○荒舩委員長/この際、お諮りいたします。児玉譽士夫君及び福田太郎君の本日の不出頭の件につきましては、先ほど理事が協議いたしましたとおり、やむを得ないものとしてこれを認めるに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 |
○荒舩委員長/御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。なお、児玉譽士夫君、福田太郎君につきましては、今後の病状の推移を見て、速やかに、本人の同意を得て、臨床尋問を行う等、その取り扱いを理事会において協議することといたします。御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 |
○荒舩委員長/御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。また、カール・コーチャン君及び片山シグ君の両君につきましては、証人として出頭することに関して、重ねて米国政府の了承及び本人の同意を得るよう、外務省より諸般の手続を行い、速やかに出頭できるように取り計らいたいと存じます。その日時等につきましては、理事会において協議することといたします。
――――――――――――― |
○荒舩委員長/理事の協議に入ります。理事の諸君はこの席まで御参集を願い、なお本日の証人喚問についての御協議を願います。暫時速記をとめます。 〔速記中止〕 |
○荒舩委員長/速記を始めて。お諮りいたします。理事の協議により、先ほど証言を求めました大庭証人と若狭証人を同席せしめ、重ねて証言を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 |
○荒舩委員長/御異議なしと認めます。よって、さよう決定をいたしました。それでは、先ほど理事会で決定を見ましたとおり、自由民主党十分、社会党二十分、共産党、公明党、民社党十分ずつの発言を、理事会で決定したとおりに行います。御異議ないものと認めまして、さよう決定をいたします。それでは、大庭証人と若狭証人の入室を求めます。まず、委員長から、ちょっと誤解がある点をただしたいと思いますが、先ほど、大庭証人、あなたは先ほどの証言で鈴木明良の紹介人に原田憲議員の名前を出されましたが、何か証拠があって発言をされたのでありますか。 |
○大庭証人/お答えいたします。別に現在証拠物件は持っていませんです。 |
○荒舩委員長/証拠はありませんか。 |
○大庭証人/現在持っていません。 |
○荒舩委員長/ただいま伺いました、証拠がないのにやたらに代議士の名前を出されることは誤解を生じます。(発言する者多し)しかも、それは政治生命に関する重大な問題であります。どうぞ明快なひとつ発言を願います。(発言する者多し)――どうぞお発言願います。――どうぞお発言願います。 |
○大庭証人/お答えいたします。私、先ほど証言台から終わりまして、体が悪くて夕方まで寝ておりましたが、その間に会社へ長谷村の方から連絡がありまして、私が申しました大石代議士と原田代議士の発言につきまして後日確かめたところが、大石代議士の方は私に紹介をしたということでありましたけれども、原田代議士の方は覚えがないということであったという報告を私にしたということで、私がそれにつきまして覚えていなかったわけでありまして、原田代議士については、私に紹介しましたそれは、何と申しますか、原田代議士の知らない名刺であったのじゃないかと存ずるわけで、ここに改めてその担当でありました長谷村の言葉をここにお伝えしまして、私の証言の訂正をいたしたいと存じます。 |
○荒舩委員長/名刺があったとかないとかということは、それはにせの名刺であるかないかということはどういうことですか。 |
○大庭証人/名刺は誤りの名刺でなかったんかと存じます。 |
○荒舩委員長/よくはっきりそれでいたしました。発言の申し出がありますので、申し出の時間、お約束どおり発言を許します。松永光君。 |
○松永委員/大庭証人と若狭証人との間には、大きな食い違いが証言の中にあるわけです。一番のポイントは、大庭前社長さんがおやめになって、若狭新社長さんが就任された際、大庭証人の方から若狭証人に対して、ダグラス社との間にオプションをしたから、三井物産と相談して処理してもらいたいという趣旨の口頭による引き継ぎを若狭さんにしたかどうかという点なんでございます。その点については、大庭さんは――若狭さん、ちょっと聞いてください。大庭証人はこういうふうに言っておられるのですが、五月二十九日の六時ごろ、頭に残っていたのは、すなわち大庭さんが自分の頭に残っていたのは、ダグラス社との間にDC10についてのオプションをしたことであった、このことが一番の懸念であったので、そこで、若狭さん、あなたに対して、オプションをしたから三井物産と相談して善処してもらいたいということをあなたに口頭で言って、そして退社をされたというふうに大庭証人ははっきり言っておられます。その点どうですか。あなたはその点の記憶をはっきり言ってください。 |
○若狭証人/大庭前社長からそのようなお話を承った事実は全くございません。 |
○松永委員/大庭さんにお尋ねいたしますが、あなたの先ほどの証言によりますと、ダグラス社の東京駐在員のどなたかがあなたのところに何か書類を持ってこられて、それにあなたがサインしてダグラス社の方に渡した、こういう趣旨の証言でございましたが、そのとおりでございますか。すなわち、この書類の交換などはなかったのだというふうに申されましたが、そのとおりでございますか。 |
○大庭証人/証言のとおりであります。 |
○松永委員/そうすると、大庭さんにお尋ねいたしますが、全日空の方には、すなわちあなたの方には、その関係の書類は残っていない、ただあなたがダグラス社の東京駐在員に対してサインをして書類を渡しただけで、別に書類の交換をしたわけじゃないからあなたの方には書類は残ってない、また、サインした書類のコピーしたようなものも書類としてはあなたの方には残ってない、こういうふうに伺ってよろしいのですか。 |
