2008(平成20).4.7日付けの社団法人日本音楽著作権協会(代理人弁護士・****)(以下、単に「ジャスラック」と言い換えます)の訴状を読みましたが、怒りを禁じえません。次の如く答弁いたします。
この間、ジャスラックに対して二つの動きが出ております。一つは、2008.2.25日、フリーライター田口宏睦氏の「JASRACに告ぐ」(晋遊舎ブラック新書)が刊行されました。同書は、控え目ながらこれまで充分には知らされなかったジャスラックの数々の悪行を暴露しております。もう一つは、2008.4.23日、公正取引委員会が、ジャスラックを独占禁止法違反(私的独占)容疑で、同協会の本部(東京都渋谷区)を初めて立ち入り検査しました。その他アイポッド問題も発生しているようです。
これらは新しい動きです。私は、何でも許されてきたジャスラック万能(オールマイティー)時代の終焉を告げているように思えます。私のジャスラック批判が第三弾になることを期待しております。これらは皆、ジャスラックが健全にして在るべき姿に立ち戻るよう願っての営為です。勘違いしないようお願い申し上げます。
以下、ジャスラックの訴状に合わせて答弁いたします。 |
1、ジャスラックは、著作権侵害に基く損害賠償として¥136万8918円、手数料¥1万2000円を請求しております。これが訂正され、¥159万5718円、手数料¥1万3000円とされております。これについて以下答弁いたします。 |
(私の抗弁) |
詳しくは後で触れますが、私は、カラオケ機器をリース契約し、リース料の滞納が多いのが昨今の事情と聞かされておりますところ、これを5年余にわたって約定通り支払って参りました。毎月¥6万として5年間で合計360万になっております。これに今回の請求額を加えますと約520万になります。
私は、5年間カラオケ無料(他の代金に転嫁せず)パブを経営して参りましたが、毎年約100万を超える負担は異常と云うべきではないでしょうか。歌唱することが今時は何と馬鹿でかい出費を要すものか、そら恐ろしさを改めて知らされつつあります。
それにしても釈然としません。ジャスラックの所定の契約を締結していたとすると毎月¥4千円です。これを開店時まで遡って支払ったとしても5年間で¥24万にしかなりません。私が私の信ずるところにより同契約を締結しなかったことにより1曲90円制の別勘定にされ、¥160万8718円の請求を受けるハメになりました。それにしても¥24万と¥160万8718円の間には隔たりがあり過ぎます。この差はオカシクないですか。
通常の金銭債務で計算した場合、よしんば高利の延滞金利で計算されてもこういう金額にはならないでしょう。ジャスラックの使用料規定は結果的に驚くべき超高金利な懲罰制になっております。使用料規定の改定により、こういうことが認められているようです。
目下、消費者金融行政では、利息制限法に基く不当利得が問題にされており、金融会社に対し取り過ぎ分の返還命令が出されております。これは実際に金を借りた場合の話です。私の場合、実際に金を借りた訳ではありません。著作権侵犯と云う名の制裁金が無理矢理発生させられ、勝手に巨額の債務を負わされようとしております。云うところの著作権侵犯料が、実際に金を借りた場合よりもはるかに高い制裁金が設定されおり、それが認められているようですが、不正を通り越して馬鹿げていないでしょうか。
私には、消費者金融に於ける高利な延滞金よりなお高利な請求が、ジャスラックに限り何ゆえ認められているのか許されているのか理解できません。著作権侵害に限り利息制限法をも超える請求が許される根拠が分かりません。著作権上の高額な懲罰金制は不当と考えます。あり得ては成らず、法律にそのような規定があるならば早急に善処されるべきだと考えます。裁判長閣下には、この問題に対する司法判断に踏み込んで貰いたいと思います。
確認しておきますが、私は、JASRACの音楽著作物利用許諾契約をした場合の料金を支払わないと立論したのではありません。音楽著作物利用許諾契約の内容が酷すぎるので、改訂をお願いした訳です。使用料を支払うのが惜しいという以前の問題として、こういう契約書には署名捺印できないと申し立てしている訳です。ここから始まって現在では、著作権法上の研究に入り、ジャスラック理論の変調さを告発しております。これが流れです。
これに対しジャスラックは、私の主張に耳を貸さず問答無用で対応し、ジャスラックに刃向かった者にはこういう風に懲らしめるのだとばかりな高額制裁金が課せられている訳です。
ジャスラックからは理屈が合っているようでも、その言い分が社会的公平性、公序良俗規定の見地に照らして妥当かどうかフルイに掛けられるべきです。目下は傍若無人性が罷り通っているようです。私は受け入れられません。
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2、「第1 請求の趣旨」の2項で、「カラオケ装置を『かに子』から撤去せよ」と述べております。これについて以下答弁いたします。 |
