「ファイル交換ソフト・Winny(ウィニー)事件」考 |
更新日/2018(平成30).11.13日
(れんだいこのショートメッセージ) |
「ファイル交換ソフト・Winny(ウィニー)事件」について、れんだいこはメカのことが分からないので及び腰になるが、この事件の本質は、進化し続けるインターネットソフト産業に対し、全方位著作権者と権力機関当局が結託して、その芽を潰そうとしている現代版ラッダイト運動のように思える。 一体全体、ファイル交換ソフトの開発自体が非である訳がなかろう。その開発者を逮捕するなどとは野蛮の極みである。文明の利器とは常に両刃であり、人がそれをどう活用するのかその主体性が問われるべきものである。誘引論を満展開させたならば全てが犯罪に繋がろう。 その論理で行けば、包丁も使用禁止にすれば良い。インターネットそのものがいとも容易く情報を交叉させる媒体であるからして、それをも禁止することになろう。そったら馬鹿な取締りが許されて良いだろうか。開発者には何の責任もない、むしろ人間知力の可能性をどんどん証させていくべきだろう。唯一規制される理念は、人類全体の倫理と福祉の観点からのものであり、権利的なものではなかろう。 開発者の著作権侵害意図的誘引行為でさえ、元々発明にはその種の動機が付き物でそれ自体の背徳を責めるのは如何なものであろうか。生殺与奪的な社会犯罪的要件が立証された場合のみ問題にされるべきで、発明によって既成の産業的権利が打撃を受けることは致し方ない。歴史にはそういう事例があふれかえっている。してみれば、決して、近時の全方位包括的承諾要件式著作権理論の偏狭な様式に従わされるべきものではなかろう。そういう意味からも著作権法の正確な理解が無ければならない。近時の全方位包括的承諾要件式著作権理論には実は法的裏づけがない。 「ウィニー事件」は、著作権法について原点からの問い直しをするのに格好教材であるように思われる。今こそ文明のシロアリ理論に対して正当なる疑問を呈していくべきではなかろうか。れんだいこが「ウィニー事件」を評すれば、本来激賞されるべき者が逮捕される、という本末転倒事象が生起しているということになる。 2004.8.3日 れんだいこ拝 |
【「ファイル交換ソフトとは」】 |
「ファイル交換ソフト」とは、コンピューターの利用者同士がネットを介して音楽や映像などのファイルをやり取りするソフトのことである。国内の利用者は推定200万強に上るとみられる。 ウィニーは、P2P(ピア・ツウ・ピア=個人対個人)と呼ばれる技術の一つで、利用者が手持ちのファイルを直接検索し合う仕組みを構築している。ウィニーを使っている人が、ある情報を自分のパソコンに保存すれば、他の利用者もこの情報を取り込めるようになっており、これにより、映像や音楽などの情報を共有、交換し合えることになる。欲しい情報を短時間で検索できることにもなる。 ウィニーは、匿名者間でのネットワーク上での情報複製を可能にする。この効能が違法コピーの流通による著作権侵害の温床になっているとの指摘がある。実際に、ウィニー利用者によって京都府警の捜査関係書類が流出する不祥事も起きた事例が報告されている。しかし、それは、「ファイル交換ソフト・ウィニー」を取り締まる方向においてではなく、別の手立てを講ずる必要が生まれた、ということではなかろうか。 |
【「ファイル交換ソフト・Winny(ウィニー)事件」の概要】 |
10歳のころからパソコンソフトの作製を手がけたという経歴を持つ東京大大学院助手の金子勇容疑者(33歳)は、インターネット掲示板でファイル交換(共有)ソフト「Winny(ウィニー)」の開発を宣言し、約1カ月で完成させ、これをネット上で公開して無償で配信した。「これにより、金子氏は『インターネットソフト界の伝説の天才』になった」。ウィニーを配信していたホームページでは、「従来のデジタルコンテンツビジネスモデルはすでに時代遅れ」と指摘、「デジタル証券システム」といった試論を登場させていた。 これに京都府警が監視の目を光らせた。2001.11月、別のファイル交換ソフト「WinMX」の利用者を逮捕。昨秋以降、金子氏を任意聴取していた。金子氏は既存秩序を否定する刺激的な供述を繰り返した、という。これに対し、京都府警は、金子氏が著作権侵害の現状の深刻さを分かった上で、ウィニーによってさらに広げようとしており悪質として逮捕に踏み切った。