プロ野球選手会ストライキ考

プロ野球選手会ストに寄せて ナベツネ一派を掃討せよ れんだいこ 2004/09/18
 2004.9.18日、日本プロ野球選手会は史上初のストライキに突入した。これに伴うれんだいこ見解を発表しておく。

 こたびのプロ野球騒動の背景にはナベツネ一派の暴力的な政治介入がある。まずこのことが確認されなければならない。プロ野球の将来を廻っての議論であれば、何もペナントレース中にわざとらしく持ち込まなくてもよかろう。まもなくシーズンオフに入る訳だし、それから引き続いての議論であればそれなりの説得力がある。

 しかしながら、ダイエーの再生機構入りに合わせて、まずは「近鉄・オリックスの合併」を工作し、続いて「ダイエー・ロッテの合併」を強引に画策しようとした。こたびのストの背景には、球団オーナー側のこの突如の強引な遮二無二な政治主義的策動に原因がある。プロ野球界の混乱を何ら意に介していないエセ愛好者の素体が露になったことによる反発−これが日本プロ野球選手会史上初のストライキの要因である。この道中で、ナベツネはいみじくも「たかが選手が」、「経営問題にくちばしを入れるな」(煮て食おうが焼いて食おうがこれは経営側の権利である)、概要「高橋はまだ若い。世間を知らなさ過ぎる。将来を考えて慎め」等々公言し、大いに顰蹙を買った。

 考えても見よう。 ナベツネのプロ野球との関わりの最初の仕事が、1978.11月のプロ野球界を揺るがした「江川入団事件」であった。世に「空白の一日」で知られるトリッキーな江川入団交渉に関わったのがナベツネの初仕事であった。以降、ナベツネはますます深く関わることになり、1996.12月、読売巨人軍のオーナーに就任するが、先日の2004.8.13日、辞任まで、この御仁がプロ野球界の為に寄与するようなことを何か一つでも為しただろうか。れんだいこにはとんと思い当たらない。

 全てを政治主義的に権力主義的に世渡り上手で生きてきたそれしか能のないこの御仁の極楽トンボぶりに対して、心あるプロ野球愛好者はこれまでも怒りを蓄積させてきた。それが選手のスカウト問題的な個別事象ならまだしも許せたが、球団の合併、身売りをこうもあけすけにやられると、しかもそれを売国エージェント風にやられると、そこに生活と人生を賭けている者が怒るのは当然であろう。もはや我慢できない、これが選手会の気持ちであろうし、堪忍袋の緒が切れた、というところであろう。

 このストライキに対して、反動派が早くもやれそれ損害賠償攻撃で強圧しようとしている。それにつきれんだいこは思う。この国のエリート階層は、ほんにかっての能力を失している気がしてならない。全てをゼニカネで追い詰めれば人は言うことを利くとするのは、手前らの人生観であっても、なべての者がそうなる訳ではない。現に、アフガンでもイラクでもレジスタンスが続いているではないか。

 戦後直後の激動期において、労働運動が燃え盛った。経営側は経営側の労働側は労働側の各種政党も秘術を尽くして攻防戦を展開した。しかし、この時、双方が相手を認め知って対応している経緯が残されている。2.1ゼネスト前後の中央労働委員会の動きを見よ。経営側、労働側、仲裁側が賢明に手綱を御している。今の日本にはこの時の喧々諤々能力が失われている。代わりに「たかが選手が」なる発言をする外道経営者権力者が大手を振って闊歩し、ワンサイドゲームを楽しんでいる。これを咎める経営側委員がいない。これを咎める労働側委員がいない。これを咎める仲裁側委員が出てこない。

 れんだいこは思う。こたびのストを奇禍として、プロ野球界の今後の切り盛りにおいて、常設の運営委員会を設けるべきではなかろうか。当然、球団側、選手側、経営側、学識者により構成される委員会であるが、「これは経営問題である故に選手側は入れない」なる論法の者は引き摺り下ろせばよい。ナベツネがあくまでそう主張するのなら、一大読売不買運動で対抗すれば良い。氏のアキレス腱はそこにある。この方式は順次適用できようぞ。

 それにしても、80歳になってなお有害無益の騒動を起こして悦に入るナベツネの腐敗よ、老醜というより悪事の積み重ねで頭がイカレテイル、と窺うしかない。わが世の春をそんなに謳歌してももう先がないだろうに、この病気にかかると死ぬまで続けるのかも知れない。

 2004.9.18日 れんだいこ拝


【日本プロ野球選手会の動き】

 日本プロ野球選手会(古田敦也会長)は、球団オーナーの頭越しの「合併、1リーグ化」の動きに反対し続けてきた。「オリックス・近鉄両球団合併化の1年間凍結」、「新規加入球団の加盟料60億円、参加料30億円規制の緩和化」等々を要望し、9.3日、選手会が労使による特別委員会の開催を求めて東京地裁へ仮処分申請した。しかしこれは棄却された。

 日本プロ野球選手会は、次のような「選手会行動5箇条」を掲げている。

選手会は、球界公認の組織として、球界発展の一翼を担う立場で行動します。
選手会は、球界再編のための十分な議論の場を、球団経営者に求めていきます。
選手会は、ファンやメディア、各界有識者や一般世論の声に耳を傾けます。
選手会は、公式メディアとして、ホームページを活用し、広く情報を開示します。
選手会は、この球界改革のチャンスに対し、積極的に提言を行っていきます。

