第19回参院選 | 第19参院選選挙結果の総評 |
(れんだいこのショートメッセージ) |
次の選挙のときに参考になるその都度の選挙総評が無さ過ぎる。そこで、れんだいこは、2004参院選総括記をここに残しておく。思えば、戦後から今日までのそのような記録を為しておくべきではないのか。この辺りがさっぱりできていないのが日本政治運動の貧困だろう。 体張りもの申し人れんだいこがしゃあないからここにでしゃばる。悪意で受け取られないように願う。 2004.7.14日 れんだいこ拝 |
【2004参院選総括その@、議席動向】 | れんだいこ | 2004/07/12 |
2004.7.11日、「年金制度改革、イラクでの自衛隊の多国籍軍参加、憲法改正」問題を三大争点とした第20回参院選が行われ、「自民・敗北、民主・大躍進、公明・微増、社民・現状維持、共産・凋落」の結果となった。「二大政党制プラス公明党」の流れが加速したことになる。 公明党は引き続き健闘し微増したが、頭打ち傾向も見せた。旧社共の凋落は止まらず、新党派の登場によってしか挽回できないことがはっきりした。この後、どういう左派運動が生まれ出てくるのか注目される。 自民党の退潮、民主党の躍進という歴史的に不可逆的な政権交代気運を強める結果となった。民主党は昨年の衆院選の比例代表の得票率で自民党を上回ったが、国政選挙で選挙区、比例代表ともにトップに立つのは今回が初めて。「民主の独り勝ち」に為すすべがなかった形となった。 民主党は今回の参院選で選挙区、比例代表ともに得票率でも首位に立った。比例代表の投票総数に占める得票の割合(相対得票率)は前回の2001年参院選より2倍以上(21.4ポイントの大幅増)の37.8%に達している。自民党は都市部の票が伸び悩んで30.0%まで急低下(8.6ポイント低下)。公明党は15.4%で、0.4ポイント上積みして底堅さを見せた。共産党は7.8%(0.1ポイント減)、社民党は5.3%(1.3ポイント減)だった。共産、社民両党も得票率の減少に歯止めがかからなかった。 「人生いろいろ」の小泉首相と「正直な政治への回帰」を主張する岡田民主代表の対決は、岡田に軍配が上がった。就任直後内閣支持率80%を超えていた小泉人気は見る影も無く、小泉神話が剥げ落ち神通力が地に堕ちていることが判明した。にも拘らず小泉首相続投で党内が唱和する自民党内の病巣の深刻さは末期症状を呈している。 総務省発表によると投票率は、前回の56.44%から微増の56.57%(比例代表で56.54%)。参院選で投票率が60%を切ったのは5回連続で、これまでで4番目に低い。但し、前回の2001年参院選に比べて選挙区で0.13ポイント、比例代表で0.12ポイント、それぞれ上回った。最近の有権者の選挙離れ傾向は阻止され、それなりの関心を見せ始めているとも受け取ることができよう。 国内の当日有権者数は1億250万7526人で、在外投票の有権者を含めると1億258万8410人。全国規模の国政選挙で初めて実施された期日前投票を行ったのは約717万人で、01年不在者投票のうちの期日前投票相当分と比べて24.33%増加した。不在者投票が急激に増加しつつあることが判明する。 選挙区の男女別投票率は、男性が56.61%(前回比0.63ポイント増)、女性が56.54%(同0.34ポイント減)。都道府県別で最高は島根(68.87%)で秋田、大分の順。最低は茨城(50.07%)で、栃木、千葉と続く。 今回の参院選は定数減により、選挙区73、比例区48の121議席をめぐって争われた。結果、「民主50、自民49、公明11、共産4、社民2、その他5議席」となった。各政党の伸張は次の通り。 【自民党】 自民党は、勝敗ラインの51議席(現職の衆院転出で空白になった鹿児島選挙区を含む改選議席)を獲得できず2議席減の49となった。小泉政権による「よろずレイプ政治」が嫌悪されたことになる。 自民党の敗因は次のところに現れている。20ある改選定数2―4の複数区では、各選挙区の候補を1人に絞ったことにより全ての選挙区で1議席ずつ手堅く獲得した。しかし、改選数2選挙区に公認候補2名を立て独占を目論んだ群馬、新潟、静岡の3選挙区ではいずれも失敗した。このことは、2人区では、強敵民主党の出現により分け合う以外ないことを悟らされた。 より深刻なことは、前回2001年で25勝2敗と圧勝した27の1人区で振るわなかったことにある。島根(青木参院幹事長)、鳥取、和歌山、減員区となった熊本、鹿児島では民主党との戦いを制したが、秋田、奈良、岡山、高知、長崎、大分、宮崎で現職が敗退、推薦候補も含め14勝13敗となった。このことは、1人区での民主党との互角時代の到来を告げられている。つまり、長期安定政権の足元が脅かされている事態となった。 比例区では15議席の確保にとどまった。「小泉ブーム」に沸いた2001年参院選の25議席を大幅に下回ったほか、橋本首相(当時)の退陣につながった1998年参院選の14議席ラインに到達している。得票数は1679万で、民主党の2113万に約400万票の遅れをとり、2003年の衆院選での2066万に比しても大きく票を減らした。 注目の竹中平蔵経済財政相は約72万票を獲得した。前衆院議員の荒井広幸氏が比例代表で当選復活した。荒井氏は、1993年衆院議員に初当選。昨年2003.11月の総選挙で福島3区から立候補し、小泉首相が政権公約に掲げる07.4月からの郵政民営化に反対して注目を浴びたが落選した経緯がある。 【公明党】 公明党は、引き続き堅調な戦いで、改選10議席に1名上積みして11議席とした。東京、埼玉、大阪にしぼった選挙区で3人全員の当選を果たしたほか、「1千万票」獲得を掲げた比例代表も堅調で8議席を確保。