○大庭証人/コピーは残っていなかったと思います。 |
○松永委員/そうすると、もう一つ大庭さんにお尋ねしたいのですが、あなたの発言として新聞に出たところによりますと、書類を交換し、サインした書類の複写が社に残っているはずだというふうな趣旨のことを新聞記者の人にお話しになって、そのことが新聞に載っているのがあったのでございますが、その新聞の記事は、じゃ正しくないわけですね。いまおっしゃったことが正しいんですね。 |
○大庭証人/お答えいたしますが、その件につきましては、コピーをしたとすれば机の引き出しに残っているということを申し上げたわけで、いま私が証言いたしました、コピーはなかったと私は思います。 |
○松永委員/重ねて若狭さんにお尋ねいたします。書類はなかったようです。交換した書類はなかったようです。それから、書類にサインをして、そのサインした書類のコピーもなかったようですけれども、大庭さんが社長をやめられて退社されるに当たって、日にちも時間もおっしゃっているんですよ、五月二十九日の六時ごろというふうにね。そのときに、自分の頭に残っておった一番の大きな懸念がこのDC10についてのダグラス社との間のオプションの問題であったからあなたに引き継いだ、そして三井物産と相談して善処してくれ、こう引き継いだというふうにこの大庭さんはっきりおっしゃるわけでして、くどいようですけれども、もう一回ひとつ、日ごろも時間も言いましたからね、お答え願いたい。 |
○若狭証人/当時の、もう五年前の記憶でございますので明確ではございませんけれども、実は大庭社長がおやめになるということは、突然私に大庭さんから告げられたわけでございます。そういう状態でございまして、そのときに同席いたしましたのは私と先日証言いたしました渡辺副社長の二人でございまして、私一人で大庭社長のお話を承ったという事実はございません。また、先ほどからお答えいたしましておりますように、ダグラス社との間のオプション契約をしたからよろしくというお話を聞いた記憶は全くございません。 |
○松永委員/大庭証人にお尋ねいたします。あなたもけさほど証言をされましたように、昭和四十五年の一月九日に新機種選定準備委員会が発足いたしまして、そして二月の九日から二月二十一日にかけてアメリカに調査団を派遣して、二月二十一日か二十二日に調査団が帰ってこられた。そしてその調査団の報告に基づいていろいろ調査報告書が出されて検討されたと思うのですが、資料によりますと、調査団が帰ってこられてから、三月四日から四月二十二日にかけて五回ぐらい総括部会が開かれ、五月十九日の日に新機種選定準備委員会の第二回目の本委員会が持たれておる。これが四十五年一月以降五月の中旬までの出来事のようでございますが、そういうふうなわけで、まだその選考の最中、いや選考の緒についただけの段階でオプションをするというのはちょっと考えられない、それから、DC10という飛行機はまだその時点では地上に存在していなかった、だからオプションをなさるはずはない、というふうに若狭さんはおっしゃっているわけなんです。その点いかがですか。 |
○大庭証人/ジェットの旅客機は、DC8あるいはボーイングの707ができるころから、飛行機というものは、先方のメーカーの方の仕様書ができますと、先物買いと申しますか、できないものを大体その仕様書によって購入をしていくということが通例になっているわけであります。したがいまして、その後の飛行機というものは、手に入れようとする日限を定めますと、契約前に製造番号を押さえておかないとどうしても希望する日限に入らない。したがいまして、先ほど証言いたしましたとおりに、たとえばダグラスの飛行機を手に入れようとした場合には、事業計画から申しまして四十七年の初めにはどうしても飛行機を手に入れておかないと事業計画は成り立たないという結果が出てくるわけでありまして、したがいまして、その飛行機を手に入れるためには、製造番号をいつ押さえるかが、これは問題点であります。したがいまして、私は私の独断で押さえたのでありますけれども、それは、結論的に言いますと私が全部をリードし、責任を持っていっていたわけであります。したがいまして、私が発注をするということから考えますと、そのときに押さえておかないと、幾ら発注をしても適当な希望する日限に飛行機は手に入らないという結果が生じるわけでありまして、これは単独でも社長としてはどうしても責任上押さえざるを得なかったということでございます。 |
○松永委員/時間がありませんので、これで質問を終わります。 |
○荒舩委員長/これにて松永君の発言は終了いたしました。稲葉誠一君。 |
○稲葉(誠)委員/きょうの全日空のこの問題では、機種の選定をめぐりまして国民が非常に注視をしているわけなんですが、お二人の証言が大きな点で全く食い違っております。そのことのためにかえって疑惑は非常に深まっておりますし、同時に、大庭さんがおやめになられた原因になっておる三千億ですか、その融資依頼の問題について、それが仕組まれた芝居ではないか、大庭さんを追い落とすための何か工作がそこにあったのではないかという疑いが多分に持たれるわけでありますから、大庭さんが言われるように、長谷村さんですか、そしてその他の名前の出た二人の政治家あるいは鈴木何がしというものを将来ここで喚問をして徹底的に国民の前に真相を明らかにしていただきたい。そのことが一番大きな問題であるというふうに私は考えるわけでございます。そしてお二人の違いの中で一つの点は、常務会で大庭さんは常々ダグラスのことについてお話をしておられたから、若狭さんや渡辺さんもあなたの意向、大庭さんの意向というものは十分わかっていたはずだ、こういうふうにいまあなたはおっしゃるわけですね。そうですね。それでよろしゅうございましょうか。 |
○大庭証人/私はそう思います。 |
○稲葉(誠)委員/大庭さん、それに対して若狭さんは、そういうようなことは夢にも思わない、とても考えられないことだ、こういうふうに言って、常務会でそういう話は全然出なかったというふうに言われるのですがね。若狭さん、そうでしたね。違いますか。どうですか、若狭さん。いま私が話したとおりですか。 |
