2003総選挙、自民対民主関が原決戦考

【衆院解散、総選挙28日公示・来月9日投票、3年4カ月ぶり総選挙】

 小泉純一郎首相は同日午前9時からの閣議で「衆院解散、10月28日公示、11月9日投票」を表明し、憲法7条(内閣の助言と承認による国事行為)に基づく解散詔書に全閣僚が署名して衆議院解散を閣議決定した。「首相の解散権行使」。

 柴田雅人内閣総務官が解散詔書を皇居に持参し、天皇陛下のご署名を得た後、首相官邸で首相が副署した。この間午前11時から首相官邸で公明党の神崎武法代表、保守新党の熊谷弘代表の与党3党首会談を開き、「選挙後も引き続き、3党の枠組みで政権運営したい」と述べ、衆院解散の方針を正式に伝えた。

 柴田内閣総務官が衆院内で待機する福田官房長官に解散詔書を手渡した。福田官房長官が「紫のふくさ」で包まれた解散詔書を衆院本会議場に運び綿貫民輔議長に伝達。午後1時からの衆院本会議で国会同意人事の採決後、綿貫衆院議長が「日本国憲法第7条により衆議院を解散する」という詔書を朗読し、同5分衆院は解散された。これを受け、政府は午後2時、臨時閣議を開き、第43回総選挙を「10月28日公示、11月9日投票」の日程で実施することを正式に発表した。衆院解散を受けて、各党は両院議員総会や決起集会などを開き、選挙態勢に入る。

 これに伴い、14日告示、26日投票の予定だった衆院統一補選5選挙区の統一補欠選挙は衆院選に吸収され、実施されなくなった。02年施行の改正公選法による「5増5減」の新たな小選挙区割りは今回の衆院選から適用される。
現内閣は衆院選後、新首相を指名する特別国会の直前に総辞職する。

 解散は、森政権当時の2000年6月以来、3年4か月ぶり。今回は戦後21回目(通算43回目)となる。現憲法下では、19回目で、小選挙区比例代表並立制での総選挙は3回目、小泉政権発足後では初めて。小泉「構造改革」路線―経済政策、民営化、高速道路建設問題、社会保障制度改革、年金改革、イラクへの自衛隊派遣問題の是非などが争点となる。

 小泉政治の継続を目指す自民、公明、保守新の与党3党に対し、旧自由党と合併した民主党など野党各党は、政権交代をかけて対決する。特に、自民、民主両党の大型対決が焦点となっている。民主党の伸長によっては、日本の政治が自民、民主両党による2大政党体制へ前進する可能性がある。

 今回の解散は、「マニフェスト(政権公約)選挙」、「政権選択選挙」とも呼ばれている。特徴として、各党のマニフェスト(政権公約)が争われており、
この政権公約を有権者がどう受け止めるかも今回の総選挙の注目点だ。争点の一つは、小泉政権が2001年の発足以来進めてきた経済政策だ。首相が、2007年からの郵政民営化や2005年からの道路公団民営化を掲げ、構造改革路線の堅持を訴えるのに対し、民主党は、高速道路料金の無料化などの政策を政権公約に明記し、政権交代による政策転換を求める。

 焦点となっている年金制度改革では、民主党が景気回復後に、消費税を財源とした新制度の導入を目指すとしている。自民党は年内に改革案をまとめ、2004年の通常国会に法案を提出するとした。外交安保政策では、イラクへの自衛隊派遣や、イラク復興への資金援助といった日本の国際貢献のあり方、対北朝鮮外交なども問われている。

 小泉首相は午前8時半過ぎ、東京・東五反田の仮公邸を出発する際、記者団に「今朝の心境は」と尋ねられ、平常心を強調し、「普通だね」と答えた。首相にとって、“伝家の宝刀”である解散権を行使するのは初めて。就任から2年半の小泉政権への信を問うことになる。一方、挑戦者となる民主党の菅代表は、この日が誕生日。東京・武蔵野市の自宅前で、「首相からの誕生日プレゼントは『政権交代のチャンス』だ」、「記念すべき1日になりそうだ」と強気の笑顔を見せた。



昨今の政況作柄考 れんだいこ 2003/10/27
 2003.10.26日の参院埼玉補選で、自民・関口昌一(50)氏が当選した。投票率は27.52%と01年参院選(52.61%)の半分程度にとどまった。投票内訳は、関口昌一=自民・公明・保守党推薦、当648319。嶋田智哉子、民主党推薦、635332。阿部幸代=共産党推薦、232850であった。

 いつも思うが、民主と社民と共産が組んでいれば悠悠と勝ってるではないか。政権党の方が連携し、野党のほうが分裂する。これでは勝てる訳が無い。日共は日頃「よりましな改革」を云っている。だとすれば、公明党が自民党応援するように共産党も民主党を応援すればよいのに。これが普通の発想だろう、それで何らおかしくない。実際は、足を引っ張ってるだけではないのか。

 民主党が自民党よりも「よりワル」という位置付けなら、国会内での共同歩調など取らなければよいのに。すっきりしないことおびただしい。こたびの衆院選でも然りだが、勝てる見込みの無いところは民主党を応援すればよいのに。全選挙区に候補を立て「政権交代」を難しくしているだけではないのか。提携したら大きな政治変動になるのではないのか。

 極めつけはこうだ。本日、記者クラブ主宰の党首演説会があったが、イラクへの自衛隊の軍事派兵、戦費負担の是非を問う論争が巻き起こらない。明後日のような年金、消費税論へ関心をそらす。辛うじて政権交代の可能性を廻って議論していたが、何とも仲良しクラブ的和気藹々(あいあい)で、タヌキかキツネに騙されているような気がした。

 興味深いことは、自民党・小泉が唯一、伝統的な責任論に基づき数値責任を明確にしていた。他の党はこれができない。ひどいのになると、負ければ負けるほど捲土重来責任があるという論法で居座ろうとする。議席が増えたら自慢するのに。つまり、どっち転んでも執行部は安泰という狡猾さよ。要するに手前勝手過ぎ、遅れているんだわな。

 しかし、土井のおばちゃまにも困ったもんだ。恥ずかしげも無く党首の座に居座り続けていらぁ。一体、見るも無残な社会党の解党とその後の低迷、今や共産党の後塵を拝しているというのに、この間の党首が平気で人前に出られるという神経が分からない。そういう御仁が、なして小泉流ボケとツッコミに勝てようぞ。

 志位も又然り。今や日本列島解体計画の忠実なポチとして、無茶泉政治をやっているその小泉政権の打倒を云うでもなく、現議席よりの前進を呼号するでもなく、現行議席確保できなかったら責任取るぐらいの気概を示すこと無しに「政権交代ブーム」の火消しに躍起になっていらぁ。

 こういう連中は信用なら無い、これが人民大衆が学んできた政治知識であるが、肌寒いことこの上ない。早く新型政治運動起そうよ。そういゃぁ、真紀子が何やら気炎上げそうな雰囲気だ。馬鹿マスコミが又もや重箱の隅を突付き始めるだろうが、抗するにインターネット空間で支援網をつくらにゃならんかな。

 中曽根が仕舞いに相応しい醜態を晒した。馬鹿マスコミが又もや中曽根終身一位を尊重せよなどと主張しているが漬ける薬が無い。「終身一位」などという約束は、するのもする方で、それに乗るのも乗る方だろう。そういう私物化論理が「一寸先は闇」の政界に罷り通ることは無いって。という訳で、中曽根が猿回しの猿よろしくコケにされ、これに怒ってみたところが余計に辱めの刑を受け、晩節を汚したというめでたい図柄か。