浜四津敏子代表代行は約182万票を獲得した。更に、選挙終盤での自民党候補の下支えに貢献しており、自公連合における影響力を深めたことを思えば勝利したと云えよう。 しかし、比例区で862万にとどまったことは頭打ち傾向を示しており、神崎−冬柴執行部の小泉政権への深入りに警告が為されたとも読める。 【民主党】 民主党は、改選議席38に対し野党として過去最高の50議席となり大躍進、比例第一党となり総議席でも自民党を上回った。秋田、高知、沖縄では民主、社民両党などが推薦した無所属が勝っており、実質的に53議席とみなせる。改選議席の獲得数で野党が「第1党」となったのは、1989年の社会党(当時)の46議席以来(自民の36議席を上回った)で、次期衆院選での政権交代に向けて足場を固めた。 民主党の勝因は次のところに現れている。得意とする都市部にとどまらず、地方の1人区で健闘した。選挙戦全体の勝敗の鍵を握ったのは27の1人区で、自民と互角の戦いを演じ、新たに9議席を獲得した。これまで弱いとされていた東北(青森、岩手、秋田)、中部(山梨)、近畿(滋賀、奈良、三重)、四国(高知)、九州地方(長崎、大分)の1人区で議席を獲得したことが寄与した。減員区となった岡山でも自民党との戦いに競り勝った。 前回の2001年参院選では公認候補の1人区での当選は1人もなかったが、今回1人区で善戦したことが民主党の躍進につながった。2人区(全国で15)で自民と分け合い、公認、推薦候補を含め、すべての選挙区で議席を確保した。このうち、神奈川、東京、愛知では2議席獲得した。さらに、3、4人区の東京、神奈川、愛知の3選挙区で2議席を獲得した。 比例選は、19議席を確保し、前回の8議席を大きく上回った。得票数でも2113万票を獲得し、自民党の1679万に大きく差をつけている。得票率を地域別にみると、民主党は東京で38.9%、神奈川で39.5%、愛知で44.5%を獲得し、無党派層の多い大都市部で強みを発揮した。苦手としてきた東北や中国、四国、九州でも3割台に乗せて着実に票を稼いだ。 注目の白真勲・元朝鮮日報日本支社長は約20万票、沖縄の反戦歌手・喜納昌吉氏は約17万票を獲得し当選した。 岡田氏は12日未明、党本部での記者会見で、「期待通りの結果だ。我々の主張が受け入れられ、次の総選挙で政権交代することを国民から託された」と語り、事実上の勝利宣言をした。同党は年金改革法の廃止法案を国会に提出するとともに、衆院解散を求めて小泉政権を追い込む構えを見せている。 【社民党】 社民党は、改選前と同じ2議席を確保し辛うじて対面を保った。選挙区では前回に続き公認候補が議席を得られず、比例区で福島党首が当選を決めるなど2議席を得た。福島党首は約64万票を獲得した。福島党首は、「護憲・平和を訴えたが、政権への批判票は民主に流れ、受け皿として浸透できなかった。まだまだ努力しなければ」と語った。 【共産党】 共産党は、議席を持つ7選挙区で全員落選し、改選前の15議席から4議席に凋落した。沖縄を除く46選挙区に候補を擁立したが、神奈川、愛知、京都、大阪、兵庫で現職が落選し、選挙区で59年以来45年ぶりの議席ゼロとなった。比例区で4議席を得るにとどまった。 当初から「情勢は厳しい」と認識し、当初の比例代表での8人立候補を急遽変更させ、一部の現職議員の立候補を取りやめてまで「比例5議席の死守」に向かったが、それでも後退が止まらなかったことになる。 志位委員長は11日夜の党本部での記者会見で、「自民党も民主党も憲法改悪と消費税増税で同じ流れにある。これを正面から批判して新しい流れをつくろうと訴えたが、世論を動かすまでに至らなかった」と厳しい表情で語った。 【その他】 無所属の鈴木宗男、辻元清美両元衆院議員、東京選挙区の青島幸男、増本は落選した。比例区だけ候補者を立てたみどりの会議は、議席を獲得できなかった。現職の中村敦夫氏は、98年の参院選に東京選挙区から立候補し、初当選。今回は比例区に挑戦していた。 |
【2004参院選総括そのA、選挙結果を受けての各党執行部の対応】 | れんだいこ | 2004/07/13 |
細田官房長官は、一夜明けた12日午前の記者会見で、「非常に厳しい審判だ。小泉政権に対し、3年前の参院選、昨年の衆院選に比べ、非常に強い批判があった」との認識を示し、年金改革と自衛隊の多国籍軍参加の2大争点について「国民の理解を得られていない部分について、十分な説明をしたい」と述べた。 これに対し、小泉首相は、概要「自・公与党で過半数を維持しており責任問題は発生しない」と居直り、2006.9月までの任期を続投する考えを明言した。12日昼の自民党役員会でも、「逆風のなか、健闘していただいた。引き続き責任をまっとうしていきたい」と表明した。反省の弁は微塵もない。小泉らしさではあるが。 自民党執行部(安倍幹事長、青木参院幹事長、森前首相)、公明党執行部(神崎代表、冬柴幹事長)ともども首相の続投を容認、確認し、概要「自・公与党で過半数に達しており首相の責任は生じない、とやかく云われるに及ばない。政権の選択は昨年の衆院選でなされている。引き続き小泉首相を支えたい」として首相続投による自公連立政権の維持を正式に確認した。「ポスト小泉」を狙う党内実力者も次々と賛同し、他に表立った「小泉降ろし」の動きはなく、首相続投が早々と固まった。 あまりに拍子抜けの「小泉続投」であるので、れんだいこが批判しておく。小泉首相の「非改選議席合わせての自公与党による過半数維持論」とはかなり暴論ではなかろうか。この論法で党内が沈静するところが愁嘆場に行き着いている自民党を証しているように見える。 