 「大阪近鉄・オリックス合併問題」に際し、次の決議を行っている。

 暫定的に1年間、球団名の命名権売買を認め、来シーズンの合併は凍結。その間合併が ベストかどうかの議論を十分に行った上で、同じ結論に至った場合は承認する。
 合併承認にあたっては、野球協約第19条の特別委員会を開催を要望。開催せずに合併 を決定するときは、決定手続の違法を争うため、野球協約第188条のコミッショナー への提訴など法的手段を講じる。
 あらゆる手段を尽くしても来シーズンからの合併が強行されようとした場合、最終手段 として、ファンへの配慮を十分行った上でストライキを行う場合がありうること

 選手の年俸高騰への対応として、米国メジャーリーグで取り入れられている、ぜいたく 税(Luxury Tax)の導入、高額年俸選手についての減額制限の緩和なども積極的に検討 していくこと(選手会はベストな改革のためには、年俸引き下げなど、選手側が痛み を伴うことも必要と考えます)。

 今回のような問題が再び生じないように、一部の球団のみに戦力と資金が集中している 現行制度を見直すこと。具体的には、選手会が提案してきた諸制度(ドラフトの完全ウ ェーバー化、FA補償金の撤廃、新規参入球団に対する高額な加盟金の見直しなど。
 他のプロスポーツでも取り入れられているテレビ放映権の一括管理方式、球団の経営状 態をチェックする経営諮問方式などを提案。

 プロ野球のあり方について、オープンな議論をしていくために、引き続き球団側には有 識者なども含めた諮問機関としての「合併問題検討委員会(仮称)」の設置を要求すること

 オールスターでは、出場選手が「ファンも選手もプロ野球界の一員です」というメッセージのもとに、球界がファンと選手の思いが届く形で発展していけるよう願い、1 2球団の球団カラーを織り込んだミサンガを着用しました。今後も、選手会はこうしたメッセージをいろんな形で発信していきたいと思っています。


【日本プロ野球選手会と球団側とのスト直前の交渉経緯】
 2004.9.17日午前11時、日本プロ野球選手会(古田敦也会長=ヤクルト)と日本プロ野球組織(NPB、根来泰周コミッショナー)は、ストライキ回避へ向けた最終の協議・交渉委員会(団体交渉)を東京都内で開始した。選手会は18日以降のスト突入の判断期限を17日午後5時としている。

 根来コミッショナーが問題解決のための提案と見解を示した。提案は、(1)加入の可否審査のため第三者による新規加入球団審査委員会(仮称)の設置。(2)オーナー会議の諮問機関として有識者会議の設置。(3)加盟料は預かり金とし、選手1年分の年俸合計の額とする、との内容。

 見解は「未曽有の混乱に何らかの提案をして収束を図るべきだと考えた。当然自己の進退を含んで考慮した結果」とし、提案が受け入れられなかった場合、辞職する考え。これに対し、古田会長は「提案はある程度評価できる」としながらも、それがスト中止には直結しないと表明。交渉では来季の12球団による運営を主張し、新規参入の条件緩和や時期の見直しなどを求めた。また、オリックスと近鉄の合併球団が選手をプロテクト(優先確保)する方式に異論を唱え、移籍の自由を認めるよう強く主張した。他にも新規参入をいつから認めるかなどを巡るギリギリの交渉が続けられる。

 当初の期限だった午後5時を約4時間延長して続いたが、両者の溝は最後まで埋まらなかった。同7時20分過ぎ、「最終の協議に入っている」との理由で「再延長」されるという経緯をたどって、「スト決行」が発表された。

【日本プロ野球選手会遂に史上初のスト突入】
 2004.9.18日、労組・日本プロ野球選手会(古田敦也会長=ヤクルト)は、プロ野球史上初めてのストライキに突入した。前日午前11時から10時間近くに及んだ交渉決裂後の午後9時10分過ぎ、記者会見場に姿を見せた古田会長は、「まず初めに、近鉄とオリックスの合併に反対する署名をしていただいた大勢のファンの皆様におわび申し上げます。何とか1年間の合併凍結をお願いしたが、願いはかないませんでした」と、頭を下げた。

 古田会長によると、選手会は「来季からセ6、パ6の12球団に戻してほしい」との主張を譲らなかった。しかし、NPB側は新規参入を希望する企業の審査を「誠意を持って行う」と前向きな姿勢を示しながらも、「審査の公正さを期するためにも、もう少し時間がほしい」と説明。「『来季から』という言葉を入れてほしい」との選手会側の要望を受け入れなかったため、交渉は決裂した。

 会見には、会議の出席者全員が同席。会見直前に、NPB側は「選手会がストライキを計画している」との書き出しで始まる12球団代表名による文書を報道陣に配布。その中で「球団統合及び球団の新規参入自体は経営事項であり、義務的団交事項ではなく、これを理由にストライキを行うのは違法かつ極めて不当なものであると考えている」として、損害賠償請求も検討する。

 スト突入により、18、19日に予定されていたセ・パ両リーグの1軍計12試合とイースタン・リーグ5試合は行われない。この2日間は中日・巨人(ナゴヤドーム)、ダイエー・西武(福岡ドーム)と、セ・パ両リーグともに首位決戦が組まれていた。セは中日のマジック点灯が目前。パも上位3チームのプレーオフ進出争いが大詰め。各方面への影響は必至で、球界にとっては最悪の事態となった。

