ロッキード事件証人喚問劇その2、鬼俊良

 (最新見直し2015.06.22日)

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 2015.06.22日再編集 れんだいこ拝

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 午後一時二分開議
○荒舩委員長/休憩前に引き続き会議を開きます。証人尋問を続行いたします。これより鬼証人から証言を求めます。まず、委員長より所要の事項についてお尋ねをいたします。あなたは鬼俊良君ですか。
○鬼証人/俊良・鬼でございます。
○荒舩委員長/生年月日、国籍、住所、職業を述べてください。
○鬼証人/一九二一年九月六日生まれであります。住所は東京都大田区田園調布二丁目三十二の九です。年齢は五十四歳になります。国籍はアメリカであります。
○荒舩委員長/あなたはいつ米国の国籍を取得されましたか。
○鬼証人/一九六二年六月であります。
○荒舩委員長/あなたがロッキード社またはその関連会社に関係を持つようになったのはいつからでございますか。なお、現在どういう仕事をしておられるか。あるいはその仕事の会社名、また個人でおやりだとすれば個人名を。職業はどういう職業ですか、お答えを願います。
○鬼証人/一九五四年にロッキードに働くようになりました。現在の職業は、ロッキードエアクラフト・アジア・リミテッド日本支社のオフィスマネジャーをしております。
○荒舩委員長/ロッキード・エアクラフト・インターナショナル日本支社とロッキード・エアクラフト・アジア・リミテッド日本支社、この両会社はどういう関係にありますか。また、特に航空機の販売に関する業務の分担は、その二つの会社でどちらが行っておりますか。
○鬼証人/ロッキード・エアクラフト・インターナショナル・リミテッドという会社の日本支社が最初にありまして、その日本支社を閉めました後に、ロッキード・エアクラフト・アジア・リミテッドの日本支社が登記されたわけであります。航空機の販売については、両社とも直接タッチはしておりません。
○荒舩委員長/あなたはロッキード社のコーチャン元社長、いま副会長ですか、またこれをやめたかもしれませんが、コーチャン氏及びクラッター氏が日本人と会うときは常に通訳をして同席しておられたと聞いておりますが、それは事実ですか。また、クラッター氏とあなたの仕事上の関係は、その内容はどうなっておりますか。詳しく御説明願います。
○鬼証人/コーチャン前副会長、クラッター氏が日本人と会われるときに必ずついていたわけではありません。クラッター氏と私との仕事は、クラッター氏は社長であり、私はオフィスマネジャーでありまして、それぞれの仕事をしておりました。
○荒舩委員長/あなたは、ロッキード社のコーチャン氏及びクラッター氏が航空機の売り込みについてどんな役割りをしておられたか。またトライスター及びP3Cの売り込みについて、日本の政府高官、政界人または財界人と会ってどんな交渉をされたか。通訳としてお立ち会いになっておられたというので、全部その内容をよく知っておられると思いますが、これらについて納得のできるような説明を願いたいと思います。
○鬼証人/コーチャン社長がよその会社の方に会いますときに通訳をいたしたこともございます。具体的に申しますと、全日空にお邪魔しましたときには若狭社長に会見をいたしまして、そのときに通訳をいたしました。済みません。次の……。
○荒舩委員長/日本の政府高官、政界の人ですね、または財界人とコーチャンあるいはまたクラッター両氏が会われるときに通訳をしたり、これのお世話をしたということはありませんか。
○鬼証人/クラッター氏についてそういう通訳をしたという記憶は一度もございませんが、コーチャン社長が海上幕僚長に表敬訪問をいたしましたときについていった記憶がございます。
○荒舩委員長/だれとですか。だれと会ったときですか。
○鬼証人/鮫島幕僚長であります。
○荒舩委員長/幕僚長。それから政府の人とは、コーチャンあるいはクラッター氏が会われたことはありますか。
○鬼証人/当時コーチャン社長でありましたときに、通産省に田中通産大臣をお訪ねしてお目にかかりましたときに通訳をした記憶がございます。
○荒舩委員長/そのときは何年の何月ごろですか。覚えておりますか。
○鬼証人/はっきり覚えておりませんが、多分昭和四十六年ごろではないかと思います。
○荒舩委員長/そこで、コーチャン氏と田中通産大臣との会見であなたが通訳されたと言いますが、どんな話が出ました。どんな話でした。飛行機を買ってもらいたい、トライスターを買ってもらいたいというような話が、またそういう世話をしてもらいたい、推薦をしてもらいたいというような話がありましたかどうか。
○鬼証人/そのような話はございませんでした。
○荒舩委員長/どんな話でしたか。
○鬼証人/私が覚えておりますところでは、そのときはYXの話をしておられました。
○荒舩委員長/YXのどんな話でしたか。
○鬼証人/当時日本でYXを始めるという計画があるということで、ロッキードの蓄積した航空機をつくるに必要ないろいろな技術やノーハウを提供して、またロッキードの試験施設などもぜひお使いください、全面的に、縁の下の力持ちでもいいですから、日本のYX製造に協力したいという申し入れをしていたように記憶しております。
○荒舩委員長/トライスターの売り込み等について一言も話は出ませんでしたか。
○鬼証人/トライスターについては一言も話が出なかったと記憶しております。
○荒舩委員長/あなたは、コーチャンまたはクラッター両氏あるいは単独のときもありましょうが、児玉譽士夫君との会見の際、通訳をされておると思いますが、あなたは、通訳をしたことは何回ぐらいあって、その年月日はわかりますか。
○鬼証人/回数は記憶しておりません。
○荒舩委員長/コーチャン氏と児玉譽士夫君と会見したときには、あなたが通訳したんじゃありませんか。そしてどんな話をしましたか。どうぞ。
○鬼証人/私は通訳をしておりません。
○荒舩委員長/通訳全然しておりませんか。
○鬼証人/全然しておりません。
○荒舩委員長/それでは児玉譽士夫氏を知っておりますか。
○鬼証人/お名前は知っております。
○荒舩委員長/いや、名前じゃない、その人物と会ったことはないですか。
○鬼証人/お会いしたことございません。
○荒舩委員長/通訳をしたことはありませんか。
○鬼証人/通訳をしたことはございません。ただし、もう二十年近く前に、どこかの会合でお見受けしたことがあるような気はいたします。
○荒舩委員長/小佐野賢治氏とコーチャン氏が会見したとき、あなたは通訳しておりますか。その年月日はいつごろですか。お答え願います。
○鬼証人/私は通訳をしておりません。
○荒舩委員長/小佐野賢治氏を知っておりますか。
○鬼証人/知っておりません。
○荒舩委員長/全然、会ったことは一遍もありませんか。
○鬼証人/お会いしたことは一度もございません。
○荒舩委員長/ちょっと私、コーチャン氏とクラッターと児玉譽士夫氏やあるいは小佐野氏と会見するとき、あなたが通訳をしておる、いつも通訳をしておるから、その内容も全部知っておるということを聞いておりますが、いまのお話では、一遍も通訳をしたということはありませんか。ちょっとおかしく考えられるのですが、どうですか。
○鬼証人/一遍も通訳をしたことはございません。
○荒舩委員長/通訳じゃないのか、君は。おかしいな。恐らく児玉譽士夫氏も小佐野氏も英語を知らないと思うのですが、通訳が要ると思うのですが、あなたが通訳しているんじゃないんですか。
○鬼証人/私は通訳をしておりません。
○荒舩委員長/あなたは、ロッキード・エアクラフト・インターナショナル日本支社とロッキード・エアクラフト・アジア・リミテッド日本支社、両社が丸紅の大手町ビルの中に事務所があって、毎日そこへ出勤されておるということでございますが、丸紅の檜山会長あるいは大久保、伊藤両専務と絶えず会見をせられたり、飛行機の売り込みについての事柄について話し合われておったと思いますが、商売の、仕事の上ばかりでなく、非常に丸紅の以上申し上げた三氏と個人的にも深い関係だと聞いておりますが、それらについて詳しく説明を願います。
○鬼証人/丸紅の檜山会長と大久保さんは知っておりますが、伊藤さんは、こちらは顔を知っておりますけれども、お会いしたことはございません。
○荒舩委員長/そこで、ロッキード社のアメリカのコーチャン初めいわゆる役員が来たときには必ずあなたの事務所へ行かれる。子会社でありますからあなたの会社へ行かれるということで、そのときあなたが通訳して、丸紅の会長、社長、専務、それらと会談をしたり、あるいはあなたの事務所で全日空の役員と話し合われたりすると聞いておりますが、そういうことについてひとつ御説明願います。
