第45回2009総選挙、民主政権取り王手大詰め考

 (最新見直し2009.7.24日)

 参考サイト「阿修羅政治版」、「宮地健一の共産党問題」、「ザ・選挙立候補予定者」その他

 (れんだいこのショートメッセージ)
 2009.7.13日、麻生首相は、12日の都議選での歴史的敗北を受け総選挙の意向を表明し、自民党の細田博之幹事長や公明党の太田代表ら与党幹部と協議し、第45回2009総選挙は「7月21日解散、8月30日投開票」で合意した。定数480(小選挙区300、比例代表180)を40日間で争う。これにより、本サイトで追跡することにする。

 「郵政民営化の是非を問う2005総選挙」は「郵政解散」とも呼ばれ、造反派に対する刺客騒動に揺れた自民党が480議席のうち212議席から296議席で84議席増、民主が177議席から113議席で64議席減と云う自民党の歴史的勝利となった。政権与党は、このまばゆいばかりの議席数に魅惑され、今日まで衆院解散を控えてきた。この間、首相は、安倍、福田、麻生と1年おきに3回代わっている。「政権のたらい回し」への批判も強まる中、任期満了の9.10日に刻一刻近づきつつあった。この間、民主党が捲土重来し、先の都議選に象徴的なように政権交代の大手を掛け、いよいよ大詰めを迎えようとしている。さてどうなるか興味津々で俄然面白い。


 2009.7.14日 れんだいこ拝


【麻生首相が衆議院選の日程を「8月30日投開票」と決める】

 7.13日、麻生首相は、次期衆院選の日程を「8月30日投開票」と決めた。


【小泉チルドレン組の長崎幸太郎衆院議員が自民離党】

 7.13日、自民党の長崎幸太郎衆院議員(比例代表南関東ブロック)が同党に離党届を提出した。長崎氏は平成17年9月の前回衆院選で、郵政民営化法案の採決に造反し自民党を離党した堀内光雄元通産相の対抗馬として山梨2区から出馬。小選挙区で堀内氏に敗れ、比例復活していた。自民党がその後に復党した堀内氏を次期衆院選山梨2区の公認候補に決定したことに反発していた。7.17日、自民党の党紀委員会(鈴木俊一委員長)は、長崎幸太郎衆院議員(比例南関東)の離党を了承した。


【自民党の古賀選対委員長が突如辞意表明】
 7.14日、自民党の古賀選対委員長が党総務会で、「地方選の責任は幹事長ではなく、私にある。責任を取って辞めさせてもらう」と辞意を表明した後、途中で退席した。古賀氏は、次期衆院選に向けて宮崎県の東国原英夫知事の擁立に動き、党内からは都議選敗北の一因と批判されていた。総務会で党執行部の責任を問う意見が続出し、古賀氏の辞意表明に繋がった。こうして、衆院解散直前に自民党の選対責任者が辞任する異例の事態となった。古賀氏は総務会後、国会内で記者団に「選挙の責任を取るのは私だ。麻生首相の決めた日程で衆院選をやることが条件だ」と記者団に語った。

【野党共同による内閣不信任案を否決】
 7.14日、衆院の本会議で、民主、共産、社民、国民新党の野党4党が提出した内閣不信任案を自民、公明両党の反対多数(賛成139、反対333)で否決した。自民党で賛成票を投じた議員はいなかった。

【両院議員総会開催の動き】

 7.15日、武部勤元幹事長はTBSの番組に出演し、「次期衆院選前に新しい党総裁を選ぶべきだ。新総裁のもとで政策を発表し、国民に信を問うべきだ」と述べ、麻生首相は退陣し、ただちに新総裁を選ぶべきだとの考えを強調した。武部氏は更に、「失礼な言い方になるが、麻生首相が一番問われているのは徳がないということだ。人を愛する心、謙虚な心、恥を知る心、それから、正しい判断をする心(が問われている)」と強い調子で批判、“ポスト麻生”について「徳性の高い方を選びたい」と語った。反麻生派の議員らと離党し、新党を作るとの見方が流れていることについて、「そのほうがわかりやすいが、そうではない。侃々諤々(かんかんがくがく)、議論百出が自民党の歴史だ」と慎重な発言に終始した。

 元幹事長の中川秀直、武部勤、加藤紘一らを呼びかけ人とする反麻生勢力は、両院議員総会開催に必要な所属議員の3分の1(128名)を超える133名の総会開会賛同署名名簿を細田博之幹事長と若林正俊両院議員総会会長に提出した。与謝野馨財務相と石破茂農水相の2閣僚が名を連ねていることが判明した。

 自民党の両院議員総会は党大会に準ずる議決機関で、党則では3分の1以上の開催要求があれば、総会長が7日以内に招集することを党則で定められ、全議員の3分の2以上が出席者し、過半数の賛成で党則を変更することができる。

 ところが、党執行部や派閥領袖が署名議員に確認したところ、署名した議員の思惑はまちまちであることが判明した。中川派のように総会で総裁公選規程を改正し、総裁選前倒しを実現して麻生首相の交代を狙う思惑がある他方で、首相が地方選の総括と反省、次期衆院選に向けた決意を述べればよしとする議員もいる。「『麻生降ろし』には賛同しない」、「直接、署名していない」、「署名に同意していない」などとして署名名簿から外すよう求める議員も複数出た。逆に、新たに名簿に加わった議員もいる。

 これを確認すると、谷津義男衆院議員が幹事長室にやって来て、「実は、(署名に)私の名前が使われていた。冗談ではない」と述べた。  続けて小野寺五典衆院議員も訪れ、「署名の意図が当初と違う」と説明、提出された署名簿の1ページ目に書かれた文章が、当初書かれてあった趣旨とは違うことを暴露した。

 これにより、各派閥は、署名名簿に掲載された所属議員に署名の真偽や目的をただすなど確認に追われた。7.16日、派閥別で最多の35人の賛同者を出した津島派が緊急記者会見を開き、津島雄二会長が、「総裁選や首相をどうするかということを念頭に置いているならば同調できない」と明言し、所属議員に署名取り下げを求めていく考えを表明、自民各派でも同様の動きが広がった。

 同夕、「表紙替え」を露見させられた中川氏は柳の風の態で、都内で記者団に対し、「署名が両院議員総会開催に必要な128人を下回ることは絶対ない」と居直り、署名の正当性を強調し、「1人の署名を取り下げ、3人分を追加した計135人の賛同者名簿」を報道陣に公表した。

 7.16日、首相周辺や執行部が署名を精査したところ、署名のなかに偽造されたものが混入している疑いが表面化し署名の真偽を確かめる作業を開始した。その結果、「128人に満たない」ことが判明し、両院議員総会の開催を見送る方針を固めた。代わりに21日に麻生首相を含む全議員出席の緊急集会を開くことを提案し、各派領袖も了承した。これにより、21日の衆院解散、8月30日の衆院選投開票がほぼ確定した。反麻生派が狙う7.21日の衆院解散前の「麻生降ろし」は逆に潰され、麻生首相が衆院解散指令は首相権限と云う伝家の宝刀の意地を通した格好となった。
 「植草一秀の『知られざる真実』」の7.17日付けブログ「署名が128名に届かず両院総会見送り解散へ」は次のように記している。
「麻生おろし派議員」は「郵政民営化推進強硬派議員」と重なっている。2005年、小泉政権は、非民主的手法により、郵政民営化関連法案を国会に提出した。自民党部会では反対委員が賛成委員に差し替えられて議決が行なわれ、総務会では全会一致原則が突然、多数決方式に変更された。ルール、慣行を無視した手法が採用された。また、両院議員総会開催要求も無視された。


当時の自民党執行部は、総選挙に際して、郵政民営化法案に反対した議員に公認を与えず、刺客を送り込むことまで実行した。複数意見の存在を許容する民主主義政党の基本ルールを逸脱する恐怖政治を実行したのである。当時の自民党幹事長が武部勤氏であり、中川秀直氏も小泉政権の中枢で国対委員長を務めていた。


 
「麻生おろし派議員」の中心メンバーが、郵政民営化に際して、非民主的な手法を多用した歴史的事実を踏まえれば、これらの人々が、自民党現執行部の行動を批判するのは筋違いも甚だしい。日経新聞が独自の見解を有し、中川秀直氏や小泉一家を応援するのは自由だが、事実を歪曲して報道することは、新聞の本来の役割から外れていると言わざるを得ない。

 7.17日、衆院議院運営委員会の理事会が開かれ、衆院解散のための衆院本会議を21日午後1時に開くことで合意した。21日午前8時の閣議で衆院解散と「8月18日公示、30日投開票」の総選挙日程を決定、両院議員懇談会後の衆院本会議で河野洋平衆院議長の解散宣言の筋書きが決まった。これにより「7月21日解散、8月18日公示、8月30日投票」が確定した。