金子容疑者がウィニーによる著作権侵害が広がっていることを知りながら、236回のバージョンアップを繰り返したことについても、「ウィニーが違法に利用されることを認識していた」と判断し、逮捕の根拠とした。警察側は金子氏の「挑発的な態度」を逮捕の要因とした、という情報もある。 京都府警による金子被告逮捕に抗議の声が挙がっている。ウィニーによる捜査関係書類流出の仕返しと読む声もあり、京都府警はいら立ちを隠さない。「Winny(ウィニー)は、『次世代のネットシステム』か『プライバシー侵害ソフト』か」を廻ってホットな議論が続いている。 京都府警による金子被告逮捕問題は、インターネット上で音楽や映像などの情報を直接やりとりできるファイル交換プログラムソフトの開発者に対し、著作権法違反の「幇助」罪の適用ができるのかどうかにある。 捜査当局は、開発の「意図」を問題にして事件化したが、日進月歩のデジタル技術と利用者の爆発的拡大に対する対応として取り締まり一辺倒でよいのかどうか、勇み足ではないのか等々難しい問題が宿されている。米国ではソフト開発者ではなく、利用者の責任を問うのが主流になりつつある」。 金子助手の知人でソフトウエア開発会社社長・新井俊一(26)氏は、「今回は幇助の範囲をとても広く解釈している。これではいつでもソフトウエア技術者を逮捕できるようになる」と懸念している。 |
【警察及び検察の論理】 |
2004.5.31日、京都地検が、ファイル交換(共有)ソフト「Winny(ウィニー)」の開発者・東京大大学院助手の金子勇容疑者(33歳)による同ソフトのインターネット上での公開行為に対し、同ソフト利用者の著作権侵害を幇助したとして著作権法違反(公衆送信権の侵害)幇助罪で起訴した(「Winny(ウィニー)著作権法違反事件」、略して「ウィニー事件」)。ソフトの開発者の刑事責任が問われるのはきわめて異例であり、成り行きが注目される。 起訴状によると、金子助手は2002.5月上旬からウィニーをネット上で公開して無償で配信。ソフトが著作権侵害行為に利用されていることを知りながら、不特定多数が最新版を入手できる状態にし、昨年9月、群馬県高崎市の風俗店従業員(41)=同法違反罪で公判中=らがウィニーを使って映画やゲームソフトを不特定多数のネット利用者に送信できるようにした著作権侵害を手助けしたとされている。 地検の見解は次の通り。地検は、ウィニーは映像や音楽の違法コピーソフトであるとし、この見地から実際の使われ方を追跡していった結果、「被告自身、ウィニーを違法コピーにしか使っていなかった。著作権侵害の意図は明らか」として著作権法違反(公衆送信権の侵害)幇助罪に該当すると判断した。「ウィニーによる著作権侵害が広がっている事実を雑誌などの報道で知りながら、ソフト改良を繰り返しており、悪質性は高い」とした。高田明夫・次席検事は、「ソフトのやり取り数十万件のうち、適法なものは2%にすぎなかった」と指摘している。 |
【金子氏の反論】 | ||
金子氏の見解は次の通り。
地検は、金子容疑者のこの主張をもって「確定的な故意が認められる」、「その後のソフト改良の動きも含めて悪質性が高い」と判断したと云うが、まことに物言えば唇寒しとはこのことだろう。 |
【「金子勇氏を支援する会」結成される】 |
ソフトウエア開発会社社長・新井俊一(26)氏は、金子逮捕という局面を受け、仲間のソフトウエア技術者らと「金子勇氏を支援する会」を結成した。2週間余りで約1500万円の支援金が集まり、応援メールも200通近く寄せられた。壇弁護士は、「今回の不当逮捕への関心の高さを実感する」と自信を見せる。 インターネットサイト「FreeKaneko.com 」が立ち上げられ、支援活動している。 |
【急増するファイル交換ソフトの利用者】 | |
2004.5.31日付け毎日新聞は、「急増するファイル交換ソフトの利用者」との見出しで、次のような記事を掲載している。
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【金子助手の逮捕後の対応の様子】 |
金子助手の逮捕後、「違法なファイルはやり取りしなくなった」(会社員・31歳)という利用者もいる。だが、ネット上では金子助手に代わって一部の利用者がウィニーの改良を続けている。 99.10月に創刊され、ウィニーの紹介もしてきた上中級者向け雑誌「ネットランナー」発行元のソフトバンクパブリッシング広報は、「ウィニー自体は違法ではないと考えるが、著作権法違反が広がっていると認識しているので、違法だと疑われるファイルのやり取りは掲載せず、使用方法の紹介にとどめてきた。今後も倫理的な編集方針を守る」としている。 |
