【れんだいこの共謀罪読解俯瞰図】

 (最新見直し2005.10.29日)

【1、はじめに】

 小泉政権は、郵政民営化法案に続いて現代版治安維持法と評されるべき共謀罪を重要法案として位置づけ国会に上程した。目下審議が始まっている。盗聴法から個人情報保護法、住基法、共謀罪へと流れる一連の新法創設は何を意味しているのか。取り返しがつかない暗黒社会が到来するように思われるが、その背景には何があるのか。小泉政権ははなぜ急ぐのか、ここを疑惑せねばならない。

 現代社会事象は、その正確な理解を得ようとすると、万事に於いて像が混乱するように仕組まれている。よほど性能の良いレンズでしかも透かし彫り手法で見ないと分析できない。共謀罪も然りである。この法案の条項を精緻に分析するだけでは意図までは見えてこない。誰がこれを企図しているのか。そこで、れんだいこ流で覗いて見る。


【2、共謀罪の定義
 共謀罪とは、フリー百科事典ウィキペディア(Wikipedia)解説『共謀罪』によれば、次のように定義されている。
 何らかの犯罪の共謀それ自体を構成要件(ある行為を犯罪と評価するための条件)とする犯罪の総称。アメリカ法のコンスピラシー(Conspiracy)がその例である。
 日本の「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律6条2」が規定する組織的な犯罪の共謀罪の略称。2005.8.8日、衆議院解散により廃案。

 山下幸夫(弁護士)の共謀罪とは何かは次のように記している。
 「共謀罪は、もともと歴史的には、とくにイギリスやアメリカにおいて、労働者が集まって労働争議をすることを禁止する、つまり、労働団体を規制するという観点から認められてきたという歴史的経緯があります」。

 「この共謀(コンスピィラシー)という概念は、英米法において認められていましたが、ヨーロッパのドイツやフランスなどの法体系である大陸法にはありませんでした。日本の法体系は、明治時代以降、大陸法を参考にして作られてきていますので、共謀(コンスピィラシー)という概念は存在していませんでした」。


【3、法案の登場経緯】

 共謀罪はどのようにして生み出されたのか。どうせ元々はネオ・シオニストの悪企みから発生しているに違いない。仮にそうでなくても、途中から連中に都合の良いように捻じ曲げられていくに違いない。そういう先入観を持って覗いてみる。当たらなければ良いけども。

 法案の歴史過程を追跡して見る。
 1994年、ナポリ閣僚会議で、「越境性」のある国際マフィアによる銃器や麻薬の密輸取り締まり、資金洗浄(マネー・ロンダリング)、人身売買の防止などを目的とする法案の作成が提起された。現代が国際社会化するに応じ、さまざまな国際犯罪が発生しているのは事実である。これを取り締まろうと合意したもので、ここまではまま理解し得る。

 2000.11月、国連が、「国際(越境)的な組織犯罪防止に関する国際連合条約」(http://home.kanto-gakuin.ac.jp/~adachi/information/021121.html、略称「国連国際組織犯罪条約」、以下単に「国際組織犯罪法」と云う)を提起した。同法案は、当初の国際マフィアの活動取り締まりに加え、国際的テロ犯罪防止をも盛り込ませて、第3条1項に条約の適用範囲として「性質上国際的(越境的)なものであり、かつ、組織的な犯罪集団が関与するもの」と明記している。

 つまり、「国際化した組織犯罪防止」を打ち出していることになるが、かく抽象的に表現にすることにより当初の企図より法の網を広げたことが分かる。もっとも、非合法な越境組織犯罪防止という点では共通している。要するに、国際マフィアに対する取締りから国際テロリスト摘発へとウェイトが移った、ということであろう。他にも司法妨害などを新たに加え犯罪としている。

 同条約は、参加国に国内法でも共謀罪の創設を設けることを義務づけている。これが為各国は、国内法の整備に向うことになった。一般に、国連決議がかような能力を持つのかどうか、れんだいこには分からない。それはともかく、条約が発効するためには40ヶ国の批准が必要とされている。2002年末で142ヶ国が署名し、うち26ヶ国が批准している。G8諸国で批准したのはカナダ一国に留まる。(現在、フランスなど110の国・地域が批准し発効している、とのことである)

