2010第22参院選選挙結果の総評

 (最新見直し2010.07.13日)

 (れんだいこのショートメッセージ)
 第22回参院選は、前第21回参院選の自公与党の歴史的大敗北とうって代わって、民主党が奪った陣地を明け渡すことになった。れんだいこの事前予想が大きく外れ赤面の至りとなった。「お灸選挙」と命名することにする。これを如何に評すべきか。論者の能力が問われている。以下、れんだいこが検証する。

 2007.7.30日 れんだいこ拝


【選挙結果】
 2010.7.11日、第22回参院選が行われ、総務省発表の投票率は選挙区が57・92%(前回58.64%)、比例区が57・92%(前回58.63%)となり、前回より選挙区選で0・72ポイント、比例選で0・71ポイントそれぞれ下回った。当日有権者数は1億402万9135人。選挙区選の投票者数は6025万5665人で、棄権者数は4377万3470人。男女別投票率は男性が58・38%、女性は57・49%だった。都道府県別の投票率では、最高が島根県の71・70%、最低は沖縄県の52・44%だった。

 総務省は12日、今回の参院選の期日前投票者数を、11日の発表よりも24人少ない1208万6467人に訂正した。神奈川、長野、福岡、熊本の4県で集計ミスなどにより、投票者数が訂正されたため。全有権者に占める割合は11.56%にあたる1208万6491人で変わらないが、前回の2007年参院選(1079万8737人)比の伸び率は、0.01%減って11.92%となった。


【2010.06.24日参議院選立候補政党の立候補者数分析】
新議席 選挙前勢力 改選数 非改選数
(選、比)
候補者
(女性)
選挙区
改選数
選挙区立候補者
(現、元、新)
比例区
改選数
比例区立候補者数
(現、元、新)

合計 選挙区 比例区
民主党 44 28 16 116←81 54 62 106←80
(27←19)
61←21
(29,0,32)
45←
(19、1、25)
国民新党 6←4 9←23
(1←7)
2←9
(1、0、1)
7←14
(1、1、5)
社民党 5←6 14←23
(5←6)
8←14
(0、0、8)
6←9
(1、0、5)
日本新党 1
大地党
与党合計
自民党 51 39 12 71←110 38←64 33 84←83
(14←13)
49←48
(20、0、27)
35←35
(7、3、25)
公明党 21←23 11 10 20←23
(4)
3←5
(1、0、2)
17←17
(5、0、12)
共産党 7←9 64←63
(18←22)
46
(1、1、44)
18←17
(3、0、15)
改革 12
(1←0)

(1、0、6)

(1、0、4)
たちあがれ 14
(3)

(0、0、4)
10
(1、1、8)
みんな 10 44
(8)
21
(0、0、21)
23
(0、0、23)
創新 10
(1)

(0、0、4)

(0、0、6)
幸福
諸派 16
(10)

(0、0、6)
10
(0、0、10)
無所属 4←6 21←34
(3)
21←34
(2、1、18)

(0、0、0)
合計 121 73 48 241 120 121 438←377
(100←91)
251←218
(55、4、192)
187←159
(38、6、143)

【過去4回の選挙区主要党派別議席数比較一覧】
政党名 1998
議席(選挙区、比例区)
2001
議席(選挙区、比例区)
2004
議席(選挙区、比例区)
2007
議席(選挙区、比例区)
2010
議席(選挙区、比例区)
自民党
公明党
民主党
共産党 15(7、8) 5(1,4) 4(0、4) 3(0、3) 3(0、3)
社民党
合計

【2010第22参院選比例区、選挙区党派別得票数一覧】
比例区 選挙区
  新議席 得票 得票率 新議席 得票 得票率
民主党 16 18,450,140 31.56% 28 22,756,000 39.0%
自民党 12 14,071,671 24.07% 39 19,496,083 33.4%
みんな 10 7,943,650 13.59% 5,977,391 10.2%
公明党 7,639,432 13.07%  2,265,818 3.9%
共産党 3,563,557 6.10% 4,256,400 7.3%
社民党 2,242,736 3.84%  602,684 1.0%
たちあがれ 1,232,207 2.11% 328,475 0.6%
改革 1,172,395 2.01% 625,431  1.1%
国民新党 1,000,036 1.71% 167,555 0.3%
10 創新 493,619 0.84%
11 女性党 414,963 0.71%
12 幸福 229,026 0.39%
諸派 610,657 1.0%
無所属 1,314,313 2.3%
合計 73 58,400,807 100.0%

【過去3回の比例区党派別得票数比較一覧】
   (2001)得票数 得票率 (2004)得票数 得票率 (2007)得票数 得票率 (2010)得票数 得票率
 自民党 21,114,706 38.57 16,797,686 30.03 16,544,696 28.08 14,071,671 24.07%
みんなの党 7,943,650 13.59%
 公明党 8,187,827 14.96 8,621,265 15.41 7,765,324 13.18 7,639,432 13.07%
 民主党 8,990,523 16.42 21,137,457 37.79 23,256,242 39.48 18,450,140 31.56%
 共産党 4,329,148 7.91 4,362,573 7.80 4,407,937 7,48 3,563,557 6.10%
 社民党 3,628,635 6.63 2,990,665 5.35 2,634,716 4.47 2,242,736 3.84%
国民新党 1,269,220 2.15 1,000,036 1.71%
新党日本 1,770,697 3.01
9条ネット 273,755 0.46
 女性党 377,013 0.69 989,882 1.77 673,591 1.14
 新風 59,385  0.11 170,515 0.29
共生新党 146,986 0.25
合計 58,913,683 100.00

