JASRAC史、その度重なる法改正による利権運動の広がりウオッチ

 更新日/2019(平成31).4.15日

 (れんだいこのショートメッセージ)
 最近の東京における超高層ビルの乱立競い合いを見て、更なる建設ラッシュに向うのを是とする観点を持つなら、その御仁はJASRAC運動にも同じく容易に賛意を示すであろう。なぜなら、通底する論理が似ているから。しかしながら、超高層ビルが観光用の為ならともかく生活し仕事するには全く不向きではなかろうかと訝り、一体どのような建築物が望ましいのかを考える御仁であれば、同様にJASRAC運動にも疑いの眼を持つであろう。思想における一事万事とはこういうことを云う。

 問題は決して難しくはない。大項目として類としての人間社会はどうあるべきか、権利(この場合、社会的生活権はともかく社会権益権として措定される権利とする)とはどのような抑制の下で行使されなければならないのか、というテーマの確認を為せば良いだけのことである。我々はこの種の法哲学的考察が滅法弱く、徒に法文を増やす時代に突入しているのではなかろうか。

 以下、JASRAC史を確認する。「」の「JASRAC、戦い続け80年 キャバレー、カラオケ、ファイル共有、音楽教室…主要トピックス年表」その他参照。

 2004.9.12日 れんだいこ拝


【JASRACの法改正の流れ】
 「JASRACについて考える」のSWAN氏の2007.6.6日付け投稿「文化庁返信」その他を参照する。それによると、音楽著作権使用料規程策定は次のように改訂されている。
1899(明治32)年  ベルヌ条約加盟、旧著作権法制定。
1925(大正14)年  ラジオ放送始まる。
1931(昭和6)年  古賀政男作曲の「酒は涙か溜息か」、「丘を越えて」が大ヒット。
1937(昭和12)年  古賀政男作曲の「人生の並木路」、服部良一作曲の「別れのブルース」が大ヒット。
1938(昭和13)年  古賀政男作曲の「人生劇場」、服部良一作曲の「別れのブルース」が大ヒット。
1939(昭和14)年  仲介業務法施行、大日本音楽著作権協会(JASRAC前身)設立。職員3名、信託者188名のスタートだった。(現在、職員約500名、信託者数1万4千名)

 服部良一作曲の「東京ブルース」が大ヒット。
1940(昭和15)年  JASRACが業務を開始。(職員:3人、信託者1号:島崎藤村)

 古賀政男作曲の「誰か故郷を思わざる」、服部良一作曲の「蘇州夜曲」、「湖畔の宿」が大ヒット。
1941(昭和16)年  大東亜戦争始まる。
1945(昭和20)年  第二次世界大戦終わる。キャバレー(社交場)の勃興。
1946(昭和21)年  日本国憲法公布。

 リンゴの唄が大ヒット。
1947(昭和22)年  服部良一作曲の「夜のプラットホーム」、「東京ブギウギ」が大ヒット。
1948(昭和23)年  社団法人日本音楽著作権協会と改称。社交場(キャバレー)と契約開始(キャバレーなどでの音楽利用からも使用料を徴収することになった)  

 古賀政男作曲の「湯の町エレジー」が大ヒット。
1949(昭和24)年  服部良一作曲の「青い山脈」、「銀座カンカン娘」が大ヒット。
1951(昭和26)年  JASRACが、初めて海外の著作権管理団体と管理契約を結ぶ(ASCAP)。
1952(昭和27)年  サンフランシスコ講和条約発効。
1953(昭和28)年  テレビ局開局、テレビ放送始まる。無断演奏による著作権侵害で、社交場を告訴。
1954(昭和29)年  池袋東映劇場事件(管理楽曲を無断利用しようとしていた興行会社の演奏禁止仮処分を申し立て、東京地裁はJASRACの主張を認める決定)。
1956(昭和31)年  万国著作権条約がわが国で発効。
1957(昭和32)年  JASRACが正式名称に(Japan Society for Rights of Authors and Composers)。有線放送出現(札幌市で、レコード音楽を有線で配信する「ミュージックサプライ」が現れて、著作権問題に発展。レコード会社が利用禁止をもとめてミュージックサプライを札幌地裁に提訴。レコードの出所を明示する限りは許諾を得なくても有線放送できると判断)

