植草ブログ閉鎖事件考

 (最新見直し2008.11.1日)

 (れんだいこのショートメッセージ)
 ここで、「毎日新聞抗議に端を発するニフティーによる植草ブログ「『知られざる真実』閉鎖事件」が発生した。仮にこれを「毎日新聞社による植草ブログ閉鎖事件」(以下、単に「植草ブログ閉鎖事件」)と命名する。以下、これを検証する。

 2008.11.1日 れんだいこ拝


【事件の概要と経緯】
 植草一秀氏は、ブログ「知られざる真実」に2008.10.23日付けで「『逃げ回る』醜態を晒す麻生首相」と題する一文を発信した。このブログには、「麻生首相の連夜の会合について、北海道新聞記者とのやり取りを毎日新聞が伝えているので、転載する」と記述したうえで、毎日新聞社の10.23日付け朝刊配信記事「麻生首相:あす就任1カ月 連夜の『会合』批判にキレる ◇有名ホテル、高級飲食店・・・密談説も」と題する記事を転載していた。

 これに対し、毎日新聞社は、ニフティーに対して次のような文面の抗議をした。
 「毎日新聞の記事が全文転載されている。当該記事の全文掲載であるうえ、前後の脈絡から掲載する必然性もなく、著作権法上認められた引用にあたらない」。

 抗議を受けたニフティーのココログ氏が、毎日新聞社より抗議が為されている旨を植草氏に対してメールで伝えた。「ご連絡が弊社宛にございました」と云う通知であり、どう対処すべきかについてまでは言及していない模様である。
これに対して、植草氏は、「メールの確認が遅れ、一時的にブログへのアクセスができない状況になりました」と述べている。仮にメール確認した場合には、どうしようとしていたのかまでは言及していない。

 「航海日誌と批判」氏は、2008.11.1日付けブログ「植草一秀先生ブログ(ココログ)一時閉鎖事件」で次のように補足している。

 「ニフティは、植草さんにメールで閉鎖予告をしたようだ。(私もされたことがあるが、何日までにその記事ないし写真を削除または修正・訂正しなければ、「ブログを見えないような措置をします」というものだろう)。そして私ももうすこしでそうなるところだったが、植草さんもそのメールに気づかず、期限が来てしまいニフティにより一方的な閉鎖処置を受けたということのようである」。


 かくて、植草ブログ「知られざる真実」が閉鎖され、その後の手直しを経て再開された模様である。何日間閉鎖されたのかまでは分からない。2008.11.1日現在は復旧している。以上が、「植草ブログ閉鎖事件」の概要と経緯である。

【植草ブログの該当原文】
 植草一秀氏の2008.10.23日付けブログ「『逃げ回る』醜態を晒す麻生首相」の原文は分からないが、現在次のように手直しされている。これを確認しておく。
 「逃げ回る」醜態を晒す麻生首相

10月13日付記事「デリバティブ金融危機の津波は残存する」に記述したように、世界の株式市場の波乱は残存している。各国政府が公的資金投入の方針を示し、株価は一時反発した。麻生首相は、日本が資本注入を提唱し、各国が方針を決定したと述べ、日本が金融危機打開へのイニシアティブをとったかのような発言を国会答弁で示した。しかし、現実の金融危機対応での日本の存在感はほとんどない。

11月15日にワシントンで開催されることが決まった「金融危機サミット」も、フランスのサルコジ大統領が提唱し米欧の間で協議されて決まったものだ。サミット議長国は日本で、麻生首相は成田での短時間のサミット開催構想を提示したが、主要国から完全に無視された。サミット議長国である日本に打診もなく、ワシントンでサミットが開催されることになった現実は、麻生首相が外交上の存在感をまったく認識されていないことを象徴している。

日本の1990年代から2003年にかけての金融危機処理は、最悪の金融処理の実例でしかない。住専問題が表面化したのは、1992年である。問題処理における「隠ぺい、先送り、場当たり」の三原則が、日本の金融問題処理の特徴だった。

1996年には住専処理に6750億円の公的資金が投入された。1997年に北海道拓殖銀行等の破綻が生じ、1998年に公的資金による資本増強が実施されたが、本格対応には程遠いものだった。その後、長銀破綻、日債銀破綻が生じ、巨額の公的資金投入が実施された。

事態はいったん改善に向かったが、2001年発足の小泉政権が日本経済破壊政策を実施し、株価暴落と金融危機をもたらした。最悪だったのは、小泉政権が「大手銀行の破綻も辞さない」と公言しておきながら、最終局面で大手銀行を税金で救済したことだ。