■選手会側の発表全文

 ストライキ決行のお知らせ

 謹啓 平素は格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます。

 さて、本日大変残念ながら、すでに予告しておりました明日18日(土)、明後日19日(日)のストライキを決行することとしました。

 選手会は、当初からこの問題の解決のためには、多くの選手とファンを犠牲にする最悪の事態である球団削減につながる球団統合を性急に行うのではなく、統合に伴う問題点を十分協議するため、統合を1年凍結しての話し合いが必要だと主張してきました。

 つまり、(1)球団削減により多くの移籍、解雇が出る可能性のある選手の労働条件、(2)球団統合による球団数減少を元に戻すための新規参入の促進、(3)さらなる球団削減を防ぐための制度作り(ドラフト改革、収益分配)のための協議が必要であり、その十分な協議のためにも統合を1年凍結しての話し合いが不可欠であると主張してきました。

 この2日間の交渉で大きな問題となったのは、(1)パ・リーグが5球団の場合と6球団の場合での交流試合を前提とした収支の違いに関するシミュレーションを踏まえて大阪近鉄・オリックスの球団統合の1年延期が可能かどうか、(2)球団統合を行う場合の2005年シーズンに向けての新規参入球団の積極的受け入れ、(3)統合に伴う選手の移籍の条件の3点でした。

 しかし、(1)については、こちらはセ・パ両リーグ全体の収支を計算した上のシミュレーションをお願いしたのですが、NPBからはオリックスと大阪近鉄の収支のみのシミュレーションが示され、2球団分の損失が1球団分になるという自球団の統合メリットのみを強調するだけで、あくまで統合は延期できないという大前提を覆しませんでした。(2)については、未だにさらなる球団削減を希望する意思の強い球団が存在することから調整がつかず、2005年シーズンに向けての新規参入球団の積極的受け入れに向けて努力することを約束できないという回答にとどまりました。また、(3)については、大阪近鉄選手に関するプロテクト枠の存在などを理由に選手会の求める条件は受け入れられないという回答にとどまりました。

 選手会としては、選手の雇用の問題もありますが、何とかプロ野球の縮小方向を踏みとどめ、12球団を維持し、さらにはこれを拡大して球界を発展させていきたいと願っております。このような点から全力で交渉を行ってきました。また、ストライキがファンのみなさんにとって悲しいことであることを十分に理解した上で、最大限ストライキを回避すべく交渉してきました。

 ストライキは何より野球をやりたいと思っている選手自身が本当に避けたいものであり、それは今後も変わるものではありません。選手自身このような結果になってしまったことを大変残念に思っていますし、ご迷惑をおかけする多くの方々には心から謝罪申し上げます。できましたら、プロ野球の将来を考えに考え抜いた末の選手の苦渋の決断であるということを、ご理解いただければと思います。

 来週以降も誠実な交渉を行い、プロ野球の将来にとって最良と思える結果につながるよう努力していきたいと思っています。敬具


【球団側の対応】
 東京都内のホテルで午後9時過ぎから行われた記者会見。「ファンの皆様へ」。組織側の瀬戸山隆三・選手関係委員長が用意した文書を読み上げる。「心よりおわび申し上げます」と繰り返し、スト回避できなかったことを謝罪する内容だった。だが「ストライキは違法かつ極めて不当なものであるとも考えております」と選手会側を非難した。瀬戸山委員長は、概要「球団側は(損害賠償請求を)することになろうかと思います。全球団一緒です」と述べた。
■日本プロ野球組織側の声明全文

 ◇ファンの皆様へ

 日本プロ野球選手会がストライキを計画しています。国民的な娯楽であるプロ野球が、ファン及び多くの国民の皆様に多大の憂慮を与えていることに対して、心よりおわびを申し上げます。これまで私どもは、謙虚な気持ちと真摯(しんし)な姿勢で選手会と折衝を重ねてまいりましたが、ここに私どもの立場を明らかにして、皆様のご理解を心より願う次第です。

 選手会は大阪近鉄とオリックス両球団の統合に強く反対し、その1年凍結を要求してまいりました。しかし、オリックス球団と大阪近鉄球団の統合は、長年の構造的な赤字が経営上、看過できない事態になったため、やむを得ず決断した経営的な事項であります。

 私どもは、先週の交渉で、球界の構造改革に関し、プロ野球構造改革協議会(仮称)を設け、ドラフト改革、選手の年俸のあり方について徹底的に協議することを提案し、また、球団の新規参入について環境整備することをお約束しました。

 今回、選手会の要求に基づき、交流試合の導入を踏まえた両球団の統合に関する具体的分析を示し、統合の妥当性について、選手会に誠心誠意ご説明いたしました。また、新規参入等に関しては、コミッショナーから職を賭した見解及び提案が示され、これを選手会に提示し、検討を求めました。さらに、ストライキを避けるため、今後門戸を開いて、新規参入の審査を最大限誠意を持って行うこと等を内容とする共同声明文書の案を用意し、選手会に提示いたしました。

 しかしながら、交渉の途中で選手会側は、これにいったん理解を示したものの、その後、上記の案の新球団の参入に関する事項について、正式に拒絶されました。さらに交渉を続けたものの、選手会側は来季12球団に戻すよう、最大限努力することを要求し続け、あくまでも来シーズンからとすることに固執し、誠に遺憾ながら、妥結には至りませんでした。

 言うまでもなく、プロ野球はファンあってのものであり、試合を行わないことはファンに対する直接的かつ重大な背信行為であり、このような事態を招き、誠に申し訳なく思っております。

 また選手会が労働組合であったとしても、球団統合及び球団の新規参入自体は、経営事項であり、義務的団体交渉事項ではなく、これを理由にストライキを行うというのは、違法かつ極めて不当なものであるとも考えております。

