中西金次郎

　（最新見直し２０１５．１０．２６日）

　（れんだいこのショートメッセージ）

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　２００７．１１．３０日　れんだいこ拝

【中西金次郎（なかにし　きんじろう】

　嘉永３年、生まれ。
　大正９年、出直し（享年７０歳）。

　１８５０（嘉永３）年、生まれ。

　１８８２（明治１５）年頃、「疝気」という病を患い、それが快癒した。

　１８８４（明治１７）年頃、大阪市東谷町2丁目で「丸金」(まるきん) と号して油(石油・種油)の小売商を始めた。

　１８８５（明治１８）年１２月、大阪府東区釣鐘町1丁目に移り、店員も増やして積極経営に勤しんでいた。

　１８８６（明治１９）年１月、疝気（せんき、腰腹部の痛みの総称）が再発して、医薬は勿論、按摩、鍼灸、湯治等あらゆる事をして治癒につとめたが痛みは益々激しく腰から背筋に、頸から後頭部に及び脳にまで影響して、昼夜の別なく激痛が続いた。辛抱強い中西金次郎もこれに堪えかねて、ある時、妻のゆき子に、死んでもよいから出刃包丁で痛む個所を切ってくれと訴えたという。

　その頃、見舞に来た友人の中西鹿造が、大阪府和泉町に霊験あらたかな神さんがあるから救けて貰うよう勧めた。その神さんとは、当時、大阪府東区和泉町2丁目で３階建の家を「寄所」(布教所)として盛んに布教していた天恵(てんえい)４番講元・泉田藤吉であった。
　中西金次郎は勧められるままに妻の肩に縋って「寄所」へ３日間連続でお参りした。泉田藤吉講元は３日共不在で代理者が心学道話による話をしていた。聡明な金次郎は、そんな話なら自分の方が良く知っていると思って聞いていた。何の験しも見えず、４日目にもう行かないことにしたが、妻のゆき子がもう1度だけと熱心に勧めたため、仕方なくゆき子の肩に縋って足を運んだ。

　この時、泉田藤吉講元が在宅で、人間の身上(身体)は親神よりの借物、心一つがわがもの、病の元は心からとの教えを説いた。金次郎は初めて聞く教理に感激しおさづけをして貰って自宅に戻った。この時、不思議にも激痛が半減しており、中西夫妻は驚くやら喜ぶやらで翌日からは自ら進んで参拝し、教理を聞き、おさづけを受けているうちに日ならずして全快した。

　１８８６（明治１９）年２月、中西夫妻が入信した。時に金次郎３７歳、妻のゆき子３５歳であった。以来、石油、灯油の商いを人手に任せ、専心布教に励む。

　同年３月中頃、入信後間もない中西金次郎は、泉田藤吉講元に連れられて初めておぢばに帰参した。取次人が、「天恵４番・泉田藤吉の信者、中西金次郎と申す者、帰って参りました」と教祖に告げると「ハイハイ」という声が聞こえて教祖がお出まし下され、親しくお会い下された。中西夫妻は喜こんで、それ以来、毎月１〜２回は必ず帰参するようになった。

　同年６月頃、自宅の床の間に親神を祀った。

　同年８．１７日、帰参した時、教祖は「味醂」を召し上がり、７分を残して盃もろとも中西夫妻に授けられた。この盃の内面は金色で月日と雲の模様入りであった。

　同年９．２０日、夫妻が、教祖にお召し頂きたいと真心こめて赤い座布団を作り、十三峠を越えて帰参した。教祖はお休み中だったので側近者に事の由を告げて宿に着いた。後刻、教祖から「結構なものを。誰が下さったのや」とお言葉があり、側の者が「中西金次郎でございます」と申し上げるとお喜び下され、翌２１日、宿に居ると、お呼び出しがあって赤衣を賜わった。それはお襦袢であった。この「赤衣」は後に金次郎が教会を設立した時、教祖の「お目標」にと願い出て許され、現在も大江大教会にお鎮り頂いている。

　中西金次郎夫妻は入信後熱心に「寄所」へ参拝を続け、泉田藤吉講元の話に耳を傾け、不思議な助けを頂く人々を目のあたりに見て、中西夫妻も病気に苦しむ人々を助けて御恩返しをしようと思った。最初は泉田藤吉講元に従って布教に廻っていたが、後には単独で布教をするようになり、妻のゆき子も油を売りつつ布教した。

　二人共まだおさづけの理を敷いていなかったので、「ちよとはなし」(つとめの一部) のお手ふりでお願いをした。そうしたところ、助けを頂いて入信する人や、また、お助けを願って訪れて来る人が相次いだ。そのため商売もできにくい状態となってきたので、妹婿の河村庄平にその方を引受けて貰って専心布教することとなった。

　１８８７（明治２０）年春、天恵４番の分講として「恵心組」(えいしんぐみ、大江の前身）の講名を受けた。この頃、中西夫妻には子供が授からなかったので、どういうことかとお伺いし、お指図を仰いでいる。

