加戸守行考その4、閉会中審査に於ける発言語録

 更新日/2017(平成29).7.29日

 (れんだいこのショートメッセージ)
 ここで、「閉会中審査に於ける加戸守行の発言語録」について確認しておく。

 2017(平成29).7.29日 れんだいこ拝


【7.10日の「加計学園」をめぐる閉会中審査での前愛媛県知事の発言全容 】
 2017.7.10日、衆参両院で、学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画をめぐる閉会中審査が開かれ、一連の惑を告発した前川喜平・前文科次官、愛媛県今治市への獣医学部誘致を進めた加戸守行・前愛媛県知事の両文部省高級官僚が参考人として発言し、「古巣に反旗を翻すかたち」で真っ向から対立する証言をした。

 前川氏の「行政がゆがめられた」発言に対し、加戸氏は、「愛媛県にとっては、12年間加計ありきだった。今さら1、2年の間で加計ありきじゃない」、「10年間、我慢させられてきた岩盤規制に国家戦略特区がドリルで穴を開け、『ゆがめられた行政が正された』というのが正しい発言ではないか」と反論、さらに踏み込んだ発言を繰り広げた。両者は共に文部省(現文部科学省)OBであり、加戸氏が総務課長時代に前川氏が約1年間、部下だったという上司と部下の関係であり、文部官僚として官房長まで務めた加戸氏は、前川氏の先輩に当たる。その両者が火花を散らしたことになる。

 加戸氏は今治市への獣医学部誘致をスタートさせた「当事者」で、今回の閉会中審査では与党側の求めに応じて参院での審議に参考人として出席した。自民党の青山繁晴議員の質問で答弁に立った加戸氏はまず、「10年前に愛媛県知事として今治市に獣医学部の誘致を申請した当時のことを思い出して、はなもひっかけて貰えなかった問題が、こんなに多くの関心を持って頂いていること、不思議な感じがいたします」と皮肉の効いた一言。続けて、鳥インフルエンザやBSE(牛海綿状脳症)といった感染症対策の充実を大きな目的に獣医学部の誘致に取り組んだが、文科省への申請は一向に通らなかったとして、「(前川氏の)『行政がゆがめられた』という発言は、私に言わせますと、少なくとも獣医学部の問題で強烈な岩盤規制のために10年間、我慢させられてきた岩盤にドリルで国家戦略特区が穴を開けて頂いたということで、『ゆがめられた行政が正された』というのが正しい発言ではないのかなと思います」と述べた。さらに加戸氏は、四国では「獣医師が確保できない」現状もあったとして、国や専門団体が獣医学部誘致に反対することは「あまりにも酷い」と感じていたと説明。その上で、「私の知事の任期の終わりの方に、民主党(当時)政権が誕生して『自民党じゃできない、自分たちがやる』と頑張ってくれた。(中略)ところが、自民党政権に返り咲いても何も動いていない。何もしないで、ただ今治だけにブレーキをかける。それが、既得権益の擁護団体なのかと、悔しい思いを抱えてきた」と声を震わせて訴えた。  

 加戸氏は、このように獣医学部新設をめぐる経過を説明した上で、自身が訴えてきた獣医師の養成が進まない中で、現在「今治は駄目、今治は駄目、加計ありき」と言われることについて「何でかなと思ってしまう」との不満を漏らした。そして、「私は、加計ありきではありません。たまたま、今治選出の議員と加計学園の事務局長がお友達だったからこの話が繋がってきて、飛びついた。これもダメなんでしょうか。お友達であれば、全てがダメなのか」と主張した。続く質問の答弁では、「本質の議論がされないまま、こんな形で獣医学部がおもちゃになっていることを甚だ残念に思う」とも述べた。さらに加計学園問題をめぐるメディア報道にも不満を漏らした。これまでに受けた取材について、「都合のいいことはカットされて、私の申し上げたいことを取り上げて頂いたメディアは極めて少なかったことは残念」だと指摘。その上で、国家戦略特区諮問会議の民間議員が6月13日に開いた記者会見で、加計学園の獣医学部新設のプロセスについて「正当」と結論付けたことを、加戸氏はYouTubeの動画で見たとして、「これが国民に知ってもらうべき重要なことなんだなと思いました。(中略)あのYouTubeが全てを語り尽くしているのではないかな、と思います」とも話していた。

【7.10日の自民党の青山繁晴参院議員質疑】
 産経新聞「閉会中審査=参院=詳報(4)、加戸守行氏「国家戦略特区でゆがめられた行政が正されたというのが正しい発言だ」、「実際の証言書き起こし その他参照。

 (自民党の青山繁晴参院議員、前川喜平・前文科事務次官、加戸守行・前愛媛県知事
青山  「日本に獣医師の不足はないから、愛媛県今治市に加計学園が新たに獣医学部をつくることは行政をゆがめることであるという趣旨で発言していると思うが、(獣医師をめぐる)実態はご存じか」。
前川  「違います。獣医学部の新設について一律に申請を受け付けないという告示があるが、告示に対して特例を設けるかどうか、あるいは告示の撤廃を考えるかどうか、獣医学部の入学定員について定員管理をするというポリシーを捨てるか捨てないか、これは政策論議をすべき問題で、それは国家戦略特区を舞台にして議論することもできるでしょうし、一般論として議論することもできる。

 この規制緩和をすべきかという問題と、結果として加計学園に獣医学部の新設を認めるかどうかは次元の違うことで、私がゆがめられたと思っている部分は、規制緩和の結果として加計学園だけに獣医学部の新設が認められるに至ったプロセスだ。その部分が問題であるし不公平な部分があるのではないか、不透明な部分があるのではないか。そこの解明が必要だ」。

青山  「前川参考人がおっしゃったことは予想した通りだ。加戸(守行・前愛媛県知事)参考人は自治体の最前線で獣医師不足に直面していた。どのような実態だったのか。また前川参考人の答弁をどのように聞いたか」 。
加戸  「お答えいたします。まずあの、参考人でお呼びいただいたことに心から感謝を申し上げます。もう10年前に愛媛県知事として、今治市に獣医学部の誘致を申請しましたが、構造改革特区の名のもとに申請した当時のことを思い返しまして、ええ、洟(はな)も引っ掛けかけていただかなかったこの問題が、こんなに多くの関心を10年後に持っていただいているということに、不思議な感じがいたしております。

 当時、愛媛県知事として、たくさんの仕事を預かりながら、県民の生命身体財産、畜産業の振興、食品衛生、その他で一番苦労しましたのが、鳥インフルエンザ、あるいは口蹄疫の四国への上陸の阻止、あるいはBSEの問題の日本への波及の阻止、言うなれば四国という小さな島ではありますけれど、こういった感染症対策として一番防御が可能な地域と言う意識もございましたし、そしてアメリカがこの問題に狂牛病の体験を受けて、戦端切って国策として、これからはライフサイエンスと感染症対策をベースとした獣医学の教育の充実ということで、大幅な獣医学部の入学者の増加、そして三つの獣医科大学の新設と言う形で、懸命に取り組んでいる姿を横で見ながら、なんと日本は関心を持っていただけない国なんだと。