○若狭証人/先ほども申し上げましたとおり、機種選考はその緒についたばかりの段階でございます。したがいまして、常務会でそういうような御発言が出たということは全く記憶いたしておりません。 |
○稲葉(誠)委員/大庭さん、いまお話をお聞きになったでしょう。常務会でそういう話は全く出なかった、出なかったとは言わないけれども、記憶にないと言うのだから、多少そこのところ逃げておりますけれども、そういうことをお聞きになりまして、大庭さんどういうふうにお考えになられるでしょうか。 |
○大庭証人/私は、どうお考えになりますかとおっしゃられても困るのでありまして、私はそう思っていましたということでございます。 |
○稲葉(誠)委員/そうすると、大庭さんはいまでも天地神明に誓って、あなたがきょうここでおっしゃったことは正しい、こういうふうにみんなの前で、国民の前でお誓いができますか。 |
○大庭証人/私は証言をいたしたのであります。 |
○稲葉(誠)委員/もう一つの話は、いま前の方も言われました五月二十九日のことです。夜の六時ごろにあなたが腹を決めたときの状況ですね。若狭、渡辺さんに、後に残すものはないかというふうに考えた、まあ、あなたそのときに混乱されておられた、こういうわけですけれども、オプションしただけだから三井に打ち合わせをして始末をしてくれ、善処をしてくれという意味ですかね、そういうことを申して退社をした、というふうなことを言われておられるわけですね。そういうふうに承ってよろしいでしょうか。 |
○大庭証人/証言のときに申し上げましたとおりに、私がオプションをしたのは私の考え、独断でやっていたわけであります。したがいまして、引き継ぎというものにつきましては、後に残った者が全部承知している分野が多いわけでございます。ただ、私、独断でやっていたものはそれだけでありましたから、それだけを三井物産に十分話をして善処していただきたい。善処していただきたいということは、そこからダグラスなりロッキードなりのなには白紙還元に変えるわけだと存じます。また、引き継ぐとすれば若狭君の考えにおいて引き継ぐわけで、そこで切れるわけだと存じますが、私はそう申したわけでございます。 |
○稲葉(誠)委員/大庭さん、あなたとしては恐らく一生に一度の事件だ、私はこう思うのです。ですから、あなたの記憶というのは、そのときのことは非常に、一生に一度のことだから、よく覚えておられるに違いないと私は思うわけです。これはだれが見てもそういうふうに思うと思うのですが、そうすると、若狭さんと渡辺さんにいま言ったようなことでお話をしたことは、これまたきょう証言したとおりで間違いはございませんね。 |
○大庭証人/間違いがありません。 |
○稲葉(誠)委員/若狭さん、いまおっしゃったようなことなんで、三井物産に後から来てもらって話をしたとか、渡辺さんが何か、ちょっとそこのところはっきりしませんけれども、どうこうしたということでオプション――オプションというもののいろいろな内容はありますよ。これは法律的な拘束力がある場合もあるし、ない場合もあるし、いろいろありますけれども、いまああいうふうに大庭さんは――私は一生に一度のことだと思うのですよ。大庭さんとしては恨み骨髄に達していることだ、こういうふうに思うわけですから、その記憶というものは、私は大庭さんの方が正しいというかコレクトだと思うのですよ。だからあなたは、そういう事実は絶対にないというふうに言い切るのか、いや記憶がないと言うのか、あるいはまたもう一遍よく考えてみたいと言うのか、そこら辺のところは、あなたどうなんでしょうか。 |
○若狭証人/私にももちろん、一切そういう記憶はございません。また、この前同席いたしました渡辺君に記憶のないことも、あのときお聞きになったとおりでございます。そういう事実は絶対にございません。 |
○稲葉(誠)委員/それではお二人にお聞きしますけれども、どうしてそういう重要な点がお二人の間で食い違うのでしょうか。この点については、これは無理な質問かもわからぬけれども、どうしてそういうふうに食い違うのでしょうかね。何か特別な理由があるのでしょうか。どうなんですか。――私の質問の意味がわかりますか。どうしてそういうふうに食い違うのでしょうかね。そう言われても困る……。それは困るかもわからないね。それではお聞きいたしますけれども、大庭さんは日本航空から来られた方であって、技術屋系統の出身の方ですね。そのとおり間違いございませんね。 |
○大庭証人/おっしゃるとおりでございます。 |
○稲葉(誠)委員/あなたがダグラスをいいというふうにお考えになった根拠を簡単にお話し願いたいと思うのです。ずいぶん長い間、日航時代から研究してこられたというのでしょう。どういうことからダグラスが一番いいというふうにあなたはお考えになったのでしょうか、簡単でいいですけれども。 |
○大庭証人/それでは簡略に申しますが、機種選定というものはいろいろむずかしいものがあるわけであります。しかも、いろいろお聞きになったとおりに、将来社運を傾けるようなものが起きないとも限らないわけであります。そして、長くなりますが、私は、先ほど申しましたジェットのDC8、ボーイングが出しました707というものを、これはできないうちに選ばなければいけない立場に立っていたわけであります。そのときになぜダグラスの8を日本航空は選んだかというと、ボーイングが初めて民間機を製作したのが707であります。したがいまして、そこには、私たちがなじんでいますダグラスのいわゆる民間機としての安全性とか、整備のしやすさとか、あるいは交換部品のしやすさとか、そういうものについて、どうしても結論的にボーイングよりもダグラスの方がベターであるという結果、DC8を選んだのであります。その結果は御承知のとおりであります。また、次の機種として、コンベアとボーイングの多分720であったのではないかと思いますが、両者を国内に入れるために、どちらを選ぶかということであったわけであります。ボーイングの方ではもうすでに707に手なずけて次の段階に来ておったわけでありますが、コンベアの方は最初の民間機でございます。