 吉田正作曲の「有楽町で逢いましょう」、遠藤実作曲の「お月さん今晩は」が大ヒット。
1959(昭和34)年  中部観光事件(名古屋地区最大手の社交場業者・中部観光を相手取り、証拠保全の申し立て、演奏禁止の仮処分を申し立て。著作権について初めて間接強制が認められた)

 古賀政男が日本作曲家協会を設立。日本レコード大賞を制定。皇太子殿下、美智子ご成婚。
1960(昭和35)年  JASRACが、著作権協会国際連合(CISAC)に加盟。中部観光事件で、名古屋高裁が社交場の楽団演奏における経営者の利用責任を確定。

 吉田正の「潮来笠」が大ヒット。「誰よりも君を愛す」賀日本レコード大賞受賞。
1961(昭和36)年  国税庁が非課税法人と認定。
1962(昭和37)年  警察官による業務妨害事件(岡山県倉敷市のキャバレーで、利用許諾契約の説明に赴いた職員が、県警に連行・拘束された事件。著作権法違反を幇助する行為をしたとして、警察官を特別公務員職権乱用、業務妨害で告訴)

 吉田正の「いつでも夢を」が日本レコード大賞受賞。
1963(昭和38)年  警察官による業務妨害事件を受けて、警察庁は「警察官実務概要」に著作権法を入れて、著作権法違反の取り締まりについて指示する措置を講じた。

 遠藤実の「高校三年生」、「修学旅行」、「学園広場」、「仲間たち」が大ヒット。
1964(昭和39)年  アジアで初の東京オリンピック、東京五輪開催。古賀政男の「東京五輪音頭」が大ヒット。
1965(昭和40)年  古賀政男の「柔」が日本レコード大賞受賞。
1966(昭和41)年  業務の一部をコンピュータ化。古賀政男の「悲しい酒」が大ヒット。ビートルズ来日。
1967(昭和42)年  ナニワ観光事件(支払い延滞のキャバレーに対して、延滞料、違約金、演奏禁止を命じる判決。演奏禁止は初。
1968(昭和43)年  文化庁発足。JASRACが、録音権協会国際事務局(BIEM)に加盟。
1969(昭和44)年  東海観光事件で最高裁判決(東海観光が経営する3店舗で無断演奏を継続。最高裁まで争われ、店側の抗告を棄却。著作権をめぐるJASRACの訴訟で初の最高裁判決となる)
1970(昭和45).5.6日  著作権法全面改正法案を全会一致で可決。新著作権法を全面改定し新著作権法公布。アジア初の国際万国博覧会が大阪で開催される。東海観光代表に対して、懲役6カ月・執行猶予3年判決。音楽著作権事件で初めての刑事罰判決。

 吉田正の「傷だらけの人生」が大ヒット。
 国民生活への多大な影響を懸念した政府(第三次佐藤栄作内閣)は、第22条(上映権及び演奏権)の権利が及ぶ範囲を、原則として生演奏、レコード演奏の区別なく権利が発生するとしつつも、著作権法附則14条と著作権法施行令附則第3条によって権利が及ぶ範囲を1.音楽喫茶(喫茶店その他客に飲食をさせる営業で、客に音楽を鑑賞させることを営業の内容とする旨広告し、または客に音楽を鑑賞させるためのの特別の設備を設けているもの)。2.キャバレー、ナイトクラブ、ダンスホールその他フロアにおいて客にダンスをさせる営業。3.音楽を伴って演劇、演芸、舞踏その他芸能を客に見せる事業に限定し、他の音楽利用は自由(無料)とした。
1971(昭和46).1.1日  新著作権法施行。