(私の抗弁) |
これは無茶苦茶な言い分です。ジャスラックは先に強制執行をかけ、当店のカラオケ装置を使用不能下に置きました。その時、私は、このように使えなくされるのであればいっそのこと撤去するようにと、こちらからお願いしたにも拘らず、今日まで2ヶ月有余にわたって網掛け簀巻き状態のまま当店内に放置しております。目に付くところですので営業妨害的な嫌がらせになっております。そこで、私は、第一興商の持ち物ですから同社に対し、私の方から撤去をお願いして今日まで至って居るというのが実際です。当然、第一興商は、その由をジャスラックに告げている筈です。
そういう状況であるのに何とジャスラックは、ジャスラックの方から「カラオケ装置を店舗から撤去せよ」と述べております。一体全体、ジャスラックはどういう神経をされているのでしょうか。放置しているのはどちらなのでしょうか。執行命令により封印簀巻きされているものに対して、私は触ることができません。それにも拘らず私に撤去する権限があると云うのでしょうか。撤去はこちらが望んでいるところです。
事態を逆に述べて恥じないジャスラックの逆さまな言い分が通るのでしょうか。私には、ジャスラックの「撤去せよ請求」は狂っていると考えます。裁判長閣下、これにつき白黒つけてください。
ジャスラックはこういうウソをつくことが他にも有りますので申し添えておきます。かってジャスラックの社員が来店し私と話した時、私が、「歌を歌って何が悪い。裁判沙汰でも何でも好きにしろ」と述べたと主張しておりますが、全く不正確な言い換えで事情を知らない者を誑かす言辞です。
その時私が述べたことは、「契約書の約定を読むと他に例のない悪条文が列ねて有り、私はこういう契約書は締結し難い。金を払わないというのではない。それ以前に契約書の問題があり、これを改訂するのが先決では無いか」と強く主張したのが実際です。
これを受けて続いて次に、「高額なカラオケリース料を支払っている。カラオケ機器メーカーは貴社に著作権料を支払っている。ならば、それで間接的に支払っていることになるではないか。それと、当店はカラオケ無料にしている。有料で儲けているのならまだしも無料の場合には免除されるべきではないか」と述べ、最後に「私のこの言い分が通らないのなら白黒つけたいと思う。裁判でも何でも好きにしてくださって結構だ」云々と述べた訳であり、この間極めて冷静且つ理路整然と自己主張し対応しております。この話し全体を、「歌を歌って何が悪い。裁判沙汰でも何でも好きにしろと述べた」と纏めるのはかなり杜撰な歪曲ではないでしょうか。
補足すれば、現在封印されたまま置かれているカラオケ装置は電源がオン状態にされております。電気代も掛かるし、万一漏電火災を起こさないかと心配しております。過ってそうなったのか意識的にしているのか分かりませんが、私は、勝手に障ってはいけないと判断しそのままにしております。それほど気を使っているのが実際です。裁判長閣下、ジャスラックに対し、オン状態の理由を確認し、早急に対応して下さいますようお願い申し上げます。電気代が勿体無いし危険です。
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3、「完済に至るまで年利5%の金員を支払え」と述べております。これについて以下答弁いたします。 |
(私の抗弁) |
ジャスラックは、通常料金¥24万のところを制裁料金として¥159万5718円にしたのに飽き足らず、更に金利5%を上乗せるとはいかがなものでしょうか。私には「1曲90円制」による懲罰金請求さえ心外なところ、なお延滞金利を上乗せして恥じない二重的加算金利であり違法のように思えます。
私は、ジャスラックに金を借りた訳ではないのです。金を借りても居ないのに金利が発生させられるのは納得が行きません。それと、金利5%の意味も分かりません。裁判長閣下、ジャスラックに金利を課す理由と「金利5%の意味」を説明させて下さい。
ちなみに「1曲90円制」の根拠も分かりません。ジャスラックは「1曲90円制」とする合理的理由を説明して下さい。いわゆる著作権使用料が一曲90円になる合理的理由を教えてください。しかも、何が歌われたかも分からないのにです。
私どもの店ではカラオケ無料にしております。「1曲90円制」による5年間での¥159万5718円請求はかなりな負担となります。それが嫌なら契約を締結せよと云う論法でしょうが、既に申し上げましたように、ああいう質の悪い契約書には署名捺印できません。契約書に締結せずに¥4千円払う方法があるのなら、その方が経済的に得です。裁判長閣下、なぜそれができないのか明らかにして下さい。
私は、先の審尋の場で、今までのことは引き続きの係争としてともかく今後に於いては妻名義で契約し支払う旨を明らかにしております。私からすればここまで歩み寄っている訳ですが、これに耳を貸さないジャスラックの見識が分かりません。裁判長閣下、ジャスラックの見解を質してください。