しかし、そのときにコンベアの会社が相当左前になりまして、GEという会社がそこに乗り出して、GEの会社になっていたわけでありますが、技術的に相当性能がいい、また電気的に今後相当改良されるという希望で私はコンベアを選んだわけでありますが、御承知のように、これは私の大失敗であったわけであります。これは十機前後つくりまして、後の機材が出なくなった。これにつきましては、日航の整備力があったからこそこれを手なずけて、それを完全な運航に持っていったわけです。そういう苦い経験を持っているわけであります。したがいまして、私が全日空に移りまして、国内機、YSのかわりに何を使うかという段階に立ち至りまして、ダグラスのDC9とボーイングの737というものをどちらを選ぶかという段階に立ち至ったわけでありますが、性能的にはどちらも大体同じようなものでありましたが、ダグラスはそのときに左前になって、いわゆる御承知のようにマクダネルが進出してきたわけでありまして、そういう状態の不安定さというものを私は配慮しまして、737を選ばして、四十五年の初めに手に入れるようにしたわけであります。したがいまして、総体的に調査いたしました結果では、性能的に恐らく、そのときの状態からいくとロッキードの方が性能的にはすぐれていたと私は思っています。しかしながら、総合的にどちらを選ぶかという段階になりますと、御承知のようにロッキードは最初の民間機でございます。軍用機ばかりをつくって、性能では恐らく民間機よりもすぐれた性能を持っている、また新しい、民間機にないものを備えているということも事実でありましたけれども、果たしてこれが安全性あるいはメンテナンスのよさというものから比較対照いたしますと、性能とどちらがいいか。私はむしろ性能よりも安全性であり、メンテナンスのしやすい機材というもの、あるいは今後補給というものを十分考えていっているDC10の方というものがむしろベターでないかと考えていたわけです。そこへもってきて、先ほど御説明したようにロッキードはどうやら左前になってきていますし、それの補助として、いわゆるアメリカのエンジンを使う立場にありながら、イギリスのロールス・ロイスを選んだ、そこにいわゆる経営的な困難さというものはいずれはあらわれてくるのではないか、これを選んで果たして将来全日空として持っていけるかどうか。また、その性能のいいだけメンテナンスというものは困難であります。したがいまして、そのときの全日空の整備力からいって、果たしてこれで十分に持っていけるかどうかというものを考えますと、どうしても私はダグラスを選ばざるを得なかった。しかもダグラスを選んでおけば、メンテナンスについては日航の援助がもらえるという私には一つの望みがあったものですから、四十七年度というものにポイントを置いていくと、どうしてもそのときダグラスにせざるを得なかったと申すのが現状でございます。 |
○稲葉(誠)委員/若狭さん、いま大庭さんが言われましたね。そのことについてあなたはどういうふうにお考えでしょうか。あるいは反論することがございましたらば、やはりあなたにも機会を与えないといけませんから、そうしていただきたいと思います。 |
○若狭証人/社内に機種選定準備委員会ができたばかりの段階でございますし、まだダグラスもロッキードも全く机上のプランの段階でございます。したがいまして、会社としてどれにするかという決定する段階では全くございません。そのように考えております。 |
○稲葉(誠)委員/いまのお話の中の整備力の問題。全日空の場合は整備力がどうしても足りないとか、その後の維持の問題から考えて、そこで大きな問題があった、こういうふうに言われるわけでしょう。私は専門家でないからよくわかりませんけれどもね。そういう点についての考え方をお聞きしたがったのですが、あなたとしても十分言われなかったからあれですが……。そこで、大庭さんがおやめになった理由が、何か一つは会社内の不統一ですね。それからさっきの念書の問題がありましたね。そうすると、会社内の不統一ということについて大庭さんいろいろ説明されたのですが、それは一つは、若狭さんは法学部関係で運輸官僚というか、あなたは理工学部を出られた技術屋さんですね。同時にそれから日本航空の出身ですね。あなたの方は全日空生え抜きだ。生え抜きというか、天下りだから生え抜きかどうかは別として、生え抜きだとして、全日空の中には日本航空とそれからアンチ日本航空というそういう二つの対立があった。こういうふうなことも含めて、会社内の不統一ということがあってあなたはおやめになったのじゃないか。それから仕組まれた芝居もあっておやめになった。こう思うのですが、会社内の不統一ということをもう少し大庭さんから御説明を願って、そしてあとは若狭さんの方からまたお聞きしたいと思うのです。おやめになった理由をひとつ……。 |
○大庭証人/会社内の不統一と申しましても、その不統一を何らか私の努力によって、いわゆるアンチ……(稲葉(誠)委員「不統一の内容」と呼ぶ)アンチ日本航空という考え方をなくして、いわゆる航空界は一本のエンジニアリングで進んでいくようにするのが私の望みであったわけであります。したがいまして、その方向へ進めてきたわけであります。したがいまして、技術陣容はその方向へ進んできたと思いますが、どうしてもそれに対しては人事権とかいうものを持っていないと、十分ないわゆる社長としての企画が進んでいかないわけであります。そういう面におきまして、いろいろ私としましては三年間苦労はいたしましたが、何とかして私を推薦していただいた松尾さんの意思に沿うべく私は夢中で努力していたというのが私のなにでありました。いろいろ社内の不和というのがありますが、その点につきましてあからさまに申されいと申しましても、私はちょっとここで言いづらいと思います。 |