 麻生首相は、自民党が地方選を総括するため21日午前の両院議員懇談会開催を決めたことに関し首相官邸で記者団に答え、「ご意見をしっかり聞かせていただき、わたしなりの考え方を申し上げたい」と述べた。その上で、「総選挙に一致団結して戦うのが自民党の長い歴史の伝統だ。その先頭に立って戦い抜かなければならない」と強調した。懇談会が非公開となったことに関しては、「わたしが決めたのではなく党が決めた。わたしは従っているだけだ」と述べた。地方選の総括については、「東京都議選は(都連で)総括が行われた。自民党幹事長が(都議らの意見に)答えた」と述べた。 

【両院議員総会開催名簿署名者一覧】

 反麻生派は、都議選で惨敗した責任を厳しく追及し、麻生政権の総辞職もしくは総裁選前倒しを執拗に画策している。読売新聞報道によると、自民党両院議員総会の開催を求める呼びかけ人、賛同者は次の通り(敬称略)。

 【呼びかけ人】加藤紘一、伊藤公介中川秀直、船田元、衛藤征士郎、川崎二郎、武部勤、村上誠一郎、杉浦正健、中谷元、稲葉大和、塩崎恭久、田中和徳、谷畑孝、奥野信亮、谷川弥一、西村明宏

 【賛同者】鳩山邦夫、保岡興治、与謝野馨尾身幸次、小杉隆、額賀福志郎、逢沢一郎、石破茂、斉藤斗志二、仲村正治、二田孝治、谷津義男、遠藤武彦、小坂憲次、佐田玄一郎、渡海紀三朗、萩山教厳、伊藤達也、小野晋也、鴨下一郎、小池百合子、三原朝彦、茂木敏充、遠藤利明、大村秀章、木村隆秀、河野太郎、桜田義孝、下村博文、新藤義孝、高市早苗、棚橋泰文、田村憲久、西川公也、林田彪、森山真弓、山本拓、渡辺博道、江崎洋一郎、小野寺五典、河井克行、木村勉、倉田雅年、後藤茂之、後藤田正純、近藤基彦、谷本龍哉、平井卓也、福井照、吉川貴盛、秋葉賢也、大前繁雄、加藤勝信、菅原一秀、戸井田徹、中山泰秀、並木正芳、葉梨康弘、早川忠孝、原田令嗣、松浪健太、三ツ矢憲生、山際大志郎、赤沢亮正、飯島夕雁、石原宏高、上野賢一郎、近江屋信広、大塚高司、小里泰弘、越智隆雄、小野次郎片山さつき、亀岡偉民、木原誠二、木原稔、木挽司、佐藤ゆかり、篠田陽介、清水鴻一郎、清水清一朗、平将明、高鳥修一、田中良生、土井真樹、渡嘉敷奈緒美、徳田毅、富岡勉、中川泰宏、萩原誠司、原田憲治、平口洋、広津素子、福岡資麿、福田峰之、藤井勇治、藤田幹雄、牧原秀樹、松本文明、馬渡龍治、盛山正仁、安井潤一郎、山内康一(以上、衆院議員)

 岩永浩美、世耕弘成、川口順子、田村耕太郎、山内俊夫、礒崎陽輔、岸信夫、島尻安伊子、野村哲郎、古川俊治、丸山和也、山田俊男、義家弘介(以上、参院議員)

 これによると、旧小泉政権執行部の面々が主力になっていることが判明する。旧小泉政権執行部の面々とは、呼びかけ人の伊藤公介、中川秀直、武部勤、塩崎恭久を始めとする与謝野馨、尾身幸次、石破茂、小池百合子、高市早苗、森山真弓、石原宏高、小野次郎、片山さつき、佐藤ゆかり。参議院では世耕弘成、川口順子。これに機会主義者が連なっていることになる。この連中が来る衆院選でどう生き延びるのか確認して行くことにする。


【「中川シナリオ」封殺後の動き】
 インチキ名簿まで作りだして麻生首相の引きずり降ろしを目論んだ「中川シナリオ」は杜撰さを指摘され、かくて封殺された。ところが引き続き執拗な抵抗を続けている。自民党内の亀裂がますます露見し、深刻さを帯びつつある。その様は、自民党崩壊直前の断末魔のアガキの観がある。反麻生派は小泉政権時代の主流派であり、手前たちが執行部の時には反対派に対し除名-刺客戦術でなぶり殺しにかかった。ところが、安部-福田-麻生政権を経て手前たちが反主流派に追い込まれるや、執行部に徹底抗戦して恥じない。これほど都合の良いロジックが許されるだろうか。麻生政権執行部は、反麻生派の手口を真似れば除名-刺客戦術でなぶり殺しにかかるべきだろう。ツジツマ合わせ上はそうなる。

 7.18日、河村建夫官房長官は民放番組に出演し、自民党の中川秀直元幹事長ら反麻生勢力の間で党のマニフェスト(政権公約)とは別の公約を掲げようとする動きがあることについて、「完全に党を分けなければいけない話だ。地域的なマニフェストはあり得るが、党が決めた大方針を変えるわけにはいかない。別の公約を掲げるなら離党すべきだ」との考えを示した。これに関連し、政府高官は、「場合によっては衆院選候補者として公認しない可能性もある。そうでないと有権者を欺くことになる」と述べ、反麻生勢力を牽制(けんせい)した。

【自民党懇談会】
 7.21日午前、衆院解散に先立ち、自民党は、親麻生、反麻生両勢力の激突含みの中、自民党本部9階で懇談会を開いた。麻生首相が「衆院解散にあたり、私の決意と覚悟を述べる前にまずおわびを申し上げなければならない。私の『ブレた』といわれる言葉が、国民に政治への不安・不信を与え、結果として自民党の支持率低下につながった。深く反省しております」 と反省の弁を述べ、相次ぐ地方選での敗北について謝罪した。

 首相発言後、原田令嗣氏が「なぜ堂々と、両院議員総会を開かないのか」と詰問した。が、後に続いた8名の発言は党内結束の優先を呼びかけた。最後は首相が「ここに一致結束ができあがった。私の願いは1つ。ここにお見えの衆院立候補予定者に全員そろって帰ってきていただくことです」と締めくくり終了した。

 反麻生勢力の代表格の中川秀直・元幹事長は、両院議員懇談会後に開かれた代議士会で発言を求め、「私が立ったからといって心配しないでください」と断った上で「今日の首相のあいさつは非常によかった。首相の決断を潔く受け入れ一致結束して戦いたい」と表明。「(両院議員総会要求で)署名した全議員を代表してしっかり総理と握手する」と、首相の手を握って「和解」をアピールした。加藤紘一、武部勤の両元幹事長も21日、記者団に中川氏と同様の考えを示した。

【衆院解散】
Re::れんだいこのカンテラ時評590 れんだいこ 2009/07/23
 【第45回衆院選の解散ネーミング考】

 2009.7.21日午後1時、衆院本会議が開催され、河村建夫官房長官から「紫の袱紗(ふくさ)」に包まれた解散詔書が議長席に届けられると、河野洋平議長が「日本国憲法7条により衆院を解散する」と厳かに読み上げた。恒例の「万歳三唱」。これにより第45回総選挙が始まった。

 さて、この解散はどう命名されるべきだろうか。未だ定まっていないように見受けられるので、れんだいこが名付け親になろうと思う。これを民主党から見れば「政権交代解散」と名付けたいところであろう。この観点を自公から見ると「政権交代阻止解散」となる。麻生首相から見ると「ぶれない解散」と胸を張りたいところであろう。その真意は「コンチクショーヤケクソ解散」かも知れない。しかし、これらは一方の側から見たネーミングであり、与野党ともどもに広く受けいけられるには無理なものがある。

 ネーミングは公平適切なものでなくてはならない。次に、名前一つで当時の政局、解散の意味が分かるものでなければならない。この基準に照らすと、引き延ばし引き延ばした挙句の「とどのつまり解散」、別名「(任期満了前の)ぎりぎり解散」と見るのが穏当なように思われる。しかし、これでは政局が見えない。そこで次のように名付けたいと思う。解散期限のぎりぎりと政局のギリギリを生かしながら、「ぎりぎり正念場解散」。どうだ、れんだいこのコピーライト能力が分かったかふふふ。

 2009.7.23日 れんだいこ拝

【最後までお騒がせの小泉元首相】
Re::れんだいこのカンテラ時評591 れんだいこ 2009/07/23
 【最後までお騒がせの小泉元首相考】

 衆院解散予告の2009.7.21日、先の衆院選の仕掛人にして小泉チルドレンの保護者たるべき小泉元首相は、神奈川県鎌倉市の円覚寺で「夏期講座」の講師として講演し、衆院本会議に姿を現わさなかった。小泉は、議員生活のケジメをかような形で締めくくった。何たる無責任破廉恥漢なりや。こういう御仁を名宰相として囃したてながら5年有余にわたって権力を掌握させたことを今こそ切腹してお詫び申さねばならないところであろう。

