ポスト安倍政争考その2

 更新日/2020(平成31→5.1栄和改元/栄和2).7.4日

 (れんだいこのショートメッセージ)

 2003.5.9日再編集、2009.9.25日 れんだいこ拝



 9.14日、自民党総裁選が投開票される。官房長官(71)が党所属国会議員(394人)の7割超の支持を受け、圧倒的に優位な情勢は変わっていない。政調会長(63)、元幹事長(63)は伸び悩んでおり、菅氏が首相の後継総裁に選出される見通し。新総裁は16日召集の臨時国会で首相に指名される。

 菅氏は12日、東京都内で開かれた日本記者クラブ主催の討論会に出席。首相の資質について「私は全体を総理大臣として前に進めていく、この日本を進めていく、そうした準備がある」と述べ、政権運営に強い意欲を示した。
 総裁選は国会議員票(394票)と47都道府県連代表各3票(141票)の計535票で争われる。14日午後2時からの両院議員総会で投開票を行い、結果は午後3時半ごろに発表される。
 菅氏は党内7派閥のうち細田、麻生、竹下、二階、石原5派の支援を受け、国会議員だけで全体の過半数に当たる約300人の支持を固めた。地方票でも優位に戦いを進めており、秋田県連は12日の総務会で、持ち票の3票全てを菅氏に投じることを決めた。秋田は菅氏の出身地。新潟、山口両県連も党員アンケートや予備選の結果、3票を菅氏に投票すると決定。福岡県連は菅氏に2票、石破氏に1票を投じる。
 一方、国会議員の支持では、岸田氏は約55人、石破氏は約25人にとどまる。態度未定の議員票や地方票を加えても逆転は困難な情勢だ。

自民党総裁選で優位に戦いを進める菅義偉官房長官が新首相に指名された場合の後任に注目が集まっている。 【国会議員情報】萩生田 光一(はぎうだ こういち)氏  支援を受ける主要派閥から抜てきするのか、自らの個人的つながりを含め適材適所を意識するのか。各派の水面下の綱引きは激しさを増している。  菅氏は12日、日本記者クラブ主催の討論会で、官房長官に求められる資質について「全体を見なければならない。そうした総合的な仕事ができる人がいい」と指摘した。  官房長官人事への関心が高まるのは、2012年の第2次安倍政権発足以降、安倍晋三首相の懐刀として政権を支えてきた実績があり、「余人をもって代え難い」との印象が強いためだ。各派からは既に複数の名前が挙がっている。  「幹事長か官房長官を取らないと」(ベテラン議員)と息巻く最大派閥の細田派で浮上しているのは萩生田光一文部科学相だ。萩生田氏は安倍首相の側近。同時に官房副長官として菅氏に仕えた経験もあり、気心が知れているという安心感を指摘する声がある。  安倍首相の盟友である麻生太郎副総理兼財務相率いる麻生派の河野太郎防衛相も官房長官候補の一人と目される。河野氏は菅氏と同じ神奈川県選出。知名度、発信力に定評があり、「起用したらすぐに衆院解散だろう」(中堅議員)とみる向きもある。  竹下派にも副長官として菅氏を支えた加藤勝信厚生労働相がいる。そつのない仕事ぶりを評価する声は少なくない。  一方、個人的なつながりも無視できない。  菅氏は先の通常国会を二階俊博幹事長、森山裕国対委員長との連携で乗り切った。3人とも地方議員出身のたたき上げ。森山氏の安定した国会運営に対する菅氏の信頼は厚く、二階派幹部は「森山氏が官房長官に就けば政府と党の意思疎通がしやすくなる」と語る。  自民党内では、無派閥の梶山弘志経済産業相が有力との見方もささやかれる。菅氏が師事した故・梶山静六元官房長官の長男で、長く近い関係にあるからだ。ある閣僚経験者は「派閥均衡の人事でなくなるからイメージがいい」と指摘する。  菅氏が自らの後任を選ぶ基準は新内閣のカラーを左右することになる。仮に派閥の意向を重視すれば、「派閥政治に逆戻り」との印象が広がる可能性もあり、難しい判断を迫られそうだ。 