○鬼証人/丸紅の方は、皆さん英語が堪能でありますので、丸紅の方とコーチャン氏が会うときなどに、私は通訳をいたしておりません。また、全日空の経営者の方がうちの支社にお見えになるということはございませんでした。
○荒舩委員長/丸紅の方は英語が全部堪能だということを丸紅の人をよく知らない人が――あなたは知らないと言っておりますが、知らない人が、英語がよくできるかどうかというようなことをよく御存じですね。ちょっとおかしいじゃありませんか。
○鬼証人/檜山さん、大久保さんが英語をお上手なことは、私は英語で話をされるところを聞いたことがありますので、わかっております。
○荒舩委員長/伊藤専務は英語はだめなんですか。
○鬼証人/わかりません。
○荒舩委員長/コーチャン氏がしばしば日本にやってまいります。その目的はロッキード社のトライスターの売り込みであります。あなたは通訳をしないでも、その子会社のマネジャーをおやりだというさっきのお話ですから、コーチャン氏が来た、あるいはクラッターがいろいろな人とお会いになるときあなたが絶えずついておられたわけじゃありませんか。いまの話ですと、全然知らない人のようなことで、どうも私は納得できないのですが、どうです、もう少し打ち明けた話で話してくれませんか。ちょっとおかしい。私には納得できない。少しおかしいと思うのですがね。
○鬼証人/先ほど申し上げましたように、私はオフィスマネジャーでありますので、通訳としてどこへでも引っ張っていかれていたわけではございません。
○荒舩委員長/オフィスマネジャーであっても、比較的いまの子会社で地位が高いのですから、しかもこの二つの子会社は飛行機の売り込みに関係がある。そのあなたはマネジャーをしている。通訳をしないでも、ロッキード社の飛行機をどこへ売り込む計画でどういうことをしているのだ、どういう方面に運動しているのだ、コーチャンが来たときにはどういうふうな動きをしているのだ、またクラッターという人がどういう仕事をしているのだということは、あなたはよくわかっておると思うのですが、この点をひとつはっきりお答え願いたいと思います。どうですか。
○鬼証人/コーチャン社長が日本にトライスターを売りたい、できれば全日空に売りたい、さらにできれば東亜国内航空にも売りたいということを目的としていたと私は思います。
○荒舩委員長/その事柄は、あなたは通訳しないでもいわゆる商売人としてよく御存じじゃないのですか。知らないのですか。知らないでマネジャーがよくできますね。おかしいじゃありませんか。はっきりひとつお答え願いたいと思うのです。
○鬼証人/ただいま申しましたように、トライスターを売りたいという目的で来ていることは私は知っておりました。
○荒舩委員長/そこで、コーチャンがしばしば来たときに、コーチャンはきのうはだれとだれと会った、きょうはだれとだれと会う予定だというようなことは、マネジャーが全然知らないのですか。ちょっとはっきりお答え願いたいと思うが、あなたは自分のおっしゃっていることが少し符が合わない、おかしいと思いませんか。ひとつ鬼俊良君、しっかり答弁願います。
○鬼証人/いまから全日空に行くから一緒に来いというようなふうに、その都度指示されてついてまいりまして、アメリカの会社でそれぞれの職権、仕事が分かれておりますと、帰ってきてから、ただいま委員長が言われましたように、きょうはだれに会ってきたとか、あすはだれに会う予定であるとか、そういう話は私には全然ございません。
○荒舩委員長/あなた、それを聞かないで、こっちのマネジャーが勤まるのですか。全然何も知らないで行って、マネジャーとして月給だけ取って、あとのことは全然聞かないのですか。知らないのですか。それじゃ二つの会社のマネジャーをしていておかしいと思うのですが、どうです、もう少しわかりやすく話してください。ちょっとおかしいじゃありませんか。
○鬼証人/委員長の言われたとおり、おかしいと聞こえるかもしれませんが、事実はそのとおりでございます。
○荒舩委員長/事実はおかしいとして、それじゃ月給をもらわないで、嘱託ですか、あなた。おかしいじゃありませんか。マネジャーですよ。マネジャーというのは訳すと支配人でしょう。それで相当の地位を得て相当の給料を取って、そうして会社のことは何も知りません――知りませんで済むのですか。アメリカの会社はそういう組織になっているのですか。おかしいじゃありませんか。ちょっともう少し親切に話してください。
○鬼証人/オフィスマネジャーとして働いておりまして、恐らく日本で言ういわゆる支社の支配人という概念とは違うものかとは存じます。
○荒舩委員長/支配人が何でちっともわからないのですか。それじゃ、何もわからないで毎日どういう仕事をしているのですか。会社でどういう仕事をしていますか。
○鬼証人/私の仕事は、日本で雇用している人たちの把握、監督と、ロッキード各社から日本へ来る人並びに日本を通過する人たちにサービスを提供する準備をしておくことであります。
○荒舩委員長/そうすると、ロッキード社の人が出張してくると、きょうはどういう宴会、あしたはどういう宴会、どこへ遊びに行く、そういうことだけやっているのですか。サービス係というのはそういうことですか。少しおかしいじゃありませんか。もう少しはっきり答弁願わないと――あなたは日本の国会をどうお思いですか。宣誓までしているのですから大変なことになりますが、どうですか。何も知らないで、それでマネジャーをしている。マネジャー――支配人でしょう。どういうことですか。あなたはピーナツ、ピーシズ、ユニットというのを聞いておりませんか。あなたがその暗号をつくったんじゃありませんか。鬼君、丸紅に教えたんじゃありませんか。
○鬼証人/私がつくったのではありませんし、私は知りません。
○荒舩委員長/米上院外交委員会の多国籍企業小委員会が公表したディーク社の電報送金領収証によると、昭和四十四年六月以降昨年一月までに総額二十三億余円の金がクラッターまたはロッキード社のエリオット氏あてに送られてきております。クラッター氏またはエリオット氏がこの資金を受け取っていることは知っておりますか。あなたの会社へ来ている。知っておりますか。
○鬼証人/存じておりません。
○荒舩委員長/しかし、その金は、ロッキード・エアクラフト・インターナショナル日本支社あるいはロッキード・エアクラフト・アジア・リミテッド日本支社へ経由されてきているはずですが、あなたは支配人として全然知りませんか。見たこともなければ聞いたこともありませんか。
○鬼証人/全然存じておりません。見たことも聞いたこともございません。
○荒舩委員長/あなたとクラッター氏とはどういうつき合いですか。会社で毎日顔を合わしているのでしょう。クラッター氏が日本にいるうちはあなたと毎日顔を合わしているのですが、それでもどんな話も全然しないのですか。
○鬼証人/会社で各自の部屋に入っておりますと、一日にたくさんは顔を合わせることがございません。
○荒舩委員長/クラッター氏と全然会っていないのですか。
○鬼証人/クラッター氏とは会社で会いますけれども……
○荒舩委員長/会っても話をしないのですか。
○鬼証人/私の業務上の話をいたします。
○荒舩委員長/その業務上、たとえばどういうことですか。
○鬼証人/たとえば、秘書が一名足りないと思うから一人雇った方がいいと思います、雇ってもよろしいですか、というようなことであります。
○荒舩委員長/もう一つ、たとえば何があります。おかしいじゃありませんか、それだけでは。――どうですか、お答え願います。あなたは全然私の質問を拒否しているようなふうに思えますが、どうでしょう。
○鬼証人/御質問には正直にお答えしております。
○荒舩委員長/それじゃ、たとえば秘書が一人足りないからどうだ、その次は何ですか。鬼君、たとえばクラッター氏とあなたの会談はどういうことがありますか。もう一遍ひとつお答えください。
○鬼証人/たとえば、当時のコーチャン社長が来るということになりますと、どのくらいの大きさのどこのホテルを予約するか、そういう相談をいたします。
○荒舩委員長/わかりました。私の発言は終わりました。次に、委員から発言の申し出があります。それを許します。渡部君。
○渡部(恒)委員/証人にまずお尋ねしますが、あなたの職名はロッキード東京支社支配人ですね。
○鬼証人/私はロッキード・エアクラフト・アジア・リミテッド日本支社の、職名はオフィスマネジャーであります。〔委員長退席、正示委員長代理着席〕
○渡部(恒)委員/ロッキードという会社は飛行機をつくっている会社ですね。その日本支社なんですから、日本支社のあなたの一番大きな仕事は、日本の国内に、あるいはアジアに広がっているかもしれないけれども、ロッキードを売り込むことがあなたの一番大きな仕事ですね。