 衆院選:自民200割れで民主政権に さらなる政界再編も

 小泉「自公保」政権が信任されるのか、それとも民主党を中心とする政権が実現するのか――。「政権選択」が最大焦点となる衆院選が10日、実質スタートした。解散時の自民党と民主党の勢力差は109議席。自民党が200議席を割り込めば、民主党政権が誕生する計算となる。政権交代へのハードルは高いが、結果次第では、さらなる政界再編につながる可能性をはらむ政治決戦だ。自民、民主両党を中心に獲得議席数の推移に応じて、衆院選後の展開を予想してみる。【人羅格、中川佳昭】

 小泉純一郎首相は8日、インドネシアで「自民党単独で過半数を目指すのが政権政党として筋」と語り、「自公保連立の維持」が前提であるとしながらも、「単独過半数の241議席確保」を目標に掲げた。安倍晋三幹事長も「当然過半数を確保したい」と自信を示す。

 自民党の解散時勢力は246議席(党籍を離脱していた綿貫民輔衆院議長と新規入党した江崎洋一郎氏を含む)で、単独過半数を5議席超える。同党が前回の00年衆院選で獲得した議席数は233議席。その後、無所属当選議員の公認追加や、旧保守党などからの入党を繰り返しようやく単独過半数にこぎつけた。

 自民党は過去3回の衆院選ではいずれも単独では過半数を獲得していない。93年が223、96年が239。「過半数を取ることは高い目標」と山崎拓副総裁が話すのはそのためだ。

 一転して強気のラインを設定する背景には、安倍幹事長の「抜てき人事効果」もあり、小泉内閣の支持率が再び上昇に転じ、景気も上向いている状況がある。

 今回、単独過半数を確保し、公明党も解散時の31議席を維持できれば、与党3党で270台に到達する。小泉首相は9月の自民党総裁選での圧勝に続き、さらに求心力をアップさせ、郵政事業改革などを推進。来夏の参院選でも勝利すれば、長期政権となる可能性が出てくる。

 一方、自民党が単独過半数を制した場合、民主党は改選の137議席を上回ったとしても敗北感は強い。菅直人代表の責任問題のほか、旧自由党勢力との不協和音が表面化する公算が大きい。

 自民党が現有議席を15〜20程度減らした場合でも、与党3党で250〜270台を確保しているとみられる。小泉首相の続投は揺るがないものの、「選挙の顔」としての期待感は低下。特に220台に後退すると、安倍幹事長ら執行部責任論も噴き出しかねない。

 先の総裁選で首相に完敗した反小泉勢力が息を吹き返す可能性もあり、首相の改革路線には黄信号がともる。

 特に、「来年の参院選での顔」と見込み、総裁選で首相を支持した青木幹雄参院幹事長が一転して、首相と距離を置けば、政権基盤は弱体化することになる。

 「今回の選挙は優位」とのムードが漂う自民党内にも、民主党の「合併効果」に対する危機感は強い。特に青木氏は「旧自由党と合併した新民主党の攻勢を侮ってはいけない。油断すると大やけどする」と話している。

 これに対し、与党3党で250〜270議席の場合、民主党は「170〜190議席」(幹部)を確保している状況となりそうだ。国会でも与野党勢力が接近するため、来年夏の参院選に向けての与野党攻防の激化は確実だ。

 旧自由党党首の小沢一郎氏は10日、記者団に「(自民党が)200議席前後になれば(民主党と)拮抗する」と語った。

 実際には自民党が220議席を割り込むことになれば政界は流動化しそうだ。

 与党全体では過半数を確保したとしても、来夏の参院選に向け、「選挙の顔」としての小泉首相の求心力は失墜し、退陣論が強まることになる。ここで、与党が収拾に失敗し分裂すれば、小泉首相と自民党の別の候補が、野党も巻き込む形で国会の首相指名選挙にもつれ込む可能性も否定できない。

 与野党の議席差は大きいが、96年の前々回衆院選当時、旧新進党党首だった小沢氏が「70の選挙区が小差で負けた」と振り返るように、有権者意識の変化によっては選挙結果が一変するのが小選挙区制。さらに自民党が200議席程度に落ち込めば、民主党を中心とする政権交代が現実味を帯びる。

 改選137議席の民主党が単独過半数を制するには100議席以上の増加が必要となる。しかし、実際には、60議席以上を上積みし200議席に達すれば、社民党や与党勢力の一部との連携も視野に入れながら、自民党との激しい多数派工作が展開されることになりそうだ。

[毎日新聞10月11日] ( 2003-10-11-01:32 )



【総選挙へ、各党党首らが決意を語る】

 衆院解散で選挙戦が事実上スタートした10日、各党党首らが決意を語った。

自民党 安倍幹事長 単独過半数が勝敗ライン  衆院選を勝ち抜くために幹事長に就任したと思っている。いよいよということで緊張している。自民党と民主党のどちらが政権を担うにふさわしい政党であるかを国民に判断していただくため、われわれの実績と、これからやろうとしていることをしっかり説明していく。安全保障、憲法、教育基本法、社会保障などの中期的な論点も取り上げていきたい。勝敗ラインは、自民党単独で過半数を獲得することだ。
民主党 菅代表 政権交代かけた戦いに  10年ぶりに政権交代をかけた本格的な選挙になる。今の日本の状態がこのままでいいと思っている人は少ない。皆さんの1票で日本のあり方が変わる。国民には勇気を持ってもらいたい。結果によっては、歴史に残る日になる。「小泉流」では日本の官僚主導の政治は変わらない。首相との討論を通じて、「民主党が政権を担当すればこういうことをやる」ということを、国民の前にしっかりと明らかにしていきたい。
公明党 神崎代表 年金改革への責任訴える  いよいよ決戦の時が来た。勝利するために全力で戦う。今、国民が一番関心を持っているのは年金問題だ。年金改革に一番責任を持っているのは公明党だということを訴えたい。自民、公明、保守新の与党三党の連立政権は「安定改革政権」であり、引き続き三党に政権を担当させていただきたい。民主党は、参院でも過半数に達していない。どういう政党の組み合わせで政権をとるのか、政権構想を明らかにすべきだ。
共産党 志位委員長 改革の党の姿をアピール  解散を堂々と受けて立ち、必ず前進、躍進を果たしたい。21世紀の日本の進路はどうあるべきかを国民に問いかけ、自民党政治の古い枠組みを変える本当の改革の党という姿をアピールしていく。国民が置かれている生活の困難、平和の危機は、自民党のこれまでの枠組みの中では解決できない、深刻な問題だ。また、イラクへの自衛隊派兵を中止し、消費税大増税、憲法改悪も絶対に許さないという論陣を張る。
社民党 土井党首 憲法生かす政策行う必要

 社民党にとって、天下分け目の戦い、「平成の関ヶ原」だ。「二大政党」に埋没するわけにはいかない。小泉内閣のもとで、憲法に背を向けた政治が行われている。軍備を強化し、自衛隊を海外に派遣することが当たり前という風潮が強まっている。安閑としていられない。われわれが憲法を生かし、国民生活をしっかり守る政策を実行しなければならない。そのために、国会に法案を提出できる21議席以上の獲得を目指す。

保守新党 熊谷代表 激戦だが全員当選目指す

 時代の大きな流れが、政治家に対する国民の審判を要求している。民主党は、政権選択を迫るというのなら、国家体制、安全保障、教育、経済といった根本的な問題から逃げずに堂々と議論すべきだ。党内がまとまらないから些細(ささい)な項目だけを取り上げるというのでは、政権選択にはならない。保守新党にとっては厳しい戦いだ。大政党との戦いとなり、すべて激戦区となるが、強いメッセージを発して全員当選をめざす。