【2007参議院選比例代表当選者一覧表】
【自由民主党】
  氏名 新旧 略歴 得票数
当 片山 さつき 〈元〉衆院議員 299,036
当 佐藤 ゆかり 〈元〉衆院議員 278,312
当 山谷 えり子 〈元〉首相補佐官 254,469
当 高階 恵美子 〈元〉看護協会役員 210,443
当 三原 じゅん子 女優 168,342
当 中村 博彦 全老人施協役員 156,467
当 脇 雅史 党国交副部会長 148,779
当 藤井 基之 薬剤師連盟顧問 145,771
当 小坂 憲次 〈元〉文部科学相 135,448
当 水落 敏栄 日本遺族会顧問 131,657
当 宇都 隆史 〈元〉航空自衛官 121,441
当 赤石 清美 臨床検査技師 108,258
【みんなの党】
  氏名 新旧 略歴 得票数
当 柴田 巧 〈元〉富山県議 87,863
当 江口 克彦 〈元〉出版会社長 86,299
当 上野 宏史 〈元〉経産省職員 52,051
当 寺田 典城 〈元〉秋田県知事 45,846
当 小野 次郎 〈元〉首相秘書官 43,012
当 小熊 慎司 〈元〉福島県議 37,222
当 桜内 文城 〈元〉財務省職員 37,191
【公明党】
  氏名 新旧 略歴 得票数
当 秋野 公造 〈元〉厚労省職員 836,120
当 長沢 広明 〈元〉衆院議員 630,775
当 横山 信一 〈元〉道議 579,793
当 谷合 正明 党幹事長代理 544,217
当 浜田 昌良 〈元〉外務政務官 503,177
当 荒木 清寛 党参院政審会長 457,700
【民主党】
  氏名 新旧 略歴 得票数
当 有田 芳生 ジャーナリスト 373,834
当 谷 亮子 〈元〉五輪柔道選手 352,594
当 直嶋 正行 経済産業相 207,821
当 小林 正夫 電力総連顧問 207,227
当 柳沢 光美 労組政治顧問 159,325
当 石橋 通宏 情報労連役員 150,113
当 難波 奨二 郵政労組役員 144,782
当 津田 弥太郎 JAM参与 143,048
当 那谷屋 正義 〈元〉日教組役員 139,006
当 江崎 孝 自治労役員 133,248
当 藤末 健三 〈元〉通産省職員 128,511
当 加藤 敏幸 電機連合顧問 120,987
当 前田 武志 〈元〉衆院議員 118,248
当 田城 郁 JR総連役員 113,468
当 白 真勲 〈元〉韓国紙支社長 111,376
当 西村 正美 歯科医師 100,932
【社会民主党】
  氏名 新旧 略歴 得票数
当 福島 瑞穂 党首 381,554
当 吉田 忠智 〈元〉大分県議 130,746
【日本共産党】
  氏名 新旧 略歴 得票数
当 市田 忠義 党書記局長 83,806
当 田村 智子 党准中央委員 45,669
当 大門 実紀史 党参院国対副長 43,897
【立ち上がれ日本】
  氏名 新旧 略歴 得票数
当 片山 虎之助 〈元〉総務相 117,636
【新党改革】
氏名 新旧 略歴 得票数
当 荒井 広幸 党幹事長 65,250

【自民党内派閥新勢力図】
派閥名 衆院 参院
町村派 61 21 82
津島派 46 16 62
古賀派 38 46
山崎派 32 35
伊吹派 19 25
高村派 14 16
麻生派 13 15
二階派 13 15
谷垣派 12 15
無派閥 58 21 79
306 84 390