【司法の場での論点考】 |
事件はさまざまな波紋を広げており、法廷でネット社会の著作権論争が行われる見込みで、ネット上を巻き込んだ論議は司法の場に移った。@・ファイル交換(共有)ソフト「Winny(ウィニー)」はネット社会に何をもたらすのか。A・違法コピーに使われたファイル交換ソフト開発の是非、B・金子被告の開発行為は著作権法違反の手助けに当たるのか。C・利用者による違法コピーという犯罪を被告が予見できたか否かや、故意の有無、などが争点となり初めて法廷で争われる。 捜査当局は、「著作権侵害幇助の意思が開発者にあり、ウィニー自体も幇助するシステム」だとして、開発の「意図」を重視したが、開発者よりも違法コピーした利用者側の民事責任を問うのが主流の米国では、異例のことと受け止められている。日進月歩のデジタル技術と利用者の爆発的な拡大に、法整備はなかなか追いつかない。ネット社会の著作権保護のあり方が問われている。 概要「インターネットが普及した現在、デジタルコンテンツが違法にやりとりされるのはやむを得ない。これを新たなビジネスチャンスととらえず、そのビジネススタイルを模索せず、警察の取り締まりで既存の体制を維持しようとする企業の方が問題だ。著作権の概念を変える必要がある」。 弁護団は、「ホームページに『違法ダウンロードをしないように』と注意書きをつけており、違法行為を広める意図はなかった」、「利用者と意思の連絡がなく、ほう助罪を認定するのは乱暴」と著作権侵害の意図自体を争う姿勢だ。有志のソフト技術者らは「金子勇氏を支援する会」を設立し、ホームページで支援を呼びかけている。弁護団によると、1879件1507万円もの支援金(31日現在)が集まった。 著作権法に詳しい小倉秀夫弁護士(東京弁護士会)は「(被告が)個々の利用者レベルの具体的な使用を明確に認識していたかが問題。不正使用を助長するかのような掲示板への一連の書き込みとは別次元の話で、それを元にした逮捕・起訴は解釈を広げ過ぎている。これでは150キロで走れる車を製造した会社は、速度違反に問われた運転手のほう助になる。産業界全体の商品開発にも波及しかねない問題を含んでいる」と指摘する。 検察側は「著作権侵害ほう助の意思が開発者にあり、ウィニー自体もほう助するシステムだ」と立証に自信を見せる。弁護団は「(利用者と)意思の連絡がなく、ほう助罪を認定するのは乱暴」と全面的に争う方針だ。 |
【「ウィニー被害裁判」提訴される】 |
2004.6.1日、「ウィニー」で捜査資料流出、19歳会社員被害男性が賠償求め提訴。 ファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」が原因で、北海道警江別署巡査の私物のパソコンから、逮捕された際の捜査関係資料をインターネット上に流出されたとして、江別市内の会社員少年(19)が「著しい精神的打撃を受けた」として6.1日、北海道庁を相手に200万円の損害賠償を求める訴えを札幌地裁に起こした。 訴えによると、少年は3月25日、同市内で道警江別署に道路交通法違反の現行犯で逮捕されたが、その後、同署の男性巡査が作成し、私物パソコンに保存していた8人分の捜査報告書などが、ウィニーを通じてインターネット上に流出。氏名、住所、生年月日、勤務先などが記されており、交通違反の詳細な内容が不特定多数に閲覧され、精神的損害を受けた、としている。 この巡査のパソコンから流出した捜査資料は、現行犯人逮捕手続書や実況見分調書、捜査報告書など5種類6件で、計8人分の個人情報が含まれている。 ウィニーによる捜査資料流出は、京都府警でも発覚しているが、原告の弁護士は「賠償を求める訴訟は全国で初めてではないか」としている。 |
【「ウィニー事件」初公判】 |