○正示委員長代理/お答えください。
○鬼証人/私の仕事には、ロッキードの製品を売り込むということとは何にも関係がございません。
○渡部(恒)委員/そこがさっきの委員長との質疑の中でもわれわれどうしても理解できないのです。いままでの私たち残念ながらなかなかあなた方の証拠をとれないのですけれども、大久保専務の秘書をしておった方が――これは四十五年四月から五十年一月までずっと大久保常務の秘書をしておった、いま海外に行っているのですが、この人がその勤めている間、ロッキード関係の人はよく来ました、東京支配人の日本人の方――これは東京支配人の日本人の方ということですからあなた以外におりませんね、そうするとあなたですね――やクラッター氏が顔を出しました、コーチャン副会長も来日されました、大久保常務の方からも出向いたようです、こういう証言をしております。また、これは二月二十三日の毎日の朝刊ですが、クラッター氏と檜山会長が会っているとき、その真ん中にあなたが立っている写真があるのですよ。だから決してあなた、事務所の中で旅行のあっせんと、あとは何か掃除婦の係なんかやっておったという方が、これは恐らく丸紅とロッキードでこれだけ大きな仕事の契約をしているそのレセプションということになれば、これはあなた方の仕事にとっては大変晴れがましい場所ですね。そこにクラッターさんとあなたが檜山さんと会っているのですよ。それがさっきの委員長の質疑の中にあるように、あなた事務所の中の掃除だけしておったなどとはどうしても考えられないのですけれども、いかがですか。
○鬼証人/事務所の掃除だけしていたのではございません。先ほど申し上げましたように通訳についてこいと言われるときにはついていっております。ただいまお示しの写真は私も新聞で見ました。これは恐らく七、八年前のどこかのパーティーの席上だと思います。
○渡部(恒)委員/あなたの職務の内容、権限、これを非常にあなたはぼかしていらっしゃるのですけれども、少なくとも東京支社の支配人なんですから、そしてこういういろんな、丸紅にもいつも行っていたというのですから、それからクラッターさんが一番大切な檜山会長とのパーティーとかそういうときに一緒に行っているのですからね。しかもそのロッキードの支社というものの仕事は、だれが考えたってロッキードを日本の国内に売り込むそのために支社があるわけなんですから、それについて何もあなたが知らないなんということは、われわれ聞いておってとうてい理解できない。ぜひ私はあなたにお願いしたいのですけれども、そもそもの事の起こりは、あなたの会社の非常にあくどいロッキード商法というか何か知らないけれども、それで大変にわれわれ日本国民全体が迷惑をしているんだ。しかも事の起こりは、あなたの会社のコーチャンがチャーチ委員会で、二百万ドルの対日工作費をロッキードを売るために使ったと言ったことから日本じゅうがひっくり返るような騒ぎをしているんだ。それがやっておったとすれば、その一番の窓口があなたのところでしょう、東京支社。それが知らないなどということは理解できないのです。あなたはシグ・片山という人を知っていますか。
○鬼証人/片山さんを知っております。
○渡部(恒)委員/そうすると、シグ・片山のやっておるID社、これがいろいろな工作資金、ロッキードの、その領収証を発行している会社ですね。それと奇妙に一致しているわけですね、丸紅の関係の書類が。あなたが必ずその間にあっせんをしておった。これはあなた以外にその間のつじつまを合わせる人はいないんだね。それはどうですか。
○鬼証人/私はその間に全然入っておりません。
○渡部(恒)委員/大変に、これはあなたに証人に来てもらって、これはいまみんなが知りたいことは本当のことなんですよ、本当のこと。その本当のことをするのは、根本はあなたの会社から起こった問題なんだから、それを日本のあなた前線基地なんだから、そしてあなたが、いま言ったようにこういうような業務内容について知らないとすれば、当然もう一人、あなたは何か女の子の係や掃除の方だけやっておって、何か別な業務の方の重要なことをやっておったマネジャーがおるはずですね、当然。もう一人おるのですか、あなたのその東京支社にはマネジャーが。
○鬼証人/日本支社マネジャーという人はおりません。
○渡部(恒)委員/もう一人のマネジャーがいないとすれば、一人だということになれば、これはもう当然にロッキード社の対日工作、これはあなたが窓口になってやっているということなんですよ。そのことについてあなたが何にも知らないということになると、チャーチ委員会においてあなたの会社で一番偉いコーチャンという人が対日工作について発言したことが全部うそだったのかということになるのですよ。これは大変なことですよ。あなたの会社の会長がうそを言ったことに、まるでこの日本が、三十年間もアメリカときわめて親善友好の関係を結んできたこの日本の国がひっくり返るような騒ぎを、あなたの会社の社長の流言飛語によってさせられておったなどということになると大変なことですよ。これはもう一遍あなた本気になって、いまそれは結果がどうなるなどということよりも、いまこの日本を救うのは、本当のことを国民がみんな知ることなんだ。本当のことを知らなければ問題は解決しない。その本当のことは、あなたがきょうこの席で本当のことを言ってくれなければ国民は本当のことを知ることができないし、しかもそのためにいろいろなこの国は迷惑を受けているのですよ。もう一遍しかと肝を据えて答えてください。
○正示委員長代理/鬼証人御答弁を願います。
○鬼証人/御質問には正直にお答えしております。
○渡部(恒)委員/じゃ、次へ譲ります。
○正示委員長代理/山口敏夫君。
○山口(敏)委員/鬼さん、委員長や同僚議員の質問に対してあなたは本当のことを言っておらない。少なくとも宣誓という重みの中で真実を述べていただかなければならないわけですし、ロッキードの日本における活動や歴史について一番承知をしておるのはあなたなんですから、やはりこの証言の機会を通じて疑惑解明にひとつ積極的に協力してもらいたいと思うのです。それで、あなたは、初代の東京における支社長のエリオットさんはもちろん御存じですね。
○鬼証人/ミスター・A・H・エリオットだったら知っております。
○山口(敏)委員/エリオットなら知っていますというような間柄じゃないのですよ。あなたは昭和三十三年から三十四年ごろ、例のロッキード、グラマンのときにこのエリオット氏と組んで、連日連夜いろいろな人たちと会合をしながらこの売り込みを図っておった。いわばそういう活躍、この切れ者としての素質というものがアメリカの企業の中で認められて、日本の支配人になったのじゃないですか。
○鬼証人/そういうことではないと思います。
○山口(敏)委員/それじゃ、オフィスマネジャーという立場であなたは、少なくとも自分の会社の会長が二十数回にわたって日本にも来ておる、そしてクラッター氏のような支社長とも余り接触を持たないということになりますと、あなたは秘書や職員の管理をしておるわけですね。そうすると、コーチャン会長やクラッター氏が不案内な東京を一人でぶらぶら歩くはずがないのです。当然あなたにかわってしかるべき秘書さんなり通訳がその重要な会議に参加しなきゃならない。あなたが通訳をしないということをこの席であくまで言い続けるならば、また新しい証人がこの場所において、この真相を解明する場に立たされなければならないのです。あなたはその支配人として、通訳をしないというだけでは済まない責任をしょっておるわけでありますから、ひとつこの東京におけるロッキード社の疑惑の一端をみずから晴らしていただきたいと思うのです。
○鬼証人/先ほども申し上げましたように、通訳についてこいという指示がありますと、私はついていっております。コーチャン氏は日本語はわかりませんので、ほとんどの場合はクラッターさんがついてめんどうを見ておりました。クラッターさんは日本語がある程度できますので、私についてこいということはめったにありませんでした。
○山口(敏)委員/じゃ最後に一つ伺いますけれども、丸紅の大久保前専務が伊藤前専務にいわゆるピーナツ云々の領収証にサインをさした。その場所にあなたはおられましたか。
○鬼証人/おりません。
○山口(敏)委員/あなたは伊藤さんは知らないということをおっしゃいましたけれども、あなたのような立場の人が、丸紅の人脈を知らずして自分の社の飛行機を売るということは不可能に近いことですね。そうすると、おのずから丸紅における伊藤専務の実力というものは当然承知をしてなきゃならない。その伊藤さんに何らの接触もしないということはわれわれには考えられないのですけれども、その点をもう一度ただしておきたいと思うのです。
