教材著作権考

 (最新見直し2008.3.17日)


Re:れんだいこのカンテラ時評404 れんだいこ 2008/05/26
 【JASRACに続けとばかりな教材著作権考】

 2008.5.26日、産経新聞が、振り付け著作権報道に続いて(やがて、身振り手振り著作権時代に入る前触れということか)、「過去問集から長文が消える 著作権で引用できず」(ttp://www.itmedia.co.jp/news/articles/0805/26/news025.html)、「国語問題集消える現代文」、「著作権提訴増え、引用自粛」の見出しで、「著作物の引用、転載に当っての要事前通知、要承諾制に基く混乱」を報道している。これをれんだいこ流に解析する。

 これまでは、「教育目的の場合には無許諾利用可の慣例」により任意利用できていたというのに、利用された者はそれが誉で帳尻が合っていたというのに、このところの著作権法の解釈変えで難しくなった。小賢しい気難し屋が世の中を万事かくリードし始めている。

 「教育分野の著作権」なるものが吹聴され始め、学校の入学試験や定期テスト、教員が配るプリントなどは無許諾、無補償で著作物の引用可、但し、入試問題集やインターネット上での公開、予備校の模擬試験は営利目的とされ利用許可が必要とされ始めた。教科書は無許諾で転載できるものの、作者への連絡と補償金支払いが義務づけられるようになった。

 この背景に、現代強権著作権論の跋扈がある。れんだいこに言わせれば、著作権法と現代強権著作権論には千里の隔たりがあるが、現代強権著作権論による「引用、転載に当っての要事前通知、要承諾制」が通念化し始めて以来、大学入試の過去問題集などで執筆者からの著作者利用許諾が取れないケースが頻発しており支障をきたしつつある。この変化に対応しなかった大手予備校や出版社など69社が相次いで提訴され、引用自粛傾向が目立ち始めている。

 今や、音楽関係の日本音楽著作権(ジャスラック)に引き続き、文芸関係には日本ビジョアル著作権協会(JVCA)が創設され、作家の著作権処理を仲介している。曽我陽三理事長は、「教育業界は著作権に無造作過ぎる。きちんと権利処理せずに経費を抑えるのは言語道断」と主張している。ジャスラックのそれと瓜二つの見解である事に気づかされる。

 日本ビジョアル著作権協会になだいなだ、谷川俊太郎ら350名が関係しているらしい。ネット検索で、「」記事に出くわしたので、これにコメントする。

 2007.6.21日、詩人の谷川俊太郎氏ら27名が、学習塾が出版、販売している教材に作品を無断使用され、著作権を侵害されたとして、大手進学塾の「SAPIX」と「希(のぞみ)学園」の運営会社などに、出版や販売の差し止めを求める仮処分を東京地裁に申し立てた。13名は仮処分とは別に、約2400万円の損害賠償を求める訴訟も起こした。

 SAPIX側は「著作権侵害があったのは事実で迷惑をかけ申し訳ない。現在書店で回収作業をしている」とコメント。希学園は「著作権については誠実に対応したい」としている、とのことである。

 SAPIXも希学園も、著作権法の定める著作権、現代強権著作権論のそれとの識別できぬままひたすら恭順していることが分かる。それにしても恐ろしい時代になったと云う反発も無く、堪忍堪忍しているところが情けない。

 ところで、谷川俊太郎とは何ものぞ。ウィキペディァを参考にすれば、哲学者で法政大学学長の谷川徹三を父として、1931.12.15日生まれ、東京都杉並区に生まれ育つ。詩人、翻訳家、絵本作家、脚本家とある。2008年現在、御年87歳と云う事になるが、老いて権利病に侵されている姿がおぞましい。

 れんだいこの理解する詩人と云うのは、こういう不正に義憤して、世にプロテストするのかと思っていたら、最近の詩人は違うらしい。「俺の作品を俺に黙って利用するとは何事ゾ。使うならゼニ出せ」などと云うケッタイナ詩人が詩人の通り相場のようである。ほとんどビョウキの世界と云うかやってられんなぁもう。

 2008.5.26日 れんだいこ拝




(私論.私見)