 私は少なくても10年前に愛媛県民の、そして今治地域の夢と希望と関心を託してチャレンジ致しました。厚い岩盤規制で跳ね返され跳ね返され、やっと国際戦略特区という枠の中で実現を見るようになった今、本当にそれを喜んでもおります。
先ほどの、話がございました(前川氏の)「行政が歪められた」という発言は、私に言わせますと、少なくとも獣医学部の問題で、強烈な岩盤規制のために10年間我慢させられてきた岩盤に、ドリルで国家戦略特区が穴を明けていただいたということで、『歪められた行政が正された』と言うのが正しい発言ではないのかなと私は思います」。
青山  「(獣医学部は)現在930人の定員だが、1200人まで水増し入学が行われている。これで需要が均衡しているともしも文科省が判断しているのであればこの点からもおかしいのではないか。文科省は現在、大学の定員超過の是正に取り組んでいるとも聞いた。もし獣医学部の水増しが正されれば年間270人、4分の1もの新しい獣医師が減ることになる。これは獣医師の教育が現状の学校では十分ではないという証拠でもあり、学校が足りないという証左ではないか」。
前川  「獣医師の需要がどのくらいあるのか、それに対してどのくらいの獣医学部の入学定員が望ましいのか、これは政策的に考え、定員管理を政策的に行っていくということが当面正しい方法だと思っていて、いっぺんにこれを撤廃することは望ましくないと思っている。ただ獣医師に関しても今後、養成を増やす必要があるのであれば、それは既存の大学の定員を増やすという方法もあるし、既存の大学には十分なスタッフがそろっている場合もあるし、十分な教官組織をさらに充実させることもあると思う。

 真っ新に新しく獣医学部をつくる方がよほど困難で、そこの教員をどこから連れてくるかということは非常に難しい問題であるはずだ。既存の大学から新しい学部に教員を連れてくるのであれば既存の大学の教員組織が弱体化する。そこをどうするかという問題があるので、単に養成数を増やすというのであれば、普通は既存の大学の定員を増やす方がよりコストがかからない方法。実際、医師についてはそういう方法をとって供給数を増やしている。そういった選択も含めて政策的に考えるべき問題だと考える」。

青山  「要は既存の体制の強化でやりたいと。それができるならいいが、それだったら今の水増しのような事態が起きるはずがない。加戸参考人はいかがか」。
加戸  「特区の申請をしてから何回も門前払いをくらいました。色々な方策で模索しましたが、一番強い反対は日本獣医師会でありました。当時、あの、直接接触はございませんでしたけど、ホームページでは専務理事が、まあ今治の獣医学部新設に関して、けちょんけちょんの論陣を張ってられまして、その中でも、要するに「養成はちゃんとするから余分なことはするな」と言うのが基本でありました。

 で、当時から私が大変疑問に思いましたのは、まず獣医師の養成が、私はこういう言葉を使いましたけども、箱根の関所から東は関東と言ってました。箱根の関所から東で8割の入学定員があり、箱根の関所から西の方には2割の入学定員しかなくて、しかも私学は水増し入学をしますから、実質的には養成される獣医師の数は箱根の関所から東は80数%、場合によっては90%近くがそちらで挑戦致します。

 四国は空白区で、獣医師が確保できない、県知事としていろんな対応をしても、とにかく例えば地方公務員は競争試験が原則ですけども、獣医師はもう無試験でもいいから、どうぞそうぞと言っても来ていただけない。で、獣医師会の反対は何かといったら処遇しないからだと、じゃあ愛媛県だけは、あるいは四国は獣医師の給与体系を、国家公務員の獣医師を上回る体系を作ることはできるのか。それは、じゃあ獣医師が充足されたときは給料を下げるのか、という給与の問題の良し悪し見れば、給料が安いから行かないんだよだとか、奨学金出さないから行かないんだよ、全部東京に来て養成したら帰すからと、そういうことでいいのかなって事が一つ、それから、新しい学部はできないと言って、それが反対されながら見てました。
 「同時並行で鳥インフルエンザ、狂牛病、口蹄疫等々の関係で、何とか公務員獣医師が足りない、来てもらえない、この状況。四国の空白地。研究機関もないなか何とかしなければという思いがある中、私の指南役であるけど、アメリカで獣医学部発祥の地といわれているコーネル大学に留学にし、その後ジョージタウン大学の客員教授として6年間勤務した方が、アメリカと往復してまさにアメリカは国の政策として、国策として人畜共通感染症の防止。アメリカは牛で食べている国ですから、畜産業は生命線ということもあるから、国策として取り組んで獣医学部の増員を図り新設を認めている。こんな歴史の流れの中に日本は遅れているんだよねと」。

 コーネル大学は、農学、獣医学などは世界最高峰と評されて、細菌兵器(生物化学兵器)研究で高名だ。超右翼カルト勢力「日本会議」を支持母体とする安倍晋三首相、加計孝太郎理事長、加戸守行前愛媛県知事は、コーネル大学に範を取り、何をするつもりなのか?
 でも、自分たちはどうであったのかと申し上げますと、大変恐縮ですけども、大学教授の定員は10年前と今日と変わらないままで、アメリカは必死にやっているのに、据え置いたままで新しいのは作るな作るなと、で、今回のケースにしましても、はるかに多い獣医学の教官を作って感染症対策なり、あるいはライフサイエンスなり、あるいは動物実験による創薬の研究なりと、幅広い学問をやるスタッフを揃えようと思っても、それをブレーキをかけるというのは私には理解できない。それならば自分たちで何故、この10年の間にアメリカに遅れないように、スタッフを揃えないんですか、今のままで置いておいて今治には作るな作るなと言う、これは余りにも酷いではないかと言うのが私の思いでありました。
 少し時間を頂戴してよろしければ、私の知事の任期の終りのほうに、民主党政権が誕生して、『自民党じゃできないので私たちがやる』と言って頑張ってくれました。対応不可の門前払いから、実現に向けての検討とレベルアップしました。ああ、良かったね、で私は次の知事にバトンタッチしました。ところが、自民党政権に返り咲いても何も動いていない。何もしないでいて、ただ今治にだけブレーキをかける。それが既得権益の擁護団体なのかっていう悔しい思いを抱えながら参ってまいりました。

 そして国家戦略特区で取り上げられ、私も昔取った杵柄で今、今治市の商工会議所の特別顧問っていう形で、この応援団の一員として参加しております。それを眺めながら、大切なことは欧米に後した先端サイエンスと感染症対策と封じ込めと、私たち日本人の生命がかかるこの問題を、欧米に遅れないような獣医師を養成しなければならない事に手を加えないでおいて、今治はダメ、今治はダメ、加計ありきと言うのはなんでかなと思います。