○鬼証人/最初に申し上げましたように、伊藤さんのお顔は私は知っております。しかし、伊藤さんの方では私の顔を知っておられないと思います。
○山口(敏)委員/そういうきわめて商取引において常識的なことを覆い隠そうとするから、疑惑が一層深まるのですよ。ニクソン大統領が、トライスターなりあるいはロッキードの飛行機のために、この自国の製品を売るための何らかの努力をしたかもわからない。あるいは、池田前総理がフランスへ行ったとき、ドゴールにトランジスタの商人というような、きわめてわれわれにとっては不愉快ですけれども、誤解を与えた場合もある。これはもうフランスの大統領が、来年はコンコルドに乗って日本を初めいろいろな国に行きたい、ジスカールデスタンさんがそう言っているのですよ。だから、当然隠さなくてもいいものも隠そうとするから、国民の皆さんからすれば一層の不信と疑惑が拡大をするのです。だからあなたは、この後のこの証言における機会を通じて、大いにその真相究明のために、渡部議員が指摘したとおり、やはりかつてあなたも日本の国民なんですから、その国民の名誉を守るために、ひとつ大いに疑惑解明に協力をしていただきたいと思います。
○正示委員長代理/これにて渡部君、山口君の発言は終了いたしました。次に楢崎弥之助君。
○楢崎委員/社会党の楢崎弥之助です。先ほどあなたのロッキード・アジア日本支社の役職について、オフィスマネジャーとおっしゃいました。それで、その仕事は何かと問われたときに、たとえば職員の把握とか監督、さらに、日本からロッキード社に行く人、あるいはロッキード社から日本に来る人、そういう人たちの世話やサービスをする、そういうことをおっしゃったわけですね。それで、謄本で見ますと、証人は、このアジア・リミテッドの日本における代表者と書いてありますね。オフィスマネジャーというのはそういう意味ですか。ここにあなたの会社の謄本がございますが、どうですか。
○鬼証人/私は、ロッキード・エアクラフト・アジア・リミテッド日本支社の代表者ではございません。
○楢崎委員/ちょっと謄本をお見せしたいのですけれども、よろしゅうございますか。
○正示委員長代理/どうぞ。
○楢崎委員/先ほど荒舩委員長から、ロッキード・エアクラフト・インターナショナル日本支社とロッキード・エアクラフト・アジア・リミテッド日本支社の関係を聞かれましたね。そのときにあなたは、最初はロッキード・エアクラフト・インターナショナル日本支社であったけれども、それがロッキード・エアクラフト・アジア・リミテッドになったんだ、そうお答えになったと思います。それはロッキード・エアクラフト・インターナショナル時代の謄本ですね。その謄本はお認めになりますか。
○鬼証人/先ほど申し上げましたとおりで、これはロッキード・エアクラフト・インターナショナル・リミテッドの日本支社の登記の謄本だと思います。
○楢崎委員/その謄本には、証人の役職は日本の代表者と書いてありますね。それはお認めになりますか。
○鬼証人/そのとおり書いてございます。
○楢崎委員/だから、あなたはそれがアジア・リミテッドに変わったんですから、あなたはアジア・リミテッドの日本の代表者でもあるわけでしょう。いかがですか。
○鬼証人/アジア・リミテッドの日本支社の代表者ではございません。
○楢崎委員/おかしいですね、どうも。じゃ、ロッキード・エアクラフト・インターナショナル日本支社の日本代表ではあったわけですか。
○鬼証人/ロッキード・エアクラフト・インターナショナル・リミテッドの日本支社の代表者でありました。
○楢崎委員/そうしますと、このインターナショナル日本支社がアジア・リミテッド日本支社に変わった際には、日本の代表者でなくなったという意味ですか。
○鬼証人/そのとおりであります。
○楢崎委員/じゃ、アジア・リミテッドの日本支社の代表者はだれでありました。
○鬼証人/ジョン・W・クラッター社長であります。
○楢崎委員/そうすると、あなたはインターナショナル日本支社の場合は日本の代表であったけれども、それがアジア・リミテッド日本支社に変わった際に代表者がクラッター氏になり、あなたはオフィスマネジャーになったわけですね。オフィスマネジャーというのは日本語に訳しますと、一番日本語になじみの深い言葉ではどういうことになるのでしょうか。
○鬼証人/そのとおりであります。オフィスマネジャーはいろいろ、証人喚問がありましてから、御質問があるかと思って適切な訳を考えておりましたのですが、事務長というような訳が一番いいのではないかと思います。
○楢崎委員/コーチャン氏はたびたび日本に来られております。私どもの調べたところでは、一九六九年二月十四日から一九七四年六月十四日まで二十四回来日をされておるわけです。このコーチャン氏が日本に来られた場合のいろいろな日程をつくるのもあなたの仕事であったわけですね。
○鬼証人/コーチャン氏の日程づくりは、私の仕事ではございませんでした。
○楢崎委員/どなたがそれをなさいましたか、日程づくりは。
○鬼証人/正面に申しまして、わからないのでありまして、向こうからこういう日程であると言ってくることが多かったのでありまして、クラッター氏が東京に着任してからはクラッター氏がしていたのではないかと思います。
○楢崎委員/クラッター、エリオット両氏はロスアンゼルスと行き来が多かった。したがって、クラッター氏もエリオット氏もおられない時期があったわけですが、そのときにはあなたが実質的な責任者になられるわけですね。
○鬼証人/済みませんけれども、時期的な――現在でございますか。
○楢崎委員/クラッター氏やエリオット氏が日本におられないときには、このロッキード・エアクラフト・アジア・リミテッド日本支社の実質的な責任をあなたが負われるわけですねとお伺いしておるのです。
○鬼証人/責任と言われましても、指示によって動きますので、自分から責任を積極的にとるというような立場ではありませんでした。
○楢崎委員/そうすると、日本に両氏がおられない場合はロサンゼルスの方から一々指示を受けられるわけですか、行動について。
○鬼証人/日常の仕事には一々指示は受けません。けれども、日常しなれている仕事以外については許可とか指示とか、そういうものを受けます。
○楢崎委員/時間が非常に限られておるものですから、答弁を考えられて行われておるのでしょうけれども、非常に時間を食いますので、証人に答弁を早くお願いをしたいと思います。それでは、先ほど荒舩委員長の尋問の中で、コーチャン氏がいろいろな人と会われた。その中で、鮫島海幕長とコーチャン氏が会われたときにあなたは通訳をされたとおっしゃいました。それはいつごろで、場所はどこで、そしてその会談をアレンジしたのは一体だれであったか、お伺いいたします。
○鬼証人/時期的にはっきり記憶がございませんが、二年ぐらい前だったと思います。コーチャン氏の指示で、私が幕僚長の副官にお電話いたしまして、表敬訪問の申し入れをいたしました。そして、当時のコーチャー社長が幕僚長をお訪ねしたときに私は通訳としてついてまいりましたが、幕僚長も英語が御上手ですし、幕僚副長もお上手ですので、私の記憶といたしましては、通訳の要がほとんどなかったように記憶しております。(「場所、場所」と呼ぶ者あり)場所は、幕僚長室でございます。
○楢崎委員/二年前ごろと時期をおっしゃいましたが、あなたの事務所にお帰りになりますと、その年月日は明確に記録に残っておりますか。
○鬼証人/現在、事務所の書類は全部ございませんので、そういう記録は手元にございません。
○楢崎委員/委員長にお願いがあります。恐らくこの時期はPXL、次期対潜哨戒機の国産化か輸入か、つまりP3Cオライオンの、ロッキード社製のその対潜哨戒機を輸入するかどうか非常に問題の時期でありますので、この年月日は、恐らくいまの証人の証言では、せんだっての手入れの際に押収された資料の中にあるかと思われますので、その年月日がわかるように、ひとつ関係当局に御連絡をいただきたいと思います。どうでしょうか。
○正示委員長代理/理事会で相談をしまして、しかるべき措置を講じます。
○楢崎委員/先ほど、コーチャン氏と小佐野氏が会談されたときに立ち合われたことはないというふうに私は聞いたようですが、もう一遍その辺を確かめておきます。一緒であったかどうかについて、もう一遍確認をしたいと思います。
○鬼証人/一緒ではございません。
○楢崎委員/それでは、コーチャン氏が見えたときにはあなたはそのお世話をなさるわけですが、来日されたときに。それで、コーチャン氏は何回ぐらい小佐野氏と会われたでしょうか。御記憶がございますか。