 (2003/10/10/14:05 読売新聞 無断転載禁止)


【自民党、政権公約「小泉改革宣言」を決定】

 自民党は10日午前の総務会で、衆院選のマニフェスト(政権公約)となる「小泉改革宣言」を決めた。本文と、その中から重点政策を抜き出した7つの宣言から構成されている。

憲法改正

 「2005年に憲法草案をまとめ、国民的議論を展開する」と明記し、立党50周年の2005年に党の改正案をまとめる方針を打ち出した。

経済運営  デフレ不況を克服し、「2006年度に2%以上の名目経済成長率を達成」との目標を掲げた。
社会保障  国民負担率を50%以内に維持することとした。さらに、「将来の消費税引き上げについても国民的議論を行い、結論を得る」との表現で、社会保障費の財源として、消費税を引き上げる可能性に触れた。
郵政民営化  郵政民営化の扱いは、「2007年4月からの民営化」との年限は明記されたものの、あわせて「国民的論議を行い、来年秋ごろまでに結論を出す」と盛り込み、玉虫色の表現となった。
道路公団民営化  道路公団は、2005年度に民営化することとし、来年の通常国会に関連法案を提出するとしている。
雇用創出  530万人雇用創出プログラムを推進。今後2年間で300万人以上の雇用創出
不法滞在外国人対策  5年で不法滞在外国人を半減
経済特区  2004年度に「北海道道州制特区」を創設
教育基本法の改正  2005年に憲法草案をとりまとめ。憲法改正の手続きを定める国会法改正、国民投票法を成立させる


【(資料4)各党公約、政策の争点】


【第43回衆議院選挙各党立候補者数と当落予想図】
 第43回総選挙が28日公示され、11.9日の投票(即日開票)まで12日間の選挙戦が始まった。全国で1156人が届け出、 前回比200人以上減となった。小選挙区比例代表並立制が導入された96年衆院選の1503人、前回00年衆院選の1404人を大きく下回っており、最終的な立候補者数は同制度の下で最も少なくなるのは確実だ。前回126人を擁立した自由連合が今回は1人に候補を絞り込んだことや、民主党と合併した旧自由党(前回75人擁立)が消滅したのが主な要因だ。逆に、自民党は前回(337人)並みの336人、民主党は前回(262人)より15人多い277人を擁立。この結果、両党の候補が対決する小選挙区は合計246区を数えることになった。公明、共産、社民、保守新各党も、軒並み候補者を絞り込んでいる。

 全体の傾向を反映し、女性の候補者数も148人と、過去の2回(96年153人、00年202人)より減った。これも自由連合の女性候補者減が主な原因だ。公明、共産両党など組織型政党も、擁立の絞り込みに伴い、女性候補の数を減らしている。

 02年7月に改正公職選挙法が成立し、20都道府県、68選挙区で小選挙区の線引きが変わり、10道県で選挙区の5増5減が決まった。今回は、新しい区割りの下で初めて行われる選挙となる。

 小泉政権の発足後初めての衆院選であり、「政権選択の選挙」と云われているように、民主党の伸び如何によっては本格的な2大政党制への幕開けとなる。今回の衆院選で、自民党と民主党の公認候補同士が争う小選挙区は246区に上った。前々回96年の自民党と新進党の対決区は226、前回00年の自民党と民主党の対決区は225。与野党第1党同士の対決は、小選挙区制導入から3回目の今回が最多となった。この246選挙区の行方が、自民、民主対決の勝敗を左右する。

 小選挙区で最も多い対決の図式は、「自民・民主・共産」という三つ巴パターン。自民党が277人、民主党が267人の公認を擁立し、共産党は300小選挙区にすべて候補者を立てたため、この組み合わせが最も多い。このパターンでは、さらに社民党や無所属の候補が絡むケースが多い。


 
自民党は単独過半数の241議席を狙い、民主党は獲得目標を200議席以上としている。連立政権を支える公明、保守新両党、野党として埋没を恐れる共産、社民両党の帰趨も注目される。各党が具体的な政策を競うマニフェスト(政権公約)選挙ともなっている。憲法改正、消費税、年金改革、道路公団・郵政の民営化などが争点とされているが、イラクへの自衛隊の派遣、軍事負担金の是非を廻っては論争が避けられている。


【第43回衆議院選挙注目の選挙区(毎日新聞10.28日付け「衆院選:注目の10選挙区 戦い本番」記事参考)
北海道7区

 鈴木宗男前衆院議員が出馬を断念し、自民前職の北村直人氏と民主新顔らの戦いとなる。北村氏が6選を果たした。

北海道9区 鳩山由紀夫

 現職・鳩山由紀夫氏(56、前民主党党首)が苦しい戦いを強いられている。前回2525票差まで迫って比例で復活した自民党前職・岩倉博文氏(53)と再びまみえる。鳩山氏もかっての党首時代の勢いは無い。岩倉氏も後ろ盾だった鈴木宗男前衆院議員が失脚し、ともに不安要素を抱えている。岩倉氏は公明の推薦を得て、安倍幹事長らの応援も要請している。


(結果)鳩山由紀夫氏が当選、逃げ切る。鳩山141442、岩倉118958

青森3区 大島理森  自民の元農水相、大島理森氏(57)が逆風を乗り越え、民主の田名部匡代氏(34)らを破って当選した。元秘書の口利き疑惑などを指摘され、農水相辞任に追い込まれたが、組織を懸命に引き締めた。
(結果)大島理森氏当選。大島86909、田名部70275
山形3区 加藤紘一

 昨年4月、政治資金流用疑惑の責任をとって衆院議員を辞職した元自民党幹事長・加藤紘一氏(64)が初の無所属出馬で再挑戦。対するのは民主党の前議員・斎藤淳氏(34)、共産党新人の佐藤雅之氏(31)。


(結果)加藤紘一氏がダントツで早々と当選。加藤137206、斎藤84946
岩手1区 達増拓也

 民主前職の達増拓也氏と自民新人の及川敦氏の三十歳代対決が実現、若手対決が見どころとなっている。


(結果)達増拓也氏が接戦を制す。達増91025、及川57899
福島3区 荒井広幸
玄葉光一郎

 小泉改革の目玉である郵政民営化を批判してきた自民党前職・荒井広幸氏(45)と、民主党ネクストキャビネット総務相の玄葉光一郎氏(39、佐藤栄佐久・福島県知事の女婿)の因縁の対決。前々回の96年は小差で敗れ、比例区で復活当選。前回はコスタリカ方式で荒井氏は比例区に。玄葉氏は選挙中、荒井氏を意識して「争点は族議員政治の打破」を訴え、郵政民営化にも反対した。


(結果)郵政民営化反対の急先鋒、荒井氏が敗退、民主前職の玄葉光一郎氏が4選を果たした。玄葉110606、荒井94413
新潟5区 田中真紀子

 昨年8月に議員辞職した田中真紀子氏(59)が無所属で再挑戦。「地元、新潟県、世界中から激励をもらって、自分が歩むべき道が何であるか分かった」、「他者のために己をささげる覚悟で頑張る」と決意を示している。対するのは自民党前議員の星野行男氏(71)、元議員の白川勝彦氏(58)、共産党新人の斉藤実氏(45)。


(結果)田中真紀子氏が悠悠と当選。田中98112、星野61937
栃木1区 船田 元
水島広子
 前回、自民党若手議員のホープであった船田元氏(49)は水島広子氏(35)に敗れ、今回は雪辱を期している。二度目の戦いとなったが形勢不明。
(結果)船田元氏が雪辱果たし当選。水島氏は比例区で当選。船田123297、水島102127
群馬5区  前回選挙は、父恵三氏の急死を受けての立候補。16万4000票近くで圧勝した。陣営幹部は「今回は、小渕優子の真価が問われる選挙」として選対組織を総動員。終始安定した戦いを展開した。 自民前職の小渕優子氏、世襲批判はねのけ再選。小渕144848、浅貝27693
埼玉13区 土屋品子