【参院】

地域 議員名 役職履歴、会派履歴 代表選 2012代表選
北海道
徳永エリ 2010 小沢
× 小川勝也 2007 鳩山派。
比例 相原久美子 2007 元自治労道本部副委員長。 小沢
青森
離党 平山幸司
(1)
2007 生活第一 小沢
岩手
離党 主濱了
(2)
2010 生活第一 元岩手県庁農林水産部次長。参議院国対委員長 小沢
(れんだいこメモ) 「理由もなく後ろから鉄砲を撃つのか」、「予算関連法案を衆院で再可決するため、仲間を一人でも欠いてはいけないという政治状況を全く理解していない」。
平野達男 2007 小沢
離党 比例 藤原良信
(1)
2007 生活第一  元衆議院議員秘書、元岩手県議会議員。
ツイッター(https://twitter.com/fujiyoshinobu)
宮城
× 桜井充 2010 菅派
× 岡崎トミ子 2007 菅派 菅推薦人
比例 × 今野東 2007 菅派 赤松推薦人
(れんだいこメモ)「検察の起訴とは意味合いが違う。処分は慎重に判断すべきだ」。
秋田
× 松浦大悟 2007 菅派
山形
離党 舟山康江 2007 民主→みどりの風 鳩山派、菅派。7.17みどりの風結党。 小沢
福島
× 増子輝彦 2010 鹿野推薦人
(れんだいこメモ)菅直人に投票したが間違いであったと菅批判、とある。
× 金子恵美 2007
栃木
× 谷博之 2007
比例 田城郁 2010 小沢 原口推薦人
群馬
茨城
× 郡司彰 2010
藤田幸久 2007 鳩山派。 小沢
千葉
× 小西洋之 2010
× 長浜博行 2007 野田派。
× 加賀谷健 2007 野田推薦人
埼玉
× 大野元裕 2010
× 山根隆治 2007 鳩山派。
離党 行田邦子 2007 民主→みどりの風 7.17みどりの風結党。 小沢
× 島田智哉子 鳩山派。
東京
小川敏夫 2010 行政刷新相。菅派。 鹿野推薦人
×× 蓮舫 2010 野田派。 菅推薦人
× 鈴木寛 2007 鳩山派、前原派。 野田推薦人
× 大河原雅子 2007 菅派 菅推薦人 赤松推薦人
比例 有田芳生 2010
× 石橋通宏 2010 赤松推薦人
江崎孝 2010 小沢 赤松推薦人
× 小林正夫 2010 鳩山派。
離党 谷亮子
(1)
2010 生活第一  柔道:金メダル2、銀2、銅1。 小沢推薦人
(れんだいこメモ)さすが金メダリストだ。いいセンスしている。
× 難波奨二 2010
× 西村正美 2010
× 白眞勲 2010 菅派 菅推薦人
× 池口修次 2007
× 川合孝典 2007
× 吉川沙織 2007 菅派
神奈川
× 金子洋一 2010
× 牧山弘恵 2007 前原派。 小沢 野田推薦人
離党 × 水戸将史 2007 民主→日本維新の会
那谷屋正義 2010 小沢 赤松推薦人
× ツルネン・マルテイ 2007 菅派 赤松推薦人
× 大石尚子 2007
静岡
× 藤本祐司 2010 野田派。
× 榛葉賀津也 2007 鳩山派、野田派。
山梨
輿石東 2010 参院議員会長。幹事長。 小沢
(れんだいこメモ) いい男だ。
米長晴信 2007 小沢推薦人
長野
×× 北澤俊美 2010 防衛相 菅推薦人 野田推薦人
(れんだいこメモ) ろくなもんじゃない。
羽田雄一郎 2007 鳩山派。参院国会対策委員長。 小沢
(れんだいこメモ) 「証人喚問は全会派一致(による要求)が原則だ。国民新党、社民党が反対を表明しており、証人喚問が行われることはないと思う」。
比例 × 津田弥太郎 2010
× 柳澤光美 2010 鳩山派。
岐阜
小見山幸治 2010 小沢
平田健二 2007 民社党系 鳩山派。参院幹事長 小沢
愛知
× 斉藤嘉隆 2010 赤松推薦人
安井美沙子 2010 小沢
× 大塚耕平 2007
離党 谷岡郁子 2007 民主→みどりの風 7.17みどりの風結党。 小沢
ツイッター(https://jp.twitter.com/kunivoice)
(れんだいこメモ) 「党内のリーダーシップもフォロワーシップもひどい」。
比例 × 直嶋正行(2010年) 民社党系、鳩山派。 野田推薦人
× 轟木利治 2007
新潟
田中直紀 2010 小沢
(れんだいこメモ) 人間が実直だわな。
離党 森ゆうこ
(2)
2007 生活第一幹事長代行
参議院幹事長
小沢
ツイッター(https://twitter.com/moriyukogiin)
(れんだいこメモ) 抜群にキレが良いな。期待しとるよ。「(首相が党大会で人事の)一任を受けたというのは党規約違反だ。党大会で質問させなかったのは運営に瑕疵(かし)がある。質問状に名前を書くと国会委員会人事のように(執行部から)弾圧を受けるので、みんな怖がっている。1.31日「百パーセント無罪だと思う」。
比例 × 風間直樹 2007 野田推薦人
富山
離党 比例 広野允士
(ただし)
(衆2、参1)
2007 生活第一副代表
参議員会長
 元横越町議会議員。 小沢
(れんだいこメモ) 「真の挙党態勢が築かれていないと、野党に隙を突かれる」、「マニフェスト(政権公約)の見直しを言うのは早過ぎる」、「官僚政治が復活しつつある」。
福井
石川
一川保夫 2007 鳩山派。 小沢
滋賀
× 林久美子 2010 菅推薦人
× 徳永久志 2007 前原派。
京都
×× 福山哲郎(陳哲郎) 2010 前原派。 野田推薦人
(れんだいこメモ) ろくなもんじゃない。
× 松井孝治 2007 前原派。
大阪
尾立源幸 2010 鳩山派。 小沢 原口推薦人
× 梅村聡 2007 野田派。
比例 × 藤原正司 2007
奈良
× 前川清成 2010 民主党倫理委員会委員。鳩山派、菅派。 野田推薦人
離党 中村哲治 2007 生活第一 参議院政審会長 小沢
比例 前田武志 2010 小沢推薦人 鹿野推薦人
三重
× 芝博一 2010 鳩山派。
× 高橋千秋 2007 民主党倫理委員会委員。鳩山派。
和歌山
兵庫
× 水岡俊一 2010 野田推薦人
× 辻泰弘 2007 鳩山派。
(れんだいこメモ) 菅政治を批判する森ゆうこに噛みついたバカ野郎。こいつは許さん。
比例 ×× 石井一 2007 菅推薦人
(れんだいこメモ) こいつも分けのわからん男だ。老いてますますミジメとしか言いようがない。
室井邦彦 2007 小沢
岡山
×× 江田五月 2010 菅派 菅推薦人 野田推薦人
(れんだいこメモ)ろくなもんじゃない。こういうキレイごと云い師が一番アカンな。
離党 姫井由美子
(1)
2007 生活第一  元岡山県議会議員。 小沢
(れんだいこメモ) いい線持っているんだけどな。いまいちかな。最近俄然ハッスルし始めた。彼女の有能な本能が作動し始めたんだろうな。
離党 はた ともこ
(1)
生活第一
ツイッター(https://twitter.com/hatatomoko)
広島
× 柳田稔 2010 鳩山派。
離党 佐藤公治
(1)
2007 生活第一財務委員長  元電通従業員、元政治家秘書。 小沢
小沢側近四天王の1人 ツイッター(https://twitter.com/kouji_satou)
(れんだいこメモ) 「川内博史、森裕子両氏が提出した質問状に丁寧に回答してほしい」。
山口
比例 × 藤谷光信 2007 鳩山派、菅派。
島根
鳥取 川上義博 2007 常任幹事。 小沢
香川 植松恵美子 2007 小沢
愛媛
離党 友近聡朗 2007 生活第一  元サッカー選手(愛称ズーパー)。
比例 × 加藤敏幸 2010
徳島
× 中谷智司 2007 前原派。
高知
× 広田一 2010 野田派。
武内則男 2007 小沢推薦人 赤松推薦人
福岡
大久保勉 2010 鳩山派。 小沢推薦人
岩本司 2007 鳩山派。 小沢推薦人
比例 × 大島九州男 2007 菅派 鹿野推薦人
× 神本美恵子 2007 赤松推薦人
大分
× 足立信也 2010
宮崎
離党 外山斎 2007 生活第一   小沢推薦人
佐賀 川崎稔 2007 小沢推薦人 原口推薦人
長崎 大久保潔重 2007 小沢派
(れんだいこメモ) 小沢一郎政治塾の1期生。「裁判で無罪になったとき、いったい誰が責任を取るのか。処分が重いとか軽いとかいう以前の問題」。
比例 西岡武夫 2007
熊本
× 松野信夫 2007 菅派
比例 × 藤末健三 2010 菅派
鹿児島
比例 × 横峯良郎 2007
沖縄


Re::れんだいこのカンテラ時評765 れんだいこ 2010/07/13
 【2010参院選総括その1、議席動向】

 2010.7.11日、第22回参院選が行われた。れんだいこの事前予想「何だかんだ云っても民主引き続き伸長、自民退潮」が全く外れ、逆の結果になった。あな恥ずかし。穴があったら入りたいとはこのことだ。それにしても、新聞社の予想はかなり的確だ。ということを教えられた。社説はダメだが、今後は選挙予想だけは重視することにしようと云い聞かせた。次回に役立つ資料として、れんだいこなりの総評を遺しておきたい。

 民主の菅政権は、党議を経ずのまま俄かに消費税増税論を掲げて選挙戦に突入した。これにより立候補者は一気に逆風下の闘いを余儀なくされることになった。菅執行部は消費税増税批判が高まるや次々と口先を替え、しかしながら最期まで居直りつつ投票日を迎えることになった。結果は、「民主退潮44議席、自民復活51議席、みんなの党大当たり10議席、公明ジり貧9議席、共産ジりジり貧3議席、社民ジり貧2議席、たちあがれ1議席、改革1議席、国民新党無惨なり0議席、その他諸党0議席の出ただけ選挙」という結果となった。これを総評とし、以下、各党を総括する。 

 民主党は、選挙区73、比例区48の121議席を争った今回の参院選で、改選数54→44に惨敗した(参院総議席106)。1人区のうち、無所属候補を推薦した香川と不戦敗の沖縄を除く27選挙区で自民と競合したが8勝21敗。2007年参院選では推薦などを含め野党共闘で23勝6敗であったことを思うと今回は元の木阿弥に戻った結果となった。12ある2人区では10選挙区で、2人擁立によるあわよくば議席独占を目論んだが、全選挙区で自民と議席を分け合った。3人区でも自民と議席を分け合い、残り1議席をみんなの党、公明党に与えた。東京の5議席区では辛うじて2議席を確保した。比例区票は、2001年8議席・899万、2004年19議席・2113万、2007年20議席・2325万票、2010年16議席1845万票、31,56%。

