米国大統領選の仕組み

 更新日/2016.11.5日

(れんだいこのショートメッセージ)
 ここで、「米国大統領選の仕組み考」をものしておく。
 

 2016.11.5日 れんだいこ拝


【米国大統領選の仕組み】
 毎日新聞質問なるほドリ」の「米大統領選の仕組み 米大統領、どう決める?=回答・山本太一」、 「米大統領選、接戦の場合に何が起こるか」その他参照。
 米国大統領選の仕組み。「間接選挙」選挙人に投票

 米国大統領選挙のユニークな特徴として、一番多くの一般投票を獲得した候補者が選出されるとは限らないという点がある。勝敗は、選挙人団と呼ばれる、各州で選ばれた選挙人による投票によって決定される。このことは大領選結果について政治的な論争が持ち上がった場合でも州ごとに展開されることを意味する。

 有権者が候補に投票する「直接選挙」と思われがちであるが、実際には特定の候補を支持する選挙人に投票する「間接選挙」になっている。選挙人団は全米で538人の選挙人によって構成されており、全50州ごとに人口などに応じた人数が割り当てられている。最多は西部カリフォルニア州55人、最少はアラスカなど7州の3人。これに首都ワシントン(特別区)の3人を加え計538人になっている。大統領候補が勝利するには過半数となる270人以上の選挙人を獲得する必要がある。

 選挙人って?

 選挙人は地方議員や著名人がなっている場合が多い。各州の政党支部はそれぞれの候補に投票すると誓約している選挙人を州ごとに決められた人数分だけ指名し州当局に登録しておく。有権者は大統領候補に投票するものの、実際にはその候補を支持する選挙人を選ぶこととなる。一部の州法では、選挙人が一般投票の結果通りに投票することを義務づけており、州によっては各政党が選挙人に対して、自身の候補者に投票するよう公式の約束を事前に取り付けている。

 選挙の勝敗はどうやって決まるの?

 大統領選に関する手続きは州法で定められており州当局が管轄する。そのため、それぞれの州において独自の再集計手続きがある。南部フロリダ州では、共和党のジョージ・W・ブッシュ候補と民主党のアル・ゴア候補が争った2000年の大統領選において、得票率の差が0.5%未満だったため自動的に再集計が行われた。中西部ウィスコンシン州では再集計は自動的には行われず、もし候補からの要請があれば再集計が行われるが、選挙結果が変わらなかった場合、その候補が再集計コストを全額負担する決まりとなっている。再集計以外の手段としては、誰であっても州の選挙プロセスについて法廷で争うことが可能だ。現在、米国の最高裁判所の判事はリベラル派と保守派が拮抗しており、法的闘争は下級裁判所で決まる可能性がある。但し、それぞれの政治派閥の構成は各州で異なっている。

 各州の勝敗は一般投票で決まる。東部メーン、中西部ネブラスカの2州を除き、1票でも多く得票した候補がその州の選挙人全てを獲得する「総取り方式」になっている。獲得した各州の選挙人数を積み上げ、過半数の270人に達した候補が当選となる。もし選挙人数が270人に達した候補がいない場合、大統領は下院によって選出される。

 選挙人も投票するの?

 選挙人は12月、各州の一般投票で勝った候補に投票し、来年1月に連邦議会で開票されて正式に大統領が決まる。選挙人が誓約通りに投票しないことが理論上考えられるが、それは極めて稀であり、それが選挙結果に対して意味のある影響をもたらすことはない、とされている。罰則が科される州もある。

 月刊ジュニアエラ2016年11月号 「アメリカ大統領選が派手な「政治ショー」になる理由とは?」。
 次のアメリカ大統領は誰になるのか─。4年に1度の大統領選挙(大統領選)が、すぐ目の前に迫ってきている。お祭りのように盛り上がっているが、一体どんなしくみで決め、どんな人がなるのだろう。世界の大国・アメリカのトップは世界中に影響力をもっているだけに、その結果に注目が集まっている。毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』に掲載された、朝日新聞国際報道部・杉崎慎弥さんの解説を紹介しよう。

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 アメリカ大統領選挙は、オリンピックと同じく4年に1度行われる。日本の選挙はほぼ日曜日だが、大統領選の一般投票は「11月の第1月曜の翌日」と定められている。キリスト教で、日曜日は安息日のためという説が有力だ。今回は11月8日である。

 大統領選は1年近くも、お祭り騒ぎになる。今回は、「女性初」、そして「夫婦でも初」の大統領を目指す民主党のヒラリー・クリントン氏(68)と、大富豪でまったく政治経験がない「異端児」と呼ばれる共和党のドナルド・トランプ氏(70)という対決になり、注目を浴びている。