小泉見解に拠れば、2004参院選結果の自・公の与党合計60議席と非改選79議席の総計が、全242議席の過半数を維持しており故に政権安泰なる論法によれば、過半数議席121−79−公明党議席11=31が最低限責任議席であったことになる。何と31議席がノルマであったとは。ならば、現有51議席を廻る論議は無意味だったことになる。 小泉首相は、「政権選択選挙は衆院選であり、参院選の結果で進退を問われるとは考えない」との見解も披瀝している。安倍幹事長も、「政権選択の選挙は衆院選。参院選の性格は中間選挙的なもので、首相の責任(問題)にすべきではない」と後押ししている。 しかし、この論法は明らかに参議院軽視であろう。これまで参院選敗北で責任を取った首相は愚かの極みということになるが、これも又小泉流レイプ政治であろう。この驕りがいつまで続くだろうか。過去の経験に照らせば、参院選に負けて続投した首相は弱体化し、1年以内に失脚している。れんだいこ予見に拠れば、「民意無視」の小泉首相の求心力低下が不可避で、今後の政権運営に不安が点灯したことになる。 かくて、小泉論法が功を奏し、小泉首相の責任論は「声」にならなかった。とはいえ、こういう詭弁はいつまでも通用しないであろう。小泉首相は、イラクでの邦人人質事件で頻りに自己責任論を述べていたが、この時の話法からすれば当然に首相責任論に向かうべきであろう。自分のこととなると話は別だというご都合主義がこのまま罷り通るとは考えにくい。 安倍幹事長は11日夜のテレビ番組で、改めて明言。同時に、小泉首相に辞意を伝えたことを明らかにした。ところが、小泉首相が「9月までは政局を混乱させてはいけない。責任を果たしてもらいたい」と慰留し、安倍氏も受け入れた、と云う。青木幹雄参院幹事長についても「これからもがんばってもらいたい」と逆に御身安泰を保証した。 安倍氏は、政局の混乱を回避するため当面、幹事長にとどまるが、9月の党役員人事の際には辞任する意向。但し、9月人事で首相に再度慰留された場合について安倍氏は「その時にはっきりさせる」と述べるにとどめ、最終的にどうなるかはなお流動的だ。 これにより、2004参院選結果に対して小泉政権は誰一人責任を取らないことが判明した。攻める民主党からすれば結構な話だが、自民党タカ派政治の議会制民主主義に対する見識の浅さというか無茶さ加減が露呈している。 民主党の岡田克也代表は11日夜、テレビ番組で「政権選択の時代に本格的に入ったとの実感がある」と事実上の「勝利宣言」を行い、「小泉政権と対決していく。衆院解散・総選挙も視野に入ってくる」と表明した。同党は秋の臨時国会を主戦場に位置付け、年金改革関連法の廃止、早期の衆院解散・総選挙を求める方針を示している。9月の代表選で岡田代表の再選が確定した。 「小泉続投」に対して、旧社共からの批判が生まれない。共産党は、「45年ぶりの選挙区全敗」を糊塗する論法編み出しに忙しく、「小泉続投」を批判する余裕は無い。12日午前、志位委員長も出席して常任幹部会を開き、参院選の結果について議論した。これまで巧妙な言い訳により党内をなだめすかしてきたツケが噴出するだろうか。 社民党は、12日未明、又市征治幹事長が「他の野党とも協力し、年金改悪と自衛隊の多国籍軍参加問題で引き続き小泉内閣を追及していく」との談話を発表した。こちらも小泉続投を批判する余裕は無い。 「みどりの会議」代表委員で現職の中村敦夫氏(64)は、12日午前零時半、東京・四谷の事務所で支援者を前に敗北宣言し、「党名が認識されなかった。組織団体の力もなく素手で戦うような選挙」、選挙区から比例選にくら替えしての選挙戦を「砂漠に水をまくような話。まいたところは反響があったがそこから浸透しなかった」と振り返った。テレビ時代劇「木枯し紋次郎」で知られる中村氏だが、政界からの引退を表明した。 かくて、「小泉続投」が与野党一致で当然視された。まことにお目出度い話ではある。 しかし、れんだいこが予見するところ、「逆風」で落選した自民候補の恨み節が政局に波乱をもたらすであろう。概要「首相の年金問題や『人生いろいろ』発言、イラク問題の対応のまずさ、選挙演説での小泉放言に足を引っ張られた」との思いは強い。「これだけの混戦になったということは首相の責任もあるのでは」、「握手を求めても手を振り払われたり、若い人の反応がよくなかった」、「変な風を感じた」等々の声がまもなく永田町に届けられる。 自民党候補者落選組議員及び秘書団の長い浪人暮らしが始まった。この痛みが分かるような小泉首相ならそもそもこれほどの苦戦は無かった。それを思えば、この御仁には何を云っても無駄なことかも知れない。 小泉はしまいにはこう居直るかも知れない。曰く、「俺は元々自民党をぶっ壊すを第一公約にしてきた。公約通りだろうが」。ホント面白い御仁ですな。 |
Re:【2004参院選総括そのD、小泉の情動異常考】 | れんだいこ | 2004/07/14 |
2004.7.13日、小泉首相は、閣僚懇談会や政府与党連絡会議で、2004参院選結果に対して、「逆風の中でよく頑張った」との発言を連発した、と云う。このサド侯爵の弁に表立った抗議が為されていないようである。9月内閣改造という目の前にニンジンをぶら下げられていることもあってか、ひたすら相槌打つしか能のない自民党国会議員のタラサレぶりが見えてくる。 しかし、れんだいこは、よそ事のことにせよこういう変態は許しがたい。常識さえあれば「典型的な詭弁(きべん)、すかし話法」であることが分かる。にも拘らず、自民党内がまるめこまれている奇妙さが現下の能力を証している。この党は本当に末期ではなかろうか。 れんだいこが解析しておく。今回の選挙戦が「逆風」だっとして、一体その原因を作ったのは誰なのか。お前ではないのか。それを思えば、日頃の自己責任論に因れば手前が真っ先に「申し訳なかった」と詫びてしかるべきだろう。それからの話ではないのか。 ところがこの御仁は逆対応する。意訳概要「逆風の中でよく頑張った。俺のレイプ政治にも拘わらず当選した君達はエライ、褒めてつかわす」。ということは、「落ちた者は奮闘努力が足りなかった。もっと痛みに耐えろ。歯をくいしばらんかい」、という論理になっている。 この御仁は、傲慢不遜というより情緒面で、どっかオツムの配線がおかしいのではなかろうか。こういう御仁の政治を2007年まで見せられねばならないのかと思うと嫌になるぜよったく。 |
