教祖みきの素顔を伝える資料は非常に少ない。その中で、田邊教郎氏著作「教祖ひながた入門」が次のような貴重な教祖像を紹介している。その引用元は記されていないが、当時教祖に親しく接していた者の回顧録であろう。
「ご高齢の教祖にお目にかかった人々は、たとえようもない神々しさと、言葉に尽せぬ優しさとが、不思議にも一つとなって、何となく胸打たれ、しかも、心の温まる親しさを感じました。教祖は中肉中背で、やや上背(うわぜい)がお有りになり、いつも端正な(きちんとした)姿勢で、すらりとしたお姿に拝せられた。お顔は幾分(やや)面長(おもなが)で、色は白く血色もよく、鼻筋は通ってお口は小さく、誠に気高く優しく、常に(いつも)にこやかな中にも、神々しく気品のある面差(まなざし、お顔立ち)でした。お髪は、歳を召されると共に次第に白髪を混え、後には全く雪のように真っ白であられたが、いつもきちんと梳って(クシを入れて)、茶筅(ちゃせん)(の髪型)に結っておられ、乱れ毛や遅れ毛などは少しも見受けられず、常に(いつも)(服装は)赤衣に赤い帯、赤い足袋(たび)を召され、赤いものずくめの服装であられた。
まなざしは、すがすがしく爽やかで、お目にかかった人は、人の心の底も見抜かれるのはこのような目なのか、と思いました。歳をとられても足腰は丈夫で、軽やかに早くお歩きになりました。教祖に、あれもこれも尋ねようと思っていた人々も、いざお目にかかると、疑問も不平も無くなってしまい、ただ限りない喜びと、言葉に尽せぬ安らかさを感じました。お声はいつもは優しかったが、親神様の思し召しを伝えられるときは、響き渡るようなりんとしたお声で、あれがお年寄りの声かと、思われるほどでした。教祖は子供に対しても、とても丁寧に、やさしく話されました」。 |
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