小項目クリック検索
324 | 西洋思想系 |
目次
コード | 中項目 | 備考 |
3241 | 英国系 | |
3242 | 仏国系 | |
3243 | 独国系 | |
3244 | 伊国系 | |
3245 | 露国系 | |
3246 | 米国系 | |
3247 | *国系 | |
3248 | *国系 | |
3249− | ルソー | |
3249−2 | ペスタロッチ |
(私論.私見)
エルンシスト.マッハ(1838−1916) |
オーストリアの物理学者。当時最先端の物理学理論を提唱し、物理学の領域でアインシュタインの相対性理論の登場を準備したというだけでなく、哲学や心理学にも強い影響を及ぼし、フッサールの現象学やゲシュタルト心理学の形成を促した。更に、ニーチェの思想とセットにされて、ホーフマンスタール、ムージル、ヴァレリーといった同時代の文学者たちに深刻な影響を与えた。
興味深いことは、ロシアの革命家達の間に、このマッハの思想に共鳴し、それを拠りどころにマルクス主義の革新をはかろうとする人たちが出てきていたことである。アレクサンドル.ボグダーノフをはじめとするいわゆるマッハ主義者たちであり、一時期は彼等がロシア社会民主労働党の多数派の主導権を握りかけたことさえあった。
マッハは、徹底した経験主義者で、経験に根ざさない概念の使用は一切拒否する。物とか物質という概念も、我々が直接感じる色、音、熱さ、圧迫感-‐-といった感覚的諸要素の、比較的いつもまとまって現れてくる特定の組合わせを指す便宜的な名前としてなら認めるが、そうした感覚的諸要素の背後にある実態としての物の存在は認めない。つまり、唯物論を真っ向から否定したことになる。
ロシア.マッハ主義者たちは、19世紀風の古風な自然科学を前提にしたエンゲルス流の唯物論を切り捨て、観念論と言われかねないマッハのこうした思想を使ってマルクス主義を基礎づけ直そうとした。この大胆な試みは、1905年の第一次革命に失敗し、皆スイスやイタリアやオーストリアに亡命中の、まだ次の革命の具体的なメドが立たない時代であったからこそ、向かえたのかも知れない。
トロッキーの証言によれば、一時期はレーニンもこのマッハ主義に共感していたという。が、やがてレーニンは、「唯物論と経験批判論」(1909)を書き、マッハとマッハ主義者たちをひっくるめて主観的観念論だと批判し、唯物論を擁護する。といって、ここでのレーニンの主張が理論的に一層整合的だったという訳ではない。ボグダーノフたちもこれに反論し、この理論闘争に決着が着いたわけではなかった。
だがまもなく第一次世界大戦がはじまり、1917年にはロシア革命が成就し、政治家としてのレーニンの名前を確立される。そうなると、マッハ主義者の影が薄くなり、歴史の闇の中に葬られてしまった。今世紀の大半、マッハ主義はトロッキズムと共に修正主義と呼ばれ、誰も見向きしなかった。
マッハの思想の再評価は、1970年代からアメリカで始まり、日本でも広松渉、野家啓一氏らが早くからその見直しにとりかかっていたが、ボグダーノフの見直しは、ソ連邦の解体、つまり今度の世紀転換期までほぼ一世紀待たねばならなかった。最近になって、マッハ主義をも含めた革命前後のロシア思想、文化の研究が活発になり、ボグダーノフについても行き届いた研究書が書かれ始めた。
歴史にもしはないというが、マッハ主義者たちがロシア革命の主導権を握っていたとしたら、ロシア革命もソ連邦も大きく様相を変えていたことだろう。
(木田元.哲学者.中央大学名誉教授)の要約
クザーヌス |
ニコラウス.クザーヌス。中世末期とルネッサンスの境目の混乱期に、カトリック教会の政治家として活躍しつつ、当代の常識を超える思想を展開していた哲学者、自然科学者。その思想の根本的特徴は、「知ある無知」と「反対対立の合致」という二つの焦点をめぐって展開された。前者は、人間の認識能力の限界をわきまえることこそが真理の獲得に繋がるという思想。後者は、理性のレベルでは矛盾対立としか見えないものが、より高次な知的能力をもってとらえるならば、互いに合致するのであり、そのさらに向こうに究極の真理が存在すると考えねばならないという思想。彼は、当時野西洋世界において、自分たちとは異なる宗教や文明を認め、学ぶべき価値があることを認識していたことになる。(八巻和彦 早稲田大教授西洋哲学)
マックスウェーバー |
「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」
宗教的超越に起源をもつ動機付けが、経済の領域に「思わざる結果」をもたらしたという点と、古プロテスタンティズムの禁欲的職業エートス(生活信条)は「管理する僕」としての生、つまり近代官僚制の「鉄の檻」にとって、その「倫理的基盤」となったということをも指摘していた。
生の哲学
1、人間存在の本質、原基形態としての生命
2、世界現象としての説明の基礎としての生命
3、18・19世紀の歴史主義、科学主義に対する抵抗としての生命価値
を詠う哲学。