 いずれにせよ、プロ野球は国民に健全な娯楽を提供して、夢と希望を与える担い手としての役割を尽くすために最善の努力を傾けて、誕生から70年の今日に至りました。私どもは話し合いを望んでおります。いかなる困難があっても、プロ野球を愛するファンのために最善を尽くすことをお約束申し上げますので、今後もプロ野球に対する変わりなきご声援をお願い申し上げます。


根来泰周コミッショナー辞任表明
 この日、日本プロ野球組織(NPB)の根来泰周コミッショナー(72)は、NPBとプロ野球選手会の協議・交渉委員会が決裂して、選手会が18日からのストライキに突入したことを受け、辞意を表明した。

 根来氏は、長時間の交渉の末にスト突入が決定したことについて「球団側も選手側もいろいろと努力を重ねながら、(いい)結果が出なくて残念」と語ったものの、「中立的な立場としては個人的な意見は言えない」と本音は明らかにしなかった。しかし、第三者による新規加入球団審査委員会や、有識者会議の設置などの提案が結果的に受け入れられなかったことには「種はまいたが、さしあたり向こうに遠のいた」と語った。

 争点となった新規球団参入に関しては、「新規球団がどこかも、どういう形で入ってくるかも確定していないのに、結構ですとかダメですとは言えない」と、この日の時点での判断には否定的な考え方を強調。野球協約では新規参入の申請から申請から30日以内に判断すると定められているが、「協約は審査委員会を開くことなど(新規参入)を念頭においていない。協約を変え、委員会を開き、監督や選手などの問題も含めて短い時間で同時にやるのは難しい」と、来季の参入は困難という従来の考え方を改めて示した。

 概要「就任して以来、野球協約を詳細に読み、球団の営業譲渡も含めて戦時(想定外の事態)のことが書いておらず穴だらけ。早急に改正が必要」と痛感していたという。結果的には改正に着手できないままの辞任に「1年かけてやればいいと思ったが、オリックスと近鉄の件が起き、突然戦時になった。そこが僕の認識違い」と述べた。

(私論.私見) 根来泰周コミッショナーについて

 根来コミッショナーは辞任の弁で思わず重要事項を吐露している。「1年かけてやればいいと思ったが、オリックスと近鉄の件が起き、突然戦時になった。そこが僕の認識違い」とは、「オリックスと近鉄の合併」、「ダイエーとロッテの合併」策動が如何に不自然に俄かに突発したかを漏らしている。プロ野球選手会スト事件考の背景としてここを踏まえることが肝腎であろう。


【ストを廻る諸問題】 
 2日間のストの経済的影響は、球団・球場への直接的な損失だけで19億円、周辺飲食店や交通機関などへの波及効果も考慮すると37億円になるという試算も出され、波紋が広がっている。スト決行による選手側の負担も小さくない。プロ野球選手の平均年俸は3806万円で、2日間のストによる賃金カットは1人あたり25万円にのぼるという。

 
ストの合法性を廻っても議論が起こっている。選手会は、「労働組合」である故に当然の権利と主張し、球団側は「ストは違法」としている。経営者側は「選手は個人事業主として税法上の優遇を受けていて、労働者ではない」と主張している。

 日本大学の板倉宏教授(刑法)は、「東京高裁の判断を前提にすれば、損害賠償は認められないだろう」と話す。選手会が近鉄とオリックスの合併差し止めなどを求めた仮処分申請は棄却されたものの、高裁は「合併にかかわる選手の労働条件については、団交で誠実交渉義務を尽くさねば不当労働行為にもなる」と指摘。選手会の団体交渉権を認めた。板倉教授はは、「団交が認められたということは争議権がある。経営者側が『球団合併により解雇される選手は出ない』といっても、オーナー会議でそうした決議がなされていない以上、先行きは不透明であり、違法なストではない」とした。  日本労働弁護団の鴨田哲郎幹事長は「例えば、生命保険の外交員も正式な従業員ではないが、労働組合に加入している。税法と労働組合法は別個の概念であり、年俸が高いからといって、労働者ではないということはできない」と話す。

 ストによる経済的損失に対し、経営者側による選手会への損害賠償請求は可能なのだろうか。横浜の峰岸進球団社長は一試合当たり一億五千万円の賠償請求も示唆している。

 大阪大学の小嶌典明教授(労働法)は「プロ野球は実力主義の世界。選手は単年契約が多く、もともと数年後の雇用保証がある分野ではない」。その上で、入場料収入など球団が直接的に受ける損害については、「十分、損害賠償の対象になる」と指摘する。



読売が云いたい放題なら不買運動へ発展しようぞ れんだいこ 2004/09/19
 プロ野球選手会の史上初のストに対して、読売新聞社社説が早速に与太記事を書いている。[プロ野球]「ファン裏切る“億万長者”のスト」[プロ野球スト]「何が選手たちの真の望みなのか」がそれである。これを論評する。

 言論機関・読売が意見を述べるのは一向に構わない。但し、今回のプロ野球騒動では、読売は巨人軍を経営しているという当事者の立場にある。本来なら、ある種弁えがいるところであるが、どのように主張しているのだろうか。

