【執筆観点】 |
【「物語り戦後学生運動論」の執筆観点その1】 |
本書の執筆観点を明らかにしておく。筆者は、政治情況が革命を欲しているにも拘らず、日本左派運動史の負の遺産がのしかかり、何を信じてどう闘えば良いのか、確信と展望を失っていることが遠因で低迷していると考えている。その為にも、時代が、かって存在した学生運動の正確な理解を求めたがっているのではないかと窺う。本書は、これに応えるものである。 |
【「物語り戦後学生運動論」の執筆観点その2】 |
では、マルクス主義の負の面とは何であろうか。当然、関心はそのように向かう。筆者はかく述べる。マルクスは、初期の「共産主義者の宣言」から晩年の不朽の名作「資本論」に至るまで一貫して、社会発展の歴史的発展必然行程として封建制から資本制への転換を認め、資本制の次に待ち受ける段階として社会主義、共産主義への歩みを展望させた。これにより、プロレタリアートに対し、資本制からの解放と救済を主眼とする歴史的使命と闘う武器としての理論を与えた。これが、マルクス主義の功績である。 |
【「物語り戦後学生運動論」の執筆観点その3】 |
戦後学生運動は、否日本及び世界のマルクス主義的左派運動が、このカラクリを見抜けぬまま、マルクス主義を金科玉条視し、憧憬し純朴に仕えてきた歴史があるのではなかろうか。左派の国際主義はその空疎性にも拘らず今なお左派精神を規制しているが、そろそろその不毛、恐さを顧みるべきではなかろうか。マルクス主義者の伝統的宿アは批判に長けるが、こうしたことを内省するのに弱い面があるように思われる。その精神は極めて安逸と罵られるべきではなかろうか。 |
(私論.私見)