 吉田正の「子連れ狼」が大ヒット。
1971(昭和46).2.20日  使用料規程の一部変更許可申請(1・著作物使用料規定の一部変更認可申請について、2・著作物使用料規定一部変更認可申請理由書、3・著作物使用料規定新旧対照表を提出)。アジア初の冬季オリンピックが札幌で開催される。遠藤実の「せんせい」、「同級生」が大ヒット。
 この時の、「使用料規定一部変更認可申請理由書(昭和46年[1971年]2月20日提出書面)」は次のように記している。
 「貴庁のごあつせんにより当該事業団体である全喫連と十分話し合い、その結果大筋において了解を得ました。よつてこの基準に該当するものについて適用すべく使用料規定を定めました」。
 「新著作権法成立に際しての諸般の事情から本規定の適用については慎重を期すべきであると思料し、この点全喫連とも話し合いを行い基本的事項については双方合意に達しております」。
 (「JASRACについて考える」のコマプ墨田氏の2008.2.29日付け「SWAN事件の本」情報参照)
1971(昭和46).4.1日  使用料規程の一部変更認可。
 この時の著作権法改正にともない、初めてJAZZ喫茶等に支払い義務が生じた。但し、それまでの経緯として、「文化庁担当者、JASRACの、JAZZ喫茶代表の三者で正式な使用料妥結をしている」ものの、この時の合意事項として、「生演奏使用料は関連売上の10/100の範囲」と明記されているとのこと。比較的低額であったことにより、当時のJAZZ喫茶代表(当時資料から喫茶組合会員でもあると思われる)は、市場枠の範囲と判断し容認したと考えられる。(「JASRACについて考える」のコマプ墨田氏の2008.2.29日付け「SWAN事件の本」情報参照)
1971年〜  使用料規程について全喫連と協議。
1972(昭和47)年  JASRAC許諾シールの偽造者に対して、懲役1年6カ月・執行猶予4年。録音物に関する初判決(1972年)。
1974(昭和49)年  フォルスター事務所廃業 (JASRACが国内唯一の音楽著作権管理事業者に)。古賀政男がJASRAC会長に就任(1977年までの3年間)。
1976(昭和51)年  VHS発売。
1977(昭和52)年  オンラインコンピュータシステム導入。海賊版音楽テープで、著作権法違反初の実刑判決。
1978(昭和53)年  ブランケット方式による放送使用料の徴収開始。
 レコード保護条約がわが国で発効。古賀逝去。
1979(昭和54)年  放送ブランケット(包括契約)裁定案を受け入れ。
1980年〜  使用料規程について環衛組合(現生衛組合)等と協議。
1980(昭和55)年  服部良一がJASRAC会長に就任(1989年までの9年間)。
1982(昭和57)年  CISACアジア委員会設立。CD発売。パロディの著作権問題(アルファレコード発売の「タモリ3」が物議。結局販売中止・解決金)。「にほんの館」事件、最高裁が小規模の管理方法は妥当と判断。
 CDの販売始まる。
1984(昭和59)年  第34回CISAC総会を東京で開催。
 レコードレンタル管理を開始する。
 カラオケボックスの普及。著作権法を改正し著作権法に貸与権創設(貸レコードや、貸テープなど著作物の複製物の貸与について貸与権を設けた)。初のカラオケ判決(福岡高裁がクラブキャッツアイなど3店舗に対し、使用料の支払いを命じた一審を支持)。
1985(昭和60)年  カラオケ使用料徴収で基本合意。
1986(昭和61)年  大型コンピュータ導入。
1986(昭和61).6.2日  使用料規程の一部変更認可申請(1・著作物使用料規定の一部変更認可申請について、2・著作物使用料規定一部変更認可申請理由書、3・著作物使用料規定一部変更案を提出)。
 ジャスラックはこの時、「生演奏使用料は関連売上の10/100の範囲」としていたものを「50/100」に改正申請している。ジャスラックの一方的判断で5倍になったが、その根拠は全く記されていない。ジャスラックも、「5倍の高額値上げの根拠」を関係者に説明したという事実もない。にも拘らず、文化庁はこれを黙って認可した。これにより、80年代にJAZZ喫茶グループの反対運動が発生した。
1987(昭和62).3.27日  使用料規程の一部変更認可(使用料規程改定、使用料率改定、現行の社交場既定制定)。カラオケ管理業務を全国一斉に開始する。テレホンサービスから使用料徴収。違法ビデオ製造・レンタル事業者を提訴。
1987(昭和62).4.1日  全国的にカラオケ使用料の徴収開始される。
1988(昭和63)年  キャッツアイ事件、最高裁で確定。
1989(平成元)年  CD-Rの登場。創立50周年。吉田正がJASRAC会長に就任(1994年までの4年半)。
 衛星放送開始・実演家等保護条約がわが国で発効。
1990(平成2)年  私的録音録画問題対策協議会結成。カラオケ管理で初の逮捕者。
1992(平成4)年  MD、DCCの販売始まる。私的録音・録画補償金制度の導入。
 著作権法に家庭内でのデジタル録音に対する報酬請求権創設。
1993(平成5)年  (社)私的録音補償金管理協会(sarah)設立。
1994(平成6)年