竹中平蔵氏は10月19日のテレビ朝日番組で、りそな銀行処理に際して、「経営者を入れ替えた」と発言し、責任追及を実施したかのような説明をしたが、まったくの詭弁である。金融機関が破綻する場合、問われるべき第一の責任は「株主責任」である。竹中金融相は株主責任を問うどころか、2兆円の公的資金投入で株主に利益を供与したのだ。

りそな銀行経営陣は、小泉政権の経済政策を堂々と批判する気骨ある優良経営者であった。りそな銀行は監査法人、会計士協会と連携した政策当局に陥れられた疑いが濃厚なのだ。詳細は拙著『知られざる真実-勾留地にて-』に記述したので、是非ご一読賜りたい。竹中金融相はりそな銀行幹部が小泉政権批判を公言していたから、りそな銀行を標的にした可能性が高いのだ。

りそな銀行幹部が追放され、小泉政権近親者がりそな銀行幹部に送り込まれた。その後、りそな銀行が自民党への融資を激増させ、その事実を報道した朝日新聞記者が東京湾で遺体となって発見されたことが伝えられている。朝日新聞は記者の死亡と記事とは関係ないと説明しているが、真相は明らかにされていない。

2003年の金融処理は、日本の金融行政史上最大の汚点と言って間違いない。金融危機が表面化して、責任ある当事者である金融機関を税金で救済すれば、悪い実例が歴史に刻まれることになる。銀行のハイリスク経営、放漫経営は抑制されるどころか、助長されてしまう。これを「モラル・ハザード」という。

世界的な金融危機の拡大に対応して、各国政府が金融機関への公的資金投入策を提示しているが、重大な「モラル・ハザード」を引き起こす可能性を十分に考えなければならない。金融と政治権力とは癒着しやすい傾向を有している。金融資本が政治権力の裏側に存在していることも多い。
 10月22日、米国大手銀行ワコビアの2008年7-9月期決算が発表された。最終損益は237億ドル(約2兆4000億円)の赤字になった。サブプライム金融危機の余波が依然として、激烈であることを示している。NYダウは前日比514ドル安の8519ドルに急落した。10月10日の8451ドルに接近した。

日経平均株価も10月10日に8276円まで急落したのち、10月15日には9547円まで反発したが、10月23日午前には、一時8016円まで下落している。株価の底値はまだ確認されていない。

米国の不動産価格下落がまだ4合目程度しか通過していないと見られる。米国の金融危機の原点は不動産価格下落にあり、不動産価格下落がデリバティブ金融商品の拡散によって、巨大損失を発生させている。金融危機の全貌はまだ明らかになっていない。



 欧米市場での金融問題拡大を背景に、為替市場では欧米通貨が急落している。また、原油を中心とする商品市況も急落している。日本は、相対的に金融危機の程度が軽微であり、日本円が主要通貨および商品に対して値上がりしている。

円ドルレートは10月23日の東京市場で、1ドル=97円台に上昇している。円は、米ドルだけでなく、ユーロ、ポンド、加ドル、豪ドルなどに対しても急反発している。

1ユーロ=170円(本年7月)が

1ユーロ=124円に、

1ポンド=215円(本年7月)が

1ポンド=157円に、

1加ドル=107円(本年月)が

1加ドル=77円に、

1豪ドル=104円(本年7月)が

1豪ドル=63円に、

急変している。


 日本円は、米ドルに連動して、2000年から2008年にかけて暴落してきた。行き過ぎた金融緩和政策が円暴落の原因だった。米国が超金融緩和政策を実施し、ドル暴落の危機に直面したが、日本政府は50兆円以上の円売り、ドル買い介入を実施して、米ドルの暴落回避に協力した。日本が米国のドル暴落路線に道連れにされたと表現することもできる。


 日本政府は1兆ドル(約100兆円)の外貨準備を野晒(のざら)しにしている。円ドルレートが1円円高になるごとに、1兆円の評価損が発生する。野党は国会で、為替レート変動に伴う外貨準備の損失と、外貨準備を放置した責任について、政府を徹底的に追及しなければならない。


 現存する外貨準備については、早急に残高を圧縮する必要がある。景気対策も社会保障関係支出も、国会で財源を論議している間に、日本の損失が激しく拡大してしまうからだ。


 政府は臨時国会に、地域金融機関に対して公的資金による資本注入を可能にする金融機能強化法改正案を提出する。強化法改正案が農林中金まで対象としており、「信用収縮対策」と「金融機関支援」の二つの関係が問題になる。