【「天木直人メッセージ」考】
「天木直人の緊急発言―参院選挙をどうみるか」が2004参院選を分析している。れんだいこはこれを更に分析して、組める相手かどうか調べる。 2004.7.14日 れんだいこ拝 |
今度の選挙結果をめぐってこの数日の間さまざまな解説が飛び交うであろう。しかし私は今度の選挙は、ズバリ言って「公明党の一人勝ち、民主の期待はずれ、賞味期限の切れた小泉の予想通りの居直り、社民・共産の臨終」であると考えている。そしてそれはとりもなおさず国民のための政治を願う有権者の敗北である。どういうことか。それを詳しく述べてみたい。 |
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1.小泉が居直ることは当初から明らかであった。三年も総理をやって何も成果を挙げられなかった小泉が最後に固執するのが日朝国交正常化である。従って小泉は何があっても辞めない。この事業を成し遂げなければ文字通り何も残らない。その意味で獲得議席が40代の前半であっても辞めなかったであろう(もっともそのような惨敗の中でそれでも辞めないとなると批判もでてくるであろうから少なくとも民主党はそのような事態になるようもっと議席を伸ばさねばならなかったのであるが)。これはもう政治の常識ではめちゃくちゃな話である。しかしこの期に及んでもそれを許すのが今の自民党である。小泉を引きずりおろせるエネルギーがないのである。それほど自民党はパワーを失っているのである。 それにしても小泉という男は浅ましく往生際の悪い男である。政権を維持するために今後もなりふり構わず北朝鮮問題をもてあそんでいくであろう。金正日と小泉が裏で手を繋いでノーベル平和賞を目指して協力していくのである。そのお膳立てに外務官僚が走り回る。それが終わったら皆大使栄転して送別会で祝うのである。切り捨てられるのは行方不明の拉致された人々でありその家族である。こんなことが許されてよいのか。 |
![]() 前段はほぼ了解できる。後段の「金正日と小泉が裏で手を繋いでノーベル平和賞を目指して協力していくのである」とはこれ如何に。悪い冗談のように思うがマジで云っているのだろうか。 |
2.
このような中途半端な選挙結果に終わった責任の大半は民主党に大きい。考えてもみるが良い。民主党はまたもや千載一遇のチャンスを生かせなかったのである。年金問題といい、イラク戦争といい、国民の不満は絶頂に達していた。普通であれば民主が圧勝して当たり前のところである。年金問題といい、イラク戦争といい、国民の不満は絶頂に達していた。この状況であるならば民主が圧勝して当然である。それが昨年の衆院選挙と同様に民主圧勝とはならなかったのである。消去法によって祈る思いで民主党に投票した国民はどんなにか落胆したであろう。 今回の参院選挙出馬をめぐって私は民主党の内情を知り愕然とした。政権交代は私の願いでありその観点から野党第一党の民主党を応援しようと一時は考えた。しかし今後の民主党の政策・国会運営如何では今の自民党よりも悪くなるのではないかと危惧している。何より「選挙互助会」と揶揄される民主党自体のバブル状態は、かつての「山が動いた」社会党と全く似通ったものだからである。今度の選挙で民主党に投票した国民はしっかり監視していかなければならない。 |
![]() 民主党に対する認識が違うな。 |
3.それにしても公明党のこの国の選挙に及ぼす影響力はますます強くなっていっていることは由々しい事態である。今度の選挙でも終盤の戦いにおいては公明党は自民党を必死で支えた。党幹部は「やるだけのことはやった」と豪語していた。それで負けるようなことになればすべて自民党の責任であるという意味だ。公明党の協力がなければ一人区で自民党は完全に惨敗していたであろう。その意味で前回の衆院選挙同様、自民党は公明党の助けなくしてはとっくに政権を手放さざるを得ない政党になってしまっているのである。 公明党にこの国の選挙を牛耳られてよいものであろうか。私は公明党のアキレス腱は「平和」と「憲法」にあると思っている。イラク戦争に賛同し、憲法改悪に賛成するような政党が信者の支持を受ける宗教者の集団なのか。命の尊さと弱者への思いやりをもっとも大切にしなければならないといわれる創価学会の会員たちは、自民党と連立を組んでイラクへ自衛隊を送り続けてアラブを敵に回したり、戦争の惨禍を二度と繰り返してはならないと願う国民の気持ちを無視する公明党を認められるのか。この点声を大きくして叫んでいけば信者はその矛盾に嫌でも気付かざるを得ないであろう。 |
![]() 公明党に対して怒り危惧する気持ちは分かる。 |
4.さて社民、共産党である。私は社民党は村山元首相の裏切りや長年の自民党との国対癒着政治の実態から見ても、社民党は一刻もはやく解党すべきだと思ってきた。しかし今度もまた最低限の議席を維持している。どうころんでも今後社民党が今の形で議席を増やす事は考えられない。福島党首が選挙後「今後の復活のために最低限の成果を収めた」というような事を口走っていたが、党存続を目的にする限り残念ながら政界再編の足をひっぱっているだけなのである。 |