○稲葉(誠)委員/いまの話を若狭さんお聞きになりまして、これは会社の内部の話を国民の前に公開するというのも、あなたたちいろいろあるかもわかりませんけれども、あそこまで大庭さんがしっかり、はっきり言われておるわけですから、これは、片一方だけ聞いて片一方だけ聞かないというのはあれですから、あなたのお話もお聞きして、それで終わりにしたいと思うのですが、結局話は非常に食い違っておるわけでしょう。そうすると、どちらかが偽証されておる。いいですか。どちらかが偽証されておるということになるわけですから、われわれとしてはきょうの議事録をちゃんと拝見して、どちらが一体偽証なんだろうか。委員長、宣誓をしておるわけですから、どちらが偽証なんだろうかということは本委員会なり何なりで――本委員会にしましょう。本委員会で徹底的に追及をせざるを得ないということを私は最後に申し上げて、あなたのお話を聞いて終わりにしたいと思います。 |
○若狭証人/大庭さんは私の先輩でございます。運輸省の先輩でございます。(稲葉(誠)委員「学校が違うだろう」と呼ぶ)もちろん大庭さんは技術系統でございます。私は事務系統でございますが、いずれも運輸省の同じかまの飯を食った仲でございます。したがいまして、その間に意思の疎通のとやかくという問題は私は決してなかったと思います。ただ、いま申し上げましたDC10の問題につきまして、オプション契約があった、それをよろしくということは、私は全く聞いた事実はございません。ただ、私は、大庭さんは私たちの先輩でございますし、また、全日空の整備力の強化のために大変な努力をなさったということについて常に感謝いたしております。そういう関係でございますので、そのために社内の不和があったとか、あるいはそのために社長をおやめにならなければいけなかったというふうには、私は感じておりません。 |
○荒舩委員長/これにて稲葉君の発言は終了いたしました。次に三浦久君。 |
○三浦委員/大庭さんにお尋ねいたします。大庭さんは、オプション契約というのはどういうものだと思っていらっしゃいますか。 |
○大庭証人/オプション契約というものは、ある日限を切りまして、製造番号を押さえるということをオプション契約だと私は存じています。 |
○三浦委員/大庭さんは終始一貫、オプション契約についてはいまのようにお答えになっていられるわけですけれども、それで若狭証人にお尋ねしますけれども、あなたはオプション契約というものはどういうものだと考えておられますか。 |
○若狭証人/オプション契約にもいろいろなものがございまして、具体的に証拠金を出した契約という場合もございます。ただ、いま大庭証人がおっしゃいましたような製造番号を押さえておく、そして適当な時期までにもし発注がなければ効力を失うという契約も当然ございます。 |
○三浦委員/あなたは今度の審議の中で、オプション契約についてどのような答弁をいたしておりますか。オプション契約についての内容が変わってますけれども、どういうように答弁されたか、記憶ありますか。 |
○若狭証人/私は一貫して同じ答弁をいたしていると思います。 |
○三浦委員/あなたは、きょうの委員長の質問でもそうです。前回の証言でもそうですけれども、オプション契約というのは非常に重いものなんだということを強調されておる。それからまた、今度私の質問に対しては、別に義務を伴うものではありません、だからあったかなかったかは余り大きな問題ではないんです、こう言われているのですね。あなたはくるくるくるくる変わっているのですよ。そして前回はどういうふうにおっしゃっているかといいますと、「オプション契約というのは正式の契約を結んでやるものでございまして、単なるサインで終わるものではございません」「そういう事実があったのかなかったのか、あったならばわれわれは損害賠償の責任に応じなければいけない。」、それで三井物産に確かめたのだ、こういうことまで言っておられるのです。こういうように、オプション契約についてくるくるくるくる内容が変わるのはどういうわけなんですか。 |
○若狭証人/ただいま申しましたように、オプション契約には、正式に契約を結び証拠金を出すという契約も当然あるということを申し上げたわけでございます。それからもう一つの問題は、いま申しましたような法律的な義務はない、あるいは道義的な責任もないというような問題がございましても、一つの社の代表者が特定のメーカーに対してオプションを行うということのやはり経済的な、あるいは政治的な社会的な意味というものがあることは確かでございます。したがいまして、法律的責任あるいは道義的な責任というものは別といたしまして、具体的な問題として処理しなければならない問題があったであろうというふうに私は考えたわけでございます。 |
○三浦委員/この審議の中で問題になっているオプションというのは、製造番号を押さえておく、そういうオプションなんですよ。それが一貫して議論になっている。オプションの説明についても、たとえば同僚の議員が言っておりますけれども、いわゆる製造ナンバーを二、三機押さえられたという事実がありますか。――そういうようにいわゆるオプション契約、製造ナンバーを押さえるというオプション契約というものが、前回の証言から今度の証言に至るまで一貫してそのことが問題になっているのであって、そのときそのときであなたがオプション契約の内容を使い分けられるというような状況にはないのです。なぜあなたが勝手に、自分が言いたいほうだいにくるくるくるくるオプション契約の内容を変えられるのですか。非常におかしいですね。どうですか。 |
○若狭証人/オプション契約の内容は私は全く関知いたしておりませんので、したがいまして、それがどういうものであったかということについての内容については、私が知っているわけはございません。したがいまして、一般的な航空界の常識としてのオプション契約の中には、正式の契約を結んで証拠金を出すものもありますし、先ほどから申しておられますような、単に、単純に製造番号を押さえただけというものもあったでありましょうけれども、私はオプション契約といういま言われているものの内容については全く知らされておりませんので、わからないわけでございます。 |
○三浦委員/わからないのになぜじゃその内容についてお話しになるのですか。大庭さんを攻撃するときには、正式な契約を結ばなければならない非常に重大な問題なんだ、それを大庭氏が取締役会にも諮らないで勝手にやった、そういうことであなたは大庭さんを責めておられるのですよ。そうしてきょうは、私から問われると、いや、それは法律的な意味がない、大したものでありませんからちょっと確かめただけなんですよ、そういうふうに変えられているのですね。もしか、内容がわからないというのであれば、そういう答弁は出てこないじゃありませんか。どうしてそういうふうにくるくるくるくる変わるのですか。もう一回説明してください。 |