 問題の発端は、不正と思える強引遮二無二の「近鉄・オリックス」、「ダイエー・ロッテ」球団の合併策動にあったことは周知の事実である。桟敷席にないがしろにされた現場の選手側が「俺達の意見も聞け」というのは当たり前のところであるが、「たかが選手が何を言うか。これは経営問題である」と突っぱねたのも周知の事実である。選手側は、球団側の拙速の球団合併騒動を訝った。それはそうだろう。ダイエー潰しという邪な策動しか見当たらないのだから。

 この過程で、ならばとインターネット界で急成長するライブドアと楽天が手を上げた。選手会側は、変則乱調の「パリーグ5球団、セリーグ6球団」、「パリーグ4球団、セリーグ6球団」、「巨人のパリーグ入りに伴うパリーグ5球団、セリーグ5球団」化よりも、ライブドアと楽天の新規参入による従来通りの「セパ6球団制による日本選手権争奪戦」の方がより良いではないか、なぜこれを真剣に検討せぬのか、と申し出た。球団側がこれにどう応じようとしたのかが読み取るべき内容となる。結局、この交渉は不調に終わり、選手会側は史上初のストに打って出た。これを読売社説がどう批判しているのか。れんだいこがこれを解析する。

 2004.9.18日付「ファン裏切る“億万長者”のスト」は次のように云う。概要「ストは、試合を楽しみにしていたファンへの裏切り行為である」。(れんだいこボソボソ)これによれば、ストはどんな事情があれ良くないことらしい。れんだいこに云わせれば、お上に恭順を説く使い古されてきた古典的論法に過ぎないが。

 選手会と球団側の「話し合い不調」の原因についても選手会の方に責任をなすくりつけている。「新規参入には、きちんとした審査が必要」であり、「中立的立場」のコミッショナー調停案を受け入れなかった選手会の方に問題がある、としている。末尾で、「ストは違法」、「試合の中止による損害賠償請求が発生しよう」、「労使対決を避けよ」、「ストの引き際を心得よ、スト中止を英断せよ」と述べている。

 何のことはない。手前達の書いたシナリオ通りに事が運ばなければ、それを邪魔した側に全ての責任がある論を手を替え品を替え詐術しているに過ぎない。普通の悟性さえあれば、こたびの球団側の合併策動を縷々説明し、社会的同意を求める努力をすることが先決なところであろうが、ジャーナリズムもまた当然これを指摘せねばならぬところ、読売はこの方面には関心がないらしい。典型的な詭弁、すり替え、恫喝のお上論法に終始している。

 2004.9.19日付け「何が選手たちの真の望みなのか」 は、云い足りなかったところに気づいたのだろう、次のように云う。新規参入「審査」は、慎重の上にも慎重を期す必要がある。それは過去の失敗例があるからだ。今を去る50年前の1954年の「高橋ユニオンズ」の例、その後の日拓ホーム、太平洋クラブ、クラウンライター、ライオンズ(現西武)のケースを挙げ、爾来、慎重審査が通例となった、と云う。しかし、そういう例をいくら挙げても意味がなかろう。むしろ、そういう変遷を経ながらも「セパ6球団制」を維持してきたのが伝統であり、それはその仕組みに合理性があるからであろう。それを球団側が、何ら咎のないこの伝統的仕組みを暴力的に覆そうとしているのは何ゆえか、ここを明らかにせねばなるまい。選手会側は、そういう当然の事を要望しているに過ぎない。今からでも遅くない、球団側は、プロ野球百年の計を展望したとき、現行の仕組みを改め「セパ5球団制」の方が合理的とする根拠を示せ。(れんだいこボソボソ)有る訳がなかろうが。

 社説は末尾で、「選手一人一人に聞いてみたい。来季、絶対にパが六球団でないとダメなのか。それが実現しない限り、ストを続けるつもりなのか、と」結ぶ。はっきりしていることはこうである。プロ野球の振興と隆盛化に対して、これに責任を持とうとしているのが選手会側であり、良からぬ企みでもって経営側、球団側を手なづけ、翻弄しているのがナベツネ一派である。本件問題の異質なところは、野球に対して何の愛着も持たずこれを愚弄し続ける者が最高権力者として闖入してきており、この御仁にプロ野球全体が振り回されているという前代未聞の珍現象さである。

 選手会側は当然にもというべきか今回の事態の異質さを嗅ぎ取った。ナベツネ一派のダイエー本体の外資売渡化と連動したダイエー球団消滅策動に対して、球団側がこれにひれ伏してしまっている中で、選手会側が堪らず「そうはいかの金玉よ」と抗議の声を挙げた訳である。こうなると、望むべきは、選手会側はもはや既成の無能球団に依拠せずもっと自律的な自主経営の道まで視野に入れるべきではなかろうか。ある種の生産管理闘争であるが、今でも新しい古くよりの命題でもある。

 それにしても読売はひどい。政治の面では遠の昔から産経と並ぶ政府の腰ぎんちゃくぶりを発揮している。ところがこたびでは、文化スポーツ面でも強面(こわもて)経営論を振り回しその変調振りを一向に意に介さない。これ以上問答無用論理を振りかざすなら、我々は一斉に読売不買運動に乗り出さねばならないことになろう。そうなった時、読売の現場の配達店はこれに抗議するのではなく、本社に「俺達の生活権を保障せよ」と怒りを叩きつけるが良かろう。その時、ナベツネが「たかが配達店が」と云うかどうか、それが見ものだろう。

 2004.9.19日 れんだいこ拝

【球界OB、監督の声】
 「9.18日付けスポニチ情報」は、王監督、の声を伝えている。それによると次の通り。

 2004.9.18日、ダイエーの王貞治監督(64)は福岡市内で取材に応じ、スト決行を決断した選手会に、早期のスト解除を求めた。球団経営の窮状を理解し、選手会に歩み寄りを求めた。ファンの気持ちを一番に考え、さらなるストを避けるよう訴えた。