　１８８８（明治２１）年１０月、中西夫妻がおぢばに帰った時、金次郎がにわかに病気となった。本席に神意を伺ったところ「これは結構を頂戴するのや」と仰せになり、続いて「埃の事情、掃除して願い出よ」とのお言葉があった。金次郎は反省するところがあり、家に戻って家族の者と話し合った。話し合って了解ができたので、引返し帰参して願い出るとお指図があり、金次郎は「おさづけの理」を戴いた。翌日、本席はわざわざ宿へ出向き、「結構が頂戴できて、めでたい事や。精一杯お助けをさせて貰いなされや」と仰せになった。

　同年１２．２５日、妻のゆき子も「おさづけの理」を戴いた。

　１８９０（明治２３）年秋頃、泉田藤吉講元が大分県中津へ布教に出る事となり、藤吉は金次郎に天恵４番講を預け、取締(講元代理)に指名した。金次郎がその任に当たっていたところ、今村斧太郎が天恵４番講を継承することとなり、金次郎の組織した「恵心組」は本部直轄となった。

　病気を救けて貰って入信する者が次第に増え、その中から布教に出る人もでき、伝道は大阪市内から始まり付近の東成郡西成郡に伸びた。西成郡では歌島村野里や豊里村菅原に、また東成郡では蒲生に信者ができて各講社が結成された。中でも、安原瀬助、茶木谷与兵衛とその妻ハナは熊本市内と菊池郡に、更に、安原瀬助は一旦大阪に戻り、更に愛媛県三机村に向かった。「恵心組」の布教は徐々に白熱化し、田中甚五郎は愛媛県二名津に、新谷多造と堀場丑松は岐阜県高田村に布教して信者ができ、各々講社を結成した。

　中西金次郎は各地に布教伝道の実績が見えてきたので教会の設立を計画し、自宅を改造して神殿その他を設け、本部へ出願した。

　１８９２（明治２５）年１１．２２日、大江支教会設立が許され、中西金次郎が初代会長に就任した。

　１８９４（明治２７）年５．１８日、初代真柱祭主のもとに鎮座祭、翌５.１９日、開莚式を盛大に執行した。

　中西ゆき子は、恵心組の講長は女ですかと言われるほど熱心におぢばに通った。お助けに、信者の育成に駆け回り、厳しさもある反面深い愛情を以て信者を教え導き、どん底生活に堪えて、夫婦力を合わせて教会設置にまで漕ぎつけた。しかし、この頃から床に臥すようになり、大江支教会開莚式のおつとめに出ることが叶わなかった。

　同年７．１０日、大江支教会開莚式後５２日目、中西ゆき子が出直した（享年４２歳）。金次郎は「糟糠の妻」の出直しという悲しい大節に直面した。

　１９１９（大正８）年秋頃、初代会長中西金次郎が、「胃縮」という病名で、天理市布留の大江詰所で静養していた。板倉槌三郎、深谷源次郎、増井りん、各本部員のお助けを受けて静養する中、養嗣子・孫三郎に会長を継がせる心を決めた。

　１９２０（大正９）年６．２日、中西金次郎初代会長が病勢一進一退の中に辞任し、養嗣子・孫三郎が許しを受けて２代会長に就任した。

　同年９．１日、入信以来実に３５年お助けに励み、「大江」の基礎を築いた中西金次郎初代会長が出直した（享年７０歳）。

　１９２１（大正１０）年１．２２日、２代会長就任奉告祭を盛大に執行した。

　この頃、教内は教祖４０年祭へ向けて白熱的な活動が始まった。諭達の発表、教義講習会の開催、教勢倍加運動の展開となり、大江支教会も、この躍動の波に乗って実績を挙げた。「別席」を運ぶ者、おさづけを戴く者、別科に入学する者、卒業して布教に出る者、教会を設置する者が相次いだ。

　１９２３（大正１２）年の教会設立７ヵ所、大正１３年４ヵ所、大正１４年７ヵ所、大正１５年1月中に４ヵ所、合計２２ヵ所の新設を見た。教祖４０年祭発表当時の教会は１０ヵ所しかなかったのが３２ヵ所となった。更に、年祭に帰参する信者受入れの準備として、天理市田部町に6,386平方米余の土地を買収し、旧詰所(天理市布留)の建物の移築と増築にかかった。

　１９２６（大正１５）年１月、新詰所が完成した。１．１５日、２０日、２５日の３回に亘って落成祭が執行された。教祖４０年祭には多数の信者を迎えることができた。

　中西孫三郎２代会長は、初代会長の願望であった教会移転を初代の１０年祭までを区切りとして何としても実現したい、との方針を打ち出した。何回となく役員会議を開き、また候補地を視察したりして、紆余曲折を重ねた結果、広大な土地と建物を買収をすることができた。

　１９２９（昭和４）年８月、大阪府東区釣鐘町1丁目から大阪市西淀川区大仁元町1丁目85番地に移転し、鎮座祭・奉告祭をつとめた。同９．１日、中西金次郎初代会長の１０年祭をもつとめた。

