JASRAC訴訟その5、着歌訴訟考 |
(最新見直し2009.2.14日)
(れんだいこのショートメッセージ) |
2009.2.14日 れんだいこ拝 |
Re::れんだいこのカンテラ時評538 | れんだいこ | 2009/02/14 |
【京都地裁の「着うた違法配信で有罪判決考】 2009.2.13日、京都地裁は、「着うた違法配信訴訟」の被告松岡隆司氏(53)に懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)の判決を言い渡した。判決理由で、坂口裕俊裁判官は、「違法と認識しながら満足感を得るため犯行に至った」、「常習性は明らかで被害結果は重大だが、犯行による利益は全く得ていない」と述べた。れんだいこには多々腑に落ちないことがあるので、この事件を確認しておく。 携帯電話で音楽が聴けるようになり、これを「着うたフル」と云う。現在、1曲200〜400円程度とのことである。既に協会が設立されており、昨年の市場規模は約344億円に上ると云う。ところが、無料配信したり、協会に所属しない「違法」なダウンロードが後を絶たず、昨年には約2億1000万回に達しているという。 ここで考えねばならないことは、「1曲200〜400円」が法外に高いということではなかろうか。「1曲10円」ぐらいにして、もっと多くの利用を得た方が賢明なのではなかろうか。「1曲200〜400円」の垣根は、進化し続けるパソコン−携帯電話ハイテク技術の果実に対する逆行的抑制ではなかろうか。一体、配信料原価は幾らなのかを明らかにせねばならないのではなかろうか。これをせぬままの「1曲200〜400円」はなにやら取らぬ狸の皮算用的な利権が絡んでおり、これこそ不正なのではなかろうか。こう問う姿勢が大事なのではなかろうか。 2006年、兵庫県姫路市の藤本継矢氏は、「着うたフル」を無料で配信するサイト「第(3)世界」を開設した。どの時点でかは分からないが約2万曲を登録し、利用者も100万人以上という国内最大規模の音楽配信サイトとなり、中高生を中心に人気を集めるようになっていた。藤本氏は、サイトの広告料として2年間で約1億2000万円の収入を得ていたという。 2006.10月、兵庫県川西市の松岡隆司氏は、藤本氏と面識がないままメールや掲示板でやりとりを続け、藤本氏の呼びかけに応じて洋楽を中心に楽曲をアップロードするようになった。テレビ番組「情熱大陸」のテーマソングを提供し、不特定多数が携帯電話にダウンロードできる状態にした。「自己満足のため、趣味でやった」と話しているという。 これに対し、ジャスラックと日本レコード協会(東京)が例によって、レコード会社の著作権を侵害する違法配信であるとして著作権法違反の容疑で提訴した模様である。 2008.10.21日、京都府警(ハイテク犯罪対策室)は、著作権者に無断でヒット曲を違法配信したとして、藤本氏と松岡氏をの2名を著作権法違反容疑で逮捕した。「着うたフル」を巡る同法違反容疑の初めての摘発となった。 2008.12.26日、京都地裁(坂口裕俊裁判官)で初公判が開かれた。藤本被告は、「サイトの広告料目当てに開設した」と供述、「違法と分かっていた。間違いありません」と起訴事実を認めた。松岡被告も起訴事実を認めた。 以上のような経緯を経て、冒頭の判決となった。奇妙なことに、松岡氏に対する判決は「懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)」とあるが、藤本被告のそれが報道されていない。各新聞社が記事にしているが、どの社も似たり寄ったりで同じ原稿を使っている気配がある。それには藤本氏に対する判決が出ていない。 それはともかく、松岡氏の場合、本当に罰せられるべき犯罪要件に該当しているのだろうか。彼は趣味で参画し、利益を得ていない。れんだいこは、「懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)」は重いと思う。彼の行為が罰せられるなら、かんぽ施設の不正払い下げ事件関与者などは終身刑に相当すべきだろう。今の世の中、些細なことが大袈裟に処罰され、重大な背信が注意処分で済まされるという変な具合になっている。オカシナ話のオカシナご時勢である。 もとへ。れんだいこが云いたいことは、この事件は「着うたフルの1曲200〜400円制」の見直しに向かわないとオカシイと云うことである。れんだいこ的著作権論からすれば彼は無罪であるが、世の中には強権著作権派の理論が幅を利かせているからして折衷する以外にない。松岡氏が法廷でどう抗弁したのか分からないが、彼は堂々ラムネ氏になるべきであったと思う。 そもそも著作権法では、人民大衆的な音楽利用について対価制を規定していない。規定しているのは、著作権者の広報権であり、この条文から対価制を引き出すのはちと無理がある。松岡氏は、私はボランティア的に無料広報宣伝員としてテレビ番組「情熱大陸」のテーマソングを提供したに過ぎない。私が罰せられるなら、せめて「着うたフルの1曲200〜400円制」の見直しに向かって欲しい、「着うたフルの1曲200〜400円のコスト根拠」を明示せよ、その為に人身御供になった次第であると居直ることもできたと思う。こういう風に闘わねばならないと思う。 新聞各社の無能記者よ、ジャスラックが違法配信と云うからオウム返しに違法配信と記事にするのはいかがなものだろうか。ジャスラックは国の機関ではない。公益法人資格の社団法人に過ぎない。社団法人は世にゴマンとあり国家機関ではない。