 他方、阪神の星野SDは、球団側の対応を厳しく批判し、次のようにコメントしている。「せっかく新規参入したいという企業が出てきているのに、なぜ拒否するのか説明もない。審査っていう言葉も上から見下ろしてるように聞こえる。“たかが選手”発言に通じるものがある」。「ファンが選手会の方を多く支持したというのがすべてだよ」と話し、(1)オーナーと選手会の直接交渉(2)新規参入の門戸開放(3)ファンのための球界改革――の3カ条を提案した。

 中日・落合監督は機構側に苦言を呈した。王監督が選手会の姿勢を疑問視したのに対し、「経緯を考えてみろ。選手会もやりたくてストをやったわけじゃない。(機構側に)やりようならいくらでもある。時間もまだあるじゃないか」。「長年、この世界にいるから経営者側、選手会側の言い分も分かる。ただ赤字が続くというなら赤字を減らす努力をなぜしないんだ」と強調した。

読売まだ云うか れんだいこ 2004/09/20
 読売は続いて、9.20日付で「球界の将来築く『着地点』を探れ」なる社説を掲げた。れんだいこがこれにコメント付ける。

 「不毛なストの代償」に縷々言及した後、「選手会と経営側の再交渉」について、「争点は、ほぼ絞られている。選手会側が求めるように、新規球団の参入を『来季』と特定するか、経営側が主張する『それ以降』とするか、である」と述べ、「根来コミッショナー提案」を尊重するよう誘導する。「根来コミッショナー提案」の概要「新規加入球団審査委員会を設置して、参入申請を審査すること、プロ野球有識者会議を置いて、野球界の問題点を考える」で良いではないか、と云う。締めくくりは、「ストはだれにとってもマイナスでしかないことは、この二日間で、はっきりした。あとは着地点を探る作業だ。今度こそ、スト中止の決着を望みたい」。

 以上を踏まえて、れんだいこは次のように指摘したい。読売はウソこくな。「根来コミッショナー提案」の概要「新規球団の参入について、これからゆるゆる話し合いませう」が正論だと云うのなら、同じ論理で、選手会側の主張する「球団合併問題についてもこれからゆるゆる話し合いませう」で良いではないか。読売が為さねばならないことは、「球団合併問題については拙速、新規球団参入問題は遅速」を良しとする論拠を示すことであろう。「手前達の要望に対してはやれそれ、相手方のそれにはまぁそうあわてるな」を説く論法を昔から手前勝手と昔から云うではないか。いみじくも根来コミッショナーは辞任表明の際に、概要「野球協約の改正をやろうとしていたが、オリックスと近鉄の件が起き、突然戦時になった。そこが僕の認識違い」と述べたが、「この唐突さ」こそ真因ではないのか。その疑惑に触れず、「根来コミッショナー提案」のご都合主義的利用の仕方で言い包めようとする読売に、ゆめ誤魔化されてはなるまじ。

 2004.9.20日 れんだいこ拝

【プロ野球スト電撃的解決】 れんだいこ 2004/09/251
 既に少し旧聞に属するが、「プロ野球史上初ストの顛末」を記しておく。

 2004.9.23日、午後6時55分過ぎ、ナゴヤドームでは古田捕手を欠いたヤクルトが首位・中日と戦う中、選手会の古田会長とNPBの瀬戸山選手関係委員会委員長(ロッテ球団代表)が、7項目にわたる合意書に調印し、6月に明らかになったオリックス・近鉄の合併に端を発した球界再編騒動、日本のプロ野球史上初めてのストライキ突入にまで至った事態に一応の終止符を打った。「7項目合意書」の内容は、球団側が選手会の主張を全面的に認めた大幅譲歩となっており、選手会は、これを諒と認め、25、26両日に予定していた2回目のストライキ回避を決めた。3カ月に及んだ球史に残る「史上初スト」は、選手会側の圧勝で終わった。

 れんだいこに云わせれば、「ナベツネを放逐した後のプロ野球界はいとも容易く当たり前のことを当たり前に決めた」ことになる。古田選手会長は、概要「非常にいい内容で妥結できたと思う。今がまだスタート地点。本当にファンに愛される球界にするべく、今後とも努力したい」と述べた。根来(ねごろ)コミッショナーは、概要「ファン、関係者によるの日ごろの話し合い、信頼関係の構築が肝要」とコメントした。自身の辞意については翻意しないことを明言した。

 「NPBと選手会の7項目合意事項」は、日本プロ野球選手会のホームページの2004.9.23日付NPBとの合意についてのお知らせで公開されている。それによると次の通り。


 【セパ12球団制の維持、参加資格審査の迅速対応】

 NPBは、来季(2005年シーズン)に、セパ12球団に戻すことを視野に入れ、野球協約31条、32条に基づくNPBの参加資格の取得に関する審査(以下「審査」という)を速やかに進め、適切に対応する。
 【参加資格審査につき「審査小委員会」を担当部署とし、来期より「新規加入球団審査委員会(仮称)」を設置する】

 審査は、実行委員会の下部組織として組織される「審査小委員会」が担当し、審査開始後1か月を目処に実行委員会およびオーナー会議に答申する。来年(2006年シーズン)以降の審査については、第三者を委員とする新規加入球団審査委員会(仮称)を設置する。
 【現行加盟料・参加料を撤廃し、預かり保証金等の制度を導入する】