2004.9.1日、インターネットを通じて映画や音楽のファイルを交換できるパソコン用ソフト「Winny(ウィニー)」を開発して著作権侵害を助けたとして、著作権法違反(公衆送信権の侵害)の幇助(ほうじょ)罪に問われたいわゆる「ウィニー事件」の金子被告に対する初公判が京都地裁(氷室真裁判長)で始まった。著作権侵害事件でソフトウエアの開発者が刑事責任を問われるのは初めて。 検察側は冒頭陳述で、「被告は現行の著作権法は時代遅れだという疑問を持っていた」と指摘。犯行の動機について「匿名性の高いファイル交換ソフトを作れば、警察に摘発されることがなく、著作物の提供者は新しいビジネスモデルの開発に着手することになると考えた」と述べた。 さらにウィニーの利用実態のほとんどが著作権のある音楽や映像の違法コピーであることを指摘したうえで、被告は著作権法違反を増長させることを意図していたとした。 弁護側は、「実際に著作権侵害をした被告らとは面識もなく、利益も得ていない」などとして、ソフトの開発は罪にあたらないと主張し、インターネットを通じてさまざまなファイルを共有できるウィニーの有用性を強調するなど、起訴の不当性を訴える方針を示した。「起訴状ではウィニーが違法であるとする根拠やウィニーの開発が著作権法違反幇助となる理由が明らかにされていない」などと検察側に釈明を求めた。 |
【「ウィニー効果」と悪用事例】 |
「ウィニー効果」。 摘発後の10日夜もインターネット上には、ウィニーを入手できるホームページが多数あった。データ量の小さなプログラムなので、瞬時に自分のパソコンに取り込める。起動した画面で、テレビドラマのタイトルなどを指定してやると、いろんな人が持っている該当のドラマのファイル名の一覧が表示され、選択すればコピーできる。そのたび検索しなくても、キーワードを指定して自動的にコピーされるようにも設定できるので、留守中や夜間でも欲しいものが手に入る。見逃したドラマ、新しい曲やゲーム、映画などの取得が多いという。 悪用事例。 一方ウィニーでは管理サーバーがなく、ファイル検索は利用者間で直接行うため、曲などの提供者や取得者の匿名性が高まり、違法コピーのソフトの交換やウイルスの流布といった悪用も目立つようになった。 |
(只今精査工事中)
【「ウィニー事件」に対する視点その一】 | ||||||||||||||||||||||||||
「どこまで問えるソフト開発者の責任 ウィニー逮捕の波紋」(2004.5.10日付朝日新聞)、「ウィニー論争さらに過熱 、批判派『プライバシー侵害ソフト』、擁護派『次世代のネットシステム』」、「私の意見・見解 誰のための権力なのか、それが問題だ」(2004.5.21日)その他が参考になる。以下、検証する。
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【「ウィニー事件」に対する視点その二】 |
「共同私通信」の「2004.6.21日付私の意見・見解」の「誰のための権力なのか、それが問題だ」が貴重な分析をしている。それによれば、「ウィニー事件」の背景には、当局に取締りを要請する「著作権エージェント」達の暗躍があるとの見解が披瀝されている。「著作権エージェント」とは、「著作者ではなくその権利で商売している連中」のことであり、いわば「著作財産権を持つ版権者」達のことである。企業名を挙げれば、JASRAC、ニンテンドー、ソニーコンピュータエンタテインメントが該当する。 |
【第一審判決】 |
2006.12.13日、ファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」を開発し、ゲームや映画ソフトの違法コピーを容易にしたとして、著作権法違反ほう助の罪に問われた元東大助手、金子勇被告(36)に対し、京都地裁(氷室真裁判長)は、罰金150万円(求刑懲役1年)の判決を言い渡した。京都地裁判決で有罪となったウィニー開発者の金子勇元東大助手は、閉廷後の記者会見で、 「判決は残念。控訴して技術開発の在り方を世に問う」、「技術者が、あいまいなほう助の可能性に委縮して有用な技術開発を止めてしまう」と用意した文面を淡々と読み上げた。桂充弘弁護団長は、「一体どうすればほう助にならないのか全く明らかでない。今後の技術開発に悪影響を与える。控訴して逆転無罪を勝ち取る」と断言。同席した別の弁護士も「海外では無罪。国際的な潮流に反する判決」と批判した。 |
【第一審判決要旨】 |