○鬼証人/全然わかりません。
○楢崎委員/コーチャン氏が在日すれば、その行動についてはある程度あなたは、そういう点のお世話係をすることこそオフィスマネジャーのお仕事のようでありますから、当然そのコーチャン氏の行動は、行方不明になられるというようなことはあり得ないわけですから把握されておるはずですけれども、それもあれですか、資料を見ればわかりますか。御記憶がないということは、事務所の日誌か何か。
○鬼証人/記憶がないということではありませんで、全然わからないということであります。したがいまして、日記あるいはノートにそのようなことを私が書いていることもございません。
○楢崎委員/そうすると、コーチャン氏と小佐野氏が会われたときの通訳は一体だれがしたかというような点についてはどうですか。
○鬼証人/わかりません。
○楢崎委員/どうも、当然知っておられるとわれわれは常識的に考えるのですけれども、その辺が、わからないという証言が返ってくるわけであります。いずれこれは明らかになることと思いますが、同時に、せんだっての立入調査で関係書類がわれわれの調査権の前から姿を消したということを非常に残念に思うわけです。そこで、もう一度聞きますが、小佐野氏とコーチャン氏が会われたというようなことは全然聞かれませんでしたか。
○鬼証人/全然聞いておりません。
○楢崎委員/どうもその辺は、せっかくの証言でございますけれども、信頼できないわけです。では次に、児玉譽士夫という人物のことについてお伺いしますが、コーチャン氏は児玉譽士夫氏を知っておるということでございましたが、あなたはそのことを御存じでありましたか。
○鬼証人/知っておりませんでした。
○楢崎委員/クラッター氏と児玉譽士夫氏の関係についてはどうですか。
○鬼証人/知っておりませんでした。
○楢崎委員/では、コーチャン氏と児玉氏はたびたび会われておる、事実は会われておるのですけれども、そのときの通訳はだれがしたか御存じですか。
○鬼証人/わかりません。
○楢崎委員/あなたはJPRの福田太郎氏を御存じですか。
○鬼証人/知っております。
○楢崎委員/その福田太郎氏がコーチャン氏と児玉氏の通訳をしたのではありませんか。
○鬼証人/数日前の新聞を読みまして、それを初めて知りました。
○楢崎委員/次に、田中前総理との関係についてお伺いをしますが、あなたは田中前総理を御存じですか。
○鬼証人/コーチャン前社長についていきましたとき、一度お目にかかったことがございます。
○楢崎委員/先ほど、その時期を四十六年ごろとおっしゃいましたが、それは四十七年一月二十五日の間違いではありませんか。
○鬼証人/あるいはそのころだったかもしれません。
○楢崎委員/その会談のアレンジをしたのは、準備をしたのはだれですか。
○鬼証人/私が、官房か秘書かどちらかはっきり覚えておりませんが、お電話いたしまして、コーチャン氏がぜひお目にかかりたいということを申し入れいたしまして、御返事をいただいて面会に参りました。
○楢崎委員/では、あなたが直接そのコーチャン氏の指示を受けて田中前総理に会うために官房に電話をされた。だれの紹介もなかったのですか、中に入るというような方は。
○鬼証人/コーチャン氏から直接指示を受けていたしまして、だれの紹介もございません。私が電話いたしました。
○楢崎委員/時間がわずかになりましたので、先を急ぎたいと思います。次に、シグ・片山氏の問題でございますけれども、このユナイテッド・スチールという会社に行かれたことありますか。
○鬼証人/ユナイテッド・スチール社に行ったことございません。
○楢崎委員/ロッキードのアジア・リミテッドの事務所と同じビルにあるのじゃありませんか。
○鬼証人/私の事務所は大手町ビルでありまして、せんだって来聞いておりますのは、先方はパレスビルだと了解しております。
○楢崎委員/ロッキード社とID社の契約があるのですが、ID社という会社の名前を聞かれたことありますか。
○鬼証人/今回テレビ、新聞で聞くまで聞いたことはございません。
○楢崎委員/ここにID社とロッキード社のコンサルタント契約書があるわけであります。最後のサインをされたサインがございますが、ちょっとこれを見てお聞きをしたいのです。そこのロッキード社側のサインをされたそのサインに見覚えがございますか。
○鬼証人/ございません。
○楢崎委員/では、ID社側のサインについて見覚えはございませんか。
○鬼証人/ございませんが、これは最近新聞で見ます片山さんのサインとよく似ていると思います。
○楢崎委員/シグ・片山氏とはいつごろからごじっこんになられましたか。
○鬼証人/じっこんではありませんが、十数年前から知っております。
○楢崎委員/鬼さん、この契約書を見ますと、これは非常に重要な契約書でございまして、たとえばこのIIIのBには、「ロッキードおよび売り手の社員ならびに代理人と当該商品の顧客への売り込み活動に協力し、これを援助する」。これがBにあります。これから見ますと、丸紅とロッキード社、ID社という関係は非常に強いことになりますね、売り込みについていろいろ協力し合うということになっているのですから。だからクラッター、エリオット氏がいないときにはアジア・リミテッドの代表格であるあなたが、こういう契約が存在するのにID社を知らないなどということは考えられないのですよ。そうでしょう。これはID社とおたくの契約なんですから。それにID社というのを知らないということは考えられないじゃないですか。そこに私どもはあなたの証言にどうも不自然なところがあると思うのです。さらにIIIのAからA、B、C、D、Eといろいろあるのです。たとえばCのごときは、「当該販売テリトリーにおける当該商品の販売に影響を及ぼす政治的、経済的な諸情勢ならびに競合事情と、さらに」、いろんなやつ、こういうような報告もすることになっているのですね、ID社から。このIIIのFではそれをきちっと書いてありますね。「上記A-E項に関する情報を含め、要請にしたがってロッキードに報告書を提出する」。こうなっております。こういう報告書がID社から来たことを御存じですか。
○鬼証人/存じておりません。
○楢崎委員/知らぬ存ぜぬでどうも困るのですが、あなたは当然知っておるべき立場にあるのに、これは一体どうなっているのでしょうかね。やはりクラッター氏もエリオット氏も米国人ですからね。あなたは日本における会社の代表格だから、日本人としては、言うなれば支配人でしょう。それにこういうことを御存じないなどということは、私どもは常識として考えられないのですよ。もしこういうものが――あなたは報告書というようなものについて全然クラッター氏あたりからお話を聞きませんでしたか。
○鬼証人/一度も、全然聞いたことございません。
○楢崎委員/時間がもうなくなりつつあるのですが、ディーク社がロッキード社から依頼を受けた日本向け送金明細書、これを私どもここにまとめておるのですが、その中に受取人のクラッター氏に対していろいろ指示が出ておる。その指示の中でホテルオークラという個所が三カ所、それからパレスホテルというのが二カ所出てきております。そこでちょっとお伺いをしますが、この中に電話が書かれておりますね。そのクラッター氏の事務所の方の電話を調べてみますと、最後が五〇一一というやっと〇五一一というやつがあるのですね。一体クラッター氏の事務所の電話番号はどちらが本当でしょうかね。
○鬼証人/事務所の電話は二一四-五〇一一であります。
○楢崎委員/それが、五〇一一が〇五一一になっているところがあるのです。それは間違いと思われますか。タイプの間違いと思われますか。
○鬼証人/わかりませんが、多分タイピストの指の滑り違いじゃないかという気もいたします。
○楢崎委員/時間が参りましたが、チャーチ委員会から出された資料もそういう間違った個所がずいぶんあるのですね。それで、そうなると、いまのが間違いであるということがわかるならば、非常にまた一つの問題の解決の糸口が出てくるのです。この送金明細書からいきますと、ホテルオークラが一つの金の授受の本拠になっている。しかもクラッター氏の自宅はホテルオークラの道一つ隔てたマンションなんですね。だからホテルオークラが日本における工作活動の本拠であるとわれわれは見ざるを得ませんが、あなたは、このホテルオークラをしばしばクラッター氏が使われておることを御存じでしょうね。
○鬼証人/クラッター氏在日中はホテルオークラのクレジットカードを持っておりましたから、どの程度使っていたかわかりません。
○楢崎委員/使っておられたのは事実でしょう。それは知っておられるでしょう。
○鬼証人/東京にアパートを持っておりましたので、ホテルを、ホテルの部屋を使うということはちょっと私には考えられません。