 日本政府は、国連審議の当初より実行行為を裁く近代刑法の原則を重視し、共謀罪創設に難色を示していた。国連における審議の際に日本政府が提出した書類は次のように記している。

 「(前略)このように、すべての重大犯罪の共謀と準備の行為を犯罪化することは我々の法原則と両立しない。さらに、我々の法制度は具体的な犯罪への関与と無関係に、一定の犯罪集団への参加そのものを犯罪化する如何なる規定も持っていない」。

 1999.3月の政府間特別会合に於いても、「共謀または予備の諸行為を犯罪化することは、わが法制度に首尾一貫しない」と述べており、条約批准には消極的姿勢を見せていた。が、ともかく同年12月署名した。

 ある時点から一転して積極派に転換する。小泉政権がこれを推進した。
この契機(モメンタム)となったのは2001.9.11日に起きたいわゆる「同時多発テロ事件」である。同事件は、アフガン懲罰戦争、イラク戦争への格好の口実となったが、米英ユ同盟はこの裏で、「テロリスト駆逐」という口実のもとに、国際的共謀罪新設という「陰謀」を進行させていった。小泉バター犬政権は、2003年批准した。

 小泉政権は、アメリカの年次改革要望書に完全に沿った形で郵政民営化を推進し、衆院可決、参院否決となるや違憲違法の衆院解散総選挙に打って出て、ネオ・シオニストの露骨なメディア利用により強引な歴史的大勝利を納め、その威力で法律にさせたが、これと全く同じ構図で共謀罪創設を押し進めつつある。


【4、法案の中身】
 許し難いことに、小泉政権が創設しようとしている共謀罪はもっとハレンチである。「国際組織犯罪法」の批准にともなう国内法整備を名目に導入しようとしているが、政府・法務省が提出した法案には、同法が適用範囲としている「越境性」と「組織性」の2つの要件(同条約3条)のうち「越境性」が抜け落ちており、「組織性」の要件もきわめて緩和し法の網を広げている。つまり、「国際的かつ組織的犯罪集団を対象とする」という限定を越えて、純然たる国内事項にも適用できるような取締り法案へと飛躍させている。

 「国際(越境)的な組織犯罪」としての国際マフィア、国際テロリストの取締りという垣根を取り払い、もっと幅広く純国内の政治犯罪、国家犯罪に対する恐るべき、1・予防検束型、2・事前規制型、3・治安立法型となっており、まさに「現代版治安維持法」として策定しようとしている。つまり、国際的国内的両面に適用できる一石二鳥法案としている。先の国会では、与党議員からも、「(創設されようとしている我が国での)共謀罪の規定は、条約と範囲が違うのでは」と危ぐする声が出ている。

 しかも、法案は4年以上の禁固の刑罰を定めたすべての犯罪について適用できるため、道路交通法違反、税法違反、水道法や消費税法違反などまでを含む6百法以上(当初557法と言われていたが、現在は620法に及ぶことが確認されている)の法律に適用されるようにつくられている。

 その手法として、警察や検察が「共謀があった」と認定しさえすれば、具体的行為の無い「犯罪」実行前段階に於いて、取締まりや捜査に着手できるとしているので、つまり権限が大幅に強化されており、いわば当局に万能権力が与えられたことになる。この法案が法律となれば、警察や検察は、テロや組織犯罪の防止を口実にして各種団体にどんどん介入できることになる。これを組織弾圧と云う。

 こうなると、政党、市民団体、労働組合、宗教団体など、あらゆる団体の活動が対象にされる。市民の人権は無論のこと近代法原理が保障した団結権、争議権、反対権、抵抗権を侵害する最悪の悪法となっている。これが法案の内容である。

 実際には、国内外の不都合事情に対して、適用基準が曖昧故に当局の胸先三寸のさじ加減で取締りが為されていくようになるだろう。その結果、アノミーな無秩序社会に成ることが予想される。

【5、法案の審議過程】
 小泉政権は、共謀罪を盛り込んだ組織犯罪処罰法の創設に熱心に取り組んでいる。2003年に初めて通常国会に提出したが、しかし、こうした法案であるから容易には国会を通過しない。野党や市民団体、日本弁護士連合会が強く反発し継続審議を繰り返している。改正案は既に3度国会に提出され、いずれも廃案となっている。そして今国会に再々度上程された。概要は、「小泉政権による法案化の流れ」に記す。