![]() 社民党解党論に傾斜していることは分かった。 |
共産党は大敗した。私は「共産主義」というイデオロギーを別にするならば政策的には共産党に一番の好感を持っている一人である。既存の政党の中では一番庶民の立場に立った政策を訴えていると考える。年金問題、イラク戦争、憲法堅持どれをとってみても正しいことを言っている。それにもかかわらず今度の選挙で国民の支持を得られなかったのは何故か。 共産党幹部はこのことを深刻に受け止めなければならない。イデオロギーに縛られた硬直性と党幹部の強い締めつけから解放されない限り国民はついていかないであろう。私は、政策的にもっとも共産党が正しいことを言っていると評価している元保守官僚である。私と同様の見解を持つ国民も少なからず居るであろう。「脱イデオロギー」の要請に共産党は耳を傾けるべきである。 |
![]() 共産党に対する惚れ込みぶりが分かった。「『脱イデオロギー』の要請に共産党は耳を傾けるべきである」なる見解は、現日共党中央の右派の巣窟ぶりに対する無知が甚だしい。残念ながら、天木氏は政治的見解では素人の域を出ていない。 |
5.以上要するに今の日本には心から支持できる政党が存在しないということである。私は選挙のたびに棄権する人々は単なる怠慢で、何が起こっても選挙に行かない無責任な人々であると思っていた。しかし中には選ぶ政党がないからやむにやまれず無党派になっているという政治意識の高い国民もいるのではないだろうか。そういう人々にとっては日本の今の政治状況は耐え切れない事であると思う。 私は今回の参議院選挙に打って出ようかと真剣に考えて既存の政党、政治家と接触した時、大いに失望した。要するに国民の為を考えて政治家になろうとしている連中にはまずお目にかからなかった。仮にそのような真っ正直な人間が居たとしても、そのような人は当選するための図々しさを持ち合わせていないし、たとえ当選してたとしても既存の政党では潰されてしまう。立候補者たちにとっては「政治家になること」が目的となっている。真面目に政策を論じようと勉強する候補者や政治家はまず見当たらない。政治家になって権力と金を手にしたいと思う者と、その政治家にぶら下がって飯を食おうと考える連中がうようよしているのである。その意味で選挙なんか関係ないと割り切って一度も選挙に行かない人々の気持ちが良くわかる。選挙なんか、政治家なんか勝手にやってろと突き放したほうが正直なのかもしれない。 |
![]() 一般評論として読めば異存ない。 |
6.しかしここで立ち止まって考えなければならないのは、このままだと政治家たちが我々の税金を勝手に使ってやりたい放題な法律をつくって我々国民を支配してしまうという事である。結局この支配の憂き目にあうのは国民である。そう考えると政治に関心を持たない国民というのは悪徳政治家のいけにえになる愚かな羊であり、抑圧・搾取されても我慢せざるを得ない人々という事になる。どうすりゃあいいのか。 |
![]() 同じく一般評論として読めば異存ない。 |
自民党、民主党、公明党によるこの国の支配を許さない!という観点にたって、国民の真の味方になれる政党はこれだ!という政党をつくることは必要だと思う。そのあたらしい勢力の最大のマニフェストは「平和憲法を守る」ということであろう。この点については社民党、共産党のみが既存の政党では首尾一貫している。 |
![]() 民主党を自民党、公明党と同列で論ずる視点が共有できないが、「そのあたらしい勢力の最大のマニフェストは『平和憲法を守る』ということであろう」については同意できる。 |
これらの政党が、今のままでは何度選挙を重ねても、いくら正しい事を訴えても、国民にはイデオロギーアレルギーによって浸透できない、そして結果として自民、民主、公明を利するだけであるということを自覚し、解党的な再出発をして第三勢力に結集する、その時こそはじめて「平和新党」なり「無党派新党」なりの成立する余地がある、いいかえればそのような動きが出てこない限り、日本の政治構造を根本的にかえていく道はないのではないかと思う。一般の国民を巻き込んだ政治改革運動でなければ、本当の風をおこす事は出来ない。今度の参議院選挙の結果と、小泉首相の居直り発言をみてつくづく思うのである。 |
![]() 「第三勢力結集論」自体は悪くない。しかし、上述のような分析からの「第三勢力結集論」が首尾よく進展するだろうか。このような試みはこれまでにも為され、泡沫してきた。それを思えば、この程度の観点からの切り込みで始まるならば、最初から赤信号が点灯しているに等しい。 結局、れんだいこはやはりれんだいこ党から進むしかないか。考えられる線は天木党との共同戦線だろう。最大の違いは、「脱イデオロギー」と「磨イデオロギー」の差になるだろうか。「磨イデオロギー」とは、「イデオロギーをこなしてとらわれず」であり、それは決して「脱」では無い。我々はもっと精力的に書物とも現実とも格闘せねばならない。それはそのどちらかに埋没することではない。この辺りの観点に差があるように思われる。 |
【日共の弁明考】 |
2004.7.13日付け赤旗は、「二大政党に対抗する国民中心の新しい政治を」なる見出しの記事を載せている。これに拠れば、まだ党声明は出せず、NHK討論での志位委員長見解を代替させていることになる。 |
![]() 相変わらずの「わが党こそ唯一正義論」を力なく述べているに過ぎないことが分かる。このところ何ゆえに後退に次ぐ後退を余儀なくされているのか。本当に政策が正しいのか。仮に正しい政策だとして、では何ゆえに浸透しないのか。選挙結果の民意に対して執行部は責任は取らなくて良いのか。小泉続投を何ゆえ批判できないのか等々肝心なことについて何の弁明もしていない。 というか為しえないのだろうが、科学的社会主義なるもののお粗末さが滑稽にして涙を誘う。それでも執行部安泰のこの党の体質は既におぞましいものがある。日本左派運動に対する責任という意味では、小泉同様同じ穴のムジナの居直りという点で作法が共通していよう。 2004.7.14日 れんだいこ拝 |