○若狭証人/内容が不明でございましたから、いろいろな場合があるということを申し上げただけでございます。 |
○三浦委員/これは全く詭弁であります。委員長も御承知のとおり、ここのオプションというのは、その場その場で変わっているオプション契約が問題になっているのじゃないのですよ。大庭さん自身が結んだオプション契約というものが問題になっているのだから、あなたが損害賠償を伴うオプション契約だというふうにそれを判断したならば、それで一貫して通さなければならないし、法的義務のないオプション契約だというのであれば、それで一貫して通さなければならないものじゃありませんか。それをあなたが答弁の都度変えられるというのはどういうわけなんですか、それは。 |
○若狭証人/損害賠償を伴うようなそういうオプション契約もございますから、そういうものであるかどうかを確かめたということを申し上げたわけでございます。それから、いまのお話のような製造番号を押さえるだけと申しましても、それは法律的には問題はありません。政治的にも問題ない。あるいは道義的にも問題ないかもしれませんけれども、会社といたしましては、社内的にも準備委員会が発足した直後のことでございますから、そういうような状態にすることについてはやはり私は問題があったろうというふうに率直に考えているわけでございます。 |
○三浦委員/これはおかしいですね。法律的な義務のあるオプションかどうかを確かめた、そういうことじゃないでしょう。あなたたちは法律的な義務がない、だからオプションはないのだ、こういうふうに主張されているじゃありませんか。時間がありませんから次に移りますけれども、大庭さんにお伺いしますが、あなたは昭和四十七年の初めに大型機を導入する、そういう計画を立てられて、そうして四十五年の三月ごろまでには機種を選定しておかなければならないというふうにお考えになったわけですね。 |
○大庭証人/そのとおりであります。 |
○三浦委員/若狭証人にお尋ねしますが、その点いかがですか。 |
○若狭証人/もちろん一応の計画は四十七年四月でございますけれども、その後の大型機の就航状況その他を検討しなければいけませんし、また需要の動向も見定めなければいけませんので、四十七年四月は私は非常に困難であるというふうに当時から考えておりました。 |
○三浦委員/若狭証人にお尋ねしますけれども、新機種選定準備委員会を昭和四十五年の一月に発足をさせたとき、あなたは新機種の決定というのはいつごろにしたいというふうにお考えになっておられたのですか。 |
○若狭証人/もちろんできるだけ早く結論が出ればいいわけでございますけれども、具体的に検討の対象となる機種の具体的な内容がいろいろな点で明確になったときに決定すればいいというふうに考えておりました。 |
○三浦委員/ここに昭和四十五年の二月十一日の業界紙「ウイング」がありますが、ここであなたは記者のインタビューに答えて――このインタビューというのは、いわゆる第一次調査団としてアメリカにあなたが行かれる前に記者にインタビューしているわけです。ここで、三月初めごろにはいわゆる決断を下す予定だ、こういうふうにおっしゃっているのです。これはあなた、間違いありませんか。 |
○若狭証人/ただいま記憶いたしておりません。 |
○三浦委員/あなたはこの前、野間議員の質問に答えて、その報道は誤報でありますとはっきり述べておられるのですよ。野間議員の質問に対して、この「ウイング」の記事は誤報であります。四十五年三月に新機種を決定するように決断したい、そういう記事は誤報でありますと言っていますよ。記憶ありませんか。 |
○若狭証人/そういう記憶はございません。 |
○荒舩委員長/時間を詰めてください。 |
○三浦委員/これはあなた自身が昭和四十五年二月十一日に述べたことと、いま大庭さんが証言されていること、昭和四十五年三月までに新機種を決定したいということ、このこととは一致するわけですね。そうすると、あなた自身が虚偽の陳述をしているということになるわけです。終わります。 |
○荒舩委員長/これにて三浦君の発言は終了いたしました。次に坂井弘一君。 |
○坂井委員/大庭さんは、五月二十九日にいよいよ意を決せられまして全日空を引かれる、その際に、若狭さんに対して、オプションのことが大変気にかかるからそのことについてはきちんと話をした、ところが若狭さんは全然聞いていない、これはもう全くの真正面からの食い違いであります。これはだれしもが納得できるものではございませんし、ましてや国民がこの姿を見まして、これは何らかの政治的な圧力がかかっているのであろう、こういう疑いを、不信を私はさらに大きくしておる、こう思うわけでございます。そこで、最初に若狭さんにお尋ねをいたしますが、いま申しました、大庭さんが五月二十九日の、それも午後六時ごろあなたにお会いになった。その際、あなたは渡辺専務と二人で大庭さんに会われた、こういうことであります。その場所はどこですか、まずお伺いしたい。 |
○若狭証人/社長室でございます。 |
○坂井委員/六時から何分ぐらいお話しになりましたか。 |
○若狭証人/恐らく二十分ぐらいではなかったかと思います。 |
○坂井委員/その日の天候はいかがでしたか。 |
○若狭証人/明確に覚えておりません。 |
○坂井委員/何か飲み物があったと思いますが、お茶ですか、ジュースですか、何でしょう。 |
○若狭証人/ 明確に覚えておりません。 |
○坂井委員/では大庭さんにお尋ねします。あなたは五月の二十九日夕方六時から、この際会われた方は若狭さんと渡辺専務、ほかにどなたかいらっしゃいますか。 |
○大庭証人/最後に会社のことの話し合いはお二人でございました。 |
○坂井委員/先ほど若狭証人は渡辺専務も同席をしたということでございますが、渡辺専務はその席には同席していないとここで証言できますか。 |