【6、法案の法的問題性その1、「内面関与の問題」】 
 共謀罪がなぜトンデモな悪法なのか。それは、近代が中世から抜け出る過程で血みどろの闘いの中から獲得してきた「個人の内心に於ける思惟の自由、言論・表現・出版・集会・結社の自由」を直接的に侵害するからである。今や天下を恣(ほしいまま)にしつつあるネオ・シオニストがこの悪巧みを仕掛けている。

 ネオ・シオニストは、中世から近代の過程で、ゲットーからの解放、市民権獲得に向けて闘いを組織し、その際中心的役割を果たしてきた。これを歴史過程で見れば、彼ら自身が最も恩恵を受けてきた経緯がある。これは、ネオ・シオニストの「歴史的正」の面である。ところが、その後彼らはますます勢力化し、今や世界中で支配ネットワークを構築している。その彼らが天下を取るや手のひらを返し、「個人の内心に於ける思惟の自由、言論・表現・出版・集会・結社の自由」を抑圧し始めたことになる。これがネオ・シオニストの「歴史的本性」である。

 彼らは遂に、近代法的諸権利の果実を食い散らし、彼らの漫画的世界支配秩序青写真を押し付けるためにその牙を剥き出しにし始めた。ここに、国連決議を経て世界各国で共謀罪が導入されつつあるという裏事情がある。今やはっきりネオ・シオニストの「歴史的負」の面を捉えねばならない。

【6、法案の法的問題性その2、「基本的人権抑圧の問題」】
 近代刑法は、イタリア・ルネサンス以来の近代原理に則り、罪刑法定主義、証拠主義、公正な裁判主義、拷問の禁止等々の諸原則を確立してきた。近代刑法は概ねこれらの諸原則に則り準用されてきた。日本の戦後憲法は、近代原理に則った史上最高度の内容を記しており、刑法に於いても戦前の治安維持法下の行き過ぎを諌め、わざわざ憲法の中に条文化している。当然の事ながら刑法はこれに準則するよう強いられている。よって、戦後日本の刑法はこれまでのところ事前謀議を処罰する規定を持たない。

 戦後日本の刑法は、人をして罪を問う為には「現実的危険性をもつ行為としての犯罪の実行着手」を構成要件としている(同法43条本文)。これが近代刑法概念の芯となっている。その後、治安上の観点から「共謀共同正犯条項が生み出されたが、「犯罪の実行」を構成要件とするという弁えを保持しており、為に共謀共同的犯罪が発覚しても、内乱陰謀(同法78条)などの個別の構成要件に該当しない限り事前の強制捜査をすることができないという制限下に置いている。これは、近代刑法の原則である「実行行為に直接つながる行為をすることによって、法益侵害(構成要件の実現)の現実的危険性を引き起こしたから処罰される」という公理に従がっている故にである。

 但し、判例上では、取締り当局側をして有利に運ばせてきた経緯がある。今日の「共謀共同正犯」の理論の運用状況からすれば、共謀すなわち意思の連絡については、明示の意思連絡でなくても、黙示の意思連絡で足りる、との解釈まで歩を進めてきている。こうなると、お互いの顔を見合わせてうなずくとか、いわゆる「あうん」の呼吸で為された場合にも処罰対象されることになる。しかしこれが乱用されるまでには至っていない。

 こたびの共謀罪の創設は、この判例を更に押し進め、これを明文にまで高め、否更に「みなし捜査」、「おとり捜査」まで可能としている。「当局に好ましからぬ何らかの共同行為を共謀すること自体」を犯罪に問うことが出来るようにしている。法案第6条の2による共謀罪は、次のように規定している。
 概要「死刑または無期もしくは長期4年以上の懲役もしくは禁錮の刑が定められている罪に当たる行為で、団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行なわれるものの遂行を共謀した者を処罰することができる」。
 概要「長期4年以上の刑を定める犯罪についての共謀は懲役2年以下、死刑または無期もしくは長期10年を超える刑を定める犯罪についての共謀は懲役5年以下の刑とする」。
 概要「きわめて重大な法益を侵害する犯罪については、未遂でもない『予備行為』という準備行為を処罰する」。

