともに核兵器が実験・開発の段階からヒバクシャを生み出すことを世論に訴え、核保有国を包囲していく考えだ。それだけに、運動が分裂していることは、海外の活動家や一般市民に運動への距離感をもたらし、反核の力を削いでいると言わざるをえない。長崎では昨年から高校生たちが核兵器廃絶を求める「一万人署名運動」に取り組んでいる。代表は今夏「高校生平和大使」として国連欧州本部を訪れ、目標を大幅に上回る4万人の署名簿を提出した。昨夏の平和大使の一人、堤千佐子さんは、「日本の運動は組合や政党で色分けされ、特別な人がやっていると思っていた。そう思われている限り、普通の人々にはなかなか広がらないのでは」と心配する。

 広島大会では原水協系が参加者7千人、原水禁系が3500人、海外代表は原水協系が24カ国68人、原水禁系が9カ国17人。この数字は、そのまま両者の動員力、財政力の差を反映している。両団体にこれだけの差がついたのは、主張の「中身」とはあまり関係がない。旧総評系労組を基盤にした原水禁は、主要労組の弱体化や相次ぐ脱退で先細ってきた。しかし、「社会主義国も含め、いかなる国の核実験にも反対」と訴え、「核に平和利用などない」と脱原発を打ち出してきたその主張は、欧米の反核運動の主流が反原発を強める中で、「正統性」を高めた。反核平和運動が主として左翼運動として展開されてきた日本では、社会党‐社民党の衰退が、相対的に共産党による原水禁運動への影響力を強めた。「共産党首長のいる○○町からやってきました」登壇した発言者が冒頭、こうしたあいさつを繰り返す原水協系大会に、共産党支持者以外の人が参加するのにはかなりの勇気がいるだろう。反核運動は共産党だけのものではない。運動をさらに広げようとするなら、党はまず一歩下がることを考えるべきではないか。海外代表をこれだけ呼べる実績を積んできた原水協にはそれができるはずだ。2年後には第5福竜丸の水爆被爆50周年、原水禁運動半世紀の節目が迫る。禁・協の組織統一は無理でも、まずい一日程度の共闘は目指せるだろう。それもできなくて、核保有国に廃絶を迫れるだろうか。
 朝日の本田記者も、共産党に遠慮してか、分裂の経緯を詳しくは書いていません。一応、原水禁が「社会主義国も含めいかなる国の核実験にも反対」としてきた「正統性」について書いているので、分かる人が読むと分かる文章になっています。でも、もう少し記事に注文をするのなら、共産党が「ソ連の核兵器はOK」というキャンペーンを展開した事実などを書くと、もっと正確でよかったと思います。この記事に対抗して、共産党は、2002年9月8日に、反論記事を掲載しました。以下がその引用です。
 原水爆禁止運動に偏見を持ち込む「朝日」の特異な立場

 「朝日新聞」(二日付)が、「分裂続く原水禁・原水協 反核運動結集なるか」(社会部・本田雅和、北川学)と題する記事を掲載しました。この記事は、原水爆禁止運動と世界大会についてゆがめて報じるだけでなく、日本共産党を名指しして非難する異常なものです。

 二つの原則を守って広げてきた共感

 「朝日」記事の趣旨は、“日本の原水禁運動は分裂したままであり、いまこそ運動の構造改革と力の結集が必要だ、運動を広げるためにも共産党はまず一歩下がることを考えるべきではないか”、というものです。この記事は、原水協系が海外代表などの動員力でも、財政力でも、原水禁系をはるかに上回っている事実は認めていますが、その要因については、「(両者の)主張の『中身』とは余り関係がない」と問題をそらせています。

 原水協は、結成以来、一貫して、核兵器廃絶を緊急の課題として正面にかかげ、一致点で共同するという二つの原理、原則を守ってきました。社会党、総評の特定の見解を世界大会に押し付けようとしたのが原水禁でしたが、二つの原理、原則は原水協によって守り抜かれました。原水協が中心となったことしの原水爆禁止世界大会には、核廃絶を求める八つの国の元首(首相)からのメッセージが寄せられ、四つの国の政府代表が参加しました。