 派手な「政治ショー」になる理由は、選挙のしくみも大きく関係している。アメリカには、民主、共和という二つの大きな政党がある。複数の候補者の中から、だれが一番ふさわしいのか、全50州で党員集会や予備選挙を開いて正式な候補者を決めていく。今年は2月1日の中西部のアイオワ州での党員集会から本格的な候補者選びが始まった。多くの州で党員集会などが一気に開かれる2月または3月の火曜日は「スーパーチューズデー」と呼ばれる(今回は3月1日)。ここが最初の山場で、勝ち目がない候補者は選挙戦をあきらめることもある。今回は、誰もが予想していなかったトランプ氏が、スーパーチューズデーで勝利し、「トランプ旋風」といわれるほどの勢いを見せ、5月ごろには指名獲得を確実にした。一方の民主党では、当初はクリントン氏の圧勝と思われた。ところが、若者から絶大な人気を得た上院議員のバーニー・サンダース氏(75)が予想を覆す戦いを見せ、激戦となったが、7月にクリントン氏が正式に指名された。

 いよいよ一騎打ちとなった大統領選だが、2人の候補者は対照的だ。トランプ氏は過激な発言を何度も繰り返し、賛成と反対の議論を巻き起こし、テレビなどメディアの注目を集めるのが得意だ。メキシコからの不法移民の問題について「彼らは麻薬を持ち込む。犯罪を持ち込む」と批判。「国境に壁を造る。費用はメキシコが払う」とも発言し、メキシコやアメリカ市民も怒らせた。一方で、不法移民が増える実態に不満を持つ人々からは「トランプは本音で話す政治家だ」などと絶大な人気を得た。「アメリカ第一主義」というスローガンを掲げ、経済や外交政策でアメリカが損するようなことは、たとえ相手国が困るような状況になるとしても、やめてしまうという考えを持つ。これは日本にも影響を与える可能性がある。トランプ氏は「アメリカは日本を守っているが、われわれが投じた膨大な労力やエネルギー、兵器を返済してもらっていない」と主張。駐留するアメリカ軍の費用については、「(日本など)同盟国がすべて払うべきだ」と話した。

 一方のクリントン氏は、夫のビル・クリントン氏が大統領のときから、「ファースト・レディー(大統領夫人)」としていろんな政策を進めてきた。その後も、外務大臣にあたる国務長官を務めるなど、華麗な経歴と具体性のある政策が武器だ。ただ、長官時代に秘密の情報を、個人のメールでやりとりしていたことが問題視された。また、選挙中に肺炎で倒れるなど、大統領を務めるだけの体力がないとの批判もつきまとう。アメリカと同盟を結んでいる日本の今後にも関係する選挙なので、注目しよう。(解説/朝日新聞国際報道部・杉崎慎弥)

【キーワード:アメリカ大統領】
アメリカ政府のトップであり、軍最高司令官や外交の最高責任者を務める。法案の拒否権など大きな力ももっている。憲法では、任期は4年で再選は1度だけできると定められている。大統領が死亡したり、辞職などしたりした場合は、副大統領が昇格して、残りの任期、大統領となる。

【キーワード:選挙人】
一般投票の結果にしたがって、大統領を直接選ぶ人。計538人。各党の選挙人候補は州ごとの党大会で選ばれ、連邦議会の議員の数に基づいて決まる。人口が最も多い西部のカリフォルニア州で55人、最も少ない西部のワイオミング州では3人。本選挙で全50州と首都ワシントンD.C.の選挙人の過半数にあたる270人を獲得すれば、大統領が決まる。


【米大統領選の投票終了時間】
 「米大統領選、行方占う東岸注目州の投票終了時間は 早期の開票結果、その後の展開のカギに」。
 米大統領選は8日に投票日を迎える。WSJ ワシントン支局長のジェラルド・F・サイブが両候補の勝利に不可欠な注目州について解説する Photo: AP By MICHELLE HACKMAN

 米国時間8日夜に固唾(かたず)をのんで米大統領選の開票結果を見守る人々にとって、幾つかの米東岸諸州の早期開票結果が、その後の展開を占うカギになるだろう。以下は、開票結果が明らかになるにつれて、注意して見るべき最初の幾つかの州だ(時刻は米東部標準時と日本時間での各州の投票終了時間)。

 米東部時間8日午後7時(日本時間9日午前9時):

 バージニア州とジョージア州

 この2州で何が民主党候補ヒラリー・クリントン氏を神経質にするだろうか。バージニア州でオバマ大統領は前回選挙と前々回選挙の2度勝利した。世論調査によると、同州ではクリントン氏が一貫してリードしている。しかし、8日夜になったばかりの頃は、スリリングだろう。少なくとも民主党を支持する傾向がある同州北部の人口密集地からの開票結果が出るまではそうだ。