 「団体の活動として、犯罪を実行するための組織による遂行を共謀した者は懲役などに処する」、これが法案の骨子であり、この論法により国家権力が正当に人や組織の秘密に容喙し得るとなると、現憲法下では認められてきた「内心の自由、思想・良心の自由」を侵し、基本的人権抑圧、大衆運動弾圧の凶暴法となることは間違いない。共謀罪の規定は多義的にして曖昧であるからしてこうなると法律の一人歩きとその副作用を心配せねばならないであろう。


【6、法案の法的問題性その3、「犯罪の構成要件の曖昧問題」】
 何が犯罪とされるのか、その構成要件も曖昧である。究極、権力者の恣意的運用により多方面に被害を及ぼす恐れが強い。(これについては、該当条文が確認され次第に俎上に乗せることにする)

【6、法案の法的問題性その4、「共謀立証性の問題」】
 どうやって共謀を立証するのか、ここも曖昧である。歴史を見れば、「コンスピラシー(Conspiracy、陰謀)」だらけである。これまでは、そのことを踏まえつつ取締りにもある種の弁えをもってきた。それがここへきて何故に「実際の犯罪行為がなくても計画を話し合っただけで罪に問える」ようにしようとしている。

 共謀罪の本質は、立証不能な架空の罪状によって処罰することができるという超法規的法令にある。戦前の治安維持法や予防拘禁制に通じている。果たして、捜査当局にそういう権力を与えてよいものだろうか。

【6、法案の法的問題性その5、「密告減免問題」】
 共謀を密告すれば刑が減免されることになっており、「密告社会につながる」点でも問題がある。共謀罪法案では、犯罪を未然に防止する為との理由付けで、「実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する」との但し書きがあり、密が奨励されている。これに「おとり捜査」も可能となれば、どういう社会になるのだろうか。

【6、法案の法的問題性その6、「常時監視社会、スパイ問題」】
 初期段階での捜査は、「通信傍受等の新たな捜査手法」を生み出し、盗聴捜査が当たり前となる時代が来る。無数の情報協力者(スパイ)を合法的に棲息させてしまう。「壁に耳あり、障子に目あり」の警察監視社会の到来は疑いようがない。住基ネットを活用すれば、住民相互が互いに監視するシステム「一億総スパイ化」を作りだすことさえ可能となる。

【6、法案の法的問題性その7、「政治的弾圧の問題」】
 この規定が、各種反対運動、組合運動、示威運動、政党や宗教団体の運動等々に適用されると、殆どの運動が法の網に掛かるようになる。デッチアゲさえ可能になろう。

(私論.私見) 【7、共謀罪の近代法に対するレイプ性】
 つまり、小泉政権により押し進められようとしている共謀罪は、近代原理及び刑法の諸原則を否定し、憲法の保障する諸権利を真っ向から否定する反動法である。これが法律となると今後は、犯罪行為前段階での謀議自体が問題にされ犯罪とされることになるが、戦後憲法及び刑法秩序の法体系を狂わすことは自明である。

 まさに、レイプ履歴犯にしてバター犬小泉首相によって、「2005.9.11総選挙」で国会がレイプされたが、のみならず戦後法総体までもがレイプされようとしていることになる。これに抗する為には、憲法99条「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」
という憲法尊重擁護の義務条項を楯に闘うことであろうか。

 実に、小ネズミは、よろづ法秩序の破壊に異常に興奮するサイコパスである。延暦寺焼き討ちの妄念でこれを推進しつつあるように見える。れんだいこは、歴史法廷に立たせ、こやつの人格からきたところの全ての政策を裁かねばならぬと考える。

(私論.私見) 【8、法案の硬直法性】
 最後に、人民の団結権、抵抗権、武装権、革命権とのからみを愚考して見る。それらは現憲法下では曖昧にされているが、これを逆に云えば担保されているとも云える。単純な意味での一般刑犯罪には馴染まない筈であるが、当局側から見て好ましいものではないので、法律的権利にならざる歴史的権利と云える。