 本部事務所移転問題。古賀財団提訴など内紛が起きる。

1995(平成7)年  sarahから初めての私的録音補償金の分配を受ける。遠藤実がJASRAC会長に就任(2001年までの6年間)。
1996(平成8)年  WTO協定がわが国で発効。カラオケ歌唱店で初判断。
1997(平成9)年  通信カラオケの使用料、事業者団体と合意。
 著作権法に公衆送信権創設。
1998(平成10)年  小野清子がJASRAC理事長に就任(後に参院選立候補のため任期途中で辞任)。長野五輪開催。デジタル録画機器等に補償金。
 カラオケ5坪(宴会場10坪)まで店から使用料徴収開始。
 定款を改正、公益的文化事業に着手。
1999(平成11)年  小渕恵三内閣は、附則14条がWTOでEUからベルヌ条約違反の指摘を受け廃止した。2000年施行。
 創立60周年。
 「DAWN2001」プラン公表。インターネット上で作品DB公開。
 著作権法100年・(社)私的録画補償金管理協会(SARVH)設立。
 改正著作権法成立(附則14条廃止。
2000(平成12)年  電子透かしの国際的評価プロジェクト「STEP2000」を実施。
 インタラクティブ配信の使用料規定が認可。
 著作権等管理事業法が成立。
 ビッグエコー上尾店事件、上告棄却(カラオケボックス集団訴訟でJASRACが全面勝訴)。
2001(平成13).10.1日  著作権に関する仲介業務に関する法律廃止、著作権等管理事業法施。
 1・使用料規定の届出書、 2・著作物使用料規定、3・新旧対照表、4・使用料規定に係る利用者又はその団体からの意見聴取についてを提出。
 著作権に関する法律では、ジャスラックなどの仲介業務団体が著作物使用料規定を定め、変更する場合は、文化庁の認可が必要としていた仲介業務法は平成13.10.1日に廃止され、同日に施行された著作権等管理事業法では、著作権等管理事業者が使用料規程を定め、変更する場合は、利用者又はその団体からあらかじめ意見を聴取した後、文化庁に使用料規程の届け出制に変わった。
 非商用のインタラクティブ配信の管理開始。
 電子透かし技術最終策定作業「STEP2001」を実施。
 CISAC放送実務委員会、同アジア太平洋委員会を東京で開催
 ビデオメイツ訴訟、最高裁でJASRAC全面勝訴。カラオケリース事業者の注意義務を示した。ファイル交換(WinMX)ユーザー逮捕(2002年罰金命令)。
2001.10.2日  使用料規程の届出(別添資料4)。
2002(平成14)年  管理委託範囲の選択制がスタート。
 BGM利用の管理を開始する。
 「プロバイダ責任制限法」施行。同法にもとづく「信頼性確認団体」に認定。
2003(平成15)年  演奏会使用料規定を全面改訂。
 知的財産基本法が施行される。
 内閣に知的財産戦略本部設置、「知的財産の創造、保護及び活用に関する推進計画」策定
 MMO(ファイルローグ)事件、ファイル交換サービス訴訟で終局判決。
2004(平成16)年  「知的財産推進計画2004」策定。
 「コンテンツ促進法」施行。
 ビデオグラムの規定など、使用料規程を一部改訂
 改正著作権法(日本販売禁止レコードの還流防止措置の導入など)が成立。
 個人情報保護管理規程を制定。
 インターネット上での利用申請システムの稼働など業務のEDI(電子データ交換)化進む。
 愛知県の社交ダンス教室に損害賠償を命じる判決が確定。Winny開発者逮捕 (2006年京都地裁で有罪、2009年大阪高裁で逆転無罪、2011年最高裁でも無罪となったが、2013年開発者は亡くなった)
2005(平成17)年  音楽ファイル交換サービスに対する控訴審判決 (著作権侵害の差止及び損害賠償)が確定。
 インタラクティブ配信の使用料規定を一部改訂。
2005(平成17)年  改正著作権法成立(IPマルチキャスト放送による放送の同時再送信の円滑化、罰則の強化など)
 著作権問題を考える創作者団体協議会が発足。
 YouTube登場。YouTube権利侵害対策意見交換会が発足。
 CISAC/BIEMの国際会議を奈良市で開催
 記念樹事件の控訴審でJASRAC逆転勝訴の判決。
2006(平成18)年

