千曲川旅情の歌

 (最新見直し2011.03.15日)

 (れんだいこのショートメッセージ)
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 2011.03.15日 れんだいこ拝


【千曲川旅情の歌】
作詞・島崎藤村、作曲・弘田龍太郎、歌手・藤山一郎

小諸なる古城のほとり
雲白く遊子(ゆうし)悲しむ
緑なすはこべは萌えず
若草も籍(し)くによしなし
しろがねの衾(ふすま)の岡辺(おかべ)
日に溶けて淡雪流る

あたゝかき光はあれど
野に満つる香(かおり)も知らず
浅くのみ春は霞みて
麦の色わずかに青し
旅人の群はいくつか
畠中の道を急ぎぬ

暮行けば浅間も見えず
歌哀し佐久の草笛(歌哀し)
千曲川いざよう波の
岸近き宿にのぼりつ
濁(にご)り酒濁れる飲みて
草枕しばし慰む

 昨日またかくてありけり
 今日もまたかくてありなむ
 この命なにを
齷齪あくせく
 明日をのみ思ひわづらふ
 
 いくたびか栄枯の夢の
 消え残る谷に
くだりて
 河波のいざよふ見れば
 砂まじり水巻き帰る
 
 鳴呼古城なにをか語り
 岸の波なにをか答ふ
 過いにし世を静かに思へ
 百年ももとせもきのふのごとし
 (百年もきのふのごとし)
 
 千曲川柳霞みて
 春浅く水流れたり
 ただひとり岩をめぐりて
 この岸に
うれひつな
 (この岸に愁を繋ぐ)


 



(私論.私見)