 この経緯を確認すると次のような話になる。小泉元首相は、午前11時前から数百人の聴衆を前に「思うようにいかないのが人生だからorそれでも」との題で講演した。ノーネクタイで白いワイシャツの腕をまくって登場し、「今日は議員として最後の記念すべき講演」と切り出した。途中、鎌倉幕府を舞台にした将軍暗殺などの歴史をひもときながら、「今の権力闘争は甘っちょろい」などと述べ、「午後は首を切られに国会に行きます」と冗談めかして約1時間の講演を締めくくった。その後、車で議員として最後の衆院本会議に向かったが、「首都高速道路の渋滞のため」(小泉氏の事務所)間に合わなかったと云う。「議員は辞めても、政治活動は続ける」と伝えられており、2年前に顧問に就任した政策研究機関「国際公共政策研究センター」を拠点に、今後も政策提言や講演活動を続けていくという。

 これを「最後まで話題に事欠かない人だった」と評するのは遠慮が過ぎよう。もっとズバリ、異常なる非常識さを批判すべきではなかろうか。先の総選挙では、郵政反対組を除名し、刺客を送り込み、大量の小泉チルドレンを生みだした。小泉が真っ当なら彼らに対して責任があるのであり、切腹だけでは済まないのが渡世の仁義であろうが、彼にはこの種の志操が全く欠如している。それどころか鈍感力を自慢する。れんだいこが、狂人と断定する所以である。小泉チルドレンは本来怒るべきところ、今なお慕い申しているところが何とも帳尻があっていると云うべきか。

 来る選挙は、こうした小泉政治の最後的一掃であり、これが本筋である。その結果は8.30日に出るが、「自民党をぶっ壊す」までは認めても「日本をぶっ壊す」までの信認は与えていなかったことを如実に示すことになるだろう。投票一揆の日は近い。それにしても、かような小泉を名宰相呼ばわり提灯し続けたマスコミ論者の責任はどうなっているのだろうか。れんだいこには電波芸者の質が嘆かわしい。田原よ、お前だけではないが、頭隠しても尻が出ておりどうにもなるまい。

 2009.7.23日 れんだいこ拝

【引退組】
 引退組は次の通り。 政党別で、自民18、民主3、公明、共産各1、無所属2名が引退することになった。自民党は、津島雄二(青森1区)、遠藤武彦(山形2区)、大野松茂(埼玉9区)、小杉隆(東京5区)、臼井日出男(千葉1区)、鈴木恒夫(神奈川7区)、小泉純一郎(神奈川11区)、河野洋平(神奈川17区)、木村隆秀(愛知5区)、岩永峯一(滋賀4区)、小野晋也(愛媛3区)。比例区より玉沢徳一郎、佐藤剛男(東北)、杉村太蔵(南関東)、瓦力、萩山教巖(北信越)、仲村正治、佐藤錬(九州)。民主党では、金田誠一(北海道8区)、藤井裕久(比例南関東)、岩国哲人(比例南関東)、金田誠一(北海道8区)。公明党は、丸谷佳織(比例北海道)。共産党は、石井郁子(比例近畿)。無所属の野呂田芳成(秋田2区)、前田雄吉(比例東海、元民主党)。

 最高齢は野呂田芳成元防衛庁長官(無所属)と津島雄二元厚相(自民)の79歳、最年少は「小泉チルドレン」を代表する杉村太蔵氏(自民)の29歳。戦後の首相で3位となる1980日の在職日数を記録した小泉純一郎元首相が、神奈川11区を次男の進次郎氏に譲った。14回当選した河野洋平衆院議長。

【長崎幸太郎衆院議員(比例南関東ブロック)に続いて小泉チルドレンの山内氏が離党】
 7.21日、自民党の山内康一氏(衆院神奈川9区、前回2005年に初当選した「小泉チルドレン」の一人)が党本部に離党届を提出した。無所属で立候補する予定含みで、渡辺喜美元行革相が立党を目指している予定の新党への参加について「いろいろな可能性を考える」とコメントしている。山内氏は、会見で、離党の理由を「私は構造改革路線は間違っていないと思うが、自民党は改革否定路線が主流になった。政策の方向性が違う人間が党の世話になっては迷惑をかける」と説明した。

【与野党の選挙協力】
 自民党は、22日現在、青森1区、栃木3区、金川9区、福岡11区、宮崎1区の5選挙区を空白区とする小選挙区で287名、比例代表で22名を公認している。小選挙区で公明党候補8名を推薦している。他方、共産党を除く野党各党(民主党、社民党、国民新党、新党日本、新党大地)は、非自民党票の受け皿を一本化するための候補者調整を積極的に進め、与党の自公体制に対抗する為の選挙協力体制に入っている。前回は300小選挙区で289名を公認したが今回は265名に抑えている。野党同士が競合する選挙区は03年が41選挙区、05年には46選挙区、今回は16選挙区に激減している。このうち民主党と社民党との対決は03年は41選挙区、05年は30選挙区だったが、今回は14選挙区にとどまる。民主党は12選挙区で社民党を推薦。民主、国民新両党がともに候補者を擁立するのは岡山2区だけとなっている。新党日本は、田中康夫代表が公明党の冬柴鉄三元幹事長が立つ兵庫8区に乗り込む。北海道では、民主党が比例区で2人を擁立する新党大地に協力する代わりに選挙区での支援を受ける。

 社民党は、31選挙区で公認候補を擁立。そのうち約半分の選挙区で民主党と競合する。国民新党は9選挙区で候補者を立て、岡山2区のみを残して民主党と調整している。

 他方、共産党は03年に300人、05年に275人の公認候補を選挙区に立てたが、供託金の没収ラインに届かなかった選挙区が続出。今回は京都1区を唯一の必勝区に掲げる「少数精鋭主義」に転換し、前回の275選挙区から152選挙区に減らし、比例ブロックでの議席確保を重視する戦略を敷いている。空白区の票が野党共闘に流れるとすれば、政権交代の動きを加速する追い風となる。新たに国政に参戦する幸福実現党は全300小選挙区と比例区の全11ブロックに候補を擁立するが影響は少ないものとみられる。

 公明党は、前職が立つ8選挙区の当選が目標で、比例区と合わせ解散時の31議席の上積みをめざす。改革クラブが選挙区で前職1人を擁立。


【第45回2009.8.30総選挙予想ネット・ゴング】
Re::れんだいこのカンテラ時評593 れんだいこ 2009/07/25
 【第45回総選挙の議席予想ネット・ゴング】

 来る衆院選の議席予想「百万人のネット・ゴング」を以下の要領で行いたいと思います。どなたかセットをお願い致しますヘルプミー。れんだいこはパソコンオンチでして残念ながら作れないのです。作られた方はご連絡ください。れんだいこも投票します。以下は参考で良いです。とにかく参加させてください。新聞社が注目するようデータが取れればよいですね。今なら間に合うと思うよ。

 ------

 第45回2009.8.30総選挙の予想ネット・ゴング

 あなたは選挙に行かれますか。投票率は上がると思いますか(2003年は59.86%、2005年は67.52%)。

 はい○、いいえ○、大幅増○、微増○、微減○、減○、大幅減○

 政権交代なると思いますか。

 なる○、ならない○、関心なし○

 反麻生派、小泉チルドレンの議席予想をしてください。

 大幅増○、増○、現状維持○、減○、大幅減○    

 あなたはどの政党に投票しますか。

 与党連合派・自民党○、公明党○
 野党連合派・民主党○、社民党○、国民新党○、日本新党○、新党大地○
 孤高単独派・共産党○、無所属○、幸福実現○

 自民党(現有296議席)の議席予想 大幅増○、増○、減○、大幅減○ 
 民主党(同113議席)の議席予想  大幅増○、増○、減○、大幅減○
 公明党(同31議席)の議席予想   微増○、微減○
 共産党(同9議席)の議席予想    微増○、微減○
 社民党(同7議席)の議席予想    微増○、微減○
 国民新党(同4議席)の議席予想   微増○、微減○

 ご協力ありがとうございました。 

 ------

 だいたいこんなのでどうだろう。小泉ジュニアだとかその他の興味深い選挙区入れても良いけど、煩雑になるのでシンプルにしました。選挙は現代のお祭りです。投票行って速報で2倍楽しまなくっちゃ。

 2009.7.25日 れんだいこ拝

 2009.7.16日、共産党が「解散・総選挙にのぞむ日本共産党の基本的立場」を発表した。これを転載しておく。
 自公政権を退場に追い込む決定的な“審判”をくだし、新しい日本の進路の“選択”にふみだす選挙に――解散・総選挙にのぞむ日本共産党の基本的立場
2009年7月16日  日本共産党中央委員会幹部会

