18、19日スト決行、古田会長涙の決断
トヨタの奥田氏も、ストには批判的のようだ。
ダイエーという、類まれな個人の才能と努力で築いた芸術的企業が、外資の餌食になる寸前の所に居る。今回の、プロ野球騒動の底流にある流れだ。
古田氏の涙は、日本の中小企業の涙、失業者の無念、アジア通貨危機後の民衆の苦悩に重なる。
古田氏の言葉は、短く、少ないが、そこには、真実がある。
55年体制の崩壊を声高に唱え、戦後の終結を煽る読売新聞の論調、しかし、その読売新聞自体が、巨人軍という成長神話のシンボルによって部数を伸ばし、政財官の癒着構造によって、取材源を確保してきたのだ。その中心がナベツネ、あなたです、ね。
プロ野球をファンから奪うことになったのは、言葉の解釈問題だった。古田会長は「来季からの新規参入に向けて最大限の努力をしてほしいとお願いした。来季から必ず入れて欲しいとは言っていない。可能性があれば良かった」。しかし、なにを持って最大限の努力なのか。結果が伴わないことは許されないのか。経営者側はこの言葉に二の足を踏んだ。
もう1つは「以降」という言葉だった。05年以降からの新規参入を認めるという文言を記そうとした機構側に、選手会側は「以降」は05年ではないと判断した。前回の交渉後の会見でロッテ瀬戸山代表が「信頼関係でいきましょう」と声をかけてきたが、選手会としてはどうしても信頼を置けなかった。「これまでの交渉の過程で判断するとそういうこと。あいまいなことではだめということで、今回の結果になった」と、選手会の松原徹事務局長は唇をかんだ。
選手会側が協議していた部屋に何度も足を運んだ機構側の伊藤修選手会担当顧問は「ほんのささいなことが、恐ろしい結果になってしまった」と嘆いた。だが、そんなささいな言葉の解釈まで具体的に行わなければならないほど、両者の関係は崩れていた。溝は最後まで埋まらなかった。
6、5、4と減らす努力ではなく、偶数なら6、8にして、多くのプロ野球を見せる形にしてほしいと提案していた古田会長は、機構側が、誠意を持って新規参入に取り組むと言った「誠意」という言葉の中身にこだわった。「誠意というのはちゃんとした言葉なんですが、いつから、どういう努力をするのか、言葉を入れてもらえなかった。妥結するわけにはいかなかった。たくさんのファンに申し訳ない」と話した。明日19日には、都内でファンへの謝罪の意味も込めたイベントを計画している。
21日に経営者側が会議を行い、今回の結果を検討する。経営者側に変化があれば、それ以降に来週末のスト回避に向け再び協議交渉の再開もある。しかし、このままの状況なら27日の選手会の臨時運営委員会の結果次第で、日本シリーズが行われない可能性もある。古田会長は「誠意を持ってという言葉すら今となってはあいまいに聞こえる」と語った。交渉後、全国放送の番組に生出演した古田会長は、ところはばからず涙を流した。70年かけて築いたプロ野球。崩れた信頼を取り戻すのは、間違いなく、簡単ではない。[2004/9/18/07:26 紙面から]
http://www.nikkansports.com/ns/baseball/p-bb-tp0-040918-0019.html