 国民の税金を投入するのは、「金融システム」という「社会の公器」を守ることに限定しなければならない。「金融」と「政治権力」は癒着しやすい。現実に癒着している。「金融システムを守る」の言葉を隠れ蓑にして、「金融機関への補助金」が投入され、政治と金融機関の癒着が強められてきた過去が存在する。野党は「責任処理を伴わない公的資金投入」を認めるべきでない。


 麻生首相は、『文藝春秋2008年11月号』の表題に「小沢代表よ、正々堂々と勝負しよう。私は絶対に逃げない」と明記しておきながら、逃げの一手に転じている。一国の首相が、活字にして全国民に明らかにした決意を実行しないのでは、世間の笑いもの以下になる。


 野党は、首相が求めた補正予算成立、テロ特措法議決、に全面協力した。総選挙への買収工作である「追加景気対策」を発表することも容認している。これだけの条件がそろえば、解散総選挙を回避する理由はなくなる。


 金融危機は発生しているが、金融危機は今後、数年間は持続する可能性が高い。米国でも大統領選挙は予定通り実施される。時代は大きな転換点にさしかかっている。国民の審判を仰ぎ、本格政権を樹立して、新しい時代に対応するべきである。


 市場原理主義を基軸に据え、大資本・官僚・外国資本の利益拡大を目指す政府と、セーフティーネットを強化し、すべての国民が健康で豊かな生活を実現できる社会の構築を目指す政府の、どちらを国民が望むのか。国民が政権を選択するのが総選挙の意味である。

 国民の審判を仰ぐことは正しい判断である。民主党の石井一代議士が予算委員会で「明確に書いたなら実行しろ、実行しないなら撤回しろ」と麻生首相に問い質したのは当然だ。これ以上「逃げる」醜態を晒すべきでない。


 
(追記)

本記事、本文後段に、(追記)「麻生首相の連夜の会合について、北海道新聞記者とのやり取りを毎日新聞が伝えているので、転載する。」と記述したうえで、毎日新聞社10月23日付朝刊配信記事「麻生首相:あす就任1カ月 連夜の「会合」批判にキレる◇有名ホテル、高級飲食店・・・密談説も」と題する記事を転載して、挿入しておりました。本ブログ記事が首相の行動について記述したものであったため、読者の皆様の参考になると考えて転載させていただきましたが、記事部分を削除させていただきました。

 当初は、転載記事を挿入したのちに、文章を書き加える予定でしたが、ブログ編集サイトでリッチテキストモードに転換することができなくなり、加筆を断念した経緯がありました。そのため、引用部分についての説明が不十分になってしまいました。

 当該毎日新聞記事は、現在は削除されている模様です。なお、産経ニュースが【麻生首相ぶらさがり詳報】「ホテルのバーは安全で安い」(22日昼)と題する記事をネットに掲載され、ぶらさがり会見部分については、ほぼ同様の内容を記載していているので、リンクを張らせていただきます。ネット記事が削除される可能性がありますので、キャッシュを保存されることをお薦めいたします。


【植草氏の「ブログ復旧のお知らせ」】
 2008.10.31日、植草氏は「ブログ復旧のお知らせ」と題して、次のように事件の顛末を伝えている。
 ブログ復旧のお知らせ

当ブログへのアクセスができない状況になりまして大変ご心配をおかけいたしました。過去掲載記事における記事転載に関連することがらについて、ココログ様より連絡をいただいていたメールの確認が遅れ、一時的にブログへのアクセスができない状況になりました。


 連絡のあった記事は、10月23日付記事「「逃げ回る」醜態を晒す麻生首相」で、同記事に、「麻生首相:あす就任1カ月 連夜の「会合」批判にキレる」と題する、麻生首相のぶらさがり会見のやり取りと麻生首相の動静を伝える毎日新聞記事を、「毎日新聞記事を転載する」との記述をつけて転載いたしました。


この記事について、ココログ様より以下の連絡をいただきました。
 

 「毎日新聞社より「毎日新聞の記事が全文転載されている。当該記事の全文掲載であるうえ、前後の脈絡から掲載する必然性もなく、著作権法上認められた引用にあたらない。」とのご連絡が弊社宛にございました。」


この連絡をいただいたメールの確認が遅れまして、ブログへのアクセスが遮断される措置が取られました。当方では、記事転載の記述を付けて記事を転載したものでありましたが、「引用」の範囲を超えた「全文掲載」でありましたので、当該記事をいったん非掲載とさせていただきます。後ほど、転載部分を消去した文章を掲載させていただきます。毎日新聞社にご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします。ブログご購読の皆様には、なにとぞ、ご理解くださいますようお願い申し上げます。