 ニコニコ動画登場。CATV事件、最高裁が上告受理の申立ての不受理を決定。

2007(平成19)年

 MYUTA事件、運営会社の請求を東京地裁が棄却。

2008(平成20)年  韓国音楽著作権協会と相互管理契約を締結。TVブレイク事件、動画投稿サイトの運営事業者を提訴。週刊ダイヤモンドによる名誉毀損事件、東京高裁も出版社などの責任を認定。
2009(平成21)年   JASRACが創立70周年を迎える。

 放送事業者との包括契約が、私的独占にあたるとして、公取委がJASRACに排除措置命令。

2010(平成22)年  ファイル共有ソフト「Share」を用いた音楽ファイルを違法アップロードした者に有罪判決。
2012(平成24)年  TVブレイク事件、運営事業者に対して、動画ファイルの送信差し止めと著作権侵害による損害賠償1億円(遅延損害金含む)の支払い命令が確定(最高裁)。
2016(平成28)年  JASRACが放送局と結んでいる包括利用許諾契約について、公正取引委員会がJASRACに独占禁止法違反(私的独占の禁止)で排除措置命令を出していた問題で、JASRACが命令の取り消しを求める審判請求を取り下げ(JASRACは、イーライセンス、放送事業者間の協議で、利用割合の算出方法について合意したことなどを取り下げの理由としている)。BGMを利用する美容室などの店舗に対して全国一斉に法的措置。
2017(平成29)年  JASRACが音楽教室から著作権使用料を徴収すると表明。音楽教室側の団体「音楽教育を守る会」がJASRACに徴収権限がないことの確認を求めて提訴。ファンキー末吉氏の経営するライブハウスにおける生演奏の著作権使用料めぐる訴訟、JASRACの勝訴確定。
2018(平成30)年  文化庁がJASRACによる音楽教室からの著作権使用料の徴収を容認するとの裁定を関係者に通知。BGM利用店舗の経営者に対する訴訟で初の判決。JASRACが勝訴。BGMを利用していながら著作権の手続きをしていない全国151事業者、166店舗に対して、民事調停の申し立て。
2019(平成31)年  Twitterを利用した海賊版販売について、JASRACが初の刑事告訴 。