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「第2 請求の原因」の「2 被告の著作権侵害行為」で、社交飲食店でのカラオケ管理対価請求権を主張し、ジャスラックの請求活動を正当化しております。これについて以下答弁いたします。 |
(私の抗弁) |
私は既に審尋の場で、12項目、50ページに及ぶ質問書を提示し、本来の著作権法理論とジャスラックの著作権理論との間には食い違いが有り、本来の著作権法はジャスラック式課金制論を容認していないのでは無いかを主意とする様々な疑問を提起しました。
これに対し、ジャスラックの代理人弁護士は、せっかくの審尋の場で有りながら法理論的な弁明ないし反論を何もしないまま、本件事案には関係無く答えるに及ばずとコメントし続け、結論的請求ばかりをオウムの如く繰り返すばかりでした。これでは何の為の審尋の場かと釈然としませんでした。
升川裁判長も、私が提起した12項目の質問に対するジャスラックの代理人弁護士・馬場氏の見解を質さぬまま、私が審尋の場での議論続行を望んでいるにも拘らず「主張したいことが有りますか」と馬場氏に尋ね、馬場氏が「有りません」と答えると審尋を終え、それから1.5ヵ月後にジャスラック式課金制論を支持する決定文を出し、執行を認め、当店のカラオケ装置一式が簀巻き状態にされ今日まで至っております。
私は、この法廷の場で、再度司法判断を仰ぎたいと考えており、先の質問状の一部を書き換え、「日本音楽著作権協会に対する質問状15項目」を改めて提出したく存じます。どうぞ忠心からのご討議をお願いしたく思います。その際、私に非があることが判明すれば従うし、是認し得ない場合は徹底的に議論を続けて参りたいと思います。
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ジャスラックは、平成9年8月11日の使用料規定一部変更認可、平成10年2月1日よりの全てのカラオケ利用店舗よりの使用料請求認可、平成13年10月1日の著作権管理事業法施行等々の判例を持ち出して取り立ての正当性を主張しております。これについて以下答弁いたします。 |
(私の抗弁)
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「ジャスラック式課金制と取り立て方法」が著作権法、音楽著作権法上大いに問題があることを敢えて注意喚起したいと思います。私に言わせれば、「ジャスラック式課金制と取り立て方法」は、著作権法、音楽著作権法の趣旨から大きく逸脱しており、その使命とする著作権文化、音楽文化の護持発展を却って阻害している、それは法の趣旨からして違反であると考えております。私は、このたびの事件を通じてそれなりに法を読み取って参りました。気づいた事を申し述べます。
著作権法、音楽著作権法は、両者とも明確にはしていない憾みはありますが、著作権の発生史から見ても海賊版を禁止する為に生み出されたいわば同業者規制法であり、この見地から法的に保護される著作物の認定や著作権者及び版権者の権利の態様を規定しているものであると読み取ることができます。
その際、庶民大衆レベルの著作物利用享受に対する対価請求権を認めてはおりません。なぜなら、これを認めると、法が使命とする著作権文化、音楽文化の護持発展が図れないからです。いろんな条文でそういう弁えをしていることが確認できます。
庶民大衆レベルの著作物利用享受に対しては、むしろ「できる規定」していると読み取るべきです。それ故に、「できる但し」として、文章の場合なら、正確な引用転載、著作者及び出典元ないしは出所元明示、従たる利用等々を義務付けているように思います。音楽著作権に限って云えば、演奏歌唱は、文章の引用転載に準じて理解すべきもので、同じく「できる」と読み取るべきではないでしょうか。
ジャスラックを先頭とする最近の強権的著作権論派は、これを逆に解し、「著作者並びに版権者に対する事前通知、承諾」を要し、これを取り付けない場合には「できない」と読み取っております。これは、著作権法の読み取り間違いで早急に正されるべきではないでしょうか。著作権法にはそういう制度を記しておりません。私はそう読み取っております。
ジャスラックは、勝手に解釈した「著作者並びに版権者に対する事前通知、承諾制」を編み出し、それを盾にして著作権侵犯理論を生み出し、そこから利用対価料請求理論へと発展させて居るようです。しかし、その理解は、著作権法に従う限り不当であると思います。
ジャスラックは、いわゆる族議員を利用して、利権的に使用料規定を創出し、これを次第に改訂し拡大適用させつつ今日に至って居るようです。全貌がまだつかめませんが、少なくとも平成9年8月11日の使用料規定一部変更認可により「今日的ジャスラック式課金制と取り立て方法」が確立されたようです。
こうして、著作権法、音楽著作権法とジャスラック式使用料規定が鼎立対立する局面を迎えることになりましたが、司法当局は最高裁まで含めてジャスラック式著作権理論の方を鵜呑みにしたまま今日に至っているようです。それは司法の腐敗であると考えます。