2004.7.13日、日共は、常任幹部会声明「参議院選挙の結果について」を漸く発表した。これを考察する。しかし、内容があまりにもおざなりの駄弁過ぎており逐次コメントに値しない。よって要点を述べる。声明に拠れば、「政策は正しかった」、「二大政党制の流れに負けた」と総括し、今後の対策として、「草の根活動の一層の重視」、「新綱領と党の日本改革方針のプロパガンダ」、「赤旗購読者の拡大」を指針させているに過ぎない。 何なんだろうこの総括は。小泉首相の「逆風の中でよく頑張った」発言とレベルが同じかそれ以下だろう。毎度この程度の総括はしてきた筈である。にも拘わらずなぜ毎度負け続けているのか、ここが分析されねばならないのではないのか。君達の自称する科学的社会主義の能力を賭けてそれらしきものを提起すべきではないのか。こったら「科学的分析」があってたまるものかは。これで又もや執行部の御身安泰とはもう滑稽すぎて吹き出してしまう。 2004.7.14日 れんだいこ拝 |
【「中核派の2004参院選総括」考】
中核派(革命的共産主義者同盟)は、7.13日、「7・11参議院選挙の結果について」を発表している。いわゆる新左翼の中で逸早い声明を出しており、党的能力を証している。れんだいこはこれを更に分析して、組める相手かどうか調べる。ちなみに、選挙後二日を経た現時点で他の党派の声明は出ておらず、情けない限りである。 2004.7.14日 れんだいこ拝 |
(一)
7月11日に投開票が行われた参議院議員選挙において、小泉・自民党は大敗北した。日本帝国主義は、自民党と公明党の連立によってかろうじて立っているにすぎないという危機的な階級支配の現実を露呈することになった。これは一言で言って、小泉改革に対する労働者階級人民の巨大な怒りが生みだした結果である。多国籍軍参加によるイラク侵略戦争の拡大、年金改悪による労働者人民の生活破壊という「外に向かっての侵略戦争と内に向かっての階級戦争」の攻撃に対する労働者人民の明確な拒否がたたきつけられたのである。これは、イラク侵略戦争のもとで階級情勢の大激動を生み出す世界史的な事件である。 |
![]() 前段の認識においては相違が無い。後段の「民主党の道は自民党以上に戦争と資本攻勢を強めることにしかならないことを明確にさせ」について異論がある。民主党をそのように規定するのなら民主党論を構築すべきである。細川政権時に見せた日共の新帝国主義者論と類似しているように思えるが、れんだいこはこの種の見解こそ危険な逆さ規定急進主義とみなす。 「無力化し没落を深める社民党・日本共産党をのりこえる闘う労働者党をともに建設することを訴える」につき、「社民党・日本共産党乗り越え論」は滑稽だ。「乗り越え」とは相手を認めた上でその限界を突破するという観点であろう。れんだいこは、社共運動の系譜を正統左派運動とはみなさないので、共同戦線上の対象にすることは良いとしても「乗り越え」の対象にもならない。「無力化し没落を深める社民党・日本共産党運動を拒否し真に闘う労働者党をともに建設することを訴える」云々としたい。 |
(二) 第一に、今回の選挙結果が示していることは何か。自民党の獲得議席は、選挙区で34、比例区で15、計49であり、
連立与党の公明党の計11を加えても60にとどまり、第一党の座を民主党に明け渡してしまった。自公を併せても改選議席の過半数(61)に届かなかった。青木参院自民党幹事長は選挙前に自民党が51議席を割ったら、小泉政権は死に体になると言っていたが、まさにその勝敗ラインを割ってしまったのである。小泉政権は、非改選議席を足せば自公で過半数になるので、政権に影響はないと言っているが、敗北を塗り隠すことはできない。 |
![]() 分析が的確で情勢に食いついている点が評価される。欲を云えば、このように関心を持つなら何ゆえに関心を持つのか議会論を構築すべきであろう。 |
政権政党にすがりつくことでのみ組織の延命を図ってきた公明党にも未来はない。自民党の危機を救う公明党、かつて沖縄で大田知事を倒すために自民党と手を組んだ公明党を弾劾するとともに、公明党の掲げる「平和」や「百年安心の年金」を先頭で破壊しているのが公明党であることを労働者階級はすべて知っている。公明党の危機が自民党危機の加速と一体となって進行することは不可避である。 |
![]() 同じく公明党論も構築すべきである。 |
また、沖縄選挙区で全国で唯一の革新統一候補となった糸数慶子氏が31万6148票を獲得し、自公候補に10万票近い差を付けて圧勝したことは、今回の選挙における自民党敗北の特筆すべき指標である。名護新基地建設に反対し、平和を求める沖縄人民の小泉政権に対する反対の意思表示であり、日本の全労働者人民の闘いの先頭に立つ勝利である。 |
![]() 同じく共同戦線論を構築すべきである。 |
(三) 第二に、今回の選挙は何をめぐる闘いであったのか。 |
![]() 同じく小泉政権論、憲法論、反戦平和論を構築すべきである。 |