ブログ閲覧の皆様に大変ご心配をおかけしましたことに対しまして、心よりお詫び申し上げます。

微力ではありますが、今後とも少しでも役立つ情報の発信に努めてまいりますので、なにとぞご支援賜りますよう謹んでお願い申し上げます。

(追記)毎日新聞社サイトの著作権に関する記述に従い、発表文を修文させていただきました。

(追記2)転載部分を削除した10月23日付記事「「逃げ回る」醜態を晒す麻生首相」をアップいたしましたので、ご高覧賜りますようご案内申し上げます。


【「新海賊時報」氏のコメント】
 「新海賊時報」の2008.10.31日付け「ニフティ=ココログによる植草一秀氏ブログ「知られざる真実」一時閉鎖について」を転載する。これにより事件の概要が判明する。

 メールを一本送りつけて(ブログ屋から来るメールなどいちいちチェックしないことが多いものだが)、「期限」を設定し、いついつまでに改善しなければ「ブログを外部から閲覧できない状態にします」、と通告する。そして、その期限までに何もしないと突然ブログが見られなくなる(=ブログ主が言うことを聞かないあいだニフティによって閉鎖される)、という、いつものニフティのやり方である。

 植草氏のブログにクレームをつけたのは毎日新聞。同じことをやっていてもクレームがつくかどうかでブログがつぶされたりつぶされなかったりする。

 このクレーム内容を見ると、この基準では、私のこのスクラップブックのようなブログなど一瞬にして吹き飛んでしまうことになる。このブログのようにネットで拾った面白いニュースをちょっと貼ってみたというブログはほとんど成り立たない。
  

連絡のあった記事は、10月23日付記事「「逃げ回る」醜態を晒す麻生首相」で、同記事に、「麻生首相:あす就任1カ月 連夜の「会合」批判にキレる」と題する、麻生首相のぶらさがり会見のやり取りと麻生首相の動静を伝える毎日新聞記事を、「毎日新聞記事を転載する」との記述をつけて転載いたしました。

この記事について、ココログ様より以下の連絡をいただきました。

「毎日新聞社より「毎日新聞の記事が全文転載されている。当該記事の全文掲載であるうえ、前後の脈絡から掲載する必然性もなく、著作権法上認められた引用にあたらない。」とのご連絡が弊社宛にございました。」

 この連絡をいただいたメールの確認が遅れまして、ブログへのアクセスが遮断される措置が取られました。当方では、記事転載の記述を付けて記事を転載したものであり、適正な記事掲載であると考えますが、とりあえず、ブログを再開するために当該記事をいったん非掲載とさせていただきます。なにとぞ、ご理解くださいますようお願い申し上げます。

http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/
post-2389.html

 こんなことを言われてしまうなら、私のこのスクラップブックのようなブログは「存在自体」に「必然性がなく」、直ちに閉鎖すべきもの、ということになってしまう。こんなブログ(新海賊時報)が存続しているのは、ひとえに、著作権者様方の「お目こぼし」のみによるものであるということだ。
  
 おそらくニフティは、著作権者、知的所有権者、肖像権者等と主張する者であっても、誰がクレームをつけても同じようにすぐに動いて同じ処置をしてくれるというわけではないのだろう。ニフティを動かしてブログ閉鎖にいたらしめることができるかどうかは、当然、クレームをつける人の社会的地位によるだろう。

 クレーム主がマスコミや政治家や大企業の場合はもちろん、外人(欧米人)だったり人権団体関係者などからの「ご連絡」であれば、ニフティはただちに動いてメール一本でお客さんのブログを閉鎖するということであるに違いない。

 逆に、人気ブログの風景写真の片隅に偶然写ってしまった名もなく力もない民間人が、肖像権の侵害だからそのブログを閉鎖してくれと訴えてもニフティは同じように動いてくれるだろうか。その「市民」になにか特殊な背景でもあるのでなければ、おそらくハナから相手にしないだろう。

 一方、マスコミなど力のある人たちを怒らせたり困らせたりする記述があって、そのブログの閲覧者が多かったりすると、コピペ一つでもブログは潰されるということになる。そして、それは「本来は違法なのだ」、といわれてしまうのだろう。

 しかし、ニフティの相変わらずのこの一方的なやり方は、双方の(法的)主張が対立すべき場合に、著作権者側の主張を正しいものと推定し、ニフティのお客さんであるココログ利用者側の違法性を推定した上で、そのような推定に基づいて一方的にココログ利用者を処断するというものである。