 (れんだいこのショートメッセージ)
 特殊公益法人・NHKの年末恒例番組「紅白歌合戦」とJASRACの関係はどうなっているのだろうか。JASRACの料金徴収論からすれば、同社の著作権管理曲については誰しもこれにひれ伏さねばならない筈である。それとも何か天下のNHKには遠慮しているのだろうか。外野席からあれこれ云っても始まらないので、JASRACはその実態を明らかにせよ。

 民法番組の歌番組がこのところひと時より姿を消している。ひょっとしてJASRACの料金攻勢にたまげて番組制作が中止されているのだろうか。そうではなく、単に歌番組が視聴率を取れなくなり番組が減っているのだろうか。何しろ、放送の影響力を考えれば使用料はかなり高額になると思えるので、万事金目に抜け目のないJASRACがこれに介入しないのは不自然であろう。JASRACは、放送局の歌番組に関わる料金請求ないし不請求の実態とその際の法論理を明らかにせよ。

 FM放送の場合、その過半が音楽番組に費やされている。視聴者のリクエストによる選曲放送も好評で定番となっている。JASRACは、これに対して何らかのアクションを起こしているのだろうか。そうすることが良いというのではない。目下のJASRACの料金徴収論からすれば向うべきである、それが何ゆえ不問に付されているのかを問いたい訳である。いや実は料金請求しているというのであれば、歌番組の減少化の理由になるであろうし、いずれにしても知りたいところだ。

 れんだいこは、JASRACが仮に放送局に対して料金徴収を見合わせているとして、その理由を考えてみた。

 その一、歌手当人の歌唱についてはJASRAC料は賦課されないなる論法。しかし、ならばそういう条文を明記しているのか。JASRACが著作者になり代わり著作権管理を一手集中している以上、JASRAC論法に従えば請求しようとすれば出来るはずだが。

 その二、プロ歌手の歌唱にはJASRAC料が賦課されないなる論法。前記その一以外の場合として、プロ歌手が自分の持ち歌でない他人の歌を歌う場合がある。これは、互いにプロダクション同士が了解しているとしても、JASRAC論法に従えばJASRACに届出し了解を得なければならない筈であるが、その手続きをしているのだろうか。

 その三、放送局は、JASRACの著作権管理曲の宣伝に資しているので免責される。むしろ、JASRACが広告料を支払わねばならない関係にあるなる論法。しかし、ならば、カラオケスナックも同様にJASRACの著作権管理曲の宣伝に資している筈であるので免責されるか、逆に広告料を貰ってもよさそうだ。それがなぜ逆に恐喝的にスペース料金を請求されるのだ。そもそもカラオケ機器業者が巨額の著作権使用料を支払っているというのに。

 いずれにせよ、JASRACは、放送媒体の音楽放送に対する見解を明らかにせねばならない。JASRAC定款第4条は、その目的について、「本会は、音楽の著作物の著作権者の権利を擁護し、あわせて音楽の著作物の利用の円滑を図り、もって音楽文化の普及発展に資することを目的とする」と定めている(「ASRAC(日本音楽著作権協会)とは、その法理論、及び実態」)。JASRACは、「著作権者の権利を護りつつ音楽文化の普及発展を目指す立場」の実態を明らかにせよ。

 気になったのでここに記しておく。

 2004.9.9日再編集 れんだいこ拝

【ヤフーとJASRACがネット配信契約】

 ヤフー、日本音楽著作権協会と基本契約を締結――音楽の無料配信で」は次のように伝えている。

 2003.4.3日、ヤフー(株)と(社)日本音楽著作権協会(JASRAC)は、インターネット上での音楽のインタラクティブ(双方向)配信に関する基本契約を締結したと発表した。これは、著作隣接権などのJASRACが管理する著作権以外の権利に配慮したもので、ヤフーがJASRACに著作権使用料を支払うことにより、著作権者の権利を損なわずにインターネットユーザーが無料で音楽を楽しめるようにするというもの。これにより、音楽配信や歌詞の閲覧などの音楽関連サービスの拡充や、インターネット放送局などの新サービスの提供、インターネット広告との連動の模索などに、JASRACが管理する国内作品約110万曲、海外作品約500万曲、計約610万曲の音楽をベースとした新しい展開が可能となるとしている。ヤフーは、今後、音楽配信や歌詞の閲覧サービスなどのインターネット上での音楽の無料利用に関連した取り組みが積極的に展開できるようになるとしている。