それでは、民主党の躍進と言われていることは、労働者にとって何を意味するのか。さしあたり労働者階級が民主党への投票を集中したとしても、それは労働者階級の民主党への支持や信頼を意味するものではない。きわめて反人民的な選挙制度のもとで、野党第一党に票が集中したということである。労働者階級にとってはとにかく自民党・小泉に一矢を報いたい気持ちが優先したのである。 民主党自身が極右やファシスト的勢力から旧社会党までを含む雑多な寄り集まりであり、民主党政権になったら直ちに分解するものでしかない。民主党が第一党派になったことは、日帝支配階級が政治支配をこれまでどおり続けられなくなった行き詰まりを示すものである。 |
![]() 民主党論が開陳されているが、「雑多な寄り集まり」そのことが悪いとは云えまい。規約論に関係するが、党内の異論、反対派、分派の許容による「民主集中制」に立脚しており、それは進んだ組織であるともみなせよう。この辺り従来の左派運動の側こそ学ぶべき点があるのでは無かろうか。 |
民主党は、「2大政党制の時代」「政権政党への第一歩」を宣伝しているが、その掲げているものは何か。国連決議をもって多国籍軍参加を提唱し、「創憲」の名で憲法改悪をうたい、有事法制の成立に賛成し、緊急事態法成立を叫び、年金改悪で自公政権と3党合意をかわし協力し、年金一元化は消費税増税で財源を確保すると公言する徹底的な反労働者的な政党である。第2自民党であり、労働者の敵であることを明確にしなければならない。 |
![]() 民主党を「徹底的な反労働者的な政党である。第2自民党であり、労働者の敵」規定しているが、同党の矛盾面を弁証法的に捉える必要があるのではなかろうか。れんだいこには、既成社共による万年野党式無責任型の似非左翼運動が幻滅を与えた結果、儚い望みを託して「よりまし論」で民主党に合流したあるいはそれを支持する面もあるのではなかろうか、と思っている。 だとするなら、内在的な批判の眼を持つ必要があるのではなかろうか。「徹底的な反労働者的な政党である。第2自民党であり、労働者の敵」規定は、単に急進主義的なそれであり、為にする批判の面が濃厚過ぎるきらいがあるやに見受けられる。 |
連合は比例区で8人、選挙区で6人をそれぞれ組織内候補として当選させた。第2自民党、戦争と資本攻勢に道を開く民主党を支える連合指導部を打倒しなければならない。 |
![]() 同じく政党論とは又違う労働運動論、連合論を構築せねばなるまい。 |
日帝ブルジョアジー、日本経団連は、今回の選挙結果に大打撃を受けている。日本経団連会長の奥田は選挙結果について即座に態度表明することができないありさまだった。しかし結局は奥田は、「小泉改革への影響はない」と強弁し、小泉=奥田路線のもとに、政治=経済攻勢を強めようとしているのだ。 |
![]() 同じく財界論を構築せねばなるまい。 |
(四) 第三に、今回の事態は、イラク情勢を起点において考えれば、国際階級闘争全体を揺るがす世界史的な事件である。米帝ブッシュは、日本の選挙結果に打撃を受け、大統領再選戦略を練り直さなければならないところに追いつめられている。さる3月のスペインの総選挙での政権転覆とイラクからの撤兵、6月のイギリスの地方選挙での労働党の大敗北と第3党化に続く日本の自民党の敗北は、米帝の最も強力な同盟国における政変の現実性を突きつけるものであり、帝国主義世界支配の危機に直結する事態である。 |
![]() 国際情勢論として傾聴に値する。 |
(五) 一方、社民党は、一層無力化しつつ、かろうじて改憲に対する危機感に訴えて存在を示そうとしている。しかし、改憲攻撃に「護憲」を対置しているだけで「帝国主義戦争を内乱へ」の立場がまったくないため、日帝と対決することはできず、小泉の改憲攻撃に打ち勝つことはできない。 |
![]() 同じく社民党論を構築せねばなるまい。 |
また、日本共産党はどうか。6年前の選挙で15議席をとり、民主党との野党暫定政権構想を打ち出した日本共産党は、00年の総選挙以来の国政選挙で敗北を重ね、今回の参院選でも退潮に歯止めがかからなかった。比例区で4議席、選挙区では45年ぶりのゼロ議席となった。「労働者階級の闘い」を完全抹殺し、自衛隊の存在を容認した新綱領の決定以来最初の国政選挙でのこの結果は、広範な党員と労働者の離反、選挙運動そのものを不活発化を生み出したことによるものだ。これは労働運動、統一戦線、大衆的政治闘争に敵対してきた必然的帰結である。連戦連敗の不破・志位指導部は、日本共産党の崩壊の道を掃き清めている。 |
![]() 同じく日共論を構築せねばなるまい。付言すれば、れんだいこの宮顕論、不破論の観点に立たない反スタ論による批判は彼らにとって隔靴掻痒のもので何ほども撃たないであろう。 |
(六) 小泉打倒に向かっての大激動、大流動が始まった。何よりも、小泉=奥田路線との大対決の決戦が今次参院選をもって新たに開始されたのだ。戦時下において労働者階級が日帝支配階級と激突し打倒していく、まさに「闘うアジア人民、イラク・ムスリム人民と連帯して、日帝の侵略戦争を内乱に転化しよう」というスローガンに表される内乱の現実性が明々と示されているのだ。闘うイラク人民と連帯し、米日帝の朝鮮侵略戦争の切迫のもとで闘う民主労総を始め韓国の労働者階級と連帯し、帝国主義を打倒する巨大な展望が開かれている。 |
![]() 「向自的党派形成論、共同戦線論の両建て運動」こそ必要で、この見地からの政策論、財政論、組織論、運動論、議会論等々切開せねばならない点があまりにも遅れており、故に支持を伸ばせられないのではなかろうか。 とはいえ、中核派のタイムリーな見解発表には同党の能力が証されており、故に論評した次第である。 |
【八木啓代の「モノローグ・野党大連合提唱」考】
八木啓代(やぎのぶよ)氏のサイト「八木啓代」の「7.15日日記」に次のような見解が披瀝されている。 |