○大庭証人/お二人と申したのは、若狭君と渡辺君と二人だったと思います。 |
○坂井委員/あなたの秘書は同席をしておりませんか。 |
○大庭証人/私はよく覚えていませんが、同席はしていなかったように思います。 |
○坂井委員/あなたがその席で若狭さんに、オプションのことはひとつよろしく頼む、一番気になったことですね、ですから、かたがた念を押してそれを頼んだ、こういうことでございますが、その際、若狭さんはどう答えられましたか。 |
○大庭証人/私は一等気になっていた、私個人でオプションをしていたわけでありますから、それは対外的に影響を及ぼすものでございますから、若狭君に、ひとつこの件についてはよろしく頼むと言い置いて退社したと思います。 |
○坂井委員/さらに念を押します。若狭さんは絶対聞いてないと証言できますか。 |
○若狭証人/私は聞いておりません。 |
○坂井委員/では若狭さんにお尋ねします。先ほど大庭さんは、このオプション契約の中にターゲットデーが入っておった、日にちは忘れた、こういうことでございます。一般的にターゲットデー、つまり正式契約の日が入っておった場合、それは契約の相手先でありますところのダグラス社から、契約の日が来れば当然全日空に問い合わせがあると思いますが、若狭さんはそのことについてどうお考えになりますか。 |
○若狭証人/そういうオプション契約があったということを私は存じませんし、そういう問い合わせがあったという事実はございません。 |
○坂井委員/では重ねて大庭さんにお尋ねします。ターゲットデーは確かに入っておった。そういたしますと、ターゲットデー、つまり正式契約の日が来ますと全日空には必ずダグラス社から問い合わせが来ると、あなたはそうお考えになりますか。 |
○大庭証人/来ると思います。ただし、申し上げますが、私はそういうように申して退社したわけでありまして、過日の若狭君の発言を聞きますと、三井物産にいろいろ御質問なさったそうでございますので、そのときに私はすべてが切れたんでないかと思われる節もあるわけでございます。 |
○坂井委員/それでは話をもう一度最初に戻します。最初、社長室で三井物産のだれかが来て、そうしてダグラス社の東京駐在の相手先の方と大庭さんがここでオプション契約、これをサインするわけでありますけれども、その際、全日空側としてどなたかそのあなたのサインに立ち会われましたか。 |
○大庭証人/私が単独でやったと思います。 |
○坂井委員/あなたの秘書であります長谷村さんは同席いたしませんか。 |
○大庭証人/長谷村は私の秘書ではありません。したがいまして、先ほどの質問に出ました融資の問題に特命で長谷村に命じていたわけでありまして、長谷村は私の秘書ではありません。 |
○坂井委員/あなたの証言によれば、確かな日は忘れた、こういうことでございますが、あなたの社長室でこのオプション契約を結ぶまでに、当然事前交渉が相手側、ダグラス社となければならぬと思いますが、その交渉にどなたかを充てられましたか。 |
○大庭証人/そういうものは私自身でやっていたわけでありますから、だれも立ち会っていないと思います。 |
○坂井委員/ダグラス社側の代表は、このオプション契約にサインしましたか、あるいは印鑑を押しましたか。 |
○大庭証人/私の記憶では、私がサインをしたと先ほど証言しましたように、多分それは代理店の方でなかったかと存ずるわけで、本社へ送るために私のサインがほしいということでサインしたと存じているわけであります。 |
○坂井委員/そうしますと、社長室のロッカーにも一通を入れたということをあなたは前にお述べになっておったようでございますけれども、それはそうではない。つくったのは一通だ、相手側に渡した、相手側のサインはない、サインのあるのはあなただけだ、こういうことでございますか。 |
○大庭証人/先ほど証言したとおりでありまして、サインしたのは一通だと思います。ただ新聞社の問題は、聞かれたときに、もしコピーをしたんであったならば私の机のファイルの中にあったはずだと申し上げたわけで、私の記憶では私がサインしたものを先方が持ち帰ったと存じています。 |
○坂井委員/では問題をかえます。若狭証人にお尋ねしますけれども、トライスターを二十一機、仮発注から正式発注、取得に至るわけでございますけれども、最初の六機、つまりJA八五〇一からJA八五〇七番まで、この六機につきましてオプション契約を結んだ日にちはいつですか。 |
○若狭証人/先ほど御説明申し上げましたように、オプション契約というものはこの場合にはございませんで、昭和四十七年十月三十一日に、正式契約を締結するいわゆるファームオーダーという交渉を、ロッキード会社との間に開始したわけでございます。 |
○坂井委員/大庭証人にお尋ねいたします。仮発注が四十七年の十月の三十日であります。いま若狭証人の証言によれば、オプション契約はなかったということであります。これが正式契約が四十八年の一月の十二日。これは一号機であります。取得が四十八年の十二月の十八日。この間一年と二カ月間であります。オプション契約なしで一年二カ月の間にすでにこの航空機を取得する、こういうことは可能でしょうか。 |
○大庭証人/午前中の御説明の中に申し上げたと存ずるわけでありますが、製作会社というものはその飛行機の製作番号に会社自身が特別に持っている番号があるわけでありまして、したがいまして、その番号を利用したとすれば早く取得できると思います。(「医者を呼べ、だめだ、無理はよせ」と呼ぶ者あり) |
○荒舩委員長/坂井君、もうすでに時間が超過しておりますが……。 |
○坂井委員/大変お疲れのようでございますから、一言だけ申しまして私は終わりますけれども、いま証言をいただきながら私はこう思います。すでにロッキード社のこのトライスターにつきましては、全日空にいつでも仮発注ができる体制にあったということ、したがってオプション契約を結ぶ必要はさらさらなかったということ、こういうことが事前に決まっておった。したがって、十月の三十日ぎりぎりに、DC10とトライスターが争って決まらなかった、当日に決まった、ということはこれはきわめて信憑性がない。これでは説明はとうていつかないと思います。したがって、最初からトライスターの導入ということをあらかじめ決めて、すでに着々とその準備が始まり、進んでおった、こう言わざるを得ないということを一言申し上げまして、終わります。 |