 自公政権に退場を求め、「新しい政治の中身を探求する時代」

 2007年7月の参議院選挙で、自公政権が歴史的大敗の審判を受けたとき、日本共産党は、「自民・公明による古い政治の枠組みをつづけていては、日本の前途はないとの国民の判断がくだった」とのべるとともに、「国民が、自公政治に代わる新しい政治の中身を探求する新しい時代、新しい政治のプロセスが始まった」ことを、国民に訴えました。

 それから2年。今回の東京都議選は、ふたたび自公政権へのきびしい拒否の審判をくだす結果となりました。東京での2007年参院選での比例代表の得票と、今回の都議選の得票を比較すると、自公両党の得票は、226万票から220万票へと後退しました。民主党の得票は230万票で横ばいとなっています。日本共産党は55万票から71万票に前進しました。わが党が議席を後退させたことは残念ですが、政党間の基礎的力関係をしめす得票で、自公が後退し、日本共産党が前進したことは重要です。

 国民が自公政権そのものに退場を求め、日本が「新しい政治の中身を探求する時代」を本格的に迎えたことは、いよいよ明白です。

 日本共産党を伸ばし、自公政権を終わらせる決定的な“審判”を

 こうしたもとでおこなわれる歴史的な総選挙で、日本共産党は、国民につぎの“審判”と“選択”を訴えてたたかいます。

 一つは、自公政権を終わらせる“審判”です。圧倒的多数の国民が麻生・自公政権を見放しているのは、たんに首相の個人的資質の問題や、スキャンダル、政権運営の失態など個々の問題にだけ原因があるのではありません。その政治的な基本路線の行き詰まりが極限に達し、日本の進路についていかなる展望も示しえない姿に、国民の大多数が怒りと不満をつのらせている結果にほかなりません。

 「使い捨て自由」の不安定雇用を広げ、社会保障費抑制で医療・介護・年金を深刻な危機に陥れ、庶民には巨額の負担増を押し付けながら大資産家・大企業にゆきすぎた減税をおこなう――異常な財界・大企業中心の政治が、日本社会全体に弱肉強食、貧困と格差を広げ、いよいよ立ち往生に陥っています。

 米軍基地を強化し、自衛隊の海外派兵をすすめ、憲法を改定して海外での武力行使を可能にする道をすすめる――異常な「日米軍事同盟絶対」の政治が、変化する世界の現実に対応できず、深刻な行き詰まりをあらわにしています。

 こうした政権がこれ以上続くことは、国民にとって百害あって一利なしです。主権者・国民の手で自公政権を終焉させることが、日本の政治を前向きに変化させる大きな契機となることは、明瞭です。

 日本共産党は、自公政権をその政治路線の根本からきびしく批判し、どんな問題でも、国民の利益にたって、その間違った政治と正面からたたかいつづけてきた政党です。この党を伸ばすことこそが、自公政権を退場に追い込み、「大連立」など形を変えて延命することも許さない、決定的な“審判”となることを訴えてたたかいます。

 自公政治に代わる日本の進路の“選択”を問いかけてたたかう

 いま一つ、私たちは、自公政権を終わらせた後に、それに代わってどのような新しい政治をつくるのか、21世紀の日本の「進むべき道」の“選択”を、広く国民に問いかけてたたかいます。

 現在の政党間の力関係からみれば、総選挙の結果、民主党中心の政権が成立する可能性が大きいことは事実です。それでは民主党は、政権についたとして、自公政権に代わるどのような新しい政治をつくるのか。「官僚支配の打破」はいっても、日本経済と日本外交でどのような改革をおこなうのかは、見えてきません。消費税増税への志向、憲法9条の改定、衆院比例定数削減などの国政の重要問題で、危険な方針を表明していることも、見過ごすことができない重大な事実です。

 日本共産党は、日本の政治を今日の深刻な行き詰まりから救い出し、国民が安心と希望のもてる新しい日本をつくるためには、異常な財界・大企業中心、「軍事同盟絶対」という古い枠組みから抜け出すことが不可欠だと考えます。この立場から、国民の切実な要求の実現と一体に、21世紀の日本の「進むべき道」として、つぎの二つの「旗印」を高く掲げ、総選挙にのぞみます。

 第一は、国民の生活と権利を守る「ルールある経済社会」を築く。そのために異常な財界・大企業中心の政治を転換することです。

 第二は、憲法9条を生かし、世界とアジアの平和に貢献する「自主・自立の平和外交」に転換する。そのために異常な「軍事同盟絶対」の政治から脱却することです。

 こうした新しい日本への展望を示す日本共産党が伸びることこそ、「国民が、自公政治に代わる新しい政治の中身を探求する新しい時代、新しい政治のプロセス」を、前に進める一番の力となると確信するものです。

 建設的野党として3つの仕事にとりくむ

 日本共産党は、民主党中心の政権が成立した場合に、自公政治に代わるべき21世紀の日本の「進むべき道」をさししめし、その立場を行動に貫いている政党として、独自の建設的野党としての立場を堅持して、つぎの3つの仕事にとりくみます。

 第一に、国民の切実な要求を実現する立場で、政策要求を積極的に提起し、課題ごとに一致点で協力し、政治を前に動かす「推進者」の仕事を果たします。

 労働者派遣法の抜本改正、後期高齢者医療制度の撤廃、障害者自立支援法の応益負担の撤廃、農産物の価格保障・所得補償、米軍基地の縮小・撤去、地球的規模での核兵器廃絶へのイニシアチブ、企業・団体献金の禁止など、どんな問題でも国民の立場で積極的提言をおこない、国民の願いにそくして一歩でも二歩でも政治を前に動かすために、一致点での政党間協力を追求し、国民運動と共同して力をつくします。

 第二に、消費税増税の志向、憲法改定の推進、衆院比例部分の削減など、すでに民主党が表明している危険な諸政策を具体化する動きがおこったさいには、それを許さない「防波堤」となって力をつくします。

 こうした諸課題でも一致点での政党間協力を追求するとともに、広く国民世論を喚起し、国民運動と共同して、暗黒政治への逆行を許さないたたかいの先頭に立って奮闘します。

 第三に、「国民が主人公」の立場にたった民主的政権――民主連合政府をつくるための国民的共同を探求、前進させるために力をつくします。どんな問題でも、「財界・大企業中心」「軍事同盟絶対」の政治に代わる、真の対案をさししめし、政治の根本的転換にむけた国民的な合意をつくりあげる努力を強めます。

 日本政治の大転換期――日本共産党の前進いかんが、総選挙の最大の焦点

 いま日本の政治は大転換期を迎えつつあります。今度の総選挙は、その最初の一大政治戦となります。

 国民が自公政権を終わらせる決定的な“審判”をくだし、自公政権を終わらせた後の日本の政治をどう前進させるかが問われる歴史的総選挙の最大の焦点は、日本共産党が前進するかどうかにあります。自公政治の根本をつき正面からたたかい続けてきた党、自公政治に代わる日本の「進むべき道」をさししめす党、国民の利益に立って建設的野党としての役割を果たす党――日本共産党が前進することこそ、国民の願いにかなう新しい日本への道を開く最大の力となります。

 日本共産党を伸ばして、自公政権を退場に追い込む決定的な“審判”をくだし、新しい日本の進路の“選択”にふみだす選挙にしよう――私たちはこのことをすべての有権者に訴え、勝利のために全力をつくします。 


 これにつき、時事通信が「民主政権に政策提言=衆院選後は建設野党-共産」記事で次のように論評している。これを転載しておく。
 「民主政権」に政策提言=衆院選後は「建設野党」-共産

 共産党は16日、次期衆院選に臨む「基本的立場」を発表した。東京都議選での民主党圧勝を踏まえ、「民主党中心の政権が成立する可能性が大きい」と判断。衆院選後は、「建設的野党」として積極的に政策提言していく姿勢を打ち出した。

 「民主党政権」が誕生した場合、共産党と一致する政策については「推進者」として協力すると明記。一方で、憲法改正や比例代表の議員定数削減などに対しては「防波堤」として反対していくとした。志位和夫委員長は同日の記者会見で「良いものには協力し、悪いものには反対する。『行動する是々非々』の立場だ」と強調した。 

 共産党はこれまで、自民、民主両党の間に埋没することを懸念し、「自民と民主は同じ方向を向いている」などと批判してきた。しかし、志位氏は「自公が与党でまず責任を問われる。(自民、民主両党を)同列にするのは適切ではない」と述べ、今後は民主党への批判は弱める姿勢を示した。(2009/07/16-19:20)

(私論.私見)

Re::れんだいこのカンテラ時評590 れんだいこ 2009/07/18
 【「日共の2009.7.16声明」考】

 2009.7.16日、日本共産党中央委員会幹部会が「解散・総選挙にのぞむ日本共産党の基本的立場」を発表した。「自公政権を退場に追い込む決定的な“審判”をくだし、新しい日本の進路の“選択”にふみだす選挙に」と付題している。これをどう看るべきだろうか、れんだいこ見解を披瀝しておく。

