この有性生殖の遺伝子的意味は次のことにある。まず、男女とも減数分裂で、女が卵子(1倍体)を創り、男が精子(1倍体)を創り、男の精子が卵子と合体し、受精卵(2倍体)となり成長していく。その大きな目的は、卵子の側の1倍体の染色体と精子の側の1倍体の染色体を対合→交差→組み換えによりDNAの総和をシャッフルして新たな種に変えていく(進化)ことである。ヒトの場合は哺乳類なので、女の体内に卵子を作り保持し、男との性行為で男の精子を女の体内(膣内)に取り込み受精させる手法がとられる。これを体内受精と言う。ヒトの体内受精の場合、必ず男の性器(ペニス)が女の性器(膣内)に挿入されメスの膣内で射精を行わないと受精に至らない。結局は性欲の強度が受精確率を向上させる。
性によって有性生殖を実現させるための勤め(仕事や役割や役目)が違う。男には、受精、妊娠、出産、授乳、子育てがないので性行為が終了すると、その行程が完結する。男の有性生殖での重要な役割は己のDNAを精子の中に凝縮し格納し、その己のDNAを格納した精子を女の膣内に射精することである。男の使命は、女に膣内射精して己のDNAとその女のDNAをシャッフルして新しいDNAを作ることにある。これが有性生殖としての男の生物学的な使命である。男の性欲は女の卵子に自分のDNAを格納した精子を植え込むことに尽きる。女も当然、己のタイプの男の精子を受け入れ己の卵子と合体(受精)させその男との子どもを潜在的に求めている。
P.S.
カマキリやある種の蜘蛛は交尾が終了しオスの精子(DNA)がメスの体内に入ったことが確認されるとオスはその瞬間用済みになりメスに食べられてしまう。メスは受精卵を育む必要があるので、DNAをメスの体内に射精したオスはメスと受精卵の栄養になるのである。昆虫などにおけるオスの存在価値はまさにオスの遺伝子をメスの体内に注入するだけの存在に特化されている。男はDNAの単なる運び屋でしかない。そのDNAを運ぶ運び屋を動かすモチベーションが射精であり性欲なのである。