元宮崎県知事、元衆院議員でタレントの東国原英夫(60)が15日、カンテレの生番組「胸いっぱいサミット!」で、20日に投開票される自民党総裁選を予想した。

 総裁選には石破茂元幹事長と安倍晋三首相が立候補している。

 東国原は、石破氏の勝利が「よっぽどこの数日間でスキャンダル等々が、非常事態が起きない限りない」と、厳しいとの見方を示した。

 その上で「地方票をどれだけ取るか、これが3年後につながる。僕は最大で150(票)、地方票で。最低でも130、これがラインだと思います。これより下回ると“ずいまー”(まずい)。3年後もちょっと」と、今回を次回へのステップにすべきとした。

 東国原は「政策的には石破さんの方が圧倒的に政策力あるし、未来の希望もありますわ」と、石破氏を高く評価。その上で「ただ、見た目が…重要よ、見た目って。安倍さん爽やかや」と、安倍氏とのルックスの差を指摘していた。


 2020.9.10日、「前回より孤立?石破氏に「少しは考えろ」の声 党員票で挽回へ「グレートリセット」は諸刃の剣か」。
 他派閥からの応援なし…誤算続きの石破陣営

 安倍首相の辞任表明を受けて、石破茂元幹事長、菅義偉官房長官、岸田文雄政調会長が争う自民党総裁選挙。過去3回総裁選に出馬した実績を持ち、国民的な人気を誇る石破氏にとっては、出馬に至るまで誤算の連続だった。 【画像】前回より孤立?2018年の総裁選での石破氏 「前回あなたを応援した竹下会長の気持ちも聞きに来ない、少しは考えろ」 石破氏が出馬表明をする前の8月31日、石破氏からの電話を受けた竹下派幹部はこう突き放した。石破氏にとって竹下派は前回2018年の総裁選で、参院側の全体と衆院側の一部議員が自らを支持してくれた大事な存在のはずだった。その関係に一体何が起きていたのか。

 “恩人への墓参”も逆効果に?

 石破氏は8月8日、去年10月に死去した吉田博美前参院幹事長の初盆に合わせ、吉田氏の地元の長野県に入っていた。吉田氏は、竹下派所属の参院自民党幹部であり、石破氏にとって2018年の総裁選で参議院竹下派の票を「石破支持」でまとめた恩人だった。 しかしこの墓参が波紋を呼ぶことになる。石破氏の墓参について竹下派幹部は、「故人を政治に利用するとはどういうことなんだ」と怒りを隠さず、次のように語った。 「2018年は吉田さんに頼まれたから石破をやったが、次は全くの白紙だ」 吉田氏は生前、2018年の総裁選について周囲に「俺はもともと安倍さん支持だが、今回は青木幹雄さん(元参院会長)に頼まれた。安倍さんにも今回だけは石破でやらせて頂きたいと頭を下げた」と話していたという。石破氏としては純粋な感謝の気持ちでの墓参だったのかもしれないが、吉田氏の「遺志」を引き継いだ竹下派の議員にとっては、自らの支持拡大に向けたアピールが目的の、故人への礼節を欠いた行動と映ったようだ。

 読み切れなかった“竹下派の空気”