 自民党は逆に38→51議席獲得した(参院総議席84)。民主党に対して巻き返した感がある自民党の勝因は、手堅い戦略戦術を採ったところに現れている。1人区で21勝8敗、複数区では全区1議席を確保している。但し、比例区では12議席の確保にとどまった。比例区票は、2001年20議席・2111万、2004年15議席・1679万、2007年13議席・1654万、2010年12議席・1407万、24,0%。

 公明党は11→9議席となり引き続き退潮した(参院総議席19)。選挙区を絞り込み埼玉、神奈川、大阪で全員当選を果たした。2001年5議席、2004年3議席、2007年2議席、2010年3議席。比例区票は、2001年8議席・818万、2004年8議席・862万、2007年6議席・776万、2010年6議席・763万、13,07%。

 旧社共の場合、引き続き土壺にはまっている感がある。共産党は4→3議席となり引き続き退潮した(参院総議席6)。選挙区で議席0が続いている。比例区票は2001年4議席・432万、2004年4議席・436万、2007年2議席・440万、2010年・356万、6,10%。選挙区での議席ゼロ、比例区でのジリ貧という構図が確定しつつある。党中央は比例区の得票数が増えていることを自慢していたが、こたびは大幅に減らしている。あらゆる指標が後退を示しているが相変わらずの捲土重来でお茶を濁そうとしている。つける薬のない処置なし弁明と云えよう。

 社民党も3→2議席となり引き続き退潮した(参院総議席4)。共産党同様に選挙区で議席0が続いている。比例区票は、2001年3議席・362万、2004年2議席・299万、2007年2議席・263万、2010年224万、3,84%。かっての自社二大政党時代の面影は微塵もない。福島社民党の限界を示しつつあると云えようか。

 国民新党は議席3→0議席の完敗となった(参院総議席3)。比例区は2007年126万、2010年100万、1,71%。民主党連立政権の与党の一角を占めているが、この窮地を脱する特効薬があるのだろうか。郵政再改革法案の行方が気になるところとなった。れんだいこは1票投じたのだが、票が少な過ぎる。まさかとは思うが誰か調べてくれ。

 みんなの党が0→10議席となりいきなり第三党に進出した。選挙区で東京、神奈川、千葉で3議席獲得した。比例区票は、794万、13,59%。みんなの党は、自民党、民主党が共に消費税増税を打ち出す中で構造改革優先のアジェンダを唱え、且つ経済成長再建策を提唱したことで支持を増したと考えられる。

 たちあがれ日本は3→1議席で敗北した。比例区の得票数は123万、2,11%。新党改革は6→1議席。比例区の得票数は117万、2,01%。創新党、女性党、幸福実現党は0→0。既成政党に抗して新党で闘うことの困難さが浮き彫りになった。全体として、「自民の巻き返し、みんなの党の善戦」が光った。以上を総評とする。

 2010.07.13日 れんだいこ拝

Re::れんだいこのカンテラ時評766 れんだいこ 2010/07/13
 【2010参院選総括その2、戦記】

 民主党は何ゆえにかくも無残な敗北に追い込まれたのか。れんだいこが解析しておく。こたびは個別の戦記はせずに民主党敗北の要因分析とする。

 第22回参院選を一言で評すれば、「お灸選挙」であろう。民主党はあちこちの選挙区で灸を据えられた。思えば、昨年の総選挙での大躍進による政権交代は僥倖のものでしかなかった。民主党が政治的能力で勝ち取ったというよりは、自公政治の幻滅から一度民主党に政権取らせやらせてみようと云うテスト的支持であった。民主党は、世論のそうした気紛れ的性格を踏まえるならば、自惚(うぬぼ)れるべきではなかった。公約履行は必須の政治責任で、政権足固めの唯一のチャンスであった。よしんば公約通りにはならないとせよ趣意の一貫性だけは保つべきであった。いずれにせよ直ちに有言実行政治に取り組むべきであった。ところが鳩山政権は政権取りに有頂天になり宴に明け暮れた。またたく間に政権3か月が過ぎ年が明けた。

 鳩山政権は年が明けてもサロン風政治が改まらず、結局次から次へと公約を反故にして行った。あるいは大幅に履行を遅延させていった。この間、政治とカネ問題が取り上げられ始め、鳩山首相、小沢幹事長のツ―トップが槍玉に挙げられた。特に小沢幹事長がターゲットにされ、「天の声資金疑惑」が問題にされ始めた。鳩山派はこれをよそごとに受け止め、説明責任があるなどと野党の追及に唱和した。ところが鳩山首相自身の故人献金問題が浮上するや、二枚舌三枚舌を使い始めた。民主党は党として、民主党政権になってなぜ執拗にトップの政治とカネ問題が採り上げられるのかの政治主義性を衝いて切り返すことなく「政治とカネ問題」に忙殺された。

 この間、沖縄の普天間基地問題が次第に浮上した。鳩山首相自身が指定した「5月末期限」を迎え、鳩山政権は、紆余曲折右往左往した挙句、自公政権時の辺野古案に決着させた。鳩山首相自身が「国外、最低でも県外」と何度も声明してきた経緯と齟齬しており失笑を買った。少子化相を務めていた社民党の福島党首が閣僚罷免され、社民党は政権与党からの離脱を余儀なくされた。鳩山政権の支持率が急降下し始め、参院選を闘えないとする党内からの突き上げが始まり、これを受けて小沢幹事長が官邸に乗り込んだところ刺し違い辞任となった。こうして鳩山政権は崩壊した。

 ポスト鳩山として菅政権が登場した。菅派は、組閣に当たって露骨な反小沢シフトを敷いた。マスコミがこぞって歓迎し、その影響を受けた世論調査でV字回復を果たした。これにより、懸案の郵政再改革を先送りしてまで参院選を急いだ。これも臭い流れであるが、ここでは問わない。ここまではまだ良い、許せるとしよう。

 問題はここからである。そうまでして急いだ選挙に突入するや、菅政権は突如何の必然性もないのにいきなり消費税10%増税案をブチ上げ冷や水を浴びせた。浴びせただけではない、浴びせ続けた。候補者の多くは面喰い、防戦一方となった。菅政権は、これが批判されるや、消費税増税案を出したり引っ込めたりし始めた。低所得者層に還元すると云いだし、低所得者層のボーダーラインも次から次へと変わった。しかし、これは自然ではない。意図的故意の失言としか考えられない。小沢前幹事長が異議を唱えると、「暫く蟄居せよと云い渡しておいたろうが」と逆批判する始末であった。