参院選直前にして、そこまでやるかぁという一発が出ました。曽我夫妻ご対面に使われる税金は、おそらく、イラク人質救出費用よりも上でしょう。また北朝鮮に恩を売られたわけですものね。そこまでやらなければやばいと思った小泉政権の側から見れば、ここのところの年金法案の強硬可決や、国民を舐めきったからつい出てしまった暴言に、さすがに暢気な国民もむっとして、支持率下降したからでしょうね。 そして、参院選。 ここのモノローグを読むような方に敢えて言うのも失礼なので、選挙に行こうみたいなことは書きませんでしたが、ここまでバカにされても、まだこの程度の投票率か、というのが正直な気持ちです。 で、新聞は、自民党が負けたの、民主が躍進したのと書いています。たしかに、表面的にはそう見えます。しかし、たぶん自民党に危機感はないでしょう。公明党と議席を合わせれば、与党は絶対多数を維持しているし、民主党が伸びたとはいえ、一時的なブームに乗っているだけ。次の選挙まで追い風に乗っていられるかは、疑問です。 今回の選挙の特徴的なことは、そういう問題ではなく、社民と共産......とりわけ共産党が惨敗した選挙であったという点です。おそらく党の存亡の危機にあるといってもいいぐらいの。 じつは、こうなることは、小選挙区制という大政党に極端に有利な制度が採用された時点で、十分予測できていました。で、もちろん、二大政党制を望まない人たちは、小選挙区制に反対したのだけれど、結局、これが採用された時点で、それが制度となったわけです。 その事態に対して「ならばどうするか」ではなくて「ただ反対」。小選挙区制だから不利。二大政党制の流れに抗しきれなかったなどと、今回、共産党の上層部はおっしゃっているようだが、「そんなこと言ってるから駄目なのだ」 今回の選挙で、自民党は公明党の多大な選挙協力を得たおかげで、目標より少ないとはいえ、49議席を獲得した。もしも、公明党が自民党に選挙協力せず、すべての選挙区で独自候補を擁立していれば、一人区での自民党の票は割れ、自民党は民主党に惨敗したはずである。その結果として、公明党は、自民党に対して大いなる発言権を有することになった。 同様に、今回、もし共産党が、独自候補の当選が事実上無理であると考えられる一人区で、あえて独自候補を擁立せず、沖縄県でやったような「野党連合」的選挙協力を、民主に対しておこなっていれば、なんと1人区8議席がひっくり返っていた計算になる。そうなれば、自民41議席。民主58議席。それだけではない。与党計51議席。野党系63議席。 たとえ、公明党が自民党に多大な貢献をしていたとしても、それでも、自民と与党連合は、歴史的な惨敗をするはめになったのだ。世界のマスコミは、イラク派兵への国民の反対表明と大々的に報じただろう。年金法案の廃案化も具体性を帯びてくる。 共産党の最大の言い分として、「しかし民主党も改憲をしようとしている政党である」というものがある。それはもっともだ。しかし、しつこいようだが、原則論は原則論として重要だが、一方で、政治というのは理論だけではない生き物だ。現実的な判断がどのタイミングで、どれだけできるかがもっとも重要な世界なのだ。 しかし、前回のアメリカの大統領選挙で、共和党のブッシュが当選した最大の功労者は、じつは緑の党のラルフ・ネーダーだったという事実を、よく噛みしめるべきだ。有名な消費者運動家で、民主党と支持層が重なる(そして、現実には、大統領当選はあり得ない)ネーダー氏が出馬し、何十万票かを集めることで、それは、民主党のゴア候補の足を引っ張り、ブッシュを有利にした。 というより、接戦だったあの選挙では、ブッシュを助ける決定打となった。そして、今回、ケリー陣営に対して苦戦するブッシュ陣営から、ラルフ・ネーダー陣営に献金が行われていたことがすっぱ抜かれている。敵の足を引っ張るやつは味方。ラルフ・ネーダーの取る票は、そのまま、ケリー陣営の損失になるからだ。 共産党が独自路線を貫くのは結構だ。しかし、この事実、つまり共産党が意地になって全選挙区擁立をやることが、結果的に自民党をとっても助けているという事実をどう考えるのか。 そして、そうやって自民党に尽くしたところで、公明党と違って発言力ができるわけではないから、選挙区制は変わらないし、じり貧状態は変わらないだろう。それより、国家権力が共産党をほんとに恐れるようになるのは、「原則は曲げないが、必要であれば、いつでも野党連合の一員として大同団結ができる」共産党になることだ。 腐っても鯛。共産党には真面目な党員と支持層がある。選挙区で、死票になることすらいとわず投票する人たちだ。この数百万票のうち、一人区の分が死票でなくなれば、それは与党にとって、もっともおそろしい武器となる。 そして、そういう野党連合が政権を取れるようになれば、選挙区制のいまひとたびの改革を議論に載せることもできるかもしれないし、野党第一党がやはりろくでもないということになれば、それはそれで、また「武器」をつかって、叩き落とすことができるのだ。つまり、そこに共産党の存在意義も発言力も再生される。民主党の右傾化への抑止力にもなるだろう。 しかし、社民だけでは弱い。辻本清美の秘書疑惑から、土井たか子の年金不払い問題など、一連のイメージダウンを誘うトラブル続きで、ほうっておくと、民主に事実上の吸収合併になってしまいかねない。 だからこそ、ここで、小異を捨てて、野党連合ができないものか。そうでなければ、日本の政治は、本当には変わらない。 |
![]() 公明党の対応に比較しての旧社共のお粗末なそれを見事に指摘している。れんだいこは、それにつき意図的な体制補完運動とみなしているので、若干期待を寄せているようにみえる八木氏の意見が徒労なものに終わるだろうことが予見できる。やはり、彼らとは別個の新運動にして共同戦線化できる党派を創出する視点から論じた方がもっと生き生きするのではなかろうか。 |
(私論.私見)