　１９３０（昭和５）年９．２６日、教祖５０年祭・立教１００年祭の公示があり、これを目標とする活動が始まった。

　大江支教会も移転後の負債返還問題が残っていたが、一切を捨てて両年祭を目標に邁進すると共に、中教会への昇格を期して、信者の育成と教会の増設に努力した。その結果、三津屋、上中島の両宣教所が支教会に昇格。こうして新設教会１１ヵ所の増設となつた。

　１９３５（昭和１０）年４．１３日、大江中教会に昇格の許しを受けた。

　同年１０．２日、２代真柱を迎えて、喜びの中で中教会昇格奉告祭を執行した。かくして、教祖５０年祭は中教会昇格を迎えることができた。

　１９３７（昭和１２）年１１．２８日、立教１００年祭が戦時体制下に執行された。大江中教会からも部内信者多数が帰参した。遅々たる歩みではあったが年祭活動によって教線も拡張し、部内教会数は４３ヵ所になった。

　１９４０（昭和１５）年２．１０日、中教会から大教会に昇格する事を許され、同年１１．２日、２代真柱を迎えて盛大な昇格奉告祭を執行した。

　大江大教会に昇格４年後、思いがけない教会移転の事情がおこった。戦時下にて空襲に備えての家屋疎開が必要となり、止むを得なかったが結局、天王寺区上汐町4丁目の土地建物を買収して、１９４４（昭和１９）年５月、内部の改造、神殿の設備、壁の塗替えを終え、一時的に御津大教会に預託していたお目標の「奉遷鎮座祭」を執行。ここに移転を完了した。

　１９４５（昭和２０）年３．１３日夜、大阪に大空襲があり、大江大教会が全焼した。お目標は無事で大阪教務支庁に奉遷した。

　その後、(お目標を) 部内教会に仮遷座して、祭典も教務もここで執行していたが、中西孫三郎２代会長の要請により役員会議の結果、上汐町に戻り、木造瓦葺平家建1棟を新築落成して、１９４５（昭和２０）年１１．２２日、鎮座祭と月次祭を執行した。

　戦争が終結して平和が訪れ、地方に疎開していた人々も帰阪し参拝者も次第に多くなってきたので、大江大教会は第２回目の復興ふしんとして木造瓦葺平家建の神殿を新築した。建築資材の一切は配給制度となって困難を極めた。

　１９４６（昭和２１）年１０月、神殿が落成した。１９４７（昭和２２）年３．２９日、２代真柱祭主のもとに鎮座祭、翌３．３０日、移転復興奉告祭を盛大に挙行した。

　１９４９（昭和２４）年４．１３日、２代会長・中西孫三郎が後進に道を開くために辞任し、長男・太一が許しを得て３代会長に就任した。

　１９５１（昭和２６）年１１．２９日、２代真柱祭主のもとに木の香も新しい神殿・教祖殿で、鎮座の儀が厳粛に執行された。翌１１．３０日、３代会長就任、神殿新築落成の両奉告祭と、創立６０周年記念祭の三つの慶びの祭典を執り行った。

　１９６２（昭和３７）年１２．６日、大江大教会創立７０周年を迎える準備として客殿の新築に取りかかり、これが完成したので、２代真柱を迎え創立７０周年記念祭を執行した。

　１９６７（昭和４２）年１．２９日、中西太一に会長を譲って後も神殿お助け係を拝命して、後に本部准員に登用され本部につとめ、その後、病床の身となっていた中西孫三郎２代会長が、大江詰所で静養中のところ出直した（享年７４歳）。

　１９７２（昭和４７）年９．２１日、創立８０周年の記念祭を目標に鉄筋コンクリート３階建の信者会館の新築に取り掛かり、その完成と教会新設２ヵ所を見て、真柱を迎えて盛大な記念祭を執行した。

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【中西金次郎逸話】

　教祖伝逸話篇１８６「結構なものを」。

　明治19年3月中頃、入信後間もない中西金次郎は、泉田籐吉に伴われて、初めておぢばへ帰り、教祖にお目通りさせて頂いた。教祖は、お寝みになっていたが、「天恵4番、泉田籐吉の信徒、中西金次郎が帰って参りました」と取次いで頂くと、直ぐ、「はい、はい」と、お声がして、お出まし下された。同年8月17日に帰った時、お目通りさせて頂くと、月日の模様入りのお盃で、味醂酒を三分方ばかりお召し上がりになって、その残りをお盃諸共、お下げ下された。同年9月20日には、教祖にお使い頂きたいと、座布団を作り、夫婦揃うて持参し、お供えした。この時は、お目にはかかれなかったが、後刻、教祖から、「結構なものを。誰が下さったのや」と、お言葉があったので、側の者が、「中西金次郎でございます」と申し上げると、お喜び下され、翌21日宿に居ると、お呼び出しがあって、赤衣を賜わった。それはお襦袢であった。

(私論．私見)