判決文は、インターネット上の著作物の著作権に関する法理論を解析しないまま、ファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」開発者に有罪を科した恨みが残る。 また、正犯者らが著作権法違反の本件各実行行為に及ぶ際、ウィニーが、重要かつ不可欠な役割を果たした▽ウィニーネットワークにデータが流出すれば回収なども著しく困難▽ウィニーの利用者が相当多数いること、などからすれば、被告のウィニー公開、提供という行為が、本件の各著作権者が有する公衆送信権に与えた影響の程度も相当大きく、正犯者らの行為によって生じた結果に対する被告の寄与の程度も決して少ないものではない。 もっとも被告はウィニーの公開、提供を行う際に、ネット上における著作物のやりとりに関して、著作権侵害の状態をことさら生じさせることを企図していたわけではない。著作権制度が維持されるためにはネット上における新たなビジネスモデルを構築する必要性、可能性があることを技術者の立場として視野に入れながら、自己のプログラマーとしての新しい技術の開発という目的も持ちつつ、ウィニーの開発、公開を行っていたという側面もある。被告は、本件によって何らかの経済的利益を得ようとしていたものではなく、実際、ウィニーによって直接経済的利益を得たとも認められないこと、何らの前科もないことなど、被告に有利な事情もある。以上、被告にとって有利、不利な事情を総合的に考慮して、罰金刑に処するのが相当だ」と判示した。 |
【第二審判決】 | |
2009.10.8日、、大阪高裁が、インターネットを通じて映像や音楽を交換するソフト「ウィニー」を開発し、著作権法違反幇助(ほうじょ)の罪に問われた元東京大大学院助手、金子勇被告(39)の控訴審で、罰金150万円とした一審・京都地裁判決(06年12月)を破棄し、逆転無罪判決を言い渡した。一審判決は、「著作権侵害を認識していた」として罪の成立を認めたうえで、「その状態をことさら生じさせることは企図していない」として罰金刑を選択していた。懲役1年を求刑した検察側は「刑が軽すぎる」として、被告・弁護側は無罪を主張してそれぞれ控訴していた。
小倉正三裁判長は、「著作権侵害が起こると認識していたことは認められるが、ソフトを提供する際、違法行為を勧めたわけではない」と指摘。技術を提供しただけでは幇助罪は成立しないと判断した。且つ、ウィニーで流通する違法ファイルの割合については、調査によって全体の9割から4割まで幅があり、9割前後とする検察側主張を否定した。 金子元助手は02年5月、自ら開発したウィニーをインターネットで公開。03年9月、松山市の無職少年(当時19)ら2人=著作権法違反の罪で有罪確定=がウィニーでゲームソフトや映画をダウンロードし、不特定多数へ送信できるようにした行為を手助けしたとして起訴された。 高裁判決はまず、ウィニーの技術自体への評価を検討。「技術、機能を見ると、著作権侵害に特化したものではなく、多様な情報の交換を通信の秘密を保持しつつ効率的に可能にする有用性があるとともに、著作権の侵害にも用い得るという価値中立のソフトであると認めるのが相当」と述べ、検察側の「およそ著作物ファイルの送受信以外の用途はない」との主張を退けた。 また判決は、金子元助手はウィニーが著作権侵害に使われることを容認していたと認定したが、それだけでは著作権法違反の幇助罪は成立せず、外部への提供行為自体がほう助行為として違法性を有するかは、1・その技術の社会における現実の利用状況や、2・それに対する認識、3・さらに提供する際の主観的態様によるとのほう助犯成立の基準を示した。即ち「おもに違法行為に使うことをネット上で勧めた場合に成立する」との新たな基準を明示したうえで、元助手は違法ファイルを流通させた少年ら2人と面識はなく、違法ファイルのやりとりをしないようネット上で呼びかけていたことを挙げ、刑事責任は問えないと結論づけた。
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【ウィニーの画期的意義考】 | |
「★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK72」のtaked4700氏の2009.10.9日付け投稿「「ウィニー」開発者に逆転無罪の意味、検察はどうするのか?」.は次のようにコメントしている。
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【金子勇逝去&追悼考】 |
【金子勇の継承者達考】 | |||||
2018.11.11日、「日本が失った天才、金子勇の光と影」。
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「日本が失った天才、金子勇の光と影」の「コメント」。
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(私論.私見)