十両、幕内の取組みの前になると、土俵上に大勢の力士たちがそれぞれ自慢の化粧まわしをつけて登場する。色とりどりの華やかな化粧まわしを一度に観賞できるので、相撲観戦の楽しみの一つとなっている。化粧まわしはスポンサーから贈られたものであるため、広告としての意義も持っている。スポンサーは後援会だけでなく有名企業や裕福な個人のタニマチなどさまざまだ。なかには誰もが知る有名人が自分の名前を入れた化粧まわしを贈ることもある。たとえばデヴィ・スカルノ夫人は大ファンだった琴光喜関に自分の名前を刺繍した化粧まわしを贈っているし、漫画家のゆでたまごさんは、友人の千代大龍関に「キン肉マン」が刺繍された化粧まわしを贈っている。タニマチの名称を刺繍した化粧まわしのなかには、とてもユニークなものがある。たとえばブルガリア出身で2014年に惜しまれながら引退した人気力士琴欧洲関などは、前垂れに「ブルガリアヨーグルト」が刺繍された化粧まわしをつけて土俵入りし、相撲ファンを沸かせた。また、なかにはタニマチの名称ではなく、力士の趣味や好みを反映した変り種の化粧まわしもたくさん見られる。熊本県出身の力士佐田の海関は「くまモン」、天鎧鵬関は大好物である地元のラーメンチェーンの刺繍をほどこした化粧まわしを使っている。