 まず、先の都議選に対して、議席数を13から8へ大幅に減らしたにも拘わらず、「日本共産党は55万票から71万票に前進しました。わが党が議席を後退させたことは残念ですが、政党間の基礎的力関係をしめす得票で、自公が後退し、日本共産党が前進したことは重要です」などと総括するような党中央に信を置くことができるだろうか。してみれば、こたびのように明らかに大敗した選挙でも善戦前進総括できるのが科学的社会主義的分析ということになる。科学的社会主義なるものがええ加減な云い得云い勝ちな素性得体の知れないものなのか、そのほどが分かろう。

 この間、いつでもどこでも「自分たちだけが正しく、本物野党」なる珍論で自公体制を裏から補完する役回りを担ってきたが、「こうした政権がこれ以上続くことは、国民にとって百害あって一利なしです。主権者・国民の手で自公政権を終焉させることが、日本の政治を前向きに変化させる大きな契機となることは、明瞭です」と云うのは得手勝手が過ぎよう。れんだいこが言い返してあげる。

 「こうした党中央がこれ以上続くことは、国民にとって百害あって一利なしです。主権者・党員の手で日本政党史上最長不倒の宮顕-不破系党中央を終焉させることが、日本の政治を前向きに変化させる大きな契機となることは、明瞭です」。

 共産党中央は、れんだいこが20歳代の頃既に、ということは40年以上前から壊れたテープレコーダーのように「新しい日本への展望を示す日本共産党が伸びることこそ、『国民が、自公政治に代わる新しい政治の中身を探求する新しい時代、新しい政治のプロセス』を、前に進める一番の力となると確信するものです」と言っていた。タコ耳とはこういうことを云うのではなかろうか。少なくとも、40年以上にわたって同じようなことを言い続け、選挙で負けても勝ったと居直り、執行部が責任を取ったためしがない。そういう意味での唯一の政党であることは間違いない。党中央が、次に勝利するのが真の責任の取り方である、ブルジョワ政党とはそこが違うと居直り、党員がソウダその通りと相槌を打つ他党が羨む一枚岩式独特の論法を持っている。

 さて、そういう日本共産党の新路線が提起されたようである。「第一に、国民の切実な要求を実現する立場で、政策要求を積極的に提起し、課題ごとに一致点で協力し、政治を前に動かす『推進者』の仕事を果たします」、「一歩でも二歩でも政治を前に動かすために、一致点での政党間協力を追求し、国民運動と共同して力をつくします」、「『防波堤』となって力をつくします」云々と述べている。

 これにつき、時事通信が、「民主政権に政策提言=衆院選後は建設野党-共産」記事で次のように評している。「共産党はこれまで、自民、民主両党の間に埋没することを懸念し、『自民と民主は同じ方向を向いている』などと批判してきた。しかし、志位氏は『自公が与党でまず責任を問われる。(自民、民主両党を)同列にするのは適切ではない』と述べ、今後は民主党への批判は弱める姿勢を示した」。

 これによると、志位の不破離れが始まったかに見える。それはそれで良い。しかしながら、先の都議選を「前進評価」するようなイカガワシイ度し難いデタラメ総括する態度とセットで打ち出された新路線に信を置けるだろうか。人民大衆からの支持を得る為には、これまでの政権交代のうねりに対する「我が党こそが唯一の野党」なる珍論で立ちはだかり、結果的に自公体制を裏から支えてきたことに対する自己批判から始めるべきではないのか。これも通用せぬ時代になったからといって、やおら新路線を打ち出しても眉唾されるとしたものだろう。

 しかし、「2009.7.16声明」は日本共産党中央委員会幹部会声明として打ち出されている。ここに歴史的意味がある。それを思えば、もう少し吟味せねばなるまい。「唯一の野党論」からの転換としての「建設的野党論」の真意はどの辺りにあるのだろうか、これを読み取らねばならない。こたびの「建設的野党論」は、民主政権に連合するための「建設的野党論」なのか、民主政権を細川政権時と同様に叩き潰すための「建設的野党論」なのか。その正体が見えない。ここは注視すべきところだろう。

 経験則的には、不破指導を受けると後者になる。これを拒否すると前者になる。日共党内が内部政変力によって不破路線を放擲し、民主政権の左バネとして機能して行くような再生能力を持っているだろうか。その可能性があるのだろうか。「2009.7.16声明」の吟味はそういう意味で重要になる。この間、自民、民主、公明では政変を経由している。これらの政変は決してよそ事ではなく他山の石とすべきものである。しかし、日共党員は余りにも深く長期間にわたって民主集中制という名の党中央拝跪制に洗脳され過ぎており、らしき共産党へ戻す力はなかろう。既に理論そのものが無茶苦茶にされている。そう見立てるべきではなかろうか。

 日共の「建設的野党論」の試金石は、来る衆院選での自公対民主連合の激戦区に於ける立候補取り下げも含めた民主連合寄りシフトに転換できるかどうかにある。今では大衆的に明らかにされているが、この間の全選挙区立候補制戦略戦術は裏からの自公体制補完に過ぎなかった。野党割れを策し政権交代を永遠の彼岸に追いやる悪質なものでしかなかった。この路線と決別できるのだろうか。

 恐らくできまい。となると考えられるシナリオは、口先ではとやかく云いつつも、真の狙いは、民主連合政権誕生となるや自公と又もや裏提携して新政権潰しに回る事態である。この事態の方が、「立候補取り下げも含めた民主連合寄りシフトに転換」よりも有り得る。我々は、この手をもう食うまい。

 れんだいこが思うに、日共が政権交代潰しに躍起になればなるほど日共のらしさが露呈し、社会党同様の運命を辿ることになろう。その方が良いのかも知れない。この党はいったん潰れた方が良い。自民党内に於ける小泉派の排除が自民党再生のキーであると同様に、共産党が宮顕-不破ラインから決別しない限りろくな党になりはしない。そういう意味で日共は路線転換をヌエ的にせず、従来路線をとことん突き詰めるのが良かろ。以上を、れんだいこの「日共の2009.7.16声明考」とする。

 2009.7.18日 れんだいこ拝

【郵政造反組の去就】
 自民党は前回、郵政民営化法案に反対した自民党の前職に対し刺客を送り込み圧勝したが、今回はその後遺症が影を落としている。郵政反対組で前回立候補した34名のうち今回も立候補するのは27名。野田聖子氏ら11名は自民党に復党したが、残る16名は無所属のままか、民主党、国民新党など他党から立候補して自民党候補と戦う。内訳は次の通り。

当選組 自民復党 堀内光雄 山梨2区
保坂武 山梨3区
野田聖子 岐阜1区
古屋圭司 岐阜5区
山口俊一 徳島2区
武田良太 福岡11区
今村雅弘 佐賀2区
保利耕輔 佐賀3区
江藤拓 宮崎2区
古川偵久 宮崎3区
森山裕 鹿児島5区
国民新党 綿貫民輔 比例北陸信越
亀井久興 島根2区
無所属 平沼赳夫 岡山3区 無所属
無所属 下地幹郎 沖縄1区 国民新党
新党日本 滝実 奈良2区 民主党
落選組 津島恭一 青森4区 民主党
小泉龍司 埼玉11区 無所属
小林興起 比例東京 民主党
八代英太 比例北海道 新党大地
松宮勲 福井3区 民主党
藤井孝男 岐阜4区 自民党参議院議員
城内実 静岡7区 無所属
青山丘 比例東海 国民新党
小西理 滋賀2区 政治活動休止
田中英夫 京都4区 無所属
左藤章 大阪2区 無所属
熊代昭彦 岡山2区 無所属
森岡正宏 奈良1区 自民党
自見庄三郎 国民新党参議院議員
衛藤晟一 自民党
松下忠洋 鹿児島3区 国民新党