 菅政権の変調ぶりはそれだけではない。勝敗ラインを解散前議席維持と云う最低ラインに設定したところにも認められる。この異常性は、端から防戦一方の構えにしたことにあるのではない。物事はハードルを高く掲げて半分叶うのが法理であるのに、端からハードルを下げたらどうなるか。士気が下がりハードル以下のものしか得られまい。菅政権の解散前議席維持は、勝つ気がないことを示していたのではなかろうか。ここに問題を認めるべきであろう。

 この消極姿勢が批判されるや、何と菅政権は負けた時を前提にして選挙後の連立組み替えを語り始めた。これもオカシイ。意図的に民主党に幻滅を与える芝居ではなかろうか。選挙のさ中に、党中央自らが敵に塩を送る連立組み替えを語る異常性を見て取るべきではなかろうか。菅政権は総出で選挙区支援に向かったが効き目があったかどうか。行く先々で消費税10%増税の必要を説いたり説かなかったりの腰の引けた、支援にならないアリバイ支援にしかならなかったのではなかろうか。

 小沢派は逆風下の中で懸命に巻き返しに向かった。しかし、幹事長権力をもぎ取られており、為し得る事は限られていた。如何せん党中央の「上からの逆采配」の中での巻き返しであり、微々たる助けにしかならなかった。この状況のまま選挙日を迎える事になった。そして負けた。れんだいこは、民主党が最期の局面では底力を出すと期待していたが、選挙結果から見ると逆に離されている。

 これらを思い返すに、菅政権は、こたびの選挙を意図的故意に上から負けるように操作した節が認められる。かって、岡田代表の時にも、こういう変調が認められる。民主党は、小沢が采配した時だけまともになる。一応、誰の命令によってかは分からないとしておこう。れんだいこのこういう見方は変調だろうか。しかし、その証拠がある。メディアは一報したのみで隠しているが、れんだいこはオヤッと思った。民主党敗北の報を受けた菅首相が確か官邸から出てきたところが撮影報道されたが、菅首相が車に乗り込みながら真っ先に示したのは妙な「人差し指サイン」であった。鳩山首相の「親指サイン」に続く指サインであるが、これは何の意味だろうか。この仕草は偶然のものだろうか。

 この映像は一度きりしか放映されていない。気になるので、もう一度確認して見たいが、恐らく伏せられるであろう。これを紐解くのに、「人差し指サイン」はVサインの片方のサインであり、勝利又は半勝利を意味していると読める。つまり、こたびの民主党敗北は、奇妙ではあるが菅首相の胸中ではシナリオ通りに事が運んだという成功サインだったのではなかろうか。こうなると、誰かに向けてのVサインであったのではなかろうかと云うことになる。しかし、これは、れんだいこの特殊な受け取り方としておこう。

 普通に考えられることはこうである。こたびの民主党の敗北は変な負け方である。どう変なのかと云うと、勝ちに行って負けたのではなく、負けに行って負けたと云う謀略性が認められると云うことである。菅派は、こたびの選挙戦をわざと負けるように仕組み、わざわざそのように指揮し続けた形跡がある。力及ばずして負けたのではない、力を尽くさずして負けたのではない。党の最高指導部が逆向きに奮戦して敗北を誘導した風がある。通常は考えられないが、権謀術数渦巻く政治の世界ではあり得ることである。並みの神経ではこういう芸当はできないが、陰謀勢力に雇われている政治ピエロならできる。むしろ得意とする。こういう疑惑の目を持つ必要があるのではなかろうか。鳩山政権−菅政権をこういう目で見れば、胡散臭い御仁がごじゃんと見えるではないか。れんだいこは、かく見立てる。こう見立てない総評は駄弁に陥る恐れがある。

 2010.7.13日 れんだいこ拝

Re::れんだいこのカンテラ時評767 れんだいこ 2010/07/13
 【2010参院選総括その3、民主党敗北の要因解析】

 思えば、政権交代後の民主党は変調続きではなかろうか。第1番手政権としての鳩山政権は意図的故意に公約をサボタージュし続けたのではないのか。辛うじて事業仕訳で人気を得たが重箱の隅をつつくようなものでしかない。本ホシの軍事費削減、公務員高給与見直し、天下り高給与見直し、退職金渡り阻止、原子力行政冗費見直し等々に向かわない形でのすり替えでしかない。やろうと思えばできるのに向かわない。

 緊急の景気浮揚、不況打開に向かわない。景気刺激策として期待されていた有料高速道路無料化公約は後回しにされ、鳩山政権末期になってようやく経済効果の最も薄い形で実現されると云うテイタラクを見せている。これって偶然だろうか。子供手当は実施されたが、財政悪化を懸念させ消費税増税の口実にされる形で導入されている。沖縄の普天間基地問題では自公政権案差戻しのみならず、更なる出費を強いる形で新展開されようとしている。他方で、取り返しのつかない危険性が懸念されている原子力開発が推進されている。自衛隊の海外派兵が進行している。鳩山政権下のこうした動きは果たして偶然だったのだろうか。かの郵政再改革法案は先送りされてしまった。これもオカシイ。今や赤信号が点滅したと思わねばなるまい。

 多くの論者は鳩山善玉、小沢悪玉論を唱えたが、れんだいこには逆に映る。それはともかく、鳩山政権の坊ちゃん政治が食傷され、政権交代二番手として菅政権へと移行した。菅首相を市民運動上がりというだけで左派者視して警戒する見方があるがナンセンス極まりない。菅政権のどこに左派性が認められると云うのだろう。市民運度上がり程度で左派などと買い被る評者の頭脳がサブイ。

 菅政権は鳩山政権より臭いのではなかろうか。鳩山政権が、党内の縁の下の力持ちとしてカゴをかき汗をかいてきた小沢派をもそれなりに待遇したのに対し、菅政権は露骨に排除し、代わりに党内シオニスタン派を大胆に登用させた。これで選挙に勝ちに行ったのならまだ分かる。マスコミの反小沢運動に対する逆手取り戦術として有効であったからである。しかし、こたびの参院選を見る限り、菅政権は先に述べたように負けに行った。こうなるとどういうことになるのか。菅政権はトンデモな喰わせ者政権ということになるのではなかろうか。