 さらに、竹下派の重鎮は、次のような石破氏への不満を口にしていた。 「彼はあれ以来、竹下会長に一度も会いに来ていないんですよ」 2018年の参院選で石破氏を助けた参院側の恩人が吉田氏だとすれば衆院側の恩人は、竹下派会長でもある竹下亘元総務会長だ。しかし竹下派幹部によれば、石破氏はここ約2年間、一度も竹下氏を詣でていなかったというのだ。 このことは、9月1日に行われた石破氏の出馬表明記者会見の場に、異変として表れていた。30分あまりにわたって出馬にあたっての思いなどを語った石破氏が、会見を中断し、おもむろに席を立ったのだ。 向かった先は竹下派の事務所。会見中断という異例の行動をとってまで会いにいかなければならなかった相手こそ、竹下氏だった。先述した「前回あなたを応援した竹下会長の気持ちも聞きに来ない、少しは考えろ」という竹下派議員からの言葉が響いたのかもしれない。 この面会で石破氏は竹下氏に2018年の総裁選で支援してもらったことへの謝意を伝え、総裁選での協力をあらためて要請した。面会後には「支持してくれるかくれないかは別として思いはすごく伝わったし、有難い時間でした」と語った。 だが、時すでに遅し。竹下派は2018年の総裁選で、安倍支持と石破支持に割れたことを“派閥の古傷”として持ち続けていたため、「今回は一致結束、箱弁当で行こう」と方針を固め、菅氏支持に向けた最終調整に入っていた。そして、一時出馬を模索した派閥ナンバー2の茂木敏充外相が派内の結束を優先して今回の出馬を見送ったのを受け、9月2日、竹下派として正式に菅氏支持を決めた。 2年前に支えてくれた派閥の支持を今回は得られなかった石破氏。背景には総裁選で勝ち馬に乗りたい竹下派の思惑もあっただろうが、石破氏もその空気を察知して早めに手を打つ必要があっただろう。 石破氏は9月2日、竹下派や自民党内に今も影響力を持つ青木幹雄元参院会長に面会を申し入れたが叶わなかった。周辺はその理由を次のように説明している。 「大勢が決まってから来てもどうしようもないから、断った」

 党員投票を求めた結果、出馬表明で出遅れ

 石破氏のもう一つの誤算は、総裁選の実施方法だった。二階幹事長ら党執行部は、安倍首相の辞任に伴う総裁選を「緊急を要するもの」と位置づけ、党員投票と議員投票の比率を同等に扱うフルサイズの総裁選ではなく、党大会に代わる両院議員総会を行い、党員投票を省略する形式を採用すべきとの考えに傾いていた。この方法では、地方票に比べて議員票の比重が重くなる。 「常に国民や党員の声を聞く自民党であらねばならない」と主張してきた石破氏は、この“簡易版”とも言える総裁選出方法に公然と異論を唱え、フルサイズの総裁選を行うよう主張し続けた。その結果、石破氏は岸田・菅両陣営の動きが激しさを増すなかで、明確な出馬表明が出遅れた。

 派内の撤退論の背景に二階氏・菅氏との連携論も

 ただ、その背景にはもう1つの深い事情がある。最後までくすぶり続けた石破陣営内での撤退論だ。石破派内では、主要派閥の支持により菅氏優位が固まる中、「菅さんになる流れは出来ている中でうちがそのまま出ていいのかということだ。今回は救国内閣なんだから」などと、石破氏は今回出馬を断念すべきだとの意見が出ていた。 自民党幹部も「石破さんは党員投票せずに選ばれることはないと言ってきたんだから、降りる大義はあるでしょう」と述べ、石破氏は党員投票が実施されなければ、それを理由に出馬をとりやめて菅氏支持に回り、「次の次」を目指すべきだとの認識を示していた。 この撤退論については石破氏自身も真剣に検討し、迷ったことを示唆している。それは、石破派をとりまく「孤立」という環境が大きく影響しているとみられる。 石破派は、安倍一強体制の中で政権に批判的なスタンスをとり、党内で孤立を深めていた。2018年の総裁選でも石破氏を支持したのは、石破派と竹下派や無派閥議員の一部にとどまり、党員票では善戦したものの議員票で安倍首相に大きく水を開けられた。そのため石破氏陣営は、次の総裁選に向け党内の支持を広げるべく周到に準備を進めていたはずだった。 6月8日、石破氏は二階俊博幹事長と面会し9月に開催する予定だった石破派の政治資金パーティーでの講演を依頼したほか、同月発売の月刊誌「文芸春秋」のインタビューでは、菅氏について「地方への熱い思いを持っている」と持ち上げた。安倍首相から冷遇されている石破氏にとって、安倍首相が後継として期待をかけているとされた岸田氏を評価していない二階氏や菅氏との距離を縮めることは総裁ポストに近づくための近道だったのだ。 しかし今回は安倍首相の急な辞任表明という事態に伴い、連携を期待していたはずの二階氏が菅氏を担ぐという構図になってしまい、再び孤立必至の状況に陥っていた。それだけに今回は菅氏を支援し、「次の次」に二階氏や菅氏の支援を得て総裁に近づこうという戦略を検討したものとみられる。 ただ、石破派内で「ここで降りたら終わる。次の展開を考えても手を挙げ続けるべきだ」という主戦論が上回ったほか、各種の「次の総理」に関する世論調査で一時は菅氏を上回りトップに立ったことで、石破氏もその期待の声を裏切るわけにはいかなくなり、最終的に出馬表明に踏み切った。