 私は加計ありきではありません。加計学園がたまたま、愛媛県会議員の今治選出の議員(註、本宮勇議員のこと)と加計学園の事務局長が、お友達であったからこの話が繋がれてきて飛びつきました。これもダメなんでしょうか?お友達であればすべてダメなのか? そんな思いで眺めながら、今日やっと思いの一端をこの場を借りて申し上げさせていただきました」。
青山  「愛媛県今治市に新設することについては閣議決定や国家戦略特区をめぐる議事録、公に公開されているものを丹念に調べていけば経緯ははっきりしている。経緯について現職の時に詳細にご存じだったか」
前川  「私が現職で仕事をしている中でも見えない部分がたくさんあった。どうして30年4月開学が大前提なのか。ここについては合理的な説明はどこにもない。結局は官邸の最高レベルがいっていること、総理のご意向であるというような説明しかなかったということがあって。内閣府の方で説明いただかなければならない部分だが、文科省からはあずかり知らない部分はたくさんあるので私が承知していないことは多々ある。

 しかし日本再興戦略改訂2015で、平成27年6月に閣議決定された4条件がある。これは閣議決定である以上、内閣の一員として守らなければならないもの。この閣議決定の中で4つの条件があるわけで、文科省としては4つの条件を満たす必要があるということをずっとこだわった。文科省としては4条件に照らして今治市から出てきた提案は条件を満たすものではないということを主張しているが、そこから先の議論になっていない。そこから後はとにかく決めると。4条件は満たしたと誰かが決めてしまったと。文科省としてワーキンググループで条件を満たしていないという主張をしていることは(議事録を)読めば分かる。

 これをもって挙証責任うんぬんといわれるのはおかしい。まず政府内での議論の中でどちらが先に必要性を述べるかというのは、挙証責任をまずどちらに負わせるかというのはあるかもしれないが、その結果として内閣府が勝った、文科省が負けた、だから国民に対して説明しろと。これでは国民に対しての説明にはならない。挙証責任があるかということと国民に対する説明責任は全く別。国民への説明責任は政府一体で負わなければいけない。議論に負けたから文科省が説明するんだと、こういう議論にはならないはずだ」

青山  「本音のところで前川さんを信用したいが、今の話は非常に不可思議な話。挙証責任を持つということと国民に説明するということは別だという話をしたが、別だったら民主主義は終わり。何のためにこの審議をやっているのかも分からない。話をすり替えたのは前川さんの方であって。そういうことは何かの志を持って話しているのであればなるべく避けてもらいたい。加戸参考人にもうかがう」。
加戸  「文科省も時代の進展、国際的な潮流を考え、これでいいのかということは常に自問自答しなければいけない。私自身が今回の問題にタッチして、それがはね返され、年月が経過するたびに、当時、同時並行で、例えば薬学部、これは医薬分業がありまして、いっぺんに入学定員が6000人近く増えました。大学の数も2倍近く増えました。 でも、そのことに関して需要がどうだ、供給がどうだ、挙証責任がどうだ、誰も問題にしていなかったと思います。で、いま、何が起きているかというと、今後何万人という薬剤師の過剰供与、それをどうするかが深刻な問題になっています。かたや獣医学部はびた一文駄目だと。少なくとも私の知る限り提案した時点から東京の私学の獣医学部は45人とか50人とかの教授陣容のままで、時代の進展に対応しないまま、今日に来ています。

 その中で今治で計画している獣医学部は72人の教授陣容でライフサイエンスもやります、感染症対策もやりますと、さまざま形での、既存の医学部の一分野でやられているかもしれないが、そういう意欲を持って取り組もうとしているのに、その、なんと言うんでしょうか、イビリばあさんじゃありませんが、薬学部はどんどんつくってもいいけど獣医学部はびた一文駄目だと。こんなことはこの国際化の時代に、欧米に遅れてはいけない時代に、あり得るんだろうかというのが私の思いで参りました。へ理屈はいいんです。

 私は霞が関で30数年、生活した。省庁間折衝がある。自分の思いを省を代表して激しい言葉も使い、場合によって虎の威を借るキツネのような発言もあり、でも事柄が決着した後は酒を酌み交わして、決まったことは次の施策に向かっていく。これが霞が関の文化だった。今回は霞が関の文化が感じられない。時代が変わったのか。少なくとも国民にとって時代の潮流の中で、どこが何を求めているのか、それに対応するにはどうすればいいのかを考えることであって、私は本質の議論がされないままにこんな形で獣医学部がおもちゃになっていることを甚だ残念に思う」

青山  「獣医師養成の機関を含めて学校の許認可権はすべて文科省にある。だから学校は天下りの文科官僚を受け入れ、文科省は次官以下が学校への天下りを法を犯してでも進めたから、前川氏もこの(天下り)問題で辞任した。既存の学校だけを守ろうとする姿勢と天下り問題は密接につながっているのではないか。既得権益をありとあらゆるところが一体で守ろうとする日本の闇につながっているのでないか。妥当な規制緩和であってもやらないというのが今の文科省の姿なのではないか」。
前川  「国家戦略特区の今治市における獣医学部の設置の問題、この問題をめぐる議論と天下り、再就職規制違反にかかる問題、これを結びつけて議論するのはおかしいと思う。仮に結びつけるのであれば具体的内事例は木曽(功)理事の問題。木曽理事は内閣官房参与の身分を持ったまま加計学園の理事になっていて、2つの肩書を持った状態で私のところに来て、加計学園の獣医学部の新設に向けて働き掛けをされた。こういうOBによる現役に対する働き掛けは天下り問題の弊害の一つの端的な例だと思っている」。
青山  「結びつけなければいけないと思っている。文科省はこのほど文部科学白書を発表した。冒頭の3ページに異例の言葉が入っていて、組織的な天下りの問題について省を挙げて猛省する。国民に謝罪して3人の事務次官経験者は、前川さん、あなたを含めて、斡旋の構造作りや運用に関わっていた責任を極めて重く受け止め停職相当の評価としたと、そう書かれている。後輩の方々が苦しんで書かれた文章を、今の答弁は裏切っているのではないか。加戸参考人、どうぞ」
加戸  「本質の議論がされないまま、こんな形で獣医学部がおもちゃになっていることを甚だ残念に思います」。
加戸  「ありがとうございます。若干感情が高ぶって思いの丈を申し上げ過ぎました。ただひとつだけ触れていなかったことがございます。様々なことがございましたけども眺めながら、6月13日の国家戦略特区諮問会議の民間有識者の委員の方々が記者会見をして、私は人に知らされてインターネットのユーチューブで1時間半拝見させていただいて感激しました。特に今回の規制緩和に関して、心に一点の曇りもなくやったということで、これが今回の大きな事件の結論だったんだろうなと。これが国民に知ってもらうべき重要なことだなと私は思いました。たくさん今まで私のところへ取材がありましたけれど、都合のいいことはカットされて、私の申し上げたいことは取り上げていただいたメディアは極めて少なかったことを残念に思いますけど、あのユーチューブが全てを語りつくしているんではないかなと思います」。

【7.10日の里見隆治参院議員(公明)質疑】
 「実際の証言書き起こし」、「加戸守行氏「『加計ありき』と言うが…12年前から声をかけてくれたのは加計学園だけ、東京の有力私学は、けんもほろろでした」、産経新聞「閉会中審査=参院=詳報(5)、加戸守行氏「『加計ありき』と言うが…12年前から声をかけてくれたのは加計学園だけ」「東京の有力私学は、けんもほろろでした」。