 菅政権は案の定、こたびの決定的敗北にもかかわらず何らの責任をも負おうとしない。選対責任者はむろん幹事長の責任をも免責し、落選閣僚の千葉法相をもそのまま据わり続けさせようとしている。菅首相は、「私の説明不足から、ご迷惑をおかけした。大変重い選挙戦だったが、私の至らなさだ。結果を真摯(しんし)に受け止め、もう一度再スタート、政権にあたらせていただきたい」と述べ、「執行部人事の凍結」を申し渡して逃げ切りを図ろうとしている。しかし、こういう方便を許すと、政治責任という言葉が死語になるのではなかろうか。忌まわしい先例は作らない方が良い。民主党が野党になった場合、今後はどのように口を回すのだろうか。自分たちは免責、相手には求責という便利なお口を持つ野党暮らしに戻りたいのだろうか。れんだいこは、民主党の日共化と蔑む。

 こういう手合いに限って、政治とカネ問題で頻りに小沢を批判する。しかし、どう考えても、収支報告書に記載している小沢を咎め、記載していない者らが免責ではお話にならないのではなかろうか。それでも敢えて小沢批判に興じる癖を持つ政治屋が多いが売弁売文しているに過ぎない。一体誰から身元を安全保証され、免責お墨付きを貰っているのだろうか。これらは、引き続きの民主党幻滅政策への誘導と云わずして何であろうか。

 菅政権は組閣の時点から賞味期限が過ぎている。菅政権は本来なら、こたびの参院選敗北を見て退陣すべきである。まずそう述べて、党内からの引き留めを待てばよい。それを逆に居直るのは許されない。少なくとも千葉法相、選対責任者は更迭すべきであろう。消費税増税論議を選挙戦に持ち込んだ者も同様である。それをせぬまま、党内の真っ当な要望を、あたかも敵を見るかのように見立て中央突破なる妄言でスル―しようとするのは正気の沙汰ではないのではなかろうか。れんだいこには、こういう政治痴態をずるずると続けることで早期の衆院解散まで持って行かされようと誘導されているように見える。これが裏からの指令であり、これを引き受けるのが菅政権の使命ではなかろうかと勘繰りたくなる。

 民主党内がこう読まず、菅政権を無傷で延命させようとすれば、次の選挙で又お灸を据えられることになろう。そういう意味で、民主党内の能力が問われている。為すべきはケジメである。それがどこまで及ぶのかは別として何のケジメもないままに9月の代表選に進むとしたら民主党の明日はない。要するに民主党の政治能力が問われている。願うらくは、政治の模範基準を創るべきであり逆をするべきではなかろう。一時は逃れても倍する咎めを受けることになろう。党の明日を賭けて正々堂々たる党内抗争を開始されんことを願う。

 こういうのが政治であろうが。これができない手合いに消費税増税などされて堪るか。消費税は何度も指摘しているが中毒税である。これに蝕まれると社会が壊死する。その挙句に国が召しとられる。見え見えではないか。以上を、れんだいこの第22回参院選総括とする。

 2010.7.13日 れんだいこ拝


【日共の総括】

 2010.7.11日、日共の志位委員長が記者会見を開き次のようにコメントした。「参院選の開票を受けて」を転載しておく。

 日本共産党の志位和夫委員長は11日午後11時50分ごろから記者会見し、以下のように述べました。

 一、今度の選挙でわが党を支持していただいた国民のみなさん、奮闘していただいた支持者、後援会員、党員のみなさんに心から感謝を申し上げます。

 一、選挙結果の全体は、国民が、自民党政治に代わる新しい政治を模索し、探求するプロセスの一つの局面だと思います。昨年の総選挙で、国民は自公政権に退場の審判をくだし、今回の選挙では民主党政権にきびしい審判をくだしましたが、それに代わるどういう政治をつくるかについて、国民は模索の過程にあると思います。これに前向きの答えを出していくうえで、日本の政治の歪(ゆが)みを大本からただす立場をもつ日本共産党の果たす役割は重要だと考えています。

 一、私たちは、この選挙で消費税増税を許さない、暮らし応援の経済政策への転換、米軍普天間基地の無条件撤去などを訴えてたたかいました。公約実現のために国民と共同して力をつくしたいと決意しています。

 一、わが党の選挙結果自体については、現有議席を確保することは、かなわないという状況です。多くの方々が応援してくださり、また奮闘していただいたにもかかわらず、それを議席に結びつけられなかったことは、私たちの力不足であり、つぎの機会に必ず捲土(けんど)重来を期したいと考えています。

 参考までに2007.7.29日、日共の志位委員長の記者会見コメントは次の通りである。「参院選の開票受けて 志位委員長が記者会見」を転載しておく。

 日本共産党の志位和夫委員長は二十九日午後十一時四十分すぎ、参院選の開票状況について記者団に問われ、次のようにのべました。

 一、今度の選挙でわが党を支持していただいた国民のみなさん、奮闘していただいた支持者、党員のみなさんに心から感謝を申し上げます。

 一、まず、選挙結果の全体についてですが、今度の結果は、自民、公明の枠組みでは日本の前途はもはや立ち行かないということを、国民のみなさんが判断した結果だと思います。その点では、大きな前向きのプロセスが始まった、新しい時代が始まったといえる結果だと思います。

 ただ、同時に、自民、公明の政治はノーだということははっきりしたが、それにかわる新しい政治がどのようなものであるべきか、その中身についてはまだ答えは出ていないと思います。その答えを出すのは、これからの大仕事になってくるわけですが、国民が新しい政治の枠組み、中身を探求する新しい時代が始まったというのが、大きくいって今度の選挙の結果だと思います。

 一、日本共産党は今度の選挙において、政治論戦で、自民、公明政治を追いつめる上で、非常に重要な役割を果たしたと思っています。

 年金の問題、庶民大増税の問題、「政治とカネ」の問題、憲法の問題、あらゆる問題で自公政権を追いつめる上で、わが党が果たした役割は大きなものがあったと考えています。

 新しい時代において、日本共産党が果たす役割はいよいよ大事なものになってくると心得て、選挙でかかげた公約の実現のために、しっかり頑張りたいと思います。

 一、わが党の選挙結果自体については、現有議席を確保することは、かなわないという状況です。わが党の奮闘が今回の選挙での議席には結びつかなかったのは残念ですが、次の機会には、政治の本当の改革、変革の党として、前進、躍進を期したいと決意しているところです。

 一、(安倍首相が続投を表明したことについて)これだけの審判が国民によって下されたわけですから、当然、安倍内閣は退陣すべきだと考えます。その結果を重く受け止めるべきです。(首相の発言を)うかがっていますと、憲法の問題、教育の問題で、これまでの方針と変わりないんだということをおっしゃっていました。消費税の問題でも変わりなく増税を検討するんだということを既定路線のようにおっしゃっていましたが、やはり今度の結果を受けて、自民党は厳しい反省をして、これらの問題について、ごり押しをすることは絶対あってはならないと強くいいたいと思います。

 →日本共産党の当選者

(私論.私見)