 これに対し、共和党候補のドナルド・トランプ氏を神経質にするものは何か。ジョージア州でもバージニア州と同様に投票所は午後7時に閉まる。同州では1992年以降、民主党候補は勝利していないが、幾つかの最近の調査では、トランプ氏がクリントン氏を1ポイントか2ポイント・リードしている。もし開票結果が接戦のようなら、アフリカ系アメリカ人(黒人)の有権者(ジョージア州の有権者全体の3分の1近くを占めると予想されている)が全米各地でクリントン氏に大挙して投票している一つの兆候かもしれない。逆に黒人の有権者の投票率が低いようだと、クリントン氏にとって他の諸州で問題が生じる兆しになるだろう。ペンシルベニア州やミシガン州などでは黒人有権者の投票がクリントン氏の勝利に決定的に重要だからだ。

 米東部時間8日午後7時30分(日本時間9日午前9時30分):

 オハイオ州とノースカロライナ州

 オハイオ州とノースカロライナ州でトランプ氏は何を期待するだろうか。選挙人団の過半数を確保するために、トランプ氏の計画はオハイオ州に大きく依存している。同州は、フロリダ州に次いで全米最大のスイングステート(勝者が入れ替わる激戦州)だからだ。大半の世論調査では、トランプ氏は同州でリードしている。したがって同州で同氏が負ければ、全米で一層大きな問題が生じるシグナルになる。

 トランプ氏がオハイオ州で負けると、同氏は同州の18人の選挙人票を別の州で獲得して埋め合わせねばならない。つまり、他の幾つかの大きな州の一つ、例えばミシガン州で勝つ必要がある。

 これに対し、クリントン氏は何を期待しているだろうか。ノースカロライナ州は、クリントン氏が共和党から奪還できる可能性のある少数の州の一つだ。選挙人団の勝利へのトランプ氏の道は既に狭くなっている。このためクリントン氏がノースカロライナ州で勝てば、トランプ氏の勝利への道はさらに険しくなる。同州では2012年の前回大統領選挙で共和党が約2ポイント差で勝利している。

 加えて、クリントン氏が同州で勝った場合、それは米国の西部諸州(同様に多様な有権者のいる地域だ)でクリントン氏が順調に軌道に乗っているシグナルになる、とデューク大学の政治学者デービッド・ロード氏は言う。

 米東部時間8日午後8時(日本時間9日午前10時):

 ニューハンプシャー州とフロリダ州

 クリントン・トランプ両候補ともにニューハンプシャー州とフロリダ州には注視するだろう。

 ニューハンプシャー州は、大統領選の行方、および民主、共和どちらの党が上院を制するかの戦いを占う重要な目安になる。

 同州は、マイノリティー有権者が大きく集中していない州だ。つまりクリントン氏が他の多くの州ではずみをつけている大きなマイノリティー集団に欠ける州ということだ。しかし、有権者全体をみると、圧倒的に白人であるものの、わずかに民主党寄りだ、とニューハンプシャー大学のダンティ・スカラ教授(政治学)は言う。同州では大卒の有権者の比率が大きく、多くの世論調査では、クリントン氏寄りに傾斜している。

 今年、大卒の白人は、クリントン氏の支持者連合の重要な要素として登場した。一方、労働者階級の白人有権者は、一部の元民主党支持者を含め、トランプ氏支持に動いた。専門家たちは、同州の大卒白人の間でクリントン氏がどれほど得票できるかに着目し、その他の地域でも同氏が大卒白人層の支持取り付けに成功するかを予測するだろう。

 ニューハンプシャー州はまた、共和党が上院の過半数議席を獲得できるかどうかを占う有力な目安にもなる。1期目のケリー・エイヨット上院議員(ニューハンプシャー州選出)は、再選を狙う共和党議員の中で最もぜい弱な議員の一人とみられている。今回の改選議員の勢力は共和党24議席、民主党10議席となっている。

 しかしエイヨット議員は、対抗馬であるマギー・ハッサン同州知事(民主党)と接戦になっている。スカラ教授は「エイヨット議員は逆風の選挙年にもかかわらず、しぶといことを証明した」と述べ、「同議員は、極めて困難な環境で極めて良く選挙戦を戦っている候補者だ」と語った。