 少なくともそういう推定に基づいて「仮処分」をしているのだ。

 こういうニフティ〔に限らないかもしれないが、私はニフティにしかやられたことがない〕のやり方にはどうしても疑問がある。

 私がやられたというのはこのブログである(ブログの左欄をご覧ください)。
 http://iscariot.cocolog-nifty.com/kuantan/

 ニフティはむしろ、たとえばココログ会員の表現に関するすべてのクレームはまず公表し、一定期間公の議論にゆだねる、正当な理由なく公表を認めないクレームについては対応しない、という立場で自分のお客さんの立場を守るべきではないのか。

 今度の場合でいえば、植草さんのココログをメール一本で「仮処分」するのでなく、ニフティのポータルサイトに事務連絡場所を作って、どのブログに関して誰々様から次のようなクレームが来ています、という広告をすべきだと思う。

 そうすれば「仮処分」によって表現が規制されてしまう前に、それがどういう表現だったのか、クレーム主はどういう主張をしているのか、両者の主張についてブログ読者や第三者が客観的に見て議論することができる。 
  
 次のようなケースもある。

 私の別のブログの記事だが、これもほとんど「ニュース記事を全部貼っただけ」のようなものであろう。ニュースの紹介がこの記事の主眼である。

 
http://iscariot.cocolog-nifty.com/kuantan/2007/08/post_8260.html

 しかしこの記事は、@niftyスタッフから次のような懸賞のコメントをもらっている。

@niftyトップページ「旬の話題ブログ」コーナーにて、本ページの記事を紹介させて頂きました。紹介記事については、「旬の話題ブログ」バックナンバーで半年間、ご覧いただけます。
今後も旬な話題の記事を楽しみにしておりますので、引き続き@niftyをご愛顧の程、よろしくお願い致します。ありがとうございました。

        @nifty「旬の話題ブログ」スタッフ

投稿 「旬の話題ブログ」スタッフ | 2007年8月21日 (火) 09時56分

 この記事も、もしも著作権者の「産経新聞」様からクレームが出たら即アウトで、ブログ全体が閉められてしまうのだろうか。


【「航海日誌と批判」氏のコメント】
 阿修羅♪ > マスコミ・電通批評8 」のクマのプーさん氏の2008.10.31日付け投稿「植草一秀先生ブログ(ココログ)一時閉鎖事件(航海日誌と批判)」を転載する。原文は、「航海日誌と批判」の2008.11.1日付けブログ「植草一秀先生ブログ(ココログ)一時閉鎖事件」。
 http://iscariot.cocolog-nifty.com/journal/2008/10/post-2967.html

 2008年10月31日 (金) 植草一秀先生ブログ(ココログ)一時閉鎖事件

 植草さんのブログがニフティによって一方的に一時閉鎖された。理由は、毎日新聞からの「著作権上の」クレーム。要するに記事をコピペしたのが著作権を害するというクレームがニフティにあったからだという。

 ニフティは、植草さんにメールで閉鎖予告をしたようだ。(私もされたことがあるが、何日までにその記事ないし写真を削除または修正・訂正しなければ、「ブログを見えないような措置をします」というものだろう)。

 そして私ももうすこしでそうなるところだったが、植草さんもそのメールに気づかず、期限が来てしまいニフティにより一方的な閉鎖処置を受けたということのようである。

 つまり、この場合もクレーム主である毎日新聞は、植草さんに直接要求するのでなく、問題点について議論もしようとしないで、ただブログ提供会社であるニフティに圧力をかけることによって植草さんの言論を任意に制限しようとしたわけである。

 植草先生は著名な経済学者だが、冤罪さらには国策捜査の疑いが強いといわれる容疑により現在マスメディアを追われている身であり、ブログは先生の貴重な発信手段であり、生命線ともいえるものである。

 そのブログに対して毎日新聞は、正々堂々と議論しようともせず、プロバイダーのニフティにクレームすることだけで、ブログ閉鎖につながりかねない圧力をかけたのである。

 新聞記事のコピペ一つでブログを潰せるなら、大新聞社はブログなどいくらでも潰せるだろう。ほとんどの政治系ブログを潰せるのではないか。

 大きなブログ(長く継続しているブログ)で新聞記事の引用の多いブログの場合、要求された新聞記事を削除するだけでも個人には大変な作業である。

 たとえば、朝日新聞などの記事を批判することが中心になっているような個人のブログの場合、著作権を持ち出されて記事のコピペをすべて削除せよといわれたら、事実上少なくとも一時閉鎖するしか仕方がなくなるだろう。

 新聞社が気に入らないかもしれないようなブログは、安心して新聞記事のコピペもしていられないということだ。  

 私もかつてニフティの要求にしたがって、人物写真を削除する作業のために、自主的に一時ブログ閉鎖をしたことがある。
 http://iscariot.cocolog-nifty.com/kuantan/(左欄をご覧ください)