 東京地裁、日本MMOの著作権侵害を認める中間判決──JASRACとRIAJ「高く評価できる」」を転載しておく。
  2003年1月29日

 (社)日本音楽著作権協会(JASRAC)と(社)日本レコード協会(RIAJ)は29日、JASRACとRIAJ加盟レコード会社19社が(有)日本エム・エム・オー(日本MMO)に対して提起していた著作権侵害訴訟(※1)に関して、東京地裁の中間判決(※2)が下されたことを受けて記者会見を行なった。

 ※1 この訴訟で争われたのは、著作権のうち、複製権/送信可能化権/自動公衆送信権の侵害と、それに関する損害賠償についてである。以下、本記事中で著作権という場合、複製権/送信可能化権/自動公衆送信権を指すものとする。

 ※2 中間判決とは、民事訴訟法245条に基づき、損害賠償請求の原因と金額に関する争いがある場合などに、原因の部分のみについて判決を下すというもの。

 この裁判では、日本MMOが提供していたファイル交換サービス“ファイルローグ”によって著作権侵害が行なわれたこと、著作権侵害を行なったのはサービスを提供していた日本MMOであるということ、損害賠償責任を日本MMOと同社代表取締役の松田道人氏が負うことについて争われた。裁判の過程で東京地裁は、“ファイルローグ”で提供されていたファイル名やフォルダー名のリストに市販音楽CDのタイトルや実演者名を表記してはならないという仮処分を出しており、これを受けて日本MMOは4月16日よりサービスを停止している。

 今回の中間判決は原告側の訴えを認めるもので、日本MMOと松田氏が損害賠償責任を負うという判断が下された。具体的な損害賠償額については、最終的な判断である終局判決を待たなければならない。なお、現在までの被害額は、JASRACについては2億8700万円あまり、レコード会社についてはRIAJの調査で1億9000万円程度になるという。

 著作権侵害の主体は日本MMO

 記者会見では、まずレコード会社の訴訟代理人である前田哲男弁護士が、中間判決の概要を説明した。

 この中間判決で明らかになったのは、“ファイルローグ”サービスにおいて著作権侵害の事実があったこと、著作権侵害の主体は日本MMOであること、日本MMOと松田氏に賠償責任があるということだ。前田氏は「4月の仮処分で、著作権侵害の事実認定はある程度示されており、今回は昨年5月に成立したプロバイダ責任制限法(※3)が日本MMOに対する損害賠償にどう影響するかが争点となった。今回の判決で、日本MMOは自ら発信者の役割を果たしており、免責を受けられないと判断された」と、今回の中間判決について説明した。

 ※3 「特定電気通信役務提供者の損害賠償の責任の制限および発信者情報の開示に関する法律」のことで、特定電気通信事業者(ISPなど)は、流通している情報により生じた損害を賠償する責任がないこと、情報の流通によって損害を受けた人は関連する特定電気通信事業者に発信者に関する情報の開示を求められることなどが規定されている。

