簡単に言えば、写真であれ音楽であれ、ネット上にアップされているコンテンツは、作者が希望するしないに関わらず、著作権で守られているわけですよね。でも作者によっては、ぜひ多くの方に使って欲しいという希望をする人だっているわけです。でも、他人が使うのはいいけど商用に使われるのは嫌、いう作者もいる可能性があります。それなら、作者の希望(作者名等を表記すれば自由に使ってよし、とか商用はダメ、とか作品の改変はダメなど)を、ある一定のルールによって表示させ、利用者が安心して二次利用できるようにしよう、という動きなのです。クリエイティブコモンズの表示がされている作品は、そのルールを守って利用する限りは、作者に連絡を入れたり、面倒な手続きをする必要は一切ありません。また、作者にとっても、自分の作品を多くの人に安心して二次利用してもらえるというメリットもあるわけです。
皆さんが、ご自分のウエブやブログで使える何かいい写真がないかな、と思ったらどうしますか?グーグルなどのサーチエンジンで検索しますか?でも、いい写真を見つけたからと言って、勝手に使うわけにはいきませんよね。こういった際に、クリエイティブ・コモンズの表示は大いに役立つわけです。
で、今回のセミナーテーマは、「Free Culture, Copyright and the Future of Ideas」だったのですが、このような著作権のテーマでセミナーを行うのは今回で最後とのこと。彼によれば、今後はpolitical corruption(政治的腐敗)にフォーカスしていくとのことでした。
なぜ彼がそのような決断をしたかと言うと、米国のこれまでの著作権に関する法律の変遷に大いに関係があるとのことでした。皆さんは、著作権ってどのくらい保護されるかご存知ですか? 1976年以前は28年間。それを延長申請すればさらに28年間。(でもその多くが延長申請はしなかったようです。)で、1976年に、著作権者の存命プラス50年という法案が可決されました。その後92年には延長申請しなくともすべての作品に適用されるようになり、98年には著作権者の存命プラス70年という法案が可決されたとのことです。
このように保護される期間はどんどん長くなってきたわけですが、彼はここに問題点を投げかけています。前述のように、現在の法律では、著作権者が好む好まざるに関わらず自動的に著作権保護期間が設定されてしまうわけですから、著作者も気にしていないような無名な作品でも、他者が有効利用することができないわけです。
皆さんご存知のように、インターネットの出現によって、我々のアクセスできるコンテンツの幅は大変大きく拡がりました。そんな中、著作権に守られているがために、逆に陽の目を見ずに埋もれていく作品がどれだけあることでしょう。今、時代はマッシュアップ文化が盛んです。マッシュアップとは音楽用語で、いろいろな音楽をミックスして新しい作品を作り出していくことですが、この潮流は現代においては音楽だけに留まりません。つまり、Web2.0時代の現代では、誰しもが写真、ビデオをはじめ既存作品を加工することによって派生作品を簡単に作れるようになったからです。レッシグ教授は、その代表例として、以下のビデオを見せてくれました。会場大爆笑でした(^^;
というわけで、レッシグ教授は、このような時代にそぐわない法案は、政治の腐敗から来るものであり、自分はそのテーマに今後フォーカスしていこう、というのが彼の決断だったようです。
著作権に限らず、ネット社会の現代においては、物事に関しての価値観がその数十年前とは大きく異なります。簡単には行かないのでしょうが、やはりその時代の価値観に即した法案やしくみ作りが必要なことは言うまでもありません。ということで、英語力不足の関係で理解力は薄かったと思いますが、いろいろと考えさせられることの多い、実りあるセミナーでした。