 「歴史の弁証法」によれば、その時代の反政府運動は、社会進歩上は有益な事例が多い。歴史を遡れば、現下の政権もかっては反政府側の系譜を引いており、そうやって元一日を辿れば「歴史とは反政府が政府になる事例の連綿」であることになる。これを弁えるから、賢明なる政府は、度の過ぎた強圧政治を抑制してきている。れんだいこは、歴代政府は、そういう歴史の弁証法を弁える度量を保持してきた、と考える。戦後ハト派政治とは実にそういう時代であった。

 今回の共謀罪は、いわばこの歴史弁証法観が否定され、時の政権が徹底的に政敵を摘発していく恣意性に道を拓いている。政敵に対してそうなら当然、「人民の団結権、抵抗権、武装権、革命権」など即犯罪とされ、万能的捜査権を与えたことになる。「立証不能な架空の罪状を作り上げ、被疑者側に無罪の証明を促す倒錯的超法規的処罰法令、これが共謀罪の本質である」。

 その結果は、ネオ・シオニストの提灯持ちばかりが跋扈し、彼らイエスマンのわがままし放題社会、労働農民大衆の貧困と疲弊社会を生み出すことになろう。あぁ嫌な時代だ。すぐ先に見えている。

 2005.10.11日 れんだいこ拝

【又しても読売の御用性プロパガンダ】
 2005.10.16日、読売新聞は、「読売社説2、『共謀罪』法案 早期成立へ必要な修正を急」で又もや御用論説を掲載している。これを検証する。冒頭で次のように述べている。
 テログループや暴力団など組織的な犯罪集団を主な対象に、犯罪を謀議した計画段階で処罰できる「共謀罪」を創設する法案の国会審議が始まった。

 2000年の国連総会で、テロや暴力団、マフィアなどの組織犯罪の撲滅を目指す「国際組織犯罪防止条約」が採択された。日本は条約に署名し、国会で承認している。

 条約は参加国に、テロなどの未然防止に効果的な共謀罪を設けることを義務づけた。政府はすでに、共謀罪を盛り込んだ組織犯罪処罰法の改正案を2度国会に提出したが、いずれも、衆院解散のため廃案となった。

 条約はフランスなど110の国・地域が批准し発効している。国内法の整備ができず、条約批准が遅れ続けるようではテロや麻薬密輸など組織犯罪に対する国際共闘の足並みを乱すことになる。

(私論.私見)

 ここまではまま客観論評だろう。


 続いて、気になる事を述べている。
 民主、共産両党も、テロ対策の重要性から共謀罪の創設自体に反対してはいない。適用する組織の定義や適用範囲を、より明確化することを求めている。もっともな主張である。
(私論.私見)

 これも恐らく客観論評だろう。しかし、民主ならありそうだが、共産党も、「テロ対策の重要性から共謀罪の創設自体に反対してはいない」となると、又もや日共の隠れた裏芸が垣間見えていることになる。

 続いて、法案修正の必要性について次のように述べている。

 共謀罪の対象は現行刑法で死刑、無期または4年以上の懲役・禁固に当たる犯罪だ。共謀罪について改正案は「団体の活動として、犯罪を実行するための組織による遂行を共謀した者は懲役などに処する」と規定している。

 これでは、「団体」の定義や、共謀の「謀議」の構成要件が明確ではない。野党側が明確にするよう修正を求めている重要部分だ。

 法務省自身、「一般にはわかりにくいだろう」と国会審議で認めている。「団体」の中に労働組合や市民団体、会社などが含まれることはないか。解釈により適用範囲が広がりはしないか。危惧(きぐ)や不安が生まれるところだ。

 法務省はホームページで、共謀罪について、「組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪の共謀行為に限り処罰する」とわかりやすく説明している。これに沿って、改正案を修正するべきだろう。

 共謀罪が成立するための「謀議」も、単なる合意だけでなく、何らかの具体的な犯罪準備行為なども構成要件とし、より明確にすべきではないか。

 日本弁護士連合会は、共謀罪は「思想を処罰することにつながる」と批判している。これは、誤解を広げ冷静な議論を妨げるものだ。犯罪の謀議と「思想」は全く別のことだ。

(私論.私見)