○楢崎委員/もう時間が来たからこれ一問でやめますけれども、しかし受取人クラッター氏への送金明細書では指示というのが書いてあるのですよ。後でお見せしましょうか。それにちゃんと、ホテルオークラを使う、ホテルオークラに連絡せよ、絶えずというか、三カ所出てきますよ、ホテルオークラが。だから、それもあなたはここで非常に、日本語で言えばしらばくれておると言わざるを得ません。時間が参りましたので、これで終わります。
○正示委員長代理/これで楢崎君の発言は終了いたしました。次に庄司幸助君。
○庄司委員/鬼証人にまず申し上げておきますが、私の時間はたった十五分です。ですから、お答えは簡潔に、明瞭に答えてもらいたいと思います。それで、まず伺いますが、あなたは日本に四十年間近く日本人として生活されたわけです。たしか九州の生まれだと聞いておりますが、この日本を母国に持つ者として、今度のロッキード疑獄事件、これが日本国民に大衝撃を与えておる、このことについてどう思われるか、まず簡単に伺います。
○鬼証人/私個人といたしまして、今回の報道を読んで、内容を読みまして、率直に申しまして、これは大変なことだというふうに感じております。
○庄司委員/あなたも大変なことだと思っている。だから正直にひとつ答えていただきたいと思います。あなたはかつて代表者をなすっていたとお答えになっております。その代表をなすっていたのは、ロッキード・エアクラフト・アジア・リミテッドの代表者だ、こうお答えになりましたが、そのとおりですか。
○鬼証人/会社の命によりまして代表者の登記をされたのでありますが、これはロッキード・エアクラフト・インターナショナル・リミテッド日本支社でありまして、ただいまおっしゃったロッキード・エアクラフト・アジア・リミテッド日本支社の代表者ではございません。
○庄司委員/オフィスマネージャーについて一言。あなたは先ほどの答弁で、秘書がやめた場合一人雇い入れてくれ、こういう仕事をするのがたとえば一つの仕事だ、こうお答えになっています。それなら、昨年、昭和五十年八月、あなたの事務所をやめられた女性秘書がおられるはずです。お名前申してください。
○鬼証人/昨年末一人出産のためにやめた人は覚えておりますが、夏は覚えておりません。
○庄司委員/ここに報道があります。昨年夏におやめになったあなた方の秘書が、いまカリフォルニアにいらっしゃる。二十八歳の方。この方のお話が載っておりますが、あなたは単なる事務長で会社の枢要な問題には関与しないと絶えず証言され続けておりますが、この中でクラッター氏や日本人マネジャー、あなたです、会話するときは、二人とも自室のドアをかたく閉じてしまい、どのような会話が交わされているか、全然わからない。事務所の中は異様な雰囲気で、秘密に満ち満ちた雰囲気だ、こう書かれております。だからあなたは単なる事務長ではなくて、このクラッター氏と重要な相談をなすっていた、それは間違いないと思いますが、その点、どうですか。
○鬼証人/私自身は、私自身の事務所のドアを閉めて人と話をするというようなことはいたしません。クラッター社長は閉めて中で何か仕事をしているのを私は何回か見ております。私とクラッター社長でクラッター社長の事務所の中へ入りましてドアを閉めて話をするというときは、ほとんど人事あるいは月給の話をするときであります。
○庄司委員/あなたの事務所にはテレックスございますか。
○鬼証人/ございます。
○庄司委員/テレックスに入ってくる通信、こういうものはどなたが目を通されますか。
○鬼証人/原則といたしましては、秘書のうちの一人がテレックスの機械から外しまして、あて名別に切りまして、あて名の人のところへ配るようになっております。
○庄司委員/あなたはそれに目を通されますか。
○鬼証人/自分あてのものは目を通します。
○庄司委員/それじゃ別の問題に移りましょう。あなたは丸紅と大分親しいようでありますが、いろいろ出入りされておるようでありますが、あなたの御親戚に丸紅にお勤めの方ございますか。日本の御親戚……。
○鬼証人/私の弟の長男が勤めております。
○庄司委員/お名前は鬼正一さんですね。どなたの紹介で入りましたか。
○鬼証人/名前はそのとおりであります。本人から私が聞きましたところでは、自分で試験を受けて入っております。
○庄司委員/それでは、私は角度を変えてひとつ伺ってみたいと思います。あなたが元代表をなすっていたロッキード・エアクラフト・インターナショナル、この会社は閉鎖されております。閉鎖の時期は昭和四十七年三月の、たしか末ごろだったと思いますが、いや、二十二日ですね。閉鎖した後、ロッキード・エアクラフト・アジア、これになっております。あなたはこのロッキード・アジアの方の代表者をはずされまして、あなたがおっしゃっているオフィスマネジャー、いわゆる支配人になったわけです。この会社、ロッキード・エアクラフト・インターナショナル日本支社が閉鎖した理由は何ですか。〔正示委員長代理退席、委員長着席〕
○鬼証人/理由は聞かされておりません。
○庄司委員/あなたは代表者であったはずです、インターナショナルの。代表者が何の理由も聞かされないのですか。
○鬼証人/そのとおりでありました。
○庄司委員/それではまるで日本が占領下の時代、進駐軍に勤めている日本の労働者が簡単に首を切られたりしたのと同じような扱いを受けたわけですか。
○鬼証人/登記に関することは法律事務所の方でいたしますので、私には全然理由も何も知らしてこないわけであります。
○庄司委員/そんな代表者が一体ありますか。代表者ですよ。それで一体このインターナショナル、これは会社の目的に明確にロッキード製品の販売、売り込みと書いてあります。ところが、この後からできたロッキード・アジア、この方は会社の目的を見ますと、こういうふうに書かれております。一、市場サービス、ロッキードなんということは一言もありません。市場サービス及び調査、専門的事業情報、これを行い、提供し、引き受け、遂行し、提出する。あるいは二番目の方は、いまやっている会社の仕事、これはほかの会社です、やり方の改善とかそういうことのコンサルタントを行う。あるいは三番目、商業活動、金融活動についての助言を行う。これにはロッキード製品の販売などということは一言もなく、抜けちゃったのです。これを見ますと、何でもやれるようにも見えるし、何もやらなくても済むように見えるのです。何でああいうインターナショナルという売り込み、販売を明確に会社目的とした会社、これを閉鎖して、なぜこういうえたいの知れない会社を設立されたのですか、聞かしてください。
○鬼証人/私にはわかりません。
○庄司委員/だから、日本の国民は非常に大きな疑惑をあなたに感じているわけです。それじゃ、私申しましょう。あなたの本社ロッキード社は、米政府から、この会社が変わる四十六年の九月に緊急融資二億五千万ドルを受けております。その金をバックにして、コーチャン社長が四十七年の二月に日本に来られております。そして半年間に十回、十回目は十一週間もおられたと証言しておられます。そしてこのコーチャン社長が来日されるちょっと後に、この会社変更、得体の知れない秘密に包まれた会社が成立したのであります。そして鬼さんは、インターナショナルの代表者という正式の資格から、まるで小使さんみたいな役割りに格下げされたのであります。そうしてコーチャン社長とクラッター社長がいろいろと動き回る、あなたは通訳にときどき引っ張り回される、こういう中からキッシンジャーさんが佐藤総理に十億ドルの緊急輸入の要請をやった、丹羽運輸大臣がエアバス導入の通達を出す、こういうことが起こりました。そして七月七日には例の総裁のいすを買い占めたなどと世間でうわさされている田中内閣が誕生するわけです。そして八月三十一日から九月一日まではハワイで田中・ニクソン会談が行われる。十月にはPXLの国産化の白紙還元と言われるものが決定されたと言われている。十月にはまたトライスターが決定しているわけです。ですから、あなたがいわゆるマネジャーとして得体の知れない仕事をして、結局は金の流れもこのときが一番多いのです。前の年と比べて十倍、十二億円も金が流れる。この金の運び屋もあなたがやった疑いがあるんです。その点であなたの、このわれわれから見て全く得体の知れない会社、なぜつくったのか、なぜつくられたのか、この点を明確にお伺いして、私の質問を終わります。
○鬼証人/先ほど申し上げましたように、なぜということについて全然私にはわかりません。
○庄司委員/終わります。
○荒舩委員長/これにて庄司君の発言は終了いたしました。次に渡部一郎君。
○渡部(一)委員/鬼さん、あなたはそんなに考え込まないで、ひとつあなたの答えやすそうなことから伺いましょうか。あなたは湘南中学をたしか第十四回生で卒業なさったと承っていますが、そのとおりですか。