 NPBは、現行野球協約の加盟料・参加料を撤廃し、預かり保証金等の制度を導入する。
 【審査小委員会の審査過程の透明化】

 審査は、適正・公平に行い、小委員会の審査過程を可能な限り、開示するなど、透明化に努める。
 【審査小委員会の答申尊重】

 審査小委員会の答申に基づいて、実行委員会及びオーナー会議が、来季参入を可とした場合は、NPBは、その参入が円滑になされるよう最大限の協力をする。
 【新規参入球団の適正平等待遇】

 新規参入が決まった場合、分配ドラフトへの新規参入球団の参加を認め、統合球団のプロテクト選手(2巡目、3巡目の指名選手を含む)を除いて柔軟に対応する。また、既存球団は、新規参入球団と既存球団との戦力均衡を図るため、新規参入球団に協力する。
 【「プロ野球構造改革協議会(仮称)」の設置】

 NPBは、選手会との間で、プロ野球構造改革協議会(仮称)を設け、1年間をかけて、ドラフト改革、エクスパンション・ドラフト制度の導入、選手年俸の減額制限の緩和などについて徹底的に協議する。

 さて、ナベツネのシナリオを崩させた功労者を評せねばなるまい。一つは、あまりにもな理不尽に怒った選手会の真っ当さであろう。この真っ当さが史上初のストまで突っ張らせた。この感覚は、ひとりプロ野球のみならず全戦線分野で保持せねばならないものではなかろうか。

 そしてこれを賛助したのがライブドアであった。この社長のセンスいいですな。これからの時代はこういう人が創るのかも知れん。思うに、ライブドアその他複数の経営母体による新球団創設、経営側と球団、選手会、有識者が業界発展のために叡智を絞り合う経営協議体を常設しても良いのではなかろうか。楽天参入も、このベースで迎えることが必要ではなかろうか。

 最後に一言。経営側にナベツネのような御仁が加わるのは避けられないにしても、球団−フロントにはプロ野球せめてスポーツ経験者を責任者に据えるべきではなかろうか。政治主義的に引き回す能しかない御仁を闖入させ、彼に絶大な権力を振るわせたところに、このところのプロ野球界の衰退があるのではなかろうか。二度と起こらないように何らかの歯止めをする必要があろう。

 それはそうと読売論説委員の次なる社説を楽しみにしているのだが、まさかダンマリでやり過ごすのだろうか。いずれにしても、著述業とは便利な極楽トンボ世界では有る。この手合いに、道理道徳人倫の道説教されるのは堪らんわな。

 彼をからかおう。彼は社説末尾で、「選手一人一人に聞いてみたい。来季、絶対にパが六球団でないとダメなのか。それが実現しない限り、ストを続けるつもりなのか」と結んでいた。古田に代わって云おう。「はい、六球団でないとうまくいかない。球団側がこれを理解したのでストを中止しましたがそれが何か」。

 2004.9.25日 れんだいこ拝

 【赤旗をからかう】

 ついでに、日共機関紙赤旗記事をかにかっておく。2004.9.23日、赤旗は、「法学者『スト、問題ない』 プロ野球 労働運動総合研究所が発言」なる見出しの記事を載せている。その要旨は次の通り。

 労働運動総合研究所の大須眞治事務局長(中央大学教授)は、「プロ野球選手会・NPB(日本プロ野球組織)の実りある団体交渉のために」で次のように述べている。

 概要「球団関係者のなかに、いまだに選手会を労働組合として認めない人々がいるが、選手会は1986年に結成以来、東京都地方労働委員会や東京地裁、東京高裁によって、繰り返し労働組合法上の労組と認定されてきている」。

 概要「NPBのなかには、選手会と『折衝』しているのであって、団体交渉をしているのではないとの主張があるが、こうした言動は団交拒否の不当労働行為として現行労働法に抵触する」、概要「争点になっているオリックスと近鉄の合併が経営事項なのか団交事項なのかという問題については、合併に必ず付随する移籍、解雇、失業、再就職、労働条件変更などが団交事項であることは誰でも認めざるを得ない。従って選手会が合併問題にかかわる要求を提出し、その実現をめざしてストライキを実施しても何の違法性も存在しない」。

 概要「NPBがスト実施に対し、損害賠償請求を行うとしている問題も、労組は民事免責や刑事免責を保障されており、そうした請求権は存在しない。場合によっては、労組に不当な圧力を加えるための行為とみなされ、労働組合法第七条で禁止している支配介入違反に問われる」。

 概要「
今回のプロ野球での団交やストの帰すうは、日本の労使関係を健全に発展させ、さらに日本の民主主義を充実させていくうえで非常に重要な問題である。労働問題研究者も、広範な国民とともにプロ野球の発展のために力をつくす」、以上。

 ところで、赤旗の主張は別のところで為されているのかも知れないが、ここでは大須発言を紹介するのみという姑息な対応に終始している。それは偶然だろうか。れんだいこは微妙に気づいている。

 プロ野球選手会と球団との関係は、日共党本部と代々木職員との関係にダブって見えてくる。党中央が、選手会に対しこれを労働組合と認め、ストライキの正義を評するならば、同じ論理で、代々木職員の労働組合の権利を認め、ストライキをも引き受けねばならないことになろう。野球と政党とは違うというのは、言い訳だ。警察にも自衛隊にも労働組合を認めるよう働き掛けるのなら、まずは率先我が身のところで手本を示すべきではないか。