 これは、法案審議の客観論評だろう。末尾の「犯罪の謀議と『思想』は全く別のことだ」が、この論評士の愚昧さを示している。謀議と思想は一応別だが、多いに重なり合っていると捉えるべきところ、「全く別のことだ」とは何を根拠にそったらことを言い切れるのか。


 おかしなことに、この読売見解に対し、「確かにその通りではあるが」などと解説している者も居る。馬鹿げたことを云うな。そういう風に捉えるから、反対運動が単に口先の反対で済ませてしまうことになる。思想というのは本質的に運動を呼び込むもので、運動は謀議と云おうが論議といおうが駁論し合うもので、これが分からん奴は何も分かっておらん。

 続いて、これが云いたかったことなんだろう。次のように述べて締め括っている。

 改正法案の主な目的は国際的な「テロとの戦い」に連携できる法整備だ。与野党は、この原点に立って、修正協議を進め、早期成立を図ってもらいたい。
(私論.私見)

 何と「早期成立を図ってもらいたい」だと。さすがに戦前の治安責任官僚・正力松太郎の育てたメディアだけのことがある。DNAというべきか。

【河北新報の良識】
 2005.10.15日、河北新報社説「『共謀罪』審議入り/決して容認できない内容だ」は、読売社説とは対照的に良識を記している。これを検証する。

 犯罪の実行行為が何もなくとも合意だけで処罰できるようになる「共謀罪」の審議が、衆院法務委員会で始まった。「国際組織犯罪の未然防止」を名目にした法整備だが、一般市民の生活や人権を脅かしかねない極めて問題の多い法案であり、絶対に成立させるべきではない。

 共謀罪はテロや麻薬をめぐる国際組織犯罪の防止を目指した条約に従い、国内法を整備するために導入が検討されてきた。米、英の両国などが各国に立法化を働き掛けたいきさつがあるという。

 組織犯罪処罰法改正案に盛り込まれ、犯罪を実行する前の共謀段階で処罰できる。対象になるのは懲役4年以上の犯罪。殺人や傷害、詐欺といった刑法犯だけでなく、さまざまな法律に規定された犯罪行為が含まれるため合計では600を超える。

 消費税法や職業安定法、酒税法といった国際犯罪とは到底関係のない法律まで含まれ、前提となった条約の目的をはるかに逸脱している。共謀だけで罰しようとすること自体が、そもそも重大な問題をはらんでいる。犯罪は本来、結果があってこそ処罰されるのが大原則。現在の刑法では「共謀共同正犯」という考えによって、犯罪行為を合意(共謀)した者は仮に実行にかかわらなくとも刑事責任を問われることがある。だが、それも殺人などの結果があっての話だ。

 共謀罪が導入されれば、例えば何の実行行為も伴わず結果的に犯罪が起きなくとも、誰かと話し合っただけで処罰可能になってしまう。

(私論.私見)

 読売と違って「絶対に成立させるべきではない」と主張している。これがメディアの言論責任と云うべき真っ当な見解であろう。

 続いて次のように主張している。

 一体、どんな組織や団体の行為が共謀罪の対象になるのかもあいまいだ。法務省は想定されるケースとして暴力団や振り込め詐欺グループ、テロ組織を指摘しているが、提出された法案では「団体の活動」「犯罪行為を実行するための組織」としかなく、適用しようとすればいくらでも範囲を広げられる危険性が伴う。

 「犯行現場」がない犯罪を摘発しようとするわけだから、警察の捜査手法も当然、変わるだろう。電話やメールなどの通信記録の閲覧や共犯者の情報提供に頼ることになると予想される。法案には、実行行為に入る前に自首した者は刑を免除したり軽くする規定も設けられ、いわば密告を奨励している。

 共謀罪は運用次第で、特定組織の弾圧や個人の思想を処罰するという治安立法の復活になる恐れがあるし、世の中が監視社会に向かう危うさを抱えている。過去2度も廃案になったのは、あまりに危険な内容に対して強い反発があるからだ。

 与党内では今回、適用する組織を明確化したり、準備行為も要件にするなど法案を修正する動きもあるという。国際テロ防止の法整備は必要だとしても、共謀罪ではない別の手だてを考えるべきだ。言うまでもなく与党は数で押し切ってはならないし、野党も十分に慎重な審議を行わなければならない。いったん立法化されれば取り返しがつかない。