そのジャスラックと無契約のまま配信し続けたのは事実であろうが、違法であるかどうかは司直が決めることであって、あらかじめ判決先取りの「違法配信」と書くべきではなかろう。君達はいつから頼まれもせぬのに護民官になったのか。これ如何に。 警察に風俗営業許可を取らなかったなら違法ではある。保健所に食品衛生管理士の届出をしなかつたら違法である。法務局に法人登録せずに企業活動したらモグリではある。しかし、社団法人ジャスラックと契約しなかったからといって違法呼ばわりされるのはちと早過ぎよう、違うか。そういうのを走狗というのではないかな。 それにしてもジャスラック権力の次第次第の膨張化が定向進化し続けている。息苦しい世の中に向かいつつある。京都府警がはしゃいでいるようだが、著作権法に基いて取り締まるのが本来のお役目のところ、ジャスラックのパシリに堕ちている。みんなで何とかせんとな。 2009.2.14日 れんだいこ拝 |
【携帯電話向着うたサイトで4万曲違法配信、掲示板管理人ら逮捕】 |
2010.9.28日、滋賀県警察本部生活安全部生活環境課サイバー犯罪対策室と草津警察署は、携帯電話向けレンタル掲示板サービスを利用して掲示板を開設し、JASRACの管理楽曲を無断で不特定多数の者にダウンロードさせていた掲示板管理人の男2人(39歳、36歳)と、掲示板にJASRACの管理楽曲をアップロードしていた男(40歳)を著作権法違反(公衆送信権侵害)の疑いで逮捕した。JASRAC側によると、問題の掲示板は、「ゴリメロ歌手別投稿板(ドコモ専用:着うた/着メロ)」という名称で、これまでに約4万曲がアップロードされ、アクセスが累計2億回を超えるなど、大規模な著作権侵害が発生していたとしている。 |
【着うた:「無料着うたフル」無断公開に有罪判決 京都地裁】 |
23日、京都地裁は、携帯電話の「無料着うたフル」と称し音楽を無断公開したとして著作権法違反罪に問われた音楽配信サイト「第(3)世界」運営者、藤本継矢(けいし)被告(28)=兵庫県姫路市=に対し、懲役3年、執行猶予5年、罰金500万円(求刑・懲役3年、罰金500万円)を言い渡した。坂口裕俊裁判官は「広告収入を得続けたいという身勝手な犯行に酌量の余地はない」と指摘した。 判決によると、藤本被告は06年10月〜08年9月、同県川西市の会社員(53)=懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決=と共謀し、無断で浜崎あゆみさんの楽曲など3曲をサイトで公開した。藤本被告はサイト利用のためのパスワードを掲載したメールマガジンを100万人に配信。3年間で1万5000曲を公開し、1億2000万円の広告収入を得ていた。公判で弁護側は、被告が十分に反省しており、収益を納税と被害弁済に充てるとして情状酌量を求めていた。 |
【JASRAC、違法音楽配信サイト運営者らに損害賠償1.7億円請求訴訟】 |
2011.5.25日、.日本音楽著作権協会(JASRAC)は、違法音楽配信サイト「第B世界」の運営者らに対して、JASRAC管理楽曲の無断配信利用による著作権侵害の損害約1億7千万円の支払いを求める民事訴訟を東京地裁に提起した。「第B世界」は、約2万曲のJASRAC管理楽曲を無断で不特定多数の者にダウンロードさせていた、ユーザー数100万人超の国内最大規模の携帯電話専用サイトで、運営者らは、2008年に著作権法違反の容疑で逮捕され、京都地裁で2009年2月に有罪判決が確定している。 JASRACは、「第B世界」の運営者はアフィリエイト広告などで11億2千万円もの不正収入を得ており、刑事事件の公判では、その収入を被害弁済に充てるとして情状酌量を求めていたにも関わらず、一向に損害金の支払いをしないため、今回の提訴に至ったとしている。なお、今回の提訴では、「第B世界」にレンタルサーバーを提供し、違法配信を認識しながら、サービス提供を継続して著作権法違反を幇助していたエーウォーカーとその取締役に対しても、運営者と連帯して損害金の支払いを求めているという。JASRACでは、近年、不正な広告収入を得る目的で違法音楽配信サイトの開設者が後を絶たず、違法配信の温床となっているため、広告関連事業者等と違法音楽配信対策及びアフィリエイト広告事業の健全化推進のための協議を継続していると説明している。 |
【違法着うた配信サイト運営者に1億7千万円の賠償命ず、東京地裁】 |
2011.11.29日、携帯電話向けの違法音楽配信サイト「第3世界」の運営者に対して、日本音楽著作権協会(JASRAC)が、損害賠償を求めていた民事訴訟で、東京地裁は、ほぼ請求通り約1億7千万円の支払いを命ずる判決を下した。
「第3世界」は携帯電話専用サイトで、2006年3月頃から2008年9月頃までの間に、JASRACの著作権管理楽曲を無断で不特定多数の者にダウンロードさせ、ユーザー数は推定で100万人を超える国内最大規模の違法音楽配信サイトだった。この運営者は、サイトの運営により多額の広告収入を得ていたという。 東京地裁の大鷹一郎裁判長は、「サイトの楽曲データは1万8千件に上り、その90%は著作権侵害」「広告収入増大のため、著作権侵害と知っていて侵害行為に及んだ」と認め、運営者に約1億7千万円の損害賠償支払いを命じた。 なお、この運営者は、2008年10月に逮捕され、その後、刑事告訴されて、2009年2月に京都地裁で、著作権法違反で懲役3年(執行猶予5年)、罰金5百万円の判決を受けているが、執行猶予中の現在、連絡が取れない状態になっているという。 |
(私論.私見)