◆比例選も不正指摘
昨年12月に行われた衆院選で白票を水増ししたなどとして、仙台区検は30日、書類送検されていた仙台市青葉区選管選挙課の前課長・熊谷純一容疑者(58)と、同課の前選挙係長・荒井孝容疑者(57)を公職選挙法違反(投票増減)で仙台簡裁に略式起訴した。起訴事実では、これまでの市側の調査で明らかになっていた不正に加え、比例選でも票の操作が行われたとした。
起訴状では、2人は衆院選の小選挙区選で、投票者数と実際の票数との間に生じた誤差963票のつじつまを合わせるため、白票955票を水増しし、8票を持ち帰り票として処理したとされる。さらに、比例選でも1票の誤差を取り繕おうと、持ち帰り票を5票とした上で、白票を6票減らしたとしている。
また、熊谷容疑者は最高裁裁判官の国民審査でも誤差があったことから、500票を有効投票数に加えるなどしたとして、最高裁裁判官国民審査法違反でも略式起訴された。区検は認否を明らかにしてない。
起訴事実では、昨年12月の衆院選の小選挙区選と比例選、国民審査のいずれでも不正があったとされ、市側に衝撃が広がった。当初、内部調査にこだわった市の対応のまずさが改めて浮き彫りになった格好で、奥山恵美子市長は同日、「重く受け止め、改めて市民におわびする。起訴事実に、比例選に関する不適切な票の集計が含まれたことについては、事実関係を確認する。司法の判断を踏まえ、市も厳正な処分を行う」とのコメントを出した。
木村純一・市選管事務局長は読売新聞の取材に、「事実なら、公正な開票作業が一つもできていなかったことになり、大変申し訳ない」と話した。事実関係の把握については「今後、2人に事情を聴くしかない」と述べた。
市議会調査特別委員会の赤間次彦委員長は取材に、「市長は責任について自身で判断されるのだろう」と話し、奥山市長が責任を取ることは免れないとの認識を示した。
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