 日共の志位委員長の記者会見発言は、相変わらずの弁明に終始しており既に食傷済みと云うより醜悪でしかない。「確かな野党論」の功罪に触れず、ひたすら「わが党が果たした役割は大きなものがあった」と抽象的な言辞で済ましている。卑怯姑息と云うべきだろう。「次の機会には、政治の本当の改革、変革の党として、前進、躍進を期したいと決意している」も、このところいつも聞かされる捲土重来論でしかない。

 その癖、「これだけの審判が国民によって下されたわけですから、当然、安倍内閣は退陣すべきだと考えます」とも云う。そして、「今度の結果を受けて、自民党は厳しい反省をして、これらの問題について、ごり押しをすることは絶対あってはならないと強くいいたいと思います」で結んでいる。

 そっくり返してやりたい文句ではなかろうか。れんだいこが返歌しておく。「我が党に対しても、これだけの審判が国民によって下されたわけですから、当然、我が執行部も退陣すべきだと考えます」、「今度の結果を受けて、共産党は厳しい反省を致します。これまでの方針の根本的再検討を行い、従来路線をごり押しをすることは絶対あってはならないと肝に銘じます」。

 こういうことを云う訳がないが、こういう風に述べるなら、国民の共産党に対する目線も変化するであろう。

 2007.8.1日 れんだいこ拝

 2010.7.12日、日共は、「参議院選挙の結果について」の日本共産党中央委員会常任幹部会声明を発表した。これを転載しておく。

一、7月11日に投・開票がおこなわれた参議院選挙で、日本共産党は、比例代表選挙で改選4議席から3議席に後退し、得票数では3年前の参院選の440万票(得票率7・48%)から、356万票(6・10%)に後退しました。議席の絶対確保をめざした東京選挙区では、東京と全国のみなさんの熱い支援を得て奮闘しましたが、小池晃候補の当選をかちとることができませんでした。

 日本共産党にご支持をお寄せいただいた有権者のみなさん、ご支援をいただいた支持者、後援会員のみなさん、党員のみなさんに、心からのお礼を申し上げます。多くのみなさんが炎天や風雨のなかで燃えるような奮闘をしてくださったにもかかわらず、それを議席と得票に結びつけられなかったことは、私たちの力不足であり、おわびいたします。

一、私たちは、今回の選挙結果を重く受け止めています。国政選挙での巻き返しにむけ、本格的な態勢構築をはかります。党綱領と大会決定にたちかえり、今回の選挙戦について、政治論戦、組織活動などあらゆる面で、どこにただすべき問題点があるか、前進のために何が必要かについて、党内外の方々のご意見・ご批判に真摯に耳を傾け、掘り下げた自己検討をおこなう決意です。

一、昨年の総選挙で、国民は自公政権に退場の審判をくだし、今回の参院選では民主党政権にきびしい審判をくだしました。同時に、今回の結果が、国民が自民党政権に戻ることを求めたものといえないことも明らかです。自民党政治に代わる次の政治をどうするかについての、国民的な合意はまだ形成されていません。

 私たちは、選挙結果の全体は、国民が、自民党政治に代わる新しい政治を探求するプロセスの一つの局面を示していると考えます。この国民の探求が実をむすび、新しい政治への道を開くものとなるよう、力をつくします。

 その第一歩として、選挙戦のなかで訴えた、消費税増税を許さない、暮らし応援の経済政策への転換、米軍・普天間基地の無条件撤去など、公約の実現のために、国会内外で広く共同して全力をそそぐものです。 

一、今日の政治と社会の閉塞状況の根底には、「米国いいなり、財界いいなり」という年来の政治の歪みがあります。国民の切実な要求の実現をめざすたたかいと一体に、私たちが目指す「国民が主人公」の新しい日本への展望を語り、広げる努力を強めます。どんな条件のもとでも選挙で前進・勝利できる、質量ともに強大な党づくりに、新たな決意でとりくみます。

 参考までに2007.7.30日の日本共産党中央委員会常任幹部会声明「参議院選挙の結果について」を確認しておく。

 一、二十九日に投・開票がおこなわれた参議院議員選挙で、日本共産党は、比例代表選挙で三議席を獲得しました。これは、一議席減の結果ですが、得票数では、前回および前々回の得票を上回る四百四十万票(7・48%)という地歩を維持することができました。選挙区選挙では、議席を獲得することはできませんでしたが、東京、大阪、京都などで得票を増やしました。

 日本共産党に支持をお寄せいただいた有権者のみなさん、風雨や炎天のもと昼夜を分かたず奮闘された後援会員・支持者のみなさん、党員のみなさんに、心から感謝します。

 一、参院選の結果全体をみると、自民党が改選議席を二十七減らし、「常勝」を誇ってきた公明党が四人の現職議員を落選させるなど、安倍内閣、自民・公明与党にきわめてきびしい審判が下されたことがきわだった特徴です。

 これは、有権者が、自民・公明の枠組みでは日本の前途はない、と判断した結果といえます。首相や閣僚の個々の失敗や不祥事、年金対応ミスにとどまらず、安倍内閣の十カ月が、内政では貧困と格差の拡大、外交では過去の侵略戦争の正当化をはじめとする自分たちの一方的主張の外交的おしつけなど、悪政を加速させてきたことにたいする審判にほかなりません。憲法改定を第一の争点に掲げた安倍内閣の挫折は、「戦後レジームからの脱却」をめざす「靖国」派の反動的な野望への痛打となりました。

 日本共産党は、自民・公明政治にたいするこの国民的審判のうえで、自公政治に正面から対決する「たしかな野党」として、とくに政治論戦で一定の役割をはたしえたことを確信しています。年金・福祉、住民税と消費税、貧困とその不安、「政治とカネ」、憲法改定など、すべての問題にわたって、鋭い暴露と追及という点でも、道理ある対案の提示という点でも、日本共産党の論戦は、悪政を追いつめる少なからぬ役割を果たしました。

 一、今回の選挙での自公政治にたいする国民の審判は、それにかわる新しい政治の方向と中身を探求する新しい時代、新しい政治的プロセスが始まったことを意味するものです。この選挙の結果は、自民・公明の政治にかわる新しい政治はなにか、という問題について、国民の選択が明らかになった、ということではありません。国会論戦でも、国政選挙でも、国民の声にこたえる新しい政治とはなにかという問題が、ますますその比重を大きくしてゆくだろうことは、疑いありません。

 新たに迎える政治的激動の時期において、日本共産党の役割はいよいよ重要なものになるでしょう。そうした自覚のもと、日本共産党は、この選挙で掲げた党の公約を実現するために、国会の内外で力をつくします。また、激動する政治に主導的に対応できるよう、政治と理論のうえでも、また組織のうえでも、より強く大きな党をつくるために全力をあげて努力するものです。