 土屋義彦前埼玉県知事の二女で自民党前職の土屋品子氏(51)は、父の威光をバックに96年は無所属で、00年は無所属の会で出馬し、次点に2倍以上の差をつけ連続当選、小泉政権発足後に自民入りした。が、政治資金管理団体の不正経理事件を受け前知事が辞職。8月の出直し知事選で民主党出身の上田清司氏が当選したため逆風下の選挙を強いられている。陣営は「自民入党で浮動票が期待できない」と危機感を募らせる。

 対するのは、前回、自由党から出て比例代表で復活当選した民主党前職の武山百合子氏(56)。「前知事の重しがとれて戦いやすくなった。民由合併効果も肌で感じる」と強調する。


(結果)土屋品子氏が接戦を制する。土屋81935、武山81361
茨城1区  東大卒で中央官庁出身と共通項の多い民主新人、福島伸享氏と自民前職の赤城徳彦氏が激突する。
(結果)赤城128349、福島77420
東京1区 海江田万里
与謝野馨

 民主党前職の海江田万里氏(54)と自民党元職の与謝野馨氏(65)が今回も激突する。海江田氏はテレビ出演での知名度と政策通であることをアピールしている。文相や通産相を務めた与謝野氏は、無党派層への浸透を図るため「新人以来」という街頭演説を復活させている。また公明党の藤井富雄常任顧問(東京都議)が「事実上の選対本部長」と言われるほどに、与謝野氏に肩入れし、自公協力を推し進めている。東京では与謝野氏以外に前回涙をのんだ閣僚経験者元職三人も背水の陣。

 前回落選組の大物自民党議員の復活なるかも興味津々。東京1区・与謝野馨(元通産相、文相)、東京2区・深谷隆司(元党政調会長、通産相、郵政相、自治相)、東京5区・小杉 隆(元文相)、東京6区・越智通雄(元金融再生委員会委員長、経企庁長官)、東京7区・粕谷茂(元北海道・沖縄開発庁長官)、東京16区・島村宜伸(元農相、文相)


(結果)海江田万里氏が接戦を制する。与謝野氏は比例・東京ブロックで当選。海江田105222、与謝野103785
東京3区 石原宏高
松原仁
 石原都知事の三男・石原宏高氏(39)の出馬で注目されている。対するのは、前職の民主党・松原仁(47)、共産党の大貫清文(46)。
(結果)石原宏高氏落選、比例区でも及ばず。松原122181、石原113494
東京6区 (結果)「国会の質問王」、大政党の嵐に流される 社民・保坂展人氏(47)が落選し、首都東京で同党がただ一つ守ってきた議席が消えた。「国会の質問王」とも呼ばれた前職が選挙区で得た票は、全体のわずか9%。供託金すら没収される結果になった。小宮山131500、越智78000、保坂23000
東京12区 太田昭宏
藤田幸久
 前職の八代英太・自民党東京都連会長が比例に廻り、公明党の太田昭宏(58)幹事長代行が自・公連合で出馬している。公明党は前回00年の衆院選で議席数を11減らし、31議席にまで後退した。しかも首都東京の小選挙区は全滅。今回の衆院選では、全国では小選挙区候補を10人に抑える一方、東京は太田氏1人に絞り、12区からの出馬を決めた。

 対するのは、民主党元職の藤田幸久氏(53)と共産党新人の山岸光夫氏(52)。藤田氏は太田氏と激戦を繰り広げている。藤田陣営の幹部は、自公協力について「八代さんが直接の相手ではないから、自民党の攻撃はしないが、公明党の政党隠しについては、きちんと事実を指摘する。前回、八代さんと戦って負けたときより、戦いやすい」と手応えを話している。

(結果)太田98700、藤田95110
東京16区  再起をかける元農相・島村宜伸氏(69)と、無所属の会の前職・宇田川芳雄氏(74)の保守同士が激しい戦いを演じている。この二人の因縁も深い。宇田川氏はもともと島村氏の父・一郎氏の秘書だった。一郎氏引退後の76年衆院選で両氏は旧10区で激突し、島村氏が初当選。翌年、宇田川氏が都議に転じ、その後は「都議は宇田川、国政は島村で地元は結構うまくいっていた」(自民関係者)。ところが99年の区長選に宇田川氏が立候補し、島村氏は現職区長を応援。敗れた宇田川氏は、00年の衆院選に出馬し、3282票差で島村氏を破った。

 島村氏は落選後、懸命に後援会組織を立て直し、安倍幹事長のテコ入れを得るなど雪辱を期している。両者譲らぬ中で、両陣営の心配はともに「保守分裂で保守層が投票に行かず、民主の『漁夫の利』になること」。前回は比例で復活当選した民主の中津川博郷氏(54)は中小企業などを中心に支持を広げ、自由党との合併効果で票の上積みも期待。「3年間で支持が確実に増えている。今度こそ小選挙区で勝つ」と気合を入れている。他に、共産党新人・安部安則(47)。

(結果)島村元農相が当選。前回約3000票差で涙をのんだ自民の島村宜伸元農相が、民主中津川博郷氏、無所属の会宇田川芳雄氏との激戦を制し、返り咲きを果たした。島村79980、中津川70176
東京18区 菅直人
鳩山邦夫
 民主党の菅直人代表に、自民党の鳩山邦夫元文相がもともとの地盤だった東京2区から選挙区を変更して挑む。菅氏は比例重複せず小選挙区本命で背水の陣を敷いている。自民は公示当日に小泉純一郎首相を応援に入れるなど足元を揺さぶっている。
(結果)管氏圧勝。管139195、鳩山83337
東京21区 川田悦子  無所属の東京薬害エイズ訴訟原告団副代表・川田悦子(54)が再選されるかどうか。対するのは、自新・橋本城二(54)、民新・長島昭久(41)、共新田川豊(35)。
(結果)長島81398、橋本71873、川田37019田川17409   
静岡7区 熊谷弘
城内実

 保守新党代表の熊谷弘氏(63)に、自民党静岡県連が推薦する無所属新人の城内実氏(38)が挑む。与党間調整に失敗したためで事実上、与党同士の「自保対決」になっている。

 熊谷氏は系列県議も多く、これまで激しく批判してきた公明党との関係修復を図り与党間協力を目指している。自民党県連は長年にわたり、選挙で苦杯をなめてきた。このため、同県連は城内氏を7区支部長に迎え、「打倒熊谷」の準備を進めていたが、昨年末、熊谷氏が突然与党入り。党本部は城内氏に「比例1位」まで提示して事態の収拾を図ったが、城内氏と県連の姿勢は変わらなかった。公認を得られなかった城内氏だが、森喜朗前首相らが公然と応援のため来県。事実上、森派の支援を受ける。
 


(結果)城内98877、熊谷58932
愛知全区

 「民主王国」愛知に自民の切り崩しが奏効するかどうか。自民は、前回全敗した名古屋市の選挙区での議席確保に向け、愛知1区と同3区に前回比例単独の前職を投入。同2、4区では三十、四十歳代の若手を立て、浮動票層への浸透を狙う。一方、民主も「自民王国」に攻勢をかける。

石川1区 (結果)奥田99868、馳97075。民主党前職の奥田建氏(44)が、前回約6800票差で負けた自民党前職の馳浩氏(42)との事実上の一騎打ちをわずかな差で制し、雪辱を果たした。馳氏は比例代表で復活当選した。