 大きく譲って、何も労働組合でなくても良い。球団のあり方、この場合は党の在り方を廻って、上と下とが胸襟を開いて話し合う作風を確立しているのか、が問われている。党中央の云うことはその通り、なる作法で碌でもないない内容のものをただ拝聴するしか許されていない規約でがんじがらめにされている組織を作っておいて、よそのところの問題で正義ぶるのはもうエエ加減にしてくれ。

 そういう声が出てくるのをキャッチして、賢明にも赤旗は自己主張していない。2004.9.23日、赤旗の外聞記事の秘密はここにある。と窺うのは、れんだいこの勘繰りであろうか、ということになる。何やかや考えると、プロ野球選手会の問題、史上初のスト問題、圧勝的帰結問題は、我が社会への久々の快音のような気がする。

 2004.9.25日 れんだいこ拝





(私論.私見)


 【政府系審議会の実態考】

 政府系審議会は、国民を納得させるためのアリバイ作り機関でしかない。既に結論が用意されており、議論はそのたらいの中で為すよう仕向けられている。そういう根回しが為されている上での議論に過ぎない。仮に委員会決定が為されても、その結論は、官僚の承認を得る必要がある。官僚の方針に反する結論を委員会が出せば、その結論は変更されたりくつがえされる。これが審議会の実態であり、官僚権限の実態である。実際には、もう少し手が込んでいる。「全員一致」だと、シナリオが見えすぎる。そういう訳で、あえて無難な反対派を少しだけ入れておく。「シナリオによれば、『A氏がこれこれの賛成論を述べ、次にB氏がこれこれの反対論を述べ……』というふうに、発言の順序と内容も、すべてあらかじめ決まっている。そのシナリオを書くのが担当者。シナリオの最終結論は、あらかじめ、上司の決裁を得ておく」(南堂久史・氏の「ニュースと感想、2004.9.19日」)。そうして「賛否両論のあとで、最終的には多数派の意見を取りました」という形にする。


 『海舌』 -Kaisetsu(国際政治・経済の深層)

 18、19日スト決行、古田会長涙の決断

 まず、読売系のナベツネ氏である。この人物が、憲法9条改憲勢力の中であり、小泉・似非改革の推進者であることは、公然の事実である。この似非改革者が、新たな球団参加阻止の筆でもある。
 トヨタの奥田氏も、ストには批判的のようだ。
 ダイエーという、類まれな個人の才能と努力で築いた芸術的企業が、外資の餌食になる寸前の所に居る。今回の、プロ野球騒動の底流にある流れだ。
 古田氏の涙は、日本の中小企業の涙、失業者の無念、アジア通貨危機後の民衆の苦悩に重なる。
 古田氏の言葉は、短く、少ないが、そこには、真実がある。
 55年体制の崩壊を声高に唱え、戦後の終結を煽る読売新聞の論調、しかし、その読売新聞自体が、巨人軍という成長神話のシンボルによって部数を伸ばし、政財官の癒着構造によって、取材源を確保してきたのだ。その中ナベツネ、あなたです、ね。
プロ野球をファンから奪うことになったのは、言葉の解釈問題だった。古田会長は「来季からの新規参入に向けて最大限の努力をしてほしいとお願いした。来季から必ず入れて欲しいとは言っていない。可能性があれば良かった」。しかし、なにを持って最大限の努力なのか。結果が伴わないことは許されないのか。経営者側はこの言葉に二の足を踏んだ。

 もう1つは「以降」という言葉だった。05年以降からの新規参入を認めるという文言を記そうとした機構側に、選手会側は「以降」は05年ではないと判断した。前回の交渉後の会見でロッテ瀬戸山代表が「信頼関係でいきましょう」と声をかけてきたが、選手会としてはどうしても信頼を置けなかった。「これまでの交渉の過程で判断するとそういうこと。あいまいなことではだめということで、今回の結果になった」と、選手会の松原徹事務局長は唇をかんだ。

 選手会側が協議していた部屋に何度も足を運んだ機構側の伊選手会担当顧問は「ほんのささいなことが、恐ろしい結果になってしまった」と嘆いた。だが、そんなささいな言葉の解釈まで具体的に行わなければならないほど、両者の関係は崩れていた。溝は最後まで埋まらなかった。

 6、5、4と減らす努力ではなく、偶数なら6、8にして、多くのプロ野球を見せる形にしてほしいと提案していた古田会長は、機構側が、誠意を持って新規参入に取り組むと言った「誠意」という言葉の中身にこだわった。「誠意というのはちゃんとした言葉なんですが、いつから、どういう努力をするのか、言葉を入れてもらえなかった。妥結するわけにはいかなかった。たくさんのファンに申し訳ない」と話した。明日19日には、都内でファンへの謝罪の意味も込めたイベントを計画している。

 21日に経営者側が会議を行い、今回の結果を検討する。経営者側に変化があれば、それ以降に来週末のスト回避に向け再び協議交渉の再開もある。しかし、このままの状況なら27日の選手会の臨時運営委員会の結果次第で、日本シリーズが行われない可能性もある。古田会長は「誠意を持ってという言葉すら今となってはあいまいに聞こえる」と語った。交渉後、全国放送の番組に生出演した古田会長は、ところはばからず涙を流した。70年かけて築いたプロ野球。崩れた信頼を取り戻すのは、間違いなく、簡単ではない。[2004/9/18/07:26 紙面から]
http://www.nikkansports.com/ns/baseball/p-bb-tp0-040918-0019.html