 (里見は里見隆治参院議員(公明)、前川喜平・前文科事務次官、加戸守行・前愛媛県知事
里見  「本日は前愛媛県知事の加戸守行氏に参考人としてご出席いただいています。獣医学部設置の要望実現に向けた参考人の思いを教えていただきたい」。 
 「10年前に獣医学部新設に取り組んだ私を参考人に呼んでいただきありがとうございます。安倍総理にあらぬ濡れ衣がかけられているので、何とか晴らせればと思います!(安倍晋三首相にかけられた、あらぬ濡れ衣を晴らす役に立ちたい)」、「他の大学にも当たったが、反応がない。今治にとって黒い猫でも白い猫でも獣医学部を作ってくれるのが一番よい猫だ」。
加戸  「獣医学部誘致に至ります間に、いくつかのことがございました。まず1つは、私が知事に着任しましたときに、今治市は新都市開発構想がありましたけれども、神棚に上がったままで動いていませんでした。私の最初の仕事として、今治市とタイアップして、新都市整備事業に取り組みまして。2つの地区がございまして、1つは商業産業地域、1つの地区は学園都市構想地域。今治に若者の街で学園都市ができないかということがありました。そして、これは地元大学の誘致などもございまして、話も進みかけましたが、話がポシャりまして、結局土地だけがあって、学園都市構想が宙に浮いた状態でありました。

 もう一つは私が知事に着任早々、鳥インフルエンザの問題、あるいはアメリカでの狂牛病の問題、(知事の)終わりの時期には口蹄疫の問題等々で、愛媛県で公務員獣医師、産業担当獣医師の数の少なさ、確保の困難さ、そして獣医大学部の偏在等々の状況。そしてアメリカの適切な対応などを見ながら、日本も遅れているなと思っていたときに、ちょうどたまたま加計学園が今治の新都市への進出という構想を持ってこられたので、渡りに船と、この獣医学部構想で取り組んでいただいて。単に獣医学部ということでなくて、アメリカに見習って、先端サイエンスなり、あるいは感染症対策なり全てが国際水準に負けないような新たな分野に取り組む獣医学部として、国際的にも恥ずかしくない拠点にもしたい。そして、国際的に通用する獣医師をということで、今申し上げましたとおり、新都市開発と若者の街、そして今治が国際的な獣医師の育成ということで飛躍できるのではないか。そして、愛媛の問題も含め、あらゆる一石二鳥、一石三鳥の思いでチャレンジをしようと決心をしたわけでありますけども。  

 それが、堅い堅い岩盤規制に阻まれながらいろいろ勉強しつつ、あそこもだめか、これもだめかといいながら、しかし、日本の少なくとも私が見る限り、獣医学部は10年以前と今日まで変化しておりません。アメリカに、あるいはイギリス、ヨーロッパに10年遅れていると私は思います。10年の後れを取り戻す大切な時期だと、そんな思いできょう、今日も参上させていただいたわけでありまして、その事柄はそんな意味での地方再生。東京一極集中ではなくて地方も頑張るん、地方も国際的拠点になり得るんだよと。そういうもののモデルケースとして、愛媛県の、今治の夢を託している事業でありまして、『加計ありき』と言いますけど、12年前から声をかけてくれたのは加計学園だけであります。私の方からも東京の有力な私学に声をかけました。『来ていただけませんか』と。けんもほろろでした。結局、愛媛県にとっては12年間加計ありきでまいりました。いまさら、1、2年の間で加計ありきではないのです。それは、愛媛県の思いが、この加計学園の獣医学部に詰まっているからでもあります」。

里見  「最近の国会やマスコミにおける議論をどのようにごらんになっているか」。
加戸  「私は提案をした当事者としまして、次の知事にバトンタッチした段階では、民主党が積極的に取り組んでいただいて、これでうまくいくのかなと思っていた状態が、また自民党で、申し訳ありませんけど、元戻りした印象で非常に残念に思っていた。

 最近の議論などを拝見しておりますと、本質論の議論ではなくて、単に手続き論だけが先行している。そういう意味では愛媛県の思いとか、今治市の思いとか、日本の未来、あるいは感染症対策の国際潮流とかそういう大きな議論をしていただくのが国政の場ではないのかなということで、ある意味で寂しい思いをしながら、歯がみをしながら、でも、よくぞ決断をしていただいたという意味での国家戦略特区に感謝を申し上げながら、本当はみんなで見守りながら育てていただく。これが本当のあるべき姿ではないのか。そういう議論がほしいなと思いながら拝聴してまりました」

里見  「前川喜平前文部科学事務次官が『行政がゆがめられた』とおっしゃっている。事務方トップとして納得できなかったとうかがえるが、この点はいかがか」
前川  「構造改革特区のスキームを使ってですね、愛媛県今治市が長年に渡って提案繰り返してこられた。その粘り強さと言いますか、その頑張りはある意味、敬服するわけでありますし、本当にお疲れさまでしたと(旧文部省OBである)加戸先輩にも申し上げたいのですが、しかし、それと政策としてどう判断することは別物であると考えていますし、ある意味、文部科学省としましては先輩に対してもですね、非情にですね、情け容赦ないといわれるかもしれませんが、きっぱりと断ってきたという経緯がありますので。これはやはり、政策としてこれまで獣医学部の定員を増やすという理由がないと判断してきたわけでありますし、その際には農水省などとも十分議論をしながら進めてきたとこういう経緯があるわけであります。

 今回、この国家戦略特区で認めるということの議論をする中で、やはり将来的な人材受給というものを踏まえて議論しなければならない。これは当然なことだと考えていましたし、やはり農水省、あるいは農水省が手に負えない新しい分野であれば厚労省も加わって、きちんと政府部内で政府部内で議論するというプロセスが必要だったと思います。

 さらに、加えて国家戦略特区で、獣医学部を認めるかどうかを検討するかにあたっては4つの条件が示されているわけでありますし、その中で既存の獣医師養成でない構想を具体化するというのが必要であり、またライフサイエンスなど、獣医師が新たに対応すべき分野における具体的な需要が明らかになって、それが既存の大学では対応が困難だと、そういう条件を付した上で政府全体の議論をしていたわけでありますから、その4条件を満たすかどうかはきちんと議論しなければならなかったわけでありまして、それが十分できていない。 今治市からの提案もございました。昨年の6月に愛媛県の局長さんが来ていたわけですが、その提案がありましたが、文科省は『4条件を満たしていない』と申しおりますし。9月にも加戸先生が提案をされていますけども、これについても『4条件に照らして疑問がある』と、これが文科省のスタンスでございました」。

里見  「長年熱意をもって要望してきた地域を足げにするのではなく、一緒にやっていこうという政府の姿勢が重要だと感じる」。
加戸  「こと大学設置に関しましていろんな歴史等々もあるんでしょうけれども、私は自分で地方で現場を預かる立場にたって、この獣医師問題を考えたときに、あまりにも文科省の従来的考え方、硬直的だなと正直思いました。今、大切なことは国民がなにを求め、国は何を必要とし、どの分野でどんな人材が求められているかの時代であって、単なる一定の既得権益団体の主張だけに偏って、現状を守ろうとするその動き自体が不思議でありました。