 奥田氏は、父親の故奥田敬和元運輸相から受け継いだ「奥田党」と呼ばれる強力な後援会組織がフル回転。民主、自由両党の合併効果を生かし、競り勝った。奥田氏は当選後「何とか皆さんに顔向けができる結果を頂いた」と喜びを語った。

奈良1区 (結果)自民・高市氏が落選。自民党前職の高市早苗氏(42)が民主党新人の馬淵澄夫氏(43)に敗れ、落選した。馬淵79529、高市65538。

 前回比例代表近畿ブロックで当選した高市氏は今回コスタリカ方式で小選挙区に回った。高市氏は全国的な知名度で先行したが、推薦を見送った公明党票が、馬淵氏に流れたのが痛手となった。駅頭演説を繰り返すなど露出度の高い馬淵氏に大きく差をつけられ、惜敗率による比例代表での復活当選もならなかった。
三重5区 金子洋一
三ツ矢憲生

 藤波孝生元官房長官(70)の引退表明に伴って、自民党内の後継選びが難航した。最終的に藤波系県議らを抑え、国土交通省出身の三ツ矢憲生氏(52)が自民党公認を取り付けたが、足並みの乱れも懸念される。対する民主党も旧経済企画庁出身の金子洋一氏(41)を擁立、官僚出身の新人対決となった。共産党も新人の長坂正春氏(52)が立候補した。

 藤波氏は当初、元秘書の県議を後継指名。中選挙区時代のライバル、田村元氏(79)も元秘書の県議を推した。両氏の「代理戦争」の過熱ぶりに地元首長や若手支援者らが反発したため、県連が地元出身の三ツ矢氏を選んだが、一部にしこりは残った。民主党は労働組合が中心となって、保守層の切り崩しを狙っている。


(結果)三ツ矢111840、金子71937。
京都4区 田中英夫
北神圭朗

 長年、絶大な影響力を誇ってきた自民党の野中広務元幹事長が引退し、前京都府亀岡市長、田中英夫氏(59)を後継に指名し神通力が問われている。対するのは旧大蔵省出身の民主党新人・北神圭朗氏(36)、共産党新人の成宮真理子氏(34)の三つ巴でし烈な戦いになっている。大票田・京都市西部での浸透が課題の田中陣営は名前の売り込みに懸命。


(結果)田中英夫氏が当選。田中108209、北神72665。
大阪19区 松浪健四郎

 暴力団組員が会長だった会社から秘書給与の肩代わりを受け、今回が“みそぎ選挙”となる大阪19区の保守新党前議員、松浪健四郎氏(57)は大阪府泉佐野市で、「私のエラーで多くの方にご迷惑をおかけした」と支持者らに頭を下げた。

 これに対し、無所属新人の安田吉広氏(56)の出陣式では、地元府議が「市民、町民が全国から良識を問われている」と訴えた。民主党新人の長安豊氏(35)も「おごれる者は久しからず」、共産党新人の和気豊氏(62)も「皆さんを裏切った政治家には託せない」と対決姿勢を鮮明にしている。


(結果)松浪健四郎氏落選。長安75369、松浪42284.
兵庫7区 土井たか子   社民党党首・土井たか子(74)の票の出方が注目される。前回はほとんど選挙区入りせず14万票を獲得したが、今回は余裕が無い。民主党が政略的な配慮から立候補を見送っており、対するのは、自民党新人の大前繁雄(61)、共産党の礒見恵子(46)。
(結果)土井たか子氏落選、但し比例区で当選。
兵庫8区 冬柴鉄三

 公明党幹事長の冬柴鉄三氏(67)の鼎の軽重が問われている。94年に連合兵庫が「非自民・非共産」を旗印に発足させた兵庫県独自の選挙協力組織「連合・5党協議会」が今回は候補者を一本化できず、事実上崩壊した。後ろ盾の一つを失った冬柴氏は、解散直後に地元入り。対するのは旧自由党の民主党新人・室井邦彦氏(56)室井氏は新たに民主党や労組の支援を得て、激戦となっている。


(結果)冬柴鉄三氏辛うじて当選。冬柴94406、室井79492.
岡山1区 管源太郎  民主党党首・管直人の長男・管源太郎(31)が、現職の自民党・逢沢 一郎(49、外務副大臣)氏に挑戦している。中国地方全県全区が自民党に押えられているという保守王国の牙城にとこまで食い込めるかが注目されている。
(結果)逢沢 一郎氏当選。管源太郎氏を寄せ付けず。逢沢102318、管63463。
岡山2区 熊代 昭彦
津村啓介
 民主党新人の津村啓介(32)氏が、現職の自民党・熊代 昭彦(63)に挑戦している。岡山一区同様に保守王国の牙城を切り崩す切り札として出馬しており成り行きが注目されている。
(結果)熊代昭彦氏当選。津村啓介氏惜敗。熊代78643、津村69190
広島7区 宮沢洋一
和田隆志
 今回政界を引退した宮沢喜一元首相のおひざ元の広島7区は、「自民王国」の官・官対決となっている。財務省(旧大蔵省)出身の宮沢洋一氏(53)、和田隆志氏(40)、旧通産省出身の山田敏雅氏(54)の中央官僚OB3氏が出馬するという異色の構図となった。 自民前職の宮沢氏は喜一氏の甥(おい)、民主新人・和田隆志氏は妻の祖父が旧宮沢派でやはり旧大蔵省OBの村山達雄元蔵相。山田氏は前回、民主党から出馬して比例代表で復活したが8月の福山市長選に出馬、落選し、今回は無所属で再挑戦している。
(結果)宮沢90487、和田73252
福岡2区 山崎拓

 小泉首相の盟友・山崎拓自民党副総裁が、「女性問題」で逆風の中背水の陣を敷いている。公示直前にようやく公明党推薦を受け同党支持組織の創価学会票に期待している。対するは民主党の四十歳代新人の古賀潤一郎氏。菅氏も同区をあえて第一声の地に選んだ。

 11.7日、山崎氏は、「得体の知れない妖怪というものがあって、やれどもやれども、行けども行けども(当選の)めどがつかない」とぼやいてみせた。「小選挙区制になって毎回苦戦しているが、今回が一番深刻だ。副総裁として党のメンツを失う訳にはいかない」と訴え、従来型の組織の締め付けが効かないもどかしい心情を吐露した。


(結果)山崎拓氏が落選、比例復活もならず。民主の古賀潤一郎氏(45)は初当選。古賀104620、山崎94656
福岡6区 (結果)古賀108678、荒巻103616。古賀一成氏リベンジ。昨年秋の補欠選挙で敗れた民主元職の古賀一成氏が、自民前職の荒巻隆三氏との2度目の対決を制し、返り咲いた。古賀氏は補選直後から早朝、駅頭に立つなど着々と準備を進めてきた。荒巻氏は小泉純一郎首相の来援を得て自民支持層を固めたが、無党派層の多い大票田・久留米市で伸びなかった。
福岡11区 (結果)武田78882、山本62628。無所属・武田氏が当選。比例九州での自民公認を辞退し、無所属で出馬した新人武田良太氏が、自民の山本幸三氏らとの接戦を制した。衆院選4度目の挑戦で初当選。武田氏は地盤の田川市郡で終始、優位に戦ったほか、行橋市など京築地区でも、地元の公明党の支援を得て支持を広げた。亀井静香元自民党政調会長や石原慎太郎東京都知事の応援も後押しした。
長崎1区  高木義明  諫早湾干拓問題が尾を引いている。長崎1区(長崎市など)を揺るがしている。民主党前職・県連代表の高木義明氏は、「地元は血と汗を流して進めてきたのに(即時中止は)短絡的だ。中止はスキャンダルなどがあった時だ」と、菅代表が同党マニフェストが目玉公約とする「公共事業の即時中止」の対象に諫早湾干拓事業を明記したことに反発している。