(私論.私見)

 読売よ、河北新報と公開討論でもやって見いや。

【愛媛新聞の良識】
 2005.10.21日、愛媛新聞社説「共謀罪 乱用防止に欠かせぬ抜本修正」は、読売社説とは対照的に良識を記している。これを検証する。
 共謀罪 乱用防止に欠かせぬ抜本修正

 組織的な犯罪を実行しなくとも謀議に加わっただけで処罰できるのが「共謀罪」だ。政府はその新設を柱とする組織犯罪処罰法改正案を提出していたが、今国会中の成立を断念した。与党と法案に反対する民主党との修正協議が難航したためだ。加えて、与党内にも「対象となる団体の定義があいまい」などと慎重論が根強かった。

 政府・与党は継続審議として次の国会で成立をめざすという。だが、今回が三度目の国会提出でありながら、審議がほとんど深まっていないのは、あまりに問題点が多いことの証しだ。乱用による人権侵害の懸念もぬぐえず、このままの成立は絶対に認められない。

 国連は二〇〇〇年に「国際組織犯罪防止条約」を採択、日本も署名している。批准するには国内法の整備が必要で、それに当たるのが共謀罪の新設だ。国際テロや暴力団、マフィアグループなどの国際犯罪に対応できる法整備は確かに重要だ。容疑者引き渡しなどで各国と足並みをそろえる必要性も理解はできる。

 とはいえ、法案にはテロや国際犯罪への対策に名を借りた治安立法の側面も見えてしまう。たとえば、対象団体について法案には「犯罪行為を実行するための組織」といった表現しかない。法務省自身が「一般には非常にわかりにくいだろう」と認めるほどで、労働組合や市民団体が狙い撃ちされるのではと危惧(きぐ)するのも無理はない。実際、当初は暴力団対策と説明された凶器準備集合罪が拡大適用された前例もある。

 犯罪の種類も「四年以上の懲役・禁固」の罪に該当するもので、六百種を超える。道交法や公選法などテロとは無関係としか思えないものまで含まれる。

 通報者の刑を減免する規定は密告の奨励につながり、団体の活動を委縮させかねない。一方で捜査側にすれば、組織の一員になりすまして謀議に加わったうえで自首し、罪を免れる「潜入捜査」も可能になる。

 計画するだけの段階では物証が乏しいはずで、証拠収集のための盗聴拡大や自白偏重をもたらす心配もあろう。
 日本の刑法は犯罪の実行行為があって初めて処罰するのが原則だ。それを根本的に転換させるといっていい。

 話し合った段階で処罰できるものも確かにあるとはいえ、内乱など八種の犯罪に限定される。それだけ例外的な規定ということだ。「共謀共同正犯」にしても、別の共犯者が犯罪を実行することが要件だ。

 自衛隊のイラク派遣に反対するビラを自衛隊官舎で配った市民運動家らが住居侵入罪で逮捕・起訴され、一審で無罪判決が出された東京の事件などを思い起こしたい。法の恣意(しい)的運用が内心の自由を脅かす事態が過去のものと言い切れるだろうか。

 成立してしまえば乱用に歯止めをかけるのは難しい。政府・与党は懸念に向き合い、いったん撤回して抜本修正するべきだ。国会も時間をかけて慎重に論議する必要がある。


【れんだいこの共謀罪読解俯瞰図、れんだいこの共謀罪粉砕決起文】
 共謀罪法案は、最近の事前規制の流れから生まれており、次第に網が被せられ、政治犯に向おうとしていることが判明する。それも一挙にドラスティックなものにしており、小ネズミサイコパスならではの策動である。れんだいこは、小ネズミ政権が策動した一切の法案を無効にさせ、差し戻しを要求する。一体、こやつがやったこと、やろうとしてことは全て気違い沙汰である。

 2005.10.28日、米国防総省が米海軍横須賀基地(神奈川県)に日本で初めて原子力空母を配備すると発表し、小ネズミはこれを追認した。一国の統治責任者としてあり得べからざる追従であり、与太っているとしか考えられない。日本人民とその左派運動をなめきっている。セイバイあるのみであろう。

 2005.10.29日 れんだいこ拝




(私論.私見)