 メッセージを寄せた国は、マレーシア、ベトナム、ラオス、バングラデシュ、南アフリカ、ニュージーランド、スウェーデン、タイ。政府代表の参加は、エジプトの外務次官、マレーシアの軍縮大使、バングラデシュ、南アフリカの大使館関係者でした。

 ここにしめされた国際政治の舞台の多彩な顔ぶれが、世界大会で、平和団体、NGOとともに議論し、核廃絶のために協力することの重要性を確認したことは、原水爆禁止運動の新たな発展段階を具体的にしめすものです。原水爆禁止世界大会が、こうした内外の人々の共感と信頼をかちえた大本には、さきにみた二つの原理、原則を守ってきたこと、これにもとづいて地道な活動を繰り広げてきたことがあることはきわめて明白です。

 確かに、運動が分裂していることに多くの国民は心を痛めており、原水爆禁止運動の統一は、国民的な課題です。一九九九年、原水協は原水爆禁止の国民的運動の発展と統一へ向け、「核兵器のない二十一世紀のための国民的な対話・交流・共同を」とのよびかけを発表し、原水禁をふくむ諸団体、個人に提起しました。しかし、原水禁は、この対話・交流・共同のよびかけには答えず、対話さえも拒んでいます。この間の彼らの大会では野党からのメッセージが紹介されてきましたが、日本共産党だけには要請してこないことにも、そのセクト的態度が示されています。「朝日」は、今回と同じ記者自身が、二年前にはこうした事実を無視できず、「原水協は二年前から、何回か原水禁側に共同行動を呼びかけている。だが、原水禁側は『激しい排斥と攻撃を加えたのはどちらか』と過去にこだわる」(二〇〇〇年八月九日付)と報じていたことを忘れたのでしょうか。

 取材と称して特異なオルグ

 今回のような記事を書くうえで、「朝日」記者が、特異な「取材活動」をしてきたことは、海外代表のなかでも、かなり知られた話です。「朝日」記者は、たとえば昨年、原水協が中心となった世界大会に参加した海外代表に「この大会の背後には共産党がいる」などと、まったく事実をゆがめて吹き込んだうえで、あれこれの言質を引き出そうとしました。「大会は共産党色が強すぎる」という声が出るように、偏見を吹き込み、オルグしているようなものです。「朝日」記者のこうしたやり方による記事は、事実に目をふさぐ、まさに自作自演の報道といわなければなりません。もちろん、「朝日」記者が個人としてどのような考えを持とうと自由です。しかし、いやしくも新聞記者として取材し、記事を書こうとするなら、色眼鏡でなく、公平な目でみることが、最低限の責任です。
---------------------------------------------------

 (注)原水協とは、原水爆禁止日本協議会の略称。一九五五年の第一回原水爆禁止世界大会の直後に結成されました。原水禁とは、原水爆禁止日本国民会議の略称。社会党、総評の特定の見解が受け入れられなかったからとして一緒にやってきた世界大会から分裂し、一九六五年に結成されました。
 共産党にかかると、朝日の本田記者も、特異な取材をする記者として悪名が高いというふうにレッテルを貼られてしまいました。このように、共産党はソ連の核兵器を認めていたことについて、真正面から取り上げようとしません。共産党の反論記事を見ても、「原水協は、結成以来一貫して核兵器廃絶を緊急の課題として正面に掲げてきた」というように、ソ連の核を認めた事実を隠蔽しています。ソ連のソの字もないですね。また、共産党などの運動によって内外の人たちの信頼をかちえてきたと、自画自賛しております。石原都知事じゃないけれど、これじゃあハイエナといわれても仕方がないのではないでしょうか。また、共産党の反論記事は、朝日の記者に対する感情的な反発であって、まともな反論記事にはなってないというのが実情です。「いやしくも新聞記者として取材し、記事を書こうとするなら、色眼鏡でなく、公平な目で見ることが、最低限の責任です」とお説教をしているところもお笑いです。だいたい、原水禁について「特定の見解が受け入れられなかったからとして分裂した」などと言うのなら、ソ連の核兵器を肯定して分裂の原因を作った共産党はどうなるのでしょうか。「ソ連の核兵器は肯定」とする共産党の方も、それこそ特定の見解ではないでしょうか。また、「特定の見解」っていうと何か自己中心的で悪いことのように聞こえるけれど、なぜわざわざそのような曖昧な表現を使うのでしょうか。これをはっきり「ソ連の核実験反対が認められなかったからとして分裂した」とどうして書けないのでしょうか。共産党は、ジャーナリズムについて批判をしていますが、自分のことは棚に上げっぱなしですね。