 旧自由党から民主党入りした西岡武夫参院議員が事業の旗振り役という事情もある。前回衆院選で6万票余りを数えた「西岡票」が選挙結果を左右しそうだが、西岡氏は菅氏の方針に激しく反発している。対するのは、自元 ・倉成正和(52)、共新・原口敏彦(41)。

(結果)高木106331、倉成90857
宮崎2区 江藤拓
黒木健司

 自民党の江藤隆美元総務庁長官(78)が引退し、元政策秘書の長男拓氏(43)を後継に指名したが、元県議の新人・黒木健司氏(50)も名乗りを上げたため、自民党は公認を見送り、両氏を同時に推薦する異例の形を取っている。


(結果)江藤88540、黒木79119。
鹿児島5区 (結果)山中100851、米51885。82歳の山中氏が17選。自民長老の山中貞則氏(82)が、今回の当選者で最高齢、かつ最多の17選を果たした。中曽根康弘元首相らの引退など政界の世代交代が進み、高齢・多選批判もあったが、農業、建設業など自民の組織票を固めた。世代交代を訴え、草の根選挙を展開した無所属新人の米正剛氏は、鹿屋市など市部で票を伸ばしたものの、及ばなかった。
沖縄1区 白保台一
下地幹郎

 自公協力の最重点区とされてきたが、公明党の白保台一氏(61)と、自民党の下地幹郎氏(42)の両前職が立候補し、全国で唯一、事実上の自公対決区となった。

 自民党県連は下地氏の公認を申請したが、同党本部は自公協力を重視して見送り、白保氏の推薦を決定。これを不服とした下地氏が無所属で立候補した。発端は00年の前回選。今回と同様に、両氏が出馬の構えを見せたため、当時の鈴木宗男自民党総務局長が下地氏に「次は選挙区から出す」と約束し、下地氏を比例に回した経緯がある。

 下地氏の反乱で自民分裂の様相も呈している。公示前から、白保氏側に尾身幸次・元沖縄担当相らが、下地氏側には麻生太郎・総務相らが支援に駆けつけた。自民県連も両陣営に分かれている。


(結果)白保58330、下地52374。
沖縄2区 (結果)照屋74123、上原47759。社民の照屋氏が当選。沖縄2区は前参院議員の社民新顔、照屋寛徳氏が自民新顔ら3人を退け、初当選した。開票開始から約30分後に万歳をした照屋氏は「イラクへの自衛隊派遣は許さない。護憲と社会保障の充実を国政の場で訴えていきたい」と語った。米軍普天間飛行場がある同区は、労組など革新系が強い地域。区割り変更で県内の選挙区が一つ増えたことに伴い、「現職不在」となる中、照屋氏は01年まで参院議員を6年間務めた知名度を生かし、「憲法9条を守れ」と訴えた。


【総選挙中盤情勢調査考】 れんだいこ 2003/11/03
 投開票日9日前に当る2003.11.2日、新聞各社はほぼ一斉に総選挙中盤情勢調査を発表した。論調を各社ごとに調べてみるのも一興だが、ほぼ同じ予測に立っているので一括整理してみることにする。

 それによると、「自民、単独過半数確保の勢い」(毎日)、「自民、過半数うかがう」(朝日)とある。これをもう少し詳しく見ると、「自民健闘増、公明微減、保守後退で与党が過半数維持。民主健闘増、共産後退、社民半減で野党低迷。自民と民主の二大政党化進む」ということになるようである。

 自民党は堅調に戦いを進めており、単独過半数(241議席)を確保する勢い。解散時勢力(246議席)を上回るかどうかが微妙、場合によっては「安定多数(252議席)」をもうかがっている。比例代表でも前回の56議席からは伸ばす見込みで60議席台も視野に入っている。

 公明党は、解散時勢力(31議席)前後にとどまる見通し又はやや下回る可能性がある。保守新党は解散時の9議席の確保が困難になっている。

 民主党は、解散時勢力(137議席)を大きく上回るのは確実だが、政権交代を可能にさせる200議席の大台という目標の達成は困難な情勢になっており、170議席台にとどまる模様。比例代表では、旧自由党の分を含めた前回議席(65議席)を超え、自民党を上回る70前後に迫る勢い。合併効果は比例代表に現れている。

 共産党は、解散時勢力(20議席)を下回る可能性が強まっている。社民党も解散時の18議席を下回るとみられる。特に社民党は1ケタに落ち込む危機に直面している。

 自・公・保3党による連立与党は、過半数を維持する公算が大きく、さらに衆院の全常任委員長ポストを占めて法案も可決できる安定多数(252議席)をうかがう情勢だ。

 さて、当掲示板の「ネットゴング」ではどうなっているだろうか。非常に参加者が少なく、約12名のデータでしかないが、次のようになっている。投票率は、60%代と40%代に票が分かれている。

 自民党は、単独過半数241議席以上派と、過半数割り込むも小幅減派に二分されている。民主党は、 改選議席を上回るも200議席に届かず。公明党想は、現状維持ないし減。共産党は、減。社民党は増と減に分かれている。保守党は減が圧倒的。何の事は無い。この12名データも今回の新聞調査とほぼ同じ予測をしていることになる。

 しかし、これではつまんない。民主党ブームが起きない理由として、管と岡田がしきりに消費税値上げをぶっていることに原因があるように思われる。与党の小泉が自分の任期の間はやらないと公言しているのに対し、野党の側がけしかけている愚劣さが敬遠されているのではなかろうか。それだけが原因ではないにしても、岡田のタカ派系発言がげんなり感を与えているようにも思われる。

 政権とらせてください。今よりは悪いようにはしない。国民の声を聞き、然るべき日本の針路を打ち出します、でよいのではないのか。しかしそんなことも分からない指導部ではなぁ、鳩山よりは良いけどもの足りないな。

 でも、落雷が国会議事堂へ直撃しているから何が起るか分からんぞ。


【いわゆる左派党派の2003衆院選対応考】
 社民党、日共以外に国政選挙を闘う左派党派がいない中で、その他諸党派はどのような対応を見せているのか、ウオッチして見た。れんだこ好みの順にこれを分析してみる。何かの足しになればよいと思う。

 日本人民戦線は、「科学法則的認識」を売りにしているが、自前の候補は立てられずじまい。ただ分析だけは、「日本政治に安定はない。今後、政局はますます混迷と混乱を深め、動乱に陥り、新たな分化と再編成へ、そして爆発と収れんの時代がいよいよ到来する、と言うことである。もし仮に新・民主党が総選挙で勝ち、政権を取ったとすれば与野党あい乱れた再編成へ、小泉改革は自民党もろとも大乱に見舞われるであろう。いずれにしても動乱の予兆である。これもまた科学であり、歴史の法則である。この意味で十一月総選挙の結果は注目に値する」(「自民党総裁選挙の結果と新・民主党の誕生及び総選挙の展望について 」)としている。「人民戦線戦術とは何か。人民のいっさいの諸要求(経済的、政治的、思想的、社会的、歴史的)実現の闘争(運動)形態は、情勢と条件と力関係のなかから生まれるものであり、それは集会とデモ、大会と宣言、声明と決議、宣言と街頭行動、ストライキと実力、敵権力への包囲と圧力、行動隊と突撃隊などの展開である。すべてのところに人民闘争と人民評議会をめざして人民戦線運動を展開しよう」とあり、議会闘争にはあまり関心がなさそう。