こうなると、私もジャスラックも共に法律を盾にして根拠にしております。ではどうすべきでしょうか。私は、下位法は上位の基本法に従うべきではないでしょうか。元々をただせば、使用料規定の認可そのものが著作権法、音楽著作権法違反であり、為に現場が混乱しており、早急に調整されるべきだと考えております。裁判長閣下の司法判断を仰ぎたいと思います。
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「5 不法行為、不当利得返還請求権」で、音楽著作権侵害による不当利得として不法行為による損害賠償請求、不当利得返還請求する旨説き、¥159万5718円、手数料¥1万3000円を請求しています。これについて以下答弁いたします。 |
(私の抗弁) |
これに関して云えば、平成19年9月14日付け警告書では、損害金を107万7300円(57ヶ月)としております。それが136万8918円(61ヶ月と26日)とされ、現在159万5718円とされております。これによると、僅か4ヶ月の間に51万8418円が増額されたことになります。裁判長閣下、この5割増は何を根拠にしているのか明らかにさせて下さい。
私の立場からすれば、私は云われなき被害者です。目下は受身一方でありますが、近々私の方から損害賠償請求をしたいと思っています。この間の精神的苦痛、名誉及び社会的信用毀損、営業妨害に対して、ジャスラックばりの計算式で請求し返そうと思っております。そういう意味でも、ジャスラックの計算式の根拠の明示をお願いしたいと思います。 |
最後に、ジャスラックがしきりに持ち出す法文上の根拠としての著作権法22条、22条の2、63条について確認しておきます。 |
(私の抗弁) |
これも、確かめると、知らぬ者を誑かす仕掛けになっております。第22条(上演権及び演奏権)は、「著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として(以下「公に」という。)上演し、又は演奏する権利を専有する」と有ります。
この法の趣旨は、著作者の作品公開権を規定しているもので、云ってみれば著作権法上当たり前の事を云っているに過ぎません。
第22条の2(上映権)は、「著作者は、その著作物を公に上映する権利を専有する。(平十一法七七・追加)」というもので、これも同じです。
第63条(著作物の利用の許諾)は、「著作権者は、他人に対し、その著作物の利用を許諾することができる」として縷々述べております。私どもに関係するのは5項の「著作物の送信可能化について第一項の許諾を得た者が、その許諾に係る利用方法及び条件(送信可能化の回数又は送信可能化に用いる自動公衆送信装置に係るものを除く。)の範囲内において反復して又は他の自動公衆送信装置を用いて行う当該著作物の送信可能化については、第二十三条第一項の規定は、適用しない。
(昭六一法六四・4項一部改正、平九法八六・5項追加)」です。
この法の趣旨は、著作者の著作物の送信権を規定しているもので、云ってみればこれも著作権法上当たり前の事を云っているに過ぎません。
前条の5項で第23条が持ち出されているので、その条文を確認します。第23条(公衆送信権等)は、「著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあっては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。2 著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。(昭六一法六四・見出し1項2項一部改正、平九法八六・見出し全改1項2項一部改正)」とあります。
この法の趣旨は、著作者の公衆送信の専有的権利を規定したもので、第63条全体の主意は、著作者の公衆送信の専有的権利を解いたことになります。
以上を確認してみて、私は、ジャスラックが、著作権法22条、22条の2、63条を何の為に持ち出しているのか趣旨が分かりません。ジャスラックの庶民大衆に対する使用対価請求権を認めたものと受取るには早計で、間接的過ぎる規定でしか有りません。ジャスラック殿、これらの条文を示す事で結局何が云いたいのか説明をお願いいたします。裁判長閣下、確認お願いいたします。
ジャスラックは「著作権法22条、22条の2、63条違反」を大上段に構えて支払い命令を被せておりますが、その条文の中身を知ればジャスラックの著作権侵犯−対価請求権を裏付けるものでは有りません。そういうものを引き合いに出して説得を試みるのは子供騙しです。
こうなると、これらの条文を持ち出して説得を試みるジャスラックの論法こそが問題にされねばなりません。ジャスラックは言うところの「著作権侵犯−対価使用料」制度を裏付ける根拠に相応しい条文を挙げられるものなら挙げて説得して欲しいと思います。
2008.5.7日 かに子経営者
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