 先に挙げた朝日の記事と、それに対する共産党の反論。これらは、同一のコンテンツの中で党員の人目に触れてはいけないものです。多分、赤旗の反論記事は先の朝日記事を読んでいない党員を前提にした「反論」というわけでしょう。「共産党の反論を正しく理解するために、先の朝日の記事にも目を通しなさい」とは決して推奨されないでしょう。まして、1962年の前衛の論文なんかを読んではいけません。なぜならば、朝日のいう事実と共産党の言う事実があまりにも両立しないからです。先の朝日記事を一度読んでいると、その後赤旗の反論記事を読むたびに、頭の中が「????・・・」となります。真面目な党員は、その混乱に苦しむことでしょう。

 共産党がこの問題について言い逃れをする方法があるとすれば、二つあります。一つ目は、先にも述べましたが「これは、平和勢力に対する悪質な反共宣伝です」と理論もヘチマもなく感情的に逃げる方法です。これは、一応効果があると思います。オウム事件のとき、オウムが「これは宗教弾圧だ」と主張し、信者の求心力をある程度保持していたし。もう一つは、「過去に原水協がソ連の核を認めた事実と、原水協が一貫して核廃絶を課題にしてきた事実は矛盾しません」と、強弁することです。支持者や党員の頭の中には、この矛盾に一瞬「?」マークが浮かぶかもしれませんが、そこは共産党の話術次第です。「ソ連の核を肯定しながらも、核廃絶を一貫して求めてきた事実は事実」「ソ連の核を認めたのは、核廃絶運動のひとつの戦略的段階」などと言葉巧みに言えば、一般の人は不信感が募るだけですが、元々共産党の声に納得したいと思っている党員には効果があるものです。自分の頭の中で、自分を納得させる何かを見つけるでしょう。

 この問題の解決は、簡単そうで簡単ではないでしょう。共産党が一言謝罪すれば、問題は解決するでしょうが、共産党は朝日の記者を「特異」と批判した手前もあり、なかなか謝罪しないでしょう。原水禁側は、謝罪をすれば、その後は追及しないのではないと思います。運動を続けていくのが本来の第一の目標なので、一度謝罪をするだけで後は過去を問題にしないと思います。ただし、その一度の謝罪なしに、問題をうやむやにしたままでの統一は絶対に出来ないでしょう。原水禁も原水協も現在の運動の内容にはさほど差がないので、統一した後の対立は少ないように思えます。一つ考えられるのは、共産党の間接的な謝罪です。まさか、共産党が土下座をして謝罪するようなことは考えられないので、共同声明のような形で、次のような文章を発表します。「原水協と原水禁は、過去に特定の国の核実験を巡る評価により、運動が分裂した事実を重く受け止める」というような表現の文章を共産党が発表します。それに対して、原水禁が「これを事実上の自己批判と受け止める。以後は問題にしない」という声明を口頭で発表します。それで、統一が出来るのではないかと僕は思います。僕の考えとしては、やはり原水禁側に理があると思います。僕は社会党も社民党も共産党も嫌いだけど、核兵器廃絶には賛成します。日本が核武装するなんてこともとんでもないことです。こう言っては批判があるかもしれませんが、北朝鮮が核で攻撃しても核で反撃してはいけません。核を使うくらいなら、核で死んだほうがマシだと僕は考えています。使用した国民には核を使用した責任を取らせるべきでしょう。それは歴史が裁くことだと思います。ちなみに、僕は原子力発電所建設は賛成です。