自らの派閥のロゴの前での出陣式に見る苦境と「次」へのグレートリセット

こうして、竹下派の支持も得られず、石破派と一部の無派閥議員の支持のみで総裁選に臨まざるをえなくなった石破氏。その孤立は、2年前には幅広い支持を集めるべく「地方創生 日本創生 石破茂」というロゴ背景の前で出馬会見を行ったにも関わらず、今回は「水月会」という自らの派閥のロゴ背景の前で出馬会見を行ったことにも表れている。 石破氏は2018年の安倍首相との一騎打ちでの総裁選では参議院竹下派などの支持を得て73票の議員票を獲得したが、今回は三つ巴の総裁選でもあり、前回の議員票を上回るのは至難とみられる。 一方で、合同演説会での石破氏については、演説力を評価する声も多く、党員からの支持も根強い。それだけに、どのように政策を主張し、一般党員による予備選に基づいた地方票をいかに多く獲得できるかが、求心力維持のカギとなりそうだ。そうした中で石破氏は、キャチフレーズとして「納得と共感」に加え「グレートリセット」を新たに打ち出した。 「成し遂げたいのはグレートリセット。もう一度この国の設計図を書き替えていくことであります。そうしなければこの国は次の時代に生き残ることができない、やらねばならないのはグレートリセットで、国の在り方をもう一度皆さんと共に考え直し、つくり直していきたい」(8日の所見演説会) この言葉はより改革イメージを打ち出す効果がある反面、安倍政権の実績を否定しかねない側面もある。石破氏にとっては、過度に安倍政権への批判に傾倒した場合、菅氏や二階氏といった連携を期待していたはずの勢力との距離を広げることになるというジレンマを抱えている。いかにして独自色をアピールしつつ党内有力者との関係を構築していけるか、石破氏の「孤立解消」に向けた難しい戦いは続きそうだ。 (フジテレビ政治部 自民党総裁選取材チーム)


選挙区数 適正 比例定数 適正
北海道エリア 12区 10区
東北エリア 25区 20区 14 12
青森 4区
岩手 4区
宮城 6区
秋田 3区
山形 3区
福島 5区
北関東エリア 32区 23区 20 15
茨城 7区
栃木 5区
群馬 5区
埼玉 15区 10
南関東エリア 34区 28区 22 18
千葉 13区 10
神奈川 18区 15
山梨 3区
東京都エリア 25区 20区 17 15
北陸信越エリア 20区 18区 11 10
新潟 6区
富山 3区
石川 3区
福井 3区
長野 5区
東海エリア 33区 24区 21 18
岐阜 5区
静岡 8区
愛知 15区 12
三重 5区
近畿エリア 48区 39区 29 25
滋賀 4区
京都 6区
大阪 19区 15
兵庫 12区 10
奈良 4区
和歌山 3区
中国エリア 20区 15区 11
鳥取 2区
島根 2区
岡山 5区
広島 7区
山口 4区
四国エリア 13区 12区
徳島 3区
香川 3区
愛媛 4区
高知 3区
九州エリア 35区 31区 21 18
福岡 11区
佐賀 3区
長崎 4区
熊本 5区
大分 3区
宮崎 3区
鹿児島 5区
沖縄 4区
309区 240区 182 151
総議員数491→391(100議席減)






(私論.私見)