 マルクス主義同志会は、これまた万事に饒舌を得意としているが、自前の候補は立てられずじまい。皮肉だけは健筆で、「まさに小選挙区制とは、ブルジョア政党(自民党や民主党)による政治の独占であり、資本の専制政治の実現である。小選挙区制のもとでの政権交代とは、ブルジョア政党間で権力をキャッチボールのボールのようにやり取りしようということでしかなく、労働者にとっては資本の独裁が一層重くのしかかってくる、ということでしかないのだ」(「空虚な“マニフェスト選挙”」)。しかして、この批判以外に何も無い。

 中核派は、このところ地方選挙には熱心だが、国政選挙には候補を立てられずじまい。その腹いせかどうか「11・9集会は第二に、総選挙の投票日と完全に激突する集会となる。10月28日に公示された今次総選挙は、ブルジョアジーやマスコミが『小泉自民か菅民主か』、『政権交代か否かの選択』と大キャンペーンしているように、小選挙区制のもとで日本経団連・奥田ビジョン、小泉=奥田ビジョンを反動的に競い合うとんでもない翼賛選挙である。どちらを選んでも戦争と改憲、リストラ・大失業、社会保障解体と消費税大増税という結果にしかならない選挙である。日本共産党や社民党も屈服、転向を深めている。現実には今回の総選挙は、自民党総裁選で圧勝した小泉が選挙をクリアして奥田ビジョン=構造改革路線という一大反革命に打って出るための政治プロセスであり、『反動の祭典』である。政権選択など完全なまやかしであり、幻想だ。それは労働者人民を構造改革路線に取り込むトリックでしかない。日本の労働者人民が小泉政権と闘い、構造改革路線を粉砕するためには、本当はゼネストや百万人の大デモに決起する必要がある。そのために今こそ、民主党・連合中央や全労連を打ち破って、闘う労働運動の新潮流を大登場させ、社・共に代わる新しい労働者党をつくらなければならない。その決定的な闘いこそが11・9集会だ。労働者階級の投票所は日比谷野音である。翼賛選挙と猛然と対決し、反動を吹き飛ばせ。すべての闘う労働者人民は11・9日比谷野音に総結集しよう」(「革共同の11月アピール」)。
 
 新社会党は、素直に心情を次のように吐露している。「新社会党は、この重大な選挙にあたり、国会では今や少数に追い込められた護憲派議席を守り拡大するために、あなたの一票を行使するよう訴えます。新社会党の今日の力量では、私たちは多くの候補者を擁立することができません」。その上で、「兵庫1区で、わが党の原和美(はら・かずみ)さんを護憲派の統一候補として擁立した他は、社会民主党全国連合との合意と社民党地方組織との協議によって、いくつかの選挙区で社民党の候補者を支援することとしました」(「平和を愛する国民の皆さまへ」)。留意すべきは、新社会党は、「中異を残して大同につかねなければならない」として、出自を同じくする社民党への投票を呼びかけている、ということであろう。


 労働党も又自前の候補を擁立できない。理屈だけは、「今回の総選挙で、財界、マスコミはあげて、民主党、自由党の合併によって誕生した新民主党と自民党との2大政党の対決が軸となるかのように描き出し、それへの期待感をあおり立てている。これは、今回の総選挙を通じて2大政党制へと一気に持ち込もうという支配層の画策であるとともに、選挙での真の争点を隠そうとするものでもある。だが、大多数の国民にとって、今回の総選挙で争われるべき最大の争点は、自民党、公明党、保守新党連立の小泉政権による内外政治の結果もたらされた、国の進路と国民生活の未曾有(みぞう)の深刻な危機から脱却できるかどうか、また、敵の進める2大政党制を打ち破り、国民大多数が望む新しい政治の展望が開けるのか否か、この点にこそある」(「来る衆議院選挙とわが党の態度」)。

 続いて、社民党への支持を屈折させながら次のように訴えている。「わが党は、これまで国政選挙で独自候補を立てないときには、社民党を支持したり、同党の地域や個々の候補者を支持したりして闘ってきた。今回の総選挙は、社民党にとってはその存亡にかかわる選挙となろうが、それでも、それだからこそ、社民党を全面的に支持することができない。だが、特定のブロック、特定の県、候補者については、支持を惜しまない。例えば、九州ブロックは全域で支持できるし、関東、関西、その他でも支持できるところは多くある。そうするのは、闘いは以降も続くし、団結が必要だからである。労働党中央はすでに、地方組織に対して、支持できる県では社民党と団結して闘うよう指示した。また、それらの地域、県では、比例区での政党投票では、社民党に投票することとした。これは、選挙制度にかかわることで、実質的効果からの必要性でもある」。

 ワーカーズは、短文見解であるが次のように述べている。「私たちの総選挙の課題は、まさに『小泉リストラ・戦争政権を倒そう』にある。では、この小泉自民党を倒すための具体的行動とは何か?その投票行動はどうあるべきか?という課題がある。自民党に対抗すべき勢力として菅と小沢が連合した新「民主党」が登場した。だが、この民主党も自民党との間には、決定的な対立と路線の違いは存在しない。新自由主義的改革や外交・軍事におけるタカ派志向の基本路線は基本的に同じである。従って、民主党に大きな期待を抱くことは幻想につながる恐れがある。 しかし今、私たちに求められている最大の課題は、自民党政権に終止符をうつこと、政治の流れを変えること、ここで大いなる変革を成し遂げること、もう一度労働者・市民が闘う自信を回復すること、さらにその変革の流れを前に前に押し進めていくこと、このことが問われているのではないか? そのためには、自民党候補者の落選運動を徹底的に展開すべきである。投票を棄権せずに自民党議員を落選させるために投票場に行くべきである。自民党議員を落選させるために、投票しようと呼びかけるべきである。自民党以外の野党候補者に投票し野党を躍進させること、たとえそれが民主党候補者であってもよいのではないか」(「自民党政権に終止符を ――総選挙の課題を考える」)。


 統一の旗、コム・未来は、特段のコメントしていない。BUNDは、「11月総選挙・自民VS民主論争を斬る−本当に必要な改革はゼネコンシステムの解体」を発表しているが、頓珍漢な見解に終始している。とはいえ、以上取り上げた党派はコメント出来ているからまだましな口という按配で、その他はノーコメントという寒い状況にある。驚くまいことかわ。

(私論.私見)いわゆる左派系党派よ、君達の対応こそ変ではないのか。

 以上見てきた通り、全体的に歴史的対応が出来ていない。ある意味では、中核派の「俺たちの選挙は11・9集会だ」は歴史的対応かも知れない。しかし、地方選挙を取り組んでいるのに国政選挙に取り組まないのは理論的に接合しないではないか。「俺たちの選挙は11・9集会だ」は、これを何も説明していない。日本人民戦線の「どちらへ転んでも歴史的法則論」は、これまたいただけない。選挙に取り組まないのなら無いで理論化、取り組むのなら方針を出した上での歴史的法則論であるべきではないのか。

 新社会党、労働党の社民党支援は共同戦線論に立脚している点で評価できる。しかし、これらの党派が後押ししても社民党の苦戦が伝えられている。ということは、屁の突っ張り程度のことしかなっていないということではないのか。つまり、もったいぶるほどのことはないという惨めな現状なのではないのか。自前候補を立てられない主体的力量の不足を「解党覚悟で」党内論議すべきではないのか。「お山の大将」主義では何も出来ない。規約を柔軟にして、党内分派、異端派を許容する党派合同で力を倍化させた方が良いのではないのか。

