毎日新聞英文サイトのコラム閉鎖事件考 |
(最新見直し2008.9.27日)
(れんだいこのショートメッセージ) |
毎日新聞の英文サイト「毎日ディリーニューズ」のコラム「WaiWai」の閉鎖事件が発生した。これを検証しておく。 2008.9.27日 れんだいこ拝 |
Re::れんだいこのカンテラ時評471 | れんだいこ | 2008/09/28 13:00 |
【「毎日ワイワイ事件」を廻る毎日新聞社対応のお粗末さ考】 2008.6月頃、毎日新聞の英文サイト「毎日ディリーニューズ」のコラム「WaiWai」記事を廻る騒動が発生した。今も余震が続いている。これを仮に「毎日ワイワイ事件」と命名する。れんだいこが、どういう内容のものなのかを検証し、コメントしておくことにする。 騒動の発端元となった「毎日ディリーニューズ」コラム「WaiWai」は元々は、新聞紙「毎日デイリーニューズ」上での連載を前身としている。1989.10月から始まったが、新聞紙の休刊に伴い2001.4.19日からウェブサイト上の英文「毎日ディリーニューズ」のコラム「WaiWai」として再スタートした。英文毎日編集部に籍を置く日本在住の外国人記者と外部のライターが執筆し、日本国内で発行されている雑誌の記事の一部を引用しながら、社会や風俗の一端を英語で紹介していた、とのことである。 このこと自体はとやかく云われることはなかろうが、2008.5月下旬、過去の掲載記事について「内容が低俗すぎる」、「日本人が海外で誤解される」などの指摘や批判が寄せられ始めた。毎日新聞社が調査した結果、不適切な記事が判明した。同社は、該当記事を直ちに削除叉はアクセスできない措置を取りチェックを続けた。6月中旬、削除した記事がネット上で紹介され、改めて批判、抗議が寄せられた。さらに調べた結果、元記事にはない内容を記者が加えていたケースも1件確認された。 れんだいこの見立てるところ、ここまでは信義問題である。ところが、ここから著作権問題へと発展する。「WaiWai」が、出版社、新聞社などの元記事を無通知無承諾のまま引用転載叉は翻訳利用し、第三者的他社の出版物が同記事を利用する場合には要通知要承諾制にし、時に転載料を得ていたことが発覚した。こうなると、立派な著作権問題である。 問題は、これをどう解決するかにある。毎日新聞社の対応が注目される事になった。まず、社外の有識者でつくる第三者機関「開かれた新聞委員会」に見解を求めることにしたようである。どういう結論になったか。どうせたいした案は出まいと予断を持ちながら検証することにする。 6.21日、毎日新聞は、信義問題に関して声明し、「担当記者が国内の雑誌に掲載された風俗記事を英文サイトに引用する際、不適切な描写のまま英文に翻訳した結果、多くの読者に不快感を与え、インターネット上で批判を受けるなど信頼を損なったと判断」し、閉鎖処置したことを明らかにした。 6.27日、同社は、関係者の処分を次のように明らかにした。コラムを担当していた英文毎日編集部記者を懲戒休職3カ月。監督責任を問い高橋弘司英文毎日編集部長を役職停止2カ月。当時のデジタルメディア局次長の磯野彰彦デジタルメディア局長を役職停止1カ月の懲戒処分。当時のデジタルメディア局長の長谷川篤取締役デジタルメディア担当が役員報酬の20%(1カ月)、当時の常務デジタルメディア担当の朝比奈豊社長が役員報酬10%(1カ月)を返上する処分とした。 7.20日、毎日新聞社は、6.21日声明と同様のお詫び記事を掲載し、新体制発足を明らかにした。8.31日にも同様の記事を掲載した。ところが、9.27日、毎日新聞社は、「英文コラム記事無断利用お詫びします」記事を掲載し、次のように述べている。 「ウェブサイト以前の英字紙時代(1980.10月から2001.3月まで)に於いても、著作権者の了解を得ていない利用・翻訳が有り、説明とお詫びを続けている。記事を無断利用・翻訳していた出版社、新聞社は32社あることが分かりました。一部については他社の出版物への転載を許し、転載料を得ていたため、返還の手続きを進めています。出版社などには著作権侵害をしたことをおわびしています。著作権に対する認識の不徹底を反省し、読者の皆さんにもお詫びすると共に、今後、社員教育を徹底します」。 こうなると、れんだいこは黙っていられない。「毎日新聞社の9.27声明」は、事件を奇貨として著作権問題の根本的解決に向かうのではなく、強権著作権論側に加担し「その徹底を図る」方向を指針させている。しかしてそれは反動的対応ではなかろうか。一体全体、こう問う論者が居なさ過ぎる。本件は、ジャーナリストを自負する館の内部で発生していると云うのに。現代ジャーナリストの識見不足の甚だしさを示して余りあると云うべきではなかろうか。 この問題の根本は、著作権法の法精神、条文趣意に反して強権著作賢者がいわば勝手に押し進めている「著作権物利用に当たっての要事前通知・要承諾制」の是非を吟味するところにある。「毎日ワイワイ事件」の場合、悪徳情報の垂れ流し、同一性毀損記事利用のみに問題があるのではない。これはいわば原始的犯罪であり、同社は適切に処置したと見なすべきだろう。問題はもう一つ、手前は勝手に無通知無承諾のまま他社記事を引用、転載しておきながら、第三者的他社の利用に関しては要通知要承諾で規制ないしは対価請求したところにある。この不正義、不祥事を考えるのが「毎日ワイワイ事件」の本筋となるべきである。 「毎日新聞社の9.27声明」は、著作権界隈に於ける要通知要承諾制を徹底する方向に舵を切った。そういう風にお詫びを強制した勢力が存在するということでもあろう。れんだいこに言わせれば、ここに毎日新聞社の愚劣さが認められる。本当にそう対応すべきだろうか。これは逆行対応なのではなかろうか、我々はそう問うべきである。 我々は、コラム「WaiWai」がその昔からしてきた有益情報の自由利用即ち無通知無承諾利用を当然と考えるべきである。引用元明記と同一性が保持されるなら良い情報はそういう風に井戸端会議的に自由交差されるべきである。それをできなくする「毎日新聞社の9.27声明」は現代強権著作権論に屈服迎合しているに過ぎない。補足すれば、手前はタダ取りしながら厚かましくも対価請求していた事に対するお詫びこそが必要なのに、毎日新聞社が、これにつき一言も反省していないお粗末さも問題だ。 そういう調子で、よくも政治ジャーナルできることだわ。政治家や政党の腐敗を衝く場合には如何にも正義面するが、手前達の問題になると平気で頭かくして尻隠さずしているではないのか、ということになる。あるいは手前もちゃっかり不倫しているのに人の不倫を突きながら記事にしている図に似ている。世の中そんなものだと思ってあきらめれば良いものの不快さが拭えないのはれんだいこだけではなかろう。 最後に。「毎日新聞社の9.27声明」を強制した現代強権直権論者よ、そうやって世の中を小難しくして何がうれしいんだい。手前達の小さな正義が大きな罪悪になっていることを暫し胸に手を当てて考えてくれまいか。一体、誰がこういう商法はやらせているんだい。その尻馬に乗るのもエエ加減にしてくれんかい。元々の阿呆は勉強してますます始末に終えない阿呆になる典型ではないかな。学ぶということは、人を、世の中を自由にしてくれんとあかん。我が正義はどこかオカシイ、そう考えるオツムは無いのかな。 2008.9.28日 れんだいこ拝 |