 一方において告示の対象から外されていない薬剤師は5000人も6000人も増えていく。こんど、ちょっと作りすぎでないかといっても、需要がありますと、需要が出てきたわけでないでしょうと。単に告示の対象になっているかいないかでこれだけの差がつくのかなと。もし、国のことを考えるなら日本で獣医学部はこれでいいのかと。既存の大学も今度作ろうとしている大学を見習って、あと教官を20人増やしなさい、30人増やしなさいという指導があってしかるべきではないのかなと。私は、県を預かった立場から考えて、ちょっと国民的感覚と文科省は乖離(かいり)してきているのではないのかなと。それが今回の国家戦略特区、特に獣医師問題を通じて感じたところでございます」。

 「現在、『今治は駄目、今治は駄目、加計ありき』と言われることについて、『何でかなと思ってしまう』。私は、加計ありきではありません。たまたま、今治選出の議員と加計学園の事務局長がお友達だったからこの話が繋がってきて、飛びついた。これもダメなんでしょうか。お友達であれば、全てがダメなのか」。

【加戸発言スルーの奇怪】
 2017.7.12日、参詣新聞記事「加戸氏発言、報じぬ朝毎」、「行政がゆがめられた実例とは 朝日・毎日の紙面では“存在しなかった”加戸氏証言 論説委員兼政治部編集委員・阿比留瑠比」ほか参照。

 このような発言を繰り広げた加戸氏の答弁が隠蔽され、前川発言が大きく報道された。在京各紙の翌11日付朝刊を読むと、官邸の不当な関与を主張する前川喜平・前文部科学事務次官の発言を大きく取り上げた。一方、加戸氏の発言は「神隠し」され報道の“印象操作”が浮き彫りとなった。特に朝日新聞と毎日新聞は、閉会中審査に関して大きく紙面を割いたにもかかわらず、一般記事の中で1行も加戸氏を取り上げなかった。

 朝日新聞は1面トップの記事に「加計ありき 疑念消えず」の見出しで、前川発言を掲載した。「(政府の)説明責任はなお果たされていない」と強調した記事の隣には「『首相信用できない』61%」とする同社の世論調査結果を添えた。2面では「『丁寧な説明』なき審議」との見出しで、安倍晋三首相らがいなかったことを指摘し、3面では「加計巡り説明不足」と政府側の説明は足りないと断じた。一方、加戸発言を引き出した自民党の青山繁晴参院議員の質問を掲載せず加戸発言が「神隠し」された。毎日新聞も「加計 論戦平行線」と1面トップで大きく報じる中、加戸発言を「神隠し」した。東京新聞は社会面で加戸氏の発言を取り上げたが、同氏の発言の肝である「ゆがめられた行政が正された」の部分を記載しなかった。一方、産経新聞と読売新聞、日経新聞は「行政がゆがめられた」という前川氏の主張に対し、加戸氏の「岩盤規制にドリルで穴を開けていただいた。『ゆがめられた行政が正された』が正しい発言ではないか」との発言を記事で取り上げた。加戸氏は閉会中審査で「今までたくさんの取材があったが、申し上げたいことを取り上げてくれたメディアは極めて少なかった」と訴えていた。

 この問題につき、自民党の三原じゅん子参院議員は7月11日14時過ぎに更新したツイッターで次のようにつぶやいている。
 「昨日の閉会中審査の模様が報じられていますが、どの番組も平井卓也議員と青山繁晴議員の質疑はスルー。加戸元愛媛県知事も大事な事話してるのに、、、」。

 加戸発言は逆にインターネット上で大きな注目を集めた。その踏み込んだ訴えの内容に賛否の大きく分かれた意見が出ている。加戸氏の答弁を支持するユーザーからは、「加戸さんの話は響くものがあった。地方は何か打って出なくてはいけないのに、野党も前川さんも規制で閉めだすことばかり」、「加戸元知事の切実な訴え聞くとこの問題の本質って既得権益を持つ獣医学会との戦いなんだな…・て思う」といった意見が出る一方、今回の発言内容について、「県議と加計の事務局長がお友達で話が進んだと公平でないことを自分で言ってんだ」、「今治市に獣医学部の大学を誘致したいという彼の熱い思いと今回の政策プロセスの不透明性の間には何の関係もない」と否定的にみる意見もみられた。

【加戸守行・前愛媛県知事が産経新聞のインタビューでの加戸発言】
 2017-07-11 、「加戸守行前愛媛県知事「虎の威を借りないと役人は動かない」「国会は何を議論しているんだ、このバカ野郎と…」」。
 学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部設置計画をめぐり、誘致を進めた加戸守行・前愛媛県知事が産経新聞のインタビューで、文部省(現文部科学省)時代に部下だった前川喜平前文科事務次官らについて語った。
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 平成22年に宮崎県で口蹄疫が発生した際には、愛媛県の港に検疫態勢を取り、入県する車と人は全部消毒し、四国への上陸を阻止した。全員が不眠不休でやったが、獣医師が足りないから(民間の)ペットの獣医師まで動員して助けてもらった。あのときほど獣医師がほしかったことはなかった。もう一回、口蹄疫が来たら、みんなぶっ倒れますね。

 当時、日本大学の総長は「加計学園が(今治市に獣医学部を)作っても、ろくな教育しません」なんて言う。だから「日大さん、来てくださいよ。うちはどこの大学でも関係ない。獣医学部が四国に来てくれればいい」と言ったんだ。

 事柄の本質を無視

 獣医学部が去年できていれば、誰も何も言わなかった話だ。それなのに、やれ「安倍晋三さんの友達だ」「テロ等準備罪は通さない」となって、マスコミがたたきまくっている。事柄の本質は愛媛でどれだけ獣医師がいなくて困っているかということだが、そんなことは知ったことではないということなのか? 安倍首相が加計学園と絶縁したら認めてくれるのか? (国会は)何を議論しているんだ、このバカ野郎と思う。

 前川は私の部下でした。非常に有能だし、気骨のある男で、今回のことは非常に残念だ。彼は大学の実情を知らないし、四国が公務員獣医師不足で苦しんでいるということは、耳に入っていなかっただろう。

 役人をやっていると、無理無体はある。私のときだと、昭和57年の歴史教科書検定事件(教科書誤報事件)だ。あれこそ、行政の筋を政治が曲げた。役人は全員我慢した。しかし、あのときに「行政の筋を曲げた官邸はけしからん」と言ってマスコミに出た役人はいなかった。政権を倒すことにつながるからだ。

 無理無体であっても、政治が優位であって行政は下なんですよ。大臣の下に事務屋がいる。どんなに無理なことでも、大臣が言うことは従うべきだ。教科書騒動のときも悔し涙を流しましたよ。政治の思惑なんて見え見えだったが、行政の筋が曲げられたと思っても言いませんでした。それが役人の矜持ですよ。

