れんだいこ撰日本神話譚その5、高天原王朝神話考 |
更新日/2023(平成31.5.1栄和改元/栄和5).2.17日
(れんだいこのショートメッセージ) |
日本神話は、「天地創造譚(元始まり譚)」、「国土、諸神創生譚」に続いて「高天原王朝、天照大神(アマテラスオオミカミ)譚」を記す。高天原(たかまがはら)に天照大神が住み、八百万の神々と共に高天原を治める。これを仮に「日本神話その3、高天原王朝譚」と命名する。これは3編より成る。この時の逸話として、天照大神と弟の素戔嗚尊(スサノウの命)との抗争譚、天の岩戸事件譚、スサノウの命追放譚が神話化されている。但し、「国津神と天津神考」に記した最新観点より見直す必要がある。 2006.12.3日、2008.4.7日再編集、 2012.8.4日再編集、れんだいこ拝 |
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「高天原」(たかまがはら)がどこにあったのか、これも邪馬台国の所在地と同じく定かでない。ある種ミステリー染みている。日本神話を読み解くのに、倭国の在地のどこかに否定するのも一説であるが、アジア大陸のどこか、叉は海洋のどこかから渡来してきた可能性が強い。いわば渡来民族の祖国を表象していると考えられる。故に、在地の国津族に対比して天津族と表記されていたと窺うことができる。ならば、高天原はどこに所在していたかとなると諸説あり定まらない。これにつき、「国津神と天津神考」の最新観点により、渡来民族「外航族」が、記紀を策定するに当たって、国津族の神話であるところの「高天原」を剽窃した故に、「高天原」を「高天原」として記せなかったと見なしたいと思う。記紀の「高天原譚」にはそういうトリックがあるとみなしたい。 「古代日本ユダヤ人渡来説」(坂東誠著、PHP出版)は次のように記している。興味深いので転載しておく。
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【日本神話その3の高天原王朝譚その1、黄泉国から戻ったイザナギの禊と神々産み譚】 | |
イザナギは黄泉の国から帰り、筑紫の日向(ひむか)の橘の小戸(おど)に辿り着いた。ここで様々な神を生む。これを仮に「日本神話その3の高天原王朝譚その1、黄泉国から戻ったイザナギの禊と諸神生み譚」と命名する。次のように記されている。
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【日本神話その3の高天原王朝譚その2、三貴子(天照大御神、月読の命、スサノウの命)の誕生譚】 | |
イザナギは次に三貴神を生む。これを仮に「日本神話その3の高天原王朝譚その2、三貴子(天照大御神、月読の命、スサノウの命)の誕生譚」と命名する。次のように記されている。
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アマテラス大御神=天照大御神。アマテラスは、大日*貴とも云われ、大日*貴は大日巫女という意味であるところから、日巫女=ヒミコ=卑弥呼と看做す説もある。ツクヨミの命=月読命。タケハヤスサノウの命=建速須佐之男命、素戔嗚尊。 | |
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これによると、イザナギが、日の国を司るアマテラスは、夜の国を司るツクヨミ、海原を司るスサノウを生んだことになる。「日、夜、海」が重視されていることが分かる。スサノウが「母の居る根の堅州の国に行きたい」と泣き叫び続けたと云う寓意は何を語るのであろうか。 2011.7.17日再編集 れんだいこ拝 |
【イザナギの禊と三貴子(天照大御神、月読の命、スサノウの命)の誕生譚異説】 | |
「日本書紀」巻第一、第五段、一書第一に、「一書に曰く」として次のように記述している。
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【天照大神の治績考】 | |
天照大神の治績を確認する。但し、さほど明らかではない。判明次第に順次書きつけることにする。「國體の本義把持に於ける精神的根幹12」の「齋穗の神勅の深義」が、日本書紀」の次の下りを引用している。
これによると、天照大神が、稻種を民の食料とせよと仰せられ、天孫降臨に際して三種の神器と一緒に授けたことが分かる。 |
【日本神話その3の高天原王朝譚その3、ウケモチの神譚】 |
次に、穀物神たるウケモチの神が生まれている。これを仮に「日本神話その3の高天原王朝譚その3、ウケモチの神譚」と命名する。次のように記されている。日本書紀は、天照大神が弟神のツキヨミの命に命じて、穀神たるウケモチの神に食物を求めしめられたところ、ウケモチの神は「首を廻(めぐ)らして国に嚮(むか)いしかば則ちロより飯出づ。又海に嚮いしかば則ち鰭(はた)の広物、鰭の狭物亦ロより出づ。又山に嚮いしかば則ち毛の鹿(あら)もの、毛の柔(にこ)もの亦ロより出づ」と記している。 |
【日本神話その3の高天原王朝譚その4、スサノオの高天原登場譚】 | |