 ワーカーズの見解は面白い。どうやら個人見解のようだが、明快に「小泉政権打倒を第一義にする。それが為に民主党候補者支援を辞さない」論を提唱している。れんだいこはこの見解に近い。目下の政治状況を考えれば、小泉政権の極反動性に対する打倒以外に無い。選挙もやりなはれ、大衆闘争もやりなはれ、労組運動もやりなはれで一向に構わぬでは無いか。それをあれこれ講釈して結局何の指針を出さぬ方が犯罪的ではないのか。状況を流動化させる為に利用できるものは何でも利用すれば良かろうが。何を小難しい理屈をこねているのだ。

 民主党への危惧はそれは又別の問題で、「左」からどんどん突き上げていけば良いのだ。日頃からそういう風に運動していけばよいのだ。そういう点では、公明党がやってることをしっかり見てみなはれ。権力の階段に上がる為にどれほど苦労を引き受けてきたことか。コンチキショー今に見ておれ精神の数十年でやっとここまで辿り着いた。れんだいこは公明党の支持者では無いが、見習うべきところは見習えば良いのだ。正として見習うか、反面教師として見習うかそれは自由だが、「世に存在を逞しゅうしていくものには合理的理由がある。その反対も然り」とは、左派にとっては自明な認識法ではないのか。批判ばかりではあかん。我が身に引き換えて問うていかねばならん。そういう訳で、れんだいこはどうも「能面左派」が好かん。

 2003.11.3日 れんだいこ拝



【総選挙終盤、投票直前情勢調査考】
自民中心40%、民主中心33% 望ましい政権世論調査
 朝日新聞社は6、7の両日、第9回連続世論調査を実施し、総選挙の投開票日直前の有権者の意識を探った。「どちらが首相にふさわしいか」では、自民党の小泉首相が53%、民主党の菅代表が20%で、小泉氏がリードを保った。望ましい政権の枠組みでも「自民中心」40%、「民主中心」33%だった。ただ、投票意欲が高いと見られる「大いに関心がある」層に限ると、「民主中心」が上回った。

 小泉氏が「首相にふさわしい」とみる人は、自民党総裁選直後の第5回調査でピークの63%となったが、その後は減少傾向が続いていた。今回は第8回より復調している。一方、菅氏はここ4回とも約2割で変わっていない。

 ただ、「大いに関心がある」と答えた層(全体の44%)に限ると、小泉氏が47%で菅氏が32%と両者の支持は近づく。

 政権の枠組みでも、今回は「自民中心」(第8回は35%)も、「民主中心」(同30%)も増え、政権の中心としての評価を高めた形だ。

 「大いに関心がある」層では、自民中心の37%より民主中心の43%の方が高くなっている。また、無党派層では「自民中心」26%、「民主中心」29%。前回の22%対28%に比べて、自民がやや盛り返している。

 今度の総選挙で小泉首相が目標にしている自民の単独過半数については、「過半数を占めてほしいと思う」が38%、「そうは思わない」45%。

 政党支持率は、自民が30%(第8回25%)、民主は18%(13%)、公明3%(3%)、共産3%(1%)、社民1%(1%)。無党派層は45%(57%)だった。

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 【調査方法】 全国の有権者に対し、朝日RDD方式による電話調査を実施した。対象者の選び方は無作為3段抽出法。有効回答は1041件で、回答率は53%。

(朝日11/07 23:33)


2003年11月07日 衆院選:比例代表の終盤情勢を探る

 衆院選の投票日を控えて毎日新聞は5、6の両日、全国の有権者を対象に特別世論調査(電話)を実施するとともに、全国取材網の情報を加味して、5党が競う比例代表(定数180)の終盤情勢を探った(詳細は8日付の毎日新聞朝刊に掲載)。それによると、民主党は引き続き自民党を上回る勢いを維持。自民党も民主党に迫る堅調さを見せ、両党が70議席前後をうかがう展開になっている。公明党はやや勢いが鈍り、共産、社民両党は厳しい戦いとなっている。

 衆院選に向けた本社の特別世論調査は、10月31日と今月1日に実施した中盤情勢調査に続き2回目。回答者の約2割が投票先を明らかにしていないため、投票率次第で情勢が変わる可能性もある。

 民主党は、前回00年衆院選で獲得した47議席を大幅に上回り、旧自由党分を合わせた65議席以上の獲得をうかがっている。前回衆院選で民主党は南関東、東京など4ブロックで自民党の得票を上回ったが、今回の調査では北関東や北陸信越、近畿などでも自民党に競り勝つなど、比例代表で比較第1党になる勢い。

 自民党も前回の56議席を超えるのは確実な情勢で、前回4議席に終わった東京ブロックで7議席目をうかがうなど、無党派層の多い都市部でも健闘。東北、九州など3ブロックでは、民主党以上の強さを見せている。

 公明党は中盤よりやや勢いが鈍り、前回の比例代表24議席を維持できるかは微妙な情勢。共産、社民両党はさらに厳しい選挙戦を強いられ、共産20、社民15という前回の比例獲得議席を大きく減らす可能性がある。

 毎日新聞は、主な41小選挙区についても終盤情勢調査を行った。うち25選挙区は、終盤でも互角の競り合いが続いている。

[毎日新聞11月7日] ( 2003-11-07-22:40 )


菅氏が野党票集めの“露骨な作戦”、共産・社民は反発

 民主党の菅代表らが衆院選の街頭演説などで、共産、社民両党の支持者をターゲットに、小選挙区では民主党候補に投票するよう呼びかけ、野党間で波紋を広げている。

 「2大政党体制が強まる中、野党票を民主党に集めないと自民党を倒せない」という主張だが、共産、社民両党は反発を強めており、選挙後の3党連携に影を落とす可能性もある。

 「自衛隊をイラクに派遣する与党に投票するか、イラク派遣をストップさせる民主党に投票するか。比例をどこに入れても、民主党が小選挙区で勝てなければ、小泉政権の方針を変えさせることはできない」

 菅代表は7日、宇都宮市での街頭演説で、こう訴えた。6日の記者会見でも、「わが党の公認・推薦候補以外には、与党に勝てる候補は事実上、存在しない。有権者がそれを理解し、民主党候補に票を集めてもらうことが、小選挙区で過半数を獲得するための最後の努力だ」と言い切った。

 菅氏が今週に入り、共産、社民票に露骨に手を伸ばしているのは、今週初めのマスコミの世論調査や党の情勢分析で、小選挙区では自民党に水をあけられている結果が出たためだ。

 しかし、同じ野党から、「勝ち目がない」と決めつけられた格好の共産、社民両党は、理屈では割り切れないようだ。

 共産党の志位委員長は7日、長野市内で記者団に、「当選可能性があるかどうかを決めるのは有権者で、不遜(ふそん)なやり方だ」と強調。社民党でも「小選挙区の当選を目指して必死で走り回っているのに、なりふり構わないのにも程がある」(新人候補)との批判が出ている。

 (2003/11/8/00:32 読売新聞 無断転載禁止)



岡田幹事長、200議席獲得できない場合「責任とる」

 民主党の岡田幹事長は7日の奈良市での記者会見で、衆院選の目標としている200議席が獲得できず、党内で責任論が出た場合、「責任をとる準備はある」と明言した。そのうえで、「まだはっきりしていない選挙区が80ぐらいあり、決して不可能な数字ではない。とにかく勝つために必死で頑張ることが大事で、それ以外の(責任論などの)議論をすることがすなわち負けることだ」と、残り1日の選挙戦に全力を尽くす姿勢を強調した。

 (2003/11/7/20:26 読売新聞 無断転載禁止)




(私論.私見)