 「総理の意向」使う

 「総理の意向」という言葉は事務方レベルでは使います。私なんか文部省の現役時代は「大臣の意向だ」とか、「事務次官がこう言っているぞ」とかハッタリをかましました。虎の威を借りないと役人は動かないんですよ。
 「加戸守行・前愛媛県知事/民主政権なら設置実現していた。前川前次官は則を超えた」。
 学校法人「加計(かけ)学園」の新獣医学部設置計画をめぐり、愛媛県今治市への誘致を進めた加戸(かと)守行・前同県知事(82)が14日までに産経新聞のインタビューに答えた。加戸氏は、自民党政権時代は「対応不可」とされてきた獣医学部設置について、鳩山由紀夫内閣時代の平成21年の提案で「速やかに検討」へと方針が転換されたことを指摘し、「民主党政権があと2年続いていたら実現していた」と語った。

 また「民主党がうまくやりかけたものを、民進党がつぶしにかかっている。(安倍晋三政権は)粛々と胸を張って進めてもらいたい」と強調した。

 加戸氏は、知事時代の鳥インフルエンザや口蹄(こうてい)疫などの発生時に獣医師が足りず、志望者がなく県が公務員獣医師を採用できずにいたことを挙げた。文部科学省による新獣医学部の設置不許可などの岩盤規制については「獣医学部の定員は神奈川県以東が8割、岐阜県以西は2割。こんな規制が医学部にあったら暴動が起きる」と批判した。

 加戸氏の旧文部省時代の後輩に当たる前川喜平前文科次官が「総理のご意向」で「行政がゆがめられた」と証言したことに対しては「非常に残念だ。私も現役官僚時代は『大臣の意向』だとかはったりをかました。虎の威を借りないと役人は動かない」と述べた。そして「役人は大臣、政治に仕えるべきだ。(前川氏は)則(のり)を超えてしまったのか。岩盤規制を取っ払って、定員規制を外すことは行政をゆがめたことにはならない」と指摘した。 


【7.24日の続加戸発言】
 「加戸守行前愛媛県知事「橋下徹氏なら文部科学省解体論を唱える」岩盤規制に悩んだ過去を表現」、「【閉会中審査】加戸守行前愛媛県知事「橋下徹氏なら文部科学省解体論を唱える」岩盤規制に悩んだ過去を表現」。
 旧文部省官房長まで務めた 加戸守行前愛媛県知事は24日午前、学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設計画に関する衆院予算委員会の集中審議で、小野寺五典元防衛相の質問に次のように答弁した。「何度も岩盤規制に跳ね返される間に、『大阪府の橋下徹元知事なら文部科学省解体論を必ず唱えるぞ』と文科省側に迫った」、「正攻法ではムリなので(表門からは入れないので)通用門から入った」。

 愛媛県と今治市は平成19年から15回、構造改革特区制度を利用した獣医学部新設を政府に提案し、実現していなかったことに関して、加戸氏は次のように語った。「15戦全敗で引退勧告だ。(その後、)今治市が国家戦略特区で単独でやる中で、内閣府のがんばりと国家戦略特区諮問会議の英明なる判断で、やっと道にたどりついた」。

 加戸氏は、「既得権益擁護団体が強く働きかけ、岩盤が硬く固められ、役所の力では崩せない。農水省も非協力的だったことは、よく分かる」と文科省側に同情した。

 一方で、文科省とのやり取りの中で「四国で感染症に取り組む際に獣医学部は必要ないのか。米国はすでに感染症、ライフサイエンスの重要性を認識して獣医学部の大幅増員と新設に踏み切っている。国や世界が求めているものを考えてほしい。少し大きくなってほしい」と苦言を呈したことを明らかにした。その文脈の中で「橋下知事なら-」の発言が飛び出したという。

 公明党の上田勇氏の質問に答えた。


【7.25日の続々加戸発言】
 2017.7.25日、読売新聞記事「文科省OB批判の応酬…加戸前知事と前川前次官」、★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK229」のJAXVN氏の2017 年 7 月 25 日付投稿「閉会中審査 加戸守行前愛媛県知事がスバリ指摘「前川氏は想像を全部事実のように発言している。精神構造を疑う」(産経)」、 「加戸守行前愛媛県知事がスバリ指摘 『前川喜平氏は想像を全部事実のように発言している。精神構造を疑う』、『メディアは報道しない自由、印象操作は有力な手段』」その他参照。
 加戸守行元愛媛県知事の参考人発言「今治にとって黒い猫でも白い猫でも獣医学部をつくってくれるのが一番よい猫なんです」 。鄧小平の発した【名言】「黒い猫でも、白い猫でも、鼠を捕るのが良い猫だ」を引用。「正攻法ではムリなので通用門から入った形」。「お友達だから飛びついた。コレもいけないんですかぁ?」。
 7.25日、学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設計画を審議する参院予算委員会の閉会中審査が7.10日に続いて午前9時に始まった。審査には、加戸前愛媛県知事や前川氏が参考人として出席。グレーのスーツ姿の加戸氏は、前川氏と並んで座った。質疑応答者は、自民党の青山繁晴参院議員、前川喜平・前文科事務次官、加戸守行・前愛媛県知事 安倍首相、松野博一文部科学相
青山  「とてもご丁寧な説明をいただいた。岡山理科大学獣医学部のための土地は、今治市に学園都市構想があって、すでに用意されながらどこの大学もこなくて空き地になっていた土地、そのことでよろしいか」
加戸  「このことにつきましては私の思い入れもあるのは、知事に就任した時点ですでに何十年も前から今治には学園都市構想を持っていて、いうなれば新都市整備事業として森林を開発して整備してそこに学園都市を造ろうという構想があったが神棚に上がったまま眠っていた。私は知事着任早々、今治市の尻をたたいて一緒にやろうよと 旧建設省に参上し、都市整備公団に参上し、やっとの思いでゴーサインをいただいた。その年には今治市の土地の買収に係り、翌年には都市整備公団の現地事務所も設置され、工事を設計から開始した。大学の誘致など、話がまとまりかけてはつぶれとまったく、整地をされてスタンバイしているが来ていただく大学が存在しないという空白地域の状態で、そこを何とかしたいというのが出発点だった」。
 「同時並行で鳥インフルエンザ、狂牛病、口蹄疫等々の関係で、何とか公務員獣医師が足りない、来てもらえない、この状況。四国の空白地。研究機関もないなか何とかしなければという思いがある中、私の指南役であるけど、アメリカで獣医学部発祥の地といわれているコーネル大学に留学にし、その後ジョージタウン大学の客員教授として6年間勤務した方が、アメリカと往復してまさにアメリカは国の政策として、国策として人畜共通感染症の防止。アメリカは牛で食べている国ですから、畜産業は生命線ということもあるから、国策として取り組んで獣医学部の増員を図り新設を認めている。こんな歴史の流れの中に日本は遅れているんだよねと」 。
 「私は学園都市としての今治の若者の活気あふれる街にしたいという今治の願いと愛媛県が困っている、四国が困っている、公務員獣医師、大動物獣医師の確保の問題。それに国際的な潮流に合わせて、今は小さいかもしれない、これだけ立派に育つであろう世界に冠たる感染症対策、あるいはライフサイエンス等々、あるいは動物実験を通じた創薬の分野で鍛えられた若者が愛媛のため、四国のため、日本のため、そして世界のために活躍するんだ。今治が誇れる大学、その3つの願いを込めて今治市民、愛媛県民の夢と希望と未来を託してチャレンジして参りましただけに、悲願10年の手前で白紙に戻せと何だという議論が出ていると、また、10年待たされるのかなと。アメリカより10年遅れている。20年も遅らせるようなことはそれは日本国家の恥だと思っている」
青山  「総理として当事者の加戸参考人が明らかにした経緯は、どのようにお考えか」 。
安倍  「加戸前知事がおっしゃったように、まさに昭和41年を最後としてその後、獣医学部は全く新設されていないわけであります。それから半世紀が経過をして、鳥インフルエンザの問題あるいは口蹄疫の問題、動物から動物、動物から人に移る伝染病が大きな問題になっています。この問題に対応するために、専門家の養成、あるいは公務員獣医師の確保は喫緊の課題であります。それでもですね、新設を認めない。時代の変化に対応できない制度ならば、その制度こそがゆがんでいると考えるわけでありまして。時代のニーズに合わせて規制を改革していくことは、行政をゆがめるのではなくて、ゆがんだ行政を正していくことだろうとこのように思います。岩盤規制改革を全体としてスピード感持って進めていくことは、これはまさに今もそして今後も私の総理大臣としての強い意志であります。当然、今、加戸さんも一生懸命頑張ってきたけども、こんな議論になっていることは残念だとおっしゃっていました。だからこそ、プロセスは適切、適正でならないわけであります。国家戦略特区は、民間人が入った諮問会議、そして専門家も交えたワーキンググループでオープンな議論をし、議事録もちゃんと残していきます。また、文部科学省をはじめ、関係省庁はそこに出ていって主張できる点は主張できるわけであります。そしてまた告示なども出しますが、告示もですね、関係省庁が合意をしながら進めていくというプロセスになっている訳でございます。まさにこの適正なプロセスの上、今回の規制改革も行われたものでございます。ただまだ、多くの国民の皆様にご納得いただいていないのは事実でございますので、事実にわれわれは基づいて丁寧に説明を続けていきたいとこのように思っています」。
青山  「7月10日の閉会中審査で、加戸参考人が経緯を含めて、とても分かりやすくお話しいただいたが、ほとんど報道されませんでした。僕という国会議員がこの世にいないかのような扱いになっていましたが、それは、有権者には申し訳ないけどはっきりいってどうでもいいことであります。問題は、当事者の前川参考人と並んで、一方の当事者の加戸参考人がまるでいなかったがごとく扱われたということ。加戸参考人は、今回のメディアの様子を含めて、社会の様子をどのようにお考えか。どうぞご自由にお話ください」 。
加戸  「披露しなければ気が済まないから申し上げます。私も霞が関で三十数年生活して、私の知る限り今まで、メディア批判をして勝った官僚、政治家は誰一人いないだろうと思っていますし、ここで何を申しても詮ないことかなとは感じますが。

