認知症、痴呆症、ぼけ

 更新日/2016.05.15日

 (れんだいこのショートメッセージ)
 ここで、「認知症、痴呆症、ぼけ」諭しについて確認しておく。

 2003.7.23日 れんだいこ拝


【認知症、痴呆症、ぼけ】
 認知症とは、脳の働きが持続的に低下した状態を云う脳の病気で介護が必要になる。認知症患者は「物忘れ」が激しくなる。特に置き忘れ、しまい忘れが目立つ。暗算や計算ができなくなり、同じことを何度も言ったり尋ねたりする。「あの」、「その」、「あれ」等の抽象的な代名詞言葉が増えて、具体的な物や人の名前が出てこなくなる。以前に関心のあったことに興味を示さなくなる。65歳以上の10人に1人が発症している。65歳未満の発症を「若年(じゃくねん)性認知症」と云う。

 認知症により日常生活に支障が出ることになるが、病状は、1、知的能力の低下(健忘症、見当識障害、思考障害、認知障害)。2、心の症状と行動の障碍(しょうがい)(夜間変調、不眠、幻覚、妄想、抑うつ)。3、日常生活能力の低下(徘徊、暴力、異物食、弄便)。4、体の障害(歩行障害、嚥下障害、排尿排便障害、失禁)の4症状に分けられる。

 アルツハイマー型と脳梗塞などによる脳血管障害性型に分かれる。アルツハイマー型は、脳の神経性細胞が通常の老化よりも急速に起こる病気である。脳細胞そのものが変化することによって正常な働きを徐々に失い認知症になる。アルツハイマーはドイツの医師の名前。1907年、この病気に関する論文を発表した。

 脳血管障害性型は、脳の血管が詰まったりして脳の働きに障害が起こるものである。






(私論.私見)


認知症

1. 認知症の定義

 認知症とは、一度正常に達した認知機能が後天的な脳の障害によって持続性に低下し、日常生活や社会生活に支障をきたすようになった状態を言い、それが意識障害の無い時にみられることを指します。下記に認知症の診断基準を示します。


2. 認知症のスクリーニング検査と各種用語の意味

 認知症の診断スクリーニングには、下に示すMMSEやMoCA-Jといった検査を行います。


 遂行機能障害の良くある訴えとしては、同時に多数の仕事がこなせない、金銭管理が出来ない、意思決定が出来ない、電車の乗り継ぎが分からないなどがあります。簡単に確認出来る質問としては、ミスが増えていないか、ミスの内容は何かといった確認方法が挙げられます。記銘・記憶障害の良くある訴えとしては、同じ質問を繰り返す、所持品を無くす、行事や約束を忘れる、良く知っている道順を忘れるなどがあります。簡単に確認出来る質問としては、薬の服用状況や昨晩の夕食の内容を話していただくなどが挙げられます。視空間機能障害の良くある訴えとしては、顔が分からない、一般的な対象物が分からない、簡単な道具の操作が出来ない、洋服の着方が分からないなどがあります。簡単に確認出来る検査法としては、五角形の重なった図や立方体の透視図を描いていただく方法などが挙げられます。失語の良くある訴えとしては、会話中に簡単な言葉が出てこない、会話の障害、綴りの間違い、書字の間違いなどがあります。簡単に確認出来る質問としては、通常の会話や指定した文字を書いて頂くことなどが挙げられます。また、人格、行動、態度の変化、すなわち、興奮、無気力、意欲低下、興味の喪失、衝動行動や反社会的行動などで発症する場合があり、このような例では、認知症と中々気づかれない場合があります。


3. 認知症の鑑別診断

 認知症疾患治療ガイドライン2010からみた診断フローチャートを示します。


 上記のような症状は、別に認知症ではなくとも、正常加齢、せん妄、うつでも起きます。また治療可能な認知症、例えば電解質のバランスが崩れている、甲状腺機能が低下している、感染症にかかっている、てんかん、正常圧水頭症などの鑑別が必要となります。認知症は、高齢になるほど発症しやすくなります。超高齢化社会の我が国における最近の調査では、認知症の患者さんの数は460万人、その予備軍と言われる方達も同数いるというデータが出てきており、その診断、治療、介護、新規治療法の開発などは現代の医学に課せられた大きな問題となっています。認知症の基礎疾患としてはアルツハイマー病が最も多いのですが、レビー小体型認知症、脳血管性認知症、前頭側頭葉変性症をはじめ、多彩な疾患が原因となりえます。