 このときもクレーム主は、私にはコメントでもメールでも一切何も要求して来ないまま、ニフティに直接圧力をかけてブログ潰しを試みたようである。

 そしてニフティは、クレーム主のプライバシーは非常に尊重して、それがどういう人物であるかさえ私には教えず、規約を盾に閉鎖の恫喝をもって一方的に私のブログ記事の人物写真を削除させたのである。(その人物写真の人物とクレーム主とは関係はなかった。クレーム主がクレームをつけていたのはニフティによれば「文章」つまりは思想内容だったのである。ところが、ニフティが規約を盾に私に削除を迫ったのは「写真」だった。ニフティは文章を削除させる理由を見つけることができなかったために、誰からもクレームのついていない人物写真の肖像権〔ニフティによれば「パブリシティ権」だという〕を持ち出した。そしてニフティは同時に、すべての「ココログ掲載の明示の同意」のない人物写真の削除を要求してきた。そのため私は大量の写真を削除せざるを得ず、ブログを一時閉鎖せざるを得なかった)。

 こちらもご覧ください。

 http://iscariot.cocolog-nifty.com/times/2008/10/post-4397.html


著作権について 松本哲 2008/11/01
 れんだいこ党首にお聞きします。つい先日植草氏のブログがアクセスできなくなり、その理由が毎日新聞の記事を全文転載したことのようで、ほかの方も言っていますがこのような事態は恐ろしい憂慮すべき事態に向かっているように感じます。ご意見を聞かせてください。

Re:著作権について れんだいこ 2008/11/01
 松本哲さんちわぁ。久しぶりですね。共生たすけあい党を何とかして踊りださせたいですね。「植草氏のブログがアクセスできなくなり、その理由が毎日新聞の記事を全文転載したことのようで」とのこと、まさに憂慮すべき事態に向かっていますね。著作権問題については、れんだいこは一家言も二家言も盛ってります。新たに分かり易いように然るべき見解を出そうと思います。

 要するに、文章の引用・転載、音楽の歌唱・演奏は同じ事で、著作権法上は所定のルールとマナー的方式さえ守れば「できる」と解するべきところ、現代強権著作権論者は勝手に「できない」解釈し、「要事前通知、要事前承諾制」を持ち込んでおります。場合によっては「承諾の代わりの対価制」を敷いております。これを、著作権法を変えずに手前達が都合のよいように作った業界内規を通用させ、裁判所がこれに追随しているところに悶着の原因があります。ジャスラックの場合には、著作権法違反の酷い悪法を国会通過させ承認させたことにより、これを鬼に金棒として振り回し裁判攻勢で締め上げております。その実態は無茶苦茶です。

 我々が対抗すべきは、現場での抵抗のみならず、著作権法違反ではないかと法律論争でも立ち向かうべきではないかと考えます。当然、政党が国会質疑して問題化させねばなりません。ところが、これをやる代議士が居りませんね。もっと取り締まれ派の議員ばかりです。

 理屈上は、憲法9条と自衛隊の関係に酷似しております。残念な事は、野党は概ね憲法9条問題では護憲するのに、著作権問題では著作権法破りの急進派になっていることです。共産党、公明党はバリバリの強権著作権論派で、ホームページ上でも「勝手に引用転載相成らぬ」と読み取れるような姿勢を他の政党に増して明記しております。実は似たもの同志なんですね。

 こういう訳で、著作権問題は由々しき事態にあります。れんだいこ的には、自称正義派のニセモノと本物を仕分けするリトマス試験紙になっていると考えております。松本哲さん、我らがたすけあい共生党は人民大衆の文化享受、知的欲求充足に対する全幅の権利擁護目指して闘いませう。こんなところで闘わなければならぬお粗末さが現下の日本の政治情況です。自称インテリ派の強権著作権網をペンチで断ち切らねばなりません。

 「植草氏のブログがアクセスできなくなり、その理由が毎日新聞の記事を全文転載したことのようで」の内容が判りませんが、様子が明らかになれば、れんだいこが毎日糾弾論をぶち上げたいと思いますので、どなたか情報提供ください。毎日新聞は先日英文サイト「毎日ディリーニューズ」のコラム「WaiWai」の閉鎖事件を起したばかりですが相当狂ってますね。いらわれている気がします。

 2008.11.1日 れんだいこ拝

Re::れんだいこのカンテラ時評484 れんだいこ 2008/11/01
 【れんだいこの植草ブログ閉鎖事件考】

 松本哲さんの「ご意見を聞かせてください」にお答えいたします。この場合は著作権問題になりましたが、何でも良いです。トピックスな話題についての判断に関わること、その他分からないことについてお尋ねください。れんだいこが分かる範囲でお答えしようと思います。未考察の場合にはそういう風に返答いたします。れんだいこの生をそうい形で燃焼させて見たいのです。参考意見になるぐらいのできにはしたいと思います。実は、そういう掲示板にしたいんだ。皆さん、よろしくお願いますね。