【小泉チルドレン一覧】
 2004総選挙で当選した「小泉チルドレン83名」が岐路に立たされている。特に苦しいのは、比例区当選組。今回は比例順位での優遇がない。小選挙区転出できたのは大塚拓、鈴木馨裕の2名のみ。杉村太蔵は断念を余儀なくされている。比例復活組の長崎幸太郎は復党組の堀内光雄に公認争いで敗れ無所属出馬する。広津素子は同じく保利耕輔に敗れた。「小泉チルドレン一覧」他参照。
ブロック 議員名 所属 選挙区 自民 民主
北海道 山下貴史 × 北海道10区 飯島夕雁(比例当選) 小平忠正
東北 津島恭一 × 国民新党 青森4区 木村太郎 渋谷修
野呂田芳成 秋田2区 小野貴樹 佐々木重人
宮城1区 土井 亨
福島1区 亀岡 偉民
福島4区 渡部 篤(比例当選)
北関東 茨城5区 岡部 英明(比例当選)
茨城7区 永岡 桂子(比例当選)
埼玉5区 牧原 秀樹(比例当選)
埼玉6区 中根 一幸(比例当選)
小泉龍司 × 埼玉11区 新井悦二 八木昭次
埼玉15区 田中 良生
比例区 中森 福代
東京 東京3区 石原 宏高
東京4区 平 将明
東京6区 越智 隆雄(清和会)
東京7区 松本 文明(清和会)
小林興起 × 新党日本 東京10区 小池百合子 鮫島宗明
八代英太 × 東京12区 太田昭宏(公明党) 藤田幸久
東京18区 土屋 正忠
東京19区 松本 洋平
東京20区 木原 誠二
東京21区 小川 友一
比例区 猪口 邦子
比例区 大塚 拓
比例区 清水 清一朗
比例区 安井 潤一郎
比例区 若宮 健嗣
南関東 千葉4区 藤田 幹雄(比例当選)
千葉5区 薗浦 健太郎(比例当選、高村)
千葉7区 松本 和巳
神奈川4区 林 潤
神奈川5区 坂井 学
神奈川8区 福田 峰之
神奈川9区 山内 康一
神奈川14区 赤間 二郎
山梨1区 赤池 誠章(比例当選)
堀内光雄 山梨2区 長崎幸太郎(比例当選) 坂口岳洋
保坂武 山梨3区 小野次郎 (比例当選) 後藤斎
比例区 浮島 敏男
比例区 近江屋 信広
比例区 杉村 太蔵
比例区 鈴木 馨祐
北信越 新潟6区 高鳥 修一 (比例当選、清和会)
石川3区 北村 茂男
綿貫民輔(78) 国民新党 富山3区 萩山教厳 向井英二
松宮勲 × 福井1区 稲田朋美 笹木竜三
比例区 長島 忠美
東海 野田聖子 岐阜1区 佐藤ゆかり (比例当選) 柴橋正直
岐阜3区 武藤 容治
藤井孝男 × 岐阜4区 金子一義 熊谷正慶
古屋圭司 岐阜5区 和仁隆明 阿知波吉信
城内実 × 静岡7区 片山さつき 阿部卓也
愛知1区 篠田 陽介 (比例当選)
愛知3区 馬渡 龍治 (比例当選)
愛知4区 藤野 真紀子(比例当選、二階)
愛知6区 丹羽 秀樹(比例当選、高村)
青山丘 × 新党日本 愛知7区 鈴木淳司 小林憲司
愛知8区 伊藤 忠彦(二階)
愛知11区 土井 真樹(比例当選)
愛知14区 杉田 元司 (比例当選)
近畿 滋賀1区 上野 賢一郎
小西理 × 滋賀2区 藤井泰宏 (比例当選) 田島一成
京都2区 山本 朋広(比例当選)
京都3区 清水 鴻一郎 (比例当選)
田中英夫 × 京都4区 中川泰宏 北神圭朗
京都6区 井澤 京子 (比例当選)
左藤章 × 大阪2区 川条志嘉(二階) 荻原仁
大阪7区 渡嘉敷 奈緒美
大阪8区 大塚 高司
大阪11区 井脇 ノブ子(比例当選、二階)
森岡正宏 × 奈良1区 鍵田忠兵衛 (比例当選) 馬淵澄夫
滝実 (比例当選) × 新党日本 奈良2区 高市早苗 中村哲治
兵庫1区 盛山 正仁
兵庫3区 関 芳弘
兵庫6区 木挽 司
比例区 近藤 三津枝
比例区 矢野 隆司(比例当選、二階)
中国 川上義博 × 鳥取2区 赤沢亮正 山内おさむ
亀井久興 × 国民新党 島根2区 竹下亘 小室寿明
岡山2区 萩原誠司(比例当選)
平沼赳夫 岡山3区 阿部俊子(比例当選) 中村徹夫
岡山4区 橋本 岳(比例当選)
広島2区 平口 洋
亀井静香 国民新党 広島6区 堀江貴文 佐藤公治
山口2区 福田 良彦
四国 山口俊一 徳島2区 七条明 高井美穂
比例区 西本 勝子
九州 福岡1区 遠藤 宣彦(比例当選)
自見庄三郎 × 福岡10区 西川京子 城井崇
武田良太 福岡11区 山本幸三 稲富修二
佐賀1区 福岡 資麿
今村雅弘 佐賀2区 土屋千昭 大串博志
保利耕輔 佐賀3区

広津素子(比例当選)

長崎1区 富岡 勉(比例当選)
衛藤晟一 × 大分1区 佐藤錬 吉良州司
江藤拓 宮崎2区 上杉光弘 黒木健司
古川禎久 宮崎3区 持水哲志 外山斎
熊本1区 木原 稔(比例当選)
松下忠洋 × 鹿児島3区 宮路和明 野間健
鹿児島4区 小里 泰弘(宏池会)
森山裕 鹿児島5区 米正剛
沖縄2区 安次富 修(比例区当選)

【平沼グループ結成、15名を擁立し第3極を目指す】
 7.22日、平沼赳夫・元経済産業相(無所属)が元衆院議員や地方議員らでつくる保守系無所属の「平沼グループ」の結成を正式に発表した。衆院選には平沼氏や城内実・元衆院議員(静岡7区)ら計15名が無所属での立候補を予定しており、衆院選後に新党結成を目指す方針を掲げている。

 平沼グループのメンバーと立候補する選挙区は次の通り(敬称略)

 ▽青森1 升田世喜男▽秋田1 藤井陽光▽同3 村岡敏英▽山形1 伊藤香織▽栃木4 植竹哲也▽埼玉11 小泉龍司▽東京4 宇佐美登▽静岡7 城内実▽大阪1 堺井裕貴▽同14 三宅博▽兵庫4 石原修三▽岡山3 平沼赳夫▽香川3 真鍋健▽徳島1 岡佑樹▽熊本3 三浦一水


【民主党の相浅尾慶一郎参院議員が衆院選強行出馬騒動】
 7.22日、民主党の「次の内閣」防衛相浅尾慶一郎参院議員(45、神奈川選挙区)が民主党を離党し、衆院選で神奈川4区から立候補する意向を支援者に伝えたことが関係者の話で分かった。24日にも離党届を提出し記者会見する。民主党は、同区で元神奈川県逗子市長長島一由氏の擁立を決めており、事実上の分裂選挙になる。浅尾氏は、新党結成を目指す渡辺喜美元行政改革担当相らとの連携も視野に入れているという。浅尾氏は日本興業銀行を経て1998年に初当選。党青年局長などを務めた。

 民主党の小沢一郎代表代行は浅尾氏らと会談したところ、同氏の支援者が4区の候補者差し替えを要請。小沢氏は難色を示し、民主党候補がいない神奈川8区からの出馬を提案したが、浅尾氏側が同意しなかった。その真意は不明。

 7.24日、民主党は、幹事長・岡田克也名で、次のような「浅尾慶一郎議員に対する倫理規則適用について」声明を発表した。
 2009年7月24日

 浅尾慶一郎議員に対する倫理規則適用について  民主党幹事長 岡田克也

 本日、浅尾慶一郎参議院議員は離党届を提出し、参議院議員を辞職して次期衆院選に神奈川第4区から立候補することを表明した。

 すでに衆議院は解散され、事実上の選挙戦に突入している。わが党は国民の期待に応えて政権交代を実現するため、すべての候補予定者、参議院議員、地方組織が一致結束して全力でたたかっているところである。

 その最中に、ネクスト防衛大臣の要職にある浅尾議員が、再三の説得にも応じず、身勝手な理由でわが党の公認候補予定者に対抗して立候補しようとしていることは、国民の期待を裏切る背信行為であり、党の倫理規範に反する許し難い反党行為である。

 党としてこれを看過することはできず、最も重い処分を講ずることが相当であると判断し、浅尾議員から提出された離党届を受理せず、党規約第33条および党倫理規則第4条にもとづき、本日付で除籍処分とする。

 なお、本処分は、解散後の常任幹事会決定事項が代表、幹事長に一任されていることにもとづく決定であり、倫理委員会への諮問については、党倫理規則第6条にもとづき、総選挙後に行うこととする。以上

【民主党が、公明党の太田昭宏代表が出馬する東京12区、公明党の冬柴鉄三前幹事長が出馬する兵庫8区にゲリラを送り込む】

 7.24日、民主党の小沢一郎代表代行が東京都北区で記者会見し、公明党の太田昭宏代表との一騎討ちとして小沢氏本人の国替え出馬も取りざたされていた東京12区に青木愛参院議員(比例代表)を擁立すると発表した。これにより、自由党出自の広野允士氏が繰り上げ当選することになる。

 青木参院議員が鞍替え出馬の記者会見をした24日午後3時、尼崎市では、「新党日本」の田中康夫代表(参院議員)が兵庫8区から民主党の推薦で出馬する記者会見を開いた。こちらは公明党の冬柴鉄三前幹事長への刺客となる。青木氏には小沢代表代行が、田中氏には鳩山代表が同席した。「東西で公明党の最高幹部がゲリラ攻撃をかけられたようなものだ」と評されている。


