競技ルール考

 (最新見直し2012.8.6日)

れんだいこのカンテラ時評bP059  投稿者:れんだいこ 投稿日:2012年 8月 6日
 【2012ロンドンオリンピックのルール考】

 2012年ロンドンオリンピックで露呈した各種競技のルール上の不首尾に対する提言をしておく。何事も不満はより良い形で解消されねばならぬからである。

 オリンピック競技は個人戦と団体戦に分かれる。勝敗は数値によるもの、得点によるもの、勝負によるものに分かれる。数値は、1・タイム、2・飛距離、3・重量、4・ポイントによるものに分かれるようである。最近では審判判定に加えて写真、ビデオ判定で補足するようになりつつある。選抜方式には、トーナメント選抜、枠組みリーグ戦、敗者復活戦による銅メダル戦方式の三通りがある。以下、思いつくままに記しておく。

 1、柔道のポイント制切り替えについて

 柔道は、そのルールが随分改良(ないしは改悪)されてきた。白衣青衣別、敗者復活戦の採用は改良ヒットである。元々は一本勝負だったと思われるが、決着が着かぬこともあろうから現行の「一本勝ち、技あり、有効、指導」判定を導入したのは時の流れであろう。しかし、改良不十分であるので、以下の如くのポイント制に切り替えるよう進言したい。

 最初の試合(これを「本戦」と云う)を10分(又は7分又は5分)とする。ポイント制を導入し、得点の多い方から順に「一本勝ち10点、技あり6点、有効3点、効果1点」の4基準ポイント制で裁定し、10点を先取した時点で勝ちとする。改良点として「効果」を復活させた。「有効未満」の技が認められるべきだからである。

 次に、現行の「指導」は本戦には採用せず、延長戦に入って適用するようにしたい。なぜなら、格闘技特に柔道は攻撃技と防御技の両方から成りたっているからである。相手の技を待ち受けての切り返し技、合わせ技も重要な柔道術だと思うからである。現行の「指導」は攻撃を過度に強制することによって却って柔道の待ち技の醍醐味を損なっている面があり、面白みを半減させていると思うからである。

 次に、一本勝ちがないままに試合が終了し、総合得点が4点未満の場合、又は同得点の場合には「優勢印象」で判定する。4点を越える同得点の場合、ポイントの高い技を優先判断して勝ちとする。これでも決着がつかなかった場合にのみ延長戦に入る。延長戦は5分(又は3分)とする。ここで「指導」が入ることとし、対戦相手に2点が入ることにする。最初に3ポイント以上を挙げた方を勝ちとする。「指導」2回が入れば4点となるので即負けとなる。これでどうだろうか。本来の柔道らしさが担保されており、現行ルールより随分良いと思う。

 2、枠組みリーグ戦、敗者復活戦について

 バドミントン女子ダブルスの中国対韓国戦で、中国チームが、勝ち上がった場合の同国対戦を避ける為に、わざと負けようとしたという。結果的に両チームが失格とされ以降の試合に出場できなくなった。理由が何であれ、わざと負けると云うプレーはあり得てならないが、むしろ制度の欠陥と思う。故に以下の如くに工夫してみたい。「枠組みリーグ戦、敗者復活戦」のある他の競技全てに応用できそうである。

 今後は枠組みリーグ戦を廃止し、全試合をトーナメント方式にする。これを本戦と云う。この時、トーナメント番号が与えられる。本戦の最終勝者が金メダルを獲得する。これを逆に云えば、本戦で負けた者は金メダルを取れない。本戦で負けた者は敗者復活戦に回る。敗者復活戦は第1(銀戦)と第2(銅戦)の二段方式にする。本戦敗者は銀戦に向かう。銀戦敗者は銅戦に向かう。本戦2回戦の敗者は銀戦2回戦にエントリーされ、本戦3回戦の敗者は銀戦3回戦にエントリーされると云うように枠を設ける。銀戦の敗者は同様の方法で銅戦に向かう。それぞれのコースの最終勝者が金、銀、銅メダルを獲得する。3回負けると銅メダル機会から外れることになる。

 これでどうだろうか。これによると試合場を金銀銅のコート三面用意すれば運営が楽であろう。工夫すればコート一面でも良かろう。銀戦、銅戦の組み合わせが大変だろうが、トーナメント番号を活用して番号の若い方から順に組込みすれば解決できると思う。競技によっては適宜スイス方式の導入も良かろうと思う。

 3、審判判定について

 柔道で、日本選手が審判判定0―3で敗者となったが、ブーイングによるビデオ判定の結果、逆に3−0で勝者になると云う事例が発生した。最初の判定が誤りであり正しい結論に訂正したので問題なしと云うことで決着したが、審判の権威が否定されたことは疑いない。今後に大きな問題を残したように思われる。

 これを解決するには、日本の大相撲方式が良いと思われる。大相撲では、審判に相当する者が行司であり、行司判定を審査する「もの云い」権限を持つ審判員複数が土俵下に控える。審判員は極力に於いて行司軍配を尊重し、看過できない疑義がある場合に協議を申し出る。協議の結果、「軍配通り、差し違い、取り直し」判定をし、より正確にさせている。この時、ビデオ判定をも加味するばなお良かろう。

 この方式は優れた方法であるように思われる。日本の大相撲方式はかくも先進的な判定方式を逸早く採用していることになる。これに比すれば、審判の能力に余るような判定を要する競技に於いては、今後は各国代表の競技熟達者による控え審判員制を敷くことが肝要と思う。以上、三提案申し上げておく。




(私論.私見)