スサノウの高天原詣でと、その際のアマテラスとの誓約(うけひ)の様子が次のように記されている。これを仮に「日本神話その3の高天原王朝譚その4、スサノオの高天原登場譚」と命名する。
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【日本神話その3の高天原王朝譚その5、天照大神とスサノオのウケヒ(誓約)譚】 | |
スサノウの高天原詣でと、その際のアマテラスとの誓約(うけひ)の様子が次のように記されている。これを仮に「日本神話その3の高天原王朝譚その5、天照大神とスサノオのウケヒ(誓約)譚」と命名する。
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天のやすの川=。マナイ=。タギリ姫命=。イチキ島姫命=。タキツ姫命=。やさかのまが玉=。オシオミミの命=。天のホヒの命=。天津日子ネの命=。イクツ日ネの命=。熊野クスビの命=。誓約=。 | |
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アマテラスとスサノオが誓約をせざるを得なかった事情が認められ、微妙な対立が語られている。高天原神話はとかく抗争が多い。このことを知っておく必要があるように思われる。注目すべきは、宗像大社の三女神が生まれていることである。 |
【日本神話その3の高天原王朝譚その6、天の岩戸譚】 | ||||
アマテラスの天の岩戸隠れの様子が次のように記されている。これを仮に「日本神話その3の高天原王朝譚その6、天の岩戸譚」と命名する。
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【日本神話その3の高天原王朝譚その7、スサノオの高天原追放、大ゲツ姫斬首五穀譚】 | ||||
スサノウの高天原追放の様子が古事記に次のように記されている。これを仮に「日本神話その3の高天原王朝譚その7、スサノオの高天原追放、五穀譚」と命名する。
日本書紀ではツクヨミに殺されるとしており次のように記している。
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粟国は、国名に穀物が冠された唯一の国だったが、奈良時代以降、風土記の編纂にあわせて名の表記が粟から阿波へと変わる。古事記の「五穀起源神話」では、高天原を追放された須佐之男命が、大宜都比売神が鼻や口、尻から様々な食物を取り出して調理して振る舞つたことに怒り大宜都比売神を殺めてしまう。すると、大宜都比売神の亡骸(なきがら)の頭から蚕が、両の目から稲の種が、両の耳から粟が、鼻から小豆が、女陰から麦が、尻から大豆が生まれ、身体はすべて植物となったとある。日本書紀では、大宜都比売神と須佐之男命ではなく、保食神と月読命が登場する。保食神から口から魚や獣を取り出して調理して振舞われた月読命は怒り保食神を殺めてしまう。これを見た天照大御神が「天熊大人」(アメノクマノウシ)を派遣すると、保食神の亡骸の天辺には牛馬、お腹のなかには稲、陰部には麦や大豆が生まれたため、アメノクマノウシはこれを採って天照大御神に献上した。天照大御神は「これは人間が食べるものだ」と喜び、それらを「五穀の種子」としたと伝わる。大宜都比売神の「宜(ゲ)」、保食神の「ウケ」は食物を表しており、神話の内容が非常に類似していることから同じ神であると考えられている。同じように食物を司る「豊宇気比売神」や「宇迦之御魂神」も同神であると言われている。 | ||||
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「スサノオの高天原追放、五穀譚」は奇しくも、五穀豊穣の由来を伝えている。次に、大ゲツ姫神(大気津比賣神、大宜都比売)を確認しておけば、「イザナギイザナミの国生み神話譚」の「イヨノフタナの島(伊予の二名(ふたな)の島)に登場する神であり、「この島は、身一つにして面四つあり、面ごとに名があって、エ姫(愛媛)、イイヨリヒコ(讃岐)、オオゲツ姫(阿波)、タケヨリワケ(土佐)の四国よりなる」と記されており、これによれば阿波(栗)の国を治める姫となる。これをどう読みとるべきか。れんだいこは、高天原を追われたスサノオが大ゲツ姫神(大気津比賣神、大宜都比売)が治める阿波(栗)の国を攻略し、五穀の種を奪ったと解する。 2011.9.11日 れんだいこ拝 |
【日本神話その3の高天原王朝譚その8、スサノオの新羅立ち寄り譚】 | |
スサノウがこの後、子のイタケルと共に新羅のソシモリに立ち寄っている。次のように記されている。これにつき古事記は記さず、日本書紀の第四の一書が記している。これを仮に「日本神話その3の高天原王朝譚その8、スサノオの新羅立ち寄り譚」と命名する。
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外航族神話の記紀神話は、スサノウを廻っても天照大神同様に記述が複雑である。外航族神話が国津族神話を剽窃的に取り入れているところからややこしさが生まれている。かく認識したい。 2012.8.4日 れんだいこ拝 |
(私論.私見)