【社民党が、民主党、国民新党に対し、非核三原則の法制化を検討するよう文書で申し入れ】
 7.24日、社民党の重野安正幹事長は、民主党の岡田克也、国民新党の亀井久興両幹事長に対し、非核三原則の法制化を検討するよう文書で申し入れた。文書では「核軍縮への新しいうねりが国際的に起ころうとしている。その流れを加速させる北東アジア非核地帯の設置を目指すためにも、非核三原則を堅持することはもちろん、その法制化を実現すべきだ」としている。社民党の申し入れには、民主党の鳩山由紀夫代表が三原則見直しとも受け取れる発言をしたことを踏まえ、これをけん制する狙いがあるとみられる。これに対し、岡田氏は記者会見で、「突然出てきた話なのでやや戸惑いを覚える。私たちは今の段階で法制化を具体的に検討しているわけではない」と述べた。

【日共の党費納入問題考】
 「反米嫌日戦線「狼」(反共有理)」の2009.7.23日付けブログ「共産党よ 党費納入率6割未満でどうやって選挙に勝つのかw」を転載しておく。

【自民党の混迷】
 自民党は、5選挙区で公認候補をいまだに決められずにいる。これまでに小選挙区で287人を公認。残る13選挙区のうち8選挙区では公明党候補を推薦しているが、青森1、栃木3、神奈川9、福岡11、宮崎1の5選挙区が候補未定となっている。

 前回、郵政造反組の武田良太氏が「刺客」候補の山本幸三氏に小差で競り勝った福岡11区では2人が公認を激しく争っている。宮崎1区では、2005年の前回衆院選で当選した中山成彬氏が昨年9月、日教組などに関する問題発言の責任を取り、国土交通相を辞任。その後、不出馬を表明したため、県連は公募で元参院議員の上杉光弘元自治相擁立を決めた。しかし、中山氏が一転して不出馬を撤回、所属する町村派の後押しを受けて一歩も譲らない構えを見せている。25日には同派相談役の森喜朗元首相が宮崎市で開かれた中山氏の会合に駆け付け「中山成彬という政治家が必要だ」と県連に圧力を掛けた。中山氏を推す選挙区支部の幹部を県連が除名するなど対立が激化している。
青森1区は、津島雄二元厚相が解散直前に引退表明した。県連が実施する公募には、津島氏の長男が応募の意向を示している。仮に長男で決まれば世襲批判が出ることも予想され、党本部は難しい対応を迫られている。山内康一氏が突然、離党届を出した神奈川9区は、候補擁立のめどすら立っていない。渡辺喜美元行政改革担当相が強固な地盤を誇る栃木3区も、同氏の離党から半年以上が経過しても候補を絞り込めないままとなっている。(「5空白区の調整焦点=分裂・世襲、難題抱え-自民【09衆院選】」参照)

【民主党がいち早くマニュフェストを発表】
 7.27日、民主党の鳩山由紀夫代表が、都内のホテルで総選挙に向けたマニフェスト(政権公約)を正式発表した。鳩山党首を全面に映し、「政権交代」と大きく題している。鳩山政権の政権構想として「官僚丸投げから政治家主導の政治へ」など5つの原則と、首相直属の「国家戦略局」による予算骨格の策定、「閣僚委員会」を活用し事務次官会議を廃止、「行政刷新会議」の設置による無駄や不正の排除など5つの施策を掲げ、政権交代をめざすとしている。

 同時に子ども手当や高速道路の無料化などの目玉政策を打ち出している。子ども手当は、2010年度に当初計画(子ども1人あたり月額2万6000円)の半額でスタートし、11年度から満額を実施する。公立高校の実質無償化やガソリン税などの暫定税率の廃止は10年度から実施。高速道路の原則無料化は10年度から段階的に導入し12年度から完全実施。農業の戸別所得補償制度は10年度に調査や制度設計などを行い11年度から実施としている。

 政策実現財源は16.8兆円としている。具体的な財源の捻出方法については、一般会計と特別会計の無駄削減などで9.1兆円、いわゆる「霞が関埋蔵金」の活用で5兆円、租税特別措置などの見直しで2.7兆円を見込んでいる。年金制度改革は、最初の2年間は「消えた年金」問題など年金記録問題に集中的に取り組み、2013年度までに全額消費税を充てる新たな「最低保障年金制度」を決定するとしている。赤字国債発行による財源確保について直嶋正行政調会長は「財政規律は大切にしたい」とし「極力、赤字国債の発行はしないことが基本」と指摘。消費税引き上げについて鳩山代表はあらためて「4年間は必要ない」と語った。

 政策の各論には、「日本郵政」「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命」の株式売却を凍結する郵政株式売却凍結法の可及的速やかな成立や、温暖化ガスの排出量を1990年比で2020年までに25%減、2050年までに60%超削減することを目標とすることなどを明記した。最低賃金の引き上げについても「景気状況に配慮しつつ、全国平均時給1000円をめざす」ことを盛り込んでいる。

 鳩山代表は8月の衆院選で政権交代が実現しなかった場合には「(自身が)大きな責任を負うことは言うまでもない」と指摘。マニフェストで掲げた政策が実現できなかった場合には「政治家として責任を取る」と、政権交代と政策実現のための決意と覚悟を強調した。

 7.28日、麻生政権の各閣僚は、朝の閣議後の記者会見で、民主党が発表した衆議院選挙のマニフェストについて「サービスの大安売りだ」などと、一斉に批判の声を上げた。河村官房長官は「(民主党のマニフェストは)無責任ばらまき政策であると、言わざるを得ないと思います」と批判した。甘利行革担当相は「一言で言いますと、ポピュリズムの極みですね。サービスの大安売りですけれども、こんなことを続けていけばですね、いずれ日本も閉店になりますね」と述べた。与謝野財務相は「財政は、おそらく破たん状態になると思います」と述べた。麻生首相は、閣議後の閣僚懇談会で、「(民主党のマニフェストは)財政の具体性に欠けている。外交・安保政策が極めて不安で、民主党に政権を委ねるわけにはいかないのではないか」と批判し、ほかの大臣からも「中長期の戦略が描けていない」などと指摘する声が相次いだ。


【共産党マニュフェストを発表】
 7.28日、共産党が、2009衆院選マニュフェストとして「『国民が主人公』の新しい日本を――日本共産党の総選挙政策」を発表した。「国民へのアピール」として「自公政権を終わらせる“審判”をくだし、新しい日本の進路の“選択”を」と訴えている。これを論評しておく。

 共産党は、先日の都議選の反省以来、従来の「我こそが真の野党論」を捨て、建設的野党論にシフト替えすることを明らかにした。これに沿い、「自公政治の退場」をいの一番に掲げている。これによると、民主党政権到来必死の局面を迎えて、この流れに合わせたことになる。これは不破路線からの転換であり、遅きに失したがこれはこれで良かろう。

 その共産党の政策を確認しておく。「消費税増税に反対」とある。これは議論を要するところであるが、たすけあい党のように消費税そのものに反対する立場からすると中途半端な気がする。消費税問題は、税収財源からのみ論ぜられるべきではなく、中小零細企業潰しとして機能していることを踏まえ、廃止論があっても良い。「消費税増税は最大の景気破壊増税です。日本共産党は、消費税増税に反対をつらぬきます」とあるが、我が党からすれば消費税廃止論を打ち出さない単なる増税反対論なるものはヌエ的な政策でしかない。

 次に、「軍事費や大型開発などのムダをなくす」も中途半端である。軍事費と公共事業は対の関係にある予算であり、軍事費については大幅削減と打ち出すのが良い。「年間5兆円にものぼる軍事費に“軍縮のメス”を入れ」、「米軍への年間2800億円にものぼる『思いやり予算』や米国のグアムにつくる基地建設費用など米軍再編に3兆円もの税金を注ぎ込む計画は即刻やめるべきです」としているのは当然のことであろう。しかしこの論は、軍事費本体にメスを入れようとしていない点で問題がある。せめて、中曽根政権前のように「国民総生産の1%枠に戻す」よう打ち出すべきであろうが。これは不況対策として必須の政策となるべきである。この辺りもヌエ的である。

 公共事業については「ムダをなくす」は当たり前のことである。問題は、この言辞によって公共事業削減政策に向かうべきではないことにある。共産党の場合、ここを意図的故意にごちゃ混ぜに論じている気配がある。「ムダをなくす」のは当たり前として、公共事業を振興するのか抑制するのかはっきりさせねばならない。不破式公共事業目の敵論は結果的に軍事費の増長を招いてきた。ここをはっきりさせねばならない。それをしない曖昧さがらしきところで、よってこれもヌエ政策でしかない。