 れんだいこの「植草ブログ閉鎖事件」見解は、植草氏無罪です。でも、当人が「メールを見損なった」とか言い訳しておりヨタヨタしているみたいですね。誰か、このれんだいこ見解を届けてあげてください。

 植草氏は無罪である。なぜなら、推測するのに植草ブログの原文は、1・自身の主たる文章に対する従たる引用転載にして、2・出所、出典を明らかにし、3・何らの改竄、歪曲加工もしていないからである。著作権法上許容されている時事評論の引用転載要件を全て満たしており、これが著作権法違反とされるには及ばない。これを正式の受け止め方とすべきです。

 しかしながら、毎日新聞社は、次のような妙な抗議をしている。その1は、「毎日新聞の記事が全文転載されている」と云う。毎日よ、ちょっと待て。同じ利用されるのなら、全文転載は却って望ましいのではないのか。部分引用転載の場合こそ、よほど上手にしなければ趣意違反になる恐れがある。れんだいこは、そういう引用転載を見てきた。そもそも 著作権法では、引用転載につき「主たる自身の文章、従たる引用」という規定はあっても、「される側の文章の全文引用転載不可、部分引用可」というような規定はない。つまり、毎日新聞社側は、法に拠らず恣意的解釈による批判をしていることになろう。

 その2は、「前後の脈絡から掲載する必然性もなく、著作権法上認められた引用にあたらない」としている。毎日よ、ちょっと待て。「前後の脈絡から掲載する必然性」判断は主観的なものであり、毎日新聞社から見ればそうであっても、する側から見れば必然性があるかも知れない。実践的には、必然性はなくても参考、補強として引用転載する場合もある。そもそも著作権法では、「引用転載必然性あれば可、参考補強的引用転載不可」というような規定はない。つまり、この場合も法に拠らず恣意的解釈による批判をしていることになる。

 こうなると、毎日新聞社の批判の源泉を訪ねねばならない。れんだいこ調査によると、毎日みならず新聞各社、のみならずマスコミ各社が著作権狂いしている。その原点は、「1997.11月付け日本新聞協会編集委員会のネットワーク上の著作権に関する協会見解」である。ナベツネ派のマスコミ支配と共に導入されたものであり、それだけで胡散臭さが分かろう。

 彼らが何故に著作権法違反までして「引用転載制限」に興じているかを問題とせねばなるまい。この流れは1980年代に入って強められたもので、それから30年になるが決して長い間認められていると云うほどのものではなく、歴史に定着したものではない。否、戦後日本政治がハト派からタカ派へ転換した1980年代初頭の中曽根政治の登場と共に強められている政治現象でしかない。そう弁える必要がある。

 ジャスラックの場合は、対価制による収入源として強権的著作権を弄んでいるのだが、メディア各社の場合には必ずしもそうではなく偏に情報規制の観点から導入しているように思われる。そもそも強権著作権論の登場は、ヒトラーの在りし日の人格識見についてやや好意的に言及していた文章に対する弾圧から始まった。そういう極めて政治性の強い規制であることが知られねばならない。

 れんだいこに云わせれば、言論は自由であるべきなのではないのか。仮にヒトラーは望ましくないとしても、ヒトラー関連記事そのものまで規制すべきであるのかは疑問とすべきだろう。でないと、我々の知の欲求が扁平なものにされてしまうではないか。政治も、歴史も、文化も、学問となれば異論、異端がつきものであるべきであり、通説しか学ばせないとするのはオカシイのではないのか。善意面で規制論を説く者は思い上がりも甚だしいと云うべきではなかろうか。

 これを思えば、我々は、「情報規制」に対する反対、粉砕、打倒を掲げて闘わねばなるまい。何やら安保問題と通底していることが分かろう。ややこしいのは、安保反対、粉砕、打倒を掲げる政党が著作権問題では強権派に位置して推進派になっていることであろう。

 しかし、これでさえ、れんだいこにはいとも容易く解ける。安保反対、粉砕、打倒派にして著作権強権派なる存在は有り得てならず、それが存在すると云うことはニセモノだということに他ならない。そういう意味で、著作権問題はまさに左派識別のリトマス試験紙的地位を占めていることになる。日本左派運動が長らく、このニセモノによって主導されていることが日本左派運動の貧困をもたらしているのであり、一刻も早く人民大衆の利益に立脚する左派運動へ転換させねばなるまい。そういうことになる。

