日本神話譚その3、イザナミの命の死譚及びこれによる諸神生成譚

 更新日/2023(平成31.5.1栄和改元/栄和5).2.12日

 (れんだいこのショートメッセージ)
 ここでは、「日本神話譚その3、イザナミの命の死譚及びこれによる諸神生成譚」を確認する。

 2010.08.12日、2013.12.09日書き直し れんだいこ拝


【日本神話/イザナミの命の死譚及びこれによる諸神生成譚】
 「日本神話その2の国土、諸神創生譚その5」として、イザナミの命の死譚及びこれによる諸神生成譚が次のように記されている。
 「火の神ヒノカグツチの神を生む時、イザナミの命はみほと(女陰)に大火傷(やけど)を負い、病に伏せてしまった。その嘔吐から生まれた神の名は、鉱山を司るカナヤマビコの神、カナヤマ姫神。糞(クソ)から生まれた神の名は、土器などを司るハニヤス彦神、ハニヤス姫神。小便から生まれた神の名は水を司るミツハノメの神、食物を司るワクムス日神。さらにワクムス日神は子供を生み、その神の名は、トヨウケ姫神。イザナキとイザナミが一緒に生んだのは、14の島、35の神々になる」。

 日本書紀の第二の一書では、イザナミが死ぬ間際に
埴山媛神(ハニヤマヒメ)と罔象女神を生んだとし、埴山媛神と軻遇突智(カグツチ)の間に稚産霊(ワクムスビ)が生まれたとしている。
 ハヤアキヅ彦神/速秋津日子神。ハヤアキヅ日子神/速秋津比賣神。オホヤマヅミの神/大山津見神。ノヅチの神/野椎神。トリノイハクス船神/鳥之石楠船神。オホゲツ姫神/大宜都比賣神。ヒノカグツチの神/火之迦具土神。カナヤマ彦神/金山毘古神。カナヤマビメの神/金山毘賣神。ハニヤス彦神/波邇夜須毘古神。ハニヤス姫神/波邇夜須毘賣神。ミツハノメの神/彌都波能賣神。ワクムス日神/和久産巣日神。トヨウケ姫神/豊宇氣毘賣神。
(私論.私見)
 火の神がイザナミの命を臥せさせ、やがて死に至らしめる寓意は分からないが、古代史上の重要な何かを隠喩しているのであろう。

【日本神話/イザナミの命の埋葬譚】
 「日本神話/イザナミの命の埋葬譚が次のように記されている。「雲の上は いつも青空」の2019.10.28日付け「比婆山御陵を拝する巨石達」参照。
 比婆山には古代文字が書かれたような石や磐座がある。また不思議な石積みもある。磐座は御陵や吾妻山と直線でつなぐことができる。比婆山連峰の御陵には伊邪那美命が眠られていると云われている。古事記に「故神避りましし伊邪那美神は出雲国と伯伎国との境比婆山に葬(かく)しまつりき」と書かれている。標高1264メートルの比婆山は別名「美古登山」とも呼ばれる。「御陵」は、円墳状の丘の中央に奥津岩座(おくついわくら)と呼ばれる巨石を配し、これを囲んで樹齢1000年を超える7本のイチイの木が石を抱いて茂る。比婆山の北西には吾妻山があり、伊邪那岐命が御陵に向かって「我が妻よ」と哀しんだことから名づけられたと云われている。比婆山一帯には、幅5~10cm、深さ5~10cmの不思議な溝が樋状に規則正しく刻まれた巨石「条溝石」と云われる大きな石が数多く(100個ほど)ある。南麓の熊野神社は比婆山の遥拝所である。和銅6年(713年)にはすでに存在しており、当初「比婆大神社」と呼ばれ、社殿造立までは境内の巨岩「神の蔵」で祭祀が行われた。
(私論.私見)

【日本神話/イザナギの慟哭譚、この時の諸神生成譚】
 「日本神話その2の国土、諸神創生譚その6」として、イザナギの慟哭譚、この時の諸神生成譚が次のように記されている。
 「イザナミは、結局、火の神を生んだときの火傷が元で神去った(亡くなってしまった)。イザナギは悲しみに暮れ、イザナミの枕元にはらばい、足元に身を投げ出して泣きに泣いた。その涙から生まれた神はナキサハメの神という。泣き疲れたイザナキは、妻のなきがらを出雲国(いずものくに)と伯伎国(ははきのくに)の堺にある比婆山地に葬った。イザナミは黄泉(よみ)の国へ行ってしまった」。
(私論.私見)
 ここで、イザナミのなきがらが比婆の地に葬られたこと、イザナミが黄泉(よみ)の国へ行ったことが記されている。比婆の地、黄泉の国の比定をせねばならぬことになる。

【日本神話/イザナギがヒノカグツチ斬首、これによる諸神生成譚】
 「日本神話その2の国土、諸神創生譚その7」として、イザナギの慟哭譚及びこれによる諸神生成譚が次のように記されている。
 「大いに悲しんだ夫のイザナギはその後猛り狂って、十握剣(とつかのつるぎ、天之尾羽張(アメノオハバリ))で禍の元になったヒノカグツチの首を切り落とした。すると、剣の先についた血が垂れて神聖な岩の群れに迸りついて、石折(いはさく)の神、根折(ねさく)の神、石筒之男(いはつつのを)の神の三柱の神が成り出でた。十拳剣の刀身の根本からの血が岩石に落ちて、甕速日(みかはやひ)の神、樋速日(ひはやひ)の神、建御雷之男(たけみかづちのを)の神(別名、建布都(たけふつ)の神)(別名、豊布都(とよふつ)の 神)の三柱の神が成り出でた。剣の柄に溜まった血が指の間から漏れて、闇淤加美(くらおかみ、暗龗)の神、闇御津羽(くらみつは)の神の二柱の神が成り出でた。次に岩石の神々、雷火の神々、山岳の神々、雨竜の神、渓谷の女神が生まれた。
 カグツチ(迦具土神)の死体からも様々な山の神が生まれた。頭から正鹿山津見(まさかやまつみ)の神、胸から淤縢山津見(おどやまつみ)の神、腹から奥山津見(おくやまつみ)の神、性器から闇山津見(くらやまつみ)の神、左手から志藝山津見(しぎやまつみ)の神、右手から羽山津見神(はやまつみ)の神、左足から原山津見(はらやまつみ)の神、右足から戸山津見神(とやまつみ)の神」。

 日本書紀では「イザナミの死を悲しんだイザナギはカグツチの体を三つに断った。その一つは雷の神に、一つは山の神に、そして一つは高龗(たかおかみ)になった」としている。古事記では暗龗と呼ばれ、日本書紀では高龗と呼ばれていることがわかる。クラオカミは谷間を、タカオカミは山の上を暗示している。
(私論.私見)





(私論.私見)