○荒舩委員長/これにて坂井君の発言は終了いたしました。次に河村勝君。 |
○河村委員/大庭証人大分お疲れのようですから、なるべく返事をしないで済むように簡潔にやります。この証人お二人の食い違いというものは――大庭証人には一言言えばいいようにしますから、イエスかノーかだけ……。このお二人の証人の発言の食い違いというのは、これは双方ともに決め手といいますか物的証拠がありませんから、ここで幾らやってもこれは結論が出ないものであります。大庭証人は、このオプションを決定したことについて社内にはだれにも話さなかったかもしれない、こう言っておられる。同時に物的な証拠がない、契約書がない。だからあとは引き継ぎのときの実際に引き継がれるかどうかしか残らないわけであります。それに対して、さっきからお二人に対して質問があります。これを最終的に確認をいたします。大庭さんは引き継ぎを確かにされたとそうおっしゃっているわけですね。 |
○大庭証人/そうであります。 |
○荒舩委員長/立たないで、そのまま。 |
○河村委員/若狭さんは引き継ぎを受けてないとおっしゃっている。 |
○若狭証人/私は、先ほどから何回も申し上げておりますように、大庭社長からそのような引き継ぎを受けた記憶は全くございません。ただ、前社長と私がいまここでこういうようなお話をしなければならないということはまことに残念でございますけれども、当時の状況を申し上げますと、その午後までは大庭さんがおやめになるということは私たちも全く知らなかったことでございます。私が大庭さんの部屋に呼ばれて、私と渡辺君が呼ばれて初めて大庭さんからおやめになるということを聞かされたというような状態でございまして、大庭さん自体も大変私は混乱しておられただろうと思います。そういう意味におきまして、私はここであったとかなかったとかいうことを争うのは全く残念で申しわけありませんけれども、しかし、物事は明白にしておかなければいけませんので、先輩に対して申しわけないと思いますけれども、そういう引き継ぎはなかったということを明確にしておきたいと思います。 |
○河村委員/そこで、引き継ぎがあったかなかったかということは、事実関係には私は直接関係がないと思う。この場合、大庭さんがやられた、大庭さんの言葉で言えばオプション、このオプションがやられたことが、それが適当であったかどうかということは、これはお互いにいろいろ議論があるかもしれないけれども、しかし、実際大庭さんがサインをして、それでダグラス社に渡した。その行為によって現実に飛行機の製造番号が押さえられて、それで何機かが全日空用につくられつつある。同時に、それはダグラス社からも若狭さんにその後連絡があったということまでは若狭さんも承知しておられる。そうすれば、オプションがいいか悪いかと――いまは食い違いのことだけに限定して議論をすれば、大庭さんが決めて実行されたことによって、そうした一般的に言うオプションに基づく事実が発生している。そこまでは若狭さん、認められるわけですね。 |
○若狭証人/いま先生のおっしゃるとおりでございます。 |
○河村委員/実際この問題は若狭さんは否定しておられるけれども、大庭さんはダグラス社と直接オプションをやられたと言っている。三井物産は現実にこれに関与しておって、三井物産はそれに従って製造番号を押さえたりして、結局後ではそれは売れなくなったために他国に売るためのあっせんを責任上やっている。そういうこともあるわけですね。ですから、あったことはこれは間違いがない。ただ、それは若狭さんは知らなかったかどうか一応別にいたしまして、三井物産とその後話されてそれによってこのオプションは消えた。これも間違いないところだと思う。でありますから、事の当否は別にして、事実関係としては確かにあった。お互いに知っていたか、連絡があったかどうかということは、これはわからないけれども、しかし、事実関係に余り関係がないんじゃないか、私はそう思います。でありますから、要は一回確かに――若狭さんがそこに道義的、法律的に責任がない。それもそうでしょう。だけれども、しかし、そういう事実があって、それでその後にトライスターに変わったという事実もまたあるわけですね。ですから、結局はこうした事実を前提にした上で、その後トライスターが選定された過程において何か外部から圧力があって、それで適正に決められるべき機種の選定が曲げられたかどうか、そこのところに最後の問題が帰結するのでしょう。そういうことじゃありませんか。いかがですか、若狭さん。 |
○若狭証人/いま先生のおっしゃるとおりであると思います。この点につきましては、私は、私の意見だけではなしに機種選定について、先輩である大庭証人の意見も聞いていただいた方が、大変おこがましい話でございますけれども御参考になるのではないかというふうに考えております。 |
○河村委員/いま私は両証人の食い違いだけについてここでは論及するつもりですから、それからあとの問題については、先ほどの証言についていろいろ私も疑問の点を申し述べました。それをここで繰り返そうとは思いません。でありますから、一つの事実があって、いずれにせよそれが消えて、新しくトライスターが選定されたという過程の疑問についてはなお今後の問題に残しまして、そこまで私は申し上げて、これで私の質問は終わります。 |
○荒舩委員長/これにて河村君の発言は終了いたしました。以上をもちまして、大庭証人及び若狭証人に対する尋問は終了いたしました。御両人にはお引き取りを願って結構でございます。遅くまで御苦労さまでございました。以上をもちまして、証人に関する議事は終了いたしました。次回は、明二日午前九時三十分理事会、午前十時より委員会を開会いたします。本日は、これにて散会いたします。午後十一時三分散会
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