 フロリダ州は、トランプ氏が大統領選で勝利するためには恐らく最も重要な州だ。クリントン氏は同州の選挙人29人なしでも勝利への道を幾つか描ける。これに対しトランプ氏は、フロリダ州を落とすと選挙人の過半数維持が極めて困難になるだろう。オバマ大統領は2012年の前回選挙で、同州ではわずか1ポイント未満の小差で勝利した。

 フロリダ州やその他の州での期日前投票のパターンをみると、ヒスパニック系有権者の投票率が史上最高に達し得ることが示唆されている。問題は、それがクリントン氏の勝利をもたらすのに十分かということであり、フロリダ州のうち有権者がそれほど多様化していない地域で同氏がトランプ氏の強い支持基盤を突き崩せるかどうかが焦点になる。

 ヒスパニック系の投票の力がとりわけ目立つのはマイアミ・デイド郡だろう。同郡は、オバマ氏が前回選挙で20万8000票の差をつけ、フロリダ州全体で7万5000票弱という小差で勝利する原動力になった地域だ。今年、この差が拡大すれば、マイアミの伝統的に共和党寄りのキューバ系アメリカ人が民主党支持にくら替えしている一つの兆候になる。

 フロリダ州でのヒスパニック系有権者の投票行動はまた、ヒスパニック系有権者がネバダ州、コロラド州、そしてアリゾナ州でどう投票するかのヒントになる。特にアリゾナ州は伝統的に共和党が勝つ州だが、今年はヒスパニック系の投票率次第でスイング(くら替え)する可能性がある。


 【FBIのジェームズ・コミー長官のヒラリー・クリントンの私用メール再調査宣言考】
 「FBI長官の「選挙介入」に批判の声 クリントン氏メール捜査公表で」。
 【AFP=時事】米連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー(James Comey)長官(55)は、民主、共和両党から「高潔な人物」と評価されてきた。だが、その評判にこたえようとした結果、投票日を目前に控えた大統領選に介入したとの批判を受ける状況に陥ってしまった。

 コミー長官は10月28日、議会指導部に送った短い書簡の中で、大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)氏が国務長官時代の公務に私用メールを使っていた問題について、一度は終結していた捜査に関連する可能性のある電子メールが新たに多数見つかったと公表。一方で、これらの電子メールに重要な内容が含まれているかについては今のところ不明で、捜査官らの調査結果を待っている段階だと認めた。これとは別にFBI職員に向けたメッセージでは、捜査再開の公表を決めた理由について、「ここ数か月、われわれの調査は終わったと繰り返し証言してきた以上」議会に知らせる「義務」があると感じたと説明している。

 これらの電子メールは、クリントン氏の側近の一人、フーマ・アベディン(Huma Abedin)氏の別居中の夫で、わいせつ問題を起こして下院議員を辞職したアンソニー・ウィーナー(Anthony Weiner)氏が使っていたノートパソコンから見つかったと報じられている。

© AFPBB News 提供 米連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー長官。上院国土安全保障政府問題委員会での証言で…

 大統領選をクリントン氏と争う共和党候補のドナルド・トランプ(Donald Trump)氏は、新たなメールの内容が不明であるにもかかわらず、「ウォーターゲート(Watergate)事件以来最大の政治スキャンダルだ」と主張した。

 当のクリントン氏は、メールの存在を詳細な情報なしに公表したコミー長官の判断に「深い懸念」を抱いていると批判。民主党のハリー・リード(Harry Reid)上院院内総務はコミー長官に30日に送付した書簡で、同長官が自らの立場を利用して特定の候補に有利な状況を作り出したとして、「法律違反の可能性がある」と警告した。

 また、エリック・ホルダー(Eric Holder)前司法長官は、米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)に寄稿した論説で、コミー長官は「高潔さと信義」を備えた人間だとした上で、捜査再開の公表は「甚大な影響を及ぼしかねない深刻な過失」だと糾弾。司法省には、進行中の捜査についてはコメントしない、選挙が近づいている場合その結果に影響しかねない不必要な行動は取らない、という方針があると指摘した。

 ■司法省が反対も、公表を強行

 司法省高官らは、議会に対し新しい電子メールの存在を公表するとの決定を知らされた際、コミー長官に思いとどまるよう説得したが、失敗に終わっていた。ワシントン・ポスト紙はコミー長官に近い複数の情報筋の話として、コミー氏はメディアに今回の新情報が漏れる可能性を懸念し、沈黙を貫けば隠ぺいを図ったと解釈される恐れがあると判断したと伝えている。ただ、新たな電子メールには何が書かれているのか、機密情報が含まれているのかどうかは、依然分かっていない。識者らは、FBIが迅速に作業を進めたとしても、8日の大統領選本選までに結論を出せるかどうかは不明だとみている。【翻訳編集】AFPBB News









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