 7月10日の証人喚問の直後に、私はその晩、イタリア旅行にでかけまして、日本のことを知りませんでした。10日間旅行して帰ってきたら、知人から『日本では報道しない自由というのが騒がれていますよ』と。『なんですか』と聞いたら、なんか一覧表を見せられまして、加戸参考人の発言を紹介したマル、サンカク、バツで、新聞メディア、テレビ等の勤務評定がありました。ああそうなのかな、と。

 私は役人時代から慣れっこでございますから、まぁ当然そうだろうな、と思いながら...。ただ、
報道しない自由があるということに関しても有力な手段。印象操作も有力な手段。で、そのことは、マスコミ自体が謙虚に受け止めていただくしかない、であることですけれども。私は自分の後輩ながら精神構造を疑いました。でも、そのリスクを犯してまで云わなければならない、作り話をしなければならない、彼の心情が私には理解できない。できうるんば青山議員からご質問いただければと思います」。
(私論.私見)
 (この「報道しない自由」発言に対しても、7月26日朝刊(東京本社最終版)で発言を報じたのは毎日新聞の「詳報」の記事のみ。産経新聞はウェブサイトで発言を伝えたものの紙媒体には載らず、読売新聞はウェブサイトにも紙媒体にも載らずスルーした。報道の自由ではあるが、政治的立場によって「知らさない自由」幅が大きく加減されていることになり、公正報道の見地から問題にされるべきだろう)
加戸  「このことに関してあえて申し上げなきゃならないことがひとつあります。あるテレビ局の取材に基づく報道で、その中身に関して、そのこと自体はどうこういうわけじゃありませんが、取材に応じられた前川参考人の発言で、報道のときにはカットされた部分があります。このことについて、この場において安倍総理がこんなに窮地に立っているときに、このことは指導しなければ気が済まないから申し上げさせていただきます。

 東京のテレビ局のキーステーションの系列局から取材がございました。東京で取材を受けることになり、テレビ局がカメラ2台、記者2人、そして私のあばらやにきていただいて、立会人は私の妻ひとりです。その場でなんでカメラ2台かと思ったら、1台は前川参考人を取材したビデオの映像で、私に見せながら、このことに関して加戸さんに取材したいんだということでした。

 いうなれば、教育再生実行会議に安倍総理に頼まれた私が加計問題を取り込もうという構図になっているわけでありました。私が笑い飛ばした部分はカットされましたから、多くの国民には分かりませんけど、獣医学部新設の疑惑追及かなんかというタイトルの番組だったようだが、翌日のHPに載っていましたが、そのHPには画面に私の画像とテロップが流れ、その下にはご丁寧に教育再生実行会議の議事録のコピーまで載っていますから、よくみていただくと分かるんですけども、『加戸さんは安倍総理と加計さんの友人関係をご存じでしたか』というから、『全く知りませんでしたよ』という話から始まって、教育再生実行会議の委員について『なんでお受けになったんですか』というから、安倍総理から『教育の再生を安倍内閣の重要事項として取り組みたいから加戸さんの力を借りたいとお話でしたので、喜んでお受けしました』と。

 その後がカットされた部分で、前川参考人が、(加戸氏が2013年1月から第1次安倍晋三政権で教育再生実行会議の委員になったを務めているが、その理由について)『あれはですね、安倍総理が、加戸さんに加計学園の獣医学部の設置を、教育再生実行会議の場で発言してもらうために頼まれたんですよ』と述べています。さらに、前川氏は、『私もその会議に出席していたが、(加戸氏は実際に)唐突に発言していた。加計学園(の名を)、しかも2回にわたって』と述べています。記者が、『この前川発言はどうですか』と(振ってきましたので)、私は高笑いしました。『そんなことあるわけないじゃないですか』と。安倍首相の「意向」を受けて実際に会議で発言したかのようなインタビューになっていましたが、加戸氏はその場で記者に否定し、「安倍首相が加戸氏に頼んだ」という場面は報道されませんでした。