2003(平成15)年
(私論.私見) この年、

 1月、北朝鮮が、NPT脱退を宣言する。


 3月、イラク戦争。


【核エネルギーの平和利用に関する第22回大会第7回中央委員会総会での不破議長発言】
 2003.6月、第22回大会第7回中央委員会総会において、不破哲三議長(当時)は以下のように発言している。
 「現在、私たちは、原発の段階的撤退などの政策を提起していますが、それは、核エネルギーの平和利用の技術が、現在たいへん不完全な段階にあることを前提としての、問題点の指摘であり、政策提起であります。しかし、綱領で、エネルギー問題をとりあげる場合には、将来、核エネルギーの平和利用の問題で、いろいろな新しい可能性や発展がありうることも考えに入れて、問題を見る必要があります。ですから、私たちは、党として、現在の原発の危険性については、もっともきびしく追及し、必要な告発をおこなってきましたが、将来展望にかんしては、核エネルギーの平和利用をいっさい拒否するという立場をとったことは、一度もないのです。現在の原子力開発は、軍事利用優先で、その副産物を平和的に利用するというやり方ですすんできた、きわめて狭い枠組みのもので、現在までに踏み出されたのは、きわめて不完全な第一歩にすぎません。人類が平和利用に徹し、その立場から英知を結集すれば、どんなに新しい展開が起こりうるか、これは、いまから予想するわけにはゆかないことです」 。

 8月、北朝鮮の核を廻る6カ国協議開始される。
 11月、米国が、地中貫通型などの小型核兵器の研究を10年ぶりに解禁する。
 11月、平和市長会議が、「核兵器廃絶の為の緊急行動」として、2020年までの核廃絶を目指す運動方針「2020ビジョン」を発表。
 12月、日本政府が、弾道ミサイル防衛システムの整備を決定する。
 この年、米国、原子力空母ロナルド・レーガン(CVN-76)就役予定。

2004(平成16)年
(私論.私見) この年、


2005(平成17)年
(私論.私見) この年、

 

2006(平成18)年
(私論.私見) この年、

2021(令和3)年
 核廃絶をめざす兵器禁止条約発効した。

2024(令和6)年
(私論.私見) この年、

【日本被団協がノーベル平和賞受賞】
 2024年10.11日、広島・長崎の被爆者でつくる日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)のノーベル平和賞受賞が決まった。日本の受賞は1974年の佐藤栄作元首相以来50年ぶり。ヨルゲン・バトネ・フリドネス委員長は「核兵器のない世界を実現するための努力と、核兵器が二度と使用されてはならないことを証言によって示してきた」と受賞理由を述べた。

 ノーベル平和賞は各国の政府や国会議員、大学教授、過去の受賞者、国際機関の職員などによって推薦された候補者の中から、ノーベル賞委員会(5人)が選出する。今年は計286候補(個人197、団体89)に対する推薦があった。授賞式は12月10日、ノルウェーの首都オスロで行われる。賞金は1100万スウェーデンクローナ(約1億6000万円)。
 木戸季市(すえいち)事務局長(84)が12日、自宅のある岐阜市のホテルで会見を開いた。「会う人ごとに『おめでとう』と言われ、『ありがとう』と返すんだ。みんな知ってるよ」と笑顔を見せた。17年から日本被団協事務局長。海外でも講演する。「ヒバクシャ、という言葉は世界的な言葉になっている」と実感する。同条約にも記された「ヒバクシャ」。いまだ批准しない日本政府に改めて条約批准を迫るという。

【日本共産党幹部会委員長田村智子「日本被団協のノーベル平和賞受賞について」】
 2024年10月11日、日本共産党幹部会委員長田村智子「日本被団協のノーベル平和賞受賞について
 日本被団協のノーベル平和賞受賞を心から喜びたい。

 被爆の実相、核兵器の非人道性を語り続け、核兵器全面禁止を求める国際的な大きなうねりを生み出してきた被爆者のみなさんに心からの敬意を表します。

 核脅威が強まるもとでの受賞は、とりわけ大きな意味があります。今こそ、核兵器禁止条約を日本政府も批准し、核兵器廃絶を世界に働きかけるべきです。





(私論.私見)