 次に、「大企業・大資産家への行過ぎた減税を見直して、社会保障などの財源を確保します」とある。これはこれで良かろう。「消費税導入後の20年間で国民が払った消費税は総額213兆円、同じ時期に法人三税の税収は183兆円も減っています。消費税は、大企業への減税の穴埋めにされたのです」は説得力がある。但し、「大企業・大資産家」を定義づけないと、言葉の独り歩きを許してしまう。「大企業・大資産家」の基準を明らかにし、これを目の敵にする理論を打ち出さなければなるまい。我が党的には、「大企業・大資産家」であろうが何であろうが、企業活動を活性化させ自然増税収を目指すのが良い。この自然増を生みだす政策を打ち出さねばならない。

 企業献金禁止論もヌエ的である。企業献金が禁止されるとして、ならば業界献金、団体献金はどうなのか、はっきりさせねばならない。そもそも企業献金が廃止されねばならない理由が定かではない。共産党的衛生理論は現実的ではない。上限設定するなり、利権献金廃止をぶつのが筋であろう。政治活動には金がかかるのであり、個人であれ企業であれ団体であれ浄財を拒否する理由はない。利権が生まれるとして、それが公共目的に反するのか許容されるのかの識別の方が肝要であろう。

 護憲論は良い。しかしながら、「オバマ大統領に対する手紙」をことさら吹聴する神経が信じられない。小泉時代に「国連への手紙」を送り届け得々としていたが、そういうもので反対の姿勢を貫いたとする神経が理解できない。非核3原則遵守論も良い。問題は、云うだけではダメだということになる。「北朝鮮が5月におこなった核実験非難」するならば、更にキナ臭いパレスチナでのイスラエルの核保有にも言及せねばなるまいのに不言及とはこれいかに。「北朝鮮との関係でも、相手に対して『核兵器を捨てよ』と求める強い立場に立てます」というならば、対イスラエルにも同様に迫らねば片手落ちだろう。対イスラエル政策が抜けているところがいかにもヌエ的である。

 締めくくりの「国民のみなさん」で、妙なことを述べている。「比例代表では日本共産党と書いていただき、国民の立場でスジを通す党を伸ばしてください」と訴えている。こういう風に比例一本化政策を打ち出すのなら、自民対民主対決の選挙区での野党間の票割れ策動はせぬが良かろう。何が云いたいのか何をしようとしているのかが伝わらない。相変わらずの一事万事ヌエ的な日共らしさではある。

 2009.7.30日 れんだいこ拝

 毎日新聞社の「党首に聞く:09衆院選 共産・志位和夫委員長」で、志位委員長は次のように述べている。「比例で全国で650万票以上。小選挙区では京都1区は必勝区とする」。選挙後の民主党政権を想定した対応について、「直接的には都議選の結果だ。リアルに民主党中心政権ができる可能性が高い。本当は共産党も参画する民主連合政府がすぐできれば一番いいが、そういう段階には至っていない。ただ『民主党に勢いがあるから』と受け身で決めたのではない。責任ある政党としてのとるべき態度だ」。「選挙後の首相指名選挙での対応」について、「1回目の投票は独自の行動。仮に決選投票となれば、自公政権の延命を許さない手段として民主党候補に投じる可能性はあり得る。ただ無条件ではない。そこは交渉だ」。

【国民新党が東海ブロック比例に郵政造反組官僚の稲村公望氏を擁立】
 小泉式「郵政民営化」に反発した郵政公社常任理事にして中央大学大学院客員教授の稲村公望氏が、国民新党の比例(東海ブロック)で立候補する動きを見せている。稲村氏は竹中平蔵・元総務大臣、西川日本郵政社長を強く批判しており、「本当は赤字でもなかった『かんぽの宿』を帳簿上の操作で意図的に赤字にし、二束三文でオリックスに叩き売った」と指摘する。

【民主党の鳩山代表が、インド洋で補給活動中の海上自衛隊について期限切れ撤退明言】
 7.29日、民主党の鳩山代表は、遊説先の熊本県菊陽町で記者団に対し、衆院選で政権を獲得した場合、インド洋で補給活動中の海上自衛隊について、改正新テロ対策特別措置法が期限切れとなる来年1月で海自の活動を終了し、撤退させることを明言した。また、期限切れまでの間に、米国と協議の上、海自派遣に代わる貢献策を策定することも表明した。同党は派遣そのものを「憲法違反」(当時の小沢一郎代表)と批判してきた経緯がある。

【公明党の第一次推薦】

 7.30日、公明党が、自民党の衆院選小選挙区候補者92名の推薦を決めた。8月18日の衆院選公示に向けて随時、追加推薦を出す方針。公明党は、衆院選で自前の候補者を擁立しない小選挙区に於いては自民党候補を支援し、その見返りに比例選に票を回してもらう戦術をとっており、いわゆる票の「バーター協力」をしている。他に、推薦を表に出さない裏推薦もある。あるいは逆に推薦しない場合、推薦拒否の場合もある。麻生首相への推薦が出ていないが、公明党福岡県本部は「首相から推薦の依頼が来ていないため」としている。公明党が推薦した候補は以下の通り。(敬称略、丸数字は選挙区)

 【福島】〈1〉亀岡偉民▽〈2〉根本匠▽〈3〉吉野正芳▽〈4〉渡部篤▽〈5〉坂本剛二
 【茨城】〈2〉額賀福志郎▽〈3〉葉梨康弘▽〈4〉梶山弘志▽〈6〉丹羽雄哉
 【群馬】〈1〉尾身幸次▽〈2〉笹川尭▽〈3〉谷津義男▽〈4〉福田康夫▽〈5〉小渕優子
 【埼玉】〈1〉金子善次郎▽〈2〉新藤義孝▽〈3〉今井宏▽〈4〉早川忠孝▽〈5〉牧原秀樹▽〈7〉中野清▽〈9〉大塚拓▽〈10〉山口泰明▽〈14〉三ツ林隆志▽〈15〉田中良生
 【千葉】〈7〉斎藤健▽〈8〉桜田義孝▽〈12〉浜田靖一
 【東京】〈2〉深谷隆司▽〈5〉佐藤ゆかり
 【長野】〈1〉小坂憲次
 【滋賀】〈1〉上野賢一郎▽〈2〉藤井勇治▽〈3〉宇野治▽〈4〉武藤貴也
 【大阪】〈7〉渡嘉敷奈緒美▽〈8〉大塚高司▽〈9〉原田憲治▽〈10〉松浪健太▽〈12〉北川知克▽〈13〉西野陽▽〈15〉竹本直一▽〈17〉岡下信子▽〈18〉中山太郎▽〈19〉松浪健四郎
 【兵庫】〈1〉盛山正仁▽〈3〉関芳弘▽〈6〉木挽司▽〈7〉大前繁雄▽〈11〉戸井田徹▽〈12〉河本三郎
 【奈良】〈2〉高市早苗▽〈4〉田野瀬良太郎
 【和歌山】〈2〉石田真敏▽〈3〉二階俊博
 【香川】〈1〉平井卓也▽〈2〉木村義雄▽〈3〉大野功統
 【高知】〈1〉福井照▽〈2〉中谷元▽〈3〉山本有二
 【福岡】〈2〉山崎拓▽〈3〉太田誠一▽〈4〉渡辺具能▽〈5〉原田義昭▽〈6〉鳩山邦夫▽〈9〉三原朝彦▽〈10〉西川京子
 【佐賀】〈1〉福岡資麿▽〈2〉今村雅弘▽〈3〉保利耕輔
 【長崎】〈1〉冨岡勉▽〈2〉久間章生▽〈3〉谷川弥一▽〈4〉北村誠吾
 【熊本】〈2〉林田彪▽〈3〉坂本哲志▽〈4〉園田博之▽〈5〉金子恭之
 【大分】〈1〉穴見陽一▽〈2〉衛藤征士郎▽〈3〉岩屋毅
 【宮崎】〈2〉江藤拓▽〈3〉古川禎久
 【鹿児島】〈1〉保岡興治▽〈2〉徳田毅▽〈3〉宮路和明▽〈4〉小里泰弘▽〈5〉森山裕
 【沖縄】〈1〉国場幸之助▽〈2〉安次富修〈3〉嘉数知賢▽〈4〉西銘恒三郎

【自民党のマニュフェストが発表され、出揃う】
 7.31日、自民党がマニュフェストを発表し、各党の2009衆院選の公約が揃った。麻生首相は、公約発表の記者会見の冒頭、「所得格差や地方の疲弊をこのまま見逃せない。行き過ぎた市場原理主義と決別する」と述べ、小泉構造改革路線の転換を強調した。公約には、消費税増税も盛り込み、政権与党としての「責任力」を示し、野党との違いを訴えている。各党とも手厚い生活支援策を前面に掲げ、「ばらまき」合戦の様相を呈している。一方で、財源論をめぐって与野党双方の非難の応酬が続いている。




(私論.私見)