○鬼証人/そのとおりであります。
○渡部(一)委員/その後あなたは上海へ行かれて、東亜同文書院に通われ、そして卒業されたと伺いましたが、本当でしょうか。
○鬼証人/繰り上げ卒業で早く卒業いたしました。
○渡部(一)委員/それから、あなたは東亜同文書院を卒業されてから、どういう仕事に従事されましたでしょうか。
○鬼証人/学徒出陣で陸軍に兵隊として入りまして、昭和二十一年の暮れに日本に復員してまいりました。
○渡部(一)委員/あなたは陸軍に入っておられた当時どこに所属されておられましたか。
○鬼証人/番号は忘れましたが、鵄部隊という部隊で、南京の少し北の方におりました。
○渡部(一)委員/あなたは、それが例の児玉機関と関係があったのではないかという話がありますが、あなたはそれをどう思いますか。
○鬼証人/全然ございません。
○渡部(一)委員/あなたはその当時調達を担当されておられましたか。あるいは経理を担当されておられましたか。
○鬼証人/重機関銃隊の二等兵でありました。
○渡部(一)委員/それではあなたが、その当時の経歴から考えますと、非常に突然ロッキード会社、あるいはこうした問題に変わるまで経歴が非常に大きく変化したように見えますが、ロッキード社との関係ができたのはどういうわけなのですか。
○鬼証人/当時、現在の川崎重工業、当時の名前をはっきり覚えておりませんが、川崎航空機工業と言ったと思いますが、個人的なことでありますが、私のいとこの夫が役員をしておりまして、その口ききで、ロッキードとの仕事をするに当たって英語のできるということで嘱託として仕事をもらいまして、そしてロッキードの人に会うようになりました。
○渡部(一)委員/そのようなお話が起こった当時、児玉さんとは関係がありませんでしたか。
○鬼証人/ございません。
○渡部(一)委員/あなたは、ロッキード会社の会長のホートンさんが昨年のアメリカ上院外交委員会における公聴会証言の際、海外の企業に対し、あるいは海外の諸政府に対し千五百万ドルを贈賄の費用として使ったという証言を御存じですか。
○鬼証人/金額は覚えておりませんが、そのような証言があったということは何かで読んだ記憶はございます。
○渡部(一)委員/およそ四十五億円、あるいは別の報道によれば六十億円を上回るような、そういう贈賄額をばらまきながら売り込みをしたということに対して、同社の関連を持たれる一員としてどういう考えをお持ちですか。
○鬼証人/もしそれが事実であったとすれば、非常に残念に思います。
○渡部(一)委員/コーチャン副会長は、アメリカ上院の公聴会において、こうした費用というものは武器を売り込むために必要な措置であったと述べておりますが、あなたはこうしたコーチャン前副会長の見解に同意なさいますか。
○鬼証人/同意いたしません。
○渡部(一)委員/あなたは、武器の売り込みに関し、こうした賄賂商法あるいはコミッション商法あるいはキックバック商法とかいろいろ言われておりますが、こうしたやり方を今後もロッキード社は継続されて行うと考えていますか。
○鬼証人/継続されるとは考えません。
○渡部(一)委員/継続されないと考えている理由は何ですか。
○鬼証人/りっぱな製品をつくれば製品そのものが一番いいセールスマンであると考えるからであります。
○渡部(一)委/いまあなたのおっしゃったことはコーチャン副会長の意見とは全く違うものであります。そしてなおかつ、したがって、あなたのいまの意見はロッキード社の基本的方針とは違うものと私は理解しますが、どうですか。
○鬼証人/基本的方針と違うものと思うとおっしゃったのですか。済みません。――私ども、私会社に入りましてから二十年になりますが、いつも言われてきたことは、いい製品をつくれば製品そのものが一番よく口をきいてくれるのだということを始終聞かされてまいりました。ですから、私としましてはそれが会社の基本方針であると信じております。
○渡部(一)委員/コーチャン氏は証言の中で、われわれは去年の夏この情勢全体を検討した、われわれは、世界じゅうのあらゆるコンサルタントへの支払いを停止、手続一切を書き改め、やり方を再指示した、コンサルタント全員に、だれも金は支払われていないとの声明書に署名させた、こう述べています。すなわち、児玉譽士夫氏あるいはID社あるいは丸紅のような同社のコンサルタントに対しては、いままでこうした賄賂を払ってないという署名をさせた、こういう悪らつなことをやったわけであります。それはコーチャン氏自身が証言しておりますが、あなたはこういう試みを御存じですか。
○鬼証人/存じておりません。
○渡部(一)委員/そうするとあなたは、コーチャン氏のこういう方針と全く違うところにいる、ロッキード社では比較的事情を知らされてない一人だと言いたいわけですか。
○鬼証人/そういうことになります。
○渡部(一)委員/昨年の八月下旬あるいは上旬に、政府高官に対する支払いは禁ずる方針にロッキード社は変わったとコーチャン氏は証言いたしておりますが、あなたはこういう方針について聞いたことがありますか。
○鬼証人/聞いておりません。
○渡部(一)委員/あなたは、日本政府の高官に対する膨大な賄賂の提供をコーチャン氏あるいはロッキード社の幹部がアメリカ上院外交委員会公聴会等において証言いたしておりますが、あなたは、こうした高官はだれか、御存じですか。
○鬼証人/存じておりません。
○渡部(一)委員/あなたは福田太郎氏あるいはシグ・片山氏等とは長いおつき合いだと先ほどもすでに述べられましたので、福田太郎氏が児玉、小佐野氏らをロッキードの幹部に結びつける役をしたということが本日の新聞報道によっても児玉氏側近の証言として掲載されております。そうすると、あなたはそういう場所に介在されておられましたか。
○鬼証人/介在しておりません。
○渡部(一)委員/私の手元に、シグ・片山さんのユナイテッド・スチール社の内部からの投書が来ておりますが、それによりますとシグ・片山氏は大平蔵相らと非常に仲のよかった関係であると述べられておりますが、同氏はここへの出席を拒否しておりますので、一番の友人であろうと思われるあなたに伺いますが、シグ・片山さんはそうした関係がおありだったのでしょうか。
○鬼証人/お互い顔を見知っているという程度の知り方でありますので、片山さんがそういう方を知っておられたかどうかということは、私には全然見当がつきません。
○渡部(一)委員/あなたは、そうするとスイスにあるロッキード社の関係の銀行に対してロッキード社が支払いを指示して、その関係からID社あるいは丸紅等への支払いが行われているとの証言がありますけれども、あなたはスイスのどこの会社にだれがそういう指図をするかについて御存じですか。
○鬼証人/存じません。
○渡部(一)委員/あなたは何でも知らないとおっしゃいますが、余り知らないとおっしゃっていますと、最後に非常に困った立場に追い込まれるのではないかと私は警告しておきたいと思います。そして、あなたとクラッター氏の仲において、クラッター氏がそういうお金の受け渡しに際して重要な役割りをしていたことを御存じでしたか。
○鬼証人/知っておりません。
○渡部(一)委員/それでは、ID社がロッキード社から六億数千万円の支払いを受けておったという問題について、あなたはそのお金の出し入れ等に関係しておりませんか。
○鬼証人/しておりません。
○渡部(一)委員/それでは、私持ち時間になったようでございますから、最後に委員長に申し上げますが、先ほどの坂井委員の大庭証人に対する尋問中、田中土建を鈴木明良氏が引き継いだ部分については事実誤認がありましたので、この部分についてのみ取り消しをいたします。以上申し上げまして、私の質問といたします。
○荒舩委員長/これにて渡部君の発言は終了いたしました。次に永末英一君。
○永末委員/鬼証人は、先ほど一九五四年、すなわち昭和二十九年にロッキードに勤めたとおっしゃいました。それはどういう資格で、ロッキードのどういうところに勤められたのですか。
○鬼証人/ロッキードのバーバンクにあります会社で、シッピングコーディネーターとして就職をいたしました。
○永末委員/勤務場所はどこですか。
○鬼証人/カリフォルニア州バーバンクであります。
○永末委員/日本へ勤務されたのはいつからですか。
○鬼証人/一九六二年六月の末からであります。
○永末委員/そのときにはすでにロッキード・エアクラフト・インターナショナル・リミテッド日本支社はつくられておりましたか。
○鬼証人/私の記憶ですと、私、東京へ参りましたときはロッキード・エアクラフト・インターナショナル・AGの日本支社だったと思います。
