日本における著作権
歴史
日本では著作権法は、19世紀末に制定されたが、一部の権利については版権としてそれ以前から保護を受けていた。著作権法の制定はベルヌ条約への加盟のための国内法の整備として行われたとされる。この著作権法は旧著作権法とも呼ばれるもので、1970年に制定された新著作権法とは通常区別される。
20世紀半ば以降、企業により著作物が製作されるようになると、便宜的に架空の人物を著作者とした。(八手三郎、アラン・スミシーなど)
権利の内容と譲渡可能性
日本の著作権法の下では、以下のすべての権利は創作の時点で自動的に創作者(著作者)に発生する(無方式主義 cf.方式主義)。
- 著作者人格権 著作者個人に帰属し譲渡不可能
- 公表権 未発表の著作物を公に発表する権利
- 氏名表示権 著作物の公表の際に著作者の氏名を表示する権利
- 同一性保持権
著作物の公表の際に著作者の意に反する改変を禁ずる権利
- 著作者財産権 創作の時点で著作者個人に帰属するが譲渡可能
- 複製権 著作者が著作物を複製する権利
- 出版権 複製権者が「文書又は図画として複製する権利」として許可できる
- 上演権及び演奏権 著作者が著作物を公に上演したり演奏したりする権利
- 上映権 著作者が著作物を公に上映する権利
- 公衆送信権等 著作者がその著作物について公衆送信したり、自動公衆送信の場合は送信可能化する権利。また、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利。
- 口述権 著作者がその言語の著作物を公に口述する権利
- 展示権 著作者がその美術の著作物や未発行の写真の著作物の原作品を公に展示する権利
- 頒布権 著作者がその映画の著作物をその複製によって頒布する権利。また、それを上映する権利
- 譲渡権 著作者がその著作物を原作品か複製物の譲渡により、公衆に伝達する権利(ただし映画の著作物は除く)
- 貸与権
- 翻訳権、翻案権等
(著作物の種類等については著作物を参照のこと)
権利行使
著作権者は、他人に対し、その著作物の利用を許諾することができる(63条1項)。この許諾を得た者は、その許諾に係る利用方法及び条件の範囲内において、その許諾に係る著作物を利用することができる(63条2項)。また、この許諾に係る著作物を利用する権利は、著作権者の承諾を得ない限り、譲渡することができない(63条3項)。
- 著作物の放送又は有線放送についての許諾は、契約に別段の定めがない限り、当該著作物の録音又は録画の許諾を含まないものとする(63条4項)。
- 著作物の送信可能化についての許諾を得た者が、その許諾に係る利用方法及び条件(送信可能化の回数又は送信可能化に用いる自動公衆送信装置に係るものを除く。)の範囲内において反復して又は他の自動公衆送信装置を用いて行う当該著作物の送信可能化については、23条1項の規定は、適用しない(63条5項)。23条1項の規定とは、「著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する」とするものである。
共同著作物の著作者人格権は、著作者全員の合意によらなければ、行使することができないが(64条1項)、共同著作物の各著作者は、信義に反して前項の合意の成立を妨げることができない(64条2項)。共同著作物の著作者は、そのうちからその著作者人格権を代表して行使する者を定めることができるが(64条3項)、この者の代表権に加えられた制限は、善意の第三者に対抗することができない(64条4項)。
共有著作権(共同著作物の著作権その他共有に係る著作権)は、その共有者全員の合意によらなければ、行使することができないが(65条2項)、各共有者は、正当な理由がない限り、合意の成立を妨げることができない(65条3項)し、信義に反して合意の成立を妨げることができない(65条4項、64条2項)。また、代表権に加えられた制限は、善意の第三者に対抗することができない(65条4項、64条4項)。
著作権から除外されるもの
著作権法第10条2項では、「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、前項第1号に掲げる著作物に該当しない。」と定義されている。
著作権法第13条では、次の著作物が「この章の規定による権利の目的となることができない。」として除外されている。
- 憲法その他の法令
- 国若しくは地方公共団体の機関又は独立行政法人(独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第1項に規定する独立行政法人をいう。以下同じ。)が発する告示、訓令、通達その他これらに類するもの
- 裁判所の判決、決定、命令及び審判並びに行政庁の裁決及び決定で裁判に準ずる手続により行われるもの
- 前2号に掲げるものの翻訳物及び編集物で、国若しくは地方公共団体の機関又は独立行政法人が作成するもの
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