 最後に補足しておく。著作権法は税法並みの膨大且つ難解な法規にされている。そういう意味で、じっくりと目を通すこともなく安逸に時代迎合している強権著作権派が多い。実際の著作権法は、旧法は憲法との絡みを留意しており、新法はかなり強権著作権派の主張を取り入れているが、全体的には旧法の精神を受け継いでいる。

 故に、近時の強権著作権派が説くような「要事前通知、要事前承諾、要対価制」など記していない。新法になって規制しているような規定も挿入されたが、依然として骨格は「引用転載できる」立場から諸規定している。その条項が圧倒的に多い。いずれにせよ、論議の対象となるべきである。この時点で、「解決済み」などと云うおめでたい輩が登場して著作権棒振り回すのはよほどの事大主義者と云うほかなかろう。このことを知っておく必要が有ろう。

 参考までに、れんだいこの労作を示しておく。

 著作権考
 (ttp://www.marino.ne.jp/~rendaico/tyosakukenco/)

 植草ブログ閉鎖事件考
 (ttp://www.marino.ne.jp/~rendaico/tyosakukenco/webtyosakukenco/uegusabrogheisazikenco.htm)

 「ヒトラー古記事問題」で見えてくる著作権の本質
 (ttp://www.marino.ne.jp/~rendaico/tyosakukenco/tyosakukennohonshituco.htm)

 著作権法考
 (ttp://www.marino.ne.jp/~rendaico/tyosakukenco/lawco/lawco.htm)
 
 「日本新聞協会編集委のネットワーク上の著作権に関する協会見解」考
 (ttp://www.marino.ne.jp/~rendaico/tyosakukenco/kigyotyosakukenco/shibunkyokainokenkaico.htm) 

 2008.11.1日 れんだいこ拝

【植草氏のその後の説明】
 植草氏は、ブログ「知られざる真実」の 2008.11.2日付け「金融機能強化法改正での不正を許すな」の冒頭で、サイト閉鎖経緯につき次のように知らせている。これを転載しておく。
 ブログへのアクセス禁止措置に際しましては、多くの皆様にご心配をおかけしまして、誠に申し訳なく存じます。ココログ様からのメール確認が遅れたことが、ブログ一時閉鎖の原因になりましたが、若干の補足説明をさせていただきます。

10月28日付のココログ様からのメールには、以下の記述がありました。

 「毎日新聞社より著作権に関するご連絡をいただいた内容について、権利者の許諾を得ていない場合は速やかに該当箇所を削除いただくよう弊社より連絡させていただきましたが、あらためて確認いたしましたところ、現在も状況に変化が見受けられませんでした。

つきましては、10月30日(木)正午までに、下記の項目についてご対応いただきますようお願いいたします。期限までに対応を行っていただけない場合には、弊社会員規約に基づき、やむを得ず弊社側で該当記事を削除させていただきますので、ご承知おきください」。


ところが、その後、期限日時経過とともに、突然、ブログへのアクセス禁止措置が取られ、事後的にブログを閲覧できない状況にしたとの通知がありました。

ココログ様の事前通知通りに、該当記事が削除されたのであれば大きな混乱は生じなかったはずですが、事前予告なく突然、ブログへのアクセス禁止措置が取られたために、皆様に大変なご心配をおかけしてしまうことになってしまいました。当日午後は、朝日放送で民事訴訟和解に基づく「お詫び放送」が実施されましたので、ブログへのアクセス数が急増することが予想されておりましたが、そのタイミングに合わせてブログへのアクセス禁止措置が取られたことについては遺憾に感じております。

(私論.私見)

 これによると、ニフティーのココログは、毎日新聞社の抗議により植草ブログ「知られざる真実」の該当箇所削除を要請し、植草氏の「状況に変化が見られない」との理由で10.30日過ぎアクセス禁止措置を取ったことになる。所要日数は、10.23日の事件発生後1週間だったことになる。

 問題は、ニフティーが一方の言い分だけを聞いて勝手に処理することができる、許されるのかと云うことにあろう。植草氏がたまたま繁忙で目を通し損ねたということになっているが、1・メールを受信して、2・毎日新聞社の抗議に対して「れんだいこ的著作権論の立場から拒否」した場合にはどうなるのか、という問題が残されている。

 著作権法上は「第六章 紛争処理」の105条から111条にわたって第三者的調停の公的機関の設置要領が規定されているが、無視されていることになろう。著作権問題に関しては、こうして「上からのテロ」が公然と横行していることになる。見過ごして良いことだろうか。

 2008.11.2日 れんだいこ拝



 



(私論.私見)