ヒトラーの世界情勢論、特に欧州論、米国論、ソ連論

 (最新見直し2008.9.23日)

 (れんだいこのショートメッセージ)
 ヒトラーには、「我が闘争」の他に「続・わが闘争」とも云うべき「ヒトラー第二の書」が存在するとのことである。ヒトラー自身が刊行を禁じた曰くつきの書と云われている。「『続・わが闘争』 ヒトラー第二の書」(アドルフ・ヒトラー著/立木勝訳/テルフォード・テイラー解説/成甲書房)が刊行されている。

 ネットでは、2004.6.17日付けあっしら氏の米国の覇権を予測し『EU』実現も予想していたヒトラー:『我が闘争』よりも面白い『ヒトラー第二の書』で言及されている。次のように解説している。

  日本語版が発行されたばかりのこの『ヒトラー第二の書』は、ドイツを占領した米軍関係者が印刷会社の金庫のなかにあった膨大な文書をもち帰り整理したことで見つかったとされるものだから、ヒトラーが著したもの(別人に書かせたということも含めて)とは言い切れない性格を帯びているという押さえが必要である。誰が書いたとしても、政治的プロパガンダを目的として書かれた『我が闘争』よりもずっと面白い。

 内容を一言で言えば、第一次世界大戦直前から1928年頃にかけてのドイツを軸とした外交を評価したものである。簡単に評価すれば、「一国の政治的指導者たる信条を持ちつつ、なかなか理性的な分析と評価している」ものである。そこまで理解していながら、なぜ、1939年以降のドイツ史が生成されたのか?という疑問を呈したくなるほどのものである。

 そして、その書がヒトラーによって書かれたものであるのなら、なぜ出版に至らなかったのかという疑念も浮かんでくる。(もち帰り原稿を発見したテルフォード・テイラー氏が解説でその理由を推測しているが、あまり首肯できないものである)



【ヒトラーのマルクス主義、共産主義論】
 ヒトラーは、マルクス主義、共産主義の本質をネオ・シオニズムの走狗と見て取っていた。次のように述べている。
 「マルクス主義はユダヤ的思考の所産である」。
 「ユダヤ人は資本主義を利用し共産主義を創造して自己の目的を達しようとしている」。

【欧州の運命】
 同書「第9章 経済的解決に希望はない」の「汎ヨーロッパは解決策とならず、民族価値の喪失を招く」では、「欧州の運命」について次のように述べている。
 概要「ドイツは、いずれにせよ、はるかに若く健全なアメリカ国民のすることに追随できるような地位にはいないはずである」。
 「ここヨーロッパの歴史が、人種価値の高い西方民族によってゆっくり形成されていったように、人種的に劣等なヨーロッパはその重要性においてゆっくり道を譲り、新たに北アメリカ大陸の民族によって世界の運命が決定されるという危険が生じてくるのである。

 この危険がついには全ヨーロッパを脅かすということに気づいている者はすでにいる。しかし、それがドイツに対して意味するものを理解したいと望む者はごくわずかしかいない。これまでと同じく将来も政治的な無思慮とともに生きていくなら、わが民族は世界の重要民族であるという主張を完全に放棄せざるを得なくなる。」(P.176)
 「今日、アメリカに対するドイツ経済の運命は事実上、他のヨーロッパ諸国の運命でもある。そのために、ここでも騙されやすい者たちによる運動が起こっている。特にわが国民のあいだに多いのが、統一ヨーロッパをアメリカ合衆国と対置して、それによって北アメリカ大陸が世界の覇者として脅威となるのを防ごうという考えである。こうした連中にとって汎ヨーロッパ運動は、少なくとも一見したところでは、たいへん魅力的なものに映る。実際に、世界史を経済的な視点から判断すれば適切だとさえ言えるだろう」。
 「しかし、実際に覇者として重要な地位を占め、脅威となっているのはアメリカである。もしその地位を条件付けているものが第一にアメリカ国民の価値であり、その国民にあたえられた生活空間の規模とそこから生じる人口と国土との良好な関係があくまで二次的なものだとすれば、ヨーロッパ諸国をただ形式的に数の上で統一したからといって、この覇権が消去されることにはならない。内的価値がアメリカ合衆国よりも高くならないかぎりは、それは不可能である。これが違うというのなら、ロシアがアメリカ合衆国にとって最大の危険とならねばならないし、四億人以上が暮らす中国はそれ以上になるはずである。

 このように汎ヨーロッパ運動は、まず何よりもその基礎が根本的に誤っていて、人間の価値が人間の数で置き換えられると考えているのである。これはまったく機械的に歴史を見る考え方であり、生命が持つ形成力の研究を完全に避けている。その代わりに、数的に多いということのなかに、歴史の形成要因と、さらには人類文化を創造する源までを見いだそうとしているのである。」(P.178)
 「この汎ヨーロッパ運動の根本的なあやまりは別にしても、ヨーロッパ諸国の統一という考えは、差し迫っての窮乏から生じた一般的な洞察だからやむを得ないとは言うものの、やはり空想的であり、歴史的に見て実現不可能な、子供じみたものである。私は、ユダヤ人摂政の下でユダヤ人が推進するような統一など初めから不可能だ、などと言うつもりはない。ただその結果について、このまったくのインチキ思想が並べている希望とはまったく違うものになると言いたいのだ」(P.179)。

【米国の台頭】
  「米国の台頭」について次のように述べている。
 「しかし、実際に覇者として重要な地位を占め、脅威となっているのはアメリカである」。

【ソ連評価】
 「ソ連の評価」について次のように述べている。
 「もしこれが正しくないならば―すなわちアメリカ合衆国の重要性が人口規模のみに、あるいは領土規模に、またあるいは領土と人口規模との関係のみにあるのならば―ヨーロッパにとってはロシアが、少なくとも同程度に危険になるはずである。・・・中略・・・しかし、それにもかかわらず、いま述べたことを理由にロシアの世界制覇を恐れる者はいないだろう。ロシア人の数には高い内的価値が付加されていないため、その数字は世界の自由にとっての危険とはなり得ないのでる。少なくとも、経済及び力の政治によって地球上の他地域を支配するという意味では決して起こり得ないし、ロシアの脅威と言ってもせいぜいが病原菌の蔓延くらいなのである」(P.178)




(私論.私見)



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