 次に、JASRACの訴訟代理人である田中豊弁護士が、今回の判決の持つ意味について説明した。

 田中氏は、「今回の中間判決には法解釈論としての意味、ビジネスとしての意味、国際的な著作権保護に対する意味がある」と語り、それぞれの意味について説明した。

 田中氏の説明によれば、まず法解釈論としては、ファイル交換ソフトとインデックスサーバーを利用する場合、ファイルを交換した利用者に限らず、ファイル交換ソフトやサービスを提供している主体(日本MMOやNapsterなど)の著作権侵害が認められた。つまり、新しい技術を利用してビジネスを立ち上げる際に、既存の権利を保護する技術を持たない場合にはサービスの提供は違法ということになる。また、米国のNapster判決と同様の判決が出たことで、日本のネットワークにおける著作権保護が米国に劣るものではなく、国際的な著作権保護の流れに対応した判断がなされたという。

 田中氏はこれらの点に加え「今回の裁判は賠償責任と賠償額を分けて審理することで、迅速な裁判が行なわれた」との評価を示した。

 「著作権を盗むことに罪悪感を感じないのは恐ろしいこと」とRIAJ

 引き続き、RIAJ会長である富塚勇氏が、今回の判決を受けてのコメントを発表した。

 富塚氏は田中弁護士と同様、今回の中間判決は明快で、国際的な著作権保護の流れにも対応した正当な判決であると評価した。一方、「こういった判決があるにも関わらず、技術の進歩や消費者の権利と称して著作権の侵害行為を行なう人が非常に多い。著作権を盗むことに罪の意識を感じない人が多いのは恐ろしいこと」と、RIAJの立場から音楽ファイルの違法配布に対する問題を提起した。その上で「人権である著作権を理解していない人が多いことが問題で、こういった判決を契機に著作権教育が必要になる」と、今後の対策の必要性を訴えた。

 JASRAC理事長の吉田茂氏は、今回の中間判決について「わが国の著作権制度に照らして当を得た判決」であると評価するコメントを発表した。

 吉田氏はコメントの中で「ファイル交換による違法行為が蔓延しているが、このような違法行為を排除して著作物を適正に利用することは、音楽文化の振興に必要な要件であることを理解してほしい」と語り、現在JASRACが取り組んでいる、著作物の違法利用監視システムや電子透かしの実用実験、ISPとの連携による違法な著作物流通の排除といった、違法行為排除の取り組みを紹介した。今後については「関係団体と連携をとりながら、著作権の保護と利用の円滑化を図り、(JASRACの)使命である音楽文化の普及、発展に貢献したい」と締めくくった。

 ビールが有料なら音楽も有料であるべき

 記者発表会終了後、JASRAC理事長の吉田茂氏に、現在のファイル共有技術などを前提に、音楽利用の利便性促進についてどのような取り組みを行なうのかについて伺った。

 吉田氏は、「音楽流通技術の進歩とそれに対する課金技術の進歩にこれまでは“ずれ”があった。音楽ファイル流通の技術があるにもかかわらず、適正な著作権使用料徴収の仕組みがなかったため、利用者の利便性が損なわれ、違法なファイル共有が行なわれてきたという側面もあるだろう」と、利用者の利便性を促進する必要性があることを認めた。その上で「現在JASRACでは、ウェブサイトでの音楽ファイル利用に関する料金体系や、利用申請や料金支払いを容易にするためのウェブサイトなどを用意し、利用者の利便性を損なわずに音楽を利用できるシステムを用意している。今後もさまざまな技術を検討するつもりだ」と語った。

 また、個人のウェブサイトなどを通じて無料で音楽を配布する場合にも、1曲あたり月額150円が課金されるといった料金体系に関しては、「1曲あたり月額150円という料金を安いと見るか高いと見るかは利用者次第。しかし、利用料を明確にしたことで、配布を取りやめる人も出てきている。適正な料金については人によって異なるが、さらなる議論が必要」と、継続的に議論することを示唆した。一方で「たとえば、カラオケ店でビールを飲みながら音楽を利用するといった場合、ビールにお金を払うのは当たり前でも音楽にお金を払うことに違和感を感じる人もいる。音楽もビールと同じように、楽しむにはお金を払う必要があることを理解してほしい」と語り、著作権利用料に関する理解を進めることが必要との考えを示した。

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