 その部分がカットされたことにつき、私は考えました。このまま報道すれば、おそらく安倍総理から名誉毀損の訴えを提起される恐れなしとしない。私は踏みつけられてもいいけれども。
(解説)  本件につき、教育再生実行会議の議事録によると、加戸氏は13年5月と10月、15年1月の会議の席上、「何回も特区でチャレンジしたが、全部けり飛ばされた」などと発言し、愛媛県への獣医学部の設置などを訴えてきた。ただ、「加計学園」には言及していない(とある)。
加戸  私は彼を買っています。それは、私が愛媛県知事のときに小泉純一郎内閣が三位一体改革をとり、義務教育国庫負担制度の廃止を打ち出して大もめにもめて、球を丸投げして全国知事会で結論を出してくれといったときに、数少ない勇者を語らって徹底抗戦しました。十数人が反対しましたが、全国知事会では3分の2の多数決でこの理不尽な廃止制度が全国知事会で認められました。そのとき、当時文部省の初等中等教育課の課長として、前川参考人は、ブログの中で徹底してこれを批判して、あえて職をとしてまで義務教育国庫負担廃止に反対の論陣を張ってもらった気骨のあるすばらしい人材で、嘱望しておりました。彼が事務次官になったときには私は一番うれしかったです。本当に文部省を代表して気骨を持ってすばらしい次官が誕生したと思った。
 (「行政がゆがめられた」と主張する前川喜平前文部科学次官に対して) 私は前川氏を買っているが、なぜ虚構の話を全国テレビで話すんだろう。その後も、想像が全て事実であるかのごとく発言をしている。そのことが国民をそういう方向に持っていくことになるんじゃないのかという危惧を持ちながらあえてこの場で言いました。報道の批判をしません。良識をもってカットしたテレビ局の判断には感謝します。(問題は前川氏の方で)そのリスクを冒してまで作り話をしなければならない彼の心情が理解できない。そこまで想像をたくましくしてモノを言われる方なのかな』。でも、このことは総理補佐官ご発言メモが残っているわけでもあるまいし、なんでそんなことをおっしゃるのか。(彼は)安倍首相をたたくために、そこまでして全国に流れるテレビの取材に応じている。私の取材ができなければナマで流れていたかもしれない。『自分の後輩ながら精神構造を疑った』。
(ト書き)  これに対し、答弁に立った前川氏は座っている加戸氏に振り向きながら次のように述べた。
前川  「いや、これは誤解だと思います。私はメディアの取材に、加戸委員が教育再生実行委員になられたことについては、総理直々のお声がけがあった。ご指名があったと、こういう経緯は話したことがあります。それから教育再生実行会議の席上、愛媛県今治市に獣医学部を作りたいという発言が2度にわたりあったのは、陪席しておりましたので、聞いたわけですれども、そういう発言があったと、その事実は伝えたことがあります。この事実は議事録に残っているいるわけでございますけども、しかしそれはですね、総理に頼まれてその発言をしたんだというようなことを、私、言った覚えはありません。あのう、それは、恐らく私あの、まさかその加戸先輩がですね、あのぅ事実を捏造するとは思いませんので、誤解があると思います。まぁその点はちょっとあのぅまっメディアもそれを考課してくれているのかどうか分かりませんけれども。チェックしていただければ分かると思います。(加戸氏は首を横に振った)

 加戸前知事が本当に熱意を持って加計学園の獣医学部誘致に努められて、その念願がかなったということはご同慶の至りだとおもっておりますけども、しかし、その加計疑惑と言われるものは、やはり加計ありきで、国家戦略特区という仕組みが、そのために曲がった形で使われたんじゃないかと。さまざまな条件を付すことで、結果的に結論ありきのところに持っていったと。そういうふうなとこに問題があるわけでございまして、そこのところをきちんと解明することが大事であってですね、加計学園ありきだったのは間違いないわけでありますけども、愛媛県や今治市が、一生懸命やっておられたことは、これは事実として認めなければならないと思っています」。
(解説)  前川氏と和泉洋人首相補佐官の間で、和泉氏が「総理が言えないから」と言った言わないの水掛け論になっているが、こちらも同じ事態になってしまうのか。
青山  「政府にも大きな問題があった。こうした経緯であるということを正面から説明せず、経緯の中で現れた文書を最初は見つからなかったといい、後で見つかったといい、普通の国民からしたら隠蔽やごまかしがあったのではないかとむしろ正当に疑わせたことに大きな問題がある。なぜこのようなことがあったのか。どう改善するのか」。
松野  「民進党などから提示をされた文書について調査した。当該文書の存在は確認できなかったと調査結果を5月に発表した。その時点においては調査方法に関して一定の合理的調査だったと考えていたけど、しかしながら追加調査を行うべしという国民の声を真摯に受け止め、さらに対象のファイルを広げ、ヒアリング対象を広げた結果、前回か確認できなかった文書の存在が明らかになったのが事実関係。この経緯に関しましても申し訳なく思っているし、私としても真摯に受け止めている。今後、文書の作成、管理の在り方の改善、職員の意識改革等に取り組み、取り組んで参りたいと考えている」。
青山  「総理はどのようにお考えか」。
安倍  「内部文書をめぐる調査について国民の皆様の政府への不信を招いたことは率直に認めなければならないと思います。国民の皆様から大きな疑念を抱かれたこの原因を冷静に分析してみますとですね、内閣府と文部科学省の間でさまざまな省庁間の調整が行われたわけでありますが、直接行われておりまして、第三者が加わっておりません。当事者の間だけで言った言わないの水掛け論になっております。こうした 省庁間の調整プロセスが透明性に欠け、国民的な疑念を招く大きな要因だと考えております。省庁間の細かい点の調整も含め、さらなる透明性の向上に運用強化を検討していきたいと思います」

【森喜朗元首相の加計問題の「真相」発言】
 WEB編集委員のつぶやき」。
 森喜朗元首相が産経新聞紙上で語ったインタビューも加計問題の「真相」に迫っている。

 「『加計学園』の獣医学部新設をめぐる風当たりは相変わらず強いな。あの真相を一番知っているのは愛媛県の加戸守行前知事だ。僕は文教族だったから彼が文部官僚だったころからよく知っているんだよ。彼は国会でもいろいろと重要な証言をしてるんだけど、産経新聞を除いてマスコミはほとんど報じないね。どうしてかな? 昭和40年代後半に獣医学部を4年制から6年制に変えることになったんだが、あわせて国立大学の獣医学部を地域ブロックごとに1つにまとめる構想が持ち上がったんだ。これに元総務庁長官の江藤隆美さんたちが『不届き者め!』と猛反発してね。日本獣医師会と結託して威嚇と恫喝を繰り返し、文部省に二度と私立大学の獣医学部を作らせないことをのませたんだな。そうでなかったら半世紀も獣医学部が新設されず、定員も増やさないなんてことがあるわけないだろ。これを知っている国会議員はもうほとんどいない。文科省の文書記録にも残っていないだろうけど、これが真相だよ」。




 



(私論.私見)