 そして、新たな国政選挙を迎える次の機会には、政治の本当の改革者の党、新しい政治の建設者の党として、かならず前進・躍進を期す決意です。

(私論.私見)

 日本共産党中央委員会常任幹部会声明は何と、前日の志位委員長声明の反省弁「わが党の奮闘が今回の選挙での議席には結びつかなかったのは残念です」をいきなり覆して、「一議席減の結果ですが、得票数では、前回および前々回の得票を上回る四百四十万票(7・48%)という地歩を維持することができました。選挙区選挙では、議席を獲得することはできませんでしたが、東京、大阪、京都などで得票を増やしました」という健闘総括に切り替えている。恐らく、不破の悪智恵が入ったものと思われる。

 次に、「日本共産党は、自民・公明政治にたいするこの国民的審判のうえで、自公政治に正面から対決する『たしかな野党』として、とくに政治論戦で一定の役割をはたしえたことを確信しています」と述べ、引き続き「確かな野党論」を堅持することを明らかにしている。これも不破の悪智恵によるものと思われる。

 そして、「そして、新たな国政選挙を迎える次の機会には、政治の本当の改革者の党、新しい政治の建設者の党として、かならず前進・躍進を期す決意です」という捲土重来の蒸し返しで結んでいる。これも不破の悪智恵が働いているように思われる。

 日共志位執行部よ、日本共産党中央委員会常任幹部会声明とあるが、誰が文責なのか明らかにしてみよ。ついでに常任幹部会でどういう議論が為されたのか公開してみよ。恐らく、不破の文案を読み聞かせ、唯々諾々しただけのことではないのか。

 この声明の基本的欠陥は、「自民党の大敗北、民主党の大躍進、公明党の敗北、その他諸党派の頭打ちないしジリ貧」について何の要因分析もせず、ひたすら「我こう思う、故に我有り」式の先見的テーゼを弄んでいるに過ぎない。自称科学的社会主義のお里が知れる無味無内容な口舌でしかない。

 選挙データの詳細な分析は、恒例の宮地健一氏の「共産党の参院選結果8回分データ分析」(http://www2s.biglobe.ne.jp/~mike/sanin.htm)を参照されたし。それによると、「得票数で上回った」も子供騙しの詭弁であることを明らかにしている。問題は、こうなると、我々はいつまでこういう党中央を許すべきかと云うことになろう。真っ当な党員なら怒らねばならないだろうが。

 2007.8.1日 れんだいこ拝


【社民党の総括】

 2010.7.12日、社民党は、「第22回参議院議員通常選挙の結果について(声明)」を発表した。これを転載しておく。

 昨日、第22回参議院議員選挙の投開票が実施されました。

 社民党は、「生活再建まっしぐら」というスローガンを掲げ、比例区6名、選挙区12名(公認8名、推薦4名)あわせて18名の候補者を擁立して闘いました。結果は、新潟で現職の議席を失い、比例区2名に留まるというたいへん厳しいものとなりました。

 選挙期間中、社民党の候補者に温かいご支援、ご声援をいただいた国民の皆さん、有権者の皆さんのご期待に応えきれなかったことを反省するとともに、心から感謝申し上げます。

 社民党は、今回の選挙を、雇用を立て直し、社会保障のセーフティネットを充実させて、誰もが安心できる暮らしを再建するための選挙と捉えて、17日間の選挙戦を戦いました。

 特に、菅首相が突如として参院選公約として、「消費税率10%への引き上げ」を打ち出したことに対し、社民党は、消費税率引き上げ阻止を中心課題として訴えました。この発言は、多くの国民とくに所得の低い層に対して、生活の不安をかきたてるものであり、菅首相への強い批判が寄せられました。

 また、沖縄の普天間基地移設問題では、日米共同声明の撤回、辺野古建設計画の中止と基地の国外移設を求めて選挙に臨みましたが、立ち上がりが遅れたことなどが響いて、推薦候補が敗れるというまことに残念な結果になりました。

 今後、民主・自民の二大政党や新党によって日本政治全般の保守化と民主主義の後退が進むなかで、社民党は、あくまでも政策の基本を日本国憲法に置き、国民主権に徹し、平和を守り、働く者の権利を守り、社会保障を充実させるために奮闘します。

 国民の皆さんが、引き続きわが党に対してご支持、ご支援を寄せてくださいますよう、心からお願い申し上げます。

 ちなみに2007.7.30日の社民党「第21回参議院議員選挙の結果について(声明)」は次の通りである。これを転載しておく。

  1. 昨日、第21回参議院議員選挙が施行された。社民党は、今回の選挙を10ヵ月に及ぶ安倍政権に不信任を突きつける選挙と位置づけて、「9条と年金があぶない 今回は社民党へ」と全国各地で訴えた。あらゆる地域で安倍政権への激しい批判と不信が噴出した選挙となったが、その批判票は民主党に集中した。わが党は比例代表で2名の当選に留まった。選挙区での推薦候補は5名当選したが、全体としてはたいへん厳しい結果となった。社民党の政策を支持し投票していただいた方には、心から感謝を申し上げるとともに、ご期待に十分に沿えなかったことをお詫びしたい。

  2. 安倍政権は批判に耳を貸すことなく、早々と続投すると公言している。しかし、国民から厳しい批判が突きつけられた以上は、早期に退陣をすべきである。「政治とカネ」をめぐる問題も何らけじめをつけることなく、このまま居直って、国民生活を脅かす労働関係法の改悪や消費税率の引き上げをはかることは絶対に許されない。

  3. 秋からは憲法審査会で改憲発議に向けての論議が、本格的に開始される。参議院選挙では重要な争点とはならなかったが、平和憲法をなくそうという動きに警戒しなければならない。国会内での攻防は大変厳しいものになることが予測されるが、社民党は現在の状況に危機感を持っている人々とともに、国民生活の擁護と改憲阻止のために、全力で奮闘する決意である。以上
(私論.私見)

 社民党の総括は、日共の詭弁と比較して清々しい。「選挙区での推薦候補は5名当選したが、全体としてはたいへん厳しい結果となった。社民党の政策を支持し投票していただいた方には、心から感謝を申し上げるとともに、ご期待に十分に沿えなかったことをお詫びしたい」と素直に敗北を認めている。

 しかしながら、安部政権に対し「早期に退陣をすべきである」と云う。その癖、手前達は執行部の責任に言及せぬまま「国民生活の擁護と改憲阻止のために、全力で奮闘する決意である」と声明している。日共ほどの嫌らしさは無いが、社民らしい万年野党批判に耽っている。

 2007.8.1日 れんだいこ拝









(私論.私見)