○永末委員/ロッキード・インターナショナル・AGはスイスの会社ですね。それの日本支社ですか。
○鬼証人/そうです。
○永末委員/それでは、このAGがロッキード・エアクラフト・インターナショナル日本支社にかわって、あなたが代表者になられたのはいつからですか。
○鬼証人/ロッキード・エアクラフト・インターナショナル・リミテッドの日本支社の代表者になったときは、うかつでありますが、私覚えておりません。
○永末委員/これは一番重要な事件ではないか、あなたの人生にとりましても。それをお忘れになっているのはまことに遺憾でありますが、そのとき日本支社の社員は総数何名ですか。
○鬼証人/三、四名だったと思います。
○永末委員/代表者の職務分掌はそのころ何になっておりましたか。
○鬼証人/済みません。どこの本社でございますか。
○永末委員/そのあなたが代表者に任命せられましたロッキード・エアクラフト・インターナショナル・リミテッド日本支社。
○鬼証人/本社は香港でございます。
○永末委員/その代表者としての職務分掌はどういう仕事をしておられましたか。
○鬼証人/代表者としていたしましたことは、政府に提出するいろいろな書類の代表者欄にサインをすることでありまして、それ以外は現在と同じ仕事であります。
○永末委員/日本のロッキードの支社は最初はスイスのロッキードの支店の分店であり、そうしてさらに香港のロッキードの支社の分店、こういう経緯のようでございますが、あなたがいま勤めておられますロッキード・エアクラフト・アジア・リミテッドの社員数は何名ですか。
○鬼証人/八名であります。
○永末委員/その八名の中で文書の保管をしている係の者はどういう役職ですか。
○鬼証人/特に文書の保管係というものはございませんが、オフィスマネジャーとして私が保管の責任を負わされていると思っております。
○永末委員/それではロッキード社と児玉譽士夫とがコンサルタント契約をした書類等は保管をしておられますか。
○鬼証人/ございません。
○永末委員/この契約書はアジア・リミテッドの社長クラッター氏が署名をしている契約書である。であるとするならば、当然このロッキード・エアクラフト・アジア・リミテッドの責任において署名せられたものだとみなされる。それは責任者のあなたが保管せられるのが至当だと思いますが、これはあなたの社にあるのですか、ないのですか。
○鬼証人/私の知る限りございません。
○永末委員/あなたの会社ではその支社長であるクラッター、支社長というよりも、法人格は別であると思いますが、その社長が署名したものを置かないということが、あなたのロッキード・エアクラフト・アジア・リミテッドの社是でございますか。
○鬼証人/社長が自分用のファイルを持っていたかどうかは私にはわかりませんので、私の管轄するところにはございません。
○永末委員/個人会社ではないわけでありますから、先ほどあなたは書類等の保管はオフィスマネジャーである自分の所管であると申された。であるならば、当然このような書類はあなたがもし保管していなくても、社長なら社長が保管しているという事実を知っておられるのが当然事項だと思いますが、あなたはそれをなさらなかったのですか。
○鬼証人/しておりません。
○永末委員/丸紅との間にも契約がございますが、これもあなたは全く関知しておられないのですか。
○鬼証人/ずっと以前はコピーが日本支社用に回ってきましたので、私が保管をいたしましたが、最近はコピーが回ってまいりませんので、保管をいたしておりません。
○永末委員/丸紅との間には昭和三十三年に最初の代理店契約が結ばれておりますが、昭和四十七年の十一月一日、改めて代理店契約が結ばれた以降のものはごらんになったことがありますか。
○鬼証人/はっきり聞き取れませんで済みませんでしたが、何を見たことがあるかという御質問でしょうか。
○永末委員/昭和四十七年十一月一日、丸紅とロッキードとの間における代理店契約です。
○鬼証人/見ておらないと思います。
○永末委員/どうもあなたは、文書の保管の責任ある地位に置かれておるのかどうかよくわかりません。金の方は、この会社は日本でどんどん金を入手し得るような組織ではないようでございますが、金の責任者はだれですか。
○鬼証人/社長であります。
○永末委員/社長がおられないときはだれですか。
○鬼証人/少額の場合は私であります。
○永末委員/契約に基づいて金を払ったり、あるいはまた受け取るというような場合の金の出し入れは、このロッキード・エアクラフト・アジア・リミテッドという会社はやるのですか、やらぬのですか。
○鬼証人/社長がやっていると思います。
○永末委員/それでは、社長がおらないときには業務停止ですか。
○鬼証人/そういうことになると思います。
○永末委員/社長クラッター氏はいつから日本にいなくなりましたか。
○鬼証人/一九七四年のクリスマスごろだったと記憶しております。そのころ帰国しております。
○永末委員/それ以後の金の出し入れは多額のものはない、こういうことでありますか。
○鬼証人/私にはわかりません。
○荒舩委員長/河村勝君。
○河村委員/先ほどあなたは、昭和四十七年の一月ごろ、当時の田中通産大臣にコーチャン氏を会わせるのに、自分で官房か秘書かかに電話をして、それで会わせたという、そういう証言でしたね。外国人が外務省を通じて正式に会う場合は別でありますけれども、知らない外国人が大臣等に会う場合に、いきなり見ず知らずのあなたが官房に電話をかけて、それで会わせろと言うのは、日本の慣行としては全く信じられないことであるが、あなたはそれは本当ですか。
○鬼証人/私が電話をしまして、しばらくしまして返事をいただきましてお邪魔しました。それは本当であります。
○河村委員/それは官房のだれに話しました。ただ普通の秘書などに話をして通る話ではないはずです。もしあなたが直接かけたとしたらば、しかるべき責任者に話さなければならないはずであるし、それもあなたが知っている人でなければならないはずだけれども、そのことは一応別にして、一体どういう責任者に話しましたか。
○鬼証人/はっきり覚えておりませんが、わかりませんのであちこち電話しまして、私の記憶では、秘書官の方か官房長の方かどちらかだったと思います。
○河村委員/官房長などに直接あなたが電話をするというのは想像ができない。だれか紹介者があったんでしょう。そうでありませんか。
○鬼証人/紹介者はございません。ただいま申し上げましたように、どこへ、どこから電話を始めてよいかわかりませんので、あちこち電話をして、最終的にたどりついたのがそういうところだったと記憶しております。
○河村委員/そういうことはあり得ないことなんです。しかし、知らぬ、存ぜぬということであれば、それはこの場では通るかもしれないけれども、それは全く通らない話である。それもいずれわかることでしょう。それから、あなたはシグ・片山氏は顔見知りではあるけれども、ID社のことは知らない、そういうお話でしたね。シグ・片山、この人とつき合うようになったのはどういうところから、仕事の関係ですか、それともその他の関係ですか。
○鬼証人/十数年前にロッキードの会社の一つに造船会社がございまして、この造船会社が解体しました軍艦を鉄くずとして売ることになりまして、ハイマン・マイケルというアメリカのくず鉄会社の東京代表をしておられた片山さんと会ったわけであります。
○河村委員/昭和四十三年当時、トライスターの売り込みについてロッキード社の猛烈な活動が始まった時期です。この時期には、あなたはまだロッキード・エアクラフト・インターナショナルの代表者であったはずです。その時期にシグ・片山も同時にロッキード社と関係を持って、このことで動いております。その時期に当然あなた方は二人でお会いになったことがあるはずですが、それは記憶ありませんか。
○鬼証人/ございません。
○河村委員/終わります。
○荒舩委員長/これにて永末君、河村君の発言は終了いたしました。鬼君に申し上げますが、あなた何でもわからないとかなんとかということばかり発言されておりますが、一体ロッキード社の日本におけるどういうことをやっているのですか。何もしてないのですか。月給も取ってないのですか。
○鬼証人/事務所内のいろいろな仕事をしたり、翻訳をしたり、会社の製品に関係のある記事の切り抜きをしたり、そういうものをロッキード各社に送ったり、そういうことをしております。
○荒舩委員長/日本の国会ではこういうことは許さないのですが、やがて委員長として何らかの手続をしたいと思います。以上をもちまして、鬼証人に対する尋問は一応終了いたしました。鬼君には御苦労さまでございました。控え室でお待ち願います。

これより以降は、【3.1日/